花祭窯の一月 睦月(むつき)の庭。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

花祭窯の一月 睦月(むつき)の庭。

気が付けば一月も月末。あわててこのタイトルのブログです。現在花祭窯の小さな露地の主役はサザンカで、サザンカにやってくるメジロ、ジョウビタキ、ヒヨドリが毎日にぎやかに目と耳を楽しませてくれています。

花祭窯の庭 サザンカ

この華やかさが、花の少ない季節の庭に色を差してくれます。

花祭窯の庭 ヤマブキ

ヤマブキは新しい枝がきれいな緑色でたくさん伸びています。

花祭窯の庭 南天

南天の赤い実もすっかりなくなりました。

花

玄関には、新春にいただいた花が、二週間以上経った今日も元気です。

蝋梅

お正月用に、年末にいただいた蝋梅は、今まさに良い香り。

お正月の花生け

お正月用に活けたものは、ときどき手を入れながら、こちらも長持ち^^

金の生る木

復活プロジェクト進行中の多肉植物「金の生る木」も、頑張ってくれています。

今が一番寒い季節。この寒さのおかげで、切り花などは傷みにくく、長持ちするのでもありますね。それは嬉しいことでもあるのですが、寒さが苦手なわたしとしては、春が待ち遠しい今日この頃です。

久しぶりに、藤吉憲典の珈琲碗皿(Cup and Saucer)。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

久しぶりに、藤吉憲典の珈琲碗皿(Cup and Saucer)。

久しぶりに珈琲碗皿が出来たので、嬉しくてご紹介。ときどきいただくご質問に、津屋崎の花祭窯に行けばいろいろな器をたくさん見ることが出来ますか?というものがあります。実はいろいろたくさん見るのに一番いいのは個展の時です。その個展も、ときどきによって並ぶものが同じ顔ぶれにはなりませんので、コーヒーカップを目当てに来たけれどひとつもなかった!ということは珍しいことではありません。藤吉憲典が作りたいと思ったときに作るので、そういえば久しく作っていないよね、というものも多々。

ということで、珈琲碗皿が出来上がったのは久しぶりです。写真があまりよろしくなくて申し訳ありません。実物はもっと、かなり、良いです^^

赤絵万暦金襴手珈琲碗皿 藤吉憲典

↑赤絵万暦を金襴手にした珈琲碗皿。金襴手の「金」がどこに入っているのか、よーく見ないとわからないと思います。もっと派手にキラキラさせることももちろんできますが、これくらいの入り方が、品の良さ。

染錦唐草文金襴手珈琲碗皿 藤吉憲典

↑こちらは染錦の唐草文様に金襴手。こちらは金がどこに入っているかわかりやすいと思います。

金襴手珈琲碗皿 藤吉憲典

↑今回出来上がったのは三種。もうひとつは氷烈文様を金襴手にしたものですが、写真がうまく撮れませんでしたので、集合写真のみで失礼します…

いずれも肥前磁器の古典文様を現代的にアレンジしたもの。コレクションしたくなる珈琲碗皿がテーマです。フォルムと文様の美しさはもちろん、手に取って実際に使ってみるとさらに良さがわかるのが、藤吉憲典の器。持ち手のカーブ、指に当たる触れ心地、持ち上げたときの重さ(軽さ)は、ぜひご体感いただきたいものです。

皆さまにご覧いただける機会が揃いましたら、あらためてご案内いたします!

JETRO「国内輸出商社商談会 in 久留米」に参加して参りました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

JETRO「国内輸出商社商談会 in 久留米」に参加して参りました。

今年は花祭窯として新しい分野でのチャレンジをひとつ前進させたいという思いもあって、これまでの方法や考え方にとらわれないよう、いろんなところに顔を出そうと考えています。そんなときに強い味方になるのが、JETROさん、中小機構さん、商工会さん、福岡県の新事業支援課などが発行しているメールマガジン。定期的に新着情報が流れてくるので、ざっと読みつつ、アンテナに引っかかったら詳細調べる、というパターンです。

これまでのわたしたちの海外展開は、「現地ギャラリーに直接アプローチ」という、自力の力技とでもいうべき方法でした。この方法は、海外だけでなく国内でも独立当初から貫いてきたやり方です。商人さんや商社を通さずに、実際にお客様に対応するギャラリーのオーナーさんに直接お会いする、という方法。それはわたしたちにとっては揺るがない「正解」ですが、作品の性質=商材に合わせて別のやり方を模索することも必要です。

