読書『あなたについて知っていること』(集英社)エリック・シャクール著/加藤かおり訳

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『あなたについて知っていること』(集英社)エリック・シャクール著/加藤かおり訳

いつものカメリアステージ図書館新刊棚から借りてきた一冊。図書館の貸出期間が2週間なので、2週間以内に1回の頻度で足を運んでいます。新刊棚からの選書は、前情報無しで博打的に借りてくることがほとんど。借りる前に表紙裏や裏表紙に載っている著者紹介は確認するものの、家に帰ってページを開いてみないと内容がわからない面白さがあります。期待に対して「当たり外れ」はあるのは大前提ですが、これまでのところ肌感覚的には「当たり」の方が圧倒的に多いです^^

本書もそんな「大当たり」の一冊。エジプト・カイロを舞台とした物語の登場人物は、わたしの知らない文化的背景を持った人たちです。1961年~2001年と時代を追って記されていて、わたしが生まれたのは少しあとではありますが、重なっているところも多いにもかかわらず、本書もまさに「わたしの知らない現代史」を垣間見ることができるものでした。不思議な二人称で語られるストーリーは、最初なんとなく違和感を感じながら読みましたが、その二人称語りに慣れてきたころに、語り手の存在が明らかになるという、思いがけない展開。

切ない物語でした。登場人物それぞれの立場から見たら、それぞれに「あの人が悪い」「あの人のせいで」と責めを負うべき相手を決めることができるのかもしれないけれど、読者として眺めると「仕方がなかった」としか言いようのない出来事・事態が積み重なっていきます。登場人物たちは特別に魅力的であるというわけではないけれど、なんとか味方をしたいという気持ちになるのは、不思議な感覚でした。

本書がデビュー作だという著者は、カナダのフランス語圏に生まれ、エジプト人の両親を持つということで、自身のルーツに迫る物語なのかもしれません。本書は会社員としての仕事をしながら約15年をかけて書き上げたとのことでしたので、次作がいつになるのかはわかりませんが、密かに楽しみにしたいと思いました。

『あなたについて知っていること』(集英社)エリック・シャクール著/加藤かおり訳

カメリアステージ歴史資料館 令和7年度企画展「新原・奴山古墳群と古環境」を見てきました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

カメリアステージ歴史資料館 令和7年度企画展「新原・奴山古墳群と古環境」を見てきました。

ご近所複合文化センターのカメリアステージ歴史資料館。カメリアステージ図書館の1階にあり、コンパクトな展示エリアながら、空調管理のできる特別展示室を備えた資料館です。毎年、その年の発掘調査の報告展示があったり、研究成果をテーマ展示にしてくれたりする、とても身近で嬉しい場所です。今年も今年度の企画展示がはじまりました。

テーマは「古環境」。世界遺産の関連遺産群の構成資産である「新原・奴山古墳群」の保存整備を進めていくためには、古墳の立地場所の自然環境整備が必要であり、自然環境整備のためには、土壌の自然科学分析を行い古墳時代の自然環境推定をする必要があるという、その調査研究成果の一部を公開してくださっています。まあまあマニアックさを感じるテーマですね。

まず最初の展示ケースに並んだ、古墳時代の木器の立派な姿に驚きました。木でできたものが整った形のまま出土するのは、よほど周辺環境が保存に適した状態であった場合であり、希少なことです。思わず「すごい!」と声を出してしまいました。あれはぜひ、たくさんの人に見て欲しいです。会場に設置されていて自由に持ち帰ることのできる「展示解説書」に掲載されている、発掘現場の自然科学分析の結果を眺めていると、つい先日読み終わったばかりの『土と生命の46億年史』を思い出しました。発掘しているのは5~6世紀の古墳ですので、46億年史から見ればスケールがまったく違いますが、「土」からアプローチする考え方に、なんとなく重なるものを感じた次第。

カメリアステージ歴史資料館での発掘調査報告展示が嬉しいのは、単純に古いものへの興味関心というよりは、ふだんの自分の生活圏に歴史の姿が立ち上がってくる面白さがあるからです。「あそこはそんな場所だったのね!」という楽しみが生まれます。

古墳好きの方、福津・宗像方面お越しの際は、ぜひカメリアステージ歴史資料館にもお立ち寄りくださいね。