花祭窯の葉月八月の庭―百日紅(サルスベリ)が満開です―

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

花祭窯の葉月八月の庭―百日紅(サルスベリ)が満開です―

猛暑日が続き、雨が降らず、植物にとっても過酷な夏です。花祭窯の小さな露地では、カノコユリのあとに続くはずのヤマユリやタカサゴユリが、今年は花をつけきれずにおります。水撒きが足りなかったのだろうな、と反省しつつ。

そんななかでも頑張ってくれているのが、サルスベリ。

百日紅サルスベリ

ピンク色の花が青空に向かって伸びている様子は、見ていてなんだか晴れがましい気分になります。ご近所にも、白いのやら、もっと濃いピンク色やら、さまざまに百日紅が咲いていて、目を楽しませてくれています。花祭窯のサルスベリも、年々花が増えて見応えが増しています。

ミニトマト

この夏を楽しませてくれたミニトマトも、もうそろそろお終いです。おしまいかな、と思ってからついた実は、なんだか得した気分でありがたくお腹のなかへ。まだ黄色い小さな花がいくつか咲いたりもしていますので、もう少し楽しめるかもしれません。

ザクロ

そして、写真のピントが大幅にずれてしまいましたが、ザクロ。今年は早くからたくさんの花がついていましたが、途中で散ってしまったものが多く、実になっているのは、今のところ二つだけ。それでもその二つが、これまでになかったほど大きくなっているので、ワクワク楽しみです。

↓昨年の初月の様子はこちら↓そういえば昨年あれほどに栄えたフレンチマリーゴールドが、今年はひとつも咲いていません。暑さのせいかなぁと思いつつ。

読書『世界で一番美しいマンダラ図鑑』(エクスナレッジ)正木晃著

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読書『世界で一番美しいマンダラ図鑑』(エクスナレッジ)正木晃著

お盆休みの読書用に、仕事の資料としてまとめて借りてきた中の一冊です。

やきもの(肥前磁器)の仕事をしていると、文様の存在が常に側にあり、そうした観点からもマンダラはとても興味深い存在です。やきものに描かれる伝統文様を見たり調べたりしていると、そこには仏教文化の影響や、シルクロード文化の影響が色濃く残っています。わたしは博物館学芸員資格課程を京都の佛教大学で学びました。ふだんの勉強は通信でしたが、資格取得には一週間以上の博物館現地での実習が必要であり、そのときは京都へ。そのなかでどっぷりと仏教文化のシャワーを浴びることができたのは、とても幸せなことでした。

「曼荼羅(マンダラ)」は、ただ見るだけでも、やはりとても魅力的な題材です。そんな曼荼羅の魅力をカラー写真をたっぷり使って解説しているのが、本書です。見ているだけでも楽しい一冊ですが、曼荼羅の基本的な解説がわかりやすく、各章での視点が面白く、文字通り「図鑑」的に使えそうです。なかでも「第3章立体マンダラ・都市マンダラ」の観点は、わたしにとっては新鮮でした。これは手元に置いておきたい一冊です。

『世界で一番美しいマンダラ図鑑』(エクスナレッジ)正木晃著

かつてわたしは文様の面白さを皆さんに伝えたい一心で、『蕎麦猪口の文様小話』なる小冊子を自費出版で制作しました。今確認したら2004年に出していますので、ちょうど20年になります。本書を読んで、そろそろ改訂版を出しても良い頃かな、と思いました。

ところでエクスナレッジさんからは、「世界で一番美しい図鑑」シリーズが出ているということがわかりました。「世界で一番」と言い切ってしまう強さが素晴らしい。

エクスナレッジ「世界で一番美しい」を含む書籍一覧

読書『約束』(早川書房)デイモン・ガルガット著/宇佐川晶子訳

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読書『約束』(早川書房)デイモン・ガルガット著/宇佐川晶子訳

いつものカメリアステージ図書館新刊棚。洋書で目に留まるものの多くが「早川書房」から出ているということに、なんとなく気が付いてはいたのですが、これもそんな一冊でした。

舞台は南アフリカ。この地のこともまた、わたしは「南ア=アパルトヘイト」的な世界史の記号として覚えているだけで、まったくわかっておりませんでした。アパルトヘイト以前から、以後の、移り行く時代を生きたある家族の物語。宗教、制度、戦争…価値観が大きく変わるなかでの生きづらさが、閉塞感を感じさせる一冊でした。

