読書『運動脳』(サンマーク出版)アンデシュ・ハンセン著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『運動脳』(サンマーク出版)アンデシュ・ハンセン著

9月の三連休は読書三昧!2冊目。

2018年刊行の『一流の頭脳』に加筆・再編集して、2022年に刊行されています。その4年間に、本書の内容に対してどれほどの反響があったのかがイメージできますね。スウェーデン出身の精神科医による、脳にベストな処方は「運動」である、という論拠と具体的対策を説いた一冊。いやほんとうに、エビデンスが求められる昨今とはいえ、これでもかというほど(笑)に「根拠となるデータ・数字」を挙げての解説が続きます。

結論としては、速足のウォーキング、あるいはランニングや自転車、水泳といった有酸素運動を、1回45分以上、週3回以上できると、脳に(ひいては身体に)いいよ!というもの。運動の内容としては、その強度(少し息・心拍数が上がる程度)と時間の長さが大切だということで、この点についても繰り返しその根拠が述べられています。

以前に読んだPHP新書の『一生使える脳』を思い出しました。

こちらも認知症専門医による豊富な臨床例から「今、わたしの経験からはこう言える」が語られており、説得力のある内容でした。このなかでも、運動が脳に及ぼす良い影響についてページが割かれています。あらためて刊行年を確認したところ、2018年1月となっており、『運動脳』の元となった『一流の頭脳』と同時期に発刊されていたことがわかりました。日本でも海外でも、このテーマが注目されてきているということですね。

さて『運動脳』。「おわりに」では「ただちに本を閉じよう」とあり、思わず笑いました。そして、運動の方法について、上に書いた通り「有酸素運動を、1回45分以上、週3回以上」がベストでおススメであるとは言うものの、「何もしないよりは1歩でも歩いた方が良い」と、とりあえず「体を動かす」ことを勧めています。ということで、まずはわたしも、このところサボり気味になっていた散歩を復活するところからはじめます。

『運動脳』(サンマーク出版)アンデシュ・ハンセン著

読書『自然、文化、そして不平等-国際比較と歴史の視点から』(文藝春秋)トマ・ピケティ著

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読書『自然、文化、そして不平等-国際比較と歴史の視点から』(文藝春秋)トマ・ピケティ著

9月の三連休は読書三昧!というわけでもないのですが、急いで読んで欲しいというご要望が数冊ありましたので、結果として読書三昧となっています。

まずは先月開催された、カメリアステージ図書館の「選書ツアー」で選んできた中からの一冊。選書ツアーでの候補から書籍が実際に図書館に入るのには、2~3カ月かかることが多いのですが、本書はすぐに届いたようです。

さて『自然、文化、そして不平等-国際比較と歴史の視点から』。ご存じ『21世紀の資本』のピケティ最新作です。といいながら、わたしは実は『21世紀の資本』は、何度か手にしたものの、完読できないままになっていました。内容の小難しい感じに加えて700ページ超というボリュームで、途中挫折。それに対して本書は、見た目から薄くて威圧感がありません(笑)。

データを上げながら解説と持論を展開していく方法は、『21世紀の資本』と同様ですが、短めの講演録であるが故のとっつきやすさのおかげか、こちらはサクッと読了。著者はフランス出身なので、フランスをはじめとした欧州の事例を引いての展開が多くありますが、格差社会の問題は日本でも他人ごとではなく、考えさせられながらの読書となりました。

政治も経済も、自分の力ではどうにもならない無力感を突き付けられることの多い昨今にあって、最初の章に書いてあった文章に、一筋の光を感じました。スウェーデンの例を挙げて曰く「決定論は自然や文化的要因を重視し、この社会は永久に平等であるとか、あの社会は永久に不平等であるなどと決めつける。だが社会や政治の構造は変化するものだ」(『自然、文化、そして不平等-国際比較と歴史の視点から』トマ・ピケティより)。

世の中が、良きように変化していくことを願いつつ。

『自然、文化、そして不平等-国際比較と歴史の視点から』(文藝春秋)トマ・ピケティ著

講演会『経営者のためのアートセミナー』-「教養」「投資」としてのアート-に参加して参りました。

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講演会『経営者のためのアートセミナー』-「教養」「投資」としてのアート-に参加して参りました。

