ロンドン2日目(1)Tate Modern

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。ダンナ・磁器作家 藤吉憲典の個展(Sladmore Contemporary @London)に伴うロンドン滞在レポート。

ロンドン2日目(1)Tate Modern

ロンドン2日目は個展初日でもあったのですが、初日は18時~20時のドリンクパーティーでオープンだったため、まず午前中にテート・モダンへ行ってきました。

Tate Modern

近現代美術を集め、モダンアートと印象派が充実しているといわれるテート・モダンですが、今回訪問したかった一番の理由は、少し前に読んだ『楽園のカンヴァス』。「ニューヨークのMoMAに対してロンドンのTate Gallery」という位置づけで描かれたストーリーに、行かねば!の気持ちが大きくなり、実現。

http://www.tate.org.uk/visit/tate-modern

展示もそうなのですが、建物に圧倒されました。建物は大きいですが、展示自体は半日程度で十分見て回れます。あちらこちらに体感型の仕掛けもちりばめられ、子どもも一緒に楽しめました。

テートモダン

ミュージアムショップも広く、特に美術関係の書籍が充実していました。

 

津屋崎陶片ミュージアム:H29042001二重高台の大皿

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

津屋崎陶片ミュージアム。二重高台の大皿。

外側の高台が割れて削れてしまっていますが、二重高台です。器の径が大きいと、窯での焼成中に生地が変形してへたってしまうことがあります。それを防ぐ方法のひとつとしての、二重高台。支える点(線)を増やすことにより、底や腰が落ちるのを防ぎます。

津屋崎陶片ミュージアム

二重高台の大鉢や大皿は、上手(じょうて)と呼ばれる凝ったものも多いですが、これは絵付の大雑把な感じを見る限りでも、それほど上手のものでは無さそうです。上手のものは、裏もしっかり描きこんであるものが多いです。

これは高台の内側には線描きしか見えず、ちょっぴり残念。あんがい時代の若いものかもしれません。

津屋崎陶片ミュージアム

それでも、二重高台の陶片をあまり見つけることが無いので、嬉しい発見です(^^)

 

 

西麻布の桃居さんで「藤吉憲典 陶展」。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

5月は西麻布の桃居(とうきょ)さんで「藤吉憲典 陶展」。

毎回スタイリッシュなDMを作ってくださる桃居さん。いつもほんとうにありがとうございます!

個展案内状は、こちらからお申込みいただくことができます。ご希望のお客さまに5月初旬から郵送いたします。

藤吉憲典陶展2017桃居

今回DMの撮影用にうちからお送りしたのは、まったくタイプの異なる三種類の器でした。タイプは異なるものの「古典的テーマをきちんと現代にとらえなおす」と、今まさに、つくり手が熱中しているところなのです。

桃居オーナーの広瀬さんがどの器を案内状用に選んでくださるかは、案内状が出来上がるまでの「待つ楽しみ」のひとつです。出来上がったものを拝見して「なるほど、これを特に面白いと思ってくださったのだな~!」と、にんまりします。

個展案内状の写真に使われたのは、「柿右衛門(かきえもん)様式」と呼ばれる色絵磁器の古典的な様式のひとつ

「柿右衛門様式、藤吉憲典がつくるとこうなる」5月の桃居さんでぜひご確認ください。

 

津屋崎陶片ミュージアム:H29041901明かりの道具

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

津屋崎陶片ミュージアム、明かりの道具。

「燈明皿」とか「油皿」とか「ひょう燭」と呼ばれ、行燈のなかに置いて使われたものです。江戸中期以降の唐津系の陶器と思われます。

津屋崎陶片ミュージアム 明かりの道具

ほんの少し欠けていますが、ほぼ完品。これだけ形がそのまま残っていると、思わず実際に油と芯を入れて明かりを灯してみたくなりますね。

唐津系の明かりの道具は、こちらでもご紹介しています。いろいろな形があるのは、明かりをいかに長持ちさせるか、改良を重ねたからだとか。

津屋崎陶片ミュージアム:H290331001~明りの道具(ひょう燭)。

 

 

5月は桃居(とうきょ)さん。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

5月は西麻布の桃居(とうきょ)さんで
藤吉憲典 作陶展。

写真は最近三回の桃居さんでの個展案内状。初めて個展の機会をいただいたのは2005年でした。それから1年おきに機会をいただいています。こうしてあらためて見てみると、近年は「箱」というテーマがつくり手・藤吉憲典のなかにひとつ大きくあったのがわかります。

桃居さんのオーナー広瀬さんは、わたしが最も尊敬する方のお一人です。いつも静かにつくり手を信じて受け入れてくださる、とても大きな方です。お仕事でやり取りをさせていただくなかで、「姿勢・行動で示す」ということのすごさを毎回感じさせてくださる方です。

初めてお伺いしたころ、桃居さんでは磁器の作家はほとんど扱っておられませんでした。それでも常設で扱いながら、つくり手の成長・変化を見守ってくださっていました。そんなこともあって、藤吉憲典にとって桃居さんでの個展は、毎回「どれほど成長したかをご覧いただくための機会」なのです。

もうすぐ、2017年5月の個展案内状が出来上がる予定です。出来上がり次第、こちらでもご紹介いたします。

桃居さんでの藤吉憲典作陶展は、
2017年5月26日(金)~5月30日(火)です。

 

 

 

