御料理古川さん。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

御料理古川さん。

博多住吉にある懐石料理屋さん「御料理古川」さんにおじゃましてまいりました。

2018年7月のオープン。店主の古川さんが大阪の「味吉兆ぶんぶ庵」で修業をなさっていたころからのお付き合いです。修業中の当時から、藤吉憲典が大阪で個展をするたびに、独立したときのための器をお買い求めくださっていました。郷里の福岡県でお店をお持ちになるということで、オープンに向けての器をご用命いただいたのは、もう3年以上前になります。

ずっと気になりながら、やっと訪問。オープンから2年で福岡佐賀版のミシュランに載り、『家庭画報』をはじめとした雑誌掲載も多く、あっという間に「予約の取りにくいお店」になっていました。何度か問い合わせて予定が合わないことがありましたが、順調に発展なさっているご様子を嬉しく拝見していました。

カウンター6席に4名個室が二つ。訪問した平日のランチタイムは、100%女性客でした。カウンター・個室ともに皆さん常連さんのくつろいだ雰囲気で、とても楽しそうでした。お料理は、味がおいしいのはもちろん、どれもスッと体に染みわたりました。最後のお菓子とお抹茶まで、気持ちよく完食。食べ終わって気がつけば、実はお腹一杯になっていた、という感じでした。

お食事後、カウンター席のお客様は、それぞれ次のご予約を入れておられました。古川さんのお席が空いている日に合わせて、次の会食日を決める。お店がとても愛されていることがわかりました。お料理のおいしさ、接客の良さはもちろんのこと、店主古川さんと奥さまの明るく飾らないお人柄あってのことと、伝わってきました。

友人との久しぶりのランチに使わせていただきましたが、とてもよかったです。大満足でした。次は夜のお食事におじゃましたいと思います。

着々個展準備中。

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着々個展準備中。

町田のももふくさんでの「藤吉憲典展」が一週間後に迫ってまいりました。

町田ももふく 藤吉憲典展2020
藤吉憲典展(磁)2020.11.21(土)‐11.27(金)12時-18時
ももふく 町田市原町田2-10-14#101 TEL042-727-7607

個展が開催されるまでの、作家側の準備は、どれくらいかかるのでしょうか?とご質問をいただくことが、ときどきあります。会期の長さ・スペース・ギャラリーオーナーさんのお考え、作家のスケジュールなど、いろいろな要素があるので、一概には言えません。というのが、お返事なのですが、それでは答えにならないので「例えば」でお話しすることが多いです。

例えば、今回のももふくさんの個展。1年以上前にお話をいただいてからずっと、「2020年の年末ごろにももふくさん」と頭に入っていますので、広く考えると、そこから準備が始まっています。ギャラリーさんにより、オーナーさんのお考え、その先にいらっしゃるお客さまの期待などが異なります。作家・藤吉憲典のやりたいことを押し出しつつも、その場に来てくださる皆さんに楽しく喜んでいただけるように、という気持ちが一番。ですので、同じ「和食器」という範疇であっても、個展開催場所によって、並ぶものの顔ぶれは少しづつ変わってきます。

いろいろなものを作りながら、「これは、ももふくさんに良さそう」というものを少しづつ増やしていき、開催2か月前頃には案内状用の候補となる器をお送りします。そのころに一度「ももふくさんでの個展用」の器をざっと並べてみると、「足りないもの」が見えてきますので、そこで作り手はギアを一段アップ。オープンまでの2か月で、充実を図っていきます。

約一カ月前には、案内状が出来上がってきます。その案内状を見ると、オーナーさんの期待が伝わってきます。少しでも多く期待に応えることができるよう、ラストスパート。あとは、時間との勝負になってまいります。ひとつでも数多くご覧いただきたいと思う気持ちと、ひとつひとつにしっかり手間と時間をかけて丁寧に作っていく姿勢と。

会期1週間前ともなると、ある程度目途がついているものの、ギリギリまで窯を入れるのは、「ひとつでも多く、よいものを」という気持ちの表れなのでしょうね。作家が「これでOK」を出したら、あとは出品リストの制作と梱包・発送の実務で、わたしの仕事です。個展の準備は、何年、何回繰り返しても緊張感がありますが、充実感のある仕事です。

Dogs, Cats and Other Best Friends – A Selection of Animal Sculpture

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

Dogs, Cats and Other Best Friends – A Selection of Animal Sculpture

ロンドンの老舗ギャラリーSladmore Gallery の展覧会「Dogs, Cats and Other Best Friends – A Selection of Animal Sculpture」の詳細がオープンになりました。少し前にこのブログでも告知いたしましたが、近現代のアーティストの素晴らしい彫刻作品に並んで、藤吉憲典も数点作品参加いたします。

