郷育カレッジ講座「戦時下のくらし」を受講して参りました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

郷育カレッジ講座「戦時下のくらし」を受講して参りました。

福津市民のための生涯学習システム「郷育カレッジ」。8月の講座として定着してきている一つが、津屋崎千軒民俗館・藍の家で開催される「戦時下のくらし」です。藍の家保存会でここ数年毎年開催なさる企画展示に合わせて、講座を開催しています。講師は保存会代表の古閑由美さん。8月になると、日本各地で戦争関連の企画展示が行われますが、ここ津屋崎千軒の藍の家で開催されるようになったのは、古閑さんが代表をなさるようになってからです。

地域に根付いた戦争体験を、生の声を拾って受け継いでいくスタンスが、戦争を自分事として考えることを促すアプローチになっています。初めて展示を拝見した時に、今住んでいる場所、ご近所の人につながる話であることの意味を強く感じ、ぜひ郷育カレッジ講座をお願いしたいと思ったのでした。幸い快く引き受けてくださり、今年も開催となりました。常に新しい資料を調べ、聞き取りをなさっているので、毎年新しい切り口での資料や情報が増えています。「戦争は一度はじまってしまうと止めるのが難しい。だから絶対にはじめてはいけない」展示に対する使命感がひしひしと伝わってきます。

20名の参加枠は、今回も満員御礼。展示している場所での講座なので、受講人数を増やせないのが悩ましいところではありますが、この場所でやることに意味があると感じます。参加者の皆さんが時折深くうなずきながら、熱心に話に聞き入っておられる様子が印象的でした。講座は終了しましたが、展示は8月26日(水)まで行われていますので、お近くの方には、ぜひご覧いただけると嬉しいです。上の写真は、ちょうどこの日に西日本新聞に掲載された、展示の紹介記事。

藍の家「戦時下のくらし」展 ~2026年8月26日(水)まで。

読書『赤く染まる木々』(早川書房)パーシヴァル・エヴェレット著/上野元美訳

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読書『赤く染まる木々』(早川書房)パーシヴァル・エヴェレット著/上野元美訳

いつものカメリアステージ図書館新刊棚から、著者名借りです。『ジェイムズ』(河出書房新社)『消失』(集英社)、『消失』を映画化した『アメリカン・フィクション』と、パーシヴァル・エヴェレットの名前は、わたしの記憶にインパクトを残していたようです。名前の既視感で本書を手に取り、表紙を眺めているうちに「あ!『ジェイムズ』の人だ!」と思い出しました。

本作もまた、わたしが読んだ前2作に引き続きのテーマです。『ジェイムズ』が皮肉を最大限に込めたパロディの形を借り、『消失』がブラックコメディの形を借りていたのに対して、本書『赤く染まる木々』は、実にストレートでした。アメリカの黒人リンチの歴史に迫るミステリーは、次々に起こる事件に、根本にある動機以外は何の解決も解明も見いだせないままにストーリーが終わり、読み手に「考える」ことを促します。この「なにも解決していない、なにも終わっていない」というのが、著者の一番言いたいことなのかもしれない、と思いました。

読み始めてまず思い出したのは、ビリー・ホリデイの歌『奇妙な果実』にまつわるストーリーでした。本書の中にも、その歌詞(日本語訳)が載っています。アメリカの公民権運動が活発化したのは、1950年代後半から60年代中頃とのこと。第二次世界大戦の敗戦国である日本の民主化を推し進めた、となっている米国が、自らの足元ではまだまだこのような状態であったことに、あらためて大きな矛盾と衝撃を感じました。

本書では、米国の現在と、現在の権力者に対する風刺的な描写もあります。読み終わった今、切に思うことは、パーシヴァル・エヴェレット氏が、このまま本を書き続けることができますように、ということ。そして、日本にも届きますように、ということです。

