味噌、寒仕込み。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

味噌、寒仕込み。

なんてタイトルにすると、なんだか通っぽいですが、この季節にお味噌を仕込めるのは数年ぶりです。それも「あとは混ぜるだけ」の「味噌仕込みセット」 という強い味方が現れたからこそなせる技。

大豆を茹でるところから、というのは理想ではあるものの、ここ数年はそのための時間と労力を確保するのが、ついつい後回しになっています。麹屋さんが持ってきてくださる材料を、自分の手で樽に詰め替えるだけで「我が家の味」が出来上がるのですから、なんともありがたい限りです。

つい先日、将来の進路についておしゃべりをしていた息子が「一人暮らしを始めたら、味噌と梅干はうちから送ってくれる?」と言いました。梅干もまた、ほぼ毎年我が家で漬けているもの。こうなると、ますます仕込みのモチベーションが上がります。彼としては、自炊にかかる費用を少しでも抑えたいから、という理由でしたが(笑)。

1月から3月頃に仕込むお味噌を「寒仕込み」というそうです。季節が暖かくなるのと一緒に熟成が進み、夏を越したころ食べごろを迎えると。ということは、9月頃。我が家の味噌の減り具合を考えると、どうやらその前に樽の蓋を開けることになりそうです。

2020書き初め。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

2020書き初め。

今年のわたしの書き初めは「行雲流水(こううんりゅうすい)」。禅の言葉のひとつです。執着をなくし、空を行く雲のように、川を流れる水のように、淡々と自然に任せること。カタチにとらわれず、自然に任せて柔軟に変化していくこと。

歳を重ねるごとに、自分でコントロールしようとしてもどうにもならないことも少なくないと、わかってきました。また、エネルギーを費やして取り組んだ結果と、自然の成り行きに任せて見守った結果が大差無い、なんてことも往々にあると、経験してきています。

自身を省みたとき、それでもなんとかしようとジタバタしてしまうのは、性格的に仕方の無いこと。でも、「行雲流水」の言葉を心のどこかに留めておいたら、同じ状況にあっても少しは肩の力を抜くことができたり、天命を待つ心境に至ることができるかもしれないな、と思います。

行雲流水のごときしなやかさとは程遠い生き方をしていますが、それもまた良しと認めつつ(笑)

今年の〆の書道部は。

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今年の〆の書道部は。

時節柄、年賀状の文字のお稽古。写真はダンナによるお手本。こんな風にさらっと書けるようになったら、どんなにいいでしょう。でもその裏に膨大な書の稽古時間があったことを思えば、軽々しく「羨ましい」などとは口にできません。

いくつかいろいろ書いてみて、「しんにょう」や「ころもへん」がバランス良くかけないことを再確認。そうすると「賀正」とか「正月」とか「元旦」の文字の方がよさそうね、などと思いつつ、今回は「賀正」を練習。

いつもは筆を持って書いていますが、年賀状に備えて「筆ペン」を使ってみました。筆ペンもまた、持ち慣れないとうまくコントロールすることができません。「手の運動神経」という言葉が頭をよぎります。四苦八苦しながら得た結論は「これからは『マイ筆ペン』を持ち歩こう」ということ。前々から言われていたことなのですが。

さっそく、自分へのクリスマスプレゼントに筆ペンを買ってきます。

ふたたび、上海。

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ふたたび、上海。

銀座黒田陶苑さんによる、初めての上海での展示会のポスターがとどきました。そうそうたる顔ぶれの皆さまに混ざって、藤吉憲典も参加いたします。今回、磁器の染付・赤絵(色絵)の作家は藤吉だけなので、彩を楽しんでいただく役割を果たせたら嬉しいです。

上海展示会 銀座黒田陶苑

銀座黒田陶苑さんが一年近くをかけて準備してこられた展示会。さすがの規模です。会期は、2019年11月30日(土)から2020年2月16日(日)まで。 上海で、一人でも多くの皆さまにご覧いただけることを、心より願っております。

