読書『絢爛の法』(新潮社)川越宗一著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『絢爛の法』(新潮社)川越宗一著

久しぶり?の読書記録。いつものカメリアステージ図書館新刊棚から借りてきた一冊です。先週借りてきた本の顔ぶれが、気が付いたらどれも重厚な感じで、図書館から借りている2週間でぜんぶ読み終えることができるかしら…と、少々焦りつつ、時間をかけて読んでいます。本書も全624ページの大作です。

さて『絢爛の法』。毎度のごとく、情報無しでなんとなく手に取りましたが、大当たり。幕末から明治維新、明治憲法の制定と議会制民主主義へと踏み出す怒涛の時代を、「井上毅」という法制官僚を主人公として描いています。この時代のいわゆる有名人、西郷隆盛、江藤新平、大久保利通、伊藤博文、大隈重信、岩倉具視、山形有朋などは、わき役として登場。それぞれに強烈な個性を持った登場人物たちに対して、これまで抱いていたイメージをひっくり返されるようなエピソードストーリー満載の、日本近代史(フィクション)でした。なかでも、大久保利通と伊藤博文の、小説内での在り方がとても興味深かったので、もっといろんな小説でこの人たちのことを読んでみたいと思いました。

憲法改正議論が現実的に進みつつある今、本書を読むことができたのは、わたしにとってはグッドタイミングでした。明治維新のあと、憲法を作ろうともがいてきた人たちの想い。本書には「自然法」という言葉が何度も登場します。自然法は「何人をも害するなかれ」という言葉に集約される、いわば人類普遍の正義であり、「法律は人を守るためにある」というシンプルなもの。ところがその普遍の正義を明文化して運用させるには、シンプルどころではない過程と調整と犠牲を強いられる(強いられた)、というのが、本書でのストーリーであったと思いました。

「人を守るためにある」思いを込めて作られた法律が、いかにして骨抜きになり、思いもよらない方向へと導かれるその論拠となってしまうのか。憲法に基づく民主主義が平和な社会(世界)を実現するという思いは絵空事なのか、ストーリー後半に向かうにつれて、民主主義の主体たる国民の責任を感じさせるシーンも数多く登場し、考えさせられました。川越宗一さん「初めまして」でしたが、とても読みごたえがありました。また一人、追っかけるべき著者を見つけてしまいました。

『絢爛の法』(新潮社)川越宗一著