インプットツアー in 佐賀県武雄市。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

インプットツアー in 佐賀県武雄市。

花祭窯の創業地は佐賀県江北町花祭。花祭に居たときは武雄市は生活圏でした。窯業産地である有田に、材料の仕入れや資料の勉強などに足を運ぶのに、通り道である武雄市は必ず通る場所。図書館や宇宙科学館などの公共施設があり、品質の良いものが集まる農産物直売所があり、泉質の良い日帰り温泉もあって、とってもお世話になった場所でもあります。そんな、馴染み深い武雄温泉エリアですが、津屋崎に移転してからは、「通過する場所」になってしまっていました。この連休中に、武雄に行く用事ができましたので、この機会にインプットツアー^^

まずは佐賀県立宇宙科学館へ。子どもが小さいころによく連れて行きました。連休中とあって、朝一番から、家族連れや子どもを主体とした団体がたくさんでした。まずは各フロアの展示を拝見。基本的なフロア構成は20年近く前から変わっていませんでしたが、相変わらず充実しているなぁ、これは子どもを連れてきたいと思うよなぁ、という感想です。参加型・体験型の設備がより充実していたり、展示の色使いに工夫が凝らされていたり、さりげない心遣いによる改善が、あちらこちらに見えました。今回は、今まで行ったことの無かったプラネタリウムも初体験。プラネタリウムの番組もいろいろありますね。久しぶりのプラネタリウムは、人気があるのかなぁと心配していましたが、なんとほぼ満席でした。

佐賀県在住時に武雄市内で一番よく通ったのは、図書館です。武雄市図書館といえば、蔦屋書店でお馴染みのCCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社)が指定管理者に入り、大きく変貌したのが2013年からのことでした。全国から図書館関係者が視察に押し寄せ、一躍有名になりましたので、覚えていらっしゃる方も多いかもしれません。花祭窯が津屋崎に移転した1年後のことでしたので、わたしたちが馴染んだ武雄市図書館は、変化する前の図書館でした。10数年を経て、ようやく訪問。わたしがよく知っていたあの同じ空間が、こんなふうに変わるなんて!とある種の感慨がありました。店舗設計の力を感じました。図書館エリアも本屋さんエリアもカフェも、地元民に愛されていることがよくわかる賑わいぶりで、楽しい視察となりました。

最後は、御船山エリアにある陽光美術館へ。「日中文化交流の懸け橋になることを願い、日本磁器発祥の地である佐賀において、そのルーツである中国陶磁器を展示しています」とある通り、中国磁器の名品を所蔵しておられます。ずっと気になっていましたが、今回が初めての訪問でした。ちょうど、陽光美術館開館30周年記念展ということで、所蔵名品展のうち『青と赤-鉄と銅と炎の世界-』と題したテーマ展を観ることができました。展示スペースはこじんまりとしていて、観ることのできる点数は決して多くはありませんが、良いものを拝見できて大満足。隣接する日本庭園「慧洲園」を、ゆっくり眺めることができたのも良かったです。上の写真は、陽光美術館の休憩エリアから眺めた庭園。

いずれも武雄温泉駅から車で5分以内にある施設。丸1日で、ゆっくりじっくり楽しむことができました。わたしは車で動きましたが、武雄温泉駅内にある武雄市観光協会で、電動自転車のレンタサイクルもあります。お天気にも恵まれ、大満足のインプットツアーになりました^^

郷育カレッジ来年度に向けてのカリキュラム編成会議がはじまりました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

郷育カレッジ来年度に向けてのカリキュラム編成会議がはじまりました。

福津市民のための生涯学習システム「郷育カレッジ」。2026年度(令和8年度)のカレッジがスタートしました!と言っていたのは7月のことで、つい先日のような気がしていますが、9月になるともう次の年のカリキュラムの検討がはじまります。現在進行中の今年度プログラムの実施状況を確認しながら、進めて参ります。

まずは、実施された講座内容の評価が中心になります。講座を受講した方からの感想・アンケート集計、講師からのヒアリング、講座運営のなかで事務局が気付いたことなど。実施が完了したものから、一つ一つの講座について検討していきますので、まあまあ時間がかかります。

