こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。
読書『沸騰大陸』(集英社)三浦英之著
いつものカメリアステージ図書館新刊棚から、表紙の写真の光の強さと鮮やかさにひかれて手を取りました。表紙の印象で写真集なのかな?と思いましたが、著者は、ノンフィクションやジャーナリストに贈られる賞をたくさん受賞なさっているルポライターさん。ルポ・エッセイです。
内容に対してまったく心構えの無いままに読みはじめ、「アフリカの現在とその背景」を突き付けられて、正直うろたえました。それでも本から目を離すことが出来ず、読み終わったときには、世界について自分は何にも知らないのだという事実が残りました。アフリカで起こっている紛争が、民族や宗教を起点とするものではなく「富」と「格差」を起点としたものであること、日本のメディアは「日本の視聴者に忖度」して報道をすること、自衛隊の派兵は「現地ではなにもできなかったといえる」こと、などなどなど。「自分は何も知らないし、わかっていない」ということを分かっていなければならないと、強く思わされる読書でした。
本文を読み終わってから表紙の写真をあらためて見れば、最初に新刊棚で手に取ったときとはまったく異なる印象が湧いてきました。中身を見ずに本を借りると、今回のように不意打ちされることがありますが、ふだん自分が意識的に選ぶものとは異なるもの、出会う可能性が低かったであろうものに出会う貴重な機会にもなっています。