明日から3月、お雛さまシーズン到来♪

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

明日から3月、お雛さまシーズン到来♪

毎年恒例の、登録有形文化財・津屋崎千軒民俗館「藍の家」で、お雛様展示の準備が着々と進んでいるようです。ご近所観光案内施設「なごみ」でも、大きな雛段が出ています。そんな「ご近所のお雛様」情報を、なごみが発信してくれております。

津屋崎千軒のおひなさま2025

昨年に国宝指定を受けた「豊村酒蔵」でも、代々受け継がれてきたおひなさまを観ることが出来そう。こうして近所でいろいろなお雛様展示を楽しむことができる津屋崎千軒は良いところだなぁ、と、あらためて思います。

我が家でも、毎年恒例の雛香合を出しました。

お雛様 藤吉憲典

もうずいぶん長いことこの顔ぶれです。そろそろ新しいお雛様も作ろうと思うんだけど…とは、ここ数年毎年効いているダンナのセリフのような気がしますが、こればかりは作り手の気持ちひとつなので、楽しみに待つしかありません。

今週末は暖かくなりそうです。ちょうど宮地嶽神社の「光の道」のシーズンでもあり、福津市内では関連のスイーツフェアも開催中。お散歩がてら津屋崎千軒でお雛様巡り、いかがでしょうか?

津屋崎千軒のおひなさま2025

2025年の1本目-映画『ゆきてかへらぬ』を観てきました。

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2025年の1本目-映画『ゆきてかへらぬ』を観てきました。

わたしにとっての毎年この時期の一大イベント(!?)「確定申告」が提出できたので、映画館に足を運んできました。2025年の1本目は、邦画『ゆきてかへらぬ』です。

「ゆきてかへらぬ」は、中也の詩のひとつに付けられたタイトル。

中原中也「ゆきてかへらぬ」

「中原中也」と聞いて、映画の中身をよく確認せずに観に行きました。ふたを開けてみれば、主役は中原中也ではなく、その恋人であった女優・長谷川泰子だったのかな、と。とはいえ、詩人・中原中也と、女優・長谷川泰子と、評論家・小林秀雄、ほぼこの三人による「三人芝居」でした。三人の熱量がそれぞれに素敵で、実に見応えがありました。なかでも泰子を演じた広瀬すずさんが、ものすごくよかったです。わたしはこれまで広瀬姉妹ではどちらかといえば「広瀬アリス派」だったのですが、この映画を見て「広瀬すず」の凄さに目を開かされました。

そして、画がとても美しかったです。京都の景色も東京の景色も、全編通して時代の空気感が漂うセピア調の色彩で、どっぷりとその世界観に浸ることが出来ました。登場人物三人の芝居がかった物言いも、いかにも時代を感じさせるもので良かったです。草刈民代、トータス松本、柄本佑ら、脇の名優たちが、「え?それだけ?」というような短い時間での登場であるのも面白く。深い余韻が残り、期待を大きく上回る素晴らしさでした。帰宅後はさっそく、中也の詩を本棚から引っ張り出し(笑)。

↑この詩集の帯の裏側に、角川ソフィア文庫から、長谷川泰子本人による『中原中也との愛 ゆきてかへらぬ』なる本が出ているのを発見。今まで、まったく目に入っていませんでした(汗)。そのうち気が向いたら読んでみようと思います^^

まずは今年の映画1本目。もともと映画館では洋画ばかり観ていたのですが、昨年あたりから邦画を観る機会が増えています。最寄りの映画館で上映される本数自体も、邦画>洋画という感じで、きっとハリウッドでのストの影響が続いているのだろうな、と思いつつ。おかげで邦画にも目が向いたので、これはこれで良いことですね。次はもう観たいものが決まっているので、封切りが楽しみです^^

映画『ゆきてかへらぬ』

花祭窯の如月(きさらぎ)の庭-春の到来に備えて準備を整える。

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花祭窯の如月(きさらぎ)の庭-春の到来に備えて準備を整える。

二月は気温の低い日が続きました。今日からようやく少し気温が上がりそうで、ホッとしているところです。これから暖かくなって植物たちが動き出すのに備えて、花祭窯の小さな露地も、ガーデナー・造園家のガーデンアルテさんに入ってもらいました。だいたい1年に1回の頻度で、プロに整えていただくようにしています。昨年はやはり2月頃に「そろそろお願いしないとね」と思いつつ、うっかり4月になっていたので、その反省を生かして早めに依頼。