郷育カレッジの運営は、市民運営委員(ボランティア)と、市役所職員さんとの協働チームです。郷育カレッジがスタートした20年以上前に比べると、専任の市職員さんが少なくなっていて、市の予算も削減されることはあっても増やすことは難しい状況。限られた原資で良質の生涯学習サービスを維持するのに、頭をひねりながらの運営です。

そんななかで、今年度は講座数を絞り込みつつ、1講座当たりのキャパシティ=受講定員数を広げる試みをはじめました。講座数が少し減っても、延べ定員数を増やすことができれば、一人でも多くの方に学習機会を提供することができます。これまでのところ、定員数を広げたことによるトラブルや不満の声は無く、うまくいっている手ごたえがあります。もちろん、講座内容によって適正な人数上限がありますので、これもまた、一つ一つの検討が必要です。

という感じで、カリキュラムの大枠が決まる今年いっぱいまでは、じっくりと検討する時間になります。一筋縄ではいきませんが、とてもやりがいのある任務です^^

郷育カレッジ講座「知識要らずの美術鑑賞」を開催しました。

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郷育カレッジ講座「知識要らずの美術鑑賞」を開催しました。

福津市民のための生涯学習システム「郷育カレッジ」。今年も福岡市美術館さんのご協力を得て、「知識要らずの美術鑑賞」講座を開催して参りました。現地で参加者の世話役をしてくださるのは、福岡市美術館の教育普及プログラム担当の学芸員さんと、美術館ボランティアガイドの方々です。今年は、例年よりも参加定員を増やすことができました。福津市から福岡市美術館までは、市の公用バスを利用しての移動です。その定員を、コロナ禍後は用心して少なめに人数制限していたのですが、バスの正規の定員まで広げることにより、昨年までより10名ほどアップ。おかげさまで、今年は参加ご希望者の抽選漏れ人数を減らすことができたと思います。

さて当日のわたしの主な仕事は、移動のバス車中での簡単なレクチャー。「知識要らずの美術鑑賞」のタイトルは、わたしが一般向けに分かりやすいように考えたものであり、そのなかで実施されるプログラムは「対話型鑑賞法」を用いたものです。福岡市美術館の学芸員さんとの事前の打ち合わせで、対話型鑑賞法で大切なことについて、皆さんに解説しておいて欲しいというようなご要望がありましたので、バス移動の時間を使いました。

到着後は、福岡市美術館の教育普及担当スタッフさんにお任せです^^。対話型鑑賞のグループは4~5名で、7グループ。それぞれにボランティアガイドさんが一人ついてくださり、常設展示室での鑑賞を行います。それぞれのガイドさんが選んだ3つの作品について、各グループでの対話が始まると、最初は遠慮がちだった参加者の皆さんも、3作品目になると活発な発言が増えてきて、和気あいあいとした声が聞こえてきました。仕掛け人としては、思わずニンマリする瞬間です。

対話型鑑賞の時間が終わったら、自由観覧時間。こちらは文字通り自由に、それぞれに気になるものを観に行っていただく時間です。対話型鑑賞は一つ一つの作品をじっくり見るので、時間内では3つが限度になりますし、集中力が続くのもそれぐらい。でも「せっかくここに来たのだから」ということで、「自分が見たいと思うもの」を探しに行ってもらうのも、良い時間になると思います。帰りのバスの中では、皆さん楽しそうに近くの席の方とおしゃべりがはずんでいました。

というわけで、今年も無事講座を開催することができました。参加者の皆さん、福岡市美術館教育普及担当学芸員さん、ボランティアガイドの皆さん、そしてバスの手配はじめこまごまとした雑務をこなしてくださる市職員さんに心より感謝です^^

一人会議のテーマは、いかに仕事をシンプルにしていくか。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

一人会議のテーマは、いかに仕事をシンプルにしていくか。

9月になりました。8月は自分の誕生月で、今後の仕事の仕方を考えるのに、ちょうど良いタイミングでした。というか、定期的に時間確保してちゃんと考えなきゃダメよね!という感じ。会社勤めの友人たちを見ていると、ここ数年でセカンドキャリアに進んだ人もいれば、そろそろ定年後を見据えて次を考えようかな、という人もあり。定年退職後は仕事をしないという選択を、少なくともわたしの周りではほとんど聞かないのは、時代なのだろうなぁ、と思います。年齢に応じて働き方を考えるのは、自営業者だろうと、会社勤めであろうと、経営者であろうと同じですね。