さて商談会の会場は、久留米市の中心市街地・六ツ門にある久留米シティプラザ。とても良い立地です。この場所が「久留米シティプラザ」になってから初めての訪問でしたが、最近は演劇やコンサートをはじめ各種文化イベントの開催場所として、よく名前が出てきます。会議室やホールを備えた複合施設です。

事前にマッチングをしたうえでの、時間の決まった面談でしたので、無駄が無くスムーズで快適でした。こちら(セラー)側からの希望と先方(バイヤー)側からの希望とで面談を設定していて、1件目はこちらからも希望を出していたところで、2件目は先方からのご希望をいただいたところでした。時間はそれぞれ40分。この時間が絶妙にちょうど良くて、これはジェトロさんがこれまでに開催してきたなかで獲得した最適時間なのだろうな、と、妙なところに感じ入りました。

当初、こちらから希望を出していなかったところとは、あっけなく話す内容が無くなってしまうのではないかと懸念していたのですが、蓋を開けてみれば全くそんなことは無く。先入観で決めつけてはいけませんね。ウェブサイト等で事前にある程度情報を集めて臨んだとはいっても、実際に対面でおしゃべりをするなかで出てくる情報は、お互いに「なるほどそんな視点、考え方もあるのね」という発見の連続でした。そして、会って話すからこそわかる、担当者さんの熱意。これは面談させていただいた二社ともにあてはまったことでしたので、「会って話す」は大事だなぁと、つくづく思いました。

ラッキーなことにお昼前にすべての商談が終わりましたので、久留米といえば、のお目当ての「肉の中津留レストラン」でゆっくりカツカレーを食べ、これまた久留米といえば石橋製菓さんで甘納豆を買って、帰路につきました。ほんとうは、久留米といえば和菓子処とらやさんでお菓子を買いたかったのですが、残念ながら火曜日は定休日。こちらはまたの機会に託します^^

ジェトロさん、面談に対応してくださった二社のご担当者さんに感謝。ありがとうございました。

ちょっとした「嬉しい」をキャッチして楽しむ才能は、自分を機嫌良く保つのに大いに役に立つ。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

ちょっとした「嬉しい」をキャッチして楽しむ才能は、自分を機嫌良く保つのに大いに役に立つ。

少し前に読んだ本で『日常美学』なる概念を知りました。

このなかに『生活のなかで実践される「美」、「芸術」』についての考察がありました。「美」「芸術」というとなんだか大げさになってしまうけれど、わたしたちが「生きていくなかで自然に感性をはたらかせている」というのは、実感としてあるなぁと思っています。

「感性がはたらいて感情が嬉しい方向に動く」ことは、日常生活のなかでけっこう頻繁に起こっています。そんな心の動きを、するっと流してしまうのではなく、ひとつひとつキャッチして=意識に上げて確認したり、言葉にしたりすることは、「嬉しい」気持ちを倍増する効果があると感じています。

例えば今日は仕事で久留米市に行きましたので、お昼ご飯はお肉の中津留レストランでカツカレーを食べ、電車に乗る前にこれまた久留米で人気の甘納豆やさんの甘納豆を見つけてお土産に買い、と、これだけでももう二つの「嬉しいこと」となります。そのうえ電車に乗ろうとしたら、ラッキーなことに乗り換えなしで最寄り駅まで行ける快速がちょうどあって、空いていたので楽々座れたこと、車窓から大きな虹が見えたこと、筑後川を鉄橋で通ったときにたくさんの水鳥が見れたこと、電車を間違って乗ったかもしれないという若者に大丈夫だよと教えてあげれたこと…。ほんの数時間の間にも、こんなに嬉しいことが発生しています。

下の写真は、お正月用に、昨年末に玄関に生けた花。1月も末週になりましたが、まだまだきれいに保たれていて、ロウバイは今ちょうど開いて香りがしてきたところです。これはもう、玄関を通るたびに嬉しくなる、という状態。こう考えてくると、生活空間に花や絵が飾ってあったり、お気に入りのインテリアがあったりすることは、知らず知らず感性に働きかけてくれる部分もあるとは思いますが、「そこに花がある」「そこに絵がある」と意識的になることで、さらに感性がはたらく要素がありそうです。

お正月の花

ここまで書いて、なんとなく既視感があるなぁ、と思ったら、やはり過去に同じような記事をアップしておりました。内容だけでなく、タイトルも近いという(笑)。

きっと、わたしの「日常生活」に対する態度は、ずっとあまり変わっていなくて、同じようなことをして、同じように感じているということなのだと思います。自分の思考&行動パターンが見えてくるのは面白いですね。