『赤く染まる木々』(早川書房)パーシヴァル・エヴェレット著/上野元美訳

読書『せどりの女王』(PHP研究所)高殿円著

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読書『せどりの女王』(PHP研究所)高殿円著

いつものカメリアステージ図書館新刊棚から、タイトルに釣られて手に取った一冊です。表紙のイラスト装画のビビッドな雰囲気に、一瞬「間違えたかな」とよぎりましたが、読み始めたらめちゃめちゃ良い意味で裏切られました。ナンパな雰囲気を前面に出しているけれど、実は硬派な社会小説、という感じです。

就職氷河期世代の底辺女子が上場企業の社長に「ぶち上る」物語。これだけ聞くと、単なるサクセスストーリーのようですが、その枠に収まり切れません。主人公はわたしより少し下の年齢の設定でしたので、同じ時代を知っています。バブル崩壊、就職氷河期、1995年の阪神淡路大震災、派遣法による弊害など、読みながらその時代のことを強く思い出しました。今の少子化や格差につながる要因が、あの時代にたくさん生まれていたことを、本書を通して思い知らされました。

主人公が、「底辺」を生んだ社会の仕組みをインスタライブで糾弾しはじめたところから、ストーリーははじまります。底辺からぶち上る手段としての「せどり」「インターネット」が一般に広がってきたのも、1995年すなわち「ウィンドウズ95」からのことでした。たしかにあの時代、インターネットの出現によって、出自や学歴などの社会的属性に囚われずに活動できる場が芽吹いたのでした。本書のなかで語られる、黎明期からのネットオークションの話や、そこから上場企業になるまでの資金調達の話など、企業小説としても、読みごたえがありました。

高殿円さん、お名前に既視感があるなぁと思っていたら、読んだことがありました。

2年前ですね。このときも「すごい人を見つけてしまいました」と書いていますが、本書もものすごく面白かったです。

『せどりの女王』(PHP研究所)高殿円著

2026選書ツアーの本が図書館に入りました♪

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2026選書ツアーの本が図書館に入りました♪

「お待たせしました!選書ツアーで選んでいただいた本が、図書館に到着しました!」とお電話をいただき、嬉々として貸し出しの手続きに行って参りました。選書ツアーで選んだ本は、その本の「ポップ」を書くという任務と引き換えに、選者が一番最初に借りて読むことができます。2年ぶりに選書ツアーに参加してきたのは5月のことでしたので、どの本が入るかな?とワクワクしながら待っていました。

わたしが選書した10数冊の中から、カメリアステージ図書館の司書さんたちが選んでくださったのは、『悪癖の科学―その隠れた効用をめぐる実験』(紀伊國屋書店)『世界を解き明かす地政学』(日経BP)の2冊でした。だいたい毎回、ツアー参加者1名につき1~2冊。図書館から連絡が来る頃には、自分がどんな図書を候補としてピックアップしたか、ほぼ忘れていますので、「そういえば、これ選んでたのね」という感じです。

ポップを書くという使命がありますので、さっそく読書。わたしが選書ツアーで本を探すときは、まだ読んだことの無い本を探します。いろんなメディアで目にした書評を参考にすることもありますし、現地=本屋さんで表紙や、あとがきや、ざっと読んだ感じの印象で決めることもあります。ですから、これらの本が真の意味で「おススメ」といえるかどうかは、読書するまではなんとも言えず、「当たり外れ」があることも否めません。まあ、だからこそ、間に図書館司書さんの眼が入るわけです^^

まず『悪癖の科学』。心理学者という人たちのなかには、そんな研究で食っている人たちがいるのね、という感じの内容でした。あるいは役立つ場面もあるのかもしれません。わたしは「イグ・ノーベル賞」のユーモアセンスが好きで、毎年発表が楽しみなのですが、そこに通じるものがあるかな、と思ったら、なんと著者のリチャード・スティーヴンズ氏は、実際にイグ・ノーベル賞を受賞したことのある、心理学の研究者でした(笑)。

