教育普及学芸員の師と仰ぐ齋先生の言葉に、身の引き締まる思いがしました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

教育普及学芸員の師と仰ぐ齋先生の言葉に、身の引き締まる思いがしました。

わたしが博物館学芸員資格課程に挑戦したのは、40代に入ってからのことでした。大卒資格(学士)を持っていましたので、佛教大学の通信課程に三年次編入し、二年間の学習と試験、博物館での実習、卒論を経ての課程修了。大人になってからの学び直しを考えるとき、大卒の学士があると、このように三年次編入で専門分野を学べるケースが多いので、とても便利ですね。通信でしたが、博物館実習にかかる実技と講義では、京都北野にある佛教大キャンパスを拠点に、各分野の教授たちから10日間ほど朝から夕方まで対面で学びました。

通常博物館実習は、1つの館に滞在して学ぶスタイルですが、わたしが佛教大に在学したときは、特別に複数の館で学ぶスタイルでした。京都~奈良にある、歴史系・仏教系・産業系・美術系と分野も異なれば、国立・府立・市立・私立・学校附属と運営母体もさまざまな館のバックヤードを訪問し、それぞれの学芸員さんからお話を聞くことができたのは、かなり珍しく贅沢な実習だったと思います。ただ「ゼミ」的なものが無く、卒論もガッツリ指導教授が就くというものではなかったため、資格取得に至るまで、専門的分野での「師匠」と呼べる存在がありませんでした。

そんなわたしにとって「師匠」と仰ぐ存在と出会えたのは、九産大の緒方泉先生率いる「博物館学芸員技術研修」への参加がきっかけでした。一番最初に参加したカリキュラムで、当時宮城県美術館で教育普及学芸員をなさっていた齋正弘先生に出会い、「アートエデュケーション」という概念に出会い、勝手に「これだ!この人に学ぼう!」と思ったのでした。2016年のことです。

それから、学芸員研修での齋先生の講義は毎年受講し、仙台にある宮城県美術館まで押しかけ、著書を読み込み…。

花祭窯の「陶片ミュージアム構想」に興味を持ってくださった齋先生と、雪の舞うなか津屋崎から福間・花見の海岸線を「陶片探し」で何時間も歩き回ったこともありました(笑)。

コロナ禍後は、学芸員技術研修会で齋先生の教育普及の講座が無くなってしまったため、お会いする機会がありませんでしたが、ずっと年賀状で近況報告をしておりました。その、今年の年賀状で先生が書いていらっしゃった言葉に、考えさせられたのです。

曰く、

「学芸員は世の中の変化の最先端にいる存在である。」

「困ったら基(もと)に戻る。」

齋昌弘先生の『大きな羊の見つけ方 「使える」美術の話』(仙台文庫)

思えば「美術はもっと使える」とおっしゃったのは齋先生でしたが、それは同時に「使えない・役に立たない(ように見える)ものの価値」への眼差しを持ち続ける大切さを説いていたと思います。そして「基(もと)」の大切さ。

新年早々、目を開かせられました。やはり齋先生は、わたしの(勝手に)偉大な師匠です。

今年最初の九州国立博物館は「徳川美術館所蔵 菊の白露蒔絵調度 晴れなる輝き」。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

今年最初の九州国立博物館は「徳川美術館所蔵 菊の白露蒔絵調度 晴れなる輝き」。

九州国立博物館は、新年の展示で徳川美術館の「初音の調度」をするのが恒例になっていました。毎年、ポスターやウェブサイトで展覧会情報を目にしては「すごいなぁ、観に行きたいなぁ」と思いながらも足を運べずにおりましたが、今年ようやく観に行くことが出来ました。会場は常設展示フロアの4階「文化交流展示室」内。「九博は常設がすごい!」は、わたしが常々感じ、言いふらしていることです^^

さて「徳川美術館所蔵 菊の白露蒔絵調度 晴れなる輝き」。美しい!のひとことです。なかでもわたしが一番惹かれたのが、こちら。

九州国立博物館は「徳川美術館所蔵 菊の白露蒔絵調度 晴れなる輝き」

大きな箱の中に、小さな箱が12個おさめられているというもの。その一つ一つが精緻で美しいのですから、蒐集心がくすぐられるといいましょうか、なんとも欲しくなりますね。展示されている小さな箱は11個で、ひとつ紛失したようだとの説明書きがありました。

