個展案内状が届きました―11月は南青山の百福さんで「藤吉憲典展」。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

個展案内状が届きました―11月は南青山の百福さんで「藤吉憲典展」。

藤吉憲典の個展を、隔年で開催してくださっている百福さん。2026年は来月11月、その案内状が届きました。百福オーナー・田辺さんの撮る写真がいつも格好良くて、今回も素敵な案内状に仕上がっています。ありがとうございます♪

百福 藤吉憲典展案内状2026

藤吉憲典展(磁器)

百福 https://www.momofuku.jp/

アクセス:東京都港区南青山2-11-6-1F (地下鉄「外苑前駅」4a出口徒歩5分/「青山一丁目駅」5番出口徒歩5分)

電話:03-6447-0952

会期:2026年11月7日(土)-11月13日(金)※会期中無休

時間:12時~18時※最終日は17時まで


百福さんでの個展では、飯碗、蕎麦猪口、小皿豆皿などふだん使いのものをご覧いただくことができます。もちろん、藤吉憲典の作る酒器や向付などもお持ちいたします。また来年の干支「未」のシルクスクリーンもお持ちできると思います。

どうぞお楽しみに^^

「海外観光客も引き続き無料」についての小さな考察 ― ARTnews JAPANの記事から

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

「海外観光客も引き続き無料」についての小さな考察 ― ARTnews JAPANの記事(2026.09.29)から

この2026年10月から、このブログに「ニュースから考える」カテゴリーを追加することにしました。ニュースとはいっても、個人的に興味のある分野に限られますので、美術・工芸系のもの、ざっくりと人文系が多くなるかな、と思います。ニュースソースとしては、新聞・雑誌・ウェブコンテンツなど。ニュース記事の内容について思ったことを、つらつら書くスタイルです。出典元を記載しますので、関心のある方はぜひ元ネタにあたってみてくださいね、という感じで^^

記念すべき第一回目は、株式会社MAGUSさんが運営するARTnews JAPAN(アートニュースジャパン)の記事から。株式会社MAGUSさんは、寺田倉庫さんを中心に設立された、アートのプラットフォームを目指す会社ということで、わたしはそのウェブサイトをつい最近発見したのでした。美術品の物流業からアート関連事業をどんどん拡げておられる寺田倉庫さんの肝入りとなれば、注目度も高そうです。

さて

ARTnews JAPANより「海外観光客も引き続き無料」のニュースは、英国から。「イギリス政府は9月28日、大英博物館やテート、リバプール国立博物館群など、イングランドの国立博物館・美術館で海外観光客から入館料を徴収する案を撤回すると発表した」とありました。そもそも有料化する案が具体化しているということも知らなかったワタクシ、このニュースを見てドキッとするやらホッとするやら。そういう議論があるのは聞いたことがあったのですが、ね。

ロンドン出張時になにがありがたいかといって、主だった美術館博物館が入場無料であり、しかもその常設展示の規模と内容が素晴らしく膨大である、というところなのです。無料だからこそ、アポの合間に15分空いた!といって、近くの美術館に飛び込むことが出来たりもします。各館、無料で入れるとはいえ、ドネーション(寄付)の呼びかけが随所にありますので、わたしも行ったときには必ず幾ばくか寄付をします。たぶん、そういう人がかなりたくさんいらっしゃるはずです。昨年行ったときには、キャッシュレス化が進んでいましたが、コロナ禍前までは多くの館で透明の寄付箱がおいてあり、コインばかりでなく高額紙幣がたくさん入っているのを、ビジュアル的に見ていました。お金を持っていなくてもウェルカム、だけど館の存続運営のために、協力できるとき・協力できる人はよろしくね♪というスタンス。

寄付に積極的に協力するのは、入館料が無料だからこそ!という一面もあると思います。「こんなにたくさんの本物の資料を、無料で見ることができるなんて」という感激が、寄付に向かわせます。海外からの観光客となれば、入館すれば、館内のカフェでゆっくり飲食をしたり、ミュージアムグッズを買ったりして、お金を使うことも多いでしょう。おそらくそういうことがわかっているからこそ、現場である各館からは有料化に反対の声が上がっていたのだと思います。敷居はできるだけ低くして、中でお金を使ってもらうほうが、双方嬉しい結果につながるのではないかしら、というところですね。もちろん比較した試算を見たわけではありませんので、あくまでもイメージですが。