続いて『世界を解き明かす地政学』。どうやら近年は、日本だけでなく世界的に『地政学』ブームだそうです。そういわれてみれば、わたしもここ数年で、地政学の本を何冊か読んでいました。今回さらに本書を読んで思ったことは、同じ事実をもとにしても、それをどのように解釈して論理展開するかは、著者によってそれぞれであるということ。そしてそれは、正しいか間違いかということではなく、その著者が経験してきたことや立場によって変わるのが当たり前だということです。だからこそ、どんな人がどのように考えているのか、何冊も読んだほうが良いよね、と感じています。

無事にポップを書き上げて、図書館に納品。限られた蔵書購入予算の中から買ってもらった本ですから、たくさんの人が興味を持って手に取ってくれたらいいな、と思います。

読書『エレガンス入門』(ちくまプリマ―新書)中野香織著

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読書『エレガンス入門』(ちくまプリマ―新書)中野香織著

こちらも「この本は夏までに読んでおきたい!」とまとめ買いしてきたビジネス系・実用系書籍の一冊です。新書版なので「電車のお伴」候補としてゲット^^ 中野香織さんのお名前に既視感があったのですが、ブログをセルフ検索した読書記録の中には見つからず。服飾史の研究家としていろいろなメディアに登場なさっているようですので、雑誌記事などでお名前を拝見していたのかもしれません。

以下備忘。


  • エレガンスの語源は、ラテン語のeligere、「選び取る」という意味
  • エレガンスは、(中略)、価値観や倫理の問題
  • 「どう選ぶか」「どこで踏みとどまるか」という倫理的な判断
  • 「どのように選び続けてきたか」の履歴
  • 「時間の質」
  • エレガンスは、(長い時間をかけて)獲得されるもの
  • 「何をあえて受け入れずにおくか」
  • 洗練とは、自然に見えるまで繰り返された訓練と選別の結果
  • 「見えない支配」
  • 「文明の基準は一つではない」
  • 標準を知っているものだけが、標準を裏切ることができる
  • 戦略的逸脱
  • 中心の言語を使いながら、中心そのものを相対化する
  • 自由な選択の結果であるかのように見えながら、実際には、高度に設計された選択肢の中で行われてきた文化実践
  • 周縁に置かれてきた文化は、(中略)、「素材」として消費されてきました
  • 文化の盗用(cultural appropriation)
  • 「正しく扱われているか」「尊重されているか」が、同時に問われる
  • 文化は、自由に使える装飾資源ではありません。それは、人々の記憶、労働、信仰、痛みと結びついた、生きた歴史そのもの
  • 自分がどの文脈の上に立ち、どの価値観を引き受けているのかを、自覚したうえで選択する必要
  • 人間の根源的欲望―選ばれたい、特別でありたい、承認されたいという欲望
  • 選別と継承によって磨き上げられてきた様式
  • 「比較の土俵」に自らは立たないという態度
  • 説明に頼らず、優位を語らず、規律だけを静かに保つ
  • 測られることを拒むのではなく、測られる必要がない地点に立つ
  • 自分の価値を、自分で説明しなくて済む状態へと自分を鍛え上げること
  • 何を選ぶのか。何を守るのか。何を引き受けるのか。その判断から降りないこと。

いやぁ、面白かったです。珠玉の言葉があまりにも盛りだくさんで、読書前にイメージしていたよりも、広く深く考えさせられました。「自分の価値を、自分で説明しなくて済む状態へと自分を鍛え上げること」ここを目指したいですね。中野香織氏著作、追っかけてみようと思います^^

『エレガンス入門』(ちくまプリマ―新書)中野香織著

読書『ドロレス・クレイボーン』(文藝春秋)スティーヴン・キング著/矢野浩三郎訳

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読書『ドロレス・クレイボーン』(文藝春秋)スティーヴン・キング著/矢野浩三郎訳

