読書『私はスカーレット 下』(小学館)林真理子著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『私はスカーレット 下』(小学館)林真理子著

上巻に続き、下巻も一気に読み終わりました。上の写真は上巻のを使いまわしていますが、ご愛敬。

上下巻読了後の一言としては「ジェットコースター」。スカーレットの人生も、彼女の気質も、まるでジェットコースターです。が、下巻でも変わらずスカーレットは激しく魅力的でした。下巻でその魅力は「生き抜いてみせる」ためにはなんでもする強さとなって現れます。彼女を支えていたのは「もう絶対に飢えない」という、現実的な覚悟であり実際に味わったが故の切迫した恐怖であり。だからこそ、横暴だろうと卑劣だろうと、読みながら彼女を責める気にはまったくなりませんでした。

それにしても、毎度のことではありながらこの手の歴史小説で考えさせられるのは、「どの立場からものを見るか」によって、「真実」とされることの印象がまったく変わってしまうこと。本書の舞台となった南北戦争、奴隷解放という歴史的事実もまた、誰の目を通すか-本書の場合はスカーレットの目を通していたわけですが、によって、これまでの印象とは、まったく別の感想を残すこととなりました。そしていかに一義的なものの見方を植え付けられているかに気づき、愕然とするのです。本書のあとがきでも、そのあたりの見解について、出版する側の考えや問題提起が、しっかり丁寧に記されていました。

ところで冷静に考えると、「完」時点で彼女の年齢はまだ20代後半または30代に入ってすぐ!?あたりだろうと思われ、このあといったいどうなるのやら、とため息が出ました。「このあと」を気にかけた人は、どうやらわたしだけでなくたくさんいたのですね、『スカーレット』のタイトルでマーガレット・ミッチェルとは別の作家(アレクサンドラ・リプリー)が、続編を書いているということを知りました。それも企画公募によるものだというのですから、どれだけこの「続編」を書きたいという方々がいらっしゃったのかと、ワクワクします。新潮社文庫から出ている日本語訳が森瑤子さんというのも、興味深いですね。まだまだしばらく『スカーレット』ワールドから抜けられそうにありません。

『私はスカーレット』(小学館)林真理子