わたしにとって最大の検討事項は、花祭窯のおかみとしての仕事を、いかにシンプルにするか。まずは、まとめられるところはまとめ、省けるものは省き、簡潔にすること。そして、いざというときに、どこに(誰に)、どのように頼れば安心か、を整えていくことが必要です。そのための「他力本願!」であり、これを言いはじめて数年が経ちますが、ここから3年以内には目途をつけたいところです。と、ここで宣言^^

というわけで、集中して考えるために、一人ショートトリップ会議をして参りました(笑)。会社員だった頃、社員研修や特別な会議といえば、どこぞの研修所やらホテルやらに場所を移すのが当たり前で、最初はどうしてわざわざ時間とお金をかけてと思ったものでした。ですが実際にその場に身を置けば、場所を変えることには大きな意味があることがわかります。それは、職住一致の自営業者となった今では、尚更強く感じるところです。

片道約1時間のショートトリップでしたが、これが、期待以上に良かったです。集中してものを考えたいときに、たった一日でも、要らぬ気を使わなくてよい、安定した環境に入り込むのは、なによりも効果のあることかもしれません。ふだんの仕事やら、生活が入り込んでこないのがGOOD。これは、年に1回といわず定期的に実施したほうが良いかもしれないなぁ、と思いました。ここからしっかり成果を上げて行きたいと思います^^

北九州市漫画ミュージアムがすごかった!

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

北九州市漫画ミュージアムがすごかった!

ずっと気になりながら行けていない美術館・博物館が、いくつもあります。そのなかのひとつだった北九州漫画ミュージアムに、ようやく足を運ぶことができました。場所はJR小倉駅から徒歩2分。電車で約1時間というすぐ近くにありながら、そして小倉にはたびたび足を運んでいながら、やっと!です。

今では、美術館や博物館で漫画やアニメを題材にした特別展は珍しいことではないどころか稼ぎ頭になっていますし、全国各地に「漫画ミュージアム」が存在しています。この北九市漫画ミュージアムが設立したころにはまだ「漫画を公立の施設で?」という声が、多少あったような気がします。わたしはこれまでに博物館学芸員の研修で、なんどか北九州市漫画ミュージアムの学芸員さんのお話を聞く機会があり、「漫画だから」のご苦労をお聞きしたことがありました。

さて漫画ミュージアム。『「見る!」「読む!」「描く!」の3つのテーマで楽しめる!』ということで、常設エリア入ってすぐに「なぜ、北九州市で漫画ミュージアムなのか」を理解することができる展示がなされていました。上の写真は、入館者を最初に出迎えてくれる、写真撮影OKのメーテル^^ 漫画の仕組み、漫画の歴史、北九州市ゆかりの作家たちに関連する収蔵作品の展示などを観ながら進んでいくと、圧巻の「閲覧ゾーン」が目の前に広がります。

蔵書数7万冊という漫画が棚を埋め尽くし、ゆっくり座って読むことのできるスペースがかなり広く確保してあります。わたしが訪問したのは日曜日でもあり、まあとにかくたくさんの人が黙々と漫画を読んでいました。老若男女問わず、家族連れも多く。一瞬、ネットカフェっぽいと思いましたが、その空間が広々と明るいことが大きな違いでした。大量の漫画ですが、漫画家のお名前五十音順の分類と棚の表示は明確で、試しに何人か思いつく漫画家名で探してみましたが、いずれも難なく見つかりました。

うっかりすると、ここで漫画を読むだけで一日過ごしてしまう、なんてことが容易にイメージできました。危険です(笑)。なので今回は「1冊だけ」と決めて、「一条ゆかり」先生の『有閑倶楽部』を探しました。検索性の高さ、すごいです。ぱっと見つかり、すぐ横に空いていたソファーで読みました。うん、何十年ぶりかで読みましたが、やっぱり面白かったです。こうなると、そういえば…といろいろな漫画のタイトルが思い浮かんで、危険な状態に。さほど漫画に夢中になったわけではない自分でもこうなのですから、マンガ好きの人にはたまらない空間だろうな、と思いました。

