「わたし(の仕事)は○○です」を、簡潔にわかりやすく伝える方法。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

「わたし(の仕事)は○○です」を、簡潔にわかりやすく伝える方法。

上の写真は、ロンドンのシャーロックホームズミュージアムで手に入れた、シャーロック・ホームズの名刺です。肩書の「Consulting Detective」は、DeepL翻訳の直訳によると「探偵」「顧問探偵」というところ。

これまで名刺に載せる「肩書」については、頭をひねらせたことがありましたが、その名刺を手渡しながら、自分が何者なのかをわかりやすく説明する努力をサボっていました。名刺交換を儀礼的な作業に終わらせてしまっていたのです。名刺を作るのにいくら工夫をしても、渡すときに機械的で無機質な挨拶をしていたら、相手の印象に残るはずもなく、せっかくの機会が水の泡です。

尊敬するお友だち「展示会活用アドバイザー」大島節子さんのブログで、今更ながらそのことに気づきました。彼女がブログを書き続ける姿に影響を受けて、わたしはブログを書き続けています。いわば「師」的存在。その彼女のブログの先日のタイトルが、『あなたは「何屋さんですか?」』で、「仕事内容を端的に言語化できていますか?」と問いかけられました。

できていません…!

これは、言語化せねば!と思いました。大島さんに直接たずねてみたところ、時間にして10秒前後・文字数に変換すると50文字程度を目安に考えるといいですよ、とのこと。大島さんが今一番使っておられる挨拶が「展示会活用アドバイザーの大島です。中小企業向け展示会セミナーの講師とコンサルタントをしています。」ということで、字数が句読点含めて48文字、読んでみたら9秒と、その通りでした。

ということで、さっそく考えてみました。


「花祭窯おかみ」の10秒挨拶

  • 花祭窯の藤吉と申します。主人が陶芸作家・彫刻家で、そのマネジメントと、キュレーションをしています。(51字/9秒33)

「花祭窯おかみ」の10秒挨拶 ちょっと長いバーション

  • 花祭窯の藤吉と申します。主人が陶芸作家・彫刻家で、そのマネジメントと、キュレーションを担当しています。国内外のギャラリーでの個展を中心に活動していて、わたしの仕事は、作品制作以外のほぼ全部です。(98字/15秒62)

「アートエデュケーター」の10秒挨拶

  • アートエデュケーターの藤吉と申します。フリーランスの学芸員で、美術を活用した研修や講座の企画・講師をしています。(57字/9秒75)

「アートエデュケーター」の10秒挨拶 ちょっと長いバージョン

  • アートエデュケーターの藤吉と申します。フリーランスの学芸員で、美術・美術館を活用した研修や講座の企画、講師をしています。ビジネスマンや経営者向けに観察力・創造力・表現力を養うプログラムなども行っています。(102字/16秒70)

「わたし(の仕事)は○○です」第一弾は、まずはこんな感じです。実際にしゃべるときは、その都度時間が変わりますし、言い方も変わりますが、このひな形が身に付いたら、とても楽になりそうです。ストップウォッチで測りながら思ったのは、意図的に少しゆっくり話してもいいかな、ということ。話し言葉では、場面や相手に合わせて変わっていくのが当たり前ですので、いろいろな場面で使っていくうちに、もっとスマートな表現や言い方に改良されていくはずです。

英語でアート!マンツーマンレッスン最終回。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

英語でアート!マンツーマンレッスン最終回。

昨年11月からスタートした『英語でアート!』(マール社/佐藤実・宮本由紀共著宮本由紀さんによる期間限定のマンツーマンレッスン。最終回の四回目が終わりました。展覧会の際にギャラリーでクライアントから聞かれやすいことや、アーティストトークなどの機会に寄せられる質問項目などを想定して、それらに対する受け答えをブラッシュアップすることを目的としたレッスンでした。

その最後は、キュレーター、マネージャー、エージェント的な立場にある「わたし」への質問でした。質問項目は、先日ブログでご紹介しておりました。

レッスン前にこれらの質問に対する回答を考えていたのですが、まず自分自身について英語で語ることがほとんどなかったことを、あらためて痛感しました。特に難しかったのは「How has your role evolved over time, and what have you learned from the experience?」に対する答えで、これはまず日本語できちんと文字にしたこともありませんでしたので、そこからのスタートとなりました。わたしにとっては、自分自身を説明する方法を考える、良い機会となりました。

