美の壺「青と白の粋 染付の器」-2023年8月再放送のお知らせ。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

美の壺「青と白の粋 染付の器」-2023年8月再放送のお知らせ。

8月に入ったらお知らせしますね!とご案内しながら、すっかり失念しておりました。今年も、美の壺「青と白の粋 染付の器」制作チームからご連絡があり、7月にも再放送をされておりましたが、この8月も4回の再放送がございます。といっても、すでに今朝の回で2回の放送が終わり、残りあと2回ではありますが。

実は今朝、8時過ぎごろから急に藤吉憲典インスタグラムのフォロワー数が伸びはじめ、「あれ?なんかあったかしら?」と思っていたのでした。

藤吉憲典公式インスタグラムhttps://www.instagram.com/ceramicartist_kensukefujiyoshi/

そうこうしているうちに、8時半を過ぎて、長いお付き合いのお客さまから「見ましたよ~!」のご連絡をいただき、「美の壺だ!」と思い出したのでした。

藤吉憲典がほぼ丸二日間の撮影協力し、2021年7月に初回の放映であったNHK BSプレミアム 美の壺「青と白の粋 染付の器」。収録にいらっしゃったときは、15分程度の登場シーンに丸二日間かけるってすごいなぁ、と単純に関心していたものですが、人気コンテンツになると、こうして何度も繰り返し放映されるのですね。夏=染付の器、定番になりつつあることを感じます。


美の壺 File543 『青と白の粋 染付の器』
2023年8月再放送分日程

  • 8月7日(月)午後14:00-14:29 NHK BS4K 
  • 8月9日(水)午前8:00-8:29 NHK BSプレミアム、NHK BS4K
  • 8月12日(土)午前6:45-7:14 NHK BSプレミアム、NHK BS4K
  • 8月16日(水)午後15:10-15:39 NHK 総合、NHKプラス配信

今回も、BSだけでなく地上波のNHK総合や、インターネットでのNHKプラス配信がございます。お時間と環境が許しましたら、ぜひご覧くださいませ。

読書『表装…』のタイトルいろいろ。

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読書『表装…』のタイトルいろいろ。

額縁の次は掛軸、という話題をアップしたのは、つい数日前のことでした。

新しいことをスタートするときの常として、わたしの行動パターンの第一歩は「本を読む」です。そしてその時に強い味方になってくれるのが、いつものカメリアステージ図書館。ネットで蔵書検索をすれば、市内の二つの図書館の蔵書から候補を上げてくれます。予約を入れて受け取りを最寄りのカメリアステージ図書館に指定すれば、まとめて受け取ることが出来ます。

今回も「表装」「掛軸」のキーワードでヒットした本のなかから、直感で5冊を選択。上の写真の通りの顔ぶれ、『掛軸』『表装生活』『表装ものがたり』『my made 表装』『表装を楽しむ』のタイトルに目を通しました。

なかでも今回、初心者のわたしにとって参考になったのは、次の2冊。

麻殖生素子さんはどうやらこの業界では有名人のようです。『表装生活』でも監修をなさっていました。『表装を楽しむ 掛軸、屏風をつくる』は、非常に実用的な内容で、半分以上のページは自分で表装を制作するための手順書になっていました。自分で手を動かすわけではないわたしとしては、手順をじっくり読みこむことはありませんでしたが、どのような手順を踏んで表装が出来上がるのかをざっくりとでも理解しておくことは、業者さんに相談し発注する際にも、大切なことです。「裂の話」「和紙の話」「取り合わせレッスン」などの項目が、簡潔にわかりやすくまとめられていたのが、ありがたかったです。

