読書『読書大全』(日経BP)堀内勉、を読み直し。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『読書大全』(日経BP)堀内勉、を読み直し。

2022年読書記録一発目は、昨年読んだ本の読み直しから。ブログに「読書『読書大全 世界のビジネスリーダーが読んでいる 経済・哲学・歴史・科学200冊』(日経BP)堀内勉著」をアップしているのが12月15日ですから、まだひと月経っていませんでした。今回は、今年読みたい本を本書中からピックアップする目的です。上の写真は巻末に載っている《人類の歴史に残る300冊》リストの一頁。

以下、読みたい本リスト。


資本主義/経済/経営
  • 『経済学は人びとを幸福にできるか』宇沢弘文
  • 『現代の経営』ピーター・ドラッカー
  • 『貧困のない世界を創る』ムハマド・ユヌス
  • 『LIFE SHIFT』リンダ・グラットン/アンドリュー・スコット
  • 『モラル・エコノミー』サミュエル・ボウルズ
  • 『良き社会のための経済学』ジャン・ティロール
宗教/哲学/思想
  • 『ギルガメッシュ叙事詩』作者不詳
  • 『ヴェーダ』作者不詳
  • 『イーリアス』『オデュッセイア』ホメロス
  • 『ソクラテスの弁明』プラトン
  • 『ニコマコス倫理学』アリストテレス
  • 『語録 要録』エピクテトス
  • 『中論』龍樹
  • 『正法眼蔵』道元
  • 『方法序説』ルネ・デカルト
  • 『判断力批判』イマヌエル・カント
  • 『ツァラトゥストラはこう言った』フリードリヒ・ニーチェ
  • 『善の研究』西田幾多郎
  • 『存在と時間』マルティン・ハイデッガー
  • 『ポスト・モダンの条件』ジャン=フランソワ・リオタール
  • 『これからの正義の話をしよう』マイケル・サンデル
国家/政治/社会
  • 『孫子』孫武
  • 『君主論』ニッコロ・マキャベリ
  • 『法の精神』シャルル・ド・モンテスキュー
  • 『ひとはなぜ戦争をするのか』アルベルト・アインシュタイン/ジークムント・フロイト
歴史/文明/人類
  • 『文明の衝突』サミュエル・ハンチントン
  • 『人口減少社会のデザイン』広井良典
自然/科学
  • 『生物から見た世界』ヤーコプ・フォン・ユクスキュル
  • 『沈黙の春』レイチェル・カーソン
人生/教育/芸術
  • 『レオナルド・ダ・ヴィンチの手記』レオナルド・ダ・ヴィンチ
  • 『エミール』ジャン=ジャック・ルソー
  • 『自助論』サミュエル・スマイルズ
  • 『大学教育について』ジョン・スチュアート・ミル
  • 『民衆の芸術』ウィリアム・モリス
  • 『幸福論』アラン
  • 『夜と霧』ヴィクトール・フランクル
  • 『美術の物語』エルンスト・H・ゴンブリッジ
日本論
  • 『古事記』稗田阿礼/太安万侶
  • 『日本書紀』舎人親王
  • 『代表的日本人』内村鑑三
  • 『禅と日本文化』鈴木大拙

『読書大全』(日経BP)堀内勉より


計42冊をピックアップ。分野により冊数の多い少ないがあるのは、今の自分の関心のありかを物語っていると思います。既に読んだことのある本も何冊か含まれています。このリスト以外の本もたくさん手に取ると思うので、こればかり読むのではありませんが、年末までにこのなかから何冊読み進むものか、楽しみです。

本書の帯裏面に書いてある『重大な選択を迫られたとき、危機的な状況に陥ったとき、人生の岐路に立たされたとき……真の読書体験が、正解のない問いに答えるための「一筋の光明」となる。』は、きっとそうに違いないと思います。具体的にどの本に書いてあった何が解決に導く、ということでは無いものの、「答えを出す自分」を支える芯を強くしなやかにするのに、読書が役に立つことは間違いないと信じています。

