読書『ザ・シット・ジョブ 私労働小説』(角川書店)ブレイディみかこ著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『ザ・シット・ジョブ 私労働小説』(角川書店)ブレイディみかこ著

ブレイディみかこさんといえば、著書『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』。ところが、読もう読もうと思いつつ、読まないままに新刊を発見。こちらを先に読むことになりました。ブレイディみかこさんは福岡出身なので、地元ローカル紙「西日本新聞」にもコーナーを持っておられます。英国の労働者階級に身を置いたなかから発せられる声は、かの国のみならず日本にも共通の社会課題を捉えていて、記事を拝読するたびに、いろいろなことを考えさせられています。

さて『ザ・シット・ジョブ 私労働小説』。「自伝的短編小説」の形を借りて、出版社曰く「魂の階級闘争」を描き出した一冊は、とても力強く響いてきました。階級制度が色濃く残る英国の、学術的に見た実態はこれまでに本でも読んできましたが、生の声(フィクション化されていてはいても)に勝るものはないと感じました。

水商売(日本)からはじまり、英国に渡ってのナニー(ベビーシッター兼家庭教師)、クリーニング工場、洋服のショップ店員、慈善センターでのボランティア活動、保育士、まかない食堂料理人、ケア仕事…。さまざまな労働の現場から、魂の叫びが聞こえてきました。読みながら一緒になって腹を立て、理不尽を憎み、負けてたまるかという気持になるものでした。軽快な文章が心地よく、一気に読みました。『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』も、ますます楽しみになってきました^^

『ザ・シット・ジョブ 私労働小説』(角川書店)ブレイディみかこ著