いつもの「田中丸コレクション」の部屋でも美しいものをたくさん拝見。古伊万里は長年いろいろなところで現物や資料を見ているので、見覚えのあるものが多いのですが、今回「これ初めて見たかも」というものを見つけて嬉しくなりました。特別展の会期中では無かったので、来場者数もそれほど多くなく、ゆっくり楽しむことが出来ました。眼福眼福。

そして、今回の九博訪問で何が一番嬉しかったかと言えば、長らく空き店舗となっていたスペースに、ようやくレストラン&カフェが登場したことです。わたしが行ったのは特別展の無い平日の午後でしたが、そこそこ賑わっていました。これまでこのようなくつろげるスペースが無い状態だったことが、美術館愛好家としては懸念すべき状態だと感じていましたので、関係者でもないのにホッとしました。

昨年度は3階特別展示室のリニューアルのために販売が停止されていた「九博メンバーズプレミアムパス」が、今年は特別展「はにわ」から再開するという嬉しいニュースも。九博開館20周年記念の年なので、2025年度の特別展にも、大いに期待しているところです。

九州国立博物館

読書『おとなのOFF 絶対見逃せない2025年 美術展』(日経TRENDY)

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『おとなのOFF 絶対見逃せない2025年 美術展』(日経TRENDY)

2025年読書記録の一冊目は、本というか雑誌ですが、毎年恒例の美術展情報。この手の美術展情報誌は毎年初めに数種類出ているのですが、比較的近所の本屋さんで手に入るのが「おとなのOFF」ということで、ここ数年の定番になっています。

さっそく中身を見ていきますと、まず気が付くのは、今年は京都・大阪など関西方面の美術館博物館で力が入っているなぁ、ということ。ここ数年、大阪の美術館でリニューアルのための休館をしているところが多いな、と思っていましたが、万博開催に合わせていたのですね。と、今頃気が付きました。関西に日本の国宝が大集結するようです。

今年はゴッホやら印象派やらの展覧会が目白押しのようです。日本に限らないことかもしれませんが、ゴッホも印象派も、根強い人気ですね。そんななか、本書で紹介されていたなかで個人的に気になった展覧会ベスト5(順不同)は次のとおりです。

  • 西洋絵画、どこから見るか?-ルネサンスから印象派まで サンディエゴ美術館vs国立西洋美術館(国立西洋美術館、京都市京セラ美術館)
  • 異端の鬼才-ビアズリー(三菱一号館美術館、久留米市美術館)
  • ブルックリン博物館所蔵特別展 古代エジプト(森アーツセンターギャラリー)
  • 絵金(サントリー美術館)
  • 九州国立博物館20周年記念 特別展 九州の国宝 きゅーはくのたから(九州国立博物館)

そして、展覧会内容に関わらず、個人的に今年こそ足を運びたい館ベスト5(順不同)はこちらの顔ぶれ。

  • 泉屋博古館京都本館
  • 大阪市立東洋陶磁美術館
  • 大阪中之島美術館
  • 大阪市美術館
  • 福田美術館

足を運びたい館は、みごとに関西方面に集中しました(笑)今年は大阪での藤吉憲典の個展がありますので、それに合わせてひとつでも回ることが出来たらいいな、と。それから九州国立博物館が20周年なので、こちらもきっといろいろと企画があるはずで、楽しみです。2025年も素晴らしい展覧会と出会えますように^^

『おとなのOFF 絶対見逃せない2025年 美術展』(日経TRENDY)

博物館学芸員研修「オンライン語り場」―「恐れず弟子をとれ!~博物館の最コアユーザーの育成~」に参加しました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

博物館学芸員研修「オンライン語り場」―「恐れず弟子をとれ!~博物館の最コアユーザーの育成~」に参加しました。

2016年からお世話になっている、九州産業大学の緒方先生が責任者を務める博物館学芸員のための技術研修会。令和6年度も文化庁「大学における文化芸術推進事業」連続講座・オンライン語り場が開催されました。今年度のテーマは「地域の子ども、若者を支えるミュージアム活動」。最終回は、沖縄市立郷土博物館の主任学芸員さんからの報告でした。

