読書『ああ、ウィリアム!』(早川書房)エリザベス・ストラウト著/小川高義訳

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『ああ、ウィリアム!』(早川書房)エリザベス・ストラウト著/小川高義訳

いつものカメリアステージ図書館新刊棚。パッと目についた背表紙のインパクトに、手が伸びました。「『ああ、ウィリアム!』って!」って、感じです。「早川書房」の文字が目に入るに至り、これは面白いに違いないと、借りて参りました。わたしが早川書房さんの存在を意識し始めたのは、カズオ・イシグロ著書が最初でしたが、その後、面白い翻訳書だと思ったら早川書房、というパターンが続々。海外からの本をこうして読むことができるのは、出版社さんと訳者さんのおかげです。

さて『ああ、ウィリアム!』。面白かったです。上の写真は、本とは全く関係なく、読了後に浮かんだイメージ。ストーリーは、大きな事件が起こるではなく、結婚・離婚・親子や家族の問題を中心に進みます。背景には、アメリカならではの州による格差や、帰還兵の問題などがじっと潜んでいて、ついにはロードムービー的な展開に至るわけですが、「ああ、○○!」という場面が随所に出てきて、タイトルとシンクロ。「○○」には、ウィリアムはじめ登場人物の名前が入るのですが。小説の面白さは登場人物のセリフと心理描写に尽き、なんとも切なくて愛おしくなるお話でした。

主人公はルーシーという女性なのですが、著者のエリザベス・ストラウトさんは、自らの著書に前作との関連性を持たせて本を書くという特徴があるということで、ルーシーが登場する物語が本書の前に数冊あるということがわかりました。そのことは、本書内随所に出てくる記述からもなんとなく伺うことが出来たのですが、読了後、巻末の訳者あとがきを読むことによって、理解できました。

こうなると本書以前の「ルーシー」のことが気になって参ります。さっそく図書館で検索したところ、ありました。ちょっと遡って読んでみようと思います。

『ああ、ウィリアム!』(早川書房)エリザベス・ストラウト著/小川高義訳