今年もワクワク読書スタートです♪

書き初め2022は「威風堂々」。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

書き初め2022は「威風堂々」。

意味は「威厳があって堂々としているさま」(Weblio辞書より)。毎年「書き初めに何を書くか」を考えるのも楽しい作業なのですが、今年は考えるより先に頭のなかに音が流れてきましたので、即決。初めに音ありきでしたので、わたし自身がこの言葉に込める意味は、特にありませんでした。

昨年一年間は、書道のお稽古をほとんどしていませんでした。「風」の字が苦手なんだよなぁと思いつつ、まあ書き初めですから勢いで良しということで。でも今年は書道部@花祭窯を復活しようと決意いたしました。

2022書き初め

イギリスの作曲家エドワード・エルガー作曲の行進曲のタイトルです。原題は「Pomp and Circumstance March No 1, ‘Land of Hope and Glory’」ですので、直訳すると前半部分は「華やかな、そして、儀式ばった」とでもいうところでしょうか。威風堂々とは、よく訳したものだなぁ、と思います。後半部分は「希望と栄光の地」で、英国の第二の国歌とも言われているそうですね。

さて今年の書き初めも、昨年に引き続き1時間ごとの予約定員制で、ふだんからよく顔を合わせているご近所さん中心に声をかけました。10時のスタートから最終は16時台まで、今年も20名以上の皆さんに、書き初めをしていただくことができました。一緒に書く人数が少ないと、ワイワイとした賑やかさは無いものの、集中しやすい環境にはなりそうです。これはこれで良いかもね♪とは、書道の先生を務めるダンナの弁。

皆さん書き初めで書いたものを、ご自宅や仕事場に飾って一年間を過ごしてくださっているようで、それがとっても嬉しいです。わたしも仕事デスク前にペタリ。顔を上げればいつでも「威風堂々」の文字が目に入ります。いつどこにあっても謙虚に淡々と、結果として威風堂々たる佇まいが身に付くといいな♪と思いつつ。

2022年仕事始め。本年もよろしくお願い申し上げます!

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2022年仕事始め。本年もよろしくお願い申し上げます!

旧年中は、たくさんの皆さまに、たいへんお世話になりました。ほんとうにありがとうございました。花祭窯は本日が仕事始めです。本年もよろしくお願い申し上げます!

2年ぶりに「車窓から初日の出♪」で、お正月を迎えました。長崎本線特急かもめ車内から、花祭窯創業地の最寄り駅「肥前山口駅」でのご来光。偶然ではありましたが、素晴らしい場所・タイミングで初日の出を拝むことができました。津屋崎に移転するまでの15年間は、どこへ行くにもこの駅からスタートしていたのです。

今年も家族揃ってお正月の景色を迎えることができたことに感謝です。

玄関先にはダンナが投げ込み。
鏡餅
お仕事デスクにも鏡餅。
ご近所さんからお正月用に蝋梅をいただき、花生け完了。
床の間には「暫」と鏡餅。
年中活躍の市松の花入れは、お正月が良く似合います。

この6月に花祭窯は25周年を迎えます。最高のスタートを切ることができました。今年も一年間面白く頑張ります!

2021年ふじゆり的読書ベスト5。

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2021年ふじゆり的読書ベスト5。

恒例の「年間読書ベスト5」2021年版。ベスト5を出すにあたりブログの読書記録を見返すのですが「この本読んだの今年だったんだ!」なんてものも多々あります。ブログに残していないものもありますので、それらも含め、今年もまあまあたくさん本を読むことができたと思います。読書時間を確保できるのは、わたしにとって幸せなことです♪

まずは10冊をピックアップしました。そのなかから選りに選った5冊、いえ6冊になりました。順位をつけるのは、今回ちょっと難しかったです。5位に2冊入れちゃいました。また別のタイミングで選んだら、違った順位や顔ぶれになっているかもしれません。それだけ自分にとって「良い読書体験」が多かったということですね。

