染付・赤絵・染錦

こんにちは。花祭窯の番頭役・ふじゆりです。

7月16日(土)が初日の銀座黒田陶苑さんでの藤吉憲典(ふじよしけんすけ)個展では、
原点回帰=肥前磁器の伝統文化をしっかり感じていただくことがテーマになっています。

そこで、そもそも肥前磁器ってなに?どんなもの?というところをしばらく書いていこうと思います(^^)

↓前回は「そもそも肥前磁器とは?」を書きました↓

○肥前磁器(ひぜんじき)とは?

本日は、絵付の種類について。

 

染付(そめつけ)・赤絵(あかえ)・染錦(そめにしき)

うえの写真は
染錦(そめにしき)梅に鶯文(うめにうぐいすもん)蕎麦猪口。

肥前磁器で用いられる絵付の三つの技法「染付・赤絵・染錦」を説明するのに
ちょうど良い文様だったので登場してもらいました。

染付(そめつけ)

染付とは、呉須(ゴス)と呼ばれる絵具で描かれたものを指し、色は色です。
現在は色呉須と呼ばれる、青以外の色の呉須もいろいろと開発されていますが、
一般に「呉須」というと、昔からあるコバルトを原料に含む青の発色をする絵具を指します。

その呉須を用いて描かれた青色の絵付が「染付」
うえの写真でいうと梅の枝が伸びるふもとの「青色」で描かれた部分です。

染付は別名「下絵付(したえつけ)」とも呼ばれます。

「下絵付」は染付の工程から来た呼び方。
ロクロやタタラなどで形ができた磁器は、まず「素焼き(すやき)」の窯に入ります。
この素焼き窯から出てきた状態に絵を付けるのが、染付。
染付で絵がついたら、釉薬(ゆうやく)と呼ばれるガラス質を上からかけて
「本窯(ほんがま)」と呼ばれる窯に入ります。

釉薬の下に描かれているから「下絵付」なんですね。

赤絵(あかえ)

本窯から出てきたあと、釉薬のうえに施される絵付けが「赤絵」です。

写真でいうと赤・緑・黄色・黒などの色で描かれている部分
釉薬のうえなので「上絵付(うわえつけ)」とも呼ばれます。
また色とりどりの絵具が使われるところから「錦手(にしきで)」とも呼ばれます。

染付と赤絵(錦手)を組み合せた絵付けが「染錦(そめにしき)」。
写真の染錦梅に鶯文蕎麦猪口の名前は
絵付技法の「染錦」文様名の「梅に鶯文」そして器の形状である「蕎麦猪口
この三つが組み合わされているのです。

 

染付と赤絵は絵付でもまったく技法が異なり、
江戸の昔から、染付の職人さんと赤絵の職人さんは、完全に分けられていました。
現代でも、染付と赤絵の両方に熟練している人はとても少ないのです。

 

さて、染付も赤絵も大好きだという藤吉憲典の個展では、
文様の楽しさを存分に味わっていただけることと思います。

今回の銀座黒田陶苑さんでは、季節柄、染付中心。
染付のなかに赤絵がぽっと色をさす楽しさも見出していただけると幸いです。


藤吉憲典個展

2016年7月16日(土)-21(日) ※18日(月)定休日。
11時‐19時
銀座黒田陶苑 2F展示室
東京都中央区銀座7丁目8番6号
TEL03-3571-3223

地下鉄・東京メトロ銀座駅A-2出口より徒歩2分、JR新橋駅銀座口より徒歩5分
http://www.kurodatouen.com/info

銀座黒田陶苑 藤吉憲典個展

ぜひご来場くださいませm(__)m

肥前磁器とは?

こんにちは。花祭窯の番頭役・ふじゆりです。

7月16日(土)が初日の銀座黒田陶苑さんでの藤吉憲典(ふじよしけんすけ)個展では、
原点回帰=肥前磁器の伝統文化をしっかり感じていただくことがテーマになっています。

そこで、そもそも肥前磁器ってなに?どんなもの?というところをしばらく書いていこうと思います(^^)

 

肥前磁器(ひぜんじき)とは?

