ローマ教皇レオ14世のことばに頷く―ARTnews JAPANのシリーズ記事から

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

ローマ教皇レオ14世のことばに頷く―ARTnews JAPANのシリーズ記事から

この2026年10月からスタートした「気になったニュースから」についてのブログ、カテゴリー名を「芸術・文化のニュースから」に変更しました。内容にしっくりくるカテゴリー名を模索中でした。取り上げるニュースソースは、新聞・雑誌・ウェブコンテンツなどで、出典元を記載しますので、関心のある方はぜひ元ネタにあたってみてくださいね。

さて今回も、ARTnews JAPAN(アートニュースジャパン)から。『「AIの時代にこそ芸術家が必要」──ローマ教皇が人間によるアートの営みの重要性を強調』の記事です。ローマ教皇レオ14世といえば、つい先日肺腺がんの手術で入院なさったと報道されていましたね。経過良好で退院なさっとのことで、なによりでした。

さてこのニュース記事、まず「バチカンで行われた芸術家たちとの会合で」の書き出しの、あまりにも自然な感じが印象的でした。そのような「芸術家たちとの会合」が、バチカンあるいはローマ教皇あるいは教会にとって、珍しいことではないのだろうな、と思わせられる文章です。宗教と美術の結びつきの強さ、それらが日々の生活のなかにある基盤の強さを、思わされました。

「人工知能(AI)の時代における芸術の重要性」についての発言で、ARTnews JAPANの文章をそのままお借りすると、“アーティストやキュレーターに対し、教会にはあなたたちが必要だと語りかけ、「それは、人間の芸術と機械が生み出すものとの区別が急務である人工知能の時代において特に重要です」と述べた”、とのこと。元の記事では、その前後の内容や背景についても書かれていますので、興味のある方はぜひそちらにあたってみてくださいね。

芸術・美術に真剣に取り組み生業としている人たちにとって、とても粋に感じる言葉だったろうなぁと思いました。わたしは、「芸術家」と称する人は、我が道を進んでいるようでいて実は誰かの(社会の)役に立ちたいという気持ちや承認欲求が強い人たちが多いと、常日頃から感じています。なので、自分の存在・やっていることの価値がこのような形で語られるというのは、きっと嬉しかっただろうなぁ、と。

同記事によると、ローマ教皇としては、1964年にも当時のパウロ6世が「我われはあなた方を必要としている」と芸術家に呼びかけた、とありました。そのときの背景がどのようなものであったのかまでは、わたしは調べていませんが、社会のなかで、歴史の中で、当たり前に芸術家の存在が認められていることを、意識させられます。と同時に、歴史のなかでは、芸術家やその作品が政治的に利用されてきたこともあったことを思い出させられました。

ローマ教皇とはスケールが違うとも思いますが、例えば日本で神社やお寺がアーティストやキュレーターを集めて「あなたたちの存在が重要です」と言ったら、それはどのように受け取られ、どのようなニュースとして取り上げられるだろう…と、ちょっと興味が沸きました。もちろん、その発言の背後に何があるかに寄って異なるでしょうけれど。

ともあれ、アート業界の端っこで仕事をしている者としては、世の中が良くなる方向へ、平和な世の中に向かうように、芸術の力が働き生かされることを、願ってやみません。

「医療とアート」について思うこと―ARTnews JAPANのシリーズ記事から

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

「医療とアート」について思うこと―ARTnews JAPANのシリーズ記事から

この2026年10月から、このブログに「気になったニュースから」のカテゴリーを追加しました。スタートしたばかりで記事数が少ないので、頑張って連続で上げて行きたいな、と思っています。ニュースソースとしては、新聞・雑誌・ウェブコンテンツなど。記事について思ったことをつらつら書くスタイルです。出典元を記載しますので、関心のある方はぜひ元ネタにあたってみてくださいね。

