大牟田~柳川-お墓参り、大牟田市動物園、ともだちや絵本美術館、御花、立花家資料館。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

大牟田~柳川-お墓参り、大牟田市動物園、ともだちや絵本美術館、御花、立花家資料館。

ここ数年足を運ぶことができていなかった、ダンナのお父さんのお墓参りに行ってまいりました。梅雨空が続くなか、奇跡的に終日雨が降らず、うっすらと陽射しさえ見えた一日でした。最近の活動を墓前にご報告。「あなたの息子は、かなり頑張っていますよ」と、「おかげさまで、あなたの遺してくれた『書道』が生きていますよ。ここからもっと生きてきますよ」と、「だから、楽しみに見守っててくださいね」を伝えました。ダンナのお父さんは早くに亡くなっているので、実はわたしはお会いしたことがありません。遺してくださったものを通して、存在を実感するばかりです。

墓前への報告が済んだら、恒例の「大牟田市動物園」です。12月のロンドンでのクリスマス・ショウに向けて新作の制作に入るダンナ。リスザル、ゴマフアザラシ、クジャク、カンガルー、キリンなどなど、恒例の楽しみにしていた面々に会えました。現在、大牟田市動物園では整備計画を実施中ということで、工事計画・実施中のエリアには動物がおらず、そこはちょっぴり寂しかったですが、新たに整備が完了するのを楽しみにしたいと思います。

大牟田市動物園のなかには「ともだちや絵本美術館」なる美術館が誕生していました。こちらは初訪問。令和3年10月に、動物園が開園80周年を迎え、そのタイミングでのオープンということです。美術館内の「えほんギャラリー」がちょうど展示入れ替えで見ることができなかったのはとっても残念でしたが、動物関連を中心とした絵本の数々が子どもの目の高さに展示されたホールは、親子連れがゆっくりできる配慮が行き届いていて、とても良かったです。親子連れがゆっくりできる空間は、広い世代に対して優しい空間になりますね。えほんギャラリーは次の機会を楽しみにすることに。

続いては「柳川藩主立花邸御花」へ。「文化財に泊まる」をテーマに2025年1月に新規オープンした宿です。立花家の邸宅としての御花の歴史は、江戸時代1738年にさかのぼり、料亭の御花のはじまりは1925年から。柳川の観光資源としても有名でしたので、佐賀に住んでいた時からずっと知ってはいましたが、柳川はいつも通り過ぎるばかりで、今回が初訪問となりました。素晴らしい宿泊体験となりました。まずはチェックイン後夕方から文化財ツアーがあり、館内を解説付きで案内していただくことができました。所要時間は30分ほどで、簡潔に、立花家と御花の歴史、経緯を知ることができ、わかりやすくてとても良かったです。滞在中の決まった時間内は、宿泊者は自由に文化財である館内を見て回ることができるので、ツアーのあとに、自分のペースであらためて観て回ることができたのが、とても贅沢でした。

今回のツアー、ラストの訪問先は「立花家資料館」。御花の敷地内にあります。実はここの展示内容が、素晴らしく見ごたえがあり、ちょっとびっくりしました。資料で「大名文化」という言い方をしていましたが、まさに、言いえて妙と感じました。今回拝見したなかでは特に、婚礼調度品の素晴らしさに感激し、人形の面白さに脱帽しました。雛人形のお道具の数々に唸り、御所人形、加茂人形の剽軽な佇まいに大騒ぎしてまいりました。小さいものに込められたセンスと技術、最高です。約5千点の収蔵品をお持ちとのことですので、あたりまえですが、展示してあったのはほんの一部であり、ほかにもこのようなお宝があると思うと、ワクワクします。これはときどき観に行かねばなりません。

実はダンナの藤吉家には、その昔「立花家の家臣だった」という言い伝えがあったらしく、嘘か本当かわからないといいつつ、柳川の城下にはたしかに「藤吉」という地名もありますので、なんらかの縁があるのは確かなのかもしれません。上の写真は、柳川城下の古地図に「藤吉」の名前を探すダンナ(笑)。ともあれお義父さんの墓前に近況報告ができてひと安心の、大牟田~柳川ツアーでした。

