ロンドン出張備忘録 December 2025番外編-機内にて映画5本。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

ロンドン出張備忘録 December 2025番外編-機内にて映画5本。

12月。今年も「映画館で観る」をあまりできなかったなぁ…という反省を抱えていたところに、国際線機内での片道13時間ほどを活用して映画鑑賞ができました。いずれも過去年の作品ですが、往復各3~4本を観ることができて大満足!のなかから、特に面白かった5本をピックアップ。

キングスマン・ゴールデン・サークル(2017年)

ロンドンに行くのだから、まずこれでしょう!と勝手に決めた1本目。映画『キングスマン』の続編ということで、そもそも1作目から観ていませんでしたが、そのうち観たいな、と思っていたシリーズです。期待通りの痛快さ、お洒落さで、大満足。キングスマンの本拠地であるテーラー(スーツの仕立屋)のモデルとなっているお店は、ロンドン・メイフェアにあるらしいのですが、確かにその周辺にはテーラーだけでなく、靴、傘とステッキ、カバンなど、紳士の「お誂え品」をつくるお店が並んでいます。SLADMOREがあるセントジェームズストリートのエリア(上の写真はその一角です^^)も同様で、映画の中の世界と重なり、とても楽しめました。

生きる LIVING(2023年)

2023年の劇場公開時に観に行った1本です。黒澤明監督の名作を、カズオ・イシグロが脚本を書いてリメイクされた話題の映画。劇場で観てとても良かったので、もう一度。映画がスタートしてすぐに、ピアノの美しい音色が耳に留まりました。へぇ、こんなにきれいな音楽が流れていたっけ、と、映画館で観たときはあまり印象に残っていなかったことに驚きました。自分の意識がどこに向いているかで、同じ映画を観ても見えるもの(聞こえるもの)が変わってきますね。映像は全編を通して美しく、やはり良い映画でした。

イタリアは呼んでいる(2015年)

英国人中年男二人による、イタリア縦断グルメ紀行。コメディです。思わずプッと吹き出してしまうシーンがいくつもちりばめられ、滑稽さをまといながらもさりげなくお洒落な主人公二人は観ていて飽きず、面白くも切ないというか、切なくも面白い映画でした。イタリアの景色の美しさ、食べるシーンだけでなく作るシーンも目に楽しい、おいしそうな料理の数々、そして中年男二人の掛け合い漫才のような会話。個人的に、かなり気に入った映画でした。大きいスクリーンで観たら、景色の見ごたえがあっただろうな、な1本。

ダージリン急行(2008年)

監督はウェス・アンダーソン。最近何か観たような気がする、と調べたら、2022年に観た『フレンチ・ディスパッチ』が、ウェス・アンダーソン監督作品でした。この監督はこんな風なのですね。本作はジャンル分けするとコメディになるのだと思いますが、なんともいえないシュールさと、時折盛り込まれるバカバカしさが、中毒性を感じさせる映像でした。主人公の三人兄弟がそれぞれに抱える、家族・兄弟に対する愛憎というか葛藤というか、の描かれ方が絶妙でした。好き嫌いはありそうですが、わたしにはとても面白かったです。

アメリカン・フィクション(2024年)

コメディ映画と評されています。たしかにコメディというかブラックユーモアな要素が盛りだくさん。人種差別・LGBTQなど現代の社会問題を主題に描いた映画でした。観はじめてすぐに頭に浮かんだのは、少し前に読んだ、小説『ハックルベリー・フィンの冒険』を皮肉った(?)『ジェイムズ』でした。「白人が期待する黒人像」というテーマは、小説『ジェイムズ』が舞台とした時代(奴隷制度のあったころ)から現代まで、結局なにも変わっていなのか、と。『ジェイムズ』が刊行されたのも2024年ですので、そういうことを声を上げて言える社会になってきた、ということなのかもしれませんね。

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こうして振り返ると、コメディばかり観ていることがわかりますね。というわけで、映画館に足は運んでいませんが、今年の鑑賞記録がグーンと伸びた機内映画でした^^