『コレクションと資本主義』角川新書

読書:『コレクションと資本主義』

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

読書『コレクションと資本主義』水野和夫・山本豊津(角川新書)

サブタイトルに『「美術と蒐集」を知れば経済の核心がわかる』。経済学者の水野和夫さんと、東京画廊社長の山本豊津さんとの対談本です。第1章のタイトル「なぜ資本の本質が芸術に現れるのか」これが第2章以降の対談で明らかにされていきます。

経済史と芸術史を確認しながらの読書となり、わたしにとっては「サクサク読み進める」のが難しい本でしたが、それだけに読み応えがありました。なにより、2014年から海外展開をはじめて、「ヨーロッパには、無名の作家がつくったものであっても、そのものの価値を受け入れる土壌がある」と感じたのでしたが、それが勘違いではなかったことと、その理由がよくわかったのは、大きな収穫でした。

以下、わたしにとっての要点備忘メモ。


 

「歴史の危機」に頼れるのは「古典」である(水野氏)

アーティストが純粋に作品に向かうのはもちろん悪いことではありませんが、自らの感覚と価値観だけに凝り固まり、閉じた作品になってはいけない。(山本氏)

イメージや物語は、どんどん膨らんで大きくなります。それは人間が持つ想像力や創造性に関係があるからでしょう。その一方で、現実的な有用性は常に有限です。(山本氏)

西欧の「公開性」に対して、日本は「秘匿性」を重視する。(水野氏)

その人の教養や文化程度が高く、なおかつ心身ともに美しいということが敬意や尊敬を勝ち得る源泉になる。茶の湯の美意識を通して千利休は全国の武将たちにそのコンテクストを植え付けた(山本氏)

「花」ではなく「種」を買う、言い換えればそれこそが「投資」です。(中略)そうした視点でモノを見ていれば、おのずと将来、花や実になる種子を見分ける鑑識眼も生まれてくる(山本氏)

(『コレクションと資本主義』より)


繰り返し読む本の一冊になりそうです。

 

 

投稿者:

ふじゆり@花祭窯

花祭窯(はなまつりがま)の内儀(おかみ)であり、Meet Me at Artを主宰するアートエデュケーターでもある、ふじゆり のブログです。