九州北部地方の肥前国=現在の佐賀県で確立されてきた、磁器の伝統的な陶芸技法・文化です。
陶器の原材料は土。磁器の現在量は石。

日本の磁器発祥の地といわれている
佐賀県有田を中心に発展してきたもの「肥前磁器」と呼んでいます。

一般的には「有田焼」「伊万里焼」「鍋島」「柿右衛門」などと呼ばれるものを含めた総称です。

1610年、朝鮮から連れてこられた陶工・李参平(りさんぺい)が
佐賀有田の泉山陶石を使って焼いたのがはじまりといわれています。

朝鮮半島からもたらされた技術ではじまった磁器作りは、
その後、中国・景徳鎮(けいとくちん)窯の磁器技術などをお手本として進化、
さらに日本独自の技術・文化・職人気質が加わりながら発展してきました。

その歴史、おおよそ四百年
その歴史のなかで陶工たちが遺してくれた数々の名品は、
現在も肥前磁器に関わる者にとって大きな宝であり、
藤吉憲典にとっては、これ以上ない師匠です。

写真は
染錦花鳥文(そめにしきかちょうもん)大鉢  作・藤吉憲典

これもまた伝統的な文様のひとつです。
染付の藍色と、色とりどりの上絵(赤絵)。
ハレの日に嬉しい吉祥文様は時代を経ても色あせません。

ということで次回は、たびたび登場する「染錦」「染付」「赤絵」について書きますね♪

 


藤吉憲典個展

2016年7月16日(土)-21(日) ※18日(月)定休日。
11時‐19時
銀座黒田陶苑 2F展示室
東京都中央区銀座7丁目8番6号
TEL03-3571-3223

地下鉄・東京メトロ銀座駅A-2出口より徒歩2分、JR新橋駅銀座口より徒歩5分
http://www.kurodatouen.com/info

銀座黒田陶苑 藤吉憲典個展

ご来場を心よりお待ちいたしておりますm(__)m

7月は銀座黒田陶苑さんで個展です。

こんにちは。花祭窯の番頭役ふじゆりです。

7月に入りましたね。

熊本ビストロ&カフェSUNNYさんの3周年記念「藤吉憲典蕎麦猪口展」
先週末をもちまして、おかげさまで無事終了いたしました。

期間中ご来場くださいました皆さま、ほんとうにありがとうございました!
地震のあとの難しい状況のなか、蕎麦猪口展決行のご決断をなさった藤川さんに心より感謝しています。
ありがとうございました。

 

7月は銀座黒田陶苑さんです。

銀座黒田陶苑さんでの個展は、これが初めて。

3月の岡山のギャラリー栂さんといい、今年は初めての場所での個展機会に恵まれています。
ほんとうにありがとうございます。

本日個展案内状を発送いたしましたので、ご希望の方には今週中にお手元に届くと思います。

 

さて、銀座黒田陶苑さん。
きっかけは数年前にさかのぼります。

銀座黒田陶苑 藤吉憲典個展

案内状にもメッセージをいただいているとおり、
藤吉憲典にとっての「やきもののルーツ」である「肥前陶磁」へ原点回帰する機会をいただきました。
肥前陶磁の師匠と位置づける九州陶磁文化館の「柴田コレクション」はじめ、
江戸の陶工の残した名品に、あらためて感謝と敬意をこめての個展になります。

黒田さんのおっしゃった「古臭いもの」と、藤吉が理想とする温故知新がどう共鳴するのか、
とてもワクワクしています。

初めて藤吉憲典のやきものに出会う方々ももちろんですが、
これまで長く藤吉の器を愛してくださっている方々にも、ぜひご覧いただきたい個展です。

銀座黒田陶苑 http://www.kurodatouen.com/


藤吉憲典個展

2016年7月16日(土)-21(日) ※18日(月)定休日。
11時‐19時
銀座黒田陶苑 2F展示室
東京都中央区銀座7丁目8番6号
TEL03-3571-3223

地下鉄・東京メトロ銀座駅A-2出口より徒歩2分、JR新橋駅銀座口より徒歩5分
http://www.kurodatouen.com/info

染付の定番人気~知ると楽しい文様のこと

こんにちは。花祭窯の番頭役ふじゆりです。

いよいよ明日、6月25日(土)からはじまる熊本SUNNYさんでの
『藤吉憲典 蕎麦猪口展』を存分に楽しむ!をテーマに
文様について小話を展開しております。

これまでにご紹介したのはこちら。


江戸時代から人気の定番文様の蕎麦猪口

うえの写真は左から

  • 染付独楽筋文蕎麦猪口(そめつけ こますじもん そばちょこ)
  • 染付波兎文蕎麦猪口(そめつけ なみうさぎもん そばちょこ)
  • 染付酒樽文蕎麦猪口(そめつけ さかだるもん そばちょこ)