大阪万博視察・その3-大屋根リング、スタッフの皆さん、その他雑感。

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大阪万博視察・その3-大屋根リング、スタッフの皆さん、その他雑感。

開場2時間前にゲート前に到着したおかげで、もちろん2時間待ちはしたものの、9時5分には会場内に入っていました。全体的に西ゲートのほうが空いているという情報は得ていたのですが、バスだと時間が読めないかもという不安があって、最初のパビリオン予約時間(9時半)に確実に間に合わせるべく、地下鉄を使いました。朝早かったこともあって、梅田からの御堂筋線も、本町からの中央線も座ることができたというラッキー。

入場までの待ち時間は、思いのほか早く過ぎました。というのも、折り畳み椅子に座って朝ご飯を食べたりしていたので(笑)。またセキュリティスタッフの方々が、随時必要な情報やタイムスケジュール、これまでの入場のときに起きたトラブルや、どうしたらスムーズにいくかなどの経験談を、マイクを通して伝えてくれたのが大きかったです。ユーモアを交えながらの説明に、皆笑顔で聞いていました。こういう時は、命令口調ではないほうが受け入れられやすいですね。おかげで、混雑にありがちなとげとげしい雰囲気は一切無く。これは凄いことだなぁと思いました。

最初のパビリオンが、入場した東側とは反対側の西側でしたので、すぐに大屋根リングに上り、リング上を西側まで移動しました。ほとんどの皆さんが、目的のパビリオン目指して地上を走って行かれたので、それに巻き込まれないようにした対策です。大屋根リングの上は案内スタッフの方以外はほとんど人がおらず、朝の爽やかな風が海から吹いて、とても気持ち良かったです。おかげで、会場の景色を上から眺めながら、ノンストレスでスムーズに目的地まで歩いていくことができました。

トイレ問題は、万博経験者の方々から「行きたくなる前に、気が付いたら行っておいた方が良い」とアドバイスをいただいていましたので、意識がそのように向いていたと思います。あちらこちらに設置してあって、「トイレが見つからない」ということはまったくありませんでしたし、わたしが使ったところは、幸いなことに、数人待ちはあっても、混んで大行列というところはありませんでした。これは給水スポットも同じで、手持ちのマップと、現地の「現在地図」を見れば、最寄りの給水スポットをすぐに見つけることができました。またちょっと迷うことがあっても、周りをぐるっと見ると、必ず視界に入るところにスタッフがいて、聞くことができました。

この「視界に入るところに、必ずスタッフがいる」というのが、とても素晴らしかったです。「わからない!」と思ったら「あの人に聞こう」とすぐに聞けるのですから、広い会場で不安になったり無駄足で疲れてしまったりということを、ずいぶん防ぐことができました。スタッフと一言に行っても、会場の案内係の人、掃除など環境整備の人、警備の人、各パビリオンの担当者…と、それぞれにいろいろと役割をお持ちです。が、とりあえず近くの人に尋ねると、担当が違っても「それは、あの方に聞くとわかると思います!」とつないでくださる。わたしはかなり何回もあちこちでスタッフさんを捕まえて質問していましたが、皆さんにこやかに気持ちよく対応してくださいました。「デジタル万博」を謳っていますが、結局は人よね、とつくづく感じたグッドポイントでした。

丸一日の滞在では、ピンポイントで目指したところは観ることができて満足でしたが、万博の掲げているテーマや意図を体感できたかというと、厳しいです。というのも、全体から考えれば「見ていないところがほとんど」になってしまうので、仕方のないことかもしれません。残念ながらわたしには、万博の全体像は見えませんでした。今回の万博でリピーターが増えているといわれているのは、そういう理由もあるのかもしれませんね。通期チケットをゲットして何度も足を運び、いろいろな場所を見ることで、万博が目指しているもの、全体像が見えてくるのかもしれません。

ともあれ、チケットやら予約を手配してくれた同行の友人のおかげで、大阪万博を面白く体験することができました。いろいろと考えさせられることもたくさん。現地に足を運んだからこそ見えたことが、てんこ盛りでした。

大阪万博視察・その2

大阪万博視察・その1

大阪万博視察・番外編

大阪万博視察・番外編-「竹中大工道具館」に行ってまいりました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