花祭窯の如月の庭

花がほぼお終いのサザンカもすっきり。

花祭窯の如月の庭

ずいぶんと上に高く伸びていたサルスベリやザクロも、すっきり程好い高さに整いました。

花祭窯の如月の庭

こうして見ると少々寂しいですが、これからここに緑が増えてきます。

花祭窯の庭 ジンチョウゲ

ジンチョウゲも毎年しっかり花をつけてくれます。もう少ししたら香ってきそうです。

読書『暗殺者たち』(新潮社)黒川創著

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読書『暗殺者たち』(新潮社)黒川創著

先月読んだ黒川創さんの『この星のソウル』がとても興味深かったので、図書館で著者名検索をかけて、本書を借りてきました。

本書は「日本人作家がロシアで大学生への講義として語っている」という形で成り立っています。最初から最後まで口語体。その文体のやわらかさが、わたしにとっては少し難解だった内容を、読みやすくしてくれました。前回読んだ『この星のソウル』は1890年代あたりを中心として、現代につながるお話。本書は1900年頃を中心としたお話で、やはり現代の語り手による近代史。発刊されたのは本書の方が早くて2013年発売となのですが、わたしとしては、『この星のソウル』を先に読んでいたことが、本書を読みやすくしてくれたと感じました。

伊藤博文暗殺、大逆事件の幸徳秋水とその周りにいた人物たち、夏目漱石などの名前が出てきます。本書もまた近代における日本と朝鮮半島・韓国との関係や、中国、ソ連との関係を、小説ならではの方法で覗き見ることのできるものでした。実際の事件を語るのに、文学作品を例に引き出しながら描かれるのが、興味深かったです。日本であれロシアであれ、本を書く人の政治的な思想や信条が色濃くその作品に反映される時代。その時代に限らず、そもそも「本を書く」というのは、フィクションかノンフィクションかを問わず、そういうことなのかもしれませんが。

新潮社のサイトでの紹介ページのなかに、著者・黒川さんと作家・四方田犬彦氏による対談が掲載されているのですが、そのなかで著者が「語られている個々の事実は、すべて資料的典拠を示せるファクト」とおっしゃっています。そのうえで「ここから大きな一つのフィクションをつくりだすこともできる」と。そういえば過去にNHK大河ドラマになった『西郷どん!』を書いた林真理子氏が、「事実と事実の間にあるもの、とくに何をどう言ったか、というセリフの部分は自由に作ることができるから、そこにいかに想像力を働かせることができるかが書き手の力量」というようなことをおっしゃっていましたが、まさにそういうことなのでしょう。

日本の学校教育では自国の近代史をおろそかにし過ぎているという議論はずいぶん前からあるものではありますが、今回も、自身を省みて、知らないこと理解できていないことがあまりにも多いと気づかさる読書でした。黒川創さんの作品、また少しづつ読んでいきたいと思います。

『暗殺者たち』(新潮社)黒川創著

今年の茶道南方流「初伝披露懐石茶会」は2月開催でした―料理係2年目。

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今年の茶道南方流「初伝披露懐石茶会」は2月開催でした―料理係2年目。

毎年春の一大行事である茶道南方流の「初伝披露懐石茶会」。南方流の茶会は年に5回行われますが、なかでも一番エネルギーが必要なのが、この懐石茶会だと感じています。いつもは3月開催の懐石が、今年は2月で、ときおり雪の舞うなかでのお茶会となりました。

お炭手前からはじまり、お料理の給仕、濃茶点前、薄茶点前まで。一席で二時(ふたとき)=約4時間かかり、このようにフルコースでのお茶席を行っている流派は、最近はあまり無いと聞いています。南方流に入門しているからこそ体験できる、貴重な学びの機会です。

さて不肖ワタクシ、昨年から料理係を仰せつかり、あたふたしながらも先生・先輩方のご指導により、今年も務めさせていただきました。懐石料理の献立は昔から決められたものがあり、この献立を継承していくのも、入門者の大切な勤めのひとつです。下の写真はその献立。昨年撮ったものです…今年は気持ちに余裕が無く、写真が1枚もありません。

お懐石

前日の準備からお茶会は始まります。が、実はその前から着々と先生方が準備を進めてきてくださっていて、わたしたちはその最終段階をお手伝いさせていただいているに過ぎないと気が付いたのは、自分が懐石で亭主を務めてからようやくのことでした。