蕎麦猪口に限らず、肥前陶磁の文様は江戸時代にたくさん生まれました
そして、その当時の文様が今でもたくさん引き継がれ、描かれています。

今回の三つも江戸時代からの人気文様。

染付独楽筋文蕎麦猪口

シンプルな横線文様です。
いわば「ボーダー柄」ですね。

それが肥前陶磁的には「独楽筋(こますじ)文」となります。

シンプルな横線文様をまわり続けるコマの様子に見立てた名付けは、
独楽⇒まわり続ける⇒縁起が良い
という、いかにも江戸気質な解釈からだといわれています。

というわけで、独楽筋文もまた吉祥文様のひとつ。

 

染付波兎文蕎麦猪口

人気のウサギは、江戸時代から染付・赤絵さまざまに描かれています。
なかでもこの波兎は超定番の人気文様です。

もともと日本では桃山時代から工芸品に波兎が描かれるようになったとか。
おそらくは神話「因幡の白兎」にちなんでデザインされたと思われる「波」と「兎」の組み合せ。
これまた 波兎⇒波に乗り飛躍する というような江戸的おめでたい解釈。

対してやきもののルーツ中国では、明の時代に「月に兎」の題材がよく描かれています。
これは「月に不老不死の霊薬をつくる兎とガマが住んでいる」という伝説を題材にしたものだそうです。

というわけで、この波兎文の背面には月が描かれています。
日本由来の縁起と中国由来の縁起を担いだおめでたい吉祥文様です。

 

染付酒樽文蕎麦猪口

日本では日常の道具類を「宝」として図案化したものが数多くあり、酒樽はそのひとつ。
宝なので、やはり吉祥文様。婚礼をはじめとした祝儀に用いられます。

酒樽に盃の連続文様は見た目にもおめでたい感じがわかりやすいですね。

「外濃(そとだみ)」と呼ばれる絵付けの方法で、
まわりを染付の藍色にし道具を白く浮かび上がらせています。

 

いずれも江戸時代からの定番文様。
蕎麦猪口の文様の面白さ、ぜひ現物を手にとってご覧くださいね(^^)


藤吉憲典 蕎麦猪口展
2016.6.25(土)-7.3(日)

Bistrot & Bar SUNNY
熊本市中央区水道町4-39-2F
TEL096-355-4188

月曜定休

営業時間
火/木/金:18-26時
水/土/日:13-16時18-26時

赤絵の蕎麦猪口~知ると楽しい文様のこと

こんにちは。花祭窯の番頭役ふじゆりです。

6月25日(土)からはじまる熊本SUNNYさんでの
『藤吉憲典 蕎麦猪口展』を存分に楽しむ!をテーマに
文様について小話を展開しております。

これまでにご紹介したのはこちら。

●松竹梅~知ると楽しい文様のこと

●立てば芍薬座れば牡丹~知ると楽しい文様のこと

●植物・気象・動物~知ると楽しい文様のこと


かわいくておめでたい赤絵の蕎麦猪口

うえの写真は左から
染錦扇文蕎麦猪口(そめにしき おうぎもん そばちょこ)錦桃文蕎麦猪口(にしき もももん そばちょこ)
赤絵万暦鳳凰文蕎麦猪口(あかえまんれき ほうおうもん そばちょこ)

いずれもおめでたい吉祥文様です。

染錦扇文蕎麦猪口

扇は神事、舞い、儀式の場に欠かせない道具です。
末広がりの形がめでたく、吉祥文様のひとつ。
江戸の古来から人気です。

赤は魔除けの意味を持つ色
吉祥文様を赤で描くことで、その意味を特に強くします。

お正月はじめ、お祝いの席に喜ばれる文様です。

 

錦桃文蕎麦猪口

桃の実も、おめでたい吉祥文様のひとつ。
桃を吉祥文とするのは、やきもののルーツ中国に由来します。

中国では三果文(さんかもん)と呼び、仏手柑・桃・石榴 の三つの実ものが
「子宝の象徴」「魔除けの力を持つもの」として人気です。

日本でも、神話で鬼を追い払うのに桃が使われたり、
昔話で桃から子どもが生まれてきたり、
やはり「子宝」「魔除け」の実として昔から親しまれています。

 

