読書『森美術館のSNSマーケティング戦略 シェアする美術』(翔泳社)

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『森美術館のSNSマーケティング戦略 シェアする美術』(翔泳社)

著者は森美術館広報・プロモーション担当の洞田貫晋一朗氏。このブログでビジネス書の紹介は久しぶりのような気がします。お友だちがSNSマーケティング関連の書籍を何冊も紹介している中に「森美術館」の文字を見つけ、即購入。

2018年美術館展覧会入場者数で、「ルーブル」「ゴッホ」「印象派」「北斎」など美術的キラーワードを並べた国公立美術館の数々の展覧会を抑え、日本では特に道半ばにある現代アート分野の展覧会でみごと1-2位を占めた(『美術手帳』調べ)という森美術館。その集客を支えたのが無料のSNSツールと聞けば、読むしかありません。

以下、『森美術館のSNSマーケティング戦略 シェアする美術』(翔泳社)より、備忘。


  • インターネットで情報を得(62%)、SNSが来館動機(55.6%)※ただし来館者の約70%が10-30代。
  • 公式ハッシュタグ(長くても)正式名称で。
  • 「文化や芸術は、経済より上にあるべきもの」(森ビル2代目社長森稔氏)。
  • 「中の人」は接客の最前線。
  • 「『アート&ライフ』をモットーに生活の中のあらゆる場面でアートを楽しむことができる豊かな社会の実現」(森美術館ミッション)
  • アメリカの美術館では(中略)公正利用の範囲であれば著作権侵害にはあたらない(中略)それに対して日本は、著作権法に公正利用に関する規定が無い。
  • クリエイティブ・コモンズ。
  • 基本情報をきちんと伝えていくこと。
  • そのアカウントから伝えるべきこと、ユーザーが欲している情報。
  • タイムラインは流れるもの。
  • 必要なことは様々なタイミングで「同じ内容の短冊」を何度も流す。
  • 大事なお知らせや基本情報は、日本語と英語、バイリンガル投稿。
  • 「自分は何者なのか」をきちんと発信していく。
  • 最初のステップは、森美術館の名前を覚えてもらうことでした。
  • 長期的なブランディング。
  • アイコンとカバー写真を固定。
  • アカウント名も固定。
  • SNSは公式ウェブサイトに誘導するだけのものではない。
  • できるだけ情報はリンクに頼らず、SNS内で完結していることが望ましい。
  • 実際の行動につながるフックとなっているのは圧倒的にSNS。
  • SNSはプライベートな空間。
  • 値段を載せない。
  • その投稿で一番伝えたいこと、大事なことを、1行目で表現(中略)これはどんな投稿なのかという「タイトル」にする。
  • せっかくいい展示をしても、見る人がいなければ何の意味もありません。
  • 目指すゴール。
  • 「文化的な投稿」は突出してユーザーの心に届きやすい。
  • ユーザーの日常を少しだけ豊かにする「提案」。
  • その場の思いつきだけで投稿するのではなく、なるべく計画を立てること。
  • SNSの話題にあがっているトレンドを作品に紐づける。
  • 口コミで拡散したいならツイッター、ファンとのつながりを強めたいならインスタグラム、ピンポイントでファンに情報を届けるときにはフェイスブック。
  • インスタで重視される「統一感」と「リアリティ」。「美観」。
  • 動画を投稿したいなら「ストーリーズ」に。
  • コツコツ信頼を積み上げて、将来的にユーザーに来館してもらう道。
  • 企業アカウントは、最初にしっかり設計図をつくってから始めるべき。
  • 「自分たちが伝えたいこと」(目的)と「その先にあるもの」(志・理念)。

『森美術館のSNSマーケティング戦略 シェアする美術』(翔泳社)より抜粋要約。


「文化や芸術は、経済より上にあるべきもの」という森ビル2代目社長森稔氏の言葉を知ることができただけでも、この一冊を読んだ甲斐があったというものです。と言いつつ、ちょうどインスタグラム運用について考えていたタイミングでもあり、ずいぶんたくさん本文中から引っ張りました(笑)。おかげさまで一番大切にしたいことを思い出しました。