この記事を読んで思い出したのは、わたしが英語学習用を兼ねて勉強に使っているDVD『ナショナル・ギャラリー 英国の至宝』の中のいくつかのシーンです。このなかに、館運営のための予算を検討するシーンがあり、国からのサポートが厳しくなっていることがうかがえる会話が出てきます。日本の美術館博物館も財政的に厳しい状況ですが、英国でもそうなのだなぁと思いました。この映画が公開されたのが2014年でしたので、今はもっと厳しくなっているのかもしれませんね。

インプットツアー in 佐賀県武雄市。

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インプットツアー in 佐賀県武雄市。

花祭窯の創業地は佐賀県江北町花祭。花祭に居たときは武雄市は生活圏でした。窯業産地である有田に、材料の仕入れや資料の勉強などに足を運ぶのに、通り道である武雄市は必ず通る場所。図書館や宇宙科学館などの公共施設があり、品質の良いものが集まる農産物直売所があり、泉質の良い日帰り温泉もあって、とってもお世話になった場所でもあります。そんな、馴染み深い武雄温泉エリアですが、津屋崎に移転してからは、「通過する場所」になってしまっていました。この連休中に、武雄に行く用事ができましたので、この機会にインプットツアー^^

まずは佐賀県立宇宙科学館へ。子どもが小さいころによく連れて行きました。連休中とあって、朝一番から、家族連れや子どもを主体とした団体がたくさんでした。まずは各フロアの展示を拝見。基本的なフロア構成は20年近く前から変わっていませんでしたが、相変わらず充実しているなぁ、これは子どもを連れてきたいと思うよなぁ、という感想です。参加型・体験型の設備がより充実していたり、展示の色使いに工夫が凝らされていたり、さりげない心遣いによる改善が、あちらこちらに見えました。今回は、今まで行ったことの無かったプラネタリウムも初体験。プラネタリウムの番組もいろいろありますね。久しぶりのプラネタリウムは、人気があるのかなぁと心配していましたが、なんとほぼ満席でした。

佐賀県在住時に武雄市内で一番よく通ったのは、図書館です。武雄市図書館といえば、蔦屋書店でお馴染みのCCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社)が指定管理者に入り、大きく変貌したのが2013年からのことでした。全国から図書館関係者が視察に押し寄せ、一躍有名になりましたので、覚えていらっしゃる方も多いかもしれません。花祭窯が津屋崎に移転した1年後のことでしたので、わたしたちが馴染んだ武雄市図書館は、変化する前の図書館でした。10数年を経て、ようやく訪問。わたしがよく知っていたあの同じ空間が、こんなふうに変わるなんて!とある種の感慨がありました。店舗設計の力を感じました。図書館エリアも本屋さんエリアもカフェも、地元民に愛されていることがよくわかる賑わいぶりで、楽しい視察となりました。

最後は、御船山エリアにある陽光美術館へ。「日中文化交流の懸け橋になることを願い、日本磁器発祥の地である佐賀において、そのルーツである中国陶磁器を展示しています」とある通り、中国磁器の名品を所蔵しておられます。ずっと気になっていましたが、今回が初めての訪問でした。ちょうど、陽光美術館開館30周年記念展ということで、所蔵名品展のうち『青と赤-鉄と銅と炎の世界-』と題したテーマ展を観ることができました。展示スペースはこじんまりとしていて、観ることのできる点数は決して多くはありませんが、良いものを拝見できて大満足。隣接する日本庭園「慧洲園」を、ゆっくり眺めることができたのも良かったです。上の写真は、陽光美術館の休憩エリアから眺めた庭園。

いずれも武雄温泉駅から車で5分以内にある施設。丸1日で、ゆっくりじっくり楽しむことができました。わたしは車で動きましたが、武雄温泉駅内にある武雄市観光協会で、電動自転車のレンタサイクルもあります。お天気にも恵まれ、大満足のインプットツアーになりました^^

