読書『スクラップ・アンド・ビルド』(文藝春秋)羽田圭介著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『スクラップ・アンド・ビルド』(文藝春秋)羽田圭介著

いつものカメリアステージ図書館から先日借りてきた、羽田圭介さんの短編集『バックミラー』の「日常版滅びの美学」のインパクトが大きかったので、今回も羽田氏の著書を借りようと思っていたら、ちょうど図書館の貸出カウンター横の特集コーナーに本書が並んでいました。わたしの心の声が司書さんに聞こえたかしらと思いつつ、即座にゲット。

10年前の芥川賞受賞作。だからというのではもちろんありませんが、おもしろくて、一気に読んでしまいました。短編ではありませんが、長編という感じでもなく、サクッと読めます。家族小説であり、介護がテーマでもあり、深刻にしようと思えばいくらでもできる材料を、軽くいなしている感じがなんとなく痛快でジワジワ来る、不思議な感覚でした。

「死にたか(死にたい)」が口癖の87歳の祖父と、「死にたい」の手助けを不自然でない形でやろうと決意した主人公と、家族に甘える祖父に我慢の限界が近づいている主人公の母(=祖父の娘)。それぞれのセリフが面白いです。特に祖父の行動とセリフの端々にあらわれる、「イラつく要素」の描写が秀逸です。祖父の方言は長崎弁のようで、祖父の気持ちの載せ方がうまいなぁと思いました。そのニュアンスがよくわかるわたしとしては、思わず笑ってしまいました。

ラスト、思いがけない終わり方に唸りました。全編を通して、そしてラストも、大きな事件やイベントは起こらず、日常の延長線上にある展開なのですが、そのなかでこれだけ面白く読ませることができるんだなぁと思いました。そういえば『バックミラー』も「日常版滅びの美学」でしたので、「日常」の絶妙な切り取り方が、著者の持ち味の一つなのかもしれません。ほかの著書も読んでみようと思います。

『スクラップ・アンド・ビルド』(文藝春秋)羽田圭介著

読書『帰れない山』(新潮社)パオロ・コニェッティ著/関口英子訳

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読書『帰れない山』(新潮社)パオロ・コニェッティ著/関口英子訳

いつものカメリアステージ図書館新刊棚より。新潮社のサイトで本書の紹介文を見て気づいたのですが、2022年に映画化されていたのですね。日本でも公開されていました。これは映画館で観たら、さぞかし見ごたえがあっただろうな、と思います。日本では2018年に本書刊行で、2023年に映画が公開されていたようです。映画を見逃したのは残念でしたが、本書を仕入れてくださったカメリアステージ図書館に感謝です^^

久しぶりに、ガッツリと重く残る本に出合いました。『帰れない山』はイタリアで権威ある文学賞を受賞し、世界39か国で翻訳されているそうです。読み始めたところから最後まで、切なくて切なくて、なにがこんなに胸に迫ってくるのだろうと不思議でした。というのも、主人公と父親との関係も、主人公と友人との関係も、まったく自分と重なるところはなく、単純に共感するものではないのです。訳者あとがきを読んで、その理由がなんとなくわかりました。だからこそ、世界中で共感を呼んだのだろうと理解できました。

著者のパオロ・コニェッティ氏は今回初めましてでしたが、訳者の関口英子さんのお名前は見覚えがあり。ブログに読書記録を残しているだけでも、『「幸せの列車」に乗せられた少年』、『マルナータ 不幸を呼ぶ子』の二冊がありました。出版社・訳者の方が素晴らしい本を届けて下さるおかげで、こうして読むことができます。感謝感謝です。

上の写真は、わたしにとっての「山」である、花祭。山というよりは、山間の谷であり、里山と呼んだほうが正しいです。わたしが生まれてからこれまでに暮らした場所は、10カ所を超えますが、そのなかでもっとも自然環境の厳しい場所でしたし、限界集落で人の去っていく様、土地が放棄され寂れていく様をリアルに目にした場所でした。そこに暮らしたのは15年ほどでしたが、わたしのこれまでの人生のなかで、現時点で最も長く暮らした場所でもあります。住んだのは結婚後でしたから、幼少期を過ごしたわけでもありません。なのに、そこに行けば「帰ってきた」という感じがする。わたしにとっては、花祭が「山」なのだなぁと、本書を読み終えて思いました。