そういえば、インスタグラムで海外美術館のフォローはしていましたが、国内の美術館はほとんどフォローしていなかったことに気づき…。さっそく森美術館をフォローです。

行きたい場所(館)リスト。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

行きたい場所(館)リスト。

引き続きStay Creative、Enjoy Home続行中。3月4月のカード明細を見て、交通費の支出がほぼゼロだったことにあらためて驚いています。交通系カードの引き落としが無いのは、使いはじめてから初めてのこと。

ちまたでは、少しづつクローズドからオープンへと動き出した感じですね。制限付きながら「再開しました」の文字を見ると、そういえば、あそこにもここにも行きたかったのだった!と記憶がよみがえります(笑)

そこで本棚から引っ張り出しているのが、年の初めにブログにも書いた『日経おとなのOFF 絶対見逃せない2020美術展』(日経TRENDY)

カラヴァッジオ見たかったな、リヒテンシュタイン侯爵家の至宝行けるかな…と未練たらたらです。でも、ほんとうに見たいのなら、渡航できるようになってから所蔵館に足を運べばよいのだ!と頭を切り替え。そのためには旅費が必要で、旅費を稼ぐ!が、これからの仕事のモチベーションのひとつになりそうです。

そうしてあらためてリストアップしてみると、行きたい場所(館)の基準は、特別展のテーマ云々ではなく、その美術館・博物館自体への興味であり、魅力であることがわかってきました。立地、環境、建物、運営ポリシー、私設のものであれば創立者の想い、そして常設の所蔵品。

滋賀のMIHO MUSEUM、京都の福田美術館、京セラ美術館、大阪のあべのハルカス美術館、島根の足立美術館…

今、美術・芸術は絶対に必要なものだとの思いを強くしています。遠慮なく足を運べるようになって、たっぷりミュージアムを堪能できる日が楽しみです。

海外美術館の教育普及ツール、その8。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

海外美術館の教育普及ツール、その8。

世界中に「行ってみたい美術館・博物館」は沢山ありますが、なかでもここは必ず行かねば!と思っているのが、ゲティ財団が運営する美術館です。

ロサンゼルスにある、ゲティセンターとゲティヴィラ。
https://www.getty.edu/

サイトのアドレスを見ると「.edu」ドメイン。エデュケーションの「edu」です。収蔵作品や資料をいち早くネットでオープンにし、教育利用を促進したことでも知られています。オンラインで学ぶ仕組みの充実ぶりも有名。12歳以下の子ども向け、学校での利用向け、ファミリー向け、エデュケーター(指導者)向けと、さまざまなプログラムがあります。

『英語でアート』の宮本由紀先生がおススメする海外美術館サイトの紹介に「使いこなせるようになれば、かなりの情報量にアクセスできます」とあり、膨大なもののようです。

そして、すごいな!と思ったのが、こちらのブログ記事。今回の緊急閉館の期間中にオンラインでゲティミュージアムをどう使ったらよいかを、いち早くアナウンスしています。

このブログ記事に導かれていくだけでも、相当量の美術学習(そして英語学習にも)になるでしょう。わたしは、まずはここから、チャレンジしてみたいと思います。

ゲティ家と、藤吉憲典とのつながりについては、こちら。

「みんぱく」からのメルマガ。

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「みんぱく」からのメルマガ。

九州国立博物館からのメルマガ根津美術館からのメルマガ、に続いては、「みんぱく」からのメルマガをご紹介。みんぱく=国立民族学博物館。文化人類学・民族学とその関連分野の研究機関です。大阪府吹田市の万博公園内にあります。

5月号のメルマガでは、このご時世を反映して「おうちでみんぱく」が紹介されています。お家で遊べる民博ページに並ぶメニューは、次の通り。

 ◆バーチャルミュージアム紹介
 ◆ぬりえ(5種類)
 ◆飛び出す獅子舞 福ぬりえ
 ◆ペーパービーズ
 ◆読んでみよう!