郷育カレッジ講座「知識要らずの美術鑑賞」を開催しました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

郷育カレッジ講座「知識要らずの美術鑑賞」を開催しました。

福津市民のための生涯学習システム「郷育カレッジ」。今年も福岡市美術館さんのご協力を得て、「知識要らずの美術鑑賞」講座を開催して参りました。現地で参加者の世話役をしてくださるのは、福岡市美術館の教育普及プログラム担当の学芸員さんと、美術館ボランティアガイドの方々です。今年は、例年よりも参加定員を増やすことができました。福津市から福岡市美術館までは、市の公用バスを利用しての移動です。その定員を、コロナ禍後は用心して少なめに人数制限していたのですが、バスの正規の定員まで広げることにより、昨年までより10名ほどアップ。おかげさまで、今年は参加ご希望者の抽選漏れ人数を減らすことができたと思います。

さて当日のわたしの主な仕事は、移動のバス車中での簡単なレクチャー。「知識要らずの美術鑑賞」のタイトルは、わたしが一般向けに分かりやすいように考えたものであり、そのなかで実施されるプログラムは「対話型鑑賞法」を用いたものです。福岡市美術館の学芸員さんとの事前の打ち合わせで、対話型鑑賞法で大切なことについて、皆さんに解説しておいて欲しいというようなご要望がありましたので、バス移動の時間を使いました。

到着後は、福岡市美術館の教育普及担当スタッフさんにお任せです^^。対話型鑑賞のグループは4~5名で、7グループ。それぞれにボランティアガイドさんが一人ついてくださり、常設展示室での鑑賞を行います。それぞれのガイドさんが選んだ3つの作品について、各グループでの対話が始まると、最初は遠慮がちだった参加者の皆さんも、3作品目になると活発な発言が増えてきて、和気あいあいとした声が聞こえてきました。仕掛け人としては、思わずニンマリする瞬間です。

対話型鑑賞の時間が終わったら、自由観覧時間。こちらは文字通り自由に、それぞれに気になるものを観に行っていただく時間です。対話型鑑賞は一つ一つの作品をじっくり見るので、時間内では3つが限度になりますし、集中力が続くのもそれぐらい。でも「せっかくここに来たのだから」ということで、「自分が見たいと思うもの」を探しに行ってもらうのも、良い時間になると思います。帰りのバスの中では、皆さん楽しそうに近くの席の方とおしゃべりがはずんでいました。

というわけで、今年も無事講座を開催することができました。参加者の皆さん、福岡市美術館教育普及担当学芸員さん、ボランティアガイドの皆さん、そしてバスの手配はじめこまごまとした雑務をこなしてくださる市職員さんに心より感謝です^^

北九州市漫画ミュージアムがすごかった!

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北九州市漫画ミュージアムがすごかった!

ずっと気になりながら行けていない美術館・博物館が、いくつもあります。そのなかのひとつだった北九州漫画ミュージアムに、ようやく足を運ぶことができました。場所はJR小倉駅から徒歩2分。電車で約1時間というすぐ近くにありながら、そして小倉にはたびたび足を運んでいながら、やっと!です。

今では、美術館や博物館で漫画やアニメを題材にした特別展は珍しいことではないどころか稼ぎ頭になっていますし、全国各地に「漫画ミュージアム」が存在しています。この北九市漫画ミュージアムが設立したころにはまだ「漫画を公立の施設で?」という声が、多少あったような気がします。わたしはこれまでに博物館学芸員の研修で、なんどか北九州市漫画ミュージアムの学芸員さんのお話を聞く機会があり、「漫画だから」のご苦労をお聞きしたことがありました。

さて漫画ミュージアム。『「見る!」「読む!」「描く!」の3つのテーマで楽しめる!』ということで、常設エリア入ってすぐに「なぜ、北九州市で漫画ミュージアムなのか」を理解することができる展示がなされていました。上の写真は、入館者を最初に出迎えてくれる、写真撮影OKのメーテル^^ 漫画の仕組み、漫画の歴史、北九州市ゆかりの作家たちに関連する収蔵作品の展示などを観ながら進んでいくと、圧巻の「閲覧ゾーン」が目の前に広がります。

蔵書数7万冊という漫画が棚を埋め尽くし、ゆっくり座って読むことのできるスペースがかなり広く確保してあります。わたしが訪問したのは日曜日でもあり、まあとにかくたくさんの人が黙々と漫画を読んでいました。老若男女問わず、家族連れも多く。一瞬、ネットカフェっぽいと思いましたが、その空間が広々と明るいことが大きな違いでした。大量の漫画ですが、漫画家のお名前五十音順の分類と棚の表示は明確で、試しに何人か思いつく漫画家名で探してみましたが、いずれも難なく見つかりました。