アジアをコンセプトとした唯一のアートフェア「アートフェアアジア福岡2023」が、いよいよ来週に迫って参りました。そのプレイベントとして、今年はスペシャルアドバイザーに就任しておられる宮津大輔氏の講演会が、9月に入ってから福岡市内で開催されています。わたしは福岡商工会議所が主催となった掲題の講演会に、参加して参りました。

もともと「サラリーマンコレクター」として有名だった宮津さんは、その後芸術系大学の修士・博士課程で学び直しをされ、現在は横浜美術大学の教授でいらっしゃいます。前回宮津さんの講演をお聞きしたのは、やはりアートフェアアジア福岡の関連イベントで、2019年のことでした。

4年前の講演備忘録を読み返しても、当時のワクワクした気持ちが蘇りますが、今回の講座はさらに「経営者に向けて」とのタイトルに寄せた、独特の面白さがありました。

以下備忘。


  • アカデミック&実践知としてのアート教養。
  • 「資産」であり「ファミリープライド」としてのアート。
  • コンテンポラリーアートとは「同時代性を持ち」「(西洋)美術史上の文脈で語ることが出来る」もの。
  • アート市場において、現代アートは53%の市場占有率を持ち、年々上がっている。←古い良品がほとんど市場に出なくなっているため。*公的美術館に入ったものは、余程の事情がない限りまず市場に出てこない。
  • オークション市場における国別占有率:米国42%、英国18%、中国17%。日本は1%。
  • 未だ日本人にとって美術は「観に行くもの」であり、「購入して手に入れるもの」になっていない。
  • アートの価格形成は、「ローカル」「ドメスティック」「グローバル」×「古美術」「近代美術」「現代美術」の掛け合わせによる。
  • 「現代アート」の台頭:Visual Art(目を楽しませるアート)からConceptual Art(社会課題を表現するアート)へ。
  • 第二次大戦後美術の中心は、パリ→NYへ/具象の時代→抽象の時代へ。
  • 1980年代~新自由主義。重厚長大のものづくりの時代から金融・ITの時代へ。
  • コロナ禍後の今は、中世の価値観がペストにより砕かれたルネッサンスの時代と似ている。*生き残ったモノだけが「古典」となる。
  • アートに描かれる、呪術・ローカル・民俗・宗教。
  • Look Back。世間一般の価値は、後からついてくる。
  • 優れたアーティストだけでは、価値創造・歴史化は不可能。
  • 「アートでありビジネス」は、成り立つ。例えば「チームラボ」。
  • ポーラ美術館・アルティゾン美術館:財団として本業の筆頭または上位株主となる=買収防衛となり、配当による利益を高額な作品購入に充てることが可能。
  • フランスー中東。アート輸出による資源確保(仏)/資源立国から観光立国への脱却(中東)。
  • 書道の起源は「彫ること」にあり。

講演会『経営者のためのアートセミナー』-「教養」「投資」としてのアート(宮津大輔氏)より


とても楽しく学びの多い1時間半でした。現代アート市場に挑戦していく側として、これまでのスタンスが間違っていないことを、再確認することのできる内容でした。この機会を作ってくださった、福岡市商工会議所とアートフェアアジア福岡実行委員会に心より感謝です。

