読書『異常(アノマリー)』(早川書房)エルヴェ・ル・テリエ著/加藤かおり訳

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『異常(アノマリー)』(早川書房)エルヴェ・ル・テリエ著/加藤かおり訳

早川書房の公式サイトのほかに、早川書房の書籍&雑誌コンテンツを紹介するHayakawa Books &Magazines(β)というサイトがあり、そこでも本書が紹介されています。

その記事タイトルが

「文学界の未確認飛行物体(UFO)」こと『異常【アノマリー】』の魅力を営業担当が語る

で、この営業担当者さんの記事を読んだだけでも、本書の「なんだこれ!?」感が伝わってきます。「文学界の未確認飛行物体(UFO)」って、すごいですよね。2020年にフランス最高峰の文学賞「ゴンクール賞」を受賞し、40の言語で翻訳が進められ、日本では2022年の刊行です。

わたし自身が本書を見つけたのは、定期購読している雑誌『TRANSIT』の記事でした。(『TRANSIT』ユーフォリアファクトリーの公式サイトTRANSIT Webはこちら)『TRANSIT』No.64の特集が「フランス」で、数々のマニアックな情報のなか、目を引いたのが、現代のフランス文学を紹介するページ。この中に先日読んだ『シェフ』のタイトルを発見し、ほかの本も俄然気になったというわけです。

さて『異常』。すごいことを考えついたものだなぁ、と、まず思いました。それをまたこんなふうに小説に仕上げるなんて!と驚嘆しつつ読みました。突拍子もないことだけれど、もしかしたら既に現実に起こっていることなのかもしれないと感じさせる怖さがありました。もし自分がその当事者になったら、どんなふうに折り合いをつけるのだろうと考えつつ、でもこれは実際にそうなったときでないと、真に切羽詰まって考えることが出来ないだろうなとも思いつつ。

わたしにとっては、どんどん読み進めて一気読み!という類のものではなく、小説の中で起こっている状況を把握するのに時間をかけつつ読んだ一冊となりました。時間をかけつつも「目を離せない」感がずっとまとわりついていました。

先日の『シェフ』に、今回の『異常』で、「フランス文学」へのイメージががらりと変わりました。TRANSITで紹介されている本、読破を目指します^^

『異常(アノマリー)』(早川書房)エルヴェ・ル・テリエ著/加藤かおり訳

七月の博多の街は山笠一色―博多をぶらぶら楽しんでまいりました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

七月の博多の街は山笠一色―博多をぶらぶら楽しんでまいりました。

「博多ぶらぶら」というのは、有名な博多の土産菓子のひとつ。製造している博多菓匠左衛門さんは、花祭窯のある福津市のお隣・古賀市に工場を持つ菓子メーカーさんで、昭和四年創業の老舗和洋菓子店だそうです。…なんてことを思いつつ、本日のタイトル。

お茶のお稽古で博多に出たついでに、仕事の用事をまとめて済ませる、というのがわたしの博多行きのパターンのひとつです。たいていは「ここであれをして、次はこっちに移動してこれをして」と頭のなかで考えながら動いているので、「博多の街をぶらぶら」なんていう余裕のある響きは無いのが正直なところ。ですが、昨日は街のあちらこちらに「山笠」の気配が漂っていて、なんとなく気持ちが浮き立ちました。

博多駅から祇園町、土居町、川端商店街、櫛田神社と周る間に、いくつもの「飾り山笠」を観ることが出来ました。飾り山笠の周りには、写真を撮っている人たちがたくさんいて、その周りには長法被姿で歩いている人たちもいて、と、華やいだお祭り気分があふれていました。いつもは目的地へ一直線のわたしも、ついつい歩を緩めて飾り山を眺め、その周りで嬉しそうな人々を眺め、こちらまで嬉しくなりました。

まずは掛軸をお願いしていた大崎周水堂さんから「出来上がりました」のご連絡をいただきましたので、受け取りに。

書画をふたつ、お願いしていました。その場で広げてくださって、確認。任せて安心ですね、今回も素敵に仕上げてくださいました。

それから川端の商店街の中にある履物やさんへ。ふだん履きできる雪駄や草履を、気軽に買い求めることのできる履物やさんが商店街内に数軒あります。そんな「履物やさん」が、昔はもっとたくさんあったような気がするのですが、ずいぶん減ってしまったようです。お店の方とのおしゃべりのなかで、「減りましたよね」とたずねると、「だいぶ減ってしまったけど、他所はもっと減ってしまってるから、皆ここ(商店街)に買いに来てくれるよ」とおっしゃっていました。今回の買い物の用途と好みをお伝えすると、すぐに候補をいくつも目の前に並べてくださり、目的のものをゲットすることが出来ました。

最後に帰路につきがてら、櫛田神社さんにお参りに。博多祇園山笠は、櫛田神社への奉納神事です。実は結婚式を挙げたのが、ここ櫛田神社でしたので、博多に出たときには、ちょこちょこお礼参りをしています。いつものようにお参りしようとしたら、拝殿の前に若い神主さんが「お祓い棒」( 正式名称は「大麻(おおぬさ)」だそうですね)を持って立っておられました。これまでに何度も何度も来ていますが、このようなことは初めて。海外からお越しのお客様が増えた昨今、お参りの方法を質問されたときにご案内する係なのかな、などと考えておりました。

