こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。
お客さまからのご相談をきっかけに生まれるもの。
芸術家(アーティスト)は「自分勝手に好きなものを作る」イメージを持っている方も多いと思います。たしかにそういう面も強いです。でも「全くの無」からイメージが降ってくるわけではありません。たまに、自分は何からも影響を受けていない完全なオリジナルだと言う作り手がありますが、それは傲慢です(笑)
古今東西あらゆる芸術は、意識的無意識的に「何かにインスパイアされて生まれる」もの。そこには「第三者の意見」も含まれます。「他者の要望に応えて作るのは芸術ではない!」という方は、美術史に名を残しているアーティストたちを振り返ってみると良いでしょう。芸術のあらゆる分野で、王様をはじめ宗教家、政治家、資産家といった「人」や組織のオーダーに応え、そこに自らの創造性を発揮するところから、名だたる作品が生まれ残ってきていることがわかります。
さて、磁器作家・藤吉憲典もまたしかり。藤吉にインスピレーションを与える最も大きな存在は、「身の回りの自然」と「古き良きもの」ですが、彼の作品を愛してくれる常連のお客さま(ギャラリーやコレクターなど)からの相談もまたその源、きっかけとなることがあります。そしてそれらは、作り手にとって、とてもワクワクすることであることが多いです。
上の写真は、10年以上のお付き合いのお客さまからのご相談に応えたもの。古典的でありながら新しい、用途ある装飾品「葉巻用の灰皿」です。ご相談が無ければ、おそらく藤吉自ら作ろうとは思わなかった分野ですが、ご相談を受けて「面白そう!」と思えば集中して取り組むのが、アーティスト気質なのだと思います。
葉巻の専門店に足を運び、根掘り葉掘り話を聞いたり、灰皿などのアクセサリー類をに手にって見てみたり、実際に何本か購入してみたり。また葉巻を吸っている友人から資料を借り出したり、「実際に吸っている人」の立場からの意見を聞いてみたり。最初に相談を受けてから、実際にこうして「ひとつめ」が形になるまで、1年近くかかっています。
なお特別注文のご相談につきましては、ギャラリーさんも個人のお客さまも、親しく価値観や理想のイメージを共有できるお客さまに限らせていただいています。詳しくは「特別注文のご相談について」をご覧くださいませ。