対する『表装ものがたり』は、実用書というよりは教養書とでも言いましょうか。著者が「おわりに」に書いておられる「「表装」という美術作品の裏方、名脇役ともいうべき存在を通じて、日本美術の面白さ、奥深さに迫ることを試みたものです」というのが、まさにぴったりくる内容でした。わたしにとっては本書は保存版だと感じましたので、さっそく購入することに。2023年6月初版になっていましたので、このタイミングはまさにわたしのため!?というくらいのめぐり合わせを感じました。濱村繭衣子さんは、日本近世絵画史を専門として京都芸大でも教鞭をとっておられるという方。なるほど「絵画」「美術」という視点でまとめられた表装の物語は、とても親しみを感じるものでした。

初心者にとって、本はいつもその世界への入り口になってくれます。表装の世界もまた奥が深そうで、ますます楽しみになって参りました。

平面作品の楽しみ~次は「掛軸」にしてみようかな、と。

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平面作品の楽しみ~次は「掛軸」にしてみようかな、と。

少し前まで額装額装と騒いでおりました。

藤吉憲典が書画作品を制作するようになって、装飾の楽しみが一つ増えたのが、騒ぐきっかけ。おかげで昨年から今年にかけて、額縁でのサンプルはいくつかできました。サンプルを作ることで、実際に飾った場合のイメージが湧くとともに、お客さまへのご提案もしやすくなりました。もちろんそれを期待しての制作ではありましたが、ビジュアルのインパクトは、期待以上の働きをしてくれることがわかりました。やはりまずは自分が飾ってみることですね。

次はいよいよ「表装して掛軸」にチャレンジすることに。書画を現代の空間に飾ろと思う時に、額装にすることで、洋室・洋の建築へのアプローチが易しくなることは、実際に作ってみて実感いたしました。和洋折衷ではあっても、古臭さを感じさせないアプローチが必要で、「額」によってその懸念をひとっ飛びできる感覚は、とても爽快でした。次のステップとして「掛軸」でそれをすることは、額縁よりも難易度が高いだろうと想像がつきます。

掛軸用の表装の方法はある程度パターンが決まっているようなので、あとは、素材に何をもってくるのか、どんな質感のもの、どんな色の取り合わせにするか、が、腕の見せ所になるでしょう。というわけで、今まさに資料をいろいろと検討しています。額縁の時に感じたのですが、ある程度こちらでイメージを持ったところで、プロに相談に行くべし、なのです。そうでないと、あまりにも組合せの選択肢が多すぎて、溺れてしまいます。

手を動かして「つくる」仕事を専門としないわたしとしては、作品はダンナ、それを取り巻く額縁や軸装はそれぞれの職人さんが手がけるものだとしても、そこに少しでも関われるのは、とても嬉しいこと。実際に額装を何点も手掛けてみて、気がつきました。今回は、初の掛け軸。とてもワクワクしています。

波折神社で茅の輪くぐり 2023。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

波折神社で茅の輪くぐり 2023。

津屋崎の毎年の恒例行事のひとつ、波折神社で茅の輪くぐり神事が行われました。今年前半の穢れを祓い、無事に感謝します。全国的には6月末に実施する神社が多いと思われますが、ここ波折神社では例年7月末に行われています。18時からの神事が終わるのを境内で待ち、参加者皆が神職さんのうしろに続いてぞろぞろと、鳥居に付けられた茅の輪をくぐります。

18時を回ると、ちらほらと境内に人が集まって参りました。知った顔を見つけては、あちらこちらで井戸端会議がはじまります。我が藤吉ファミリーも、今年は全員そろって参加。昨年一昨年と、茅の輪くぐりは「密を避けて」、時間をずらして随時行われていましたので、一斉に大勢でぞろぞろと歩くのは数年ぶり。神社の外の道路にまで伸びた行列を見て、そういえばこんな風だったよなぁ、と感慨深いものがありました。

鳥居=茅の輪に向かって、左回り→右回りの順に歩き終わったら、神社にもお参りをしておしまい。社務所で記念の紅白まんじゅうをいただき、茅の輪の茅を何本か頂いて帰ります。以前は、大きな茅の輪から抜き取るようになっていたのですが、持ち帰り用にわきに準備してありました。これはグッドアイデア。茅は繊維が強いので、抜き取る際に手を切ってしまうこともありますから。その茅で、玄関に飾る「ミニ茅の輪」を作ります。上の写真は、我が家の茅の輪制作担当・ダンナがこれから作ろうとしているところ。

今年も無事、茅の輪をくぐり、玄関に飾ることが出来ました!