上の写真は年間ベスト5には入りませんでしたがインパクトの大きかった小説『ボーン・クロックス』の中表紙。2021年の読書第一冊目でした。


第1位 『アートのなかでかくれんぼ1 ルーブル美術館でさがせ!』(フレーベル館)ニコラス・ピロー作/木村泰司日本語版監修

名画に隠れた名作を探す絵本。既刊3冊の第一弾は、ルーブル美術館蔵のヒッポ(Hippo=カバ)を探せ!。続く2作は、オルセー美術館バージョンで「ポンポンのシロクマを探せ!」。子どもから大人まで楽しめます。

第2位 『グレゴワールと老書店主』(東京創元社)マルク・ロジェ著、藤田真利子訳

アフリカ生まれの著者がフランスから届けてくれた本。青年と老人の「本の音読」を通じた交流の物語。朗読の持つ力が伝わってくる物語です。この本を読んで、ぼんやりと考えていた「音読をきちんと学ぼぶ」にとりかかろうと思いました。

第3位 『創造思考-起業とイノベーションを成功させる方法はミュージシャンに学べ』(東洋経済新報社)パノス・A・パノイ、R・マイケル・ヘンドリックス著 大田黒奉之訳

「個人の充足感の追求」が社会へ好循環を生む、という希望的な結論を導き出した『Dark Horse 好きなことだけで生きる人が成功する時代』と同じ方向性を感じる本で、両方読むのがおススメです。

第4位 『忘却についての一般論』(白水社)ジョゼ・エドゥアルド・アグアルーザ/木下眞穂訳

本・文字を読むこと、言葉を生み出し書き残すことが、極限状態においてどれほど生きる糧となるか。「お話」や「歌」が、いかに人を安心させ勇気づける力を持つか。深く考えさせられる小説です。

第5位 『起業の天才!江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男』(東洋経済新報社)大西康之 著

個人的なことながら、リクルート社への関心が、江副さんという創業者に対する熱狂ではなく、リクルートの仕組み(社風・考え方・文化)に対する共感であることが判明したという点で、わたしにとって大事な本となりました。

第5位 『日本の美意識で世界初に挑む』(ダイヤモンド社)細尾真孝著

伝統工芸・アート・デザイン…わたしが四半世紀テーマにしてきているところを、書いてくださっている本でした。考え方の重なるところが多々あり、読みながら頷くこと多数。とても励まされる一冊でした。

結果を見れば、絵本、小説、論考、ルポ、ビジネス書…バランスよく入りました。来年もどんな本との出会いがあるか、楽しみです。まずは年末年始用に調達した本の読書から。

台所仕事は脳に効く!?

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台所仕事は脳に効く!?

息子がテレビドラマ『99.9-刑事専門弁護士-』にハマっています。松本潤主演のTBSドラマでしたが、近々映画が公開されるということで、シーズン1・シーズン2と復習中のようです。わたしもついつい一緒になって覗き見ると、細かいところに小芝居が入っていて面白く(マギーと片桐仁が効いてます)、ストーリーそっちのけで笑えます。

そのドラマのなかに、毎回必ず含まれるシーンがあります。弁護士である松本潤が、居酒屋の厨房で料理を作りながら頭のなかで案件の情報整理をし、ちょっとしたきっかけがあって解決の糸口をつかむ、という流れ。このシーンを見るたびに、家での毎日のご飯作りって、これに近いものがあるよなぁと思います。

何が「これに近い」のかというと、料理をしている最中に頭のなかでは別のことを考えていること。そして、終わったときに「解決」とまでは言えないまでも、頭のなかの整理整頓が結構できていることです。毎日の食事作りのときって、何を作るかさえ決めてしまえば、あとはほとんど無意識に手が動いているようなところがあります。

もっといえば、料理を作るときだけでなく、仕込みや後片付け皿洗いなども、手を動かしながら頭は別のことを考えていることがほとんどです。わたしの場合は「頭のなかは仕事」のことが多いのですが、行動レベルでは仕事から離れているため、なんとなくリフレッシュになるのが面白いところ。キッチン横に仕事机を置いているので、パソコン仕事に煮詰まったら、立ち上がって台所仕事をしています。