主人公の小さな女の子が少女となり、大人になり、その過程で彼女を取り巻く環境は大きく変わり、それでも彼女の持つ信念の1点はまったく揺るがず、最後には希望とも言い切れないような希望が灯って終わります。彼女がこだわり続けたものは、いったい何を象徴するものだったのか、わたしにはまだ理解しきれていないという思いが残る読書でした。

『約束』(早川書房)デイモン・ガルガット著/宇佐川晶子訳

それにしても早川書房さん、今年に入って読んだ本で、このブログで紹介したものだけでも、かなり濃い顔ぶれです。ありがたいことです。

↓こちらは洋書ではありませんが、洋書的雰囲気満載の一冊でした↓

↓わたしのフランス文学のイメージを変えた一冊↓

↓古典ミステリーの新版もありました↓

↓離婚した元夫婦の関係性が面白く描かれた名作↓

↓現代イタリアが舞台ながら普遍的なストーリーが心に刺さりました↓

酷暑の夏は夕方散歩―久しぶりにカブトガニを発見して一人大騒ぎ。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

酷暑の夏は夕方散歩―久しぶりにカブトガニを発見して一人大騒ぎ。

あまりの暑さにサボり気味のお散歩。我が家は夕食が早いので、最近は夕食後に少し食休みをしたのちに散歩に出るようにしています。まだ日も長いしと思いながら油断していると、気が付いたら暗くなりかけていたりするので、暗いなかは歩きたくないので要注意です。もう立秋も過ぎましたしね。

さて先日も夕食後、ぶらぶらと海の方へお散歩に出ました。お日さまが沈んだ後から暗くなるまでの少しの時間。海水浴客や釣り客はそろそろ帰り支度をして人が減ってくる時間帯ですが、地元の人たちはこれから海に浸かる人もあり、犬の散歩に出る人も多く。いい感じに潮風が吹いて気持ちが良い時間帯です。

堤防沿いに横目で魚でも見えないかと海を見ながら歩いていると、わたしの進行方向と同じ方向に向かって動く影を発見。魚ではないなぁと思いながら近づいてみると、見覚えのある形がスーッと動いています。下の写真、クリックで大きくするとよく見えると思いますが、カブトガニです。まだ小さく、幼生と言われるサイズかな、と。大人サイズはもっと大きいので、これから何回も脱皮を重ねていくはずの個体です。

津屋崎浜のカブトガニ

ずっと天気が良く波が静かな日が続いているので、海水の透明度が高くて、よく見えます。もう少し近づいてみると、こんな感じ↓。

津屋崎浜のカブトガニ

しばらく並んで歩いて(カブトガニは泳いで)おりました。向こうは気が付いていなかったと思いますが。津屋崎浜の干潟は、カブトガニの産卵地になっているので、専門家である友人が長いこと個体数の調査などを行っていました。年々幼生の個体数が減っていたのは、干潟が荒れてきているからと懸念して、取り組んでいました。そのことを知っているので、カブトガニの幼生との出会いは、とっても嬉しく。こういうサプライズギフトがあるから、お散歩は楽しいですね。

お盆前の三連休、掃除道具「古布でハタキを作る」にチャレンジ。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

お盆前の三連休、掃除道具「古布でハタキを作る」にチャレンジ。

先日読んだ本に「ハタキ」の作り方が載っていて、興味深く比較的簡単に作れそうだったのと、

日々の掃除が大切だということを考えたら、ハタキは必須だ!と思ったのとで、

つくるぞ!と決意したものの、ようやく実際の作業をすることが出来たのは、本を最初に読んでからそろそろ二か月経とうかという今、なのですが…ともあれ、作りました!