『帰れない山』(新潮社)パオロ・コニェッティ著/関口英子訳

「1年を通して畑の作り方・野菜の作り方をまなぶ」畑レッスン進捗状況その4。

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「1年を通して畑の作り方・野菜の作り方をまなぶ」畑レッスン進捗状況その4。

造園家であり花や野菜を作りハーブの専門家であるガーデンアルテさんの畑で「1年を通して畑の作り方・野菜の作り方を、一緒にやりながら教わる講座」。今年2月からスタートしたレッスンも、気が付けば来月で半分経過です。1年間続くかしらと思いながら参加しましたが、当初の心配をよそに、ほぼ毎週畑に行くことができています。毎回、学ぶこともやるべき作業もたくさんあって、なんといっても楽しい!この調子だと、あっという間に1年間が過ぎそうです。半年後に自分一人でも家庭菜園を作れるように、毎回の畑作業を記録しています。


(16)5/31(土)曇 15/23℃

  • キヌサヤ収穫。
  • トマト苗の周りのレタスミックスを収穫。
  • トマトの支柱を立てる。1本の支柱に麻縄で緩く結びつける「同包スタイル」。
  • ミニカブ、ミニ大根、ビーツを間引き。
  • ラディッシュ、サラダミックスは収穫でお終い→抜いてしまう。

(17)6/7(土)曇 19/27℃

  • キヌサヤ収穫→花が咲いている間はOK。花が終わって黄色くなってきたらお終い。
  • ジャガイモ収穫→あとに枝豆の種まき。
  • ニンジンのウネ(隣の列)にモロヘイヤの種まき。モロヘイヤはウネの中央に指で筋をひいて浅めに蒔く。
  • キュウリの葉っぱの虫除けに、銀色のきらきらしたテープを周りに巻く。
  • ミニカブとミニ大根は収穫でお終い→抜いてしまう。

(18)6/15(日)曇 20/28℃

  • キヌサヤ収穫。花がまだ咲いているので来週あたりまで。
  • トマトの伸びた部分を支柱に結びつける→支柱に対してトマトの茎をまっすぐ立てることによって、成長ホルモンがまっすぐに伝わって良く伸びる!
  • ビーツは成長点(葉っぱの付け根)が土の上に出ていることが大切。
  • ニンジンは7月まで成長させて大丈夫。
  • レタスミックスはそろそろお終い。大きいもの、詰まって生えている部分はばっさり収穫。
  • プランタ栽培のパセリは花が咲いたらもうおしまいになるので、次のものを植える。

6/21(土)曇 20/26℃

  • キヌサヤ撤収→育ちすぎたり黄色くなったさやは、採ってそのまま乾かし、秋植えの種にする→サヤを乾かし、乾いたら種を取り出して、種も乾燥させて、カビないように保管。
  • トマトの伸びた分を結ぶ。
  • ビーツ、ニンジンの大きくなったものを収穫。
  • キュウリ、シシトウの周りにボカシ肥料を少し追加。軽く一掴み、苗の周りにぐるりと撒いて浅く土をかぶせる。

現在の畑作業のペースは、週末に2時間前後です。だいたいは2時間を少し超えてしまいますが、それでも月換算して10時間ぐらい。ふだんデスクワークが多いので、適度に体を動かして運動になるのが、とても良い感じです。花祭窯から自転車で10分かからない場所にあるので、足を運びやすいのもよいです。そしてなんといっても、ささやかながら収穫も手に入れることができるのですから、ありがたいことです。

そしてこれはスタートしてから実感したのですが、レッスン用ということでとても小さい(約2×2m)畑なのが、わたしにとっては体力的にも気分的にも負担にならず、GOODです。これより広いと、「頑張ってやらなきゃ」となりそうで、それは嫌だな、と。指導してくださる先生からは「自分でやるときは、もっと広いほうが、いろいろなものが植えれますよ!」とおっしゃいますが、今ぐらいのほうが自分にはちょうど良いかな、と。