ところが、わたしがいつも通りのお参り作法で低頭したところ、その頭上をさらさらと、祓ってくださったのです。無言で、でもとても自然な感じで。まったく予想外のことでしたので、とっても嬉しくなって、顔がほころびました。山笠期間中の安全祈願のひとつなのかもしれませんね。いやこれはものすごく嬉しかったです。

という感じで、いつもよりも気持ちに余裕のできた「博多をぶらぶら」でした^^

上の写真は、その翌朝の西日本新聞。飾り山笠を紹介する一覧の特集が見開きで載っていました。

博多祇園山笠公式サイト

北京からギャラリーオーナーさんがお見えになりました―八月は北京での初個展です。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

北京からギャラリーオーナーさんがお見えになりました―八月は北京での初個展です。

8月に北京初個展で、海外渡航ビザの申請取得も初体験で、という話をしておりました。

その北京のギャラリーオーナーさんが、花祭窯に挨拶にいらしてくださいました。梅雨っぽい天気が続くなか、彼が福岡に滞在している間はお天気も回復。どうやら運の強いお方のようです。北京で10年以上にわたり日本の工芸家の作品を紹介し続けていらっしゃるというギャラリーオーナーさん。わたしたちよりも一回り以上お若い方で、生き生きとした雰囲気から、訪問を楽しんでいらっしゃることが伝わってきました。

すでに展示作品は日本国内での仲介者さんに引き渡しが済んでいます。なので、今回の訪問の目的は、作家と顔をあわせて話をすることがメイン。作家が作る作品・制作方法についての質問や、北京ではどのようなお客さまがいま日本の工芸・器に興味を持っているのかなど、たくさんお話することが出来ました。ちょうど窯から上がったばかりの器がたくさん並べていたのですが、それらを熱心に眺め、気になるものを手にとっては撫でまわすオーナーさんのご様子を見て、彼がほんとうにこれらのモノが好きなのだということを、嬉しく実感しました。

北京でのギャラリーのお客さまについては、少し前までは比較的年配の方が多かったのが、最近は若い方々が圧倒的に増えてきたというお話が興味深かったです。そういえばコロナ前の2019年末から2020年初めにかけて上海で開催された黒田陶苑さんのイベントでも、作家・藤吉憲典のアーティスト・トークには、若い方々が多く参加していて、作品に対して積極的に質問をしていたと報告をいただいたのを思い出しました。

コロナ禍を経て4年ぶりの中国になります。上海と北京ではまた少し風土が異なるということでしたが、北京の皆さんが藤吉の作品に対してどのような反応を示してくださるのか、ますます楽しみになってきました。ご期待に応えられると良いな、と思いつつ。

中国版インスタグラムと言われているアプリ「小紅書」で紹介をしたいからと、帰り際には花祭窯の前で作家とツーショット写真を撮り、海の写真も撮って、大満足(いただけたはず…!)でお帰りになりました。

九響の定期プログラム「名曲・午後のオーケストラ」を聴いて参りました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

九響の定期プログラム「名曲・午後のオーケストラ」を聴いて参りました。

福岡県には九州交響楽団(九響)があります。今年度、初めて定期会員になり、アクロス福岡シンフォニーホールの「年間マイシート」を確保しての、第一回目の演奏会でした。4月に足を運んだ「トヨタ・マスター・プレイヤーズ、ウィーン」のときは、あこがれの「3階バルコニー席」をゲットし、演奏を満喫したものの、舞台上のオーケストラの皆さんの様子が、身体を乗り出さなければほとんど見えないということが判明。その反省を生かして獲得した「年間マイシート」は、舞台正面の3階の最後尾席の端っこです。高い位置から舞台全体が見えて、とても良い席でした。距離的には舞台から遠いので、お一人お一人のお顔まではわかりませんが、全体の動きが見えるのが、とても嬉しい席でした。

さて演奏会は、指揮とヴァイオリンにゲストを迎えての、ブラームス「ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品77」に、シベリウスの「交響曲第2番ニ長調作品43」。と言っても、わたしは作曲家の名前を聴いたことある!という程度の知識ですので、ただひたすら音に耳を傾けるばかりです。一曲目、第三楽章まで終わったときには約1時間が経っており、久しぶりにフルで演奏を聴いた身としては、そういえばそうだった!という感動と満足感が沸き上がってきました。20分の休憩中に身体を伸ばして整え、いざ後半。遠くから舞台を俯瞰して見えるので、指揮者の方の動きと、今どの楽器の方が演奏しているのかを連動してみることが出来たのが、とても興味深かったです。

ヴァイオリンの郷古廉さんは、有名で人気の高い方のようですね。後日、彼の演奏を見たいがためにこのチケットをとった!という友人がいたことがわかり、そうだったのね、と感心したところでした。知識無しで鑑賞を楽しむ愉しみは、美術も音楽も同じことで、わたしの得意とするところです。大満足のコンサートでした。また次回も楽しみです♪

おまけに…どうでもよいことなのですが、今回、「クラシックの演奏会には、男性も結構いらっしゃる」ということに気が付きました。大雑把な感覚ですが、男性女性が半々くらいのように思いました。ミュージカルや演劇、歌舞伎では、(特に博多座での印象になりますが)9割超女性客!という環境になることが多かったので、これは新鮮。個人的に「へぇ~!」な気づきでした^^