お酒を呑みながら建築のお勉強・その6

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

お酒を呑みながら建築のお勉強・その6
ルネッサンス~バロック

隣町・宗像にお住まいの建築家、株式会社藤井設計室・藤井さんご夫妻のご好意で開催されるスライドショー&勉強会。

毎回、様々な建築様式が登場しますが、その時代背景・文化の流れとともに教えていただけるので、建築素人のわたしたちにもわかりやすく、お腹も心もいっぱいに満たされる勉強会です。

今回のお題は、ルネッサンスからバロックの時代。ちょうどルネッサンス期の芸術作品に関する本を読んでいたダンナともども、タイムリーな内容となりました。

この時期の芸術家は特に、「彫刻家であり建築家であり」というのが珍しくありません。単純にすごいよなぁ、と思っていましたが、本日の講義を聴いて納得。建築と芸術(彫刻)が切り離せないのは概念的な理由ではなくて、実際問題として、両方できないと困るのだということが、建築物を見ながら理解できました。

例えば教会の内装の壁面や柱に彫刻を仕込もうというとき、それは構造物であり装飾物である、ということ。建築と彫刻の両方できる人がやらないと、全体として調和のとれた美しい建築は実現できないのです。床から天井近くまである、壁面から半分以上浮き出たレリーフを見て、つくづくと腑に落ちました。

しかも当時はその要望に応えられないことは、その仕事を失う以上のことを意味したと考えられます。それはもう必死にどちらにも取り組んだであろうということがイメージできました。パトロンに生活を保障してもらえる一方で、要求にこたえる義務や制約が生じるのですね。

それらの要求や制約がまた、当時の人々の才能を開花させるきっかけにもなってはいたのだろうと思いますが、現代、好きなときに好きなものに好きな技法でモノづくりに取り組めるダンナは、とても自由だな、と思いました。

 

文様の話、古典とオリジナル(2)

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

文様の話、古典とオリジナル(2)

「やきものの文様はどこから生まれるのでしょうか」

ふたつめのこたえは、

日常の景色から生まれるオリジナル。

作り手・藤吉憲典を見ていると、日々の暮らしのなかで目にする自然の生きものが、一番文様の素材になりやすいようです。創業の地・佐賀県の花祭は自然豊かな里山で、四季を通じて折々の自然とのかかわりが密接でした。

草花や昆虫などの小さな生きものが文様のもとになるのは、江戸の昔も今も変わらないのだなぁ、と思います。上の写真のヤマユリも、下のナズナも、メダカも、藤吉憲典のオリジナル文様。

ナズナ皿 藤吉憲典 染付メダカ文蕎麦猪口 藤吉憲典

いずれも、古伊万里の古典文様にありそうでなかったものです。そういう新しいものを古伊万里の文脈に乗せて文様化するのも、藤吉憲典の得意技。

ときどき、有田などで作陶している若い作家さんがナズナやメダカを題材にしているのを見つけると、藤吉のデザインを見て真似ているのだろうということがわかります。なぜなら、古伊万里には無いものなので。でも、皆きっと「藤吉憲典が描いているから、あれは古伊万里の写しなのだろう」と思って、写しているのだと思います。

藤吉の生んだ文様が、彼らにとっての古典になっている部分もあるのだなぁ、とひそかに嬉しくなる瞬間です。

↓ひとつめのこたえ「古典の写し」については、こちらでご紹介↓

文様の話、古典とオリジナル(1)

 

文様の話、古典とオリジナル(1)

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

文様の話、古典とオリジナル(1)

「やきものの文様はどこから生まれるのでしょうか」

お客さまからのご質問も多く、わたしもメルマガやブログでときどき思い出したように紹介する内容のひとつです。答えのひとつが、

古典の写し

藤吉憲典の場合、古伊万里の文様からの「写し」が8~9割強ではないでしょうか。やきものの世界にはもともと「写し」の文化があります。「写し」とは、古くからある良いものを真似すること。でもそれは質の悪いコピーを繰り返すこととは違います。「本歌取り」と似ているとわたしは思います。

「写し」で大切なのは、ただそのまま真似するのではなく、元よりももっと良いものにすること。古いものをそのままコピーしても、その評価は「古くさい」となってしまいがちです。そうではなく「なんだか懐かしい」と喜んでもらえることが、写しで大切なことだと思います。

藤吉は窯元時代から商品開発をしており、独立してからのキャリアも含めると30年近く、やきものの文様を生み続けていると言えますが、それを支えているのが、古伊万里の史資料です。古伊万里に大きな影響を与えた韓国や中国の陶磁器の歴史と文化もまた、その「元」になっています。

例えば江戸時代に文化の華開いた蕎麦猪口は、文様の種類が数百とも数千とも言われています。現在までに藤吉憲典が写し直している蕎麦猪口の文様は約160種。まだまだデザインの元がたくさんあるということです。