2025年九州産業大学国際シンポジウム テーマは「美術館が変わる、若者が変える」でした。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

2025年九州産業大学国際シンポジウム 博物館と医療・福祉のよりよい関係 テーマは「美術館が変わる、若者が変える」でした。

今年も、学芸員研修会の年度まとめとなる、九州産業大学国際シンポジウムに参加いたしました。ここ数年の大きなテーマは「博物館と医療・福祉のよりよい関係」が続いていて、なかでも若年層や地域住民とのかかわりが、今回のテーマでした。

英国のダリッジ・ピクチャー・ミュージアムとつないでの国際シンポジウムは、ずっと続いています。発表者であるキュレーターのジェーンさんとは、コロナ禍前になる前の年度に、九産大で現地開催されたシンポジウムで一度お会いしています。定点観測的に毎年取組報告をお聞きするたびに、その歩みを止めないチャレンジへの敬意が湧いてきます。

以下、備忘。


  • How can historic paintings and old master peace speak and connect to contemporary lives and society?
  • The Past for the Present.
  • Unlock art for all.
  • Bringing art to life and life to art.
  • 「地域の人々にとって価値のあること」は、どんなこと?「自分に関係のある場所」と認識してもらうには?
  • 単に「教育」面での役割を担う場所、で終わらせないためには。
  • 「誰のストーリーを語るのか」を考えることの重要性。
  • Sending informal time in a formal place.
  • Oracle card →アートカード活用の可能性。
  • welcoming place としての galleries and museums。
  • 単なるアンケートによる意見聴取ではなく、resercherによる踏み込んだ調査と実験→フィードバック。
  • 理論と実践。
  • making place for young people
  • Museums are fundamentally for people
  • handling = making something が、making new friends につながる
  • 利用者にとって、意義のある存在であり続けるには。
  • 来館者が、自分の人生や経験とのつながりを見出したと思えるか。

2025年九州産業大学国際シンポジウム 博物館と医療・福祉のよりよい関係「美術館が変わる、若者が変える」より


今回もとても勉強になりました。ありがとうございました。

2025九州産業大学国際シンポジウム

読書『POP FICTION ポップ・フィクション』(文藝春秋)堂場瞬一著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『POP FICTION ポップ・フィクション』(文藝春秋)堂場瞬一著

いつものカメリアステージ図書館新刊棚より。今年はなんとなく、小説の読書数がここ数年よりペースダウンするのではないかと感じていたのですが、1月の間に2冊目の読書記録を上げることが出来ましたので、ブログにアップしていないものも含めると、さほどスローペースではありませんね。

表紙のおしゃれで明るい雰囲気、まさにPOPな陽気に惹かれて手に取りました。堂場瞬一さんは、わたしは今回初めましてだったのですが、著作200冊というベテラン小説家さんなのですね。文藝春秋のサイトに上がっている著作タイトルを拝見したら、見覚えのあるタイトルがたくさん並んでいたので、おお!と思いました。ほんとうに、新人ベテラン関係なく、まだ読んだことのない作家さんがたくさんです。

さて『POP FICTION ポップ・フィクション』。文藝春秋サイトのキャッチコピーは『堂場瞬一流「エンタメの流儀」が詰まったお仕事小説』となっています。わたしは内容を全く知らずに読みはじめましたので、表紙を見て勝手に抱いていたイメージとはかなり異なる重厚な内容(と私には思えました)に、まず驚きました。大正時代、出版黄金期の雑誌出版に関わった人たちの物語。そこに名前の出てくる作家や文化人は、実名の方々もあり、へぇ~!と思いながらの読書でした。登場人物たちの熱量の大きさ、今なら「ブラック」「ハラスメント」と一発で批判されてしまいそうな働き方が、一時代の文化を作ってきたことを思いました。

物語のお終いの方で、雑誌出版の黄金時代の勢いに、「ラジオ」という新しいメディアが登場することへの危機感がちらりと見えます。今なら、ラジオ、テレビをさらに通り越して、インターネットメディア隆盛への危機感というところ。なるほど、こうしてメディアの役割と媒体が移り変わってきたのだよね、という感慨もありつつ、それでも新聞や雑誌というオールドメディアがまだどうにか生き残っていることを思いました。大正の時代を描きながら、現代への眼差しが強く感じられる一冊でした。

『POP FICTION ポップ・フィクション』(文藝春秋)堂場瞬一著

昨年は映画館にあまり足を運べませんでしたが…2024ふじゆり的映画ベスト3。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