いつものカメリアステージ図書館から借りてきた一冊。キングの新作を続けて読んでいたので、たまには旧作にも手を伸ばしてみようかな、というところでした。実のところ、キングの大量の著作に対して、わたしが読んだことのあるものといったら、ほんとうにちょっぴりです。キングの棚に並んでいるなかで、比較的薄いものを手に取りました。それでも上下二段組の構成でしたので、けっこうなボリュームでしたが。

タイトルの『ドロレス・クレイボーン』は主人公の名前であり、彼女の一人語りでストーリーは進みます。へぇ~こういうスタイルで書くこともあったのね、と、なんとなく意外な感じがしました。文芸春秋サイトでの本書の紹介でも「キングにしてはめずらしい手法」と書いてありました。ともあれどんなスタイルで書いていても、気がつけばストーリーにすっぽりと引き込まれ、やっぱりキングはすごい!と思うのです。

ドロレスは、夫殺しとお屋敷の女主人殺しの二つの嫌疑をかけられているのですが、その供述を聞くほどに(読むほどに)、その供述内容がどのようなものであれ、彼女をかばいたい気持ちが高まっていきます。あとがきで、キングが本書を亡きお母様に捧げていることを知り、なんとなく腑に落ちました。主人公に対する筆者の愛情が深く感じられる本でした。

本書は『黙秘』のタイトルで映画になっていたようです。主人公を演じたのはキャシー・ベイツ。映画は観ていませんでしたが、ポスターに見覚えがありました。『ミザリー』の印象がありますから、キング作品でキャシー・ベイツといわれたら、これは怖いに違いないと思い込んでしまいますが、本書のストーリーを考えたら、サイコでもホラーでもありません。ストーリーを知った今なら、キャシー・ベイツのドロレス・クレイボーンを安心して観ることが出来るはずです。

『ドロレス・クレイボーン』(文藝春秋)スティーヴン・キング著/矢野浩三郎訳

東野圭吾氏追悼読書:『天空の蜂』(講談社)

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東野圭吾氏追悼読書:『天空の蜂』(講談社)東野圭吾著

氏の訃報を新聞で読み、年齢を知ってまだお若かったことに驚き、写真の姿がなんとも素敵なことに驚きました。もちろん本は何冊も読んでいましたし、映画化されたものも何本か観ています。きっとメディアに登場なさる機会も多かっただろうと思うのですが、ご本人の姿はまったく見たことが無かったことに、今更気が付きました。息子が東野圭吾氏の本が大好きで、入り口は映画だったように思いますが、小中学生のころからずいぶんとたくさん読んでいました。今も彼の部屋の本棚には、氏の著書がずらりと並んでいます。

本をたくさん読んでいる友人が、訃報を受けてSNSで「東野圭吾といえば『天空の蜂』」と書いているのを見つけ、読んだことがありませんでしたので、図書館で借りてきました。蔵書検索しながらも、その著作の多さにあらためて感嘆。わたしが読んだことのある本といえば、映画化されたようなものが何冊か、というぐらいです。

さて『天空の蜂』。読み終わってまず確認したのは、本書が一体いつ書かれたのだろうか、ということでした。初出が1995年11月とあって、福島の原発事故が起こる2011年よりもずいぶん前だったのですね。そして2015年に「新装版」として刊行されていることに、出版社の矜持を感じました。わたしが読んだのはこの新装版の方でしたので、図書館が収蔵したのもそのタイミングであったことがわかります。

講談社のサイトでの本書解説に「国内すべての原発を使用不可にしなければ、エンジンは停止し落下する――日本国民全員を人質にしたテロが始まった」とあり、その通りの物語。ですが、東野作品では珍しくありませんが、本書でも犯人に感情移入してしまう読者が多いだろうな、と感じました。わたしもその一人で、小説の中の政府のやり方に対して、大きな憤りを感じながら読みました。社会問題を鋭く突きながら、エンターテインメント性の高いものを書く。小説家だからこそできる仕事というものを、感じました。

