今年の南坊忌献茶式&お茶会は、芦屋釜の勉強もあって盛沢山でした。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

今年の南坊忌献茶式&お茶会は、芦屋釜の勉強もあって盛沢山でした。

毎年四月に開催される「南方流遠祖南坊宗啓禅師献茶会」。南方流の祖である南坊宗啓禅師にあらためて感謝する機会であり、献茶のお点前を拝見できる貴重な機会であり、和尚さんから直々に『南方録』の一節をご教授いただく嬉しい機会でもあります。今年は、南方録の勉強の代わりに、芦屋釜の勉強がありました。

南方流の先生のなかに、芦屋釜の先生がいらっしゃいます。福岡県芦屋町にある「芦屋釜の里」では、1997年から町の事業として芦屋釜製作技術の継承・鋳物師の養成を行ってきています。その鋳物師養成の指導をなさってきた遠藤先生。ふだんはお茶会でごあいさつできるぐらいで、運よく一緒の席に入れたときに、少しお話をお伺いできるくらいでした。今回、南方流に伝わる「古芦屋釜」の復元にあたり、専門的なお話を聞くことが出来たのは、とてもありがたいことでした。

芦屋釜の里

芦屋釜が歴史の中で一度途絶えてしまったのは、なぜだったのか。「釜」がお茶道具のなかで、どのような存在・位置付けものであるのか。修理修復・復元を検討する際に現れた課題と、それを紐解くための文献資料等についてのお話など、とても興味深く拝聴いたしました。九州国立博物館の協力を得ての古釜の解析、そこから復元工程の地図を描き、制作・完成に至るには1年半ほどを要しておられ、その道のりのたいへんさをうかがい知ることが出来ました。

お勉強のあとは、お弁当をいただき、濃茶薄茶の残茶拝服。あいにくの雨で、露地からの席入りはできませんでしたが、雨音と新緑を感じながら、おいしくお茶をいただきました。今年も贅沢な一日でした。

読書『地球の歩き方 北九州市』(Gakken)地球の歩き方編集室

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読書『地球の歩き方 北九州市』(Gakken)地球の歩き方編集室

4月の初めに小倉(北九州市)に出かけたときのこと。

小倉駅近くの本屋さんに立ち寄りましたら、入ってすぐ一番目立つところに、本書が大量に平積みされていました。若かりし頃、海外旅行ガイドといえば『地球の歩き方』でした。その国内版の第一弾として刊行されたのが、この『地球の歩き方 北九州市』なのだとか。今年から北九州方面にご縁が増えそうな予感がしていたところにこの平積みを目にして、迷わず一冊手に取りレジに向かいました。

368ページ。『地球の歩き方』は、特集エリアによって厚さがかなり異なりますが、市町村規模のガイドとしては、そこそこ(かなり!?)厚い方なのではないでしょうか。記事を読むと、編集室の皆さんが楽しみながら、面白がりながら記事を作り上げていった感じがとても伝わってきました。そして、これがとても売れているのだそうです(笑)

総務省サイトによると、2024年4月19日現在の「本日の市町村数」は、1718市町村(北方領土除く)なのだそうです。そんなにたくさんの自治体があるなかで、北九州市が最初の一冊というのが、一福岡県民としてはなんとも面白く、「なぜ!?」という感じが無きにしも非ずも、「よくぞ!」と編集室を称える気持ちが沸き上がってきました。

読書『地球の歩き方 北九州市』(Gakken)地球の歩き方編集室

上の写真はわたしが買ったものですが、2024年2月13日の初版第1刷に対して、既に2024年3月25日第3刷。第1刷の部数が少なかったのかもしれませんが、ひと月あまりの間に第3刷って、すごいですよね。廃刊に追い込まれる紙の媒体誌のニュースが多い昨今で、これはすごいことだと思いました。

と思っていたら、なんとタイムリーに西日本新聞に特集記事が。

読書『地球の歩き方 北九州市』(Gakken)地球の歩き方編集室

やはり「大ヒット」といえる現象のようです。

行こうと思ったらすぐに出かけられる距離感の、ふだんならまず買わないガイドブック。ですが、わたしにとっても大ヒットの一冊でした^^

『地球の歩き方 北九州市』(Gakken)地球の歩き方編集室

読書『猿の戴冠式』(講談社)小砂川チト著

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読書『猿の戴冠式』(講談社)小砂川チト著

いつものカメリアステージ図書館新刊棚より。タイトルの不思議さと、インパクトのある表紙に手が伸びました。第170回芥川龍之介賞候補作だったそうですが、わたし個人的には、小砂川チトさん、初めましての本でした。