以下、備忘。


  • 師匠はいますか?弟子はいますか?
  • 「もの」を中心に、時間・空間・こと・人とつながる(つなげる)。
  • 「恩師」との出会い。
  • 引き継ぎたい時間の流れ。
  • 背中を見せる・追いかける。
  • 子どもの「体験格差」。
  • 格差を縮小させることができる、公的施設での体験。
  • 博物館の理念に共感する「コアユーザー」。
  • 近隣施設との協力。
  • イベント参加者ではなく、「調査隊員」。
  • レポート(観察報告記録)を書くことで、より観察力が増す。観察力が増すと、レポートもよりレベルが上がってくる。の、好循環。
  • 単なる体験イベントではなく、科学的な成果も残す。上がる。→論文の発表、成果の共有(動画など)。
  • 科学者・研究者とは?-大学の研究者じゃなくても、在野でもできる!
  • 学校に行けない子たち→博物館へ!!
  • 来館者(弟子)も、学芸員(師匠)も、笑い合える場所。
  • 同じ方向性を見つめ、師の作った道の延長線上に、さらに道を進めること。
  • こんな仕事もあるよ!を示せる大人。
  • いろいろな場所に、それぞれに「師匠」が存在する。
  • 次の世代へ、の想い。空回りも多いけれど。

「恐れず弟子をとれ!~博物館の最コアユーザーの育成~」沖縄市立郷土博物館からの報告より


沖縄市での、子どもの教育環境に見られる問題点の提示からスタートした、今回の報告。「体験格差」の言葉が頭に浮かびました。経済的なゆとりが無いと、子どもに習い事や旅行などの体験をさせることが出来ないというのは、世の中がある程度豊かになったからこそ生まれた事態だとは思うものの、やはり切ないです。

公的施設である美術館博物館は、家庭での経済状況に関わらず、館に来る子どもたちに「体験」を提供できる場所です。その機能を最大に生かすことで「経済的な格差≠体験格差」を掲げていくことが出来る場所し、そうならなければならないと思いました。美術館博物館には、お金をかけた習い事や旅行などにも匹敵するような体験を、来館者に提供できるポテンシャルがあると信じています。

また参加者の自由な意見交換の場である「語り場」からは、芸員さんの立場の不安定さについての話がでました。日本の文化・教育行政の大きな課題ですが、現状がこうである以上、そのなかでいかに道を拓いていくかをそれぞれに考えて行くしかありません。報告者さんのお話のなかで「在野の研究者」という言葉が出ており、同様に「在野の学芸員」もアリなのです。もちろんそのなかで、いかに収入を得るかという問題は大きなものですが、現にわたしはフリーで動いているので、難しさと同時にたくさんの可能性・選択肢があることも感じています。これからは学芸員の在り方も、もっと自由になるように思います。

一番上の写真は、わたしが勝手に師と仰いでいる、齋正弘先生の著書。

博物館学芸員研修「オンライン語り場」―「不登校児童生徒を支える博物館活動」に参加しました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

博物館学芸員研修「オンライン語り場」―「不登校児童生徒を支える博物館活動」に参加しました。

2016年からお世話になっている、九州産業大学の緒方先生が責任者を務める博物館学芸員のための技術研修会。令和6年度も文化庁「大学における文化芸術推進事業」連続講座・オンライン語り場が開催されています。今年度のテーマは「地域の子ども、若者を支えるミュージアム活動」。今回は、福岡県北九州市にある「いのちのたび博物館」さんからの報告でした。いのちのたび博物館というのは通称で、正式名は北九州市立自然史歴史博物館。北九州市は、美術館も博物館も動物園も充実しています。もともと製鉄で栄えた一大産業地ではあるものの、斜陽となったのちも、文化的な社会教育施設が維持され機能している、その理由が垣間見えるような報告でした。

以下、備忘。


  • MT(ミュージアムティーチャー)と学芸員の協働。
  • MTは、来館者や学校と、博物館をつなぐ役割を受け持つ。
  • 北九州市教育委員会が提唱するセカンドスクール事業。
  • 「博物館は第二の学校」
  • 学校では得られない知識習得や体験活動。
  • 「未来へのとびらオンライン授業」
  • 教育委員会主導→博物館施設への依頼。
  • 博物館からオンライン授業を中継して、学習への興味を。
  • 展示解説+クイズ+質問コーナー。
  • チャット(匿名性・発語ではなく入力による会話)の良さ。
  • オンライン=自分が安心して居られる場所から参加できる安心感の確保。
  • 博物館授業に参加することによる新たな発見・知的好奇心の高まり・探求心や意欲の向上→外界への意識の高まり・「行ってみたい」行動の喚起。
  • 事後アンケートにより児童・生徒の振り返りを促す:質問項目の作り方への工夫。

