こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。
読書『アート脳』(PHP研究所)スーザン・マグサメン、アイビー・ロス著/須川綾子訳―その2
原題は『YOUR BRAIN ON ART How the Arts Transform Us』。わたしにとっては、齋正弘先生の『大きな羊の見つけ方 「使える」美術の話』、元資生堂名誉会長の福原義春氏が書いた『美 「見えないものを見る」ということ』、そして山口周氏の『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』に続く、アートエデュケーターとしての指針盆になりそうです。先日「その1」をまとめたところでした。
続き、本日は第3章から備忘。
- 落書きやぬり絵、思いのままに絵を描くことは、いずれも前頭前野皮質を活性化させる。
 - 「絵を描いているときはいわゆる単調な状態になる。いつもとは違う頭の部分が働いているんです。普段はスイッチが入っているところがオフになります。そしてオフになったときは、自分の感情について、というよりあらゆることについて会話をしやすくなる。(後略)」
 - 絵を描くことは脳波の活動を変化させ、前頭部への血流を増やし、精神の回復力にプラスの影響を与えることが明らかになっている。
 - アートが瞑想に近い状態を引き出し、生理機能の自己調節を促す
 - アートを利用して瞑想に近い状態を育む
 - 創造しては手放すというこの工程のなかに(中略)、無意識へと入り込む道(がある)
 - (粘土)手でリズミカルな反復運動を行うと脳内でセロトニン、ドーパミン、オキシトシンの分泌が促されることが報告されており、そのため気持ちが少し楽になった
 - 年度は両手を同じように器用に動かして取り組む数少ない創作材料の1つであり、意識と無意識のどちらにも働きかけることができる。
 - 書くことで個人的で感情的な物語にあえて入り込むことは、心身の不調を軽減する効果がある
 - 書く行為を通して、自分の心の位置付けを把握する方法を学びとり、書き終えたときには自分がどのように感じ考えているのか、より多くの情報が得られるようになっている。
 - 肉体的な感覚を経験することにより、頭で考えることから抜け出し
 - アートが完成したら共有する場を設け、(中略)完成させたものの意味を説明できるようにする。
 - これはアートの「出来栄え」を評価することが目的ではない
 - 生活にアートを取り入れる機会が年に1、2回だとしても、死亡リスクは14%下がる。
 - 生涯にわたり美術館やコンサート、劇場に足を運ぶといったアート活動を行うと、加齢に伴う認知機能の低下を遅らせる効果もある。
 - 美やアートは高尚なものではない。人生の基礎である。
 - アートや美が教育や仕事、生活に統合されたとき、私たちの学ぶ能力が強化される
 - 持続的幸福
 - 「この絵のなかで何が起きているでしょう?」「ほかに気づいたことはありませんか?」
 - ただ目の前の柄を解釈すればよい
 - 好奇心は進化に必要なものとして、人の脳に織り込まれてきた。
 - 進化の目的は、予測不能な世界で最善の判断をできるように適応すること
 - アートは内省のきっかけとなり、それぞれが自分なりの洞察を得て、他者の視点を理解し
 - 人が普遍的に美しいと感じる現象がある
 - 美の認識の多くの部分は個人に依存する
 - 感嘆
 - 積極的に畏怖の念を経験している人々は、自主規制をあまり求めず、不確かさに対する耐性が比較的高い。
 - 創造性―「自分が大切にしているもの」を取り戻す
 - フロー
 - ある活動そのものに完全に没頭している状態。自我は消失、時間は飛ぶように過ぎる。そして新たなアイデアが生まれる
 - 内なる台本を書き換えるために舞台に立つ
 - 「正常」なものの外に出て、あっと驚く
 - 自分以外の誰かのケアにあたるときは、あなたには自分自身をしっかりと労わるための追加的な手段があり、自分の心身の健康を回復することは習慣になっている。そしてアートと美のツールキットは大いに頼りになる。
 
『アート脳』(PHP研究所)スーザン・マグサメン、アイビー・ロス著/須川綾子訳 より
今回も十分に長くなってしまいましたね(笑)。わたしは「美術」の観点から読んでいるので、そちらに偏った備忘メモになっていますが、本書では美術以外の芸術…音楽や演劇やダンスやいろいろ、とのかかわりについてもたくさん述べられています。なので、ご興味のある方は、ぜひ本書を読んでみることをお勧めいたします。