不思議な物語でした。最後の最後まで読まないと、ほんとうのところが見えてこない。いえ、最後まで読み切っても、どこまでが実際に起こったことで、どこからが脳内(妄想)で起こったことなのか、確信を持つことはできませんでした。わたしはとても好きですが、受け取る印象(好きか嫌いか)が読む人によってはっきり分かれるかもしれません。

悲痛な叫び声が聞こえてくるようであり、かといって主人公の彼女たちは、決して弱弱しいだけの存在ではなく。講談社サイトでの紹介文最初にある一文が、本書内からの引用なのですが、きっとこの本のテーマなのだろうな、と思いました。「思いました」と書いたのは、全部読み終わってもなお、著者の意図に確信が持てないからです。

「いい子のかんむりは/ヒトにもらうものでなく/自分で/自分に/さずけるもの。」

独特の雰囲気がツボにはまりましたので、図書館検索で著作を探してみました。群像新人文学賞受賞作という本を発見・予約完了。読むのが楽しみです。

『猿の戴冠式』(講談社)小砂川チト著

読書『シェフ』(東京創元社)ゴーティエ・バティステッラ著/田中裕子訳

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読書『シェフ』(東京創元社)ゴーティエ・バティステッラ著/田中裕子訳

著者のゴーティエ・バティステッラさん(声に出して読むのがとても難しい^^;)は1976年生まれ。ミシュランガイドの編集部員として働いた経歴をお餅ということで、そのキャリアが存分に生きている一冊です。

主人公は三ツ星シェフ。作中での呼び方は違うものが使われていますが、それがミシュランガイドの星を巡る物語であることは、本書のあらすじを知らないまま読みはじめても、容易に想い至るものでした。華やかでシビアでドロドロとしたフランス料理界のお話には、実在した人物の名前も頻繁に登場し、舞台裏をのぞき見しているような気分で読み進めました。

パリと地方都市の格差、料理の格付けによる差別、星を獲得した者とそうでない者との間にある明確な境界線、力を持ちすぎるメディア、厨房でのパワハラセクハラ、名声を得たがために起こる親子間夫婦間の確執…。星を維持していくことがどんなに大変なことか、星を獲得することによってがんじがらめになってしまう恐ろしさが、これでもかというほどに伝わってきました。

自分の舞台をどこに設定するのか、何を評価基準とするのか。周囲の声や風潮に惑わされずに、自分の選んだステージで道を究めようとすることは、ことフレンチシェフに限らず、重大かつ悩ましいことだよなぁと、あらためて考えさせられました。どんな分野においても、たとえ崇高な目標を掲げていても、職人(あるいはアーティスト)のプライドや承認されたいという欲求は簡単に消せるものではなく、そこに葛藤が生まれるのはあたりまえ。その苦しさが、痛いように伝わってくる読書でした。

本書は著者の三作目ということで、他の著作も読んでみたいと思います。

『シェフ』(東京創元社)ゴーティエ・バティステッラ著/田中裕子訳

九州EC勉強会で「ネットショップの動画・SNS・LINEの活用法」を学ぶ。

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九州EC勉強会で「ネットショップの動画・SNS・LINEの活用法」を学ぶ。

九州EC(九州ECミーティング)は、経営者・ECに取り組む方々が幹事となり、事業運営に役立つ情報交換・提供を行う会です。現在も完全ボランティアで続いている、稀有な勉強会組織です。今回の講師は、マーケティングコンサルタントの竹内謙礼氏。ネットショッピング黎明期から20年以上走り続け、日経MJ新聞への連載も10年以上という、経営コンサルタントさんです。

今回のテーマは「動画・SNS・LINEの活用法」でした。上の写真は藤吉憲典公式インスタグラムより。何をどう使うべきか、実践とデータに基づいた説得力のあるお話で、2時間あっという間でした。セミナーが終わったときには、何を止め、何を続け、何を始めるのか、はっきりと意思決定が出来ていました。