以上、北九州市自然史歴史博物館「不登校児童生徒を支える博物館活動」より

  • 教育委員会との連携、学校との連携、横のつながり。
  • 声をかけてもらえるような関係づくり、取り組みのアピール。
  • 学校教育のなかでは埋もれてしまう子どもたちが、安心して居れる場所・活躍できる場でありたい。
  • 社会包摂。
  • 多様な窓口、多様な切り口を作る→発信。
  • 図書館に続け!

以上、語り場(ルーム6)より


今回も学びの大きい90分でした。ご一緒させていただいた皆さま、ありがとうございました!

郷育カレッジ講座『「切り貼り絵(コラージュ)」作りで自分発見』を開講してきました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

郷育カレッジ講座『「切り貼り絵(コラージュ)」作りで自分発見』を開講してきました。

福津市民のための生涯学習システム「郷育カレッジ」で、今年も「コラージュ」の講座を開催いたしました。タイトルは『「切り貼り絵」作りで自分発見』。令和6年度の郷育カレッジの特集テーマは「郷育カレッジでパワーアップ~新しい自分を見つけませんか~」で、わたしのコラージュ講座もそのなかのひとつです。

郷育カレッジで担当している美術鑑賞の講座とともに、美術分野の講座ですが、同時に「心身の健康」を目指した内容にしています。コラージュ制作を通じて、自分の内側を可視化し、客観的に受け入れていくことで、心のリフレッシュを図る。わたしはこのワークショップを「Meet Me at コラージュ(=コラージュ制作を通じて自分に出会う)」と名付けています。

ここ数年続けていて感じることは、同じ「郷育カレッジ」という枠のなかであっても、参加なさる方々によって、その講座の雰囲気がずいぶんと異なる面白さです。今年は作業開始からすぐに、活発な雰囲気が会場内に広がるのを感じました。

コラージュ作品をつくるにあたり、皆さんがいかに自由に取り組むことができるか、そこを促すのが講師としてのわたしの一番の仕事だと思っています。参加者の皆さんがさまざまな発想をして取り組んでおられるのを見て、とても嬉しくなりました。出来上がった作品は、どれもそれぞれに個性がにじみ出ていて、拝見して楽しいものばかり。1時間足らずの作業時間でも、しっかりと表現が形になっていて、素晴らしかったです。

そして今回は、出来上がった作品についての想いや感想を共有する「分かち合い」のグループワークが、各グループともとても盛り上がっていたのがまた良かったです。どのテーブルでも、会話をしては深くうなずき合う皆さんの様子が見えて、嬉しかったです。

参加者の皆さんが、今回のコラージュ制作を通じて少しでもすっきりした気分になっていたらいいな、と思いつつ。いつも講座準備をサポートしてくださる福津市郷育推進課の職員さんにも、心より感謝です。

読書&ワーク『ウィリアム・モリスのぬり絵』株式会社エクスナレッジ

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書&ワーク『ウィリアム・モリスのぬり絵』株式会社エクスナレッジ

読書記録という位置づけは少々微妙ではありますが、ぬり絵本。心身の健康を回復するのに、アートと美のツールキットが大いに頼りになることを再認識させてくれた本を読んだのは、この夏のことでした。

読後、この中で登場した「アート的活動」のなかでも、最も手軽に誰でもが取り組めるであろう「ぬり絵」に興味が湧いてきました。同様のツールとしてわたしがずっと使ってきているのは「コラージュ」手法ですが、ぬり絵もまたそれに匹敵する手法になり得ると確信。まずは自らその効果を体感してみないことには、皆さんにお伝えすることも出来ませんので、さっそくぬり絵にチャレンジしてみることにしたのでした。