ひさびさに干し柿づくり。

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ひさびさに干し柿づくり。

ご近所さんから、干し柿用にと柿をたくさんいただきました。日に日に気温も下がり、空気も乾いてきたので、シーズン到来です。

佐賀に居たときは、裏庭に渋柿の木がありましたので、お正月用にといくつか採って、ささっと皮をむき、吊るして手軽に作っていました。食べどきになったころには、ずいぶん小さくなってしまうのですが、凝縮した甘みがたまらないおいしさでした。ついつい食べてしまい、お正月前に無くなってしまった!ということもしばしば。

今回いただいたのは、農家さんが作っている柿。まずその立派な大きさにびっくりしました。ひとつひとつ皮をむいて、吊るした姿も迫力があります。あとは、カビがしませんようにと、お天気にお祈り。津屋崎は風が通るので、比較的乾燥しやすく、干し柿づくりに適した気候のはず!と思いつつ。

南方流流祖実山居士献茶式。

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南方流流祖実山居士献茶式。

毎年この季節は、入門している茶道南方流の流祖である、立花実山居士を祀る献茶会でした。昨年の実山忌のレポートでは、由来について少し書いていました。写真は、待合から眺めた円覚寺のお庭。

今年も、献茶の儀式が済んだのちに、和尚さまが南方流の根拠となる書物「南方録」を読み解いてくださいました。原本のままでは難解なので、熊倉功夫先生解説の『南方録を読む』(淡交社)を教科書としています。今回学んだのは「曲尺割(かねわり)とは何か。」。

和尚さまによる解説で、特に心にのこったのは、次の五つでした。


七五三」「守破離」「草庵」「心と技術」「道具」

  • 曲尺割の基本にどのような根拠があるか。
  • 肝は陰陽五行の陽数の五。
  • 茶の湯の深味は草庵の茶にある。
  • 人によって修行の方法もかわるべき。
  • はいるところはかわっても、そのもっとも深い真実は同じである。
  • 一貫した根本の法を一通り習いおぼえ、道具も一つか二つに決め、自分が持つにふさわしい道具を師と相談して組合せ、置き合せのかねの具合、取扱い方など一通りおぼえる。
  • 草の小座敷、露路の茶風は本格のかねを基本とするとはいっても、最後にはかねを離れ、技術を忘れ、心味が無味にきわまる出世間の法である。
  • 真実というものは事実と理論と別々につかめるものではなく、知識が身についてくれば茶のこころもわかってくる。そうすると技術もそれに伴って熟達してくる。
  • 技術はよいけれども精神的な深味がないというのは、技術もまだ十分深奥に達していないからである。

※熊倉功夫先生解説の『南方録を読む』(淡交社)から、補足抜粋しています。


最後の方は特に、茶道だけでなく、日々の仕事にも同じことが言えるとしみじみ思いました。同様に「精神的にはすぐれているけれども、技術が不十分」ということも決して無くて、精神的な深味は、その技術や知識もしっかりと身に付けた熟達してこそ伴ってくるということですね。

学ぶほどに己の未熟さがますます見えてくる今日この頃。茶道も仕事も、大切なことは同じだと、あらためて思いました。

久しぶりにお茶のお稽古。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

久しぶりにお茶のお稽古。

写真は、ある日の我が家で点てたお茶。

いつもは月に二回のお茶のお稽古ですが、ひと月以上ぶりのお稽古に行って参りました。その間も「お茶を点てる」という行為は行っているのですが、やはりお稽古に行きたい気持ちが募ります。

円覚寺のお茶室に入ると、ほっとします。設えが「風炉」から「炉」へと変わっているのを拝見し、あらためて、もう11月なのだとつくづく。床の間には、白菊が一輪。

ひと月も間が空くと、真っ白な状態(笑)。お稽古の順番がまわってくるまで、他の皆さんがお稽古なさる様子を拝見しつつ「ああ、そうだった」と少しづつ記憶を呼び覚ますことができるのは、ありがたく貴重な時間です。「頭で覚えるものではなく、体に沁み込ませるもの」と自分に言い聞かせつつも。

久しぶりにお会いした先輩が「やっぱり懐石茶会を経た後は、お点前に落ち着きが感じられますね」と言ってくださり、恥ずかしくもありがたく思いました。作法の手順はすぐ忘れてしまうものの、少しでも所作に落ち着きを感じていただける物が出てきたのだとしたら、わたしにとっては大きな一歩です。