欧州ではコロナ感染の再拡大で、外出規制などが少しづつ強化されてきていて、英国もまたその例に漏れません。「クリスマスを楽しむために」を合言葉に、今自粛することを決めたという話も聞こえてきます。そんななか、昔から人々にとってかけがえのない生活のパートナーであり友人である動物たちをテーマにした彫刻の展覧会は、心温まる素敵な展示になること間違いありません。

顔ぶれは、犬、猫、羊、馬、牛、ウサギ、ラクダなど。Sladmore Galleryの所蔵する近現代を代表する彫刻家の作品に加え、Sladmore Contemporaryの所属アーティストがつくる動物彫刻の最新作を一堂に見ることができる、貴重な機会です。この展覧会に足を運べないのはとても残念ですが、イメージするだけでワクワクします。

期間中は、状況によりアポイントメントによるオープンになることも予想されます。お出かけ前に、必ずギャラリーにご確認くださいませ。


Dogs, Cats and Other Best Friends – A Selection of Animal Sculpture

16 November – 22 December 2020
The Sladmore Gallery
57 Jermyn Street, St James’s,
London, SW1Y 6LX

干支の置きもの-丑-

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

干支の置きもの-丑-

ここ数年、「そろそろ干支に取り掛かって欲しいなぁ」という年末が続いておりましたが、今年は早めに仕上がりました。町田ももふくさんでの個展を控え、ぜひ間に合わせようと、昨年よりひと月以上早く丑(牛)が出来上がり。

そもそもは、ご近所さんへの年末年始の挨拶回り用に、非売品でつくりはじめたのが「干支の盃」でした。盃が十二支を一周したので、次に作りはじめたのが「干支の箸置き」でした。このころから「販売して欲しい」というお声をいただくようになり、次第に箸置きというよりは「置きもの」に変化してきて今に至っています。

干支丑 青磁の牛 藤吉憲典

写真は、本窯からあがったばかりの牛の皆さん。つくりが素晴らしくできたので、まずは青磁のみで仕上げています。たしかに青磁で仕上げると、造形の美しさが際立ちます。が、欲張りなわたしとしては、白磁バージョンも見て観たいなぁ、と。ひそかに白い牛の登場を心待ちにしているところです。

干支のシリーズは、毎回そのお正月までに作った分の売りきりで、リピート制作はありません。2021年干支の丑の初お目見えは、ももふくさんの個展です。


ももふく
藤吉憲典展(磁)
2020.11.21(土)‐11.27(金)
12時-18時
町田市原町田2-10-14#101
TEL042-727-7607

今年の、藤吉憲典個展。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

今年の、藤吉憲典個展。

2020年の藤吉憲典の個展は、この11月の町田・ももふくさんがスタートです。今回も美しい案内状をつくってくださいました。ギャラリーさんから個展DMが届くと、作家側のテンションもグッと上がります。そこにはギャラリーオーナーさんの、個展への思い・期待が込められていると感じるからです。

町田ももふく 藤吉憲典展2020
藤吉憲典展(磁)2020.11.21(土)‐11.27(金)12時-18時
ももふく 町田市原町田2-10-14#101 TEL042-727-7607

ももふくさんでの個展では、いつも「ふだんの食卓+α」を意識しています。今回もそのコンセプトは変わりません。「食器として使い勝手が良い」のは、当然に求められる要素であり、作家ものの器を手に取っていただく意味は、その上の美しさや、上質ものもを使う嬉しさにあると思います。

家のなかで過ごす時間が大幅に増えた今年は、「毎日の生活で使うモノ」「いつも身近にあるモノ」への意識が変わったという声を、たくさんお聞きしました。インテリアコーディネーターをしている友人によると、この機会に大幅に自室のアートやインテリアを見直した方々が、男女問わず多かったのだとか。好きなもの・美しいものが身の周りにあると、「home」はもっと居心地良くくつろいだ空間になると、あらためて気づく機会になった2020年なのだとつくづく感じます。

今年は特に、個展を開催してくださるギャラリーさんのご負担は、普段の比ではないと思います。ももふくさんに、心より感謝申し上げます。それだけに今回の個展、いつも以上に作り手のモチベーションも上がっています。只今、せっせと制作中。どうぞご期待くださいね!