今後は、この4回(4時間)で学んだことを、自分の言葉として落とし込めるように、練習します。すらすらと口から出てくるように、繰り返し声に出していくのが一番ですね。レッスン中のおしゃべりでもアドバイスいただいたのですが、想定される質問に対して、あらかじめ英文章を作って答えを準備しておくことは、とっても良いこと。準備しておくことで、想定外の質問があったときにも、準備していたなかから組み合わせて回答をすることも出来る場合がありそうです。

宮本由紀さんのアート英語講座 アートを通して英語を学ぶ Art Alliance

再々読書『色の秘密』(文春文庫PLUS)野村順一 著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

再々読書『色の秘密』(文春文庫PLUS)野村順一 著

文春文庫のサイトに「色彩学のバイブル的著書」と書いてあります。わたしが持っているのは「文春文庫PLUS」ですが、文春文庫PLUSのロングセラーが文春文庫版として再び刊行されていましたので、リンク先は「文春文庫版」となっています。なるほど名著ということですね。

藤吉憲典の創作活動において、書画を含めた壁面作品が増えてきたことに伴い、空間装飾について考えることが多くなってきています。久しぶりに手に取りました。わたしが前回読んだのが2020年のことで、そのときも再読でしたので、一番最初に本書を読んだのはいつだったことやら。単行本は1994年刊行となっていましたので、30年前の本ですが、今読んでもなお学びの大きい本です。

文春文庫版の紹介ページに「現代人への快適色彩生活のすすめ」とあります。わたしが今回本書を開いたのも、まさに「生活空間における色彩」について学び直しをしたかったから。本書をヒントに、色の心身への影響を配慮した室内のカラーコーディネートと、差し色としてのアート作品の組み合わせを考えることが出来ます。

わたしたちはふだんから、色に対して無意識かつ直感的・感覚的に反応しています。もとから好きな色、嫌いな色がある人もいらっしゃると思いますが、多くの場合では、状況や環境によって、心地よく感じたり居心地悪く感じたり。本書はそこに論理的(科学的)な理由付けを与えてくれるものです。

これから生活空間におけるアートの提案をしていく際に、これらの知識的な裏付けがあることで、お客さまの生活空間をより心地よいものにするお手伝いができると思います。これからもことあるごとに読み直す本になりそうです。

『色の秘密』(文春文庫PLUS)野村順一 著 ※文春文庫版のリンクに飛びます。

続・読書『新しいアートのかたち NFTアートは何を変えるか』(平凡社新書)施井泰平著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

続・読書『新しいアートのかたち NFTアートは何を変えるか』(平凡社新書)施井泰平著

つい先日読書記録をアップしたばかりですが

ちょっと、時間をとってしっかり自分の考えを整理したい部分が結構ありましたので、あらためてまとめ直し、というか、以下、備忘メモ。


  • アートの歴史を振り返ってみれば、最も時代を象徴するアート作品は、いつもその時代の「長者」が買うような作品群でした。
  • (ラスコーやアルタミラの時代から最新のNFTアートの時代まで、変わらないアートの本質とは)未来に向けて価値を問う、つまり「時を隔てて唯一性のある普遍的な価値を問うこと」
  • 時を隔てて唯一性のある普遍的な価値を問う「意志」を持ってつくったもの
  • NFTという生まれたばかりの技術がすぐにアートと結びついたのは、アートが必要としてきた「価値継承の環境」をつくる上で、それがひじょうに優れた道具であったから
  • 作品の真正性や由来(制作者やつくられた年など)、その後の流通や利用を示すための「証明書」「公式記録」「鑑定書」のようなものとして信頼のできる情報
  • 批評家や美術館学芸員、キュレーターのように、作品が持つ社会的な文脈を言葉で解説してくれる人
  • 「この作品を買った」「このアーティストが素晴らしい」と宣伝を買って出てくれるような「コレクター/インフルエンサー」
  • コレクションをつくる上で重要なのは、ある種のテーマ設定や一貫性のようなもの
  • 厳しい著作権の管理は、既存の現代アート業界ではむしろ当たり前
  • クローン文化財は、それ自体がある種の「作品性」を帯びるものとなる可能性がある
  • アートの民主化
  • 世界中のどんな場所にいても、普遍的な永続する価値を世界に問うことができるようになる
  • これからもアートのメインストリームにおいては、権威に基づいた希少性が価値に直結するであろうことに変わりはありません。
  • アーティストを発見して育て、プロデュースするというギャラリーが持っている基本的な役割
  • 作品の情報アーカイブという役割は徐々にブロックチェーンに移っていくとしても、キュレーションや批評といった職業の重要性は変わらず、むしろ高まっていくかもしれません。
  • これまで、ギャラリーが果たしてきた「物語づくり」の役割を誰が担うのか。
  • 「美しいもの」をつくる
  • アーカイブの重要性
  • 時代を超えた普遍性の感覚
  • 「所有できるもの」の時代へ
  • アカデミーのような文化的、社会的な価値をつくっていく機能
  • ミュージアムの価値は、「歴史」にある過去から未来への長い時間軸のなかでモノや情報を伝えていく「通事性のメディア」(テレビ・ラジオ・新聞など多くの「共時性のメディア」に対して)
  • 時代を先導していく「切り込み隊長」としてのキュレーター
  • 所有がもつダイナミズムによって、時代を隔てた価値を問うアートの生態系が維持されている