赤絵万暦鳳凰文

「赤絵万暦(あかえまんれき)」というのは、やきものの文様の描き方の様式のひとつです。

鳳凰(ほうおう)は中国で神聖視された霊獣のひとつ。
良いことの兆しを告げる吉兆の霊獣です。
中国では龍や麒麟(きりん)と並んで吉祥文様として描かれる人気文様。

これもまた、お祝いに喜ばれる文様です。

 

今日は赤絵のおめでたい文様を三つご紹介しました。
蕎麦猪口の文様の面白さ、ぜひ現物を手にとってご覧くださいね(^^)


藤吉憲典 蕎麦猪口展
2016.6.25(土)-7.3(日)

Bistrot & Bar SUNNY
熊本市中央区水道町4-39-2F
TEL096-355-4188

月曜定休

営業時間
火/木/金:18-26時
水/土/日:13-16時18-26時

立てば芍薬座れば牡丹~知ると楽しい文様のこと

こんにちは。花祭窯の番頭役ふじゆりです。

6月25日(土)からはじまる熊本SUNNYさんでの
『藤吉憲典 蕎麦猪口展』を存分に楽しんでいただきたいので、
今日からしばらく文様について小話を展開してまいります。

これまでにご紹介したのはこちら。

●松竹梅~知ると楽しい文様のこと


蕎麦猪口の文様は楽しい

上の写真の蕎麦猪口の名前は、
染付外濃牡丹文蕎麦猪口(そめつけ そとだみ ぼたんもん そばちょこ)。

※豆知識
外濃と書いて「外ダミ」。
絵付の絵具である染付の藍色で塗りつぶすことを「ダミ」といいます。
この文様は、牡丹の花の外側を塗りつぶしてあるので「外ダミ」。

牡丹の花は富貴の象徴

やきもので牡丹のデザインと聞いてぱっと思い浮かぶものは

牡丹唐草文(ぼたんからくさもん)

牡丹唐草文 藤吉憲典

かも知れません。

立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花。

牡丹も芍薬も、花だけ見るととても区別がつきにくいのですが、
やきものに描かれているものは、おおむね牡丹と解釈されています。

その理由は、やきものが中国の影響を受けたものであること。
中国では唐の時代から牡丹の花は富貴の象徴であり、百花の王としてとして人気の高い花なのです。

ですから、同じように華やかに描かれた花でも、縁起を担いで「牡丹」と解釈。

上に紹介した牡丹唐草文のほかにも、岩牡丹文(いわぼたん)、牡丹繋文(ぼたんつなぎ)、短冊牡丹文(たんざくぼたん)など、さまざまに描かれています。

牡丹が文様になっている蕎麦猪口はこちら。

 

松竹梅~知ると楽しい文様のこと

こんにちは。花祭窯(はなまつりがま)番頭役ふじゆりです。

6月25日(土)からはじまる熊本SUNNYさんでの
『藤吉憲典 蕎麦猪口展』を存分に楽しんでいただきたいので、
今日からしばらく文様について小話を展開してまいります。

蕎麦猪口の文様は楽しい

先日「続々・蕎麦猪口について」でも書いたのですが
蕎麦猪口にすっかり魅入られた理由、それは

蕎麦猪口の文様

江戸時代につくられた蕎麦猪口の文様の種類が数千にも及ぶという話を聞いて、
ひとつの形状にそんなにたくさんのデザインが実現するなんてすごい!」と感動したのが最初でした。

そんな文様のお話
第一回目はずばり

日本の吉祥文様の代表格・松竹梅(しょうちくばい)

松竹梅といえば吉祥文様(きっしょうもんよう)=おめでたいデザインの代表格。
吉祥文。「めでた柄」とも呼ばれ、おめでたい、縁起の良い文様の総称です。

松・竹・梅の共通点は「冬の寒さに耐える植物」であること。
また松や竹・笹は古来より「神様の依り代」として神事に欠かせないものでした。

蕎麦猪口では、松・竹・梅がそれぞれ単体で描かれることもあれば、
2種3種と組み合わせで描かれることもあります。
染付でも赤絵でも描かれており、古くからの人気ぶりが伺えます。