ふたたび、ARTnews JAPAN(アートニュースジャパン)の記事から。【医療とアートの最前線】なる連載物を見つけました。最新記事のタイトルは、『認知症にアートは「効く」のか──イギリスの「Arts for Dementia」が示す創作の力』。「アートと健康」については、福岡では「博物館浴」を提唱する九州産業大学地域共創学部・特任教授の緒方泉先生のもと、比較的早い時期から学びの場がありました。毎年のシンポジウムでは、英国での最新の取り組みをお聞きすることができ、とても恵まれた環境だと思います。

さて『認知症にアートは「効く」のか──イギリスの「Arts for Dementia」が示す創作の力』の記事。ワークショップへの参加者が、手や身体を動かして参加する「創作活動」についての記述に興味が沸きました。ワークショップがどのように進められるのか、そこで助言をするアーティストたちがどのようにかかわっていくのか、そしてその結果として、どのような成果・効果が見込まれるのか。

わたしがこれまでに学んできたところでは、音楽療法では、実際に楽器を使ったりという身体的なアプローチでしたが、美術分野では、回想法などのアプローチ、すなわち体を動かすというよりは「観て、話す」が多かったです。なのでこの記事で、陶芸、彫金、モザイクなどの「モノをつくる」を取り入れる方法、その過程で出てくるさまざまな課題を垣間見ることができたのは、とても良かったです。

Arts for Dementiaのペニー・フォステン氏が、ワークショップの目的を「セラピーではない」とし、『その目的はあくまで「アイデンティティや好奇心、喜びを探求する楽しみ」であり、患者も介護を担う家族も、「病気に支配されがちな日常から離れ、認知症患者というレッテルから自由になること』(ARTnews JAPANの記事より)としていることに、目を開かされる思いでした。

緒方泉先生による「アートと健康」へのアプローチでは、2018年に「博物館と高齢者の健康・幸福感」のテーマがまず掲げられました。2020年のコロナ禍を経て、あらゆる世代に向けての、より緊急かつ重要な課題として「博物館と健康・幸福感」がテーマになってきています。一番上の写真は2025年度のシンポジウムのもので、この時の大テーマは、「博物館と医療・福祉のよりよい関係」でした。ARTnews JAPANの記事を読みながら、身近で同様のテーマを学ぶ機会をいただいていることのありがたさを、つくづくと感じました。

「海外観光客も引き続き無料」についての小さな考察 ― ARTnews JAPANの記事から

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

「海外観光客も引き続き無料」についての小さな考察 ― ARTnews JAPANの記事(2026.09.29)から

この2026年10月から、このブログに「ニュースから考える」カテゴリーを追加することにしました。ニュースとはいっても、個人的に興味のある分野に限られますので、美術・工芸系のもの、ざっくりと人文系が多くなるかな、と思います。ニュースソースとしては、新聞・雑誌・ウェブコンテンツなど。ニュース記事の内容について思ったことを、つらつら書くスタイルです。出典元を記載しますので、関心のある方はぜひ元ネタにあたってみてくださいね、という感じで^^

記念すべき第一回目は、株式会社MAGUSさんが運営するARTnews JAPAN(アートニュースジャパン)の記事から。株式会社MAGUSさんは、寺田倉庫さんを中心に設立された、アートのプラットフォームを目指す会社ということで、わたしはそのウェブサイトをつい最近発見したのでした。美術品の物流業からアート関連事業をどんどん拡げておられる寺田倉庫さんの肝入りとなれば、注目度も高そうです。

さて

ARTnews JAPANより「海外観光客も引き続き無料」のニュースは、英国から。「イギリス政府は9月28日、大英博物館やテート、リバプール国立博物館群など、イングランドの国立博物館・美術館で海外観光客から入館料を徴収する案を撤回すると発表した」とありました。そもそも有料化する案が具体化しているということも知らなかったワタクシ、このニュースを見てドキッとするやらホッとするやら。そういう議論があるのは聞いたことがあったのですが、ね。