『知識要らずの美術鑑賞』ご参加の皆さんからのご感想。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

『知識要らずの美術鑑賞』ご参加の皆さんからのご感想。

福岡市美術館での美術鑑賞講座を開催してきましたのは、つい先日のことでした。

ご参加の皆さんからのご感想が届きました。今後の研修に生かすべく、以下備忘。


  • 今までこんなに作品をつきつめて鑑賞したことはありませんでした。
  • ひとつひとつの作品をじっくり鑑賞できて、とても有意義な時間を過ごしました。また美術館に行って、もっとゆっくり回りたいと思います。
  • 質問できるのがよかった。
  • 今日のような見方をしたことが無かったので、勉強になり楽しかったです。
  • 常設展示作品は観ていなかったので、今回鑑賞できてよかったです。
  • とても楽しく参加できました。ガイドの方もお話が上手で素直な感想が言えました。
  • 一つの作品をここまでじっくり観ることがなかったので、貴重な体験でした。みんなでワイワイ意見を出し合って見るのも楽しいですね。
  • とっても楽しく過ごせました。これからはゆっくりみてみようと思いました。
  • 日頃、なかなか来ることが出来ない、福岡市美術館を見学して、ボランティアガイドさんと一緒に説明してもらってわかりやすかったです。
  • 美術館は久しぶりで良かったです。説明していただき、自分だけでみるだけでなくよかったです。
  • 今日、見た作品、ちょっと不思議な作品でわかりにくかった。
  • 美術館、久しぶりでした。一人でゆっくり再度来てみたい。
  • 良かった。
  • たいへん楽しく参考になりました。
  • わからないと思った作品も自分なりに感じた事を言葉にし、見直すとちょっと違って見えるので見方が変わるようです。

美術館に行くこと自体が久しぶりだった、という方も少なからず、やはり一人で行きづらいという方もあるようで、「美術館への同行」のニーズを感じました。ひとつの作品に時間をかけて向き合う体験が初めてだったという方が多いのも、この講座では毎回感じることではありますが、あらためてこの講座を開催して良かったな、と思いました。そして何より嬉しかったのは「またゆっくり(美術館に)行ってみようと思う」というご感想がいくつもあったこと。コロナ禍をきっかけに、足を運ぶことが途絶えてしまっていた方が、また美術館に向かうきっかけとなることが出来たなら、とても嬉しいです。

藤吉憲典のAnimal Boxes シリーズ、新作が続々誕生。

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藤吉憲典のAnimal Boxes シリーズ、新作が続々誕生。

藤吉憲典のAnimal Boxes シリーズ、新作が続々誕生しつつあります、とブログを書いたのは、先月下旬のことでした。

そこから本窯焼成、赤絵付と赤絵窯の繰り返しを数回経て、出来上がって参りました。じきにロンドンに渡るものがほとんどなので、その前に一部をこちらでご紹介いたします。

藤吉憲典 カワセミ陶箱

カワセミ陶箱

藤吉憲典 キリン陶箱

キリン陶箱

藤吉憲典 サイ陶箱

サイ陶箱

藤吉憲典 貝陶箱

貝陶箱

藤吉憲典 蛙陶箱

カエル陶箱

今回の藤吉憲典Animal Boxesシリーズは、これまでのシリーズに比べて、新しい特徴が3つあります。まずは色彩の変化。これまでよりも、やや重厚なトーンのものが多くなりました。重ね塗りの技法を編み出し、大胆な色遣いをしています。次に、カタチ。今回は丸みを帯びた形が増えています。四角っぽくなるか丸っぽくなるかで、成形の技法が異なります。四角柱のように直線的な面による形のものは、「タタラ」と呼ばれる磁器粘土板による作りが中心となり、丸い形状はロクロによる成型が中心となります。そしてもう一つの特徴は、上に乗る動物のサイズが大きくなっていること。これは昨年からの傾向でもありますが、どんどん動物たちの自己主張が強くなってきています。

これから、カメラマンさんに写真を撮っていただき、桐箱やさんに箱をあつらえていただき、梱包発送作業へと進みます。

読書『美しき人生』(河出書房新社)蓮見圭一著

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読書『美しき人生』(河出書房新社)蓮見圭一

いつものカメリアステージ図書館新刊棚。タイトルの文字の並びに惹かれて手に取った一冊です。上の写真は、ある雪の日のサザンカの花ですが、こんな読後感でした。

校長先生の、生徒に向ける講話が素晴らしいため、卒業式などの学校行事に校長先生の話を聞きたいがためにやってくる卒業生たちがいる、という、現実的にはあり得ない(!?)エピソードから、物語がはじまります。主人公と思しき構成作家がその先生の話を聞きとる、という形をとりながら、わたしたちが読むのは校長先生のストーリーそのもの。いわば二重構造的なのですが、それがまた物語に深みを与えているのも確かだと思いました。

なぜ校長先生が、生徒たちに向けて「いい話」をすることが出来るのか、その理由が次第にわかってきます。恵まれた環境で育ってきたわけではない少年時代、たくさんの失敗と後悔、周りの人に助けられたありがたさを抱えた青年時代を経てきたからこそ出てくる、これから人生をこぎ出す生徒たちに向ける言葉。単なる「いい人」ではない校長先生の人間味が、ひしひしと迫ってきます。

