読書『水木しげるのラバウル戦記』(ちくま文庫)水木しげる

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『水木しげるのラバウル戦記』(ちくま文庫)水木しげる

ご存じ「ゲゲゲの鬼太郎」の水木しげる先生の戦記物。水木しげるさんが戦争で南方に行かれたこと、そこで片腕を失ったこと、『ラバウル戦記』はじめ戦争に関するものをいくつか書いて(描いて)いること。知ってはいたものの、ちゃんと読んだのは今回が初めてでした。

淡々と書かれているからこそ、考えさせられました。さまざまな不条理に対する水木二等兵の素朴な感想を読むほどに、状況に惑わされずものごとをそのまま見ることのできる人の強さを感じました。特に心に残ったのが「植物や石は平穏に暮らしているのに、なんで人間だけがのたうちまわらねばならんのだろうと思った。」の一文。ほんとうに、なんで人間だけが、と思います。

それにしても、現地でのスケッチをたくさん持って帰ってくることができたというのも、奇跡的に感じます。本書をテーマとした展覧会があってもよいだろうなぁと思いつつ。

福岡アジアビジネスセンター「令和3年度海外ビジネススキルの学習と実践による海外展開支援事業」に参加しています。

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福岡アジアビジネスセンター「令和3年度海外ビジネススキルの学習と実践による海外展開支援事業」に参加しています。

海外に渡航できないときこそ、海外ビジネスの基礎体力を上げておこう!ということで、参加申し込み。2021年9月から月1回開催で2022年2月までの6回。半年かけての取り組みです。1回の講座は2時間ですから、学習時間自体は長時間というわけではありませんが、半年と考えると長いスパンです。参加するからには、半年後に一つでも二つでも、実質的な成果(=商談成立)を得たい!と考えてのエントリーでした。

この事業の最大のウリは、海外ビジネススキルの学習だけでなく、学んだことを実践しながら具体的な成果=商談成立を目指すところ。BtoBの商談プラットフォームを活用することにより、商社などの輸出業者任せではなく、誰でも自社で海外取引を広げていくことができますよ!といううたい文句です。

先日第4回目までが終わりました。6回のうちの4回目ですから、3分の2が終了したところです。海外営業に必要な資料とその理由を学び、実際に自社仕様の資料を作成していくところまで進みました。既に海外取引をスタートしている事業者にとっては、新しい学びではありませんでしたが、おさらい・見直しの機会となりました。わたし自身、資料作成を通して、あらためて文字にして書き出すことで、頭の中の整理整頓ができました。

ただ本音を言えば、その先、つまり実際にBtoBのプレゼンテーションを行っていくことを期待しての参加でしたので、現段階でまだその兆しが見えないのは、少々時間がかかり過ぎな感じです。現実的に考えて、あと2回(=2か月)のうちに商談成立に到達するには、余程のラッキーな出会いが必要でしょう。

ということで、当初目論見のように半年の事業期間内に「学習+実践」とうまくいくかどうかは、かなり怪しくなって参りましたので、勝手に最終目標を変更することに(笑)。おかげさまで海外進出に必要な資料をアップデートすることができましたので、これを大きな成果ととらえ、あらためて独自に海外営業に取り組むことにいたします。うん、結局は自分で動くのが一番ですね。

研修自体は年明けにあと2回が残っています。この2回で学べることを、一つでも多くゲットしていきたいと思います^^

2021年度学芸員研修「博物館リンクワーカー人材養成講座」第6回。

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2021年度学芸員研修「博物館リンクワーカー人材養成講座」第6回。

2021年度学芸員研修の6回連続講座の最終回でした。第1回目からの報告は下記の通り。

最終回は、福岡市美術館から「アート活動で高齢者と美術館をつなぐ」と題した発表があり、その後グループに分かれての意見交換。多様な立場の皆さんのお話を伺うことで、気づかされ、励まされました。

