読書:まだまだ続く、シャーロック・ホームズ。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書:まだまだ続く、シャーロック・ホームズ。

図書館が臨時休館する前に駆け込みで借りてきたなかに、シャーロックホームズがいました。創元推理文庫「シャーロック・ホームズ全集」から『シャーロック・ホームズの冒険』と『シャーロック・ホームズの復活』。ともにアーサー・コナン・ドイル著、深町眞理子訳。

短編集なので、隙間時間に読めるのが嬉しいです。ひとつひとつの事件は一話完結。にもかかわらず、すぐに続き(=次の事件簿)を読みたくなり、読みだすと本を閉じるのが難しくなります。

今回、この二冊を読みながら、ストーリーを魅力的にしている大きな要素のひとつが、「筆者」のホームズへの深い敬意と愛情であることに気づきました。ここでややこしいのが、「筆者」は誰かということ。ホームズの事件簿は、友人であり相棒であるドクター・ワトスンが記している、という設定であり、そのワトスンのホームズへの敬意と愛情が、読み手たる自分に伝播しているのを感じました。

正確には筆者はもちろん、コナン・ドイル。なんとも魅力的なキャラクター・ホームズを生みの親ながら、自ら何度も終わらせようとし、そのたびに読者によってくつがえさざるを得ない状況に追い込まれ…(おかげでのちの世の我々が、いくつものホームズ物語を読むことができているのですが)ということが、昨年からのホームズ読書でわかっていました。

でも、ドクター・ワトスンの手を借りてホームズへの愛と尊敬を語っているのは、まぎれもない実在の筆者・ドイル自身であったわけで。「愛憎」という言葉は、こういう関係性に使うのかもしれないな、と思いつつ。愛情を注いで綴られたキャラクターとストーリーだからこそ、ついつい読みたくなるのだろうな、と思いました。

創元推理文庫「シャーロック・ホームズ全集」 には、まだ読んでいないものが何冊も。まだまだわたしの「シャーロック・ホームズ追っかけ」は続きそうです。

読書『晴子情歌』上下巻(新潮社)

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『晴子情歌』上下巻(新潮社)高村薫

わたしにとっては久しぶりの高村薫さん。『晴子情歌』は2002年に発刊でしたが、ようやく手に取りました。途中『空海』は読みましたが、高村薫さんの小説から、ずいぶん遠ざかっていたことに気づきました。

高村薫さんの小説にハマったのは、大学を卒業して新社会人になってからの数年間。初めて『黄金を抱いて翔べ』(新潮社)を読んだとき、その緻密な描写とハードボイルドな文体に驚愕。「これ、ほんとうに女性が書いたの⁉」というのが、正直な感想でした。そこから『神の火』『わが手に拳銃を』『リヴィエラを撃て』『地を這う虫』『マークスの山』『照り柿』『レディ・ジョーカー』…。

当時わたしは大阪で法人営業職の仕事をしていました。大阪市内のビジネス街や近郊を毎日歩いており、『黄金を抱いて翔べ』はじめ、小説内に出てくる場所が、細かいところまで面白いように具体的にイメージ出来たのも、夢中で読むきっかけになっていたかも知れません。

さて『晴子情歌』。上下巻合わせて750ページ近くに及ぶ大作でした。 高村薫さんの書くものは、阪神大震災の前と後とで大きく変わったと書評やインタビューなどで目にしていましたが、なるほど、と思いました。でも、緻密な取材のあとをうかがわせる重厚なストーリー・描写は変わりなく、この作家さんはやっぱりすごいなぁ、と思うのです。

ハードカバー版の表紙には、上下巻とも青木繁の作品「海の幸」が使われています。上の写真は、集英社の「20世紀日本の美術 ART GALLERY JAPAN」より、青木繁の「海の幸」。明治時代以降、近代日本洋画の代表作です。これほど物語のイメージが重なる絵があったことも、すごいことだと思いました。表現手段は違えど、現されたタイミングも違えど、共通した訴えが垣間見えます。

十代のころ、久留米市の石橋美術館(現・久留米市美術館 石橋文化センター)で青木繁作品をたくさん見た記憶があます。おそらく「海の幸」もそのなかにあったのだと思いますが、当時のわたしには、青木繁の絵の数々が展示スペース全体を覆う暗さばかりが印象に残っていました。『晴子情歌』のなかでもたびたび登場する「昏い(くらい)」という表現が、ぴったり。