特別展「憧れの東洋陶磁」@九州国立博物館を観て参りました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

特別展「憧れの東洋陶磁」@九州国立博物館を観て参りました。

正式な展覧会名は「憧れの東洋陶磁 大阪市立東洋陶磁美術館の至宝」です。大阪中之島にある東洋陶磁美術館は、大好きな美術館のひとつ。わたしにとっては、佐賀の九州陶磁美術館に次ぐ、やきものを学ぶための美術館です。今回は、学芸員研修で九州国立博物館に足を運んだついでに、観覧してまいりました。ちょうど金曜日で夜間開館をしていたので、研修会終了後に観ることが出来、ラッキーでした。

大阪市立東洋陶磁美術館は、現在施設改修等の工事のため長期休館中。実は今秋大阪に行く予定があり、久しぶりに足を運ぼうと思っていたところが休館中と知り、がっかりしていたのでした。この期間に収蔵品を部分的に貸し出しして、今回の九博での展覧会になったのでしょうね。九州で観ることが出来るとは思っていませんでしたので、これは嬉しいです。

さて「憧れの東洋陶磁 大阪市立東洋陶磁美術館の至宝」。88点のコレクションが並んでいます。現在東洋陶磁美術館には5,711件のコレクションがあるということですので、ほんの一部。過去に何度も大阪中之島に足を運んだことがある者としては、コレクションに対する期待は否応もなく高まります。どんな顔ぶれが並んでいるのかとワクワクしながら足を踏み入れました。

フライヤーに「選りすぐりの名品88点」とある通り、さらっとまんべんなく並んだ感じでした。染付、青磁、赤絵など、中国、韓国、日本のやきものの名品を観ることが出来ます。勝手にマニアックな編成を期待してしまっていたわたしとしては、テーマ性が感じられず、なんとなく肩透かしにあったような気もしましたが。逆に「東洋陶磁」を俯瞰して眺めるにはちょうどよい展覧会かもしれません。

個人的に一番気に入ったのは、高麗青磁。12世紀につくられたという「青磁陽刻菊花文輪花型碗」は、かたちと彫りの美しさに見とれました。展示作品のなかに「自分のお気に入り」を見つけるのが、特別展の楽しみです。8月12日には、大阪市立東洋陶磁美術館から学芸員さんがリレー講座にいらっしゃるようで、これはなかなか無い機会だと思います。わたしは残念ながら参加できませんが、興味のある方は、ぜひ。会期は9月3日まで。

「憧れの東洋陶磁 大阪市立東洋陶磁美術館の至宝」

博多阪急さんでの藤吉憲典個展、ご来場ありがとうございました!

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

博多阪急さんでの藤吉憲典個展、ご来場ありがとうございました!

福岡での初の商業個展となりました、博多阪急さんでの藤吉憲典個展、無事会期終了いたしました。初の博多個展で、正直ドキドキしておりました。たくさんのお客さまがお越しくださり「ホッとした」というのが、偽らざる感想です。おかげさまで地元の皆さまに作品をご覧いただくことが出来ました。足を運んでくださいました皆さまに、心より感謝申し上げます。

阪急3階の特別室の場所がわかり難かったようで、阪急のインフォメーションコーナーにもたくさんお問い合せをいただておりました。通常は外商のお客さまを対象とした商談会や受注会で使われるという「特別室」は、おそらく意図的にわかり難い位置にあり、今回ご案内がじゅうぶんに出来ていなかったことを、お詫び申し上げます。