常設展の観覧料は大人480円で、当日内ならば何度でも出入りOKという太っ腹。7万冊が読み放題ですから、めちゃめちゃお得です。そして入館時に観察していると、大人も子どもも「年間パス」を持っている人がとても多かったのが、おお~!と思いました。ちなみに年間パスポートは大人で2400円。これは、近所に住んでいたら、年間パスポートを絶対買いますね(笑)。

これまでの人生の中で、一度でも漫画にハマった時期がある方には、ぜひ足を運んでいただきたいミュージアムです。

北九州市漫画ミュージアム

福岡市美術館の常設展示室がますますパワーアップ。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

福岡市美術館の常設展示室がますますパワーアップ。

このところ年中行事となりつつある、福岡市美術館の常設展詣で。今年も郷育カレッジの美術鑑賞講座が9月に開催されるので、その下見と打ち合わせのために出かけて参りました。打ち合わせは午後からでしたので、その前にじっくり下見です。まずは2階の「コレクションハイライト」の部屋から。

2階の常設展示室は、数年かけて部分的に閉めながら工事をしていましたが、やっとフルオープンになっていました。まずはエントランスからガラッと変わっていてびっくり。一番大きく変更されていた部屋は、壁面・天井・床とすべて変わっていて、まるで特別展のような雰囲気がありました。照明にも専門の展示業者さんが入ったということで、なるほど納得です。

これまでに何度も観たことのある収蔵作品も、展示が変われば見え方も変わります。思わず「ほほぉ~!」と感心しながらの鑑賞となりました。一つ一つの作品が、これまでよりも大切にされている感じが伝わってきました。上の写真は、それを大きく感じたひとつ、ダリの『ポルト・リガトの聖母』です。没入できるような部屋のつくりになっていて、とても贅沢でした。この絵の前で写真を撮る人も多々。そうよね、撮りたくなるよね!と心のなかで声をかけました。

夏休み期間中とあって、子ども向けのワークショップやイベントが工夫されていました。特にいいなぁと思ったのは、展示室のなかで作品に囲まれた状態でワークショップができるスペースを設けてあったこと。展示室とは別のエリアにワークショップ用の部屋を設けてある美術館は多いですし、福岡市美術館にももちろんあります。展示スペースと同じ場所にワークショップコーナーを設けることは、作品保護の観点からも、反対されることが多いだろうとイメージできます。でも、ホンモノの美術作品を見ながら、自分の手からも何かを生み出すことができるのは、とても素晴らしいこと。担当学芸員さんの頑張りがあったことが伺えました。

続いて古美術の1階へ。まず、茶人・松永翁のコレクションは安定の素晴らしさ。8月9日までは仏教美術特集ということで、堪能致しました。企画展示室では「仙厓展」が開催されていました。何度見ても楽しい仙厓さん。今回は「レジェンドコレクターズ」特集ということで、個人蔵の作品がいくつも出ていたのが面白かったです。もう一つの企画展示は「模倣と創造」で、「写し」について深く考えさせられる展示となっていました。学芸員さんの目の付け所に、ニヤリとする感じです。

鑑賞のラストは、毎度おなじみ東光院の仏像の数々のお顔を拝みます。毎度おなじみと言いながら、ここに並んでいる仏像の皆さんはさりげなく入れ替えが行われていますので、前回お会いした方々とは違っている可能性があります。ともあれ、十二神将の方々を一周して眺めると、とっても嬉しくなります。

じっくり鑑賞して1時間ちょっと、というところ。大満足でした。この後、福岡市美術館の教育普及担当学芸員さんと打ち合わせして、ミッションコンプリート。来月の美術鑑賞講座がまたまた楽しみです

ひとつ手放すと、ひとつ生まれる―新しいチャレンジにワクワク♪

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ひとつ手放すと、ひとつ生まれる―新しいチャレンジにワクワク♪

花祭窯開窯当初から常に意識の上にはあった「肥前磁器文化の継承」という仕事というか、使命というか。古くからのお客さまから「藤吉(憲典)さんの、やきものの技術と哲学をきちんと遺さないと、ダメですよ。それは、磁器の文化に対する藤吉さんの責任だと思う」と、愛のあるダメ出しをいただいたのは、つい先月のことでした。それを受けて、6月9日の開窯記念日に30年目に向けてのテーマを掲げました。