美術館や骨董やさんにならんでいるやきもの、たくさんの本や美術書でのデータ、そして津屋崎陶片ミュージアムで紹介している陶片の数々も、たいせつな史資料のひとつです。

次回は「オリジナル」について。

 

毎夏恒例、盆踊りの練習。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

先週末は、

毎夏恒例、盆踊りの練習でした。

毎年8月15日は津屋崎の盆踊り。そして、その盆踊り=本番に備えて、毎夏8月に入ると、「盆踊りの練習の日」があります。

以前にも書いたことがありましたが、

盆踊りが終わって

津屋崎の盆踊りは、小さな櫓(やぐら)に三味線、笛、太鼓の生唄生演奏。とっても贅沢な盆踊りなのです。

ところがこの踊り、一周がとても長く、覚えの悪いわたしはなかなか上達しないままに今に至ります。「博多柳町」と「須磨の浦」という二つの唄があり、6年目を迎えた今年は、なんとか「博多柳町」は見よう見まねで行けそうな気もしていますが、「須磨の浦」が難しい…。

そんな盆踊りを控えての練習日。今年は例年にも増して、ベテランのお姉さんたちが熱心に指導をしてくださいました。おかげさまでなんとなく、なんとか踊れるかなぁ…、という気もしてきた今日この頃。

ともあれ、下手でもなんでも、生演奏に合わせて、皆で踊りながら回る時間は、とても特別な時間です。

 

お待たせしております。

こんにちは、花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

お待たせしておりますm(_ _)m

今年2017年は藤吉憲典の個展が五月~七月に重なり、正月明けからその準備に入っていました。そのため上半期はご注文品のお届けがなかなかできず、お客さまにはいつも以上にお待たせをしてしまいました。

八月に入って、ようやくご注文品の制作に集中できる状態になってきました。藤吉憲典は一人でつくっているため、どうしてもこのようなかたちになります。今月末から順番にお届けしていくことができると思います。もう少しお待たせいたしますが、どうぞよろしくお願いいたします。

お取引先のギャラリーさん、その先にいらっしゃるお客さまがご理解くださり、待つ時間も楽しみのひとつとしてくださるので、つくづくありがたいなぁ、と思います。「待ってよかった」と思っていただけるよう、ひとつひとつしっかり丁寧につくって参ります。

いつもありがとうございます。

 

 

読書『イタリアの世界遺産』。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

読書『歴史を旅する イタリアの世界遺産』武村陽子 著

イタリアの世界遺産の歴史解説がわかりやすく簡潔にまとめられていました。表紙の印象から、ガイド本のような感じかと思いきや、読み応えのある本でした。A5サイズで160ページほどの薄手なので、観光ガイドに持ち歩いても使いやすそうです。

まず最初に、「イタリアの世界遺産一覧マップ」を見て、イタリアってこんなに世界遺産があるのね、と驚きました。著者によると、世界で最も多く世界遺産を持つ国なのだそうです。

イタリアのあちこちに点在する世界遺産の位置がわかるよう地図上に記されていること、章立てが「古代ローマ(紀元前8世紀~紀元後5世紀)」から始まり「バロック、そしてその後(16世紀~1870年)」まで、時代ごとに分けて解説されていることから、それぞれの世界遺産の背景がわかりやすいです。巻末には「イタリア略年表」も。コンパクトにまとまっています。

個人的には、少し前に読んだ世界史の本と、最近気になっているルネサンス期の偉人の本と、今回のイタリアの世界遺産の本、それぞれが相互補完的に位置付けられ、とてもタイムリーな読書となりました。

 

格好いいケーキ屋さん。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

格好いいケーキ屋さん。

誕生日だったので、お気に入りのケーキ屋さんに、ケーキを買いに行ってきました。カッコよくて、もちろん最高においしいケーキ屋さんです。

幹線道路沿いにそのケーキ屋さんを見つけたのは、津屋崎に越してきて1年くらいたったころだったと思います。タルトの種類とおいしさにすっかり惚れ込みました。オーナーパティシエを中心に、何人ものスタッフがケーキ作りに取り組んでいる活気あるキッチンがガラス越しに見える人気店。

何年目かのクリスマスケーキを買いに行ったときに、オーナーパティシエのおじさんが「ここを閉めます」とおっしゃって、ビックリしたのでした。そして「別の場所に移転してこっそり小さな店を開くんです」と。

聞けば、もっとこじんまりとしたお店をつくって、自分のつくりたいものだけをつくるのだと。自分のつくるケーキをほんとうに好きだって言ってくれるお客さまだけが来てくれるお店にするのだと。