うっかりすると、ここで漫画を読むだけで一日過ごしてしまう、なんてことが容易にイメージできました。危険です(笑)。なので今回は「1冊だけ」と決めて、「一条ゆかり」先生の『有閑倶楽部』を探しました。検索性の高さ、すごいです。ぱっと見つかり、すぐ横に空いていたソファーで読みました。うん、何十年ぶりかで読みましたが、やっぱり面白かったです。こうなると、そういえば…といろいろな漫画のタイトルが思い浮かんで、危険な状態に。さほど漫画に夢中になったわけではない自分でもこうなのですから、マンガ好きの人にはたまらない空間だろうな、と思いました。

常設展の観覧料は大人480円で、当日内ならば何度でも出入りOKという太っ腹。7万冊が読み放題ですから、めちゃめちゃお得です。そして入館時に観察していると、大人も子どもも「年間パス」を持っている人がとても多かったのが、おお~!と思いました。ちなみに年間パスポートは大人で2400円。これは、近所に住んでいたら、年間パスポートを絶対買いますね(笑)。

これまでの人生の中で、一度でも漫画にハマった時期がある方には、ぜひ足を運んでいただきたいミュージアムです。

北九州市漫画ミュージアム

続々・「天氣晩来秋」北京の喜水ギャラリーさんで藤吉憲典個展。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

続々・「天氣晩来秋」北京の喜水ギャラリーさんで藤吉憲典個展。

いよいよ明日8月29日(土)初日を迎えます。北京・喜水ギャラリーさんでの、藤吉憲典個展「天氣晩来秋」。喜水のオーナーさんが立て続けに、詩的で素敵な個展告知文章を出してくださるので、ご紹介したくて「続々」のブログアップです。

中国語で書いてくださっていたものを、AI翻訳して、意味が通るようにわたしが手直ししています。


藤吉憲典個展 天氣晩来秋

  • 喜水gallery:北京市朝阳区广渠东路1号创1958园区 3-9F
  • 2026年8月29日(土)-9月2日(水)

藤吉憲典は、創造力の源泉は、日々の暮らしの中で身近に感じる自然の美しさにあると語っています。色を目で見て、形に触れる――そうした五感を通じた体験こそが、ものづくりの原点なのだと。彼は、器を実際に使う日常の中で、器と芸術が持つ意味や力を感じてもらいたいと願っています。その素朴で誠実な思いこそが、彼の作品が国境を越えて人々の心を動かす理由の一つなのかもしれません。

藤吉憲典の制作姿勢には、古来の中国思想にいう「格物」に通じるものがあります。「格物」とは、目の前にある一つひとつのものを深く観察し、考え、その本質を見極めていく姿勢です。一本の線、一つの余白に至るまで、何度も見直し、考える。その積み重ねの先にあるのは、流行に左右されず、時を重ねてもなお美しさを保ち続ける、気品と静けさなのです。

(喜水ギャラリーのインスタグラムより)


「格物」という言葉の意味を知りませんでしたので、調べてみました。いろいろと出てきましたが、雑誌『サライ』のウェブ版に掲載されている記事がわかりやすかったです。ご興味のある方は、ぜひご参照くださいね。その文章を拝読したうえで簡略にまとめると…

儒教の基本文献といわれる四書五経のひとつ『大学』にある「格物致知(かくぶつちち)」に由来します。『大学』に「知を致すは物を格すにあり」とあり、人間本来の知恵、生きる力は、実際に物事にぶつかり体験することによって初めて得られると解釈されています。そして「学び続ける姿勢」と「真理への探究心」この両輪が大切であると説いています。

告知以降、「北京にいる友人に、個展開催を紹介しました」などの嬉しいメッセージもいただいております。ありがとうございます!

続・「天氣晩来秋」北京の喜水ギャラリーさんで藤吉憲典個展。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

続・「天氣晩来秋」北京の喜水ギャラリーさんで藤吉憲典個展。

8月29日(土)~9月2日(水)開催の、北京・喜水ギャラリーさんでの個展。

喜水のオーナーさんが、個展タイトルの「天氣晩来秋」について、解説をしてくださっていましたので、こちらでもご紹介をいたします。中国語で書いてくださっていたものを、AI翻訳したものです。


前回は、「空山新雨後」と題し、藤吉憲典の陶芸の世界を初めてご紹介しました。そのときの青花染付は、まるで新しい雨に洗われた遠山のように、また赤絵は、雨上がりのやわらかな日差しのように、静けさの中に生き生きとした息吹を感じさせるものでした。