『新しいアートのかたち NFTアートは何を変えるか』(平凡社新書)施井泰平著より


NFT以前に大事なことが、たくさんでした。思えばわたしには、コレクターがコレクションを形成していくうえでなにを重視しているのか、という、ある種の「かたまり/まとまり」の価値に対する考察が欠けていたように思います。花祭窯おかみ=キュレーターの果たすべき役割を、ちゃんと自分のなかで整理し直そうと思います。

このところ、インプット>アウトプットでしたので。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

このところ、インプット>アウトプットでしたので。

2月からは、アウトプットを意識して参ります。わたくしごとですが、幼少の頃から「学ぶ」ことが好きだったのだと思います。気がつけば新年スタートの一か月は、本に映画に美術館にと、インプット満載=至福の時間を満喫いたしました。

ところがインプット>アウトプットだな、と感じてくると、本棚に並んでいる成毛眞著『黄金のアウトプット術』が目につくようになってくるのですから、不思議なものです。本書を最初に読んだのは2018年のことですから、もう6年近く前ということになりますが、そこで問いかけられていることはまったく色褪せません。

毎日のブログはすっかり習慣になっていますので、常に一定量のアウトプットはしてはおりますが、インプット量に対してぜんぜん足りていない。もっと言えば、それらが『私』という媒体を通して成果・実績に化けているかどうかが定かではない。「もっと成果として外に出さねば!」の思いが自分の内側から聞こえてくるのは、面白いことです。成毛眞氏によれば「アウトプットをすることが、よりすぐれたインプットにつながる」のであり、これは常々体感していることでもありますから、2月以降もおおいに本や映画や美術館を楽しむためにも、まずはアウトプットです。

実のところ、企み中のアウトプットは、いくつかあるのです。まず力を入れていこうとしているものは次の三つ。それぞれ、カタチになり次第ご紹介して参ります。

  • 藤吉憲典のアートを増殖・拡散させる。
  • アートエデュケーションプログラムのリリース。
  • 出版物制作。

2024年の春節は2月10日からということですが、そのまえに節分と立春がありますので、新しいことのスタートに最適です。皆さんもこの2月、アウトプットに力を入れてみませんか。レッツスタート!

2024年九州産業大学国際シンポジウム 博物館と医療・福祉のより良い関係 に参加いたしました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

2024年九州産業大学国際シンポジウム 博物館と医療・福祉のより良い関係 に参加いたしました。

2019年から毎年開催されている、九州産業大学緒方泉教授が率いる、「大学における文化芸術推進事業(文化庁)」の国際シンポジウム。今年も参加することが出来ました。会場を設けて現地開催したのは最初の2019年だけで、そのあとはコロナ禍下でZoom開催となりました。この経験がそのまま生かされていて、今回も引き続き、日本・英国・米国をつないでオンラインでの開催でした。同じ場所に一同が介するからこそ得ることのできるものももちろんあると思いますが、オンラインによって比較的リラックスした雰囲気で開催できるというのも、大きな成果なのだと思います。また今年は全国から優に100名を超える参加者があり、これもまたオンラインだからこそ、かもしれません。