↑こちらは文庫版です。

さあ、『晴子情歌』を読み終えたからには、次は『新リア王』(上下巻)です。少し休憩をはさんでから、取り組むことにいたします。

今月の書道部。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

今月の書道部。

思いがけず長い春休みとなった息子の一文字は「暇」(笑)写真はお手本用にダンナ藤吉憲典が書いた「暇」。口に出して言う「ひま~」も、漢字にするとなんとなく印象が変わるのが面白く。

書道部だからといって、季節感のある言葉や四文字熟語など、それっぽい字やことばを書かなければならないということはなく、思いついたことを書けばよいのです。気持ちよく文字を書くのが一番。

一方で、実際に筆を握り、半紙に向かい、書いてみると、「あれ、ちょっと違う」ということもあり、そんな時は、書く文字を変えてみる。自分で「この字(あるいはことば)を書きたい」と思って書きはじめたけれど、取り組んでみたところ実はそんな気分ではなかった、ということは結構あるものです。

そんなわたしの今月の文字は、これ。

そろそろヨモギを摘みに出かけたいところです。

読書『風神雷神 上・下』(PHP研究所)

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『風神雷神 上・下』(PHP研究所)原田マハ著

上の写真は『小学館ギャラリー 新編 名宝日本の美術23「光悦・宗達」』より、俵屋宗達筆『風神雷神図』屏風の一部分。

原田マハさんのアート小説最新刊。『楽園のカンヴァス』にはじまり、毎回わたしが夢中になる理由は、作家・作品とその時代の歴史を重ねてストーリーを追っていくのが、とても楽しいからです。

『風神雷神』。読む前に「無理やり感がある」という書評も目にしましたが、ドキドキするストーリー展開に、上下巻合わせて650ページ一気に引き込まれました。確かに、俵屋宗達やカラヴァッジョを引っ張り出さなくても、天正遣欧使節団の冒険物語だけでもじゅうぶん面白かったかもしれません。ただ、俵屋宗達やカラヴァッジョを登場させたからこそ「絵」や「絵師」に寄せたストーリーになったのでもあり。

彼らの足あとをストーリーで追いつつ、フィレンツェ・ローマ・バチカンにゆっくり行かねば!とあらためて思いました。自分の足でその街を歩き、絵画・彫刻・建築をこの目で見たい!そんな思いが増幅してくる本でした。

エピローグにある一文が、本書に限らず原田マハさんがアート小説を書く際にもっとも言いたいことのひとつなのだろうな、と思うと同時に、とても共感しました。


「美術(アート)は、歴史という大河が過去から現在へと運んでくれたタイムカプセルのようなものだ ― 。」

『風神雷神 下』原田マハ(PHP研究所)より


そうなのです。だからこそ、現代に生きるわたしたちも、数百年後、数千年後も引き継がれ愛されるアートを生み出し、遺していく使命があるのです。

読書『美しき 愚かものたちの タブロー』(文藝春秋)

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『美しき 愚かものたちの タブロー』(文藝春秋)原田マハ著

ひさびさの原田マハさん。2019年は立て続けにアート系「史実に基づいたフィクション」の新刊が出ていたので、気になっていたところでした。『美しき 愚かものたちの タブロー』の素(もと)は、国立西洋美術館の礎となった「松方コレクション」

上の写真は、集英社『現代世界の美術5 ART GALLERY GOGH』より、作中にも名前が出てくる、ゴッホがアルル時代に描いた「アルルの寝室」と題された絵のひとつ。『現代世界の美術5 ART GALLERY GOGH』によると、同じタイトルの油絵が3点あるとされています。

一気に読みました。日清日露の戦争に、第一次世界大戦、そして第二次世界大戦敗戦という時代背景が、緊迫感を持って迫ってくるストーリー。本書中に何度か繰り返されたセリフに、美術・絵画の本質、ほんものの持つ力をあらためて思いました。