今回は、詩の続きをたどり、「天気晩来秋(天気は晩来、秋となる)」という一節へと進みます。「新雨の後」から「晩来秋」へ――雨上がりの清々しさから、夕暮れとともに静けさが深まっていく情景へと移ろいます。藤吉先生の作品は、まさにこの詩情と見事に響き合っています。

青花の青は、秋の夕暮れにゆっくりと色を深めていく空のようであり、赤絵の赤は、霜を迎えようとする草木の葉の、まだ鮮やかさを残したあたたかな色合いを思わせます。

藤吉先生が描く唐草や流水、祥雲、楼閣などはいずれも古典に由来する意匠ですが、その線は洗練され、色彩は典雅。華やかさや喧騒とは無縁の、静かで落ち着いた趣をたたえています。そこには、古い和陶にも通じる穏やかさとともに、漢詩に宿る抑制の美と悠遠な趣が感じられます。


晩秋の訪れとは、雨が上がり雲が晴れたあとの静けさであり、暑さが和らいだあとの涼やかさであり、また、時を重ねるなかで器物にゆっくりと宿っていく、あたたかな艶でもあります。

藤吉先生の筆先と磁器の上には、数多くの古典的な文様が描かれています。中国に伝わる唐草、流水、祥雲、山水を一筆一筆丁寧に描き込む一方で、日本の市松、青海波、麻の葉、桜なども、互いに競い合うことなく、華美に走ることなく、静かに配されています。

そこには、中国と日本、二つの文化が響き合う独自の世界があります。その出会いは、遠い時代から受け継がれてきた美意識が、今によみがえるような趣を感じさせます。

青花は、夜の景色や遠くに連なる山々。赤絵は、夕日のぬくもりや秋の情景を奏でる色彩。冷たさと温かさ、そのあわいにこそ、東洋の美に通じる慎ましさと静けさが宿っています。

(喜水ギャラリーのインスタグラムより)

※「青花」とは染付(そめつけ)のことで、呉須(ごす)の青色で描かれた文様を指します。


前回の喜水ギャラリーさんでの個展は、ちょうど二年前のやはり8月でしたが、今回の方が少し季節が下っています。漢詩でご紹介いただくと、なんだかとても洗練されたような感じがして、嬉しいですね。

「天氣晩来秋」北京の喜水ギャラリーさんで藤吉憲典個展。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

「天氣晩来秋」北京の喜水ギャラリーさんで藤吉憲典個展。

当初2026年春節に予定をしていた北京での個展が、諸事情で延期になっていました。ようやく会期が決定、8月29日(土)初日です。

個展タイトルは「天氣晩来秋」。喜水ギャラリーでの個展は、毎回オーナーがタイトルをつけてくださいます。「天氣晩来秋」は古典漢詩に含まれる一節のようです。雨上がりの夕方に、気がつけば秋の気配がする、というところで、詩全体としては景色の美しさを詠んだもの。

北京喜水ギャラリーで藤吉憲典個展「天気晩来秋」

今、北京では特に赤絵の器が人気だということで、喜水ギャラリーのオーナーさんから、赤絵の器、特に中国茶器をたくさん並べたいとご要望いただいておりました。

北京の喜水ギャラリーさんで藤吉憲典個展

DMができました!と送っていただいたのが、この三枚。

北京の喜水ギャラリーさんで藤吉憲典個展

オーナーさんが喜んでくださったことが、とっても伝わってくる三枚で、こちらも嬉しくなりました。

今回は残念ながら作家在廊がありませんが、北京の皆さんに楽しんでいただけることを願っております♪

福岡市美術館の常設展示室がますますパワーアップ。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

福岡市美術館の常設展示室がますますパワーアップ。

このところ年中行事となりつつある、福岡市美術館の常設展詣で。今年も郷育カレッジの美術鑑賞講座が9月に開催されるので、その下見と打ち合わせのために出かけて参りました。打ち合わせは午後からでしたので、その前にじっくり下見です。まずは2階の「コレクションハイライト」の部屋から。

2階の常設展示室は、数年かけて部分的に閉めながら工事をしていましたが、やっとフルオープンになっていました。まずはエントランスからガラッと変わっていてびっくり。一番大きく変更されていた部屋は、壁面・天井・床とすべて変わっていて、まるで特別展のような雰囲気がありました。照明にも専門の展示業者さんが入ったということで、なるほど納得です。