半年後に自分でスタートできるように、そろそろ近所に畑を探しはじめたいと思います^^

読書『バックミラー』(河出書房新社)羽田圭介著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『バックミラー』(河出書房新社)羽田圭介著

いつものカメリアステージ図書館新刊棚より。著者名になんとなく見覚えがあるような、と思いながら手に取りましたが、初めましての作家さんです。開いてみたら、短編集。勝手に長編だと思って借りてきたので、おや、と思いましたが、読み始めたらどれも面白いというか、可笑しいというか。とにかく一気に読みました。

これまでに書いたなかから厳選したという12編は、どのストーリーも全く異なるシチュエーションながら、登場人物に対する斜に構えたような目線が見えるようで、読後感がまったく爽やかではありませんでした(笑)。読了後に開いた河出書房新社サイトでの本書の紹介文に、『令和の《没落小説》、爆誕! 日常版「滅びの美学」』と書いてあり、そうか、そういうジャンルかと思わず納得。さすが出版社さん、言いえて妙、の解説です。恥ずかしくて、切実で、どうにもならないもどかしさがあって、深刻さと笑いが同居しているというか、そんな感じです。

本書巻末に載っていた情報で、著者のことを知りました。17歳で文藝賞を受賞してデビューなさっていたのですね。その後、芥川賞も受賞しておられるということで、だからなんとなくお名前に既視感があったのかもしれません。本書は著者の初めての短編集だったということですので、今度は長編を遡って読んでみようと思いました。

『バックミラー』(河出書房新社)羽田圭介著

久しぶりに歌舞伎―『六月博多座大歌舞伎』を観に行ってきました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

久しぶりに歌舞伎―『六月博多座大歌舞伎』を観に行ってきました。

博多座での観劇自体かなり久しぶりで、歌舞伎というともう前に見たのがいつだったかしら(笑)…というほど。千穐楽の三日前、博多座内はたくさんのお客さんでにぎわっていました。開演前の売店周りの賑わいに巻き込まれると、博多座に来たわ~、と気分が盛り上がります。お弁当屋さんやらお土産屋さんやらフォトスポットやら。ウキウキとした気分になる上質な空間づくりは、やっぱりすごいなぁと思います。

わたしが観に行ったのは「昼の部」でした。テレビだったか新聞だったか、ローカルメディアで目にしたインタビューで、中村勘九郎さんが「今回特にお昼の部は、歌舞伎初心者の方でもわかりやすく楽しんでいただける演目だと思います」とおっしゃっていたので、鵜呑みにして伺いました。とはいえ、あまりにも「まっさらな状態」で臨むと「ストーリーについていけなかった!」という事態になりかねないことは経験上知っていましたので、あらすじと配役が記されたチラシだけいただき、開演までに目を通しました。

演目は『引窓(ひきまど)』、『お祭り』、『福叶神恋噺(ふくかなうかみのこいばな)』の三つ。勘九郎さんのお話のとおり、いずれも分かりやすく、事前にあらすじを読んだ効果もあって、ちゃんとストーリーのなかに入っていくことができました。ついつい、所作の美しさ、動きと音の不思議さ、舞台装置の面白さに見とれてしまうのですが、今回は「人情もの」のお話もしっかり味わうことができたのが良かったです。鑑賞者としてのわたし、ちょっぴりは成長したのかもしれません(笑)。前から10列目ほどの席で、舞台上の演者の表情の変化がちゃんと見えたのも嬉しかったです。

個人的に一番気に入ったのは、勘九郎さんの踊りがメインの『お祭り』。たまにテレビで見かけるイメージとはまったく違っていて、「この人こんなに色気があったのね」と驚愕。これは「一幕見券」でもう一度観たいかも!と思ったものの、千穐楽まで残り2日で断念しました。『引窓』では橋之助さん演じる与兵衛が素敵でしたし、七之助さんが可愛らしかった『福叶神恋噺』はローカルネタを入れ込むなどサービス満点で、時折笑いに包まれながらの観劇でした。