さて、用意した材料は古布と輪ゴムと麻紐と、はたきの柄になる棒。棒は、ちょうどトマトの鉢植えの支柱に切ってきていた細い竹が残っていましたので、それを活用。すべて「今、家にあるもの」で揃いました。これも嬉しいポイントです。道具としては、古布を切るのに「ギザギザハサミ(ピンキング鋏)」を使うと「ほつれ」を気にしなくて良いというので、裁縫箱からギザギザハサミを引っ張り出しました。

なんの自慢にもならないのですが、わたしはほんとうに手先が不器用で、性格も大雑把なので、この手の「ものをつくる」仕事は自分用には良くても、人様に見せられるものではありません。が、作ったよ!の証拠を上げておくことにいたします(笑)。お世辞にも見栄えが良いとは言えません。ダンナに見せたところ「神主さんが持ってるやつみたいね」と。「祓いたまえ清めたまえ」のときにお持ちのあれですね。なるほど、ピンキング鋏のギザギザがそれっぽいかしら…ともあれそう見えるなら、ある意味成功かもしれません。

自作のハタキ

肝心の「使い勝手」は、いや、悪くないんじゃないかな、というところ。まあ、正直申しますと「改良の余地、おおいにあり」でもあるのですが。もっと布がワサワサしていた方が良かったかな、と思ったり、柄の長いタイプと短いタイプと両方あった方が使い分けできて良さそうだな、と思ったり。布のワサワサ感が物足りなく感じるのは、布の切り方が太かったからだと分かっているのですが…もう少し細く切れば良かったかな、と。ですが、それでもなんだか嬉しいのは、自分で作った道具だからという自己満足。まあ、しばらく使ってみることにいたします。

このところ「実用書読書→実際に活用」が出来ていて、1冊から1つぐらいの頻度ではあるものの、なんだか嬉しいです。実用書を読んだときは「これいい!やろう!」と思っても、本を閉じるとその時の意欲というか情熱がしゅーっとしぼんでしまい、そのままになっている、ということがままありますので(汗)。ちょっとしたことでも、外からのアイデアを借りることで生活が楽しくなったり便利になったりするのは、嬉しいもの。先日上げた「雨水タンク」の話題もそのひとつです。

単純に楽しいので、最近の図書館通いでは、アンテナに引っかかる実用書を1冊以上借りることにしています。そこからたま~にでも、実生活に役立つもの・ことを取り入れることが出来たなら、嬉しいな、と思いつつ。

北京喜水ギャラリーさんでの「藤吉憲典 個人作品展」無事終了いたしました―ありがとうございました!

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

北京喜水ギャラリーさんでの「藤吉憲典 個人作品展」無事終了いたしました―ありがとうございました!

北京の喜水ギャラリーさんからe-DMが届きました!と言っていたのはつい先日のことのように思っておりましたが、

おかげさまで初北京訪問のダンナも無事に帰って参りまして、9日間の会期が終了いたしました。中国渡航に際し、お世話になりました皆さまに心よりお礼申し上げます。

北京喜水ギャラリー 藤吉憲典作品展

初日は、中国茶の専門家がいらっしゃって、ギャラリーでお茶会を開いてくださいました。参加者は定員いっぱいで、お茶もお茶菓子もとても美味しかったと、ダンナも喜んでおりました。またコロナ前の上海での個展のときにも感じていたことですが、若いお客様が多く、やきものについて熱心に質問をしてこられる方が多かったとのこと。もともと藤吉憲典は、技法等についてもまったく秘密なく、聞かれたことは何でも教えますよ、というオープンな姿勢ですので、そんなところもご来場の皆さまに喜んでいただけたようです。

北京喜水ギャラリー 藤吉憲典作品展

今回は初めてだったこともあり「ミニ個展」という位置付けでしたが、来年は「本個展」を予定しています。その内容について、オーナーさんとしっかり打合せも出来たようで、とても充実した北京滞在となったようです。来年が楽しみです。

北京喜水ギャラリー 藤吉憲典作品展

北京喜水ギャラリー 藤吉憲典作品展

北京喜水ギャラリー 藤吉憲典作品展

続・まるっと一日、福岡市美術館デー:美術館使い倒しのススメ。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

続・まるっと一日、福岡市美術館デー:美術館使い倒しのススメ。

開催中の「キース・へリング展」を見て参りました、と書いたのは昨日のことでした。

「クールシェアスポット」という言葉がだんだんと広まってきましたね。環境省のサイトによると、「公園や図書館などの公共施設を利用することで涼をシェアする、など1人あたりのエアコン使用を見直すことがクールシェアの考え方」だそうです。ということは、美術館・博物館も、そのシェアスポットとして最適な空間ですね。クールシェアを意図したわけではありませんが、わたしの「まるっと一日、福岡市美術館デー」は、まさに酷暑のこの夏にぴったりの行動だったのかもしれません。