あまりにもたくさんの未読本があることを発見してしまいました。これからしばらくは「隙間が出来たら東野圭吾作」で読書を埋めていきたいと思います。

『天空の蜂』(講談社)東野圭吾著

涼しいホールで極上の音楽の至福♪

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涼しいホールで極上の音楽の至福♪

年に数度のお楽しみ、九州交響楽団の演奏会。昨日は「九響アフタヌーンセッションVol.1」と題して、平日の午後に楽しむ新しい位置付けの演奏会でした。開演は14時で、その前に今回も指揮者による「プレトーク」があるということで、プレトークに間に合うように出かけました。今回の指揮者は、熊倉優さん。プレトーク開始の5分前に着席できましたので、まずは演奏会パンフレットにあるプロフィールを拝読して予習。プレトーク、いいですね。指揮者の方の、演目である作曲家や曲に対する愛情が、ビシビシと伝わってきます。

前半は、ベートーヴェンの『ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品61』。わたしはときどき、ヴァイオリンの高音が耳に響きすぎて苦手に感じることがあるのですが、そのようなことはまったく無く、心地良いばかりでした。こういう体験をすると、同じ曲で同じヴァイオリンによる演奏でも、演者の方によって、あるいはその時々の自分の状態によって、聴こえ方が違うということが、実感としてわかります。力強く、くっきりとした音色が美しかったです。

休憩をはさんで後半は、メンデルスゾーンの『交響曲第3番イ短調作品56「スコットランド」』。プレトークで指揮者の熊倉優さんが、メンデルスゾーンについて熱く語っていらっしゃったので、いっそう期待が高まりました。あまりにも気持ちの良い音空間で、気が付いたら何度か意識が飛んでおりました。にもかかわらず、しっかり聴いたという感触は残っていて、きっとアルファ波が出まくっていたのだと思います(笑)。あっという間に4楽章が終わってしまったように感じました。

外に出ると酷暑でしたが、今回のホールのなかでの数時間は、一瞬異世界に足を踏み入れたような至福の時間でした。生演奏を聴けるありがたさ。次の演奏会もとっても楽しみです♪

読書『フィジカルAIの衝撃』(朝日新聞出版)田中道昭著

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読書『フィジカルAIの衝撃』(朝日新聞出版)田中道昭著

「この本は夏までに読んでおきたい!」というビジネス系・実用系書籍が数冊ありましたので、えいやっとまとめ買いしてきたうちの一冊です。フルタイトルは『フィジカルAIの衝撃「身体をもった人工知能」は2030年の世界をどう変えるか』とあり、帯には「『これまで通りのやり方がそのまま通用し続ける世界が終わりを迎える。」とあります。なにかの記事で、ソフトバンクの孫さんが今一番投資しているのがフィジカルAIだというのを読んで、興味をそそられていました。「フィジカルAI」だなんて、ほんの少し前まではそんな単語、まったく知らなかったのですけれど。

以下、備忘。


  • (フィジカルAIは)「身体に根差した知」を書き換える。
  • これまで経験と勘に支えられてきた領域が、センサーと人工知能によって再構築される。
  • ここでAIが果たしている役割は、人と置き換わることではない。人が人にしかできない仕事に集中できる余地を生み出すことである。
  • 重要なのは、これがプログラムではなく、「学習」だという点
  • 現実世界を学習の糧とし、経験によって進化する知能
  • 現実世界の「身体感覚」を獲得する
  • 現場を支える重要な資産であると同時に、属人的で、継承の難しいもの
  • 熟練者がいなくなれば失われてしまう暗黙知
  • 仕事は消えなかったが、前提が変わった
  • 目標や制約条件は、依然として人間や組織によって設計される。AIに委ねられるのは、その枠組みの中で最適な行動を選択し続ける権限
  • 「自動化(Automation)」「自律化(Autonomy)」
  • (生成AIについて)大規模言語モデルの本質は、あくまでも「記号操作」
  • (フィジカルAIについて)物理法則のエッセンスを、自らの行動原理として血肉化
  • 「脳×身体×現場」
  • これらは美しいが、ビジネスとして成立するのか
  • 人間の形をしているほうが、この世界に既に存在しているインフラを、そのまま使える
  • 人間の仕事を思い出してみると、その多くは「動作」そのものよりも「判断」によって成り立っている
  • 人間が意味を介して世界を理解するのに対し、ヒューマノイドは関係性(因果の傾向)を通じて世界を把握する
  • 価値観や目的や意図そのものは、人間が与える