久しぶりの歌舞伎、とっても楽しくて大満足でした。それにしても、勘九郎さんに対して持っていたイメージがガラッと変わりました。次、機会があれば、ぜひ七之助さんの女形が際立つような演目を拝見したいと思います。

読書『ミス・サンシャイン』(文藝春秋)吉田修一著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『ミス・サンシャイン』(文藝春秋)吉田修一著

映画『国宝』が大ヒット中ですね。「絶対映画館で観るべき!」というお友だちが続出するなか、いつものカメリアステージ図書館で目に留まったのが、吉田修一さんの既刊本である本書でした。『国宝』はさすがに誰か借りてるよな、と思っていたところに視界に飛び込んできたので、借りることに。2022年の発刊ですので、約3年前ですね。新聞かなにかの書評で目にして「これは読んでみたいかも」と思ったのを覚えていますが、そのままになっていました。

吉田修一さんの著書は、映画化されているものも多いですね。わたしはこれまで『悪人』を読んだだけだったと思います。妻夫木聡&深津絵里という、個人的にはかなり魅力的に感じる配役で映画化されていましたが、観ていません。長崎県出身の吉田修一さんが描く『悪人』の舞台は福岡・佐賀・長崎だったので、「ああ、あの辺のことだな」とわかる場所が何カ所も登場し、本を読みながらそれらの場所の現実的な景色が鮮やかに頭に浮かんでいたので、そのイメージを壊したくなかったのかもしれません。

さて『ミス・サンシャイン』。発刊当初に書評を読んで興味を持った理由の一つが、著者が「長崎=原爆」にどういうアプローチをするのか、というところでした。わたしは10代~高校卒業までを長崎県内で育ったのですが、本書にも何度も出てくるように、長崎県では8月9日を語り継ぐための「平和学習」にとても力を入れています。公立学校では8月9日は「登校日」になっていて、毎年平和学習が続けられます。今もそうなのかな?少なくともわたしが育った時代はそうでした。吉田修一さんは1968年生まれとなっていましたので、がっつり同世代。そんな方が、どんなふうに小説に載せるのか興味がありました。

文藝春秋の公式サイトでは、「僕が恋したのは、美しい80代の女性でした」というフレーズで、本書が紹介されています。たしかにそのような物語なのですが、そのサイトに女優の吉永小百合さんによる推薦コメントが掲載されているところが、注目です。吉永小百合さんは、テレビドラマで体内被曝をした役を演じてから、ずっと反戦・反核の運動をなさっている人。推薦コメントには、そのような文言は一切含まれていませんが、「作家の故郷への思いを 私は今、しっかりと受け止めたいです」とおっしゃっていて、そのことが何を指しているのかは、著者と同じような平和教育を受けてきた者には、明らかでした。

長崎の原爆を現代から見る小説としては、カズオ・イシグロ著『遠い山なみの光』が、わたしのなかには印象的に残っています。こちらは今年、映画が公開されるということで話題にもなっていますね。広瀬すずさんが主演。今年初めに見た映画『ゆきてかへらぬ』の広瀬すずさんがとても良かったのと、もちろんカズオ・イシグロさんの原作も興味深く読みましたので、これは観に行かねばと思っています。

『ミス・サンシャイン』(文藝春秋)吉田修一著

カメリアステージ図書館イベント「発掘調査のあゆみ方」に参加してまいりました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

カメリアステージ図書館イベント「発掘調査のあゆみ方」に参加してまいりました。

イベントの正式タイトルは

「発掘調査のあゆみ方~発掘調査最前線 整理作業編~」

講師は福津市教育委員会文化財課・史跡整備係の崎野祐太朗氏。会場となったカメリアステージ図書館の多目的室は、定員10名程度のこじんまりとした空間です。カメリアステージ図書館は2階にあるのですが、その1階が歴史資料館になっていて、この手の勉強会が企画されるのにはうってつけの環境です。まぁまぁマニアックなテーマだけに、参加者少ないかしら…と心配しながら出かけたところ、なんのなんの、募集人数越えの参加で知った顔もちらほら。ともあれ文化財発掘調査に関心を持つ同志!?が、地域に一定数居ることがわかって、嬉しいかぎりです。