以下備忘。


  • 例えば「梅と桜」のように、わかりやすく普遍的なテーマ設定ができれば、いろいろな作品が鑑賞法(回想法を含む)の題材となりえる。
  • 肝はテーマ設定。「どの資料を使うか」よりも「何をテーマとするか」。
  • ギャラリートーク(解説・対話型など)→ブレイクタイム(お茶・おしゃべり)→簡単な制作→制作物を自分に届ける。
  • 制作物を後日(1日後、1週間後、1か月後、1年後など)自分に届ける=今やっていることを未来(の楽しみ)につなげる。
  • どこでも美術館=アウトリーチ。
  • 子ども(学校)向けだけでなく、高齢者(施設)向け、そのほかすべての「美術館に来にくい、来れない人」へ。
  • レプリカ、持ち出し用の(持ち出し可能な)ほんもの。
  • 認知症対応マナー研修。
  • 美術館・博物館→社会教育施設→生涯学習拠点。
  • 文化施設=いかにして社会的に頼られる存在になれるか、その使命。
  • 実物(ほんもの)+オンライン。
  • そのプログラムは、自分が参加して楽しいと思えるプログラムか。自分が作ったプログラムに、将来的に自分が参加することを想定して考える。

アートエデュケーターとしての取り組みに今後取り入れていきたいことが、具体的たくさん出てきた全6回の研修でした。すぐにできること、長期的に周りに働きかけるべきこと、来年度以降に取り入れていけるもの。九州産業大学の緒方先生が中心となって開催してくださる学芸員の研修事業は、学究的である以上に実践的であることが、毎回特徴的です。今年もとても勉強になりました。ありがとうございました!

商工会で情報集め。

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商工会で情報集め。

久しぶりに商工会へ。花祭窯がお世話になっているのは、福津市商工会。商工会員向けに無料の税務相談があるので、時々思い出したようにお世話になります。危急の案件ではないけれど気になっていること、機会があれば確認したいと思っていることを、気持ちと時間に少し余裕があるときに片づけるのに、最適です。「無料だし、今のうちにちょっと聞いておこうか」という感じ。ありがたいサービスです。

今回ご案内いただいたのは、令和5年10月から導入される「インボイス制度」について税理士さんが解説しますよ、というもの。概要を伺ってきました。1年半先の話ではありますが、一度こうしてお話を聞いておくと、自分自身のアンテナの立ち方が変わってきます。それから、せっかく税理士さんに直接お話を聴けるの機会でしたので、年明けから施行される「電子帳簿保存法」についても概要を確認。よく考えてみたら、こちらの方が時期的には差し迫っていました(笑)

1社30分という短時間であり、いずれもこれから施行される内容でしたので、ざっくり概要を伺う程度となりましたが、マンツーマンでしたので「うちの場合は?」の気になるポイントを確認することができました。ネットを開けば税務署からの情報も見ることができますし、会計事務所さんなどが出している情報もあります。でも面と向かってお話を聞くことで、会話のなかから新たに気づくこともありますね。足を運んでよかったです。

郷育カレッジ講座受講報告「学ぼう!スペイン」。

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郷育カレッジ講座受講報告「学ぼう!スペイン」。

福津市民のための生涯学習システム「郷育カレッジ」。来年で20周年を迎える郷育カレッジの人気講座のひとつに「多文化交流会グラスルーツ」がコーディネートする国際講座があります。 多文化交流会グラスルーツ では、福津市内や近郊にお住いの外国人の方に、ボランティアで日本語教室を開いており、文字通り多文化の方々が交流する拠点となっています。

毎年、その日本語教室に参加なさっている外国人の方に母国の文化を紹介していただく講座を、郷育カレッジで開催しています。担当の国(=講師を担当してくださる方)は年ごとに変わり、国際色豊か。実際にそこで暮らしてきた方から文化を学べるとあって、毎年受講者は抽選になる人気講座です。わたしも毎回申し込みをしていますが、今年やっと当たりました!