あたたかい先生や同門の皆さんがいて、ほっとする空間がある。だからこそ、お茶のお稽古に行きたくなるのだな、とあらためて感謝の一日でした。

年賀状準備。

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年賀状準備。

写真は藤吉家の年賀状2019年版。

巷では、郵便局員による商品販売や勧誘が問題になっていますが、信頼関係のある郵便局員さんとのおつきあいもあります。

毎年10月下旬になると「いかがですか?」と声をかけてくださるご近所郵便局の職員さん。「ああ、もうそんな季節」と思いつつ、忘れないように予約を入れます。おかげさまで「買い忘れ」の心配がありません。

年賀状はダンナのデザインでゴム版画、というのが藤吉家の定番。年末が近づいてくると「年内にゴム版画は完成するのだろうか!?」の緊張感が走ります(笑)年賀状は早々に準備済みでも、デザインが…ということで、ここ数年は新年になってからポストに投函すること多数。

それでも年賀状を出すことと、ダンナお手製の版画にすることは、たいせつな決まりごとです。メールやSNSでの挨拶が全盛となっても、日ごろ気になりながらご無沙汰してしまっている方々へは、やはり年賀状でご挨拶をしたいのです。それが免罪符になるとは思いませんが、せめてもの気持ちです。

今年もどうやら、年明けの完成が色濃い年賀状デザイン。ゆっくりのんびり待つことにいたします。

我が家の味噌の味。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

我が家の味噌の味。

毎日の味噌汁はじめ、味噌消費量の多い我が家。できるだけ自分で仕込もうと思っているものの、昨冬は気がついたら大豆を買い損ねて、仕込めず仕舞いでした。

春先に、北九州にある粷屋さんから「あとは混ぜるだけ」の「味噌仕込みセット」のご案内をいただき、まったく作らないよりはいいよね、と試しに仕込んだものを、この秋から食べ始めています。

いつもは麦麹で麦味噌を仕込むのですが、今回はお試しついでに、米麹と麦麹の合わせ味噌。樽に塩と麹とつぶし大豆を混ぜて詰めていくだけという、とても簡単な仕込み。同じ材料でその麹屋さんが作っていた合わせ味噌を買って、食べて、「なるほどこんな味に仕上がるのね」と思っていました。

さて、初めての合わせ味噌。食べてみての家族の感想は「いつもとそんなに変わらないよね」というもの。「いつもは麦だけど、今回は合わせ味噌」といっても、「んー、食べなれた味って感じだけど」と。逆に、同じ材料で仕込んでいた麹屋さんの味噌には「味がちょっと違うね」と反応。

「何が同じで、何が違うのか」を比べた結果至った結論は、我が家の味噌の味は、わたしの手による菌の味なのかも!、ということ。もしやと思って検索してみたら、出てきました。同じ材料で作っても、家家で味噌の味が変わってくるのは、それぞれが持つ菌の違いによるもので、常在菌と呼ぶそうです。 仕込みの最後に、わたしの手で混ぜ込んだので、我が家仕様の味噌に仕上がったのですね。

藤吉憲典 上海展示会 2019。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

藤吉憲典 上海展示会 2019。

文化の日を含んだ三連休、藤吉憲典の上海での展示会に顔を出してきました。今年も、一日だけでしたが、お抹茶を点ててご提供することができました。今回、会場をご提供くださったのは、和食くろぎさん。料理長さんが、お客さまの目の前でわらび餅をつくってくださいました。出来たてのわらび餅にお抹茶のおもてなし。

展覧会会場では、今回も日本人、中国人を問わず、上海で頑張っておられる若手の料理人さんや、「食」に関わるお仕事をなさっている方々、日中の橋渡しとなるような仕事に従事している方々にお会いすることができました。皆さん日本語・中国語を使いこなしておられ、中国語がまったくできないわたしも、助けられつつ、会話に加わることができました。

お話を伺いながら、実際に海外に居を移して仕事をしておられる方々の覚悟と情熱に、目を覚まされる思いがしました。自分たちも、もっともっとできることがあるはず!と。たくさんの方のご協力で開催に至った、2回目の展示会。上海にしっかりと根付いた仕事ができるよう、あらためて取り組みの決意をした上海訪問でした。

藤吉憲典の上海展示会は11月10日(日)までです。