今回は「整理作業編」ということで、現場での発掘作業が終わった後から調査報告書作成・発行に至るまでの流れのお話でした。「現場編」は昨年開催したとのことで、わたしとしたことが参加しておりませんでした…痛恨です。が、昨年の現場編の資料も「ご自由にお取りください」と用意してあり、その準備の良さに感嘆。ありがたくいただいてまいりました。

以下、備忘。



  • 遺跡の報告が一番重要=「文化財調査報告書」を作るために発掘調査をしているようなもの。
  • 遺跡は「国民共有の財産」である。
  • 「似たようなもの」はあっても、二つとして同じものは無い。
  • 現場での発掘作業(記録作業)→室内での整理作業(成果検討)→報告書刊行(文化財の公開)
  • 文化財調査報告書を刊行するまでが発掘調査!!
  • 位置と環境=遺跡の上に大地無し→大地があって、遺跡がある→だからこそ、位置・環境・背景を語ることが大切。
  • 「客観的事実に基づいて述べる」ことが大事!
  • 調査報告書の発行を経て、ようやく展示公開することができる。
  • 人類の代表として記録保存。
  • 発掘調査のあゆみ方とは、人類史を守り伝えるためのあゆみ方。

「発掘調査のあゆみ方~発掘調査最前線 整理作業編~」福津市教育委員会文化財課・史跡整備係の崎野祐太朗氏より


最近の発掘調査で、福津市内で縄文時代の遺跡が見つかっていたり、「奈良三彩」の破片が見つかっていたり、という成果があったと聞き、テンションが上がりました。今回の講座でお話しくださった文化財課の職員さんは、わたしは「初めまして」の若い職員さんでしたが、熱く語る姿に仕事への誇りと愛情が感じられ、福津市の文化財課の前途が明るいことを確信しました。「人類の代表として記録保存」「発掘調査のあゆみ方とは、人類史を守り伝えるためのあゆみ方」というフレーズに、グッときました。

実は一時期、趣味が高じて福津市の「発掘作業員」に登録していたことがあるワタクシ。その時に携わった発掘調査は、江戸時代の塩田跡でした。時代的には新しくて、古墳時代を掘り慣れているベテランの皆様は「こんな最近のもの…」とおっしゃっていましたが(笑)、それでも十分にロマンを感じたものです。今回のお話を聞いて、また発掘に行きたいなぁという気持ちが沸きあがってきました。いえ、行きたい気持ちはずっとあったのです。そこに時間を割くことができるかどうか。真剣に考えている自分が可笑しいです。

素晴らしいイベントを企画してくださった図書館の皆様と、講座を担当してくださった文化財課職員さんに心より感謝です^^

「EC経営者・担当者向け1Dayセミナー」に参加してまいりました―その2。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

「EC経営者・担当者向け1Dayセミナー」に参加してまいりました―その2。

イベントのフルタイトルは

EC経営者・担当者向け1Dayセミナー makeshop day FUKUOKA 8th anniversary by GMO

ECビジネスのサービスを提供するGMOメイクショップ株式会社福岡支社さんのイベントでした。GMOメイクショップさんのユーザーでなくても参加OKということで、申し込みいたしました。登壇企業さんは、登場順に、長崎・波佐見の有限会社マルヒロさん、福岡・八女の株式会社うなぎの寝床さん、Jリーグのアビスパ福岡株式会社さん、福岡ローカルメディアの株式会社KBC UNIEさんの四社。前半2社についてのレポートは「その1」でご覧くださいね。上の写真は、会場となったアクロス福岡の「アクロス山登山」登り口。

以下、備忘。


↓アビスパ福岡株式会社「2,100回の地域イベントで実証!短期施策と長期施策で実現するLTV経営」より

  • LTV経営=Life Time Value経営。
  • 持続可能性。
  • 社会問題が集まるクラブを目指す。
  • ヨーロッパのチームでは、サステナブルな事業にスポンサーがつくのがスタンダード。
  • 日本初の「サステナビリティなパートナーシップ」を掲げるチームになろう!
  • 社会連携活動を仕組み化する。
  • サッカークラブが動くとメディアが動く、を利用する。
  • アビスパを知らない、サッカーに興味ない、人たちへのアプローチ。
  • 「アビスパは、地域(福岡)のために、何かしてくれているのか?」の声。
  • 入り口としての、チーム名を冠したボランティア活動。
  • 地域イベント・社会イベントで「タッチポイント」を増やす→仲間意識の醸成→長期的なファンの育成。
  • コミュニティを支える三要素「地域愛と強いリーダーシップ」「『参加者』から『当事者』へ」「社会性と経済性の両立」。