会期中、福岡県での開催を待ち望んでくださったお客さま、佐賀・長崎・愛媛など遠方から駆けつけてくださったお客さま、古くからのお得意様にもお会いすることが出来、たいへん心強く嬉しい限りでした。また『美の壺』や雑誌で観てからずっと情報を追っていたとおっしゃるお客さまも少なからず、ありがたく思いました。西日本新聞で紹介されていたイベントの記事を切り抜き、手に持って訪ねてきてくださったお客さまもありました。また2021年に福岡アジア美術館で開催した展覧会にお越しになったお客さまに再びお会いする機会にもなり、とても嬉しかったです。

初めての百貨店開催とあって、いつもの「ギャラリーさんにお任せ」とは異なり、運営上では反省点もいろいろとありました。こちらはまたあらためて、まとめ・反省して、今後の取り組みに生かしていきたいと思います。

最後に、今回の機会は、昨年初開催となった福津市の事業者と博多阪急さんとのコラボイベント「ふくつのね」の一環として、スタートしたのでした。会期中を一緒に駆け抜けた「ふくつのね」メンバーにも、心からの感謝を。

藤吉憲典個展 博多阪急

『Homes & Antiques』8月号への藤吉憲典のインタビュー記事原稿。その5。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

『Homes & Antiques』8月号への藤吉憲典のインタビュー記事原稿。その5。

特集コーナー「HEIRLOOMS OF THE FUTURE(未来の家宝)」での藤吉憲典のインタビュー記事です。日本国内でこの記事をご覧いただける機会はまずないと思われることと、インタビューで尋ねていただいた内容が、作家のキャリアを理解するうえでとても有用なものだったため、元となった日本語原稿を何回かに分けてご紹介していくシリーズです。


Q10. 創作のインスピレーションは、どこで得ていますか。(Homes & Antiques)

A10. 海、山、花、鳥、動物、およそ自然にあるすべてです。山に住んでいた時には山を朝夕散策していましたし、海の近くに越してきてからは海辺を、毎朝散歩しています。また、古いものから受けるインスピレーションも大きいですね。時代を超えて残ってきたものにはそれだけの理由があると思いますし、理屈抜きにパワーを感じるものがたくさんあります。(藤吉憲典)


Q11. ご自身のキャリアのなかで、最も誇りに思っていることはどんなことでしょうか。(Homes & Antiques)

A11. 1997年に独立して以来、ずっと伝統的な肥前磁器の表現様式をそのまま生かしてきたことです。わたしには師匠はありませんが、江戸時代(1600年代~1800年代)の肥前磁器の名品の数々こそが、わたしにとっての師です。表現方法において奇をてらうことなく、流されることなく、古伊万里の先人たちが遺してくれたものを、自分の個性で形にし直すことを徹底してきました。

日本には「写し」の文化がありますが、写しとは劣化したコピーを作ることでは無く、オリジナルを超える良いものを生み出そうとする行為です。わたしがやってきているのは、まさに肥前磁器における「写し」の王道だと自負しています。現代アート市場において、わたしが投げかけたいのは、観た人をびっくりさせるような作品ではなく、心安らぐ作品、手に入れた人が笑顔になる作品です。数百年後にも受け継がれ残っていくものを目指しています。

実は、わたしが独立以来掲げている作陶理念のひとつに「国宝より家宝」があります。作りたいのは、業界や評論家に称賛されるようなものではなく、自分や愛する人のためにそれを買い、遺していきたいと思ってもらえるようなもの。なので、今回インタビューの打診をいただいたときに、テーマが「HEIRLOOMS OF THE FUTURE(未来の家宝)」であると聞いて、とても驚くとともに、嬉しかったです。(藤吉憲典)