前日の準備では、お漬物を切ったり、含め煮用のシイタケに切り込みを入れたり、蒲鉾を刻んだり、葉蘭をとってきたり、手が足りなさそうなところを見つけては、駆け寄って行ってお手伝い。当日はお料理の盛付のお手伝いやら、飯器とご飯の管理やら、洗い物やら…「目の回るような忙しさ」という言葉が頭に浮かびました。

そんななかでも、にこやかに皆さんとコミュニケーションをとりながらの仕事は、とても楽しく、とにかく学ぶことが多いのです。2日間を終えて帰途に就くときには疲労感のなかに爽快感があり、ちょっぴりハイな状態でした(笑)。

ただ今回は、個人的にお茶席での反省がものすごく大きかったです。初めて立礼席に入ることになり、しかも末客にご指名いただきました。立礼席でのお茶会も初めてなら、末客の経験も少なく、自分にその役が回ってくると思っていませんでした。結論から言えば、末客の務めをきちんと果たすことが出来ず、グダグダ。そして「立礼が初めて」とか「末客の経験が少ない」というのは、言い訳に過ぎないと、自分自身が一番わかっているだけに、同じ席の皆さまに申し訳ありませんでした。やさしくその場で指導してくださった先生には心より感謝です。

立礼だろうとなんだろうと、ふだんのお稽古の時から、末客のする仕事を進んでお稽古したり、お茶会のときに末客の方がどのようにふるまっておられるかを観察したりしていたら、ここまでひどいことにはならなかっただろうな、と。「見ている」つもりでも、自分にその役が回ってきた時にそれが所作として再現できなければ、ダメですね。日ごろの姿勢が見えてしまいました。

そんなわけで、自分のことにいっぱいいっぱいで、今回初めて懐石茶会に参加したという方に質問されたときに、ちゃんとしたお返事を返すことが出来ず、申し訳ない気持ちでした。わたし自身が初めて参加したときには、まったく何もわからない状況のなか、皆さんがいろいろ教えてくださったからこそ、安心して席に入ることが出来たのです。自分がしていただいたことを、あとから入った方にちゃんとお伝えすることが出来なくて、自らの未熟さを痛感するお席となりました。

郷育カレッジ「宗像の歴史巡り(宗像大社編)」に参加して参りました!

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郷育カレッジ「宗像の歴史巡り(宗像大社編)」に参加して参りました!

福津市民のための生涯学習システム「郷育カレッジ」。郷育カレッジの講座のなかでも、地元の歴史ものは、安定した人気があります。そのなかでもさらに人気の高い、松本肇先生による現地訪問型の講座に、久しぶりに参加することが出来ました。日本考古学協会員であり、世界遺産となった沖ノ島の調査メンバーであったレジェンド・松本先生の講座は、いつも大盛況です。

世界遺産 『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群

13時集合、市のバスで宗像大社まで移動した後は、宗像大社本殿、高宮祭場、二の宮、三の宮、神宝館とまわり、海の道宗像館を見学してお終いの、約3時間のコースです。当日は、空気は冷たかったもののそれほど風は無く良く晴れて、参詣日和となりました。それぞれの場所での史跡・史料に関する解説はもちろん、松本先生が実際に調査に入られたときのちょっとしたエピソードの数々がとても面白く、あっという間に時間が経ちました。何度も足を運んでいますが、やはり高宮祭場の静謐な空気感は圧巻です。

宗像大社 高宮祭場

わたし自身、久しぶりの訪問となった宗像大社神宝館は、前回訪問した時よりもさらに展示工夫が凝らされ、展示室が暗くなったような気がしました(気のせいかも…)。展示資料の一点一点に焦点を当て、スペースを広くとった展示方法は、それぞれの資料への注目を高めてくれますが、昔の、雑然と大量のお宝が並んでいた展示状態を知っているわたし的には、「国宝8万点」を擁する割には見れる数が少なくて残念、という感想がよぎってしまいます。ともあれ、金の指輪や、ミニチュアの織機や、ミニチュアの五弦の琴、唐三彩の欠片、奈良三彩の小壺など、目玉の役割を果たす資料の数々がわかりやすく見やすいのは良いことですね。何度見ても見応えがあり、館を出るときには満足感に満たされました。海の道宗像館では、大きな画面で沖ノ島の映像を観ることが出来ました。