飛行機じゃなくて、タブローを。
戦争じゃなくて、平和を。

『美しき 愚かものたちの タブロー』(文藝春秋)原田マハ著より

※書籍の画像をクリックするとAmazonの本書紹介ページに飛びます。


タブロー(tableau)というのは、フランス語で絵画のこと。英語圏の美術専門家の間でも、そのまま「タブロー」で使われているそうです。

そしてもう一つ、この小説の大きなメッセージとして「頭ではなく、心で見る」を受け取りました。今こそこのメッセージを、美術に関わる人にも、関わらない人にも伝えていきたいと、アートエデュケーターの端くれとして、強く再確認した読書でした。

次は『風神雷神』が楽しみです♪

山梨市ワインと地域の食材を楽しむ交流会 in 花祭窯。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

山梨市ワインと地域の食材を楽しむ交流会 in 花祭窯。

山梨市ワインの知名度向上に取り組む山梨市ワイン振興会さんと、非公認(笑)友好都市である宗像市のコミュニティ協働推進課職員さんによる、草の根的交流会。いつも面白い提案をしてくれる仲間からの打診に快諾したのは言うまでもなく、喜んで会場提供したところでした。

醸造家、農家、漁業者、行政職員、地域ブランドコンサル、ホテル関係者、建築家などなど…いろいろな職業・肩書を持つ方々が、山梨市から、福岡県内から、集まりました。総勢18名。

山梨市ワインと葡萄ジュースに、福岡県の農畜産漁業の食材に、秋田の「かづの牛」。地域色豊かな贅沢な食卓で、それぞれの仕事に信念と愛情を持った皆さんの熱い(暑苦しいほどの)トークが繰り広げられ。

それにしても毎回そうなのですが、最初から腹を割った会話が盛り上がる仲間の面白さ。以前に別の集まりで花祭窯にいらした友人が、「仲良くなるのに、年齢も場所も仕事も立場も関係ないんだって、ここに来るとつくづく思う」とおっしゃったのを思い出します。

馬鹿話をしているようでありながら、真剣に協業を検討する時間にもなり、今後の展開が楽しみな作戦会議の場となりました。こんな集まりに巻き込んでくれる友人に心より感謝です。

海外展開セミナー in 宗像。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

海外展開セミナー in 宗像。

普段は福岡市内に情報を取りに行くことがほとんどである「海外展開」のセミナーが宗像であるというので、参加してまいりました。

メインは北九州・小倉の辻利さんの事例発表と、大分湯平温泉の山城屋さんの事例発表。基調講演に中小機構九州本部の国際支援アドバイザー福田さん。そして、ジェトロ、明倫国際法律事務所、福岡県による情報提供。

事例と施策がバランスよく紹介され、福岡県が掲げる「海外展開ワンストップ」を実感できるセミナーでした。花祭窯は海外展開を目指した2013年以降、それぞれの皆さんにいろいろなかたちでお世話になっており、その都度、それぞれの機関に足を運んできました。今もそうです。それが一堂に会した形でした。

以下、事例発表のなかから備忘。


  • 「きれいごと」は大切=文化事業的側面。
  • 店作りは街づくり、街づくりは店づくり。
  • シンガポール=ツーリスト。
  • メイドインジャパン≠最高。
  • 「価値」が伝わってなんぼ。

※以上、辻利茶舗 辻史郎さんの講演より

  • 安心感。
  • 親密なコミュニケーション。
  • 外国の方々の満足が高い=日本人のお客さまにも喜ばれる。
  • 知られていないことは、存在しないことと同じ。
  • 言葉(テキスト)と、写真・動画。

※以上、旅館山城屋 二宮謙児さんの講演より。


お二人の熱いトークに、わたしももっと頑張ろうとあらためて決意のセミナーでした。

読書『BRUTUS Casa BANKSY バンクシーとは誰か?』

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『BRUTUS Casa BANKSY バンクシーとは誰か?』(March, 2020 マガジンハウス)

ブルータスカーサ最新号の特集はバンクシー。サザビーズオークションでのシュレッダー事件や、サルの議会の絵(正式タイトル:Developed Parliament)、覆面性・神出鬼没性など、面白い人だなぁと思ってはいましたが、ほぼ知りませんでした。

