実山忌茶会でした。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

実山忌茶会でした。

入門している南方流は、円覚寺に伝承される『南方録』による茶道です。『南方録』にはその根っことなる人物が三名います。千利休、南坊宗啓、立花実山。その一人、立花実山を祀る茶会が毎年秋十一月に行われます。

当日は、円覚寺当代の秀海和尚による献茶、読経に続き、『南方録』の内容を原本から二項目解釈していただきました。毎年少しづつ教わっています。『南方録』の解説本を読んでもなかなか頭に入って来ないことが、和尚さんのお話を聞くと少しは理解できたように思えるのが不思議です。

ご焼香を終えたら、席を変えて残茶拝服。濃茶と薄茶をいただきます。今年はちょうどお寺の庭の紅葉が色づいて見頃、なんとも贅沢な一日となりました。

「修業による人格向上、和敬清寂」を本意とする南方流のお茶。一生かけて、少しづつ身について行くといいな、と思っています。

『南方録』と千利休・南坊宗啓・立花実山については、茶道南方流を伝承する円覚寺のサイトに説明があります。以下、引用。


南方録とは、千利休が茶道の秘伝を高弟であった南坊宗啓に折々に伝えられ、それを描きとめたものを一巻一巻の末尾に千利休が奧書証明してある全七巻の本でございます。

千利休は足利時代中国より伝わりました茶の文化を、日本独自の茶道に大成された方でございます。然してその内容は南方録に余すことなく記されております。これは多年千利休に仕えられた南坊宗啓にして初めて出来得たことでございます。南坊宗啓は禅僧としては一休禅師の孫弟子にあたり、千利休と同じ堺の出身でもあります。

千利休が没して百年後、南坊宗啓の本を書き写したのが黒田藩士立花実山でございます。立花実山は黒田藩三代藩主光之公の参勤交代に同行途中にその書の存在を知り、書き写しさらに伝本二巻を見つけ書き写されました。

この時まだ本には書名が無かったので、禅の師である臨済宗大徳寺派崇福寺の古外禅師に依頼して『南方録』と名付けられました。南方録とは中国の茶経という本の中に、南方の嘉木七碗仙霊に通ずという句の中より取りだし、茶の本という意味でございます。

立花実山は生涯を通じて藩主光之公の身近に仕えた武士でございます。茶道はもちろん書画や詩文や弓道に秀で、また崇福寺古外禅師に就き修業し、古外禅師が京都の本山に戻られた後は、江戸で当時の一代名僧卍山洞伯に就かれて蘊奥究め印可を受けておられます。まさに文武両道の当代切っての文化人でございます。

(中略)

円覚寺では、福岡藩士立花実山直筆の千利休茶道秘伝本『南方録』が伝承されており、茶と禅の道場として知られています。(南方流茶道のご案内より)


 

十一月のお干菓子。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

十一月のお干菓子。

和菓子このわさんによる季節のお干菓子。美しい秋色が届きました。

このわさんの大将がやさしいので、毎回勝手にお干菓子に命名してしまっています。今回は、ぱっと見て紅と黄で紅葉をイメージし「紅葉」と名付けそうになるのをぐっとこらえ、もうひとつ挿し色に入っていた白にスポットを当てて「初霜」に決定。

琥珀糖や氷菓糖と呼ばれるものと同様の伝統技法でつくられたと思われる、透明感のあるお干菓子なのでそれもまたピッタリなのではないかしら、などと言い訳しつつ。お干菓子に勝手に名前を付けるという贅沢まで愉しんでいます。

今回は久しぶりに、藤吉憲典のつくった赤玉のお茶碗で。

藤吉憲典 赤玉文茶碗

これからの季節は、磁器だと赤絵が嬉しくなってきます。温かいお抹茶がますますおいしいシーズン到来です。

 

 

お気に入りを使う贅沢。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

お気に入りを使う贅沢。

「お気に入りだけに囲まれて暮らす」というほどの贅沢を実現するのはなかなか難しいのかもしれませんが、「お気に入りを普段から気軽に使うというのも、かなり贅沢だぞ」と、自分のためにお茶を準備していて、ふと思ったのでした。

北九州小倉に本店のある大好きな和菓子屋さん湖月堂の栗まんじゅうをお友だちが持ってきてくれたので、お抹茶を入れようと思い立ち。無意識に選んだ茶碗は、龍の背窯・山本安朗さんの小さめの茶碗。ぽってりとした形と明るさをたたえた色がお気に入りです。菓子皿には、ダンナ・藤吉憲典の染付の「鹿紅葉」。季節的にちょうどよい文様が目につき、迷わずチョイス。

安朗さんの茶碗は、もう20年近く前に手に入れたもの。安朗さんは、酒器がまた素晴らしく、我が家にもダンナの晩酌用がいくつかあるのですが、わたしは普段お酒を呑まないので、お抹茶にも良さそうなサイズの碗を買ったのでした。