特集コーナーへの掲載を打診してくださった、Our Media「Homes & Antiques」編集者のケイティ、作り手の魅力を引き出す質問を届けてくれたライターのドミニク、間をつないでくれたSladmoreのサラに、心より感謝です。

『Homes & Antiques』8月号への藤吉憲典のインタビュー記事原稿。その4。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

『Homes & Antiques』8月号への藤吉憲典のインタビュー記事原稿。その4。

特集コーナー「HEIRLOOMS OF THE FUTURE(未来の家宝)」での藤吉憲典のインタビュー記事です。日本国内でこの記事をご覧いただける機会はまずないと思われることと、インタビューで尋ねていただいた内容が、作家のキャリアを理解するうえでとても有用なものだったため、元となった日本語原稿を何回かに分けてご紹介していくシリーズです。


Q7. Animal Boxesシリーズが有名ですが、いつごろから箱を作り始めたのでしょうか。作りはじめたきっかけは何ですか。(Homes & Antiques)

A7. 箱は、ただ好きなんです。好きだったので、窯元勤めの頃から、時間を見つけて趣味で作っていました。商品としてではなく、ですね。幼少期からアニメや漫画の影響を強く受けて育った世代ですので、もともとプラモデルやフィギュアをつくるのは素材に関わらず好きでした。その延長での彫像と、肥前磁器の歴史のなかでもずっと作られてきている陶箱の組み合わせ。なにか強い意図があって箱シリーズを作ったわけではなく、自分の好きなもの、こんなものが合ったらカッコいいな、を形にしたら、このスタイルになった、というのが正直なところです。わたしがつくるものは、基本的に「自分が欲しいもの」なのだと思います。(藤吉憲典)


Q8. どのような経緯でアート作品として作るようになったかを、教えてください。(Homes & Antiques)

A8. 前述のように、もともとは趣味で作っていました。アート作品として発表しようと明確に決めたのは、作家として独立してから10年以上が経ってからです。それまで「食器」の作家として、用途のあるものにこだわっていましたが、あるとき、用途にこだわらず自由に自分が作りたいもの、良いと思うものを発表していこうという気持ちになりました。

それまでは勝手に自分の創作表現に制限をかけていて、それに気づいたというか。今考えると、食器作家として少しは認められるようになったと実感できる場面が何度かあり、自分のものづくりのスタンス・考え方に、自信が持てるようになってきたことが、影響していたのかもしれません。(藤吉憲典)


Q9. Animal Boxesシリーズを制作するうえで、一番楽しい工程はどんなものですか。また、特に困難なことはありますか。(Homes & Antiques)

A9. 実は、どの工程も楽しくて仕方がありません。作っていると、あっという間に時間が過ぎています。もちろん、それぞれの工程は、繊細さを必要とし、技術的にも決して簡単ではありませんが、その難しさがまたチャレンジングで楽しい。

一番難しいのは、完成したときの全体としてのまとまりです。形と文様・色彩との調和が一番の肝であり、そこに、分業ではなく作家として自分一人の手で作ることの意味・価値がもっとも現れると思っています。全体としての調和した美しさを形にするために、どのように組み合わせていくか。手を動かし始める前に、資料を集めたり調べたりしながら頭のなかで何度も何度もシミュレーションを繰り返すのですが、ここに一番エネルギーと時間を使っているかもしれません。(藤吉憲典)


「その5」に続きます。

津屋崎祇園山笠2023。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

津屋崎祇園山笠2023。

4年ぶりの津屋崎祇園山笠が、無事終了いたしました。中学生だった子どもたちは高校生になり、という年月。久しぶりにいろいろな人と顔を合わせることが出来て、やっぱりお祭りは良いなぁ、とつくづく思った二日間でした。

まず7月15日(土)は夕方から「裸参り」。前夜祭とでもいいましょうか。氏神様の波折神社を出発して約7キkmの道のりを、提灯をもって走ります。これがなかなか見ごたえあり…とはいっても、わたし自身はごりょんさん仕事でほとんど見ることが出来ないのですが。毎回あとから人に話を聞いたり、写真で楽しむ感じです。そして今年は、津屋崎のユーチューバー・Toru君が全ルート動画を撮ってくれました!