今年は「スペイン」。国の歴史、民族・宗教観、主要産業、食習慣、世界遺産、美術…60分のなかで、概要をコンパクトに解説してくださいました。ユーモアを交えた語り口で(日本語で!)、とてもわかりやすかったです。特に、歴史の流れと民族や宗教についての概略は、これまで本を読んでもあまりよくわからなかったことが、すとんと腑に落ちました。言葉で説明していただくことで、途端に理解できることがありますね。これはとても不思議で嬉しい体験でした。質問タイムを30分とってありましたが、時間いっぱいまで盛り上がりました。

ところでこの講座は、すべて日本語で進行します。講師を担当してくださる方は、この日のために日本語でのプレゼンテーションを特訓するということでしたが、それにしても流暢で、すごいなぁと思いました。また彼らの日本語習得をボランティアでサポートしている「多文化交流会グラスルーツ」の方々の熱意にも頭が下がりました。

スペインはまだ行ったことがありません。俄然行きたくなってきました^^

読書『読書大全 世界のビジネスリーダーが読んでいる 経済・哲学・歴史・科学200冊』(日経BP)堀内勉著

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読書『読書大全 世界のビジネスリーダーが読んでいる 経済・哲学・歴史・科学200冊』(日経BP)堀内勉著

先日の読書『取材・執筆・推敲 書く人の教科書』(ダイヤモンド社)に引き続き、今回も分厚いです。486ページ。師走に入り、仕事も立てこみ気忙しいさなか、時間を見つけて黙々と読んでいます。昨日アップした『日本の美意識で世界初に挑む』(ダイヤモンド社)もそうでしたが、2021年も最終月になってなお、この年のベスト本候補との出会いが続々。なんともありがたく幸せなことです。

さて 『読書大全 世界のビジネスリーダーが読んでいる 経済・哲学・歴史・科学200冊』 、タイトルが長いですね(笑)。個人的には「世界のビジネスリーダーが読んでいる」という部分は不要だったのではないかと思います。なぜなら、もっと普遍的に、読みたい本、おススメしたい本のオンパレードでしたので。

古今東西の200冊が紹介されている第2部が保存版であるのはもちろん、個人的にはその前にある「はじめに」と「第1部」の読みごたえに唸りました。「はじめに」では著者自身のことが語られているのですが、読書が我々に与えてくれるものについて考えさせられる場となっています。続く第1部では「人類の知の進化」と題し、「第1章宗教と神話」「第2章哲学と思想」「第3章経済と資本主義」と、それぞれの概要・歴史的流れが、わかりやすくまとめられています。かなりのボリュームですが、これらの前提があることで、第2部の選書が説得力をさらに増しています。

200冊のうち、読んだことのある本はどれくらいあるかしらと数えてみました。各分野とも、読んだことのない本が大半…。これはつまり、今後の読書の楽しみがまた増えたということです。

本書は図書館の選書ツアーでチョイスし、カメリアステージ図書館の蔵書として認められた本です。分厚くて、価格もそれなりですので、まずは一人でも多くの方が図書館で借りてみてくださるといいな、と思っています。わたし個人にとっては、借りて読むだけではなく、そばに持って置きたい本でした。というわけで、自分へのクリスマスプレゼントに購入です^^

読書『日本の美意識で世界初に挑む』(ダイヤモンド社)細尾真孝著

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読書『日本の美意識で世界初に挑む』(ダイヤモンド社)細尾真孝著

2021年度選書ツアーで蔵書に追加していただけることになった6冊のうちの1冊です。12月に入ってから、今年のベスト候補に上がりそうな本を立て続けに読んでいます。

京都は西陣織の12代目であり、国内外で伝統工芸を広める活動をなさっている著者の、初めての著書。「国内外で伝統工芸を広める活動」をしている人は、これまでにもたくさんいらっしゃいましたが、細尾さんの視野の広さ深さは、これまでの様々なアプローチとまったく違うというのが、読後の感想です。読みながら頷くこと多数。とても励まされる一冊でした。上の写真は藤吉憲典の展覧会図録で、伝統工芸・アートの担い手としての見解を書いているページ。考え方の重なるところがたくさんあります。