ダンナが買ってきたこの特集号。試しにページをめくっていたら、すっかり引き込まれてしまいました。彼の作品・行動が現す、社会問題へのアプローチ、現代アート市場への批判、そしてアーティストとしての信念。

それにしても日本はいろいろな意味でアート後進国なのだと、あらためて思いました。村上隆さんの『芸術起業論』(幻冬舎)で「現代アート市場の世界標準」で対等足りえるために日本のアーティストに必要なことを考えさせられたのは、もう十数年前のことではありますが、バンクシーは既にその「現代アート市場」という前提を否定する立ち位置でものを言い、行動を起こしている。その行動がまた市場に反映されて作品の高値を呼ぶという矛盾が起こっているのも事実ですが。

昨今の日本で流行りつつある、現代アートへのアプローチがあまりにも小手先に過ぎないと、突きつけられた感じがしました。これは、アーティストも、アーティストを取り巻くアート業界の人々も同じこと。そろそろ、追いかけるだけではなく、独自の価値観で世界市場に対等足りえるアート市場の在り方を実現できたらいいのかもしれませんね。

ともあれ、バンクシー。次に何をするのか、気になります。また、彼に関する本はいくつも出ているようなので、少し遡って読んでみようかな、という気になりました。

それにしても、ほぼ一冊丸ごとバンクシー特集とは。BRUTUS Casa、すごいです。

読書『個をあるがままに生かす 心理学的経営』PHP研究所

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『個をあるがままに生かす 心理学的経営』PHP研究所

『経営者の条件』(岩波新書)に引き続き、大沢さんの著書。1993年発刊の『心理学的経営』が電子書籍として復活したものです。その紙書籍版で、26年ぶりの復刊。これまた新陳代謝の激しいビジネス書分野のなかでは、異例のことではないでしょうか。

本書が創刊された1993年は、わたしが大沢さん率いる人事測定研究所(現・リクルートマネジメントソリューションズ) に入社した翌年のことです。入社前から「大沢イズム」を直接的に学ぶ時間と機会をたびたび得ることができたのは、贅沢なことだったと思います。

「人間をあるがままにとらえる」「個性差(ちがい)を大切にする」ということが、大沢さんのおっしゃることの芯にあります。産業心理学や組織管理論を少しでも学んだ方なら目にしたことのある研究や理論も下敷きにしつつ、学究的な側面だけでなく、実際の経営組織の現場での実務があるからこその説得力を感じます。

心理学の専門家や関心のある方、企業経営やリーダーシップ論に関心のある方、どちらにも興味深く読んでいただける本だと思います。

読書『デヴィッド・ボウイ インタビューズ』(シンコーミュージック・エンタテイメント)

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『デヴィッド・ボウイ インタビューズ』(シンコーミュージック・エンタテイメント)

日常的に、仕事上の資料探しに図書館を使っています。書籍タイトルがはっきりしているものでなく、「こんな感じの内容」とジャンルで探すときは、やっぱりネットではなく本屋さんなり図書館なりで、書架の前をウロウロ探すのが性に合っています。なにより、楽しい。

我が家から近い順に、カメリア図書館、福津市図書館、未来屋書店。その先は博多に出て大型書店。徒歩・自転車圏内のカメリア図書館は、わたしにとって「まず、ここに行ってみる」場所です。

今回探していたのは、実は歌舞伎関係の本でした。「芸能関係」というとってもざっくりした分類の棚を眺めていたところ、目に留まったのが本書『デヴィッド・ボウイ インタビューズ』。思いがけず見つけてしまいました。

デヴィッド・ボウイの音楽に出会ったのは、中学2年生の時。80年代の「レッツ・ダンス」から、70年代、デビュー期へとさかのぼってレコードを聴いたのを思い出します。ラジオと深夜のMTVで追いかけ、ロンドンに行ったときにはマダム・タッソーで蝋人形のデヴィッドと一緒に写真を撮り(笑)

その音楽とパフォーマンスのカッコ良さに惹かれていたものの、「文字で彼を知る」機会は、これまであまりありませんでした。特に亡くなった後にたくさんの本が出ていることは知っていましたが、今回初めて手に取りました。

読み応えがあります。写真一切無しで650ページに及ぶ、折々の言葉。文字を目で追いつつ、音とビジュアルを脳内再生しつつ、楽しみました。