今回のテーマは「社会課題と向き合う博物館」。2023年度の学芸員技術研修会でも、博物館リンクワーカー人材養成講座でも、この一年間は、これがテーマになっていました。登壇者は、英国ダリッジ・ピクチャー・ミュージアムと米国ケアリングカインドから。米国からは「博物館のアクセス指導者(access educator)」という職種が20年以上も前からあることと、その役割と成果を知ることが出来ました。また毎回、最新の取り組みを報告してくださるロンドンのダリッジ・ピクチャー・ギャラリーからの発表は、今回もとても刺激的でした。

以下、備忘。


  • social impact
  • 大切なのは、わたしたちの行為の内容や意図ではなく、その効果。
  • 博物館が実際に人々の生活や人生を変えられるとしたら、まず人々の生活や人生の一部になる必要がある。
  • 子ども・若者への一貫した支援の必要性。
  • 学校における資源(人的・物的)不足を、美術館が補う。
  • 教員のサポート。
  • マインドフルネス・リラクゼーション・創造的問題解決。
  • 学校現場における創造的資源不足。
  • 移行期に人が持つ感情:未知の世界に対する緊張感・興奮・恐れ
  • slow looking
  • 作品への没入を促す瞑想への手引き。
  • 日常から解放された自由な時間のなかで、何が起きるのか。
  • access educator
  • connect2culture®
  • 認知症患者の支援と、その介護者の支援。
  • Meet Me at MoMA
  • 文化団体のネットワーク構築。
  • プログラムの評価を行う仕組み。

毎年このような素晴らしい機会を用意してくださる緒方先生に、心より感謝いたします。ありがとうございました!

博物館リンクワーカー人材養成講座 2023-その3。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

博物館リンクワーカー人材養成講座 2023-その3。

博物館リンクワーカー人材養成講座 2023。3回目の参加となった今回は、福岡市博物館の教育普及担当さんからの発表でした。タイトルは「“院内学級”に対するオンラインプログラムの開発~これまでとこれから~」。福祉との連携を探るリンクワーカー人材養成講座では、認知症への対応や連携など高齢者の方々とのつながりでの実践発表が多かったのですが、今回は病気やけがなどで学校に通えない子どもたちが学ぶ「院内学級」との連携のお話でした。

以下、福岡市博物館からのお話と、語り場からの備忘。


  • 「博物館はおもしろい」を扉に、さまざまなことを学ぶ機会を提供したい。
  • 各プログラムの「学習の手引き」を作成し、学校の学習指導要領に沿った視点・解説を入れる。
  • 「院内学級」に限らず、さまざまなパターンでの「出前授業」としての活用可能性。
  • 社会とのつながりが遮断されがちな人たちへのアプローチ―不登校、大人の引きこもり、ギフテッド…
  • 組織としての取り組みが無くても、まずは個人としてできることをスタート➜いずれ広げていけるように。
  • 多職種連携、他業種連携。
  • オンラインプログラム用に、ハードコピー・レプリカ等の手元資料の事前配布。
  • 安定した通信環境があれば、タブレット端末だけで博物館ツアーのオンラインプログラムリアルタイム実施が可能。

博物館リンクワーカー人材養成講座は、参加する方の所属や職種が回を増すごとに広がっています。講座の音頭をとっていらっしゃる九州産業大学緒方先生のご尽力によるもので、すごいなぁと思います。まさに「リンクワーカー」を増やす試みとして、機能しています。そして、毎回の情報共有時間「語り場」で出会う皆さんが、それぞれにご自身の居場所で取り組んでいらっしゃる活動の面白さ。たくさんのお話を聞くなかで、皆さんに次に会ったときに自分の活動報告が出来るように、と、モチベーションが上がります。

次回は2023年度の最終回。楽しみです。

再読書『知覚力を磨く 絵画を観察するように世界を見る技法』(ダイヤモンド社)神田房枝著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

再読書『知覚力を磨く 絵画を観察するように世界を見る技法』(ダイヤモンド社)神田房枝著

美術教育(研修)のプログラムをまとめ直す必要が生じ、このところ関連書籍を読み直ししています。山口周さんの『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか』、藤掛明先生の『コラージュ入門』…

そして『知覚力を磨く』へ。前回読んだのは2020年10月末。もう3年も前のことだったとわかり、ちょっと驚きました。というのも、本書に書かれている内容に、今なお新しさを感じるからです。