ロンドン出張時になにがありがたいかといって、主だった美術館博物館が入場無料であり、しかもその常設展示の規模と内容が素晴らしく膨大である、というところなのです。無料だからこそ、アポの合間に15分空いた!といって、近くの美術館に飛び込むことが出来たりもします。各館、無料で入れるとはいえ、ドネーション(寄付)の呼びかけが随所にありますので、わたしも行ったときには必ず幾ばくか寄付をします。たぶん、そういう人がかなりたくさんいらっしゃるはずです。昨年行ったときには、キャッシュレス化が進んでいましたが、コロナ禍前までは多くの館で透明の寄付箱がおいてあり、コインばかりでなく高額紙幣がたくさん入っているのを、ビジュアル的に見ていました。お金を持っていなくてもウェルカム、だけど館の存続運営のために、協力できるとき・協力できる人はよろしくね♪というスタンス。

寄付に積極的に協力するのは、入館料が無料だからこそ!という一面もあると思います。「こんなにたくさんの本物の資料を、無料で見ることができるなんて」という感激が、寄付に向かわせます。海外からの観光客となれば、入館すれば、館内のカフェでゆっくり飲食をしたり、ミュージアムグッズを買ったりして、お金を使うことも多いでしょう。おそらくそういうことがわかっているからこそ、現場である各館からは有料化に反対の声が上がっていたのだと思います。敷居はできるだけ低くして、中でお金を使ってもらうほうが、双方嬉しい結果につながるのではないかしら、というところですね。もちろん比較した試算を見たわけではありませんので、あくまでもイメージですが。

この記事を読んで思い出したのは、わたしが英語学習用を兼ねて勉強に使っているDVD『ナショナル・ギャラリー 英国の至宝』の中のいくつかのシーンです。このなかに、館運営のための予算を検討するシーンがあり、国からのサポートが厳しくなっていることがうかがえる会話が出てきます。日本の美術館博物館も財政的に厳しい状況ですが、英国でもそうなのだなぁと思いました。この映画が公開されたのが2014年でしたので、今はもっと厳しくなっているのかもしれませんね。

久々の女子会は、なにげに貴重な情報交換会。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

久々の女子会は、なにげに貴重な情報交換会。

対人関係における自分の生息エリアを考えたときに、いくつかの枠組みが思い浮かびます。仕事関係・仕事関連でのつながりが多いのは言うまでもありませんが、そのなかでも「どこでご一緒しているか」によって、顔を合わせたときの話題は異なり、それぞれに学びや面白さがあります。

今回の集まりは、社会教育関連つながりの面々。月に2~3回程度の会議で顔を合わせる皆さんです。通常、会議は平日の午後に行われ、年に数回、その会議後に「懇親会」が開かれることがあります。その懇親会のタイミングに、仕事が重なってわたしが参加できない!という状態がここ数年続いていました。わたし自身は、ふだんの会議の場でざっくばらんに意見交換をしているので、さして気にしていなかったのですが、わたしが参加できるときにランチミーティングをしよう!と計画してくださる方がありました。

メンバーは、40代前半から70代まで6名。世代の幅はありますが、ふだんから「社会教育」という共通言語で言葉を交わしている者同士、お互いの価値観のベクトルの方向を理解しやすく、会話がはずみます。話題はあっちに行ったりこっちに行ったり。個別の深刻な話題もありながら、それぞれのこれまでのキャリアも、現状も、まったく異なるからこそ、いろいろな考え方が出てきて、お互いに助言できることも多々あります。結果としてはまあ、ずいぶん笑いました。状況にもよりますが、ときに「笑い飛ばす」ことは大切で、その威力を実感する時間にもなりました。

ふだん会議で意見交換しているから意思疎通できている、と思っていましたが、議題がありフォーマルな会議の場で出てくる意見は、当然その場に沿ったものに限られるわけです。会議という枠を外した場であるからこそ、聞くことができ話すことができることもあります。おかげで、それぞれの考えの背景にあるものを垣間見る機会にもなり、良かったなぁと思いました。もともとチームワークの良い仲間でしたが、それがさらに強化されたような気がしています。それぞれに忙しいなか、わたしに時間を合わせてくださった皆に、心より感謝です。