藤吉憲典が弟子をとらないと決めたのは、独立から早い時期でしたので、ずいぶん前に「作品そのものの姿形で、肥前磁器の文化を遺し伝えていく」という結論に、一度は辿り着いていました。が、その一歩先に踏み出して「藤吉憲典の肥前磁器の技術と哲学を継承する仕組みをつくる」にチャレンジします。タイミングよく福岡県のビジネスプログラムへの参加をお誘いいただきましたので、この機会をフル活用することに決めました。

たまたまですが、ほぼ同じタイミングで、おおよそ四半世紀続けてきたオンラインショップを閉店することに。これはもう1年以上前から考えていたことでしたが、昨年末から具体的に進め方を検討してきました。サポートしてくださるウェブ制作会社さんたちに恵まれて、7月初めにつつがなく移行完了。まだちょこちょこと残務はありますが、一番神経を使う部分が終わり、次に突き進むことができる状態になりました。

こうなると、さっそく新しいテーマに向けた情報集めをしたくなります。まずはチャッピーと壁打ち。チャッピーが提案してくる内容の情報源を確認しながら、ヒントをくれそうな組織名や人名のリストアップからスタートです。新しいことにチャレンジするのは、やっぱりワクワクしますね。時間のかかる仕事だと思うので、腰を据えつつダラダラならないように、進めていきたいと思います。

読書:図録『眼のごちそう 食器』サントリー美術館 発行

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書:図録『眼のごちそう 食器』サントリー美術館 発行

先日観に行ってまいりました、サントリー美術館での同タイトルの展示会図録です。わたしが展覧会を観た後に図録を購入するのは、まあまあ珍しいことです。図録を買わなくていいぐらいに、現地で実物を納得するまで見る、というのが、ふじゆり流の美術鑑賞。特に出先では、図録は重くて嵩張って持ち運ぶのがたいへんなので、よほどのことが無いと買いません。が、今回は「これは持って帰らねば!」と、現地購入しました。上の写真は、サントリー美術館での展覧会鑑賞前後に気兼ねなくゆっくりできる、お気に入りのスペース。

一番の購入理由は、作品解説をはじめとした巻末の資料が欲しかったから。展覧会会場では、基本的に「キャプションをほとんど読まないで、見るに徹する」のを旨としています。が、今回の展覧会はテーマが「食器」ですから、自分の勉強のために解説資料も読みたいと思いました。実際に自分の目で見てきたインパクトを前提に作品解説を読むことで、さらに理解が深まります。解説を読んでは写真で器の姿を再確認し、そしてまた解説を読み、という繰り返しをするのに、図録はとっても便利です。

さて持ち帰って本書を開いてみると、まず巻頭のサントリー美術館副学芸部長・安河内幸絵氏による「所感 近世の陶磁器の食器」の文章が、簡潔にまとまっていながら、とても興味深くおもしろかったです。ふだん、ややもすると「肥前磁器」の括りのなかだけでものを考えがちになってしまうわたしに、「日本の近世の陶磁器の食器は、もっと多様なのだよ」と諭してくれる内容でした。しばらく仕事机の上に鎮座しそうな一冊です^^

サントリー美術館で開催中の「眼のごちそう 食器」展は、2026年8月30日(日)まで。

東京出張のお楽しみ―サントリー美術館『眼のごちそう 食器』展。

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東京出張のお楽しみ―サントリー美術館『眼のごちそう 食器』展。

銀座黒田陶苑さんでの個展最終日に顔を出して参りました。藤吉憲典個展、今年も無事会期終了いたしました。ご来場、お買い上げくださいました皆さまに、心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。翌日は仕事上顔を出すところがいくつか。そのほか一つ以上は美術展を観たい!というのが、毎回の出張の目的になります。何個か美術展の候補を挙げていましたが、時間的に一つしか行けないな、となると、やはりこれ!でした。