大阪万博視察・番外編-「竹中大工道具館」に行ってまいりました。

今回の大阪出張は、万博の視察がメインイベントでした。前日入りでしたので、毎回出張時のミッションにしている、美術館博物館訪問を検討。万博に合わせて、京都・奈良の国立博物館と大阪市美術館では国宝を集めた特別展が開催されている、というのはもちろん知っていたのですが、今回は混雑するところは万博だけで十分…ということで、別の場所を選択。ずっと行きたいと思っていた「竹中大工道具館」に、ついに行ってまいりました。博多から新幹線に乗り、新大阪の一つ手前の新神戸駅で降りて、歩いて3分ほど。駅からすぐ近くの便利な場所です。

竹中大工道具館は、ご存じ関西拠点の大手ゼネコンのひとつ竹中工務店さんが、「大工道具」を民族遺産として収集・保存・研究・展示する目的で、1984年に開館なさったものです。新神戸駅の建物は、2014年に移転したものとのこと。上の写真の見事な門構えに、思わず「おおー!」と声が出ました。当日は霧雨がずっと降っていたのですが、雨の景色を見れてラッキー!とさえ思わせる美しい佇まいでした。中に入れば、見事な建築としつらえと展示の数々に、ワクワクどきどき。ずっと居たくなる空間でした。

竹中大工道具館

展示内容のすごさもさることながら、展示方法の種類・工夫がすごいです。

竹中大工道具館

引き出し式の展示ケースは、わたしのあこがれ。見事でした。

竹中大工道具館

茶室がどのようになっているかを見ることができる、スケルトンの実物大模型。靴を脱いで茶室の中に入ることができるのが嬉しいですね。写真左奥の壁の向こう(裏側)には、ちゃんと水屋もありました。

竹中大工道具館

展示室から外に出ると、小径の奥に休憩室がありました。これまた美しく落ち着く空間で、ゆっくり庭を眺めつつ、一休みすることができました。

お目当てだったミュージアムグッズの「カンナのキーホルダー」は、残念ながら売り切れで、人気が高くて入荷してもすぐ完売してしまうということで、今回は「木槌のストラップ」をゲット。カンナのキーホルダーリベンジも含め、また足を運びたいと思いました。

竹中大工道具館

そして、これは翌日万博会場に行って知ったのですが、大阪万博会場のシンボルである大屋根リングは、実施設計・施工・監理に竹中工務店さんも入っておられたのですね。知らずに竹中大工道具館に行っておりましたが、図らずもグッドタイミングな組み合わせでした。

大阪万博視察・その2-パビリオン訪問、お食事、予約と待ち時間など。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

大阪万博視察・その2-パビリオン訪問、お食事、予約と待ち時間など。

イタリア館を訪問した後は、腑抜けのようになりましたので、あとは同行してくれたお友だちに一任です(笑)。次はお昼過ぎに「日本館」。移動時間を考慮しても少し時間がありましたので、近くにある「コモンズD」館へ。すでに万博に足を運んだお友だちのレポートで、何人もの方がこの「コモンズ」シリーズがかなり楽しいとおっしゃっていたので、実は楽しみにしていたのです。

コモンズDは、25か国が参加。一つ一つのブースは広くはないけれど、それだけに各国が自国の「イチ推し」をアピールしていて、特色がわかりやすく興味深かったです。なかでもわたしが一番「おおー!」と思ったのが、岩塩のパキスタン。床も壁もオブジェも岩塩で出来ている幻想的な空間でした。入り口で迎えてくださった、その国の方であろうスタッフさんに「運んでくるの、たいへんだったんじゃないですか?」と尋ねると、「潮風に乗って、ここまで来ました」とユーモアを交えたお返事。こういうコミュニケーションの楽しさがまた、良かったです。「コモンズD 岩塩」などのキーワードでググると写真がたくさん出てきますので、興味のある方は探してみてくださいね。

さてコモンズDは次の予約時間までに回り切れず、半分以上を見逃したまま日本館へ。予約を入れると、確実に見れるという良さがある反面、時間に縛られるという不自由さもありますね。その日本館は、予約時間に到着してすぐに受付してもらえたものの、そこから館内に入るまでに長蛇の列ができており、30分以上待たされました。予約の上に待たされる…でも日々改善を繰り返しているようで、スタッフの皆さんの心配りが素晴らしかったです。日本館は「循環」をテーマにしたゾーンづくり。「藻のキティちゃん」と「火星の石」が目玉のようでした。キティちゃんはかわいかったけれど、個人的には、意図がよく理解できなかったかな、というところ。訪問前の予習と、訪問後の復習があると、より理解が深まるだろうなと感じました。わたしはといえば、勉強不足でした。