『フィジカルAIの衝撃』(朝日新聞出版)田中道昭著 より


フィジカルAIについては、福岡県では北九州市が、安川電機さんを中心に力を入れていることが、このところよく西日本新聞に取り上げられています。本書を読んだことでアンテナが少し伸びて、身近にこの技術に取り組んでいるがあることに気が付きます。「知らないから・まったくわからないから不安」を少しでも解消するためにも、読書は役に立ちますね。アナログ頭なわたしにもわかりやすいように落とし込んであり、事例による解説も多く、ふつうの人にわかるように書こうという著者の気持ちが伝わってくるようでした。ものすごいスピードで動いている分野であり、門外漢ながら、今このタイミングで読んでよかった一冊です。

『フィジカルAIの衝撃』(朝日新聞出版)田中道昭著

読書『もし血が流れれば イフ・イット・ブリーズ』(文藝春秋)スティーヴン・キング著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『もし血が流れれば イフ・イット・ブリーズ』(文藝春秋)スティーヴン・キング著

5月に『チャックの数奇な人生 イフ・イット・ブリーズ』(文藝春秋)スティーヴン・キング著を読んでから、心待ちにしていた一冊です。いつものカメリアステージ図書館新刊棚に登場したのを見つけて、さっそく借りて参りました。上の写真は、キング著の別の本の表紙ですが、キングの姿を観たかったので。

今回の日本語版への翻訳は、白石朗氏と安野玲氏。白石朗さんのお名前は、わたしがこれまでに読んだキング著作でも、よく目にしてきましたし、安野玲さんは前作『チャックの数奇な人生 イフ・イット・ブリーズ』でも担当なさっていました。

『もし血が流れれば』『ラット』の中編2編が入った本書。中編とは言いますが『もし血が流れれば』は300ページ超というボリュームですので、もはや長編1冊分です。というわけで、ガッツリ読み応えがありました。前回読んだ『チャック…』がホラーのスティーヴン・キングではなく、人との温かい交流が主題となるキング(「エモいキング」と呼ばれているそうです 笑)だったのに対して、本書は「怖い方のスティーヴン・キング」でした。

表題作の『もし血が流れれば』は、読み始めてすぐに既視感を感じました。以前に読んだ『アウトサイダー』でも大活躍したホリーが主人公で、ストーリーも『アウトサイダー』の続編的な内容だったためです。ホリーは、最近のキングのお気に入りキャラだということで、すでに彼女の名前がタイトルとなった新作が出ているとか。もう一遍の『ラット』は、こちらもキングお得意の「作家ものホラー」。『ミザリー』や『シャイニング』が思い出され、両編を読み終わったときには、ザ・キング!を満喫した充足感がありました。

さて『チャック…』を読んだ時に、訳者あとがきで、原著にはキング自身が本書の「あとがき」を書いているということを知りました。邦訳版では、次巻『もし血が流れれば…』に作者解説として掲載される予定とのことでしたので、密かに楽しみにしていました。で、読了後、ワクワクしながら巻末へ。ありました^^ いまだ創作意欲がまったく落ちていないことがうかがえるキングの「あとがき」を読んで、嬉しいやら楽しいやら。このあとも続々と新刊の予定があるのですから、やっぱりすごいですね。日本語版への翻訳を、楽しみにしています♪

『もし血が流れれば イフ・イット・ブリーズ』(文藝春秋)スティーヴン・キング著