以上。

EC経営者・担当者向け1Dayセミナー makeshop day FUKUOKA by GMOより


このあとにもう一つ、株式会社KBC UNIE「テレビ・ラジオで取り上げられる裏技露出戦略」のお話がありました。こちらも興味深いものでしたが、なにしろタイトルが「裏技」で「ここだけの話」的な雰囲気がありますので、ブログにアップするのはやめておきます(オープンな講演でお話しなさったことですので、もちろん違法な話とかそういうものではありません(笑)。

アビスパ福岡さんのお話は、事業者としてのみならず、一市民としても、とても興味深いものでした。花祭窯はもともと佐賀でスタートしましたので、サッカーチームといえば「サガン鳥栖」なのですが、アビスパ福岡のホームゲームも、これまでに3回ほど足を運んで観たことがあります。サガン鳥栖もずっと経営難=資金繰りで苦しんできていて(おそらく現在進行形)、そういうものを打開する策の一つとして、市民向けに佐賀県内のあちらこちらで選手が活動しているのを見かけていました。アビスパもまた同じ課題を抱えていたのですね。

ところで、当日は100名を超える参加申し込みがあったということで、会場となったアクロス福岡円形ホールは、たくさんの人が出入りしていました。席が文字通り円形になっているので、どこからでも演者とスクリーンがよく見えて、ストレスなくお話を聞くことができました。アクロスにはよく足を運びながら、円形ホールでのセミナー参加は初めてだったのですが、いいホールですね。

GMOメイクショップ株式会社福岡支社さん、ありがとうございました!

「EC経営者・担当者向け1Dayセミナー」に参加してまいりました―その1。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

「EC経営者・担当者向け1Dayセミナー」に参加してまいりました―その1。

イベントのフルタイトルは

EC経営者・担当者向け1Dayセミナー makeshop day FUKUOKA 8th anniversary by GMO

ということで、ECビジネスのサービスを提供するGMOメイクショップ株式会社福岡支社さんのイベントでした。今回が8回目ということでしたが、わたしはこれまでこのようなイベントがあることを知らず、初参加。というのも、GMOメイクショップさんのサービスを利用していないもので…ですが、顧客でなくても一般参加できるということで、ありがたく参加を申し込みました。

登壇企業さんは、登場順に、長崎・波佐見の有限会社マルヒロさん、福岡・八女の株式会社うなぎの寝床さん、Jリーグのアビスパ福岡株式会社さん、福岡ローカルメディアの株式会社KBC UNIEさんの四社。いずれもテーマが興味深く、お話をお聞きするのを楽しみにしていましたが、期待以上に面白い内容でした。

以下、備忘。


↓有限会社マルヒロ「倒産危機からのV字回復ストーリー」より

  • 江戸時代~:伊万里港から出荷=伊万里焼。明治時代~:有田駅から出荷=有田焼。明治時代に鉄道が敷設されてから、そこから出荷されるものを「有田焼」と呼ぶようになった。
  • 吉兆の産地偽装問題(2007年)の余波→波佐見でつくったものは有田焼を名乗れなくなった→「波佐見焼とはなにか」を歴史から問い直す。
  • 江戸時代の「くらわんか茶碗」=安価な大量生産品・安心して使えるもの・武骨で加飾の少ないもの=「あくまでも雑器」。
  • 有田焼の「薄くて、伝統的な文様」に対して、「厚くて丈夫で、色々なもの」。
  • 有田焼の鍋島藩御用窯に対して、大村藩の藩財政収入、の位置付け→多売で稼ぐもの。
  • 「日常雑器」ではあるけれど、100均よりは高い(マグカップで1500円~)、の位置付け。
  • 買えるもの(価格)、納得して買ってもらえるもの(価格)。
  • コラボ戦略は、生き残り戦略。波佐見焼だからこそできることを考える。やきものに興味のない人たちへのアプローチ。
  • 波佐見に来てもらうための、施設公園オープン。