福岡市美術館は9時半開館。福津市にある花祭窯を朝8時過ぎに出て、電車とバスを乗り継ぎ、9時半過ぎに美術館に到着しました。博多駅からは、地下鉄または西鉄バスを使うことになります。わかりやすいのは地下鉄です。地下鉄大濠公園駅で降りたら、大濠公園内を歩いて15分ほど。お堀の周りをぐるりと約半周で、気候が良いときは最高のお散歩コースです。博多からバスを使う場合は、福岡市美術館への最寄りバス停は、路線により「福岡市美術館東口」「赤坂三丁目」「福岡城・NHK放送センター入り口」と三つあります。初めはややこしく感じるかもしれませんが、慣れるととても使い勝手が良く、バス停から美術館への距離も徒歩3~5分なので、できるだけ歩きたくない場合は、バスがおススメです。

到着したらまずは、特別展のキース・へリング展へ。人気の高い特別展も、平日の朝一番に入ると比較的混みあわず、見やすいことが多いです。キース・へリング展も、人が増えてくる前に、三往復することが出来ました。特別展を出たら、所蔵品を展示する常設展示室、まずは2階にある近現代美術の「コレクションハイライト」へ。6月に展示替えが行われたということで、前回観たときとはまた少し顔ぶれが変わっていました。美術館というと特別展が注目されやすいですが、常設展示も見どころがたくさんありますので、見逃せません。

ここまで見終わったら時計はもうすぐで12時というところ。混みだす前に、お昼ご飯にすることに。福岡市美術館のなかには、レストランとカフェが入っています。今回はゆっくりしっかりご飯を食べたかったので、レストランへ。ニューオータニ博多が運営するレストランは、お値段もそれなりですが、まずその場所が美術館内で最も眺望の良い場所にあり、贅沢な気分を味わうことが出来ます。緑豊かな景色を眺めながらいただくランチは、とっても美味しかったです。ここは予約もできますので、特に週末など混みあいそうなときは、あらかじめ予約をしておくと安心ですね。

ゆっくり時間をかけてお昼を頂いたあとは、1階にある古美術の常設展示室へ。「松永記念館室」では「表具のキホン」のタイトルで書画の名品を観て学び、企画展示室では「田中丸コレクション 華やかなる九州の桃山茶陶」のタイトルで、土ものの名品を拝むことが出来ました。松永記念館室も、企画展示室も、定期的に入れ替えがあるので、訪れるたびに見応えがあります。東光院仏教美術室ではいつもの「阿吽」を見上げ、十二神将像を愛で、こちらも大満足。

そのあとは二階にある「美術情報コーナー」で書籍や雑誌を物色。気になる記事を読み、調べることが出来ました。このような図書や資料のコーナーの規模や使いやすさで言うと、同じく福岡市が運営する福岡アジア美術館の充実ぶりに俄然軍配が上がりますが、いずれにしても、「美術館で図書サービス」は活用したいおススメサービスです。

最後は、ミュージアムショップへ。何かを買いたいというわけではありませんが、どのようなものが並んでいるのかを見るだけで、美術を取り巻く世の中の動きが見えたり、その美術館が持っている特徴や「押し」が見えてきたりするのは、面白いことです。美術関連の本が並んでいるのも楽しいですね。わたしが出かけた当日は、海外からのお客さまが多くミュージアムショップにもおられたので、その方々がどのようなグッズに興味を示すのかが伝わってきて、なるほどと思いました。

さて美術館を満喫して気がつけば、時刻はもうすぐ16時というところでした。ほんとうに一日よく遊びました(笑)。

読書『アート脳』(PHP研究所)スーザン・マグサメン、アイビー・ロス著/須川綾子訳―その2

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『アート脳』(PHP研究所)スーザン・マグサメン、アイビー・ロス著/須川綾子訳―その2