煮詰まったときはいったん離れて別のことをするといい、とは仕事の場面でよく言われることですが、その「別のこと」として、料理をはじめとした台所仕事は最適のような気がします。ドラマのシーンを見ながら、そんなところに共感していたのでした。

なにごとも「分析の前に観察」が大切なのだと気づく。

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なにごとも「分析の前に観察」が大切なのだと気づく。

映画『ラ・ラ・ランド』のオープニングである約3分間のミュージカルシーンについて、評論家だったり文筆家であったりする岡田斗司夫氏が解説しているYouTube動画を、拝見。動画のタイトル「OTAKING explains “LA LA LAND”」のとおり、映画評論というよりは好きな人が趣味で説明している感満載の、熱い解説でした。

わたしは『ラ・ラ・ランド』は映画館で観ました。オープニングシーンの満足度があまりにも高くて、ストーリーがはじまる前に、もうこれで映画館出てもいいかもと感じたのを思い出しました。まるでエンディングのような3分間だったのです。その3分間を徹底解説するというのですから、興味が湧かないはずがありません。

その 「OTAKING explains “LA LA LAND”」 で、冒頭に岡田氏がおっしゃっていたのが「分析するより先に、観察した方がいいんです」ということ。理由は、先に分析してしまうと、その分析を補完するための観察になってしまうから。自分の仮定した分析を正当化する方向で観察してしまうのですね。ご本人を含め評論や批評を仕事にしている人にありがちな、良くない傾向なのだとおっしゃっていました。

その岡田氏の言葉を聞いて思い出したのが、以前読んだ本『知覚力を磨く 絵画を観察するように世界を見る技法』(ダイヤモンド社)。この本では、思考の前提となる認知=知覚の重要性が説かれていました。まずは「純粋によく見る」ことが、その後の思考を支えるため、鑑賞力(見る力)を鍛えることが大切であると。絵画鑑賞でも、映画鑑賞でも、日常生活の意思決定の場面でも、「よく見る」から始まるのだなぁと、あらためて思いました。上の写真はその本の目次ページ。

岡田氏の「ラ・ラ・ランド」観察力は、対象への興味であるとともに、「なぜ自分はこれにそんなに惹かれるのか」という自分自身への探求でもありました。映画を観たときの感動は、楽しかった・悲しかったなどの単純な感情だけではなく、ふだんは表に出てこない、自分のなかの「何か」が反応しているということ。じっくり観察していくことで、自分の心の奥底にしまい込んでいたものを発見することができます。美術鑑賞(対話型美術鑑賞法)とまったく同じプロセスであり、思いがけず勉強になりました。それにしてもその観察方法の徹底ぶりに、大笑いしつつ脱帽しました。

「OTAKING explains “LA LA LAND”」 は1時間近い動画でした。ふだんユーチューブで見るのは15分が限界のわたしですが、面白く拝見しました。興味のある方はYouTubeで検索してみてくださいね^^

花祭窯の12月の庭。

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花祭窯の12月の庭。

2021年も残すところ1週間。福岡地方、明日の天気予報には雪マークが並び、年末らしい雰囲気が増してきました。露地の枯れた草や枝を掃除しなきゃと思いながら、まだ手が付けられずにいます。毎年末大掃除の目玉は、露地掃除とガラス窓拭き。今年もギリギリになりそうです。