以下、備忘。


  • 工芸とは、上手い下手には関係なく、自らの手や身体を使って、美しいものをつくり出したいという、人間が本能的に持っている原始的な欲求に忠実であることなのです。
  • 「手で物をつくる」ことこそ人間の創造性の原点である
  • 本来、日本のものづくりは独自の美意識によって発展してきました。
  • 日本では、自然に近い状態こそが、最も美しいのです。
  • 美意識は育つ
  • 手の中に脳がある
  • 五感を総動員して体験することが、美意識を磨くことにつながる
  • 常識はすぐに変わる
  • 言葉にすれば、波紋は必ず広がっていく
  • 風呂敷は大きく、広く
  • やらなくて良いことを、やりたいからやる
  • 美意識を妥協してはいけない。
  • 対等なコラボレーション
  • 美への投資
  • 美しい物を使う/本物の美に触れる
  • 使う物に責任を持つ
  • 触れる
  • 美の型を知る/先人の美意識を身体化させる
  • 作品に対する美の気配なくして、作品を判断することはできない
  • (日本におけるアートは)鑑賞者と物が空間において調和するなかで、初めて成立
  • 美しいものを創造している人は幸せになれる
  • 自分の中に深く落とし込むためには、自らお金を払う必要がある
  • つねに日常で、仕事で、美意識を感じながら生きる
  • 創造にとって大事なのは、常に背伸びをして、挑戦を続けることで、自分の美意識を打ち破っていくこと
  • 創造の根幹は工芸にある
  • ゴシック様式には「精神の力と表現」がある/ゴシック様式の建築には、職人たちが自ら考え、手を動かした結果がある
  • 新しいルネサンス/「美意識を持った創造的活動」という原点に立ち返ること

『日本の美意識で世界初に挑む』(ダイヤモンド社) より


伝統工芸に直接携わっている方はもちろん、伝統工芸を取り巻くお仕事についている方々にも、ぜひ読んでいただきたい本です。

また、上の「備忘メモ」には書きませんでしたが、本書中に現代アートの問題点を指摘する例のひとつとして、「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」についての著者の感想・解釈が出てきます。騒動の最中からその後まで、わたしがずっと疑問に思っていたことが代弁されているような内容で、「そう!そのとおり!」とすっきりしました。少しでもアートに携わる人は、あの騒動でいろいろと考えたと思います。気になる方は、ぜひ読んでみてください。

観てきました:カメリアステージ図書館で『usao展』。

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観てきました:カメリアステージ図書館で『usao展』

つい先日、同じカメリアステージの歴史資料館で企画展『埴輪から見た津屋崎古墳群』を見てきたばかりでした。今回も、図書館に本を借りに来ての「ついで鑑賞」^^

usaoさん、存じませんでした。図書館エリアでの告知展示が可愛らしかったのと、多目的室を使ったスペースの雰囲気がとっても良かったので、引っ張られてじっくり観覧。イラスト+ことばで、漫画というか絵日記というか、を表現手段とする作家さんのようです。「夢はたくさんの人を幸せにすること」とありました。

正直なところを言えば、この手の緩い絵は、あまり好みではありません。が、図書館とのタイアップということで、その意味がしっかりと生きた素晴らしい展示になっていて、思わずしっかり見ました(読みました)。展示を担当した方の、作家さんと作品に対する愛情と敬意、一人でも多くの人に見に来て欲しいという気持ちが伝わってきました。

図書館での展示だからこそ、のひとつが、これ。

カメリアステージ図書館で『usao展』。

展示資料に関連する図書を一緒に紹介するというのは、オーソドックスな手法ではありながら、展示の仕方と本の選び方で印象が大きく変わるものでもあります。一つ一つじっくり読みたくなる展示になっていました。