寒い季節も緑の葉が美しい松。
不老長寿・健康の象徴です。
蕎麦猪口では老松、若松、三蓋松、松原などなど多様に描かれています。

竹・笹

どこまでも根を張り広がっていく竹。
その繁殖力になぞらえて、無病息災・子孫繁栄の願いがこめられています。

寒さをしのぎ春を告げる慶びの象徴。
花の優しさと高貴な香りが縁起物として愛されています。

 

古典的な題材でありながら、現代もなお愛され続けている松竹梅。
ハレの席に、お祝いに、文様に思いをこめて
贈りものに人気の文様でもあります。

 

藤吉憲典 蕎麦猪口展

こんにちは、ふじゆりです。

熊本のビストロ&バーSUNNYさんで蕎麦猪口展

蕎麦猪口展の案内状がSUNNYさんから届きました!

蕎麦猪口展in熊本

熊本市水道町にある、ビストロ&バーSUNNYでの蕎麦猪口展は今年で三回目。
いつもスタイリッシュなDMをつくってくださるSUNNYのオーナー藤川さん。
今年はそこに添えられた言葉に、特別な思いが詰まっているのを感じました。

藤川さんとはSUNNYをオープンなさる前からのお付き合い。
SUNNYの1周年記念にと蕎麦猪口展のご相談を受け、即断でお受けしたのが2014年。
それから2周年目の昨年、3周年目の今年とお話をいただいています。

4月の熊本地震でお店にも被害があり、また余震がなかなかおさまらず
蕎麦猪口展の開催についても、延期や中止も頭をよぎったことと思います。
お店を再開なさるだけでもどれだけたいへんだったかと、
いろいろな思いを抱えたうえでの開催のご決断に、頭が下がる思いでした。

2011年の東日本の地震ときもそうだったのですが、
わたしたちはわたしたちの仕事で少しでも力になれたら、という思いを強く持っているので、
今回、このタイミングでSUNNYさんの熊本で蕎麦猪口展ができることに、あらためて感謝をしています。

60種類の蕎麦猪口が並びます!

現在160種ほどある蕎麦猪口のレパートリーのなかから、約60種類の文様が並ぶ予定です。
今からの季節に嬉しい涼しげな藍色の染付(そめつけ)はもちろん、元気の出る赤絵の文様も。

そして期間中に限り、熊本産の日本酒を蕎麦猪口で呑むことができる特別メニューも。

初日のランチ・カフェタイムには、つくり手もおじゃましていますので、
蕎麦猪口のこと、やきもののことなどいろいろとお話することも出来ます。

おいしいものを食べながら、呑みながら
蕎麦猪口のいろいろな文様を眺めて、あるいは手にとって楽しんでいただけると幸いです。
蕎麦猪口で、気持ちが潤う場のお手伝いが少しでも出来たら、とても嬉しいです。

わたし個人的には藤川さんのつくるカクテルがとても美しくておいしいので、特に大好きです(^^)
SUNNYドリンクメニュー http://sunny-bistrot.com/menu_drink.html

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Bistrot & Bar SUNNY 3周年
藤吉憲典 蕎麦猪口展
2016.6.25(土)~7.3(日)
*期間中も月曜定休
熊本市水道町4-39-2F
電話096-355-4188
http://sunny-bistrot.com

営業時間18-26時
水・土・日13-16時(ランチ&カフェ)、18-26時
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お近くの方も、遠方の方も、ぜひこの機会にお越しくださいませm(__)m

 

小皿豆皿のこと

こんにちは、ふじゆりです。

北部九州、梅雨入りのニュース。
小雨のなかに紫陽花があざやかです。

さて

小皿豆皿のこと

手塩皿とも呼ばれる径3~4寸ほどまでの小さいお皿。
写真のように、ままごとのような実用品です。

わたしが蕎麦猪口に次いで魅入られたのが、この小皿豆皿。
見て楽しい、使って便利、手のひらにのる愛らしさ。
蕎麦猪口同様、蒐集心をくすぐる小品です。

「こんなに小さくて、なんに使えるの?」という声を何度もお聞きしたことがありますが、
そのたびにお返事しているのが、「実はとっても使い勝手がいいんですよ」ということ。

刺身の醤油皿であったり珍味皿であったり、というのが一番簡単な説明の仕方ですが、
小皿豆皿でわたしが一番助かっているのは、来客時やちょっとした行事の食卓での使い方です。
塗りのトレーや重箱に豆皿を配置して、少しづついろんな料理を盛っていくだけで
あら不思議。華やかで贅沢な雰囲気になるんです。