EXHIBITION ‘Animals at Home / Cats, Dogs and other Best Friends’ in London に参加します。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

EXHIBITION ‘Animals at Home / Cats, Dogs and other Best Friends’ in London に参加します。

今年は海外での展覧会はあきらめていたところでしたが、11月から12月にかけてロンドンでの企画展に参加することになりました。もちろん渡航はできませんので、作品のみの参加になります。

会場はJermyn StreetにあるSladmore Gallery。藤吉憲典の所属するSladomore Contemporaryが現代もの(コンテンポラリー)のギャラリーであるのに対し、Sladmore Galleryは19世紀から20世紀のヨーロッパ彫刻を専門とするギャラリーです。オーナーのEdwardとは、藤吉の個展の都度、オープニングでお会いしていました。

今回の企画展は、Antique to Contemporary(古典から現代まで)=ヨーロッパ彫刻のアンティークとコンテンポラリーとを一緒に楽しんでいただける、贅沢な展覧会です。Sladmore Galleryのコレクションは、古典彫刻とはいっても重厚というよりは、しなやかな力強さ・美しさを感じるものばかり。あのなかに並ぶのだと思うと、誇らしく嬉しい気持ちでいっぱいになります。

テーマの ‘Animals at Home / Cats, Dogs and other Best Friends’ を聞いたとき、Stay at Homeの期間を経て、あらためて身近にある大切な存在に感謝する気持ちがこみ上げてくるのを感じました。アートが日常にもたらす喜びもまた、世界中であらためて見直されているのだと思います。

藤吉にとっては、アーティストとして参加できることが誇らしい展覧会です。ありがたい機会に声をかけてくださったGerry(Sladmore Contemporary)とEdward(Sladmore Gallery)に心から感謝しています。オープニング等詳細は、会期が近くなりましたら、またあらためてご紹介いたしますね。

読書『THE CURATOR’S HANDBOOK』(フィルムアート社)

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『THE CURATOR’S HANDBOOK』(フィルムアート社)エイドリアン・ジョージ著 河野晴子訳

いつかは!と思って読んでいた本が本格的に活躍しそうで、ワクワクしています。『THE CURATOR’S HANDBOOK』を読んだのは、約4年前。当時は、わたしにとって仕事上なじみの深い美術館・博物館・ギャラリーなどの「文化・文化施設が果たす社会的な役割」について考察する手引きとなる本として、読んでいたのでした。

本書の日本語でのサブタイトルが「美術館、ギャラリー、インディペンデント・スペースでの展覧会の作り方」。サブタイトル通り、第1章から第12章まで “How to” の宝庫です。


目次

第1章 始動する:キュレーションの第一歩
第2章 アイデアを実現させる
第3章 プロポーザル、企画の売り込み、プランニング
第4章 予算と資金調達
第5章 契約、交渉、義務、評価
第6章 展覧会の出版物と物品販売
第7章 展覧会をつくる
第8章 オープン前の数週間
第9章 展示作業
第10章 オープン数日前と当日
第11章 プレスオープンと内覧会
第12章 展覧会会期中、そして会期後

『THE CURATOR’S HANDBOOK』(フィルムアート社)より


「展覧会」。花祭窯の場合、それは「陶芸作家・藤吉憲典の個展」です。主催してくださるコマーシャルギャラリーさんがすべてお膳立てしてくださるので、作品と作品リストをお届けすることに注力し、それ以外は全面的にギャラリーさんにお任せするのが常です。

なので、学芸員資格を持っているとはいえ、自分自身が中心となって「展覧会をつくる」ことは、「いつかできたら楽しいだろうな」と思うぐらいで、具体的にイメージしたことがありませんでした。が、ここにきて「展覧会をつくる」計画が浮上。まさに本書が活かされる状況になりそうです。

ギャラリーオーナーの方々には毎回お世話になりっぱなしです。オーナーさんがどれほどのエネルギーを注いで個展を開いてくださっているのか、身をもって理解することのできる機会になりそうです。とはいえ、まだ計画どころか「アイデア」の段階。開催できるのが来年になるのか再来年になるのか、詳細はこれからです。本書を読みなおし、準備するべきことの多さを考えると、ある程度時間がかかる(時間をかける必要もある)こともわかってきました。

一日も早く皆さんに告知ができるよう、頑張ります!

The beauty of Japanese porcelain ; The works by Kensuke Fujiyoshi (004)

Good morning! This is Yuri. I am a wife/manager of Ceramic Artist Kensuke Fujiyoshi. Kensuke is an artist of fine porcelain.