インプットツアー in 佐賀県武雄市。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

インプットツアー in 佐賀県武雄市。

花祭窯の創業地は佐賀県江北町花祭。花祭に居たときは武雄市は生活圏でした。窯業産地である有田に、材料の仕入れや資料の勉強などに足を運ぶのに、通り道である武雄市は必ず通る場所。図書館や宇宙科学館などの公共施設があり、品質の良いものが集まる農産物直売所があり、泉質の良い日帰り温泉もあって、とってもお世話になった場所でもあります。そんな、馴染み深い武雄温泉エリアですが、津屋崎に移転してからは、「通過する場所」になってしまっていました。この連休中に、武雄に行く用事ができましたので、この機会にインプットツアー^^

まずは佐賀県立宇宙科学館へ。子どもが小さいころによく連れて行きました。連休中とあって、朝一番から、家族連れや子どもを主体とした団体がたくさんでした。まずは各フロアの展示を拝見。基本的なフロア構成は20年近く前から変わっていませんでしたが、相変わらず充実しているなぁ、これは子どもを連れてきたいと思うよなぁ、という感想です。参加型・体験型の設備がより充実していたり、展示の色使いに工夫が凝らされていたり、さりげない心遣いによる改善が、あちらこちらに見えました。今回は、今まで行ったことの無かったプラネタリウムも初体験。プラネタリウムの番組もいろいろありますね。久しぶりのプラネタリウムは、人気があるのかなぁと心配していましたが、なんとほぼ満席でした。

佐賀県在住時に武雄市内で一番よく通ったのは、図書館です。武雄市図書館といえば、蔦屋書店でお馴染みのCCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社)が指定管理者に入り、大きく変貌したのが2013年からのことでした。全国から図書館関係者が視察に押し寄せ、一躍有名になりましたので、覚えていらっしゃる方も多いかもしれません。花祭窯が津屋崎に移転した1年後のことでしたので、わたしたちが馴染んだ武雄市図書館は、変化する前の図書館でした。10数年を経て、ようやく訪問。わたしがよく知っていたあの同じ空間が、こんなふうに変わるなんて!とある種の感慨がありました。店舗設計の力を感じました。図書館エリアも本屋さんエリアもカフェも、地元民に愛されていることがよくわかる賑わいぶりで、楽しい視察となりました。

最後は、御船山エリアにある陽光美術館へ。「日中文化交流の懸け橋になることを願い、日本磁器発祥の地である佐賀において、そのルーツである中国陶磁器を展示しています」とある通り、中国磁器の名品を所蔵しておられます。ずっと気になっていましたが、今回が初めての訪問でした。ちょうど、陽光美術館開館30周年記念展ということで、所蔵名品展のうち『青と赤-鉄と銅と炎の世界-』と題したテーマ展を観ることができました。展示スペースはこじんまりとしていて、観ることのできる点数は決して多くはありませんが、良いものを拝見できて大満足。隣接する日本庭園「慧洲園」を、ゆっくり眺めることができたのも良かったです。上の写真は、陽光美術館の休憩エリアから眺めた庭園。

いずれも武雄温泉駅から車で5分以内にある施設。丸1日で、ゆっくりじっくり楽しむことができました。わたしは車で動きましたが、武雄温泉駅内にある武雄市観光協会で、電動自転車のレンタサイクルもあります。お天気にも恵まれ、大満足のインプットツアーになりました^^

郷育カレッジ来年度に向けてのカリキュラム編成会議がはじまりました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

郷育カレッジ来年度に向けてのカリキュラム編成会議がはじまりました。

福津市民のための生涯学習システム「郷育カレッジ」。2026年度(令和8年度)のカレッジがスタートしました!と言っていたのは7月のことで、つい先日のような気がしていますが、9月になるともう次の年のカリキュラムの検討がはじまります。現在進行中の今年度プログラムの実施状況を確認しながら、進めて参ります。

まずは、実施された講座内容の評価が中心になります。講座を受講した方からの感想・アンケート集計、講師からのヒアリング、講座運営のなかで事務局が気付いたことなど。実施が完了したものから、一つ一つの講座について検討していきますので、まあまあ時間がかかります。