出版社である河出書房新社のサイトでは「両親の顔を知らずに育った校長・真壁が語る秘められた切ない恋と愛の奇跡」と紹介されていました。たしかに「恋と愛の奇跡」の物語ではあるのですが、そうして文字にしてしまうと、なんだか軽く感じてしまうような、重さのあるストーリーでした。

蓮見圭一さんの著書は、これまた初読みでした。『水曜の朝、午前三時』という大ベストセラーがあるようですので、こちらも遡って拝読したいと思います。

『美しき人生』(河出書房新社)蓮見圭一

表装の楽しみがひとつ形になって、ますますワクワク。

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表装の楽しみがひとつ形になって、ますますワクワク。

この夏前頃から具体的に検討し始めた、書画の見せ方のひとつとしての表装・掛軸。

この分野はまったくの素人でしたので、まずは!と、本も10冊ほど読んで少しは勉強しましたが、

やはり一番勉強になるのは、手がけてくださるお店の方とお話をすることですね。

額装でもお世話になりました博多中洲川端にある老舗・大崎周水堂さんに、今回もご相談しました。表装やさんに直接頼むという手もあるのだと思いますが、まずはこれまでの額縁制作で信頼のある大崎さんへ。スタッフの方となんどもお話をしてわかったことは、わたしたちが「こうしたい」と思っている表装の仕方は、伝統的な軸装から考えると、物足りなさがあるようだということでした。途中、軸装のプロ目線でのさまざまな装飾のご提案もいただき、なるほどいろいろな方法・暗黙の決まり事があるのだと、勉強になりました。

お話を全て伺ったうえで、いくつもある掛軸定番の装飾パターンを今回は退け、まずは自分たちの考えた通り、背景と作品のみ、という最もシンプルな形で仕上げていただきました。発注に際して、作品と背景色を重ねて確認したりはするものの、部分的に合わせたものを、頭のなかで全体像に拡げてイメージしているので、実際にどう上がるかは、一か八か(笑)。結果、イメージした以上に、雰囲気よく仕上がって参りました。さすがはプロの仕事ですね。嬉しくなりました。

藤吉憲典 書画 龍

藤吉憲典の龍と、兎。

藤吉憲典 書画 兎

展示サンプルとして、縦長作品と横長作品があるとわかりやすいよね、ということで、発注したときは意識していなかったのですが、図らずも今年の干支(卯)と来年の干支(辰)の組み合わせとなっておりました。展示サンプル2作品。これらをご覧いただくことで、「飾ったときの雰囲気」をイメージしていただきやすくなるのではないかな、と思います。

実際に書画作品をお買い上げいただくときには、作品のみをお買い上げになり、ご自身で額装なり表装なりを発注なさるお客さまもいらっしゃいます。一方で、どう飾ったらよいか、表装をどこに頼んだらよいか、迷うお客さまもいらっしゃいます。これらの基本的なサンプルがあることで、ここから背景の色を変えたり、装飾を少し凝ったものにしたりと、自分が飾ろうとしている空間にあう形をイメージしやすくなればいいな、と思います。

金毘羅さんでした-ご近所秋祭りシーズンスタート。

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金毘羅さんでした-ご近所秋祭りシーズンスタート。

3年ぶりとか4年ぶりに開催される地域行事がつづく2023年。ここらあたりの秋祭りの先頭を切る金毘羅さんも、昨年までは「コロナ禍対策仕様」でしたが、今年は行列が復活しました。下のブログは、2013年のもの。そういえば2012年に津屋崎に移住してきて、その年の金毘羅さんがちょうど住んでいる地域の当番年で、さっそくダンナと息子が参加させていただいたのでした。

さて、4年ぶりの金毘羅さん。大名行列や獅子舞による奉納の舞は無かったものの、お神輿を引っ張っての行列は楽しく賑やかしく。遠くから歩いてこられる行列をお迎えする接待所を、山笠の人たちがつくります。行列が辿り着くのを今か今かとご近所さんたちと一緒にそわそわ待ちました。この時間もまた楽しみ。お神輿と一緒に引っ張ってこられる賽銭箱にお賽銭を入れれば、神主さんがその場でお祓いをしてくださいます。しばし頭を垂れて、お祓いしていただき、大満足。

