2025年の映画6本目は、カズオ・イシグロ原作の映画『遠い山なみの光』。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

2025年の映画6本目は、カズオ・イシグロ原作の映画『遠い山なみの光』

年初の1本目に見た『ゆきてかへらぬ』で「すごい!」と思った広瀬すずちゃんが主演だというのと、カズオ・イシグロ原作というので、楽しみにしていた1本です。わたしが原作の『遠い山なみの光』を読んだのは、2018年の8月末のことでしたので、約7年前。本書を皮切りに、カズオ・イシグロワールドに入り込み、読みまくったのでした。上の写真は、2023年春刊行の季刊誌『kotoba(ことば)』カズオ・イシグロ特集の中の一ページ。

映画館、まず観客の多さに驚きました(笑)。これまで「ほぼ貸し切り状態」で観ることが少なくありませんでしたので、観客が10名以上いると驚いてしまいます。7月に観た『国宝』のときも、人が多くて「おお~!」となったのですが、これは予想の範囲内。が、今回は予想外。わたしも含めて、カズオ・イシグロファンがたくさん来ていたのでしょうね。定員125名に対して半分近く席が埋まっていたように思います。そういえば、数年前にカズオ・イシグロ氏が脚本を書いた映画『生きる LIVING』のときも、まあまあ人が入っていたことを思い出しました。嬉しいですね。

さて映画『遠い山なみの光』。長崎のお話です。「長崎原爆、戦後、女性の語り」という点で、少し前に読んだ吉田修一さん著の『ミス・サンシャイン』は、テーマに類似したものを感じます。『遠い山なみの光』原作をもう一度読み直してから映画に行こうかとも考えたのですが、そうすると原作との違いにばかり目が行ってしまうかもしれないと思い、曖昧な記憶のままに映画を観ました。広瀬すずちゃんも良かったですが、今回わたしの目を引いたのは、二階堂ふみさん。佇まいに脆さと凄みを感じました。ストーリーの展開は、「ああ、そうだった」というところと「あれ、そんなふうだったっけ」というところと。やはり原作を読み直さずに観てよかったと思います。

観終わってから思い出したのが「そういえば、カズオ・イシグロの本に出てくる語り手(登場人物)は、信用してはいけないのだった」ということ。その特徴を、映画の脚本は上手に取り入れていたように思いました。鑑賞後に、想像力を働かせることを要求される映画でした。

それにしても、このところ邦画が続きます。わたしがふだん足を運ぶのがイオンモール内にあるTOHOシネマだから、というのも大いにあると思いますが、邦画人気の高さを肌で感じる今日この頃。そろそろ洋画も観たいところです。