↓すべての写真はクリックすると拡大を見ることができます↓

花祭窯の露地

まず目をひくのは、サザンカの花弁の絨毯。

花祭窯の露地

水仙がグーンと伸びてきました。つぼみがついているのが見えるでしょうか。

花祭窯の露地

上を見上げると、こんなふう。

花祭窯の露地

南天の赤い実がこんなにしっかりついたのは、数年ぶりのことです。

花祭窯の露地

お茶室も掃除しなければ。

花祭窯の露地

11月下旬に仕込んだ干し柿もいい感じに育ってきました。

梅もどき

玄関には、ご近所さんからおすそ分けいただいたウメモドキ。

小さな露地ではありますが、季節ごとの顔を持っています。毎日少しづつの変化を感じるのが、とても楽しいのです。

「肥前磁器作家の仕事」を取り巻く仕事。の、後日録。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

「肥前磁器作家の仕事」を取り巻く仕事。の、後日録。

いつもお世話になっている陶土屋さん=渕野陶磁器原料さんから、毎月「ニュースレター」が郵便で届きます。毎回一番楽しみにしているのは「会長さんの昔話」で、渕野陶土さんの現会長が陶土屋さんの歴史を語るコーナー。これを読むと、佐賀肥前地域の磁器産業を支える陶土業界がどのように変遷してきたか、技術進化の推移や、そのときどきでのご苦労を知ることができます。もう25年も磁器の仕事をしているのに知らなかったことばかりで、これまでの勉強不足を反省する機会にもなっています。

さてその最新号=上の写真がつい先日手元に届き、びっくり。巻頭に大きく「磁器作家藤吉憲典の挑戦」展覧会を紹介してくださっていました。福岡アジア美術館での展覧会に、渕野社長が佐賀から駆けつけてくださったのは、11月14日のこと。本展覧会では 「肥前磁器作家の仕事」を取り巻く仕事を紹介しようと、ふだんからお世話になっているお取引先の皆さんに資料提供をお願いして、展示コーナーを作っておりました。

喜んでくださったご様子を拝見し、そのときも「展示をやってよかった!」とホッとしたのでした。今回あらためてこのように記事にしてくださったのを拝見し、その思いを再確認。よくよく花祭窯は、お取引先の皆さんに恵まれています。ほんとうにありがたいことです。

渕野陶磁器原料さんのニュースレター「ジキよまんば」バックナンバーは、サイトでもご覧いただくことができます。また渕野陶磁器原料さんの扱うものは、ネット通販でも購入できます。全国各地だけでなく海外にまでも原料を発送しておられます。プロはもちろん趣味の陶芸でのご利用にも対応なさっていますので、興味のある方はぜひ覗いてみてくださいね。

↓福岡アジア美術館での展覧会についての記事は、下記から辿ることができます↓

古伊万里の変遷と未来 古典からアートへ 磁器作家藤吉憲典の挑戦 @福岡アジア美術館

陶板(レリーフ)に額縁、第一弾が完成。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

陶板(レリーフ)に額縁、第一弾が完成。

「久しぶりの額縁やさん。」とブログを上げていたのは、十二月の初旬のことでした。「出来上がりました」のお電話をいただき、ワクワクしながら再び額縁屋さんへ。この2週間「待つ楽しさ」を存分に味わいました。上の写真が、その出来上がり^^

思った以上にしっくりと馴染んだ仕上がりで、大満足です。選ぶときは、部分的に額縁のサンプルをあてて、出来上がりをイメージします。全体を囲んだ姿を見ることはできません。額縁をつけることでシマウマの躍動感が損なわれないように、と思っていましたが、杞憂でした。むしろその先への広がりを感じる仕上がりとなり、ニンマリ。色合い、質感、幅…この額縁だからこそ、の仕上がりです。

縞馬陶板 藤吉憲典

↑これが、↓こんなふうに。

藤吉憲典 縞馬陶板

通常絵画などを入れる場合は、ガラス(アクリル)をかぶせますが、陶板の半立体を直接ご覧いただきたかったので、かぶせていません。「縁」のみです。縁をつけることで、より立体感を感じる仕上がりとなり、それは当初のイメージ以上の効果でした。写真では伝わりにくい所でもありますので、興味のある方はぜひ花祭窯にお越しになって実物をご覧くださいね。