おうちでみんぱく」のページでチェックしてみてくださいね。

民族博物館ならではの素材のマニアックさが楽しいです。子ども向けと位置付けられていますが、大人の知的好奇心にもばっちり応える情報展開ですので、家族で楽しめると思います。

海外美術館の教育普及ツール、その7。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

海外美術館の教育普及ツール、その7。

海外美術館。自分自身行ったことが無い場所、試してみたいものがたくさんあって、いくら時間があってもご紹介しきれないな、と思っていた矢先に思い出したのが、グーグルのアートプロジェクト。Google Arts & Culture サイトを覗くたびに、新しい発見があります。

最近のお気に入りは、Over 2,000 Museums at Your Finger Trip

Google Art&Culture

文字通り、指先で美術館への訪問旅行気分が味わえる素晴らしい仕組み。世界80か国以上、2000館以上の美術館・博物館のコレクションに、ワンクリックでひとっ飛び。自分で検索しなくても、館の名前を知らなくても、このページを出発ロビーに見立てて、簡単にアクセスできるのが便利です。すべてではなく、またざっくりとではあるものの、日本語訳されているテキストがついているのも嬉しいです。

このゴールデンウィークは、お家に居ながらフィンガートリップ。優雅に世界中の美術館訪問はいかがでしょうか。

インスタで、作家紹介動画。

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インスタで作家紹介動画。

ロンドンのギャラリーSladmore Contemporary向けに、藤吉憲典の作陶の様子や工房の周辺を撮った動画を送ったところ、インスタグラム用にいい感じに編集して、紹介してくださいました。この動画がアップされてすぐに、藤吉憲典のインスタグラムのフォロワーの数が30件ほどいっぺんに増えて、動画で発信する力を、今さらながらに思いました。

コレクターの皆さんは、こういう情報発信を待っておられたのだなぁ、と。作品の写真だけでなく、つくる人の気配が感じられるものがあってこそ、より楽しんでいただけることを実感しました。

フォロワーさんの数が増えると、やっぱり嬉しいです。今までインスタでは写真のアップばかりでしたが、これにならって自分でもインスタで動画アップにチャレンジしてまいります。

Sladmore ContemporaryのGerryに感謝!いい機会を作ってくれてありがとう♪

根津美術館からのメルマガ。

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根津美術館からのメルマガ。

先日、九州国立博物館からのメルマガをご紹介したところでしたが、今朝は根津美術館からメールマガジンが届いていたので、こちらをご紹介。

毎年ゴールデンウィークが近づくと、東京青山にある根津美術館が気になります。根津美術館といえば、燕子花図屏風(かきつばたずびょうぶ)。毎年公開される展覧会に、いつかはこのタイミングで観に行きたいと思いつつ、なかなか行けずにおります。現在(2020年4月)、根津美術館も臨時休業中で、今年はその特別展も中止です。

根津美術館は、お取引先ギャラリーである西麻布の桃居さんからお散歩がてら10分かからない距離にあり、桃居さんでの個展のタイミングで訪問することが多いです。朝一番にでかけると、ギャラリーのオープンまで約1時間、楽しむことができます。

まだ燕子花の季節に出かけたことはありませんが、自然豊かな庭園を歩いていると、そこが都心のど真ん中であることを、しばし忘れてしまいます。メルマガ最新号は、その庭園の今の様子をウェブサイトで楽しんでもらおうというご案内でした。

根津美術館ホームページ「庭園」

↑このページには庭園マップがあり、マップ上のカメラマークをクリックすると、360℃パノラマビューの風景を見ることができます。これは、見ていてなかなか気持ちがいいです。わたしは根津美術館に行っても、館内の展示を見ずに庭だけ散策して帰ることもあります。「都会のオアシス」という言葉が文字通りの場所だと思います。

九州国立博物館からのメルマガ。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

九州国立博物館からのメルマガ。

気になる美術館、博物館のメールマガジンをとっています。どこの館のものも、通常は、おススメの展覧会や、展覧会に付随して行われるイベントの紹介が多く、受け取る側もそれが主な目的でもあります。

先日届いた、九国からの最新のメルマガタイトルは「4階文化交流展示室のおすすめの文化財を紹介します!」。このところ、臨時休館やイベント中止の連絡が多かったなか、思わず食いつきました(笑)わたしが九国からのメルマガを読むようになってから数年が経ちますが、こういうアプローチは初めてだと思います。

わたしはもともと「九州国立博物館は、特別展もいいけれど、4階の常設展がおススメ!」で「文化交流展示室推し」。特別展に誘われて観に行っても、文化交流展示室での滞在時間の方が長くなるのですが、そのファン心をくすぐる内容でした。