郷育カレッジの運営は、市民運営委員(ボランティア)と、市役所職員さんとの協働チームです。郷育カレッジがスタートした20年以上前に比べると、専任の市職員さんが少なくなっていて、市の予算も削減されることはあっても増やすことは難しい状況。限られた原資で良質の生涯学習サービスを維持するのに、頭をひねりながらの運営です。

そんななかで、今年度は講座数を絞り込みつつ、1講座当たりのキャパシティ=受講定員数を広げる試みをはじめました。講座数が少し減っても、延べ定員数を増やすことができれば、一人でも多くの方に学習機会を提供することができます。これまでのところ、定員数を広げたことによるトラブルや不満の声は無く、うまくいっている手ごたえがあります。もちろん、講座内容によって適正な人数上限がありますので、これもまた、一つ一つの検討が必要です。

という感じで、カリキュラムの大枠が決まる今年いっぱいまでは、じっくりと検討する時間になります。一筋縄ではいきませんが、とてもやりがいのある任務です^^

郷育カレッジ講座「知識要らずの美術鑑賞」を開催しました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

郷育カレッジ講座「知識要らずの美術鑑賞」を開催しました。

福津市民のための生涯学習システム「郷育カレッジ」。今年も福岡市美術館さんのご協力を得て、「知識要らずの美術鑑賞」講座を開催して参りました。現地で参加者の世話役をしてくださるのは、福岡市美術館の教育普及プログラム担当の学芸員さんと、美術館ボランティアガイドの方々です。今年は、例年よりも参加定員を増やすことができました。福津市から福岡市美術館までは、市の公用バスを利用しての移動です。その定員を、コロナ禍後は用心して少なめに人数制限していたのですが、バスの正規の定員まで広げることにより、昨年までより10名ほどアップ。おかげさまで、今年は参加ご希望者の抽選漏れ人数を減らすことができたと思います。

さて当日のわたしの主な仕事は、移動のバス車中での簡単なレクチャー。「知識要らずの美術鑑賞」のタイトルは、わたしが一般向けに分かりやすいように考えたものであり、そのなかで実施されるプログラムは「対話型鑑賞法」を用いたものです。福岡市美術館の学芸員さんとの事前の打ち合わせで、対話型鑑賞法で大切なことについて、皆さんに解説しておいて欲しいというようなご要望がありましたので、バス移動の時間を使いました。

到着後は、福岡市美術館の教育普及担当スタッフさんにお任せです^^。対話型鑑賞のグループは4~5名で、7グループ。それぞれにボランティアガイドさんが一人ついてくださり、常設展示室での鑑賞を行います。それぞれのガイドさんが選んだ3つの作品について、各グループでの対話が始まると、最初は遠慮がちだった参加者の皆さんも、3作品目になると活発な発言が増えてきて、和気あいあいとした声が聞こえてきました。仕掛け人としては、思わずニンマリする瞬間です。

対話型鑑賞の時間が終わったら、自由観覧時間。こちらは文字通り自由に、それぞれに気になるものを観に行っていただく時間です。対話型鑑賞は一つ一つの作品をじっくり見るので、時間内では3つが限度になりますし、集中力が続くのもそれぐらい。でも「せっかくここに来たのだから」ということで、「自分が見たいと思うもの」を探しに行ってもらうのも、良い時間になると思います。帰りのバスの中では、皆さん楽しそうに近くの席の方とおしゃべりがはずんでいました。

というわけで、今年も無事講座を開催することができました。参加者の皆さん、福岡市美術館教育普及担当学芸員さん、ボランティアガイドの皆さん、そしてバスの手配はじめこまごまとした雑務をこなしてくださる市職員さんに心より感謝です^^

一人会議のテーマは、いかに仕事をシンプルにしていくか。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

一人会議のテーマは、いかに仕事をシンプルにしていくか。

9月になりました。8月は自分の誕生月で、今後の仕事の仕方を考えるのに、ちょうど良いタイミングでした。というか、定期的に時間確保してちゃんと考えなきゃダメよね!という感じ。会社勤めの友人たちを見ていると、ここ数年でセカンドキャリアに進んだ人もいれば、そろそろ定年後を見据えて次を考えようかな、という人もあり。定年退職後は仕事をしないという選択を、少なくともわたしの周りではほとんど聞かないのは、時代なのだろうなぁ、と思います。年齢に応じて働き方を考えるのは、自営業者だろうと、会社勤めであろうと、経営者であろうと同じですね。