原題は『YOUR BRAIN ON ART How the Arts Transform Us』。わたしにとっては、齋正弘先生の『大きな羊の見つけ方 「使える」美術の話』、元資生堂名誉会長の福原義春氏が書いた『美 「見えないものを見る」ということ』、そして山口周氏の『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』に続く、アートエデュケーターとしての指針盆になりそうです。先日「その1」をまとめたところでした。

続き、本日は第3章から備忘。


  • 落書きやぬり絵、思いのままに絵を描くことは、いずれも前頭前野皮質を活性化させる。
  • 「絵を描いているときはいわゆる単調な状態になる。いつもとは違う頭の部分が働いているんです。普段はスイッチが入っているところがオフになります。そしてオフになったときは、自分の感情について、というよりあらゆることについて会話をしやすくなる。(後略)」
  • 絵を描くことは脳波の活動を変化させ、前頭部への血流を増やし、精神の回復力にプラスの影響を与えることが明らかになっている。
  • アートが瞑想に近い状態を引き出し、生理機能の自己調節を促す
  • アートを利用して瞑想に近い状態を育む
  • 創造しては手放すというこの工程のなかに(中略)、無意識へと入り込む道(がある)
  • (粘土)手でリズミカルな反復運動を行うと脳内でセロトニン、ドーパミン、オキシトシンの分泌が促されることが報告されており、そのため気持ちが少し楽になった
  • 年度は両手を同じように器用に動かして取り組む数少ない創作材料の1つであり、意識と無意識のどちらにも働きかけることができる。
  • 書くことで個人的で感情的な物語にあえて入り込むことは、心身の不調を軽減する効果がある
  • 書く行為を通して、自分の心の位置付けを把握する方法を学びとり、書き終えたときには自分がどのように感じ考えているのか、より多くの情報が得られるようになっている。
  • 肉体的な感覚を経験することにより、頭で考えることから抜け出し
  • アートが完成したら共有する場を設け、(中略)完成させたものの意味を説明できるようにする。
  • これはアートの「出来栄え」を評価することが目的ではない
  • 生活にアートを取り入れる機会が年に1、2回だとしても、死亡リスクは14%下がる。
  • 生涯にわたり美術館やコンサート、劇場に足を運ぶといったアート活動を行うと、加齢に伴う認知機能の低下を遅らせる効果もある。
  • 美やアートは高尚なものではない。人生の基礎である。
  • アートや美が教育や仕事、生活に統合されたとき、私たちの学ぶ能力が強化される
  • 持続的幸福
  • 「この絵のなかで何が起きているでしょう?」「ほかに気づいたことはありませんか?」
  • ただ目の前の柄を解釈すればよい
  • 好奇心は進化に必要なものとして、人の脳に織り込まれてきた。
  • 進化の目的は、予測不能な世界で最善の判断をできるように適応すること
  • アートは内省のきっかけとなり、それぞれが自分なりの洞察を得て、他者の視点を理解し
  • 人が普遍的に美しいと感じる現象がある
  • 美の認識の多くの部分は個人に依存する
  • 感嘆
  • 積極的に畏怖の念を経験している人々は、自主規制をあまり求めず、不確かさに対する耐性が比較的高い。
  • 創造性―「自分が大切にしているもの」を取り戻す
  • フロー
  • ある活動そのものに完全に没頭している状態。自我は消失、時間は飛ぶように過ぎる。そして新たなアイデアが生まれる
  • 内なる台本を書き換えるために舞台に立つ
  • 「正常」なものの外に出て、あっと驚く
  • 自分以外の誰かのケアにあたるときは、あなたには自分自身をしっかりと労わるための追加的な手段があり、自分の心身の健康を回復することは習慣になっている。そしてアートと美のツールキットは大いに頼りになる。

『アート脳』(PHP研究所)スーザン・マグサメン、アイビー・ロス著/須川綾子訳 より


今回も十分に長くなってしまいましたね(笑)。わたしは「美術」の観点から読んでいるので、そちらに偏った備忘メモになっていますが、本書では美術以外の芸術…音楽や演劇やダンスやいろいろ、とのかかわりについてもたくさん述べられています。なので、ご興味のある方は、ぜひ本書を読んでみることをお勧めいたします。

『アート脳』(PHP研究所)スーザン・マグサメン、アイビー・ロス著/須川綾子訳

キース・へリング展「アートをストリートへ」を見て参りました―まるっと一日、福岡市美術館デー。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