日本で「大人のぬり絵」のブームに火がついたのは、おおよそ10年前。主には中高年層向けの「脳トレ」のひとつとして流行り、あっという間にたくさんの「大人向けぬり絵本」が出回りました。わたしも自分で試して見るにあたり、まずネットで調べてみたところ、大量にヒット。こんなにたくさんあるならば、実際に見て選んだほうが良いと思い、大型書店に出向いたところ、そこにも結構なスペースを割いて大人向けぬり絵本コーナーがありました。

本書は、そのなかから購入してきた数冊のうちの一つです。様々なタイプのぬり絵本があるなかで、毛色の異なるものを数冊手に入れましたが、自分がほんとうに気に入ったものでないと、積極的に「ぬり絵をしよう!」という気にならないものですね。そういうことも含めて、今後アートエデュケーションのプログラムに採用するための肝を探求しつつのぬり絵チャレンジでした。

ぬり絵、幼少期以来です。大人のぬりえブームは知っていましたが、これまで手に取ることがありませんでしたので、とても新鮮です。色鉛筆を握り、塗り始めると、楽しいとか面白いとかいう感情を自覚するよりも先にのめり込み、ぬり絵作業に没頭する自分を発見することが出来ました。この「没頭」がまた、とても良いようです。色の選択も、わたしは全体のバランスなどほとんど考えずに、直感的に色鉛筆を取ることを意識したため、「どんな風に出来上がるやら」と思いながらでしたが、出来上がってみたらそれほど変な色彩にはなっていませんでした。これはウィリアム・モリスのデザインならではの結果かもしれませんが、良い発見でした。

体験してみた結果を一言で言ってしまえば、ぬり絵、面白いです。近々、ぬり絵を核にしたアートエデュケーションのプログラムも完成できそうですが、そのような鯱張った言い方をせずとも、興味を持った皆さんには本屋さんで自分の気に入るものを探して、日常的に側に置き、気が向いたら塗ってみる、という風に楽しんでいただけるのが良いところ。わたしにとっては、ウィリアム・モリスの美しくパターン化された図案は、とってもフィットしました。

『ウィリアム・モリスのぬり絵』株式会社エクスナレッジ

福津市民のための生涯学習の仕組み「郷育カレッジ」来年度のカリキュラム検討がスタートしました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

福津市民のための生涯学習の仕組み「郷育カレッジ」来年度のカリキュラム検討がスタートしました。

福津市民のための生涯学習の仕組み「郷育カレッジ」。福津の「ひと、もの、こと」を題材に、ふるさと、健康福祉、環境、生きがいなど、さまざまな分野の講座を開催します。令和6年度も7月の開講式からスタートし、令和7年3月までに100講座の開催を予定しています。現在、ほぼ半分のカリキュラムが終了したところです。上の写真は、近年の講座のなかでも人気の「ふくつ散歩」シリーズに参加したときのもの。

福津市公式サイトの郷育カレッジ紹介ページ

そして、来年度に向けてのカリキュラムの検討が、そろそろスタートです。講座では毎回簡単なアンケートを受講者の方にお願いしていて、そのアンケート結果や、郷育カレッジの運営委員と福津市郷育推進課の担当スタッフが実際に講座に出た実感、その時にチェックした受講者の方々の印象や実際におっしゃっていた言葉、講師の方からのフィードバックなどを反映させつつ、来年度以降の講座をどうすべきか検討していきます。

来年度の講座スタート時期から考えると半年以上も前からの検討になりますが、実際にカリキュラムが決定してパンフレットとして刷り上がるには、遅くとも今年度内には大枠が決定していなければなりません。毎年の仕事ですが、秋になり会議がスタートすると「いよいよスタート」という感じがいたします。

市民の皆さんに喜んでいただけるもの、ぜひ知って欲しいこと、そして一番大切なのは、郷育カレッジでやる意味のあること、を講座として構成することです。巷には市民向けの文化講座を展開する事業者さんもたくさんありますので、なぜ「公」の郷育カレッジでやるべきなのかは、とても大切な要素となります。より有意義な学びの機会を提供できるように、しっかり検討して参ります。

まずやる、あとで直す―思いついたことを、まずは形にするべく動いてみる秋です。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

まずやる、あとで直す―思いついたことを、まずは形にするべく動いてみる秋です。

アート作品の貸し出し事業を準備中です、とアップしたのは、ちょうど一週間前のことでした。こちらは現在、保険会社さんから動産保険についての質問事項回答待ちの状態。ここがクリアになったら、あとは規約を完成してスタートです。