これを聞いたときに「格好いい!」と感激したのでした。

移転先の新しいお店は、ほんとうにこじんまり。ケーキのショーケースのサイズも以前の5分の1くらいに見えます。そのなかに、定番のタルト数種類と季節の生ケーキが並んでいます。お店もお客さんが一組入ったら、次のお客さんが入れないくらい。でも、不思議なほどうまいタイミングで、入れ替わり立ち替わりお客さまがやってきていました。

キッチンで忙しく手を動かしているオーナーパティシエの顔はとってもおだやかで、実は今年でお店をオープンしてから30年になり、感謝の夏祭りをするからとお誘いいただきました。

30周年を迎える前に、自分のほんとうにやりたいかたちでのケーキ屋さんを実現なさったのだなぁと、その格好良さにあらためて感激した誕生日でした。

 

 

 

読書『15歳から、社長になれる。』

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

読書『15歳から、社長になれる。』 家入一真著

先日オープンしたばかりのカメリアステージ図書館(福津市津屋崎)で、さっそく本を借りてきました。

既に「書籍の数が少ない!」との苦情が多く寄せられているようです。たしかに書架を見ればかなり余裕のある配置で本が並んでおり、空白があちらこちらに。ビジュアル的に「本の数が足りない」感が満載なのです。

でも、並んでいる本をよくよく見ながらぐるりと一周してみると、個人的にはけっこう面白いと思えるタイトルが並んでいて、分野によりかなり癖のあることが感じられる本揃え。聞けば紀伊國屋さんが本の選択などのコンサルで入っているということで、もともと紀伊國屋さん大好きのわたしとしては、ますます期待大なのです。

ということで、今回借りてきたなかで特に面白かった一冊が、これ。


序章にある、このセリフにつきます。(以下引用)

“そもそもこの時代、どんなに有名な大企業でもいきなりぺシャント倒産しかねないし、「安定」の代名詞みたいな公務員の立場だって、どうなっていくかわからない。
(中略)そんな時代を生きていくために、何が必要なのか。
それは、「自分で仕事をつくって、稼いでいける力」を身につけることだと僕は思う。”(『15歳から、社長になれる。』家入一真 より)

現役の小中高生・大学生はもちろん、「気持ちは15歳」の大人にも楽しんでもらえると思います。

 

Potluck Partyという名の呑み会。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

Potluck Partyという名の呑み会。

Potluck Partyというとなんだかおしゃれな響きですが、実態に合わせて翻訳すると「1品持ち寄り呑み会」です。場所も花祭窯の座敷なので畳座で、Potluck Partyの言葉とはイメージがかけ離れていそうにも思えますが、英会話の先生が「それは英語で言うとPotluck Partyだね」とおっしゃったので、間違い無いでしょう。

家族ぐるみのお付き合いで集まって開催することもあれば、気の合う仲間に声をかけておっさんばかりで開催することもあり、はたまた息子のサッカー親子で集うことも。うちで開催することのメリットは、なんといっても、子連れでも遠慮が要らないこと。

1品持ち寄りは、参加者の個性でいろんなものが集まる楽しさが魅力。とはいえ、手づくりにこだわってはいないので、気楽です。手料理を持ってくる方もあれば、お気に入りのものを買って来られる方もあり、それぞれに楽しめます。

幸い、器は売るほどにある花祭窯(笑)
大皿や大鉢に盛ったお料理が食卓に並ぶと、とっても嬉しい気分になります。

 

ラスコー展でクロマニヨン人について考えた。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

ラスコー展でクロマニヨン人について考えた。

事前情報で「複製」「復元模型」の展示物が多いと聞いていましたが、「複製」「復元」だからこそ伝えられることもあるということを、学芸員資格課程のなかで学んでいたのを思い出し、「クロマニヨン人が見た世界」を体感しに行って参りました。

パネル展示・復元模型・復元画・レプリカ・再現展示・映像などなど、さまざまな展示技術・工夫を体感できる特別展でありました。

「ラスコー洞窟への招待」とタイトルのついた再現洞窟を楽しみにしていたのですが、期待していたより距離が短くあっという間に通り抜け。模型や映像資料では洞窟の規模がとても大きい(長い)のがわかるだけに、残念でした。ひとつよかったのは、再現洞窟なので、写真撮影OKだったこと。上の写真が、再現洞窟の内部です。

また、紹介されている壁画がごく一部に限られているのも、少々拍子抜けでした。あれだけの壁面があるのですから、おそらくもっとたくさん、さまざまなモチーフが描かれていたのではないだろうかと想像できるのですが、紹介されているものは、ウシ・ウマ・シカ・バイソン・トナカイ・マンモスなど、非常に限られていたように思います。

どのような顔料を用いて、どのように描いていたのかなど、その当時に思いをはせることのできる展示ではありました。

現在、ラスコー洞窟は限られた研究者以外立ち入りができません。いろいろと制限のあるなかで展示をつくりあげるのは、とても大変だっただろうな、と感じました。