Toru君の動画チャンネル「ツヤツヤ津屋崎」にさっそくアップされています。聞けば、裸参りを追っかけ、21時過ぎに戻ってきてから、夜中までかかって編集したとか。裸参りでは2時間半近く走ってくるのですが、約20分にまとめられていますので、ぜひご覧になってみてくださいね。

そして7月16日(日)は、本番の「追い山」。こちらもわたし自身は全体を見ることはできませんが、「お宮出し」と呼ばれるスタートの様子を生で見ることが出来たので、良かったです。今年は岡流が一番、北流が二番、我が新町流は三番山でした。下の写真は、新町流れがお宮を出発してすぐのところ。「見送り」と呼ばれる後ろからのショットです。

津屋崎祇園山笠2023

快晴に恵まれ、熱中症に気を配りながらも、怪我人を出すことなく無事に終了したことが、なによりの喜びでした。追い山の様子も、じきにToru君がYouTube「ツヤツヤ津屋崎」にアップしてくれることでしょう。またこちらでもご紹介いたしますね。

読書『長谷園「かまどさん」で毎日レシピ』(河出書房新社)サルボ恭子著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『長谷園「かまどさん」で毎日レシピ』(河出書房新社)サルボ恭子著

久しぶりに料理本。

本書タイトルにある「かまどさん」というのは、伊賀焼の窯元・長谷園さんが作っている土鍋だそうです。わたしは商品名ずばりのかまどさんは使っていませんが、毎日のご飯は土鍋で炊いています。水炊きやちゃんこ鍋などのいわゆる「鍋料理」以外に土鍋を使うようになってから、たぶん20年ほど。現在は、ご飯用と煮込み用2種類の土鍋を、ふだんの料理で使っています。

わたしが使っている土鍋は、ネットショップで買ったこともあれば、近所のホームセンターで買ったこともあり、いわばどこででも売っているようなもの。「○○焼」あるいは「○○窯」などのブランドには、まったくこだわっておりません。もちろん購入時にどこが作っているものか、どんな作りになっているか、商品のチェックはしますが、「変なものじゃないといいな」というくらいのもの。特別なものは使っていなくても、土鍋で炊いたご飯の美味しさ手軽さを知ってからは、もう電気炊飯器には戻れませんし、煮込み料理での使い勝手の良さも、土鍋が手放せない理由になっています。

ということで、本書のタイトルは「かまどさん」ですが、広く土鍋料理ということで手に取りました。

基本の白ご飯、お粥、玄米の炊き方にはじまり、各種炊き込みご飯の作り方、煮込み料理をはじめとした土鍋で作るおかずのレシピなど、土鍋の活用法がたくさんで、ワクワクしました。わたしの土鍋歴はそこそこ長いと思っていましたが、ぜんぜん使いこなせていませんでした。メインの料理レシピのほか、ちょっとした工夫も載っていて役立ちます。わたしは特に「ご飯を炊きながらゆで卵を同時につくる」の提案に感心しました。近年読んだ料理本のなかで、かなり好感度高い本となりました。

著者のサルボ恭子さんは、料理研究家だそうで、わたしは本書で初めてお名前を知りました。こうして道具の作り手さんと組んだ料理本を出すあたり、とても戦略的ですね。わたしなどは、自分が持っている土鍋を活用する方法として本書がとっても役立ちましたが、「この道具でこれを作れますよ」という提案だからこそ、実際に生かせると感じる方もいらっしゃるのだろうと思います。と思って巻末の著者紹介を読んでいたら、どうやら「ストウブ」によるレシピ本も売れている様子。

図書館で借りてきた本でしたが、これは手元に欲しい一冊です。