STEAM教育って?

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

STEAM教育って?

「STEAM教育」なる単語が目につくようになったのは、わたしにはごく最近のことで、あまり気に留めていませんでした。が、先日読んだ『オードリー・タン デジタルとAIの未来を語る』(プレジデント社)のなかにその概要を説明する一節を見つけました。途端に興味がわいてくるのですから、我ながらなんとゲンキンなのだろうと思います。

『オードリー・タン デジタルとAIの未来を語る』によれば、S=Science(科学)、T=Technology(技術)、E=Engineering(工学)、A=Art(美術)、M=Mahtematics(数学)を総合的に学習することの重要性を説いたもの。最近はさらにD=Design(デザイン)を加えて、「STEAM+D」教育ともいわれるのだそうです。

この説明を見たときに思い浮かんだのは「リベラルアーツ」でした。リベラルアーツの起源は、自由七科「修辞学」「論理学」「文法学」「数学」「幾何学」「天文学」「音楽」からなる、幅広い内容だと言われています。日本語では「教養」とされることが多く、その「教養」がさらにさまざまに解釈されています。個人的には「リベラルアーツとは、人間の思考基盤となる基礎学問や教養」というような説明が、今のところ一番使いやすく感じています。

少々乱暴な解釈かもしれませんが、「STEAM」教育とは、デジタル時代となった現代におけるリベラルアーツなのかしら、と。「STEAM+D」教育の重要性を説明するオードリー・タン氏のことばが、とても理解しやすかったので、以下に共有しますね。


  • サイエンスやテクノロジーをイノベート(革新)していくためには、創造性が不可欠なのです。
  • 根幹は科学と技術(SとT)にあります。(中略)それはソーシャル・イノベーションの出発点となる場所であり、ここから社会は発展していくからです。
  • 科学技術では解決できない問題に対処するために美意識を養う
  • 直面した問題が非常に大きかったり、複雑だったり、たとえば気候変動のような問題に対処する場合に、サイエンスやテクノロジーのような直線的な思考だけで問題を解決することは、不可能です。
  • そうしたときに、既存の枠から飛び出すことや、創造力を発揮することが非常に重要になります。
  • プログラムをどれだけ上手に描けるかどうかは、母国語の運用能力がどれほど優れているかにかかっている
  • デジタルの時代になればなるほど、文学的素養は欠かせず、重要性を増すのです。

『オードリー・タン デジタルとAIの未来を語る』(プレジデント社)より


「STEAM+D」教育に関する情報に、これからちょっと注意を払っていきたいと思っています。

In the Summertime – Sladmore Contemporary / Sladmore Gallery

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

In the Summertime – Sladmore Contemporary / Sladmore Gallery

6月17日(木)から7月16日(金)までの一か月間、ロンドンのSladmore ContemporarySladmore Galleryで、新しい展覧会を開催しています。二つの会場を使い、ひとつのテーマで近代彫刻と現代彫刻の両方を楽しんでいただくことができる、Sladmoreならではの贅沢な展覧会です。

In the Summertime
Country life / wildlife / sporting life

「Sporting Animals」のテーマで制作の相談が来たのは今年初めのことでした。日本語にすると「狩猟で活躍する動物」とでもいうところです。今回の展覧会の電子カタログでは、藤吉憲典の作品は二つ掲載されています。

コンテンポラリーでは、所属アーティストの最新作を見ることが出来ます。毎回の展覧会オープンに合わせて電子カタログを公開するようになったのは、コロナ禍で展覧会会場にお客さまが来場ができるかどうか不確定な状態が続いた昨年から。会期中にロックダウンに入っても、ウェブ上で公開されるカタログは、どなたでも見ることができます。

もちろん購入も可能です。興味のある作品を見つけられましたら、ぜひSladmore Contemporaryにメールでお問合せくださいませ。

読書『預言者ノストラダムス 上・下』(集英社)藤本ひとみ

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『預言者ノストラダムス 上・下』(集英社)藤本ひとみ

一人で勝手に「藤本ひとみ祭り」継続中。約1か月ぶりの藤本ひとみさん。タイトルは「ノストラダムスの大予言」のノストラダムス。そういえば、ノストラダムスの名前は子どもの頃から知っているのに、「大予言」のイメージだけが独り歩きして、彼の生きた時代や地域については何も知らなかったことに思い至りました。