以下備忘。


  • 思考の前提となる認知、すなわち「知覚(perception)」
  • 知覚とは、目の前の情報を受け入れ、独自の解釈を加えるプロセス
  • 「どこに眼を向けて、何を感じるのか?」「感じ取った事実をどう解釈するのか?」
  • 人間の知的生産には、「知覚➜思考➜実行」という3つのステージがあります
  • 何の先入観も持たず、ただ眼の前の事物・事象をありのままに見ることが出来なくなってきている
  • 知覚とは、自分を取り巻く世界の情報を、既存の知識と統合しながら解釈すること
  • 新しいものは「誰かの主観」から生まれる
  • 知覚の価値は、他人とは異なる意味づけそれ自体のなかにあります
  • 情報は(中略)データそのものよりも、知覚に基づいた「意味づけ」が圧倒的に重要
  • ゼロベースで観る
  • インプットされた情報を既存の知識と統合し、意味を付与する知覚プロセスのほうは、半自動的に進む
  • 知覚という“コントロールできないもの”を磨く
  • 知覚的盲目
  • 何か明確な目的をもって探している状態からは、なかなか新しいものは出てこない
  • 観察眼を鋭くすれば、「アイデアを観る眼」も磨かれる
  • 絵画が最適な理由①バイアスが介在しづらい②フレームで区切られている③全体を見渡す力がつく
  • 注意点①十分な観察時間②多くの解釈を生む眼のつけどころ③知覚を歪める要素の排除
  • (水墨画)この絵に描かれたパーツは、あくまでも全体との調和のなかで意味を持っており、それらの位置・バランス・濃淡・強調度合い・空白部分なども含めた知覚に支えられている
  • ほとんどの創造性に関与しているのは、過去の学習・経験から得た知識を関連づけるプロセス
  • 点と点をつなぐ観察
  • 曖昧性が深まるほど、「知覚」への依存度は高まる

『知覚力を磨く 絵画を観察するように世界を見る技法』(ダイヤモンド社)神田房枝より


おかげでかなり復習&インプットし直しが出来ましたので、そろそろアウトプットにつなげて参ります。

博物館リンクワーカー人材養成講座 2023-その2。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

博物館リンクワーカー人材養成講座 2023-その2。

博物館リンクワーカー人材養成講座 2023、前回は甲賀市教育委員会事務局歴史文化財課の佐野正晴氏による『「歴史文化財課 佐野さんの民具図鑑」の作り方』でした。

今回は、山梨県にある「中村キース・へリング美術館」の学芸員さんによる「社会課題と向き合う美術館活動」のお話。キース・へリングのコレクションを持ち、キース・へリング財団から日本で唯一認証されている美術館ということで、個人的には今年度の連続講座のなかで一番興味を持っていた回です。上の写真は、中村キース・へリング美術館のサイトから。https://www.nakamura-haring.com/

31歳という早逝のキース・へリングですが、ニューヨークでブレイク後、日本では1983年の初来日以降なんども展覧会が開かれ、本人も来日しています。ダンナ・藤吉憲典は、高校卒業後に上京して東京で最初に観た展覧会が、キース・へリングだったとのこと。この時は、へリング本人も来日していました。そんなふうに、我々世代にとっては、とても親近感ある存在です。

以下、中村キース・へリング美術館「社会課題と向き合う美術館活動」のお話より、備忘。


  • キース・へリングが向かい合った(’80年代当時の)社会課題➜美術館としてその意思を継いで「今日的」な社会課題に向き合う。
  • キース・へリング=アーティストであり、アクティビスト(政治的・社会的活動家)。
  • 「展覧会活動」と「社会活動」の両軸。
  • リスペクト&インクルーシヴ。
  • 著作権から生じる利益➜財団➜社会活動資金:本人が没したのちも継続できる社会活動基盤の仕組みを作り上げた。
  • ↑↓キース・へリングの作品は、既に社会に溶け込んでいる
  • ↑例えば…各種ブランド等とのコラボ商品➜コピーライト商品によるのアートの拡散。
    パブリックアートの大量設置➜「見たことがある!」機会の大量提供。
  • Art is for Everybody.
  • アートを見るために足を運んでもらうのではなく、日常の中にアートを出していく。
  • 大切なのは、アートに興味のない人の「目に触れる」こと、「足を止める」こと。

