こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。
読書『閉鎖病棟』(新潮社)帚木蓬生著
いつものカメリアステージ図書館から。先日読んだ『聖灰の暗号』が衝撃的でしたので、さっそく帚木蓬生氏の追っかけです。わたしが知らなかっただけで、たくさんの著書がおありだとわかりましたので、今回は蔵書検索せずに直接図書館の棚へ。「日本の小説」の「は」行の棚を眺めたところ、ありましたありました!単行本のコーナーにも、文庫コーナーにも何冊も並んでいました^^
さて『閉鎖病棟』。著者の、登場人物へのあたたかい目線に救われる読書となりました。なにかのきっかけで自分をコントロールできない状態になってしまったこと、その延長線上で罪を犯してしまったこと。閉鎖病棟に住まうそれぞれの過去はあるにしても、そこで穏やかに暮らしている姿の描写を見れば、閉鎖病棟の中と外、その間にある心理的な壁の高さが、過剰にも思えてきます。かといって、では自分のすぐ身近にある現実のことだとなったときに、自分は受け入れることができるのだろうかと考えると、自信がないというのが正直なところで、自らの勝手さを突き付けられる読書ともなりました。
小説の終盤からラストにかけての展開に、心打たれます。
山本周五郎賞受賞作という本作は、どうやら映画化もされていたようです。もしやと図書館検索したところ、DVD発見!ありがとう図書館。追ってこちらも観ようと思います。
『閉鎖病棟』のあと、同じく新潮社から出ている『沙林 偽りの王国』も読みました。小説=フィクションと断り書きをしながらも、事実に基づいた詳細な記述はルポルタージュのように読めました。地下鉄サリン事件当時、わたしは福岡に住んでいましたが、同僚が日比谷線に乗車していたこともあり(幸い軽症でした)、報道を見た時の記憶がよみがえってきます。そんなこともあって、本を読み終わってすぐの今は、平常心では語れない感じがありますので、こちらの読書記録はまた別の機会に。