本書の舞台は16世紀フランス。ここまで『皇妃エリザベート』『王妃マリー・アントワネット<青春の光と影>』『王妃マリー・アントワネット<華やかな悲劇のすべて>』『アンジェリク』『ハプスブルグの宝剣』と17-18世紀ハプスブルグ家周りのストーリーが続いていましたので、それらより少し前の時代となります。読後にメディチ家、ハプスブルグ家の家系図と、ヨーロッパ地図を確認し、時代的地理的にどのあたりになるのかを確認。

さて『預言者ノストラダムス』、もちろんノストラダムスは登場し重要な役割を果たすのですが、ノストラダムスの物語というよりは、時の皇帝アンリ2世の皇妃カトリーヌ(前半でアンリ2世は亡くなるので、そこからは元皇妃)の物語でした。

国同士の争い、宮廷内での争いなど、藤本ひとみさんっぽいストーリー展開に引き込まれ、あっというまに読了。当時の宗教観(カトリックとプロテスタント)、占星術・占星術師の位置づけが、物語により深く織り込まれていたのが、既読のものと異なっていると感じました。

占星術師や預言者(予言者)の、当時の政治における役割が垣間見えました。彼らを使う側の思惑だけでなく、使われる側の思惑も当然ながらあることに、あらためて思い至り。手厚く重用されることと異端視されることが紙一重の立ち位置にあって、いかに自らの立場・命を守っていくか。例えば「預言」と「予言」は違い、その違いはとても大きいのだということも、本書内のノストラダムスのセリフによってわかりました。ノストラダムスをもっと中心に据えた物語もぜひ読んでみたいと思いました。もちろん著者は藤本ひとみさんで。

↓ちなみにアマゾンではすでに中古本のみの扱いでした。

上下巻、合わせて約700ページです^^

NHK BSプレミアム『美の壺 File543 「青と白の粋 染付の器」』撮影協力しました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

NHK BSプレミアム『美の壺 File543 「青と白の粋 染付の器」』撮影協力しました。

ひと月ほど前に「たま~にメディア取材。」のタイトルでブログを書いていましたが、ようやく情報解禁となりました。NHK BSプレミアム『美の壺 File543 「青と白の粋 染付の器」』に、藤吉憲典がちょっぴり登場いたします。

テーマはずばり「染付の器」。三段構成(一の壺、二の壺、三の壺)の「三の壺」で「文様」をクローズアップすることになっているということで、そのなかで登場する予定です。時間にして5-6分と聞いています。撮影はほぼ一日半かかりましたが、それがどんなふうにまとまっているのかは、わかりません(笑)。ともあれ肥前磁器の魅力、染付の魅力が伝わるといいな、と思いつつ。


美の壺 File543 「青と白の粋 染付の器」

< BSプレミアム/BS4K>
本放送: 7月 2日(金)19:30~20:00
再放送: 7月10日(土) 6:45〜 7:15
再々放送:7月16日(金)12:30~13:00

<ワールドプレミアム>
国際放送:7月 3日(土)日本時間 3:30〜 4:00


ただひとつ気がかりは、我が家では映らないので、リアルタイムで放送が見れないということ(笑)。放送後に録画データを提供していただけるということでしたので、楽しみにしています。

お時間のある方、放送が映る方、ぜひご覧くださいませ。

個展ご来場へのお礼状。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

個展ご来場へのお礼状。

ダンナ宛てに嬉しい絵手紙が届きました。5月にあった桃居さんでの個展ご来場へのお礼状に、お返事をいただいたのでした。ありがたいことに、時々こうして、お客さまからのお手紙が届きます。

ダンナ・藤吉憲典が陶芸作家として独立して、数年後にギャラリーさんで個展を開催していただけるようになって以来、「個展案内状の宛名手書き」「個展にご来場くださった方へのお礼状書き」を続けています。

「個展にご来場くださった方へのお礼状」は、基本的には「芳名帳」にご記名くださった方、会場で名刺交換をした方、在廊時にお会いしてご連絡先がわかっている方にお出ししています。芳名帳に記入されない方もいらっしゃるので、ご来場くださったすべての方にお届けできているわけではありませんが。

お出しする枚数が少ないときは、本文も宛名もすべて作家本人が書くのですが、すべて書く時間をつくるのが厳しいときには、藤吉憲典が本文を一枚書いて、それを印刷してお礼状を作成しています。本人の手で書くのが一番良いとは重々承知しつつも、お礼状が届くのがあまり遅くなっては、受け取られたときに「?」となってしまうだろうと思うので、そこは出すタイミングの方を優先しています。

今回のように「お礼状へのお返事」をいただいたりすると、とっても嬉しいやらありがたいやら。SNSやメールなどでお礼をお届けすることもできますし、そちらの方が良いという方もいらっしゃると思います。でも、お手紙もずっと続けていきたいと思っています。