キース・へリング展「アートをストリートへ」を見て参りました―まるっと一日、福岡市美術館デー。

9月に郷育カレッジで講座を担当する「知識要らずの美術鑑賞」のために、福岡市美術館での打ち合わせ。打合せは午後からでしたので、午前中から足を運んで、開催中の「キース・へリング展」を見て参りました。

キース・へリング展「アートをストリートへ」(福岡市美術館)

そもそもは、昨年の学芸員研修「博物館リンクワーカー人材養成講座」でのこと。山梨県にある「中村キース・へリング美術館」の学芸員さんによる「社会課題と向き合う美術館活動」の実践報告の発表を聴いてディスカッションするという、稀有な機会に恵まれました。そのときに「来年は福岡市美術館で展覧会があります」と聞いて、楽しみにしていたのでした。

キース・へリングが向かい合った(’80年代当時の)社会課題と、彼の社会活動の「いかに」がバンバンと伝わってくる展覧会でした。展示を通して響いてきたのは、思っていたよりも「もっと重く、もっと切実」な、キースの叫び。「イコンズ」と名付けられた、ポップでカラフルなアイコニックな作品が、キース・へリングを印象付けるものとして有名ですが、その奥にある危機感が迫ってきました。

会場は一部展示室を除いて、写真OK(フラッシュ撮影や動画はNG)でしたので、今回のわたしに響いた「これ!」を、以下にちょっぴりお裾分け。写真NGの部屋は、1988年来日の際の東京でのイベント資料を展示したものでした。ちなみにダンナは当時東京でグラフィックデザイナーをしていて、「生キース・へリング」をその時に見ていたとのこと。そんな話を聞くと、自分たちの少し先を走っていた方なのだなぁと、実感します。

キース・へリング展「アートをストリートへ」福岡市美術館より

キース・へリング展「アートをストリートへ」福岡市美術館より

キース・へリング展@福岡市美術館

わたしは、表面的に社会的な課題をちりばめた「現代アート(コンテンポラリー)」と呼ばれているものに懐疑的なのですが、今回の展覧会を見て、これこそが「いわゆる現代アート」なのだと分かりました。考えさせられ、見応えのある展覧会でした。

キース・へリング展「アートをストリートへ」(福岡市美術館)は、会期残すところちょうどあと一か月9月8日(日)です。おススメです。

山梨県にある「中村キース・へリング美術館」にも、そのうちぜひ行ってみたいと思います。

おかげさまで、55=GOGO!な1年がスタートしました―まずは一人戦略会議から。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

おかげさまで、55=GOGO!な1年がスタートしました―まずは一人戦略会議から。

北京個展が無事スタートし、とりあえずはホッと一息、な今日この頃です。今月はワタシのお誕生月でもありますので、長期計画を含めて久しぶりに一人戦略会議。そういえばこのところ、じっくり考える時間が作れていませんでした。ややもすると日々の雑事に追われて流されてしまうので、意識して時間を確保する大切さを感じています。何かをはじめようとか、何かをじっくり考えようという時に、「誕生日」というのは、「お正月」や「年度初め」とならぶ、とても良いタイミングですね。

まずは2024年初に立てた経営指針書の進捗状況チェックと見直しから。

途中5月に一度見直しをかけていますが、そこからまた新たに加わった事案、取りやめになった事案等があります。昨今変化のスピードが速いので、「朝令暮改は当たり前」の基本精神で、自分たち自身の動きも状況に応じて変えていきます。そうして「花祭窯」の動きを整理整頓したのちには、自分自身の動きを計画策定。…というとなんだか大袈裟ですが、自分のやりたいこと、特にアートエデュケーターとして活動したい内容の書き出しを行いました。

GOGO!な今年からは、アートエデュケーターとしての仕事を、また少しづつ増やしていきたいと考えています。毎年、博物館学芸員としての新しい知見の獲得や技術研修は行っていますが、せっかく学び身に付けたものに対して、これまではアウトプットが少なかったので。花祭窯おかみの仕事とアートエデュケーターとしての仕事は、関連し合っているところもたくさんありますので、上手に双方を活かしていきたいと思います。さあ、がんばろう!

今後ともよろしくお願いいたしますm(__)m