昨年は映画館にあまり足を運べませんでしたが…2024ふじゆり的映画ベスト3。

そもそも映画館で観た本数が8本と少なかったので、そのなかからベスト3を出す意味があるのか?という気がしなくもありませんが、備忘録。昨年は年初に『ラーゲリより愛をこめて』(2022年)を観ることが出来て幸先が良かったのですが、その後は映画館に行けるぞ!というタイミングで、映画館で観たい作品を見つけることが出来ませんでした。別の館に足を運べば解決することではありますが、なかなかそこまでに至らず、近所のTOHOシネマズさん頼りです。


1位 『フェラーリ』

なんといっても、主役のエンツォ・フェラーリを演じたアダム・ドライバーが最高でした。そして映画のハイライトであるロードレース「ミッレミリア」のシーンで、イタリアの街中の景色と自然の景色を大画面で楽しむことが出来たこと。おまけに、わたしがフェラーリについて唯一知っていたエピソードを、エンツォ・フェラーリ自身のセリフとして聞くことが出来たこと。こう書きながら、また見たいと思っている自分がいます。

2位 『ジャンヌ・デュ・バリュー』

ジョニー・デップ出演の最新作でした。ジョニー・デップ演じるルイ15世の最後の公式愛妾といわれたジャンヌ・デュ・バリューの、波乱の人生。全編フランス語、ヴェルサイユ宮殿での撮影、衣装はシャネルが全面協力と、とにかく美しい世界観が作り上げられていて眼福でした。ジョニー・デップはもちろん、ルイ15世の御付きの人を演じた俳優さんが、とても良かったです。欲を言えば、ジャンヌ役はもっと少女時代のジャンヌに雰囲気の近い役者さんで観たかったかも。作品への思い入れが強かったから、監督自ら演じたのだろうとは思うのですが。

3位 『ラーゲリより愛をこめて』

見損ねた!と思っていた映画を、映画館で観ることができる機会があると、とっても得をした気分になります。「午前10時の映画祭」などはまさにそんな気持ちに応えてくれる者なのですが、残念ながらご近所の映画館では2024年から上映しなくなってしまい、がっかりしていたところ。本作は、ご近所の文化会館がイベント上映してくれました。

主人公を演じた二宮和也くんはもちろん、俳優さん一人一人=登場人物一人一人の存在感が胸に迫ってくる映画でした。うちの映画好きの息子は、この映画を封切り後すぐに観に行き「号泣もの」と称賛していたのですが、その通りでした。

今年は月1ペースで観れたら良いな、と思いつつ。TOHOシネマズさん、期待していますので、よろしくお願いいたします!

お友だちの個展にお出かけ―日浦哲志 モノクローム写真展 IMAGINARY LINE-

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

お友だちの個展にお出かけ―日浦哲志 モノクローム写真展 IMAGINARY LINE-

写真やら動画やらでいつもお世話になっている日浦さんが、久しぶりに個展を開いていらっしゃるので、遊びに行ってきました。わたしのブログで「日浦」とキーワード検索すると、日浦さんが手がけてくださった花祭窯の仕事を見つけることが出来ます。

場所は福岡市の西鉄平尾駅から歩いて10分ほどの場所にあるgallery otherさん。

日浦哲志 モノクローム写真展 IMAGINARY LINE

写真が素晴らしかったのはもちろん、期間中馴染みのバリスタを招いて珈琲販売のサービスをギャラリー内で行っているというのも、日浦さんらしい発想と心遣い。美味しい淹れたて珈琲をいただきながら、写真を眺め、おしゃべりに興じる、とっても楽しい時間でした。わたしたちが伺ったのは平日でしたが、お客さまがひっきりなしにいらっしゃっていました。ギャラリースペースがかなり広かったのでまったく気になりませんでしたが、箱がもう少し小さかったら、けっこう混み合う感じだっただろうな、と。

2016年に藤吉の個展に日浦さんが一緒についてきてロンドンで撮ったものもあり、思わずニヤリ。すべての写真に、被写体を愛おしむ眼差しを感じました。今回はモノクロだけでしたが、次回はカラーも観たい!とお願いして、会場を後にしました。

会期は折り返しで今週末1月26日(日)まで。カメラや写真に興味のある方、ぜひおすすめです!