続いては、「アートカード」を活用した教育普及プログラムを検討中です。秋はいろいろと思いつきやすい季節なのかもしれません。先日受講した博物館学芸員技術研修で、アートエデュケーションツールとしての「アートカード」の可能性が広がり、まずは実際にカードを作ってみることに決定。現在、デザインを起こしている最中です。

調べてみると、国立系の博物館をはじめ、学校向けの教育普及プログラムとして、アートカードを活用している館が、けっこうあることがわかりました。アウトリーチ(出前講座)、貸し出し教材としても、人気があるようです。調べているなかで、カード実物を使うものだけでなく、「デジタルアートカード」なるサービスを展開している会社も発見。画面上で活用できるものです。デジタルアートカードを導入している館の取り組みもいくつか見てみました。スマホやタブレットなどの端末さえあれば、いつでもどこでも利用できることや、物理的な制限が無いので、何人もが同じタイミングで一斉に使うことができるのが、良いところ。ただわたし個人的には、実際に手に取って使うことのできるアートカードの魅力に軍配が上がりました。

善は急げで「カード」を制作してくれるところがあるものかと調べたところ、これまた、あるのですね。印刷会社さんのなかに、「かるた」や「トランプ」や「タロット」などのカードを制作する会社をいくつか見つけることが出来ました。一般的な印刷物との違いは、1つのデザインを複数枚印刷するという前提ではなく、デザインの異なるカードをセットで印刷すること。ある印刷会社では、1セットを54枚までと設定し、1セット当たりの印刷料金が決まっていました。セット数が増えれば、その分1セット当たりの金額が安くなる仕組み。

花祭窯のアートカード。こちらも出来上がり次第、ブログでご紹介いたします。一番楽しみにしているのは、わたし自身です^^

博物館学芸員研修会の連続講座-第3回「来館者に寄り添う鑑賞の『処方箋』」に参加しました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

博物館学芸員研修会の連続講座-第3回「来館者に寄り添う鑑賞の『処方箋』」に参加しました。

今年度の講座がスタートしました!とブログに上げていたのは、9月末のことでした。1回目2回目とリアルタイムでのスケジュールが合わず、開催後日アップされたYouTubeで講座の様子を拝見し、ようやく第3回にリアルタイムでの参加が出来ました。Zoomや動画の活用が当たり前になった昨今とはいえ、このように後追い参加をフォローをしていただけるのは、ほんとうにありがたいことです。

「ミュージアムと地域住民のつなぎ方を考える」をテーマに設定された連続6講座の第3回目は、鹿児島市立美術館さんの前野耕一先生からの取り組み報告でした。

以下、備忘。


  • 処方箋=作品を味わうための仕掛け。
  • 博物館浴によるレジリエンス(回復)効果。
  • 美術館を楽しむ=所蔵品を楽しむ。
  • 「鑑賞」に焦点のあった企画展。
  • 比べてみれば:気づきを言葉にする。2点1組での鑑賞による効果。
  • 見るを楽しむ:作品に設置された「問い」を頼りに鑑賞する。自分なりの意味や価値に気づく、言葉にする。
  • 小学校の図画工作授業の学習指導要領をもとに企画を考える→「能動的」な鑑賞。
  • 利用者(利用予備軍)の「困りごと」に対処←当事者に聞く。
  • 心理学者アビディル・ハウゼン氏の「感受性の段階」を根拠にしたプログラム→段階を上げていく。
  • 「アートカード」で鑑賞ポイントを学ぶ。
  • 自主的に使える教材の配置。
  • 教材の使い方動画を流す。
  • アートカード+問い
  • 課題:一人一人の課題に対して、それぞれに合った処方箋をどのように提供するか。
  • アウトリーチ教材としてのアートカード。
  • 視覚化する、言語化する。

講座終了後にまず決めたのは、花祭窯のアートカードを作ろう、ということ。藤吉憲典作品をモデルにしたアートカードは、美しいものが出来上がる確信があります。アートエデュケーション現場での活用イメージがどんどん湧いてきました。出来上がったらこちらでもご紹介いたしますね。どうぞお楽しみに。