八女のお抹茶、湖月堂の栗まんじゅう、安朗さんの茶碗、ダンナの染付鹿紅葉。

自分のためにお茶を入れた、ちょっとした時間。準備してお茶を飲み終わるまで、わずか15~20分ほどでしょうか。この組み合わせが目の前にあるだけで「贅沢~!」とごきげんな時間でした。

そういえば、先日ブログに書いたお抹茶の組み合わせも、お気に入りだらけ。長崎県波佐見で土ものをしている、はしんたん窯の橋本さんの大ぶりの茶碗に、柴垣六蔵さんの黄瀬戸の豆皿

もっと気軽にお抹茶。

手近なところにある贅沢、だいじですね(^^)

 

恒例!大相撲九州場所。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

恒例!大相撲九州場所。

福岡国際センターで開催中の大相撲九州場所、今年は初日に出かけてきました。

このところの大相撲人気で、チケットが早々売り切れるのは九州場所でも同様で、何日目に行こうかと決めかねているうちに、土日祝のチケットは完売。残るは当日発売の自由席のみとなりました。

もともと自由席で観るのが藤吉家流だったので(笑)、ここは初日の自由席をゲットしようと決意。初日に出かけるのは初めてで、どれくらい並ぶのかまったく予想がつかず、朝5時に家を出ることにしました。

福岡国際センターに到着したのは、まだ星の瞬く5時45分。10~15名の方がすでに並んでいました。チケット発売の7時45分まで、ちょうどあと2時間(笑)並んですぐに、列の案内役をしている交通整理のおじさんが「(チケット発売までに)まだまだ時間かかるから」と息子に折り畳みイスを貸してくださり、やさしさに感激。

わたしたちの前には、アメリカから旅行中の4人グループ。初めての相撲観戦を楽しみにしていたということで、嬉しそうにお喋りしながら列に並んでいました。ラスベガスから一人で来たという青年は、相撲観戦のためだけに福岡に来たと言い、東京の国技館も、大阪場所も見に行ってきたと。相撲の勝負のつき方、番付の仕組みなど、相撲初観戦の外人さんたちに、とても詳しく説明していました。

年々海外の方が増えているように思います。相撲協会でもきちんと対応を考えていて、「ENGLISH」という黄色い腕章を付けたお姉さんたちが何人も。「困ったときはわたしたちに気軽に声をかけてくださいね」と、早朝から列に並んだ外人さんたちに声をかけて回っていました。このサービスを見て、なんだかとても嬉しくホッとしました。

2時間の待ち時間はそんな感じで楽しく過ぎ、席も無事ゲット。朝6時前から18時過ぎまで12時間以上を福岡国際センターで過ごした相撲デーは、面白く楽しく大満足の一日でした(^^)

 

九州国立博物館は「文化交流展」が面白い。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

九州国立博物館は「文化交流展」が面白い。

これまでにも何度も同じことを言っているような気もしますが、四階の文化交流展が大好きです。

文化交流展示室案内 http://www.kyuhaku.jp/exhibition/exhibition_info01.html

特に今回は、特別展の「新・桃山展」に合わせて、「展示室11:多彩な江戸文化」の部屋に関連する展示物を拝見することができたのが、とても面白くて良かったです。

さらにそのお隣の部屋「展示室10:九州陶磁の花(田中丸コレクション)」。こちらは毎回必ず覗く部屋であり、いつ見ても古伊万里の時代の肥前磁器の素晴らしさに嬉しくなる部屋なのですが、これまた「新・桃山展」と時代がかぶっていることもあって、さらに嬉しく拝見したのでした。

さらに今回は、文化交流展でも特別展示が開催されていました。

大分県国東宇佐 六郷満山展 ~神と仏と鬼の郷~

11世紀平安時代につくられたという木製の立像の不思議な立ち姿、特に腰つきに目を奪われました。

皆さん、九州国立博物館訪問の際は、ぜひ四階の文化交流展にも足を伸ばしてくださいね(^^)

 

黄金の茶室観てきました。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

黄金の茶室観てきました。

九州国立博物館で開催中の「新・桃山展」

戦国武将マニアの息子に急かされて、観に行ってきました。

先週末・今週末と、同展の関連イベントであるリレー講座に「陶磁器に見る文化交流―大航海時代がもたらしたもの」「桃山の茶湯-茶碗を中心に-」と、興味深いタイトルが並んでいました。わたしは残念ながら講座には足を運ぶことができませんでしたが、つまりこのような講座が楽しめる展示内容になっている、ということです。

個人的に、特に「おお~っ!」な展示物は、次の通りでした(^^)


  • 唐獅子図屏風
  • 白天目
  • 志野茶碗 銘 猛虎
  • 絵唐津菖蒲文茶碗
  • 銀地狛犬
  • 黄瀬戸福字鉢
  • 雲龍図屏風
  • 黒織部沓形茶碗 銘 わらや