「令和6年度デザイン開発ワークショップ」第4回目―広報物のデザインについて具体的に細部を詰める。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

「令和6年度デザイン開発ワークショップ」第4回目―広報物のデザインについて具体的に細部を詰める。

福岡県の新事業支援課の事業のひとつ「デザイン開発ワークショップ」。わたしが参加する北九州地区では、西日本工業大学の梶谷克彦先生、株式会社GKデザイン総研広島の遠藤大輔さん、株式会社宣研の重松依子さんが、アドバイザーを務めてくださっています。昨日はその四回目。

前回からの約1カ月の間に、シルクスクリーン作品の最初の二つが完成し、11月の商談会にシルクスクリーン作品で出展することを決定したので、状況が大きく進みました。11月までに「新たな作品群(商品群)であるシルクスクリーン作品の広報物をつくる」という、はっきりと具体的なゴールが出てきましたので、そこを目指してのアドバイスを求めて参りました。

これぞデザイン分野を専門とする先生方の最も力を発揮していただける部分。ブランド紹介の冊子ひとつとっても、考え方=概念的な部分と、技法=具体的な細部の両方について、経験に基づく知識と情報を具体的なアドバイスとして頂くことができた、ありがたく貴重な時間でした。

藤吉憲典シルクスクリーン作品「華」

デザインワークショップに参加申し込みをしたときは、ここまではっきりとやるべき課題が現れることを想定していませんでしたので、参加の意思決定をしていたことはラッキーでした。デザイン開発ワークショップは、残すところあと二回。この二回で、11月の商談会に向けてのデザイン面での準備をしっかり詰めたいと思います。

教育普及学芸員の師と仰ぐ齋先生の言葉に、身の引き締まる思いがしました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

教育普及学芸員の師と仰ぐ齋先生の言葉に、身の引き締まる思いがしました。

わたしが博物館学芸員資格課程に挑戦したのは、40代に入ってからのことでした。大卒資格(学士)を持っていましたので、佛教大学の通信課程に三年次編入し、二年間の学習と試験、博物館での実習、卒論を経ての課程修了。大人になってからの学び直しを考えるとき、大卒の学士があると、このように三年次編入で専門分野を学べるケースが多いので、とても便利ですね。通信でしたが、博物館実習にかかる実技と講義では、京都北野にある佛教大キャンパスを拠点に、各分野の教授たちから10日間ほど朝から夕方まで対面で学びました。

通常博物館実習は、1つの館に滞在して学ぶスタイルですが、わたしが佛教大に在学したときは、特別に複数の館で学ぶスタイルでした。京都~奈良にある、歴史系・仏教系・産業系・美術系と分野も異なれば、国立・府立・市立・私立・学校附属と運営母体もさまざまな館のバックヤードを訪問し、それぞれの学芸員さんからお話を聞くことができたのは、かなり珍しく贅沢な実習だったと思います。ただ「ゼミ」的なものが無く、卒論もガッツリ指導教授が就くというものではなかったため、資格取得に至るまで、専門的分野での「師匠」と呼べる存在がありませんでした。

そんなわたしにとって「師匠」と仰ぐ存在と出会えたのは、九産大の緒方泉先生率いる「博物館学芸員技術研修」への参加がきっかけでした。一番最初に参加したカリキュラムで、当時宮城県美術館で教育普及学芸員をなさっていた齋正弘先生に出会い、「アートエデュケーション」という概念に出会い、勝手に「これだ!この人に学ぼう!」と思ったのでした。2016年のことです。

それから、学芸員研修での齋先生の講義は毎年受講し、仙台にある宮城県美術館まで押しかけ、著書を読み込み…。

花祭窯の「陶片ミュージアム構想」に興味を持ってくださった齋先生と、雪の舞うなか津屋崎から福間・花見の海岸線を「陶片探し」で何時間も歩き回ったこともありました(笑)。

コロナ禍後は、学芸員技術研修会で齋先生の教育普及の講座が無くなってしまったため、お会いする機会がありませんでしたが、ずっと年賀状で近況報告をしておりました。その、今年の年賀状で先生が書いていらっしゃった言葉に、考えさせられたのです。

曰く、

「学芸員は世の中の変化の最先端にいる存在である。」

「困ったら基(もと)に戻る。」

齋昌弘先生の『大きな羊の見つけ方 「使える」美術の話』(仙台文庫)

思えば「美術はもっと使える」とおっしゃったのは齋先生でしたが、それは同時に「使えない・役に立たない(ように見える)ものの価値」への眼差しを持ち続ける大切さを説いていたと思います。そして「基(もと)」の大切さ。

新年早々、目を開かせられました。やはり齋先生は、わたしの(勝手に)偉大な師匠です。