こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。
読書『バックミラー』(河出書房新社)羽田圭介著
いつものカメリアステージ図書館新刊棚より。著者名になんとなく見覚えがあるような、と思いながら手に取りましたが、初めましての作家さんです。開いてみたら、短編集。勝手に長編だと思って借りてきたので、おや、と思いましたが、読み始めたらどれも面白いというか、可笑しいというか。とにかく一気に読みました。
これまでに書いたなかから厳選したという12編は、どのストーリーも全く異なるシチュエーションながら、登場人物に対する斜に構えたような目線が見えるようで、読後感がまったく爽やかではありませんでした(笑)。読了後に開いた河出書房新社サイトでの本書の紹介文に、『令和の《没落小説》、爆誕! 日常版「滅びの美学」』と書いてあり、そうか、そういうジャンルかと思わず納得。さすが出版社さん、言いえて妙、の解説です。恥ずかしくて、切実で、どうにもならないもどかしさがあって、深刻さと笑いが同居しているというか、そんな感じです。
本書巻末に載っていた情報で、著者のことを知りました。17歳で文藝賞を受賞してデビューなさっていたのですね。その後、芥川賞も受賞しておられるということで、だからなんとなくお名前に既視感があったのかもしれません。本書は著者の初めての短編集だったということですので、今度は長編を遡って読んでみようと思いました。