次の予約までに少し時間があるので、その間にお昼ご飯を食べることに。ランチ難民になりたくないと思いつつ、せっかくだから海外のお国柄を感じることができるような食事にありつきたいと思っていたところ、すでに14時近くになっていたからか、比較的すんなりアフリカのレストランに入ることができました。お値段は、もちろん万博価格。イタリアのサンドウィッチ1600円にも驚きましたが、アフリカのランチセットは、お野菜たっぷりの具材がかかったクスクスにハイビスカスのジュースがついて3900円也。美味しかったです&ボリュームたっぷりでお腹いっぱいになりました。わたしたちがレストランに入ったときに、ジャンベを使った太鼓演奏がちょうど始まり、観ることができたのがラッキーでした。飛び入り参加で踊り出す人があり、それがまたとてもかっこよくて、大いに盛り上がりました^^

次に予約で入ったパビリオンは「飯田グループ×大阪公立大学共同出展館」。未来の「ウェルネススマートシティ」をテーマにしていました。が、わたしの興味はといえば、会場中央に据えられた大きなジオラマ。電車も車も動いていて、夜になれば明かりが灯り、楽しかったです。ああいうものは、ずっと観ていて飽きないですね。大好きです。パビリオンが伝えたかったこととはまったく異なる目線だったとは思いますが、楽しみました。そうそう、こちらは予約のおかげで受付がスムーズだったほか、入り口から中に入るのにも、10分も待たされなかったと思います。その10分ほどの間にも、中の様子やパビリオンの概要を説明してくださる方があり、こういうサービスがあると、待ち時間も苦になりませんね。

というわけで、思いのほか長くなってしまいましたので、続きはまた次回。

↓大阪万博視察・その1はこちら↓

大阪万博視察・その1-カラヴァッジョ『キリストの埋葬』を拝んでまいりました!

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

大阪万博視察・その1-カラヴァッジョ『キリストの埋葬』を拝んでまいりました!

ここひと月ほどの大阪万博関連のニュースを見ていると、開幕前の酷評はいずこへ、というほどに盛り上がっている感じがします。かくいうわたしも、当初気になっていたのは、大阪万博=「カラヴァッジョの絵が来る!」その一点だけでした。友人から「チケットあるけど、行く?」のお誘いをいただいたのは、3月初めのこと。それまでまったく考えてもいなかった「万博視察」が、急に現実味を帯びてきて、即決で「行く」となったのでした。

すぐに日程を決めて、そのあとはパビリオン予約。チケットを持っている友人がすべて手配してくれて、とっても助かりました。「どこ行きたい?」に対して「イタリア館さえ見れたら、あとはどこでもOK」の希望を出していたところ、イタリア館の予約を取ってくれました。現在、イタリア館は人気が高すぎて予約がなかなか取れないようですが、3月初旬時点ではすんなりと予約が取れたようで、ありがたいことでした。

朝9時半からのイタリア館予約に間に合わせるには、オープンする9時にすぐ万博会場入りしていなければならない、ということで、前日から大阪入り。入場ゲート前には2時間前に到着するも、すでに長蛇の列ができていました。それでも広い入場ゲートのおかげで、オープンしてからはスムーズに入ることができ、朝一の誰もいない大屋根リングをゆっくり歩いてイタリア館に向かうことができました。

さてイタリア館。無事予約時間に入場。インストラクションの映像を数分見た後に本会場へと入ると、最初の空間では、1920年に飛行家アルトゥーロ・フェラーリンがローマから東京への初飛行に使用したという飛行機「アルトゥーロ・フェラーリンの飛行機」と、紀元2世紀の大理石彫刻「ファルネーゼ・アトラス」が出迎えてくれます。飛行機は、オリジナルの技術図面に基づいて忠実に再現したものだそうで、つくづくと天井を見上げてしまいました。天文学の巨神アトラス、人間と宇宙の関係を擬人化したアトラスは、今回のイタリア館のシンボル。1800年前にこのような彫刻が作られていたこと、それがここに運ばれてきて、現代のわたしたちが見ることができるということに驚愕します。ぐるりと一周回ってみることができるように展示されているので、あらゆる角度から拝むことができます。