A JIKIRO Jar for sweets with Lily design, overglaze enamels

We started showing the beauty of Japanese fine porcelain through the artworks of ceramic artist Kensuke Fujiyoshi. All of his works are based on the traditional techniques of Hizen jikiHizen jiki which is known as Old Imari is one of the traditional Japanese crafts kogei which has been handed down over 400 years, since Edo period (1615-1868).


A JIKIRO Jar for sweets with Lily design, overglaze enamels (2019)
Kensuke Fujiyoshi
H. 7 × Φ. 9(cm)

錦百合文食籠 藤吉憲典
錦百合文食籠 藤吉憲典

We usually put some sweets in a JIKIRO jar for tea time, especially for a tea ceremony. JIKIRO means a jar for foods. Kensuke drew the unique lily design for contemporary use.

We can use facebook messenger. Please feel free to ask me in English if you have any question about the work.

お客さまへの、特注対応。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

お客さまへの、特注対応。

藤吉憲典の作品について、個人のお客さまから「希望をお伝えしたら、作ってもらえるのですか?」というご質問をいただくことが、たまにあります。お返事としては、お断りすることがほとんどです。基本的には、アート作品もうつわも、個別のご要望にはお答えしておりません。

ではご要望にお応えできる場合とは、どんな場合かというと…

長く、または打ち解けたお付き合いがあり、お客さまがどのようなものをお求めか、作り手がイメージできること。そしてお客さまが、藤吉に全面的に任せてご相談してくださっていると共通理解があること。さらにそのご相談のものを、作り手本人も純粋に「作りたい」と思うこと。これらが揃った場合になります。

藤吉憲典 蓮にカワセミ陶箱
こちらが「蓮」(藤吉憲典 蓮にカワセミ陶箱)

上の写真の「蓮にカワセミ陶箱」は、これらが揃って、お客さまへの特注対応でおつくりした陶箱。蓮が「睡蓮」だったオリジナルから、お客さまのご感想をいただいて「蓮」バージョンでつくったものです。下の写真が、最初に作っていた「睡蓮」版。

蓮にカワセミ陶箱 藤吉憲典
こちらが「睡蓮」(藤吉憲典 蓮にカワセミ陶箱)

より具体的には、これまでどのような藤吉作品をお買い上げいただいているかがわかっていると、お求めのもののイメージが一致しやすいです。また、藤吉のものを扱ってくださっているギャラリーさんを通してのご相談ですと、ご相談内容をお受けするにしてもお断りするにしても、スムーズなやりとりができると思います。

ギャラリーさんへのお問い合わせは、こちらの一覧からご参照くださいね。

肥前磁器の美:藤吉憲典の器「染錦柿右衛門調小壺」

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

肥前磁器の美:藤吉憲典の器「染錦柿右衛門調小壺」

磁器作家・藤吉憲典がつくる肥前磁器の美しさを伝えるシリーズ。「美しさ」には「用途の美」を含みます。使い勝手の良さも含めて「美しい」と言えるもの。そこにこそ、江戸時代から400年続く肥前磁器の価値があると思っています。

「肥前磁器(ひぜんじき)」という呼び方は、まだまだ一般的ではありません。「有田焼」とか「古伊万里」といった方が、わかりやすくイメージできると思います。肥前磁器とは、有田焼、伊万里、鍋島などと呼ばれる、北部九州地方(肥前地域)で作られてきた磁器の総称です。地域的には現在の佐賀県・長崎県あたり。

「柿右衛門」というのは、酒井田柿右衛門の子孫が代々受け継ぐ名前であり、その特徴的な作風(絵付の様式)を表します。「柿右衛門調」とか「柿右衛門様式」と呼ばれています。十四代柿右衛門氏が色絵磁器の重要無形文化財保持者(人間国宝)となっているので、柿右衛門調というと赤絵・色絵をイメージする方も多いと思いますが、実際には柿右衛門様式と呼ばれているものには幅があり、下絵の青色が入る染付や染錦もあります。

藤吉憲典のつくる柿右衛門調は、目の届きにくいところまで丁寧に絵付をする、江戸時代の輸出品・献上品としての有田磁器の良さを受け継ぐことを旨としています。

染錦柿右衛門調小壺 藤吉憲典
染錦柿右衛門調小壺 藤吉憲典
藤吉憲典 染錦柿右衛門調小壺
藤吉憲典 染錦柿右衛門調小壺

丁寧で細やかな絵付が特徴ですが、その美しさを引き立てるのは、余白です。磁器作家の絵付に求められるのは、絵の上手さだけではなく、造形美に適うバランスの良いデザインだと、感じさせられる一品です。