これまでに何度も観たことのある収蔵作品も、展示が変われば見え方も変わります。思わず「ほほぉ~!」と感心しながらの鑑賞となりました。一つ一つの作品が、これまでよりも大切にされている感じが伝わってきました。上の写真は、それを大きく感じたひとつ、ダリの『ポルト・リガトの聖母』です。没入できるような部屋のつくりになっていて、とても贅沢でした。この絵の前で写真を撮る人も多々。そうよね、撮りたくなるよね!と心のなかで声をかけました。

夏休み期間中とあって、子ども向けのワークショップやイベントが工夫されていました。特にいいなぁと思ったのは、展示室のなかで作品に囲まれた状態でワークショップができるスペースを設けてあったこと。展示室とは別のエリアにワークショップ用の部屋を設けてある美術館は多いですし、福岡市美術館にももちろんあります。展示スペースと同じ場所にワークショップコーナーを設けることは、作品保護の観点からも、反対されることが多いだろうとイメージできます。でも、ホンモノの美術作品を見ながら、自分の手からも何かを生み出すことができるのは、とても素晴らしいこと。担当学芸員さんの頑張りがあったことが伺えました。

続いて古美術の1階へ。まず、茶人・松永翁のコレクションは安定の素晴らしさ。8月9日までは仏教美術特集ということで、堪能致しました。企画展示室では「仙厓展」が開催されていました。何度見ても楽しい仙厓さん。今回は「レジェンドコレクターズ」特集ということで、個人蔵の作品がいくつも出ていたのが面白かったです。もう一つの企画展示は「模倣と創造」で、「写し」について深く考えさせられる展示となっていました。学芸員さんの目の付け所に、ニヤリとする感じです。

鑑賞のラストは、毎度おなじみ東光院の仏像の数々のお顔を拝みます。毎度おなじみと言いながら、ここに並んでいる仏像の皆さんはさりげなく入れ替えが行われていますので、前回お会いした方々とは違っている可能性があります。ともあれ、十二神将の方々を一周して眺めると、とっても嬉しくなります。

じっくり鑑賞して1時間ちょっと、というところ。大満足でした。この後、福岡市美術館の教育普及担当学芸員さんと打ち合わせして、ミッションコンプリート。来月の美術鑑賞講座がまたまた楽しみです

読書:図録『眼のごちそう 食器』サントリー美術館 発行

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書:図録『眼のごちそう 食器』サントリー美術館 発行

先日観に行ってまいりました、サントリー美術館での同タイトルの展示会図録です。わたしが展覧会を観た後に図録を購入するのは、まあまあ珍しいことです。図録を買わなくていいぐらいに、現地で実物を納得するまで見る、というのが、ふじゆり流の美術鑑賞。特に出先では、図録は重くて嵩張って持ち運ぶのがたいへんなので、よほどのことが無いと買いません。が、今回は「これは持って帰らねば!」と、現地購入しました。上の写真は、サントリー美術館での展覧会鑑賞前後に気兼ねなくゆっくりできる、お気に入りのスペース。

一番の購入理由は、作品解説をはじめとした巻末の資料が欲しかったから。展覧会会場では、基本的に「キャプションをほとんど読まないで、見るに徹する」のを旨としています。が、今回の展覧会はテーマが「食器」ですから、自分の勉強のために解説資料も読みたいと思いました。実際に自分の目で見てきたインパクトを前提に作品解説を読むことで、さらに理解が深まります。解説を読んでは写真で器の姿を再確認し、そしてまた解説を読み、という繰り返しをするのに、図録はとっても便利です。

さて持ち帰って本書を開いてみると、まず巻頭のサントリー美術館副学芸部長・安河内幸絵氏による「所感 近世の陶磁器の食器」の文章が、簡潔にまとまっていながら、とても興味深くおもしろかったです。ふだん、ややもすると「肥前磁器」の括りのなかだけでものを考えがちになってしまうわたしに、「日本の近世の陶磁器の食器は、もっと多様なのだよ」と諭してくれる内容でした。しばらく仕事机の上に鎮座しそうな一冊です^^

サントリー美術館で開催中の「眼のごちそう 食器」展は、2026年8月30日(日)まで。