松本肇先生の講座は、先生の軽妙なトークが、受講生への一番の贈り物です。人気講座なので参加は毎回抽選になっており、来年受講できるかどうかはわかりませんが、来年も必ず申し込みたい講座のひとつです。

一年を通してちょっとづつでも、自分で野菜を作ることが出来たらいいな、と。

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一年を通してちょっとづつでも、自分で野菜を作ることが出来たらいいな、と。

少し前に目にした文章で、「巳年の今年は、新しいことを始めるのが吉!まだ何も始めていない人は、とりあえず身近なことからでいいからチャレンジを」というようなものがありました。どのメディアで読んだのか、誰が書いた文章だったのか、覚えていないのですが(笑)。

昨年、プランタで野菜づくりをしたところ、とっても楽しくはあったものの収量は微々たるもの、という感じでした。トマトの苗やらを買い込んだ時に、種苗やさんで「YouTubeでいろんな人が、プランタ栽培の方法をレクチャーしているので、探してみてください。かなり役に立ちますし便利ですよ!」と教えてくださったのですが、仕事で必要な以外にはYouTubeを観る習慣のないわたしとしては、なかなかそれが出来ず(言い訳です^^;)。その結果、冬野菜などは、ほとんど大きくならないまま胃袋に入る、という結果になってしまいました。

出来ればもう少し収穫できたら嬉しいな、という思いを持ちつつ、「野菜をつくる」はわたしにとっては仕事ではありませんから、楽しいのが一番。義務のようになってしまっては、本末転倒です。本を読むのは好きですが、こと畑に関しては、読んだことを実践に落とし込むのはなかなか難しく、YouTubeで調べて取り組むのもわたしには向かないとわかり。そんなときに、造園家であり自らも畑で野菜を作りハーブの専門家でもある友人が「1年を通して畑の作り方・野菜の作り方を、一緒にやりながら教える講座」をはじめると聞き、参加することにしました。

昨年のうちに見学と説明に参加し、今年に入って実際に畑デビュー。まずは「畑の畝をつくる」からスタートです。作業としては、畝をつくる前に、まずは畑となる場所を平らにならすことからでした。日ごろパソコンに向かって仕事をしていることが多いので、青空の下、鍬を担いで土に向かうのは、なかなかに爽快です。練習用の畑の広さは約2×2メートル。コンパクトだからこそ、慣れない作業にも疲れすぎず、成果が目に見えやすく、わたしには程好い感じです。

佐賀の山の中に暮らしていた時も、小さな畑は作っていましたが、なにもかもが我流=ほぼ放ったらかし。その結果、良く育つものと、まったく育たないものがはっきりしていました。プロに並走してもらうことで、「ちょっとしたコツ」を習いながら進んで行けそうです。例えば畝づくりで道具を使うにも、力任せではなく、使う人にも道具にもやさしいやり方があるとわかったのは、第1回目で具体的に学んだことでした。

もうひとつよかったのが、同じタイミングで畑を習う人たちが、数名いらっしゃること。一緒に学ぶ人がいるというのは、なんとなく心強いものですね。聞けば既にまあまあの面積の家庭菜園を何年もしていらっしゃる方もあり、「まだ思ったように収穫できていないから習いに来た」とおっしゃっていました。家庭菜園の規模であっても農作業は奥が深く、いくらでも学ぶことが出てきそうです。とりあえずわたしは、ちょっとでも食卓に自分の作った野菜を載せることが出来たらいいな、という感じで、この先も進捗具合を報告して行きたいと思います^^

令和6年度デザイン開発ワークショップ第5回目―PR動画と小冊子の完成に向けて。

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令和6年度デザイン開発ワークショップ第5回目―PR動画と小冊子の完成に向けて。

福岡県の新事業支援課の事業のひとつ「デザイン開発ワークショップ」。昨年11月からスタートしたワークショップも、昨日で5回目が終わり、来月が最終回となります。前回(4回目)から今回まで約ひと月の間に、サンプル制作していた小冊子の見直しをし、昨年から構想していたPR動画第一弾も編集の最終段階を残すのみとなりました。今のところ及第点の進捗具合(あくまでも自己評価ですが…)なのは、やはりワークショップの機会を最大限に生かしたいから、そこに間に合わせようという意識が働くからであり、「仕事を見てくれる人がいる」ありがたさを感じています。