カメリアステージ図書館での『usao展』は、12月26日(日)まで(※火曜休館)。お近くの方、図書館にお出かけの方は、ぜひ「ついで観覧」してみてくださいね♪

2021年度学芸員研修「博物館リンクワーカー人材養成講座」第5回。

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2021年度学芸員研修「博物館リンクワーカー人材養成講座」第5回。

2021年度学芸員研修の6回連続講座の5回目でした。「博物館リンクワーカー人材養成講座」第1~3回と、第4回目の報告は↓こちら↓。

今回は「回想法」。わたしが初めて回想法の講座を受講したのは、2018年「博物館で回想法」でのこと。今回は宮崎県総合博物館での取り組みを学びました。これは、前回の講座で同じグループだった福祉施設関係のスタッフの方が宮崎県総合博物館と連携して取り組んでおられる事例であり、継続的な取り組みが発展・進化している様子を拝見することができました。

以下、備忘。



  • 博(博物館)福(福祉)連携。
  • テーマ別回想法(座学)、コース別回想法(展示室観覧)。
  • テーマ別では、一つの題材を中心に、座ったままで回想法を展開することが可能。
  • コース別では、解説委員による解説を入れながら、展示スペースを動きながらの回想法が可能。
  • 昭和時代のモノだけでなく、さまざまな所蔵品や資料が、回想法の題材として使える。
  • 参加者それぞれの思い出話につなげ、話題を盛り上げるには、題材からどのようなテーマを決定し導くかが大切。
  • 各コースは定期的に開催。年度ごとに開催スケジュールを作成→支援団体(サービス利用団体)を公募。
  • 博物館に来れない方に向けては「貸出キット」によるアウトリーチ。
  • 貸出キットの貸出先は、福祉施設・学校・図書館等の社会教育施設が中心。
  • 現状では「貸出キット」は資料・史料のみで、人材(解説委員・学芸員)の派遣は無し。
  • 昔の道具などは参加者である高齢者の方々から用途や使い方を教えてもらうことができる=相互学習。参加者がお互いに「役に立っている」と実感できる。

宮崎県総合博物館では、取り組みのためのマニュアルがすでに出来上がっており、また毎月定例で開かれる福博連携の会議で細かく状況を共有する仕組みができているのが秀逸でした。「連携」のためには、とにかく働きかけ続けることが大事であり、そうしているなかで、志を同じくする方々とつながり、事業を推進していくことができると教えられました。

読書『取材・執筆・推敲 書く人の教科書』(ダイヤモンド社)古賀史健著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『取材・執筆・推敲 書く人の教科書』(ダイヤモンド社)古賀史健著

476ページ。分厚いです。重いです。上の写真は、思わず厚さを測ったところ(笑)。これ一冊で「ライターの教科書」に必要なものを網羅することを目指して書かれたのでしょう、内容的にもボリュームたっぷり。現役ライター、編集者、これからライターになりたい人に届くように!の想いが詰まっています。著者の古賀史健さんは、編著書累計部数1100万部を超えるライターさん。1100万部って、すごいですよね。福岡出身・九州産業大卒というプロフィールに、勝手に親しみを感じます。

「ライターとは」の定義からはじまり、「取材とは」「執筆とは」「推敲とは」と続きます。全編を通して読みとれるのは、小手先のテクニックではなく、ライターとしてあるべき態度への言及。文章術的なものはほとんどありませんので、技術論的なものをお求めの方は、別の本を選んだ方が良いかもしれません。

表紙裏に「『書くこと』で自分と世界を変えようとするすべての人たちに届くことを願っている」と著者の言葉があります。これはすなわち「書くことで自分と世界を変えることもできる」のだというメッセージでしょう。わたしも「書く力」を信じる末端の一人として、とても嬉しくなった一文でした。