読書『オードリー・タン デジタルとAIの未来を語る』(プレジデント社)オードリー・タン

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『オードリー・タン デジタルとAIの未来を語る』(プレジデント社)オードリー・タン

今年は春から「オードリー・タン読書祭り」になっておりました。1冊目『オードリー・タン 天才IT相7つの顔』は本国台湾で刊行されたものの日本語訳2冊目『オードリー・タンの思考 IQよりも大切なこと』は台湾在住の日本人ライターさんによるもの3冊目『自由への手紙』はご本人の語り(クーリエ・ジャポンのインタビュー)によるものでした。そして本書は満を持してのオードリー・タン氏ご本人の自著です。

本人へのインタビューをもとにした本と、自著と。何が異なるかといえば、インタビューはあくまでも「インタビューする側が聞きたいこと(知りたいこと)」を中心に構成されるのに対し、自著はご本人が伝えたいこと、伝えるべきだと思っていることが前面に出ることです。だからでしょうか、これまでの3冊で出来事として知っていた内容も多かったにも関わらず、強いインパクトがありました。

以下、備忘。


  • 自分の精神が健全で安定していれば、自然とスマートで礼儀正しい人間になれる。
  • 「私の知識をシェアした人が、その知識を用いて私の望まないことを行わない」という信頼関係(中略)。その信頼関係をどのようにして構築するか。
  • 命令などの強制力がないことが重要
  • 何事も独学が可能なのだ
  • みんなのことを、みんなで助け合う
  • 他人から学び、考える
  • すべては学習を行う本人次第
  • 生涯にわたる「学習能力」
  • (デジタルに関する)「スキル」ではなく「素養」
  • (基本になるのが)プログラミング思考であり、デザイン思考であり、アート思考
  • 科学技術では解決できない問題に対処するために美意識を養う
  • 「こんな不正義が二度と起こらないために、私は社会に対して何ができるだろうか」

『オードリー・タン デジタルとAIの未来を語る』より


これまで読んだ4冊を通して、やはり彼女が根本的に大切にしていることは終始一貫していると思いました。人物にスポットをあてた本は、ときに本人ではない第三者が書く方が、客観的で読みやすい(伝わりやすい)こともありますが、ことオードリー・タン氏に関しては、そんなことはまったく無いようです。わたしが読んだ4冊のなかで一冊だけを誰かにオススメするとしたら、この『オードリー・タン デジタルとAIの未来を語る』になります。

読書『アルケミスト 夢を旅した少年』(角川文庫)パウロ・コエーリョ

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読書『アルケミスト 夢を旅した少年』(角川文庫)パウロ・コエーリョ

気になっていながら読んでいなかった本の一冊です。あちらこちらの書評で目にして、てっきり哲学書の類かと思い込んだまま、時間が経っていました。日本語訳の初版は地湧社から1994年となっていますから、30年近くも前なのですね。今もずっと出ていますから、ベストセラーのロングセラー。

わたしはパウロ・コエーリョの著書を読むのは、これが初めてでした。書評で、サン・テグジュペリの『星の王子さま』と並べて語られるのを何度か目にしましたが、なるほど最初の方から、教訓めいたセリフや心の声がちりばめられているのが、その理由かもしれません。個人的には、主人公の少年の自問自答を含む、数々の問答が面白かったです。物語のなかに説教臭い文章が入り込むと、あざとさを感じてうんざりすることもありますが、物語のなかに溶け込んでいればさほど気になりません。

そもそもタイトルが「アルケミスト=錬金術師」。哲学的な受け取り方、自己啓発的な受け取り方、スピリチュアル的な受け取り方、読む人によりそれぞれですね。わたしは単純に「羊飼いだった少年の冒険のお話」と読んで面白かったです。そういう意味では、読む前に持っていた「哲学書かしら?」という思い込みは当たりませんでしたが、それもまた良し。本書に限らずどんな小説にも、教訓的なエピソードや名言(名セリフ)を読み取ることができるので、これだけが特別という感じはしませんでした。

『アルケミスト』英語版も出ているので、英語と日本語との表現の照らし合わせをしてみても面白いかも、と思いました。

あらためて文様について調べるきっかけ。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

あらためて文様について調べるきっかけ。

肥前磁器、なかでも特に蕎麦猪口の文様の多様さ面白さに惹かれて『蕎麦猪口の文様小話』なる小冊子をつくり自費発刊したのは、2004年のことでした。こんなマニアックな小冊子、欲しいと言ってくれる人がいるのだろうかと思いながら、当時発行していたメールマガジン「蕎麦猪口蒐集」の読者の方々に喜んでいただけたら、と作ったのでした。

