こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。
読書『島原リバティ』(文芸社)タケチオサム著
いつものカメリアステージ図書館新刊棚より。両親が長崎出身で、わたし自身も中学高校と諫早市で過ごしたので、「島原の乱」や「天草四郎」は、子どもの頃から聞き覚えのあるものです。そういえば高校の体育祭での仮装行列で「天草四郎役」だった!と、思い出しました。
1637年に島原(長崎県)と天草(熊本県)で起こった「島原・天草一揆」を描いた力作。史実に忠実に出来事をちりばめ、フィクションとしてストーリーを紡いでいます。巻末の参考資料やフィールドワークの跡を拝見すれば、かなりの時間をかけて本作に取り組まれたことがわかります。おかげで、なんとなくわかったようでいた島原の乱や天草四郎が、実際どのようなものであったのか、立体的に見えてきました。百姓一揆とキリシタン弾圧への反発が結びついたこの事件は、著者があとがきに書いていたように、一揆が全国各地で頻発していた時代にあっても、地理的・歴史的に特殊な事情が重なった結果だったのだと思います。最終的に九州全域から藩主が鎮圧に参加しているのですから、すごいことです。
作中には雲仙を中心にした島原半島の地図が載っていて、長崎と熊本の間にあるその場所の様子がわかりました。もしかしたら、わたしはもともとその地理を知っているので、すんなり理解できただけかもしれませんが。上の写真は、日の出のときの写真なので暗くてわかりにくいですが、長崎本線から有明海をながめたところ。有明海沿いにもう少し西に進むと、海の向こうに雲仙普賢岳が見えてきます。海の向こうの半島をぐるりとその裏側まで回ったところに、本書の舞台である原城跡があるはずです。
出版社の文芸社さんは自費出版の会社として有名ですね。なので、もしかしたら本書も自費出版なのかな、と思いつつ読みました。著者のタケチオサムさんは、本書が最初の書籍だそうです。どのような出版形態だったのかはわかりませんが、ぜひ文庫化して生き残って欲しい本だと思いました。