額縁に入ると、壁にかけたくなりますね。とりあえず写真を撮りたくて掛けてみましたが、飾る場所と飾り方をどう選ぶかも課題です。花祭窯のギャラリースペースの「白壁」は漆喰なので、鋲を打ち込むのは難しく。どこに何を使えば良い感じにピッタリはまるか、展示のテクニックもちょっと考えたいところです。

こうして一つ、仕上がりが目に見えたことで、俄然面白くなってきました。実はもうひとつ、縞馬陶板の額装を進めています。こちらは藤吉憲典のアート作品を扱ってくださるインポートインテリア・ドーノさんにお願いしています。インテリアアートを提唱するオーナー上田桐子さんのセレクトを圧倒的に信頼しており、全面的にお任せしています。まったく違う雰囲気のものが出来上がってくるのは確実で、とっても楽しみです。

「暫(しばらく)」がやってきた♪

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

「暫(しばらく)」がやってきた♪

来年度以降に向けて、花祭窯(=磁器作家・藤吉憲典)としての新たな挑戦をいろいろと考えています。この11~12月と、そのための情報集め・資料集めと、「お試し」を実践していく期間となっています。明確に意図したわけではなく機会が次々やってきているので、きっとそんなタイミングなのでしょう。

さて「暫」は歌舞伎の演目です。知識がありませんでしたので、ウェブサイト「歌舞伎演目案内」で解説を拝読しました。豪快痛快な勧善懲悪もので、見せ場に「元禄見得」を切るとのこと。このたび我が家にやってきたのは、その浮世絵版画です。古典の浮世絵を現代に復刻したコレクションのひとつ。絵師は、江戸の浮世絵ブーム後期を風靡したという歌川派の歌川国政。役者絵のなかでも「大首画」と呼ばれる「首から上の半身像(胸像)」を描くのを得意としたそうで、我が家にやってきた「暫」も、その大首画。幾何学的な構図と大胆な配色が華やかです。

さっそく床の間に飾ってみると、華やかでありながら落ち着きを感じました。版画ゆえの質感と発色が、全体をやさしく調和させています。技術・色彩感覚の確かさに加え、紙にはオリジナルと同様手漉き和紙を使い、絵具もオリジナルに近い顔料を使用するといった制作工程によるものでしょう。もっと大きなサイズでもよかったかも、と思いました。

実寸は測ればわかりますし、お店(ギャラリー)で実物を見ることもできますが、実際に飾る場所に掲げてみて初めて、そのサイズ感を体感します。実寸より大きく感じたり小さく感じたり、背景(空間)の色によって派手に見えたり地味に見えたり。飾る場所により印象が変わるのも、アートを自分の空間に取り入れる面白さのひとつだと思います。

復刻版画を手掛けたのは、新宿にあるアダチ版画研究所さん。その名も「アダチ版復刻浮世絵木版画」。日本の伝統美術である木版の技術保存、技術者育成をなさっている版画やさんです。上の写真は、アダチ版画研究所の木版解説資料。版画と一緒に届きました。木版についての解説と、題材である「暫」についての解説と、ともに英語表記が併記されており、国内はもとより世界に向けての文化発信の熱意を感じました。

伝統木版は江戸時代から約300年の歴史であるいうことを、今回初めて知りました。日本の磁器の歴史が江戸初めからの約400年ですから、100年ほどの違いはあれど、ともに江戸の文化を体現し、背負って来たものなのですね。特に浮世絵版画は、江戸の庶民文化・流行を色濃く反映したものなのだと思います。肥前磁器が大量生産されるようになったころと重なるのだな、などと思いつつ。蕎麦猪口の文様にも江戸文化の流行は多様に反映されています。俄然親しみがわいてきました。

花祭窯は小さい事業ながら、特にここ10年ほどは毎年「ガチャンガチャンと音を立てて変わっていく」ものがあります。内側からの変化と、外の変化への対応と。そんななかで、今回到着した浮世絵版画。これからの事業に向けて、たくさんのヒントが詰まっていそうです。座敷に行っては床の間を眺め、ニヤニヤしております。