わたしにとって最大の検討事項は、花祭窯のおかみとしての仕事を、いかにシンプルにするか。まずは、まとめられるところはまとめ、省けるものは省き、簡潔にすること。そして、いざというときに、どこに(誰に)、どのように頼れば安心か、を整えていくことが必要です。そのための「他力本願!」であり、これを言いはじめて数年が経ちますが、ここから3年以内には目途をつけたいところです。と、ここで宣言^^

というわけで、集中して考えるために、一人ショートトリップ会議をして参りました(笑)。会社員だった頃、社員研修や特別な会議といえば、どこぞの研修所やらホテルやらに場所を移すのが当たり前で、最初はどうしてわざわざ時間とお金をかけてと思ったものでした。ですが実際にその場に身を置けば、場所を変えることには大きな意味があることがわかります。それは、職住一致の自営業者となった今では、尚更強く感じるところです。

片道約1時間のショートトリップでしたが、これが、期待以上に良かったです。集中してものを考えたいときに、たった一日でも、要らぬ気を使わなくてよい、安定した環境に入り込むのは、なによりも効果のあることかもしれません。ふだんの仕事やら、生活が入り込んでこないのがGOOD。これは、年に1回といわず定期的に実施したほうが良いかもしれないなぁ、と思いました。ここからしっかり成果を上げて行きたいと思います^^

北九州市漫画ミュージアムがすごかった!

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

北九州市漫画ミュージアムがすごかった!

ずっと気になりながら行けていない美術館・博物館が、いくつもあります。そのなかのひとつだった北九州漫画ミュージアムに、ようやく足を運ぶことができました。場所はJR小倉駅から徒歩2分。電車で約1時間というすぐ近くにありながら、そして小倉にはたびたび足を運んでいながら、やっと!です。

今では、美術館や博物館で漫画やアニメを題材にした特別展は珍しいことではないどころか稼ぎ頭になっていますし、全国各地に「漫画ミュージアム」が存在しています。この北九市漫画ミュージアムが設立したころにはまだ「漫画を公立の施設で?」という声が、多少あったような気がします。わたしはこれまでに博物館学芸員の研修で、なんどか北九州市漫画ミュージアムの学芸員さんのお話を聞く機会があり、「漫画だから」のご苦労をお聞きしたことがありました。

さて漫画ミュージアム。『「見る!」「読む!」「描く!」の3つのテーマで楽しめる!』ということで、常設エリア入ってすぐに「なぜ、北九州市で漫画ミュージアムなのか」を理解することができる展示がなされていました。上の写真は、入館者を最初に出迎えてくれる、写真撮影OKのメーテル^^ 漫画の仕組み、漫画の歴史、北九州市ゆかりの作家たちに関連する収蔵作品の展示などを観ながら進んでいくと、圧巻の「閲覧ゾーン」が目の前に広がります。

蔵書数7万冊という漫画が棚を埋め尽くし、ゆっくり座って読むことのできるスペースがかなり広く確保してあります。わたしが訪問したのは日曜日でもあり、まあとにかくたくさんの人が黙々と漫画を読んでいました。老若男女問わず、家族連れも多く。一瞬、ネットカフェっぽいと思いましたが、その空間が広々と明るいことが大きな違いでした。大量の漫画ですが、漫画家のお名前五十音順の分類と棚の表示は明確で、試しに何人か思いつく漫画家名で探してみましたが、いずれも難なく見つかりました。