↓中村キース・へリング美術館の取り組み↓

  • 美術分野の専門家だけでなく社会課題に携わる専門家へのインタビュー、共同プロジェクト。
  • 狭い分野の専門家から、個々の声を拾い上げ、発信する。
  • 作家年表・世界史年表・日本史年表(+美術館として起こしたアクション)を一覧➜作品が生まれる裏にあった社会の動きが見え、作品・作家への理解が深まる。

↓「語り場」から↓

  • 身近なところから取り組める社会活動がたくさんあり、そうと意識していないだけで、すでに取り組んでいる社会活動がたくさんある。
  • 各館の取り組みをもっとアピールしていく必要性。
  • 近年格段にやりやすくなってきている情報発信。継続的に取り組むには、まずは発信する側が楽しんでいるか。
  • 資料・情報をどう見せるか、どう伝えるか。
  • 社会課題と美術館をどうつなげていくか➜どの館にも必ず身近な社会課題との接点があり、それほど難しいことでは無い。

アートエデュケーターとしてだけでなく、現代にアーティストをプロデュースする立場としても、ものすごく考えさせられ、勉強になりました。山梨にある館に、足を運ぶ機会を必ず作りたいと思います。

コラージュ(切り貼り絵)講座@郷育カレッジ、今年も開催いたしました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

コラージュ(切り貼り絵)講座@郷育カレッジ、今年も開催いたしました。

もともとは数年前に、郷育カレッジに美術系の講座がほとんど無いよね…というところから、これではイカンと始まった講座のうちの一つです。美術の教育普及ワークショップメニューのひとつですが、「心の健康」へのアプローチを意図しています。コラージュ制作を通じて、自分の内側を可視化し、客観的に受け入れていくことで、心のリフレッシュを図る。わたしはこのワークショップを「Meet Me at コラージュ(=コラージュ制作を通じて自分に出会う)」と名付けています。

今回の講座では、コラージュ制作に時間をかけるだけでなく、グループワークの時間をたくさんとることが出来ました。毎年、ご参加の方々の特徴がそれぞれにあるのですが、今年はまずご参加の皆さんの集中力の高さに驚かされました。15分ほどのインストラクションを経て、「では実際に作ってみましょう」で作業をスタートしてすぐに、会場がシーンとなったのです。今までの経験からするとかなり珍しいことでした。作業時間が進むにつれて静かになっていくパターンは多いのですが。

皆さん黙々と手を動かしはじめて、すぐに制作の世界に没入されたので、予定時間通りにスムーズに進みました。あとから何人かの方にお話を伺うと、「自分が形にしたいもの」のイメージが既になんとなく自分のなかにあった、という方が少なからずおられました。もしかしたら、受講に合わせてイメージトレーニングをしてきてくださっていたのかもしれません。皆さまの意欲を感じました。

以下、受講者の皆さまからのご感想から。


  • たいへん楽しい講座でした。
  • 初めての体験でしたが、とても楽しかったです。自宅でもやってみようと思います。
  • 毎年参加しているが、自分を振り返る大事な時間になっています。
  • 切り貼り絵、参加してみて楽しかったです。またこのような機会があればと思います。
  • 初めての体験で、あっという間に時間が経ちました。ありがとうございました。
  • 初めてでしたが楽しかったです。自宅でもまた作ってみたいと思います。
  • 他の人の作品を見せてもらって、思いを話していただいたのが楽しかった。

初受講の方が楽しんでくださったこと、二回目以降の方が自分の振り返りの機会にしてくださっていることに、まずは講師としてはホッとしています。そして「自宅でもやってみる」と思ってくださった方が、何人もいらっしゃったのも、とても嬉しいことでした。そうなんです。簡単なので、ぜひ気が向いたときにやって欲しいのです。と言いつつ、自分自身そんなに定期的にできているわけではありませんが。

まずはコラージュ制作自体を「楽しい!」と思っていただけることが、一番大切です。その次の段階として、コラージュから読みとれる「自分」に関心を持って向き合うことの大切さを、じわじわと伝えていけたら良いな、と思います。美術的コラージュの良さを存分に生かしつつ、くつろいで対話を楽しめる場になるように、エデュケーターとして心がけて参ります。