そして次の間に進むと、目指すカラヴァッジョの絵画に会うことができました。バチカンが万博に参加したのは初めてのことだとか。小さく暗い空間に、絵だけがバン!とスポットライトを浴びていて、その圧倒的な存在感に、思わずこみあげてくるものがありました。皆さん遠慮してか、絵からかなり離れていたので前の方ががら空きで、絵の正面真ん前に陣取って至近距離でじっくりと拝見することができました。絵とわたしと、一対一(実際には周りにたくさん人がいましたが)で対峙することができた、素晴らしい時間でした。わたし的にはこの時間だけで充分、大阪万博に足を運んだ意味がありました。

大阪万博カラヴァッジョ

イタリア館、ほかにももちろん見どころの展示やお庭があり、素晴らしかったですが、わたしはもう大満足で、館内を回りつつひたすら絵の余韻に浸っていました。もうひとつ目玉作品とされていた、レオナルド・ダ・ヴィンチの「アトランティック手稿」の素描は、立ち止まらないように流れるよう促されていて、そこはちょっと残念でしたが、仕方がないのでしょうね。胸いっぱいになって館の外に出ると、ピッツァやジェラートのキッチンカー。ジェラートのところには大行列ができていたので、トマトとモッツァレラとバジルソースのサンドウィッチ(1600円也)を購入して、ベンチでかじりながら一休み。

イタリア館のテーマは「芸術は生命を再生する」。ご興味のある方、これから足を運ぶ方は、イタリア館のサイトにある展示内容の解説を読んでから行くと、見え方が一層深まるかもしれません。ちなみにわたしは、まっさらな状態で観に行って、帰ってきてから復習しております^^

イタリア館 – L’ITALIA A EXPO 2025 OSAKA

「美」とか「美術」とか「美学」と言いながら、おしゃれにとても疎いもので。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

「美」とか「美術」とか「美学」と言いながら、おしゃれにとても疎いもので。

若いころから「おしゃれをする」ことに目を向けてこなかった結果、この歳になって慌てることが増えてきました(笑)。一般に、おしゃれに興味を持ったり気を使ったりしだすのは、10代思春期の頃からでしょうか。10代のころから「自分の身だしなみ」について考えることをしてきた人と、50代になって「なんとかせねば」と思いはじめる人(わたし)とでは、すでに約40年の開きがあるわけです。この差は大きい!

あらためて考えてみると、ずっと長い間、わたしにとっての「美」は、自分が見たり感じたりするもの=自分の外にあるものなのでした。いわば「自分のことは棚に上げて」語っている状態ですね。美術的な仕事について25年以上が過ぎた今頃になって、そもそもその語り手があまりにも見た目にこだわらなさすぎるのはいかがなものか、説得力があるのだろうか、という疑問が頭をよぎるようになってきました。ひとつには、更年期の年頃を経て、自分自身のいろいろなことが目に見えて変化してきた、というのも現実的に大きな要因だと思います。

『美 「見えないものを見る」ということ』福原義春

そういえばわたしにとってのバイブル的な本の一冊である『美 「見えないものを見る」ということ』の著者である福原義春さんは、化粧品会社・資生堂で名誉会長まで務めた方。うーん…。

というわけで、今更ながら、いつもきれいな友人に話を聞いてみたり、女性誌のファッション雑誌を手に取ってみたりしています。これまであまりにもそういうことをしてこなかったので、正直どこから手を付けたらよいのかわからない状態(笑)。あるときには「ローマは一日にして成らず」と思い、またあるときには「始めるのに遅すぎることはない」と思いながら、「少しはなんとかせねば」とジタバタしています。義務感や焦燥感ではなく、もっと楽しんで取り組めるようになると良いのでしょうけれど、なにしろ、慣れていないのです。きっとおしゃれ上級者の皆さんは、楽しんでいらっしゃるのだろうな、と思いながら、修業は続きそうです。

今年度は全97講座-郷育カレッジ2025年度のカリキュラムが決定しました!