うっかりすると、ここで漫画を読むだけで一日過ごしてしまう、なんてことが容易にイメージできました。危険です(笑)。なので今回は「1冊だけ」と決めて、「一条ゆかり」先生の『有閑倶楽部』を探しました。検索性の高さ、すごいです。ぱっと見つかり、すぐ横に空いていたソファーで読みました。うん、何十年ぶりかで読みましたが、やっぱり面白かったです。こうなると、そういえば…といろいろな漫画のタイトルが思い浮かんで、危険な状態に。さほど漫画に夢中になったわけではない自分でもこうなのですから、マンガ好きの人にはたまらない空間だろうな、と思いました。

常設展の観覧料は大人480円で、当日内ならば何度でも出入りOKという太っ腹。7万冊が読み放題ですから、めちゃめちゃお得です。そして入館時に観察していると、大人も子どもも「年間パス」を持っている人がとても多かったのが、おお~!と思いました。ちなみに年間パスポートは大人で2400円。これは、近所に住んでいたら、年間パスポートを絶対買いますね(笑)。

これまでの人生の中で、一度でも漫画にハマった時期がある方には、ぜひ足を運んでいただきたいミュージアムです。

北九州市漫画ミュージアム

福岡市美術館の常設展示室がますますパワーアップ。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

福岡市美術館の常設展示室がますますパワーアップ。

このところ年中行事となりつつある、福岡市美術館の常設展詣で。今年も郷育カレッジの美術鑑賞講座が9月に開催されるので、その下見と打ち合わせのために出かけて参りました。打ち合わせは午後からでしたので、その前にじっくり下見です。まずは2階の「コレクションハイライト」の部屋から。

2階の常設展示室は、数年かけて部分的に閉めながら工事をしていましたが、やっとフルオープンになっていました。まずはエントランスからガラッと変わっていてびっくり。一番大きく変更されていた部屋は、壁面・天井・床とすべて変わっていて、まるで特別展のような雰囲気がありました。照明にも専門の展示業者さんが入ったということで、なるほど納得です。

これまでに何度も観たことのある収蔵作品も、展示が変われば見え方も変わります。思わず「ほほぉ~!」と感心しながらの鑑賞となりました。一つ一つの作品が、これまでよりも大切にされている感じが伝わってきました。上の写真は、それを大きく感じたひとつ、ダリの『ポルト・リガトの聖母』です。没入できるような部屋のつくりになっていて、とても贅沢でした。この絵の前で写真を撮る人も多々。そうよね、撮りたくなるよね!と心のなかで声をかけました。

夏休み期間中とあって、子ども向けのワークショップやイベントが工夫されていました。特にいいなぁと思ったのは、展示室のなかで作品に囲まれた状態でワークショップができるスペースを設けてあったこと。展示室とは別のエリアにワークショップ用の部屋を設けてある美術館は多いですし、福岡市美術館にももちろんあります。展示スペースと同じ場所にワークショップコーナーを設けることは、作品保護の観点からも、反対されることが多いだろうとイメージできます。でも、ホンモノの美術作品を見ながら、自分の手からも何かを生み出すことができるのは、とても素晴らしいこと。担当学芸員さんの頑張りがあったことが伺えました。

続いて古美術の1階へ。まず、茶人・松永翁のコレクションは安定の素晴らしさ。8月9日までは仏教美術特集ということで、堪能致しました。企画展示室では「仙厓展」が開催されていました。何度見ても楽しい仙厓さん。今回は「レジェンドコレクターズ」特集ということで、個人蔵の作品がいくつも出ていたのが面白かったです。もう一つの企画展示は「模倣と創造」で、「写し」について深く考えさせられる展示となっていました。学芸員さんの目の付け所に、ニヤリとする感じです。

鑑賞のラストは、毎度おなじみ東光院の仏像の数々のお顔を拝みます。毎度おなじみと言いながら、ここに並んでいる仏像の皆さんはさりげなく入れ替えが行われていますので、前回お会いした方々とは違っている可能性があります。ともあれ、十二神将の方々を一周して眺めると、とっても嬉しくなります。

じっくり鑑賞して1時間ちょっと、というところ。大満足でした。この後、福岡市美術館の教育普及担当学芸員さんと打ち合わせして、ミッションコンプリート。来月の美術鑑賞講座がまたまた楽しみです