入ってまず最初に出迎えてくれた、黄瀬戸の蓋物向付の揃いに「おおお~!」です。一気に期待が高まりました。そしてそのあとに続く器の充実度合は、その期待をさらに上回るものでした。他所から借りてきていたものももちろんありましたが、サントリーさん、良いものをしっかり揃いでお持ちだなぁ、としみじみ。「食器」という括りでしたので、時代が桃山から江戸後期までと幅広く、さまざまな産地のものがあったのが魅力的でした。同じ器を展示するにも、切り口によって見え方も変わりますね。実際に食事の場面では、磁器も土ものも、いろいろなものを使いますから、今回の展示は、料理人さんの目線にとても近かったのではないかしらと思いました。

今回の展示のなかで個人的に特に目を見張ったものの多くは、景徳鎮と鍋島でした。鍋島、良いのがあるところにはあるんだなぁ…とつくづく。しゃがんで下から(裏から)見たり、背伸びして上から見たり、ケースの周りをぐるぐる回ったり、できる限りの角度から観て参りました。動きが多くて側から観たら少々(かなり?)挙動不審だったかもしれませんが、朝一番の入館でしたので来場者はさほど多くなく、納得いくまで観ることができました。ふと周りを見れば、料理人さんと思しき、一人でお越しの若い男性が何人も目に留まりました。実際に使うことを考えると、手に取って見ることができるギャラリーが勉強になりますが、歴史の流れのなかで器をとらえ基本を学ぶには、美術館が開催してくれるこのような展示機会は、とても貴重です。大満足でした。

東京出張時にサントリー美術館比率が高くなるのは、展示の魅力はもちろんのことですが、加えて立地の良さもあります。わたしが仕事で足を運ぶ範囲で考えたときに、比較的便利な場所にあるので、移動計画が立てやすいのは、大きな利点。今回も、銀座―六本木―大手町-広尾と、うまい具合に動くことができました。

サントリー美術館『眼のごちそう 食器』展

郷育カレッジ公開講座-村上祥子先生の「食べることは生きること」。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

郷育カレッジ公開講座-村上祥子先生の「食べることは生きること」。

2026年度郷育カレッジの開講式について書いたのは、つい先日のことでした。今回の公開講座は、料理研究家・管理栄養士・福岡女子大学客員教授の村上祥子さん。「レンチンレシピ」の第一人者として知られています。当日は「食べることは生きること」と題し、講演と実演をしてくださいました。90分の間に料理の実演も含めるということで、村上さんの助手として、カレッジ運営委員から3名がサポートすることに。わたしもその一人として間近でご一緒させていただきました。

さて御年84歳という村上祥子さん、登場から驚かされました。細くて一見華奢なのですが、抱えていらっしゃった道具入れのバッグの重いこと。これを人に任せることなく自分で持ってこられたのね、と、まずびっくり。そして、事前に調理で使う道具の確認と電子レンジの動作をチェックする以外は、まったくリハーサルをなさらなかった豪快さ。我々助手スタッフは、何を作るのかレシピさえも事前に聞かされることなく、ぶっつけ本番で彼女の「○○してください」に速やかに応えていくことを求められました。

約1時間という限られた時間のなかで、彼女がお得意とする電子レンジでの「レンチンレシピ」で作った料理は、カレーライス、ミルクティー、夏ミカンサワー、ポップコーン、チャーハン、温泉卵と、盛りだくさん。舞台上での実演は、テレビ出演をはじめお手のものであられるのだろうとはいえ、すごい手際でした。そして我々助手は、ひたすらに彼女の言っていること、言わんとすることを汲み取って動くのみ(笑)。初めてお会いしたのに、躊躇なく(と感じました)任されてしまうので、助手としてはそれに応えるしかありません。人と一緒に何かをすること、周りを巻き込むことに、慣れていらっしゃる方だと思いました。

まあとにかく、すごいエネルギーでした。料理研究家として長いキャリアをお持ちですが、より本格的に活動すべく西麻布に料理教室を開いた(現在はクローズして福岡に一本化)のは、53歳のときだったとか。そこから数えても30年以上のキャリアを積んでいらっしゃるということです。そうか、わたしもまだまだできることがあるぞ、と、目を開かされました。気さくでチャーミングで強い意志を感じさせる迷いのない振る舞いが、とっても魅力的な村上祥子さん。郷育カレッジの運営委員として、ごく短時間ですが彼女の助手を務めることができたのは、わたしにとって、思いがけずラッキーなことでした。