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

今年度は全97講座-郷育カレッジ2025年度のカリキュラムが決定しました!

福津市民のための生涯学習システム「郷育カレッジ」。福津の「ひと、もの、こと」を題材に、ふるさと、健康福祉、環境、生きがいなど、さまざまな分野の講座を開催します。昨年10月から検討をスタートした2025年度のカレッジカリキュラムは、年明けまでにほぼ確定し、パンフレットの制作に入っていました。

毎年のカリキュラム編成の検討は、かなり時間をかけて議論をしています。そのときに参考にする要素として大切にしているのが、講座内容と、受講者の方々の反応。毎回簡単なアンケートを実施していますが、アンケート用紙には書かれない反応も、たくさんあります。それらを確認するためにも、各講座での様子を、運営委員や市の職員が自らの目で確かめるようにしています。

アンケートに記されたご意見は、良いことも悪いことも講師の方にきちんと伝えます。人気の高い定番講座であっても、マンネリ化しないよう、毎回ブラッシュアップして新しい内容を盛り込んでいただくことをお願いしています。一方で、定員割れする講座であっても、伝えるべき内容であるものは、継続しています。パンフレットに載せるタイトルのつけ方や解説文の内容を、いかに市民の皆さんにわかりやすくするか、いかに講座の良さを伝えるかに、一番時間をかけているかもしれません。

新しい講座の候補が上がってくるたびにしっかり吟味するのはもちろん、年度により削減する講座も出てきます。一年間で実施できる講座数のなかで、これらの増減を調整するのも、なかなかシビアな仕事です。でも、講座数の制約があるからこそ、講座内容を精査し「今年度のカリキュラムに入れるべきもの」を選択していく過程が重要で、その結果として、少しでも受講者の方々にご満足いただけるものに、近づけていけているのだと思います。

今年度のパンフレットは、5月末あたりに配られる福津市報と一緒に全戸配布される予定です。今年度も、一人でも多くの市民の方が、一つでも多くの講座にご参加なさることを願っております。

郷育カレッジについてのお問い合わせは、福津市郷育推進課へどうぞ^^

大阪市立東洋陶磁美術館の「陶磁入門」がわかりやすくて便利です。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

大阪市立東洋陶磁美術館の「陶磁入門」がわかりやすくて便利です。

大阪万博開催に向けて、関西方面の美術館がここ数年続々と改修工事に入り、昨年あたりから続々とリニューアルオープンしています。大阪市立東洋陶磁美術館もそんな「万博リニューアル組」の一つでしたので、足を運びたいなと思いつつ、サイトチェック。館のリニューアルに合わせて、ウェブサイトも大幅にリニューアルされていました。直感的にわかりやすく、ストレスフリーなつくりになっていると思います。

大阪市立東洋陶磁美術館

なかでも目に留まったのが「陶磁入門」のメニュー。「鑑賞の手引」「地図・年表」「陶磁史」の三分野で、簡潔にやさしくまとめられています。内容が難しすぎたりボリュームが多すぎたりすることなく、基礎的な知識を知ることができると感じました。「東洋陶磁」の専門館としての切り口が、とても勉強になります。入門者向けというだけでなく、概要を確認したいときの手引きとしても、参考になりそうです。

訪問前にサイトを覗くのは、昨今あたりまえの行動パターンになりつつあります。大阪市立東洋陶磁美術館さんのサイトは、訪問がより楽しみになる情報が満載でした。ますます足を運びたくなってきました。近々行けるといいな♪

読書『美学への招待 増補版』(中央公論新社)佐々木健一著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『美学への招待 増補版』(中央公論新社)佐々木健一著

移動のお伴用にゲットした新書版。持ち歩くバッグが重くならないように(本が入ってなくてもまあまあ重いのですが)、タイトル指名買いでない場合は、できるだけ文庫サイズか新書サイズの本を物色するよう心がけています。

自分のやってきていること、考え続けていることがどうやら「美学」の範疇なのだと(かなり遅ればせながら)気づいたのは、昨年末に読んだ本のおかげでした。

せっかくなので少し掘り下げてみようと、「美学」キーワードで見つけたのが本書『美学への招待』です。「増補版」とある通り、2004年に初版発刊されたものを、2019年に時代に合わせて大幅にアップデートしたというもので、わたしが手に取ったのは、2024年10月25日付の増補版6版。初版から20年以上が経っているわけですが、まったく古臭さを感じないのは、増補=アップデートによる成果だけではなく、そもそもが根本的・普遍的なことについて書かれている本だからなのだと思いました。