そんな、わたしにとってのライフワークのひとつでもある「文様」について、久しぶりにたくさん質問を受ける機会がありました。理解していること、覚えていること、きちんと説明できることがある一方で、「あれってどうだったかしら?」ということも少なからずあり、あらためて調べ直すきっかけとなりました。「他者に伝える」のは、自分にとって最高の学びになりますね。専門家としていい加減なことは言えませんので、ひとつひとつ資料にあたることになります。

資料を開けば「ああ、そうだった!」ということや「あれ、今まで気が付かなかった!」というものがどんどん出てきます。そういえば17年前もさまざまな資料にあたりました。やきものや肥前磁器の古い文献資料・研究書・学術書はもちろん、着物など他の伝統工芸における文様の資料、はては歳時記や植物図鑑、江戸時代の風俗文化に関する本まで。

今は、手元に持っている資料も、どこに行けば関連資料を手にできるかという知識量も、当時より増えていますので、さらに調べ甲斐があります。文様について調べ直しまとめ直して形にすれば、単純に文様の知識として便利だというだけでなく、陶片ミュージアムを解説する資料としても価値が生まれそうです。

ということで、17年ぶりに「文様小話」を作り直すことに決定。タイトルは変わると思いますが。そして、単に知識を調べて集めるだけではなく、諸説に対するより深い考察をして、自分なりの解釈を展開することができるのではないかとも思います。年内に完成するといいな、と思いつつ。きっかけとなる「たくさんの質問」を投げかけてくださったKさんに、心より感謝です。

花祭窯25年目スタート!

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

花祭窯25年目スタート!

6月9日ロックの日は花祭窯の創業日。応援してくださる方々のおかげで、また年を重ねることができました。ありがとうございます!

「やめなかっただけ」ではあるものの、四半世紀に突入するとなると、自分たちのことながら「ほほぅ」という感じは致します。来年の25周年を笑顔で迎えることができるよう、この一年も全力で仕事を楽しんでまいります。

今朝はロンドンに住む友人からの嬉しいメッセージでスタートしました。Sladmore Contemporaryで開催中の展覧会Beyond Bronzeに足を運んでくだり、「新作見たよー」と写真入りで報告。ロンドンはロックダウンが徐々に解除され、ギャラリー街も活気を取り戻しつつあるようです。

日英の往来がこんなに難しくなるなんて、ほんの2年前は思ってもいなかったこと。でもそもそも創業時には、海外展開するとはまったく思ってもいなかったのです。花祭窯創業時のダンナの志とか、陶芸家としての理念・使命感といったものはまったく変わっていませんが、その一方でマーケティング的な方法論についてはずっと変化し続けています。

変わるものと変わらないもの。両方あってこそ、生業として続けることができているのだとつくづく思います。今日も面白い一日をご機嫌に。

味噌も仕込みます。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

味噌も仕込みます。

昨日の梅仕事に続き、本日は味噌仕事。味噌を自分で作るようになってすぐの頃は、仕込む時期は大豆の収穫が終わり麹が出来上がる頃、2月~4月に一年分をいっぺんに仕込むイメージを持っていました。でもいっぺんに作るのって、体力的にもかなりたいへんなんですよね。常に材料を用意してくださる麹やさんのおかげで、ここ1-2年は必要に応じて年中仕込んでいます。ちなみに前回仕込んだのは1月でした。

隣町の麹やさんから「蔵出しセール」の案内が届いたタイミングで電話注文。樽ひとつ分が10キロなので、玄関先まで届けてくださるのが助かります。今食べている樽の味噌は残り三分の一ほどで、別に熟成中(もう食べごろ)の樽がひとつ。そして今日の仕込みが、三つ目の樽。ほぼ毎日味噌汁をつくる我が家。味噌消費量は多い方だと思います。

三つの樽をローテーションしながら、常に味噌が仕込まれている状態がこの1-2年できてきました。仕込んでから食べれるようになるまで、季節にもよりますが、夏場は熟成が早く進みますので3ヵ月ほど。食べ始めてからも日々熟していくので、最初は麹臭さが残っていた味噌も、樽が空になる頃には醤油っぽくなっていたりします。

味噌はそもそも長期保存食ですから、非常食にもなり。これって今流行りのローリングストックと言えるのではないか!?と勝手に嬉しくなっています。日本に限らず、発酵食品や乾物などの保存食文化はいろいろとありますが、非常時にも役立つものですね。