このほか「聖フランシスコ・ザビエル像」が教科書で見た記憶のままで楽しかったり、螺鈿細工のものはどれもとても美しかったり、見応えのある展示でした。

欲を言えば、茶碗など、のぞき込んだ内側・背面・高台裏などもしっかり見ることのできる展示にして下さったら、もっとよかったのになぁ、と。展示ケースの後ろに回り込んだりして拝見しましたが、「観たいところが見えない」ストレスが若干残りました(笑)

また今回、屏風絵がたくさんあったのですが、屏風にバランスよく絵を描くというのは、ただ絵がうまいだけでは成し遂げられないものなのだなぁ、とつくづく思いました。というのも、部分的に見ると「すごいな、うまいな」と描けているものも、引いて見ると、全体としての絵が成立していない(構図が崩壊している?)パターンがとても多く見受けられ。大きな画面で、しかも分割された画面の連続により成立するという特色からでしょうか。

九国訪問いつものコースで、四階の常設展示・文化交流展にももちろん足を運びましたが、その報告はまた次回。

ちなみに、写真の「黄金の茶室」復元は、「新・桃山展」の特別展示室ではなく、1階ホールに展示されていました。特別展・常設展へのエスカレーターと反対側の方にあります。「写真OK」の撮影スポットになっています(^^)

 

花祭窯の縁側ー南天が色づいてきました。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

花祭窯の縁側-南天が色づいてきました。

わたしのもっている南天の木のイメージは、なんといっても生命力の強さです。というのも、佐賀花祭の山のなかに暮らしていた時、他所から移植したいくつかの木のなかで、南天の木がひとつも枯れることなく、どんどんと根元から増えて育っていったのを目の当たりにしたから。

赤い実のおめでたさ、咳や湿疹への薬効など、南天は日本人の生活にしっかりと根付いているものであることを、花祭で実感しました。お正月が近くなると、ご近所の皆さんに、我が家の南天を飾り用に切っておすそわけ。冬、花が少ない季節には、赤い実は目に鮮やかで嬉しく、それをついばみに来る野鳥を観察するのも楽しみでした。

津屋崎のお庭にある南天も、花祭から分けて連れてきたものです。植えたその翌年から赤い実がついて、しっかりと根付いてくれました。今年も少しづつ色づいて、冬の間の彩りになってくれそうです。

 

 

花祭窯の縁側-水引草。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

花祭窯の縁側-水引草。

今、庭には紅白の水引草が咲いています。主張しない可愛らしさで、ホッとします。わたしの勝手なイメージなのですが、この水引草とトクサがあると、一気に「和の庭」な空気感が増すような気がします。

花が咲いて、気がついてみれば、水引草、増えています。種が飛んだのでしょうか、株が増えたのでしょうか。あるいはその両方!?きっと強い草花なのでしょうね。そういえば、花も比較的長く咲いています。

派手さはないけれど、さりげなく可愛くて、強くてしなやか。素敵な在り方ですね。

 

花祭窯の縁側-金木犀。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

花祭窯の縁側-金木犀(きんもくせい)。

2階から階段を下りていく途中に、あれ!?と気づきました。キンモクセイの柔らかい香り。もしや!と縁側に出てみると、キンモクセイの木にだいだい色の小さい花がたくさん。香りまで伝えられるといいなと思いつつ、パシャリ。

花祭窯の庭はそれほど広くありませんが、そのなかに四季折々の草花が植えてあります。ヒガンバナが終わって、今の季節は水引草、ノコンギク、キンモクセイ。シュウメイギクにもたくさんつぼみがついてきました。

今日は快晴で気持ちがよく、しばし縁側で花を眺めつつひなたぼっこ。さりげなく、いつもなにかしら花が咲いている贅沢。庭の設計と施工をガーデンアルテさんにお願いしたからこそです。身近に信頼できる庭師さんがいるのは、とてもありがたいことですね。

ガーデン アルテ https://www.facebook.com/artemisiagarden/

 

 

 

野点茶会。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

野点茶会。

写真は、福岡市東区にある香椎宮の樹齢1800年を超える御神木・綾杉。香椎宮のサイトからお借りしました<(_ _)>

というのも、南方流の野点の茶会は、毎年この香椎宮への献茶式の日に行われるのです。入門してから数年、なかなか日程が合わなくて参加できずにいたのですが、先日ついに野点を初体験してきました。

午前中に香椎宮での献茶式。10月に入って最初の日曜日、お天気に恵まれ七五三参りの家族連れなどが次々に訪れるなかでの式典でした。朱塗りの本殿で、厳かながらもあかるい雰囲気のなかで聴く祝詞は、とてもありがたい気持ちになるものでした。

さて午後からは、ほど近くにある報恩寺に場所を移しての野点です。報恩寺は、日本で最初に建てられた禅寺といわれる博多の聖福寺を開山した栄西禅師によって建てられたという由緒あるお寺さん。

開放的な空間でいただくお茶はとってもおいしかったです(^^)