おかげさまで、小冊子、動画ともに大枠は決定し、あとは細部を詰めて仕上げていく段階です。わたしにとって前年度のワークショップは、「考え方としてのデザイン」「デザイン思考」的な部分でのブレスト機会であり、考え方を煮詰めていくのが主目的となっていました。それに対して今年度は、商業デザインに強く、知識と経験の宝庫である専門家の先生方から、具体的実践的アドバイスを頂くことがメインになっています。これは先生方としてもおそらく最も腕を振るえる分野であり、惜しみなく微細にわたるアドバイスを頂いているので、ほんとうにありがたい限りです。

北九州のワークショップグループは、2時間の予定をほぼ毎回(ときに大幅に)超えてしまいます。それは、各参加企業の取り組みへのフィードバックをきちんとしたいという先生方の気持ちの表れであり、ほんとうにありがたいなぁと思います。帰り際にワークショップを統括する先生が「参加する企業さんの売り上げに結びつかなければ意味がないので、そこを目指して頑張りましょう」とおっしゃってくださったのが、とっても嬉しかったです。

来月は最終回。利益を呼び込む成果物をきちんと仕上げられるよう、頑張ります!

読書『ロブスター』(角川書店)篠田節子著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『ロブスター』(角川書店)篠田節子著

いつものカメリアステージ図書館新刊棚から、「あ!篠田節子さん」と、久しぶりの名前を見つけて手に取りました。篠田節子さんといえば『女たちのジハード』です。というか、冷静に考えてみたら、わたしはその一冊しか読んでいなかったかもしれません。ただその一冊が、当時の我々世代の働く女性にとっては、共感を誘いインパクトが大きかったのでした。

さて本書『ロブスター』。角川書店の公式サイトでの紹介文では「私は人生の終着点を見つけてしまった 生と死の尊厳に迫る優しく美しい一冊」とまとめられています。たしかに美しさが漂う一冊ですが、わたしにとっては、若い主人公と一緒に自らの未熟さを突きつけられるような、なんとも苦い読後感が残るものでもありました。紹介文の末尾にある「人生の本質や、生と死の尊厳を、外から判断できるのか」の問いかけが重い本です。

主人公は若いフリージャーナリストで、物語のところどころで、「古い時代の」ジャーナリストから投げかけられた「裏をとったのか」の問いかけが、彼女の脳裏によみがえってきます。それはそのまま、読者への問いかけとなり、自分の目で確かめることなく、二次情報三次情報を鵜呑みにすることの怖さと、その状態がまん延してしまっていることへの警鐘が全編に流れています。そして人がなかなか思い込みから抜けだすことが出来ない怖さや、何の得も無くても「話を聞いて欲しい」その一心だけで嘘をつけるという弱さも。現在わたしたちが生きているすぐその先、あるいは既に、本書の物語が警告する世界があることに、自らへの反省と無力感を感じました。

ポップで可愛らしさのある表紙の絵は、読後に見直すと、なんともシュールに映りました。

『ロブスター』(角川書店)篠田節子著

読書『人気建築家と考える50代からの家』(草思社)湯山重行著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『人気建築家と考える50代からの家』(草思社)湯山重行著

いつものカメリアステージ図書館新刊棚から、タイトル買い(買ってはいませんので、「タイトル借り」ですね)。久しぶりの実用書(?)です。著者は本のなかで「エッセイだと思って読んでください」的なことをおっしゃっていますが、実用に役に立つであろう本。

著者は1964年生まれということで、ほんのちょっぴり上の世代。だからこそ、「住まう」ことについて、年代的にそろそろ考えた方が良いことなど、とても刺さる内容が盛りだくさんでした。60代で建てる家を提案した「60ハウス(ロクマルハウス)」「TOFUハウス」「ぴっころハウス」など、著者がこれまでに提唱してきたという家のパターンの面白さはもちろん、実家じまいの話、二拠点生活の提案、持ち家と賃貸の考え方など、興味深いお話がいろいろ。

自営業者としては、生活の拠点としてだけでなく、仕事の拠点としての「家」をも念頭に、いろいろと考えさせられる問いかけがたくさんありました。これから10年後、20年後をどう生きるか、どう働くか。我が家は仕事と生活が密接なので、毎年立てている事業の経営指針書に、「家」の要素を取り入れていくべきだなぁと、気づかされました。ともあれこの手のことを考えるのは、未来への不安以上にワクワクが伴うものであり、この本に出合えたのは良いタイミングだったと思います。

『人気建築家と考える50代からの家』(草思社)湯山重行著