藤吉憲典の作陶の様子。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

藤吉憲典の作陶の様子を撮った動画が完成しました。

昨年の夏から撮りはじめて、ようやく完成しました。今回の撮影・編集をすべて担当してくださったFilmmaker日浦さんのおかげで、藤吉憲典の磁器制作のイメージがわかりやすく伝わるものができあがったと思っています。ありがとうございます。

藤吉憲典のつくったものをお手元に持ってくださっている方々、これから手に取ろうとしてくださっている方々、皆さんに、そのモノの背景を少しでもお伝えし、楽しんでいただけるといいな、と思っています。

 

蕎麦猪口倶楽部アドレスちょっぴり変更。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

ネットショップ蕎麦猪口倶楽部のアドレスを、ちょっぴり変更しました。

蕎麦猪口倶楽部 https://hanamatsurigama.com

http:// → https:// に変わりました。常時SSLと呼ばれる、インターネット上のセキュリティ対策に対応しました。http://hanamatsurigama.com からも自動転送されるようになっていますので、今まで通りのアクセスでも大丈夫ではありますが、念のためお知らせまで(^^)

あわせてトップページのスライドショーに使っている写真も入れ替えてみました。

「ロクロ」「削り」が終わって「素焼き窯」に今から入ろうとしている蕎麦猪口生地の並んでいる写真や、本窯からあがったばかりの蕎麦猪口の集合写真など、蕎麦猪口好きにはたまらない(!?)写真を入れております。

これから夏に向かって、お素麵や冷やしうどんなどにも活躍する蕎麦猪口。おかげさまで、ただいまつくり手・藤吉憲典の制作状況がたいへん混んできております。「このときに使いたい」とイメージがお決まりのお客さまは、お早目のご注文をお待ちしております!

 

 

津屋崎陶片ミュージアム:H29041801墨弾の蓋もの

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

津屋崎陶片ミュージアム:墨弾(すみはじき)の蓋もの。

幕末と思われる「蓋もの」の蓋の陶片です。幕末の蓋もの、よく見つけます。蓋は、表も裏もちゃんと絵付されているものが多くて、程好いサイズ感で形も可愛らしいものが多く、完品で出てきたら使いたいといつも思います。

碗の陶片だけだとそれが蓋ものの身なのか、もともと碗だけのものなのかわかりにくいのに対し、蓋の陶片は「これは蓋もののフタだ!」と分かりやすい。というわけでなんとなく、幕末の蓋ものの蓋だけがたくさん上がっているような錯覚をもちます。

墨弾(すみはじき)」と呼ばれる技法で絵付されたものです。

津屋崎陶片ミュージアム

墨弾とは…生地に墨で文様を描き、その上から呉須(ごす:染付の藍色を出す絵具)を塗ると、墨に含まれる膠(にかわ)分によって墨の上の呉須がはじかれて、これに釉薬をかけて焼くと、墨は焼き飛ばされて白く抜けた文様となります。(佐賀県立九州陶磁文化館図録 柴田コレクションⅥ より)

 

村上隆著『創造力なき日本』。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

久しぶりに、村上隆さんの本。
『創造力なき日本-アートの現場でよみがえる「覚悟」と「継続」』(角川書店)

2012年10月が初版ですので4年以上前の本になりますが、巻頭の「はじめに」に書かれている著者の「憂う」状況は、いまだ日本を覆っているように思いますし、そうそう簡単に変化するものでもなさそうです。

読みながら、とても真っ当なことをおっしゃっていると思いました。「自分は嫌われている」ということを本のなかでもたびたび書いておられますが、ほんとうのことを言ってしまうから、嫌がられてしまうのですね。

目次からいくつか抜粋すると(順不同です)

  • 「仕事」と「夢」を混同するな!
  • 芸術家における「成功」とは何か?
  • 「続けていくこと」と「戦略」の重要性
  • 形なくして心は伝わらない
  • 受け手に対するサービスの精神
  • 教えられることと、教えられないこと
  • 「何を残すか」ということ

などなどなど…

ともあれ、モノづくりをなさっている方で「結局、趣味の域を抜け出せずにその創作活動を終える」ことになりたくない!と思っている方には、ご一読をお勧めします。ここに書かれていることが全てだとは思いませんが、知っておいたほうがいい考え方だと思います。

 

 

花祭窯の仕事場の様子を伝える。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

ロンドン個展を控えて、現地のギャラリーから「工房やギャラリーの様子の写真が欲しい」と言われ、あわてて撮っています。

花祭窯の仕事場の様子を伝える。

お客さまにとっては、これもまたつくり手・藤吉憲典の世界観を構築しているものの一つとして、楽しんでいただける要素になるのだなぁと、感じつつ。

ただ、あらためて仕事場のなかを見渡してみると、まあひどく雑然として人様にお見せできるような状態ではなく…。ふと天井を見上げたところお見せできそうだったのが、これ。

工房は築90年ほどの木造建築で、立派な柱や梁があります。この歴史ある環境でものづくりができるのは、ほんとうに恵まれたことであると、住むほどに実感しています。

建具もガラスもほぼ昔のままなので隙間風がビュービュー吹くし、窯のある場所は昔の「おくどさん」(いわば台所)で土間づくりなので、冬は底冷えがします。

この写真の梁(はり)、ここに工房を移転してきたときは、低く天井が貼られて見えない状態になっていました。天井が高いと寒いから、あとから塞いでいたのですね。

その、あとから塞いだ部分を取り払って出てきたのが、この梁。

この梁が出てきたときは、思わず歓声を上げました。この景観のなかに身を置いて仕事をすることのできる贅沢を体感しています。