「4階文化交流展示室のおすすめの文化財を紹介します!」のタイトル通り、おススメの資料が写真付き(HTMLメール)、簡潔な説明付きで紹介されていました。各資料とも九国の収蔵品データベースへのリンク付きで、気になるものは、すぐに九国のサイトで確認することができます。5つの資料が紹介されていましたが、1回のメルマガで見る量としては、ちょうどよかったです。

個人的に最も気になったのは「青貝細工フリーメーソン螺鈿箱」。江戸時代の長崎螺鈿の輸出品です。19世紀という時代は、有田焼においても西洋からのオーダー品に応えて積極的に輸出をしていた時代でもあり、興味深く眺めました。

文化交流展示室は、展示されている資料数も多いので、毎回すべて見ることはできません。そのうえ、定期的に展示替えも行われています。「こんな収蔵品があるよ!」と教えていただけるのはとっても嬉しいことで、次回のメルマガ配信が今から楽しみです。

ほかの美術館、博物館のメルマガも、今こそこういうアプローチをしてくれたら嬉しいな、と思いつつ。

九州国立博物館のメールマガジン登録

海外美術館の教育普及ツール、その6。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

海外美術館の教育普及ツール、その6。

内容が充実しているといわれる、海外美術館サイトのエデュケーションツール。海外美術館サイトから、実際に自分で試してみたものを、その都度ご紹介して参ります。その第6弾。調べるほどに楽しくなってきました。

さて今回は、ヴィクトリアアンドアルバート博物館(以下、V&A)。膨大な資料数を誇るV&AのコレクションをWeb鑑賞して参りましょう。おもちゃ箱をひっくり返したような楽しさがあります。

From The Collections

↑「SPACES」「PERIODS AND STYLES」「PEOPLE」「FEATURED」「MATERIALS AND TECHNIQUES」「PLACES」 と6つのカテゴリーから、コレクションにアプローチすることができます。

どこから行けばよいか迷う!というときは、V&Aの特色から探す「FEATURED」から見てみましょう。「ウェディングドレス」「衣装」「メガネ」「オペラ」「靴」「家具」「壁紙」「額装」「帽子」などなど…の分類から、所蔵品を観に行くことができます。

カテゴリーを簡単に日本語にすると、「SPACES」は、V&A館内の場所による分類、「PERIODS AND STYLES」は作品の時代や流派による分類、「PEOPLE」は人物による分類、「MATERIALS AND TECHNIQUES」は素材や技法による分類、「PLACES」はその資料のルーツのあるエリアによる分類です。

実際に館を訪問してもそうなのですが、なにしろ芸術・デザイン全般ですので、守備範囲が広く、一日や二日で回れるものではありません。そんな大量の資料を、どう分類すればWeb上で探しやすいか、かなり工夫されていると思います。

海外美術館の教育普及ツール、その5。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

海外美術館の教育普及ツール、その5。

内容が充実しているといわれる、海外美術館サイトのエデュケーションツール。そのなかから、実際に自分で試してみたものを、その都度ご紹介して参ります。その第5弾。

昨日に引き続き、ロンドンのコートールド・ギャラリー(The Courtauld Institute of Art)のサイトからご紹介します。写真は、コートールド・ギャラリーのある建物サマセットハウス。ここから建物をぐるりと回った反対側に、ギャラリーへの入り口があります。

The Courtauld Collection

↑コートールド・ギャラリーの所蔵品を見ることができる「コレクション」へのアクセスページです。

「Highlights of The Collection」では、館がおススメする21作品が取り上げられています。何から見ようか迷ったときは、ここから順番に参りましょう。モネ、ゴッホ、ゴーギャン…とお馴染みの名前が並ぶのも、とっつきやすくて嬉しいですね。

「Paintings」「Prints and Drawings」「Sculptures and Decorative Arts」と、分野別のページもあるので、見たいものがはっきりしている人は、こちらから入っていっても好いと思います。紹介されている所蔵品すべてを見ようとすれば膨大な時間がかかりますから、「どこから入って何を見るか」は、サイト上でも悩ましいところです。

コレクションページでは、その作品写真だけでなく、その作品や作者にまつわる文字情報も一緒に載っています。が、文字情報(知識)に頼らず、自分の感性で作品そのものをじっくり眺めるのも、わたし個人的にはおススメです。