読書『李王家の縁談』(文藝春秋)林真理子著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『李王家の縁談』(文藝春秋)林真理子著

正直、林真理子さんにハマる日が来るなんて、思ってもいませんでした。きっかけは『私はスカーレット』でしたので、約2年前からのことです。20代のころから知っているお名前ですから、その間ずっと文章を書き続けていらっしゃって、しかも第一線を突っ走っているということ。あらためて、すごい方ですね。

さて『李王家の縁談』。新刊の時に何かの書評欄で見て、読みたい!と思ったまま、忘れていました。先日図書館をぶらぶらしていて唐突に思い出し、「林真理子」の棚で見つけて借りてきました。「皇室の縁談」がテーマとして押し出されていますが、わたし個人的には、明治・大正・昭和の戦後までの近代史、特に朝鮮半島とのかかわりを描いたものだという印象が強かったです。それを「結婚」という視点から描いたもの。

皇族・華族という制度が、戦前から戦後でこのように変わってきたのだということ、日本における身分や階級の話は「昔の話」のイメージがあったけれど、実はつい最近まであった(あるいは現在も続いている)話だということが、迫ってきました。文藝春秋サイトでの本書の紹介では、歴史学者の磯田道史氏との対談や、著者へのインタビュー記事が載っていて、時代背景や皇室制度の補足的な知識を仕入れることができました。

第一次世界大戦から第二次世界大戦へという時代の、朝鮮半島とのかかわりでは、今年に入ってから黒川創さんの『暗殺者たち』を読んだところでした。これは「たまたま手に取った」偶然でしたが、同時代の本を続けて読むことによって、近代日本と朝鮮半島・中国大陸との関係を、少しだけ知ることができたように思います。

それにしても、やはり林真理子さんの描く「気の強い女性」は、とってもいいですね。そんな主人公の小説を、もっと読みたいと思いました。

『李王家の縁談』(文藝春秋)林真理子著