この秋は、この先宮地嶽神社のお祭りや、地元波折神社のお祭りも開催されます。とても楽しみです。

読書『口訳 古事記』(講談社)町田康著

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読書『口訳 古事記』(講談社)町田康著

『古事記』の口訳です。口訳すなわち、一般的な口語体=今の時代で読める・わかる言葉に訳すること。古文や漢文に対して使われますね。現代語訳、としていないところがミソ。その訳者が町田康氏ですから、一筋縄では行かないだろうという予想は出来ます。

わたしがちゃんと『古事記』の内容を読んだといえるのは、実は子どもが生まれてから。子ども用に作られた、日本の神様の神話絵本があり、それを息子に読み聞かせながら「古事記って、こんな内容だったのね」とあらためて認識したのでした。もちろん中学高校時代から『古事記』というタイトルは知っていましたが、本というよりは日本史のなかの位置付けでした。

さて『口訳 古事記』、町田康ワールド全開です。講談社のサイトでの紹介に「画期的な口語訳」とある通り、というか、画期的というのはだいぶ抑えめの表現だと思います。本書内で交わされる神々の会話部分が、特に面白かったです。町田康の口訳を通すことによって、神話の「エロ・グロ・ナンセンス」な部分が、よりあきらかになる感じがしました。ただ、『古事記』を名乗っている以上当然ではありますが、物語の筋は変わっていません。古文の言い回しによってなんとなくオブラートに包まれていたものが、そうではなくなった、とでもいいましょうか。

神々の名前のややこしさはどうすることも出来ませんが、古事記のなかで「言っていること」「やっていること」は、この口訳によって、だいぶわかりやすくなったと思います。これまで古文はもちろん各種現代語訳の『古事記』にチャレンジしつつ途中で挫折した、という方々(わたしもその一人でしたが)に、試してみていただきたい一冊です。先に述べましたように「町田康ワールド全開」ですので、好き嫌いはあるかもしれませんが。

475ページ、結構な分量です。ですが、物語のストーリーはある程度知っていたのと、口訳が面白かったのとで、わりと一気に読み切ることが出来ました。それにしても、絵本の読み聞かせをしていたときも「日本の神様、けっこうめちゃくちゃしてるなぁ」と思っていましたが、本書を読み終わってその思いがなお強くなりました。

『口訳 古事記』(講談社)町田康著

郷育カレッジ講座『知識要らずの美術鑑賞』@福岡市美術館を開催してまいりました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

郷育カレッジ講座『知識要らずの美術鑑賞』@福岡市美術館を開催してまいりました。

福津市民のための生涯学習システム「郷育カレッジ」。担当する美術鑑賞講座を開催してまいりました。今年は念願の「美術館訪問」がようやく実現。コロナ禍下では美術館への訪問が叶わず、昨年は福岡市美術館さんのアウトリーチにお世話になっていたのでした。

昨年お世話になったご縁で、引き続き今年は福岡市美術館の常設展示「コレクション展」を利用した教育普及のプログラムを活用。参加者約20名を4つのグループに分け、それぞれのグループにガイドボランティアさんが1名ついて、美術鑑賞をナビゲートしてくださいました。

ガイドさんは鑑賞用に使う題材の作品を選び、解説用の知識・情報を用意して、この日のために準備をしてくださったようです。各グループ、平面と立体を含めた3つの作品を題材に、対話型鑑賞を体験しました。参加者の皆さんは、「鑑賞」に意識を向けた体験が初めてだったようで、とても楽しんでおられました。

昨今、美術館・博物館では教育普及プログラムにとても力を入れています。今回の郷育カレッジ講座のように、館で既に提供されているプログラムを活用することが出来れば、講座の担当者が学芸員でなくても、有意義な講座を開催することが出来ます。特に公立の美術館博物館では、教育普及プログラムは無料で提供していることがほとんどですので、活用しない手はありません。

市民向け講座はもちろん、会社の研修などでも、美術鑑賞をはじめ美術を活用したカリキュラムを導入したいときは、ぜひお気軽にご相談ください。