小さなお皿ですから、盛り付けにたくさんの量は要りません。
料理というよりも、珍味や箸休めになるようなものでいいんです。
ありあわせのものをちょっとづつ盛れば、それだけでなんとなく格好がつく。

「準備の時間がないけれど、おもてなしの気持ちを表したいとき」に最適・最強だと感じています。
わたしは大雑把な性格なので、繊細で美しい盛り付けをするのは苦手。
なので、お皿に任せてしまおう、というわけです。

 

小皿豆皿を探す

小皿豆皿と聞いて、京都の「てっさい堂」さんを思い浮かべる骨董好きの方も多いと思います。
古伊万里も数多く扱っておられるてっさい堂さんは小皿豆皿など小品の充実も有名な名店で、
○○画報はじめ、さまざまな媒体で小皿豆皿の提供や、取材記事を目にします。

わたしも数回行ったことがありますが、毎回その品揃えに圧倒されます。
普段資料として写真でよく見ているものが、そのままたくさんあるというのはすごいことですね。
江戸時代の古伊万里の豆皿を手に入れることができます。

古伊万里の小皿豆皿を見たいならば、もう一箇所、おすすめはやはり
佐賀県の九州陶磁文化館にある柴田コレクションです。
美術館ですから、収蔵品の購入はもちろんできませんが、閲覧には最適です。

柴田コレクションには、江戸時代のさまざまな形・絵付の小皿豆皿があります。
時代を網羅した膨大な数のコレクションは、肥前磁器の宝です。
常設で専用の展示室があり、定期的に展示品が入れ替えられるので、何度でも足を運ぶ楽しみがあり。
骨董屋さんのようにその場で手にとって見ることは出来ませんが、生きた資料だとつくづく思います。

(補足)九州陶磁文化館では、収蔵品を手にとってご覧になりたい場合は、事前申請により、
その理由により許可がおりた場合には、学芸員さん立会いのもと手にとることもできます。

 

そして、最後にちょっとだけ宣伝(笑)

藤吉憲典の小皿豆皿は、こうした肥前磁器の歴史から学んで、復刻したり、あらたに作り出しています。
現在その数約40種。これからもまだまだ増殖しそうです。

続々・蕎麦猪口のこと。

こんにちは。ふじゆりです。

蕎麦猪口(そばちょこ)のこと。

続・蕎麦猪口のこと。

と語ってまいりましたが、その最終回(の予定)。
蕎麦猪口にすっかり魅入られた理由、それは

蕎麦猪口の文様

江戸時代につくられた蕎麦猪口の文様の種類が数千にも及ぶという話を聞いて、
ひとつの形状にそんなにたくさんのデザインが実現するなんてすごい!」と感動したのが最初です。

骨董品や、その破片(陶片)、写真で見る資料に残っている文様の豊かさは見ていて楽しく、
なるほど骨董の蕎麦猪口を蒐集する方の気持ちがわかります。

草花、動物、干支、昆虫、爬虫類、幾何学文、文字、人物、山水、気象などなど

文様の題材にならないものは無いと思えるくらいに、デザインの宝庫です。

日本へのやきもの伝来のルーツとなる中国大陸・朝鮮半島の影響はもちろん、
インドペルシャ文化の流れを感じさせるもの、仏教文化に根ざしたものもたくさん。
そのうえに、日本独自の文化や環境が生んだ文様も加わっています。

身近で素朴な草花や四季を感じる風物の描写は、当時の陶工の周りにあった
豊かな自然を思わせます。

またおめでたい吉祥文様は、中国のやきものにも好まれて描かれていますが、
江戸の時代を反映した縁起担ぎ・駄洒落の効いたものもあり、
文様から日本の風俗文化を感じるものです。

蕎麦猪口という限られた形状に広がる文様の世界。
その面白さにすっかり取り込まれています。

こんな蕎麦猪口の文様の楽しさをもっと知りたい方へのおすすめ本は
「年代別蕎麦猪口大事典」です。

監修の大橋康二さんは、佐賀県立九州陶磁文化館名誉顧問。

九州陶磁文化館といえば、肥前磁器の研究・所蔵が素晴らしく、
特に柴田夫妻コレクションはその数も内容も秀逸で
藤吉憲典が最も勉強をさせていただいた場所。
やきものを志す方には、ぜひ通って欲しい美術館です。