以上。

↓株式会社うなぎの寝床「年間2万本販売のヒット商品「MONPE」の秘密」より

  • 作っている場所に、売っている場所がない→うなぎの寝床オープン。
  • 久留米絣をいかに売り出すか→入り口としての「もんぺ」。
  • BtoB→仲間を広げる。
  • モンペの型紙を売る→箪笥の肥やしとなっている着物リメイク需要。
  • 機能的要素・文化的要素・視覚的要素。
  • 文化的要素=公共性の高い情報。
  • 商品を売ってもらうために、商品の背景にある文化への理解を促進してもらう取組。

以上。

EC経営者・担当者向け1Dayセミナー makeshop day FUKUOKA by GMOより


マルヒロさんのお話については、V字回復のきっかけとなった中川政七商店さんのお話を6月初めに聞いてきたばかりでしたので、図らずも、コンサルした側・コンサルを受けた側双方のお話を伺うことができたのは、ラッキーでした。また、わたしがこれまで語ってきた「肥前磁器」は、あくまでも有田から見たものであり、波佐見のことをある程度は知っていてもきちんと理解していなかったことに、今更ながら気づかされました。そういう意味でも、貴重でありがたい機会でした。このような機会をEC系の勉強会でいただくとは、思いがけませんでした。

「うなぎの寝床」さんは、たしか2013年ごろだったと思いますが、八女のお店に伺ってお話を聞いたことがありました。経営に携わる方々が強い個性を持ちながら、自分たちの個性を最前面に押し出すことなく、あくまでも地域への還元や伝統文化の公共性を第一に考えていらっしゃっていることが会話の端々から伝わってきて、すごいなぁと思ったことを覚えています。今考えると、訪問したのはうなぎの寝床さんが活動を始めてすぐの頃ですので、それから現在の展開にいたるスピード、すごいですね。これは体験せねばと、会場横にあるうなぎの寝床さんのショップで、MONPE買って帰りました。

思いのほか長文になりましたので、後半2社の続きは「その2」で^^

読書『ちょっとイイ家』(エクスナレッジ)増田奏 著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『ちょっとイイ家』(エクスナレッジ)増田奏 著

いつものカメリアステージ図書館新刊棚より。「建築家」とか「建築士」とか呼ばれる人、その仕事をしている方々への尊敬があります。自分には思いもよらない職業なので、単純に「すごいな」と思うのです。ありがたいことに、お友だちに建築を仕事とするすごい人たちがいるので、そういう人たちとおしゃべりをする機会があります。そしてそのたびにやっぱりすごいな、と思います。

というわけで「一般向けの建築系の本」を見かけると、ついつい手に取ってしまいます。建築家である著者が紹介する、別の建築家の方々がつくった家。出版元のエクスナレッジさんのサイトには「令和に活躍する建築家が建てた家を覗き見しよう!」という紹介文が載っています。今まさに活躍している建築家の方々が建てた家が、20数軒掲載されています。

本書内のイラストも、著者自ら描かれたものだそうです。設計図面を描くのは仕事のうちだとは思いますが、絵心も必要な職業なのですね。イラストというよりは、図面っぽさを感じる挿絵の数々が、ワクワクを誘います。ビジュアルでイメージが沸くことは沸いたのですが、正直な感想を言えば、建築素人のわたしにはちょっと難しかったかな、というところ。エクスナレッジの公式サイトでの紹介に「堅苦しい実務書が苦手なあなたに。読み物としてもお薦めです。」とありますので、ある程度知識のある方だと、本書の魅力がより理解できるのだと思います。

本著の著者・増田奏氏は『住まいの解剖図鑑』なる本でベストセラーを出しておられるということで、このタイトルなら、もしかしたら分かりやすいかも、という気がします。『住まいの解剖図鑑』もさかのぼって拝見したいと思います。

『ちょっとイイ家』(エクスナレッジ)増田奏 著