以下、備忘。


  • 人間の創造性が発揮される領域として、科学と並んで藝術が考えられていた、という事実
  • 魅力とは、言葉にならないもの、感ずるよりほかにないもの
  • 藝術の領域が美にあり、その美は感性的に認識される(ドイツの哲学者 A・G・バウムガルテン)
  • 人格形成への美の影響
  • 美は物質性と精神性の融合からなる
  • 「美は体験のなかでしか存在しない」という考え方
  • 感覚とは身体の持ち分であり、判断力というような知性の働きとは正反対の事柄
  • 過去の経験の記憶や考え方のパターン、概念的な知識など、多様な要素が現実の鑑賞体験に関与し、それを重層的な和音のようなあり方のものにしている
  • 哲学的な瞑想を行う場所(museumの由来となるラテン語mouseion)
  • 美術とアートとartの違い
  • マスプロダクションとしての複製と、オリジナルをコピーした複製(の違い)
  • 生のなかの藝術
  • 空間を人間化する(イサム・ノグチ)
  • 「永遠」型の藝術
  • 永遠派と現代派
  • 藝術の価値をどこに見出すかという問題
  • 藝術における伎倆の重要性の後退
  • 「幸福の約束」(ネマハス)
  • 「人生に不可欠」(ダントー)
  • 「藝術」ももとは生活世界の一部だった
  • 見てただちに捉えられる「よさ」とは、「美しさ」を措いてほかにありません。

『美学への招待 増補版』(中央公論新社)佐々木健一著より


本書はわたしにとって入門書であり教科書的な一冊となりました。巻末には、ここから先に進みたい場合に参考になる文献一覧と簡潔な紹介文が記してあり、とても親切。少しづつ読んでいきたいと思います。

『美学への招待 増補版』(中央公論新社)佐々木健一著

2025年九州産業大学国際シンポジウム テーマは「美術館が変わる、若者が変える」でした。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

2025年九州産業大学国際シンポジウム 博物館と医療・福祉のよりよい関係 テーマは「美術館が変わる、若者が変える」でした。

今年も、学芸員研修会の年度まとめとなる、九州産業大学国際シンポジウムに参加いたしました。ここ数年の大きなテーマは「博物館と医療・福祉のよりよい関係」が続いていて、なかでも若年層や地域住民とのかかわりが、今回のテーマでした。

英国のダリッジ・ピクチャー・ミュージアムとつないでの国際シンポジウムは、ずっと続いています。発表者であるキュレーターのジェーンさんとは、コロナ禍前になる前の年度に、九産大で現地開催されたシンポジウムで一度お会いしています。定点観測的に毎年取組報告をお聞きするたびに、その歩みを止めないチャレンジへの敬意が湧いてきます。

以下、備忘。


  • How can historic paintings and old master peace speak and connect to contemporary lives and society?
  • The Past for the Present.
  • Unlock art for all.
  • Bringing art to life and life to art.
  • 「地域の人々にとって価値のあること」は、どんなこと?「自分に関係のある場所」と認識してもらうには?
  • 単に「教育」面での役割を担う場所、で終わらせないためには。
  • 「誰のストーリーを語るのか」を考えることの重要性。
  • Sending informal time in a formal place.
  • Oracle card →アートカード活用の可能性。
  • welcoming place としての galleries and museums。
  • 単なるアンケートによる意見聴取ではなく、resercherによる踏み込んだ調査と実験→フィードバック。
  • 理論と実践。
  • making place for young people
  • Museums are fundamentally for people
  • handling = making something が、making new friends につながる
  • 利用者にとって、意義のある存在であり続けるには。
  • 来館者が、自分の人生や経験とのつながりを見出したと思えるか。

2025年九州産業大学国際シンポジウム 博物館と医療・福祉のよりよい関係「美術館が変わる、若者が変える」より


今回もとても勉強になりました。ありがとうございました。

2025九州産業大学国際シンポジウム