以下備忘。


  • 独自ドメインの存在意義←調べもの半分、買いたい気持ち半分。
  • SNS・動画の目指すゴール=「有名」にする。「ファン」をつくる。「商品力」の高さを理解してもらう。
  • 購買行動は、「知っているものを買う」or「知っている人から買う」のいずれか→お客さまにとって「知っている人」になることが大切。
  • SNS・動画を使ってできること=商品への理解度を上げる。コアなお客様を増やす。好感度を上げる。
  • FB→昔からのファンへの情報提供(現状維持)。
  • X→要らない。
  • インスタ→ファンづくり、露出、わかりやすさ。
  • YouTube→ファンづくり、わかりやすさ。
  • メルマガ→SNSからの落とし先。長くお付き合いしていくお客様のためのツール。
  • いかにプロフィールを読んでもらうか→いかにサイトに飛んでもらうか。
  • インスタ→エンゲージメント率のアップを狙う。
  • =役に立つ・ためになるコンテンツを制作。
  • =飽きさせないコンテンツを継続発信。
  • =「保存」「シェア」「滞在時間」をアップするコンテンツ作り。
  • =滞在時間アップ=例えば、1つの投稿に写真を最大(10枚)入れる。
  • =インスタを問合せの入り口に。
  • YouTube→商品の良さ・売り手の良さが伝わるコンテンツをつくる。
  • =サムネイルは重要。
  • =作家の個性をアピール。
  • =商品の特徴・他との違いをアピール。
  • =再生回数よりも、リアクション数。
  • =お客さまに理解してもらうための動画づくり。
  • SNSのノウハウは積み重ねていくことに意味が出てくるので、社外発注はNG。
  • 好きな人が専業でやるのが一番→インスタを好きになろう。
  • どれか一つに特化して取り組む=インスタ。動画→インスタ。
  • 誰かが勝手に紹介したくなるようなもの。
  • お客さまにいかに価値ある情報・経験を提供できるか。

笑いっぱなしの2時間でした。そういえば前回の九州ECも笑ってばかりだったような気がします。活気のある勉強会は、にぎやかで陽の気が会場に溢れますね。講師の方の力量に加えて、参加者の皆さんのモチベーションの高さ故でしょう。素晴らしい勉強会を企画運営してくださる九州EC幹事の皆さまに、心より感謝です。

【第108回九州EC】ネットショップの動画・SNS・LINEの活用法

再読『書くことについて』(小学館文庫)スティーヴン・キング著、田村義進訳

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再読『書くことについて』(小学館文庫)スティーヴン・キング著、田村義進訳

4月に入ってしばらく図書館に行く余裕が無く、目新しい本が手元にありませんでした。隙間時間に読む本を求めて、自分の本棚のなかから手に取った既読本がこちら。たまたま手に取ったものですが、こういうときの「たまたま」には、天の意図を感じます。スティーヴン・キングの著作ですが、ホラーとかではありません。実用書と言いましょうか、ノンフィクションと言いましょうか、です。読んだのはつい最近だと思っていましたが、もう4年以上前のことでした。

タイトルの意味する文章術の本である以上に、スティーヴン・キングがいかにして「スティーヴン・キング」になったかという自伝的な物語がまず描かれています。その人生の物語から読みとれる示唆が、とても心に響きました。

以下備忘。

  • 無駄な言葉は省け。
  • われわれがしなければならないのは、そういったものを見つけ出すことではない。そういったものがふと目の前に現れたときに、それに気づくことである。
  • ドアを閉めて書け。ドアをあけて書き直せ。
  • 信じてくれる者がいるといないとでは、ぜんぜんちがう。
  • 言葉はあくまで意味を伝えるためのものだ。
  • これからとりかかろうとしている仕事にもっとも適した道具を選ぶことだ。
  • 懸命に努力し、研鑽を積み、しかるべき時にしかるべき助力を得られたら、二流が一流になることは可能
  • 読みたいから読むのであって、何かを学ぶためではない。
  • たくさん読み、たくさん書け
  • 毎日根気よく仕事を続けるには、何よりもまわりが平穏でなくてはならない。
  • 知っていることをみんなに話せ。
  • 直感に頼る
  • 何を切り捨てるのかという選択
  • 見せることができるなら語るな

『書くことについて』(小学館文庫)スティーヴン・キング より

『書くことについて』(小学館文庫)スティーヴン・キング著、田村義進訳

ウィーン・プレミアム・コンサートで、至福の時間♪

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ウィーン・プレミアム・コンサートで、至福の時間♪

久しぶりのアクロス福岡シンフォニーホール。シューボックス型で、音響が素晴らしいと言われている、本格的音楽ホールです。前回足を運んだのは「カルメン」で初オペラを観に行った時でした。なんとそれから5年以上も経っているということがわかり、びっくり。

春になったらクラシックを聴きに行きたいな、と思っていたところに飛び込んできたのが、トヨタのメセナ(芸術文化振興事業)のひとつ、この「トヨタ・マスター・プレイヤーズ、ウィーン」でした。ウィーン国立歌劇場の協力で特別に編成された30名による室内オーケストラの演奏会です。

観劇のときは、できるだけ正面、できるだけ前の席を取りたいのですが、音楽のときはこだわりがありません。今回は、初めてこのホールに来た時(20年近く前)から、いつか座ってみたいと思っていた三階のサイドバルコニー席を取ることが出来ました。テレビで国内外のホールでの演奏会の様子を観たときに、上階のサイド席に座っている人たちがなんとなく格好よく見える、という理由で、あこがれておりました(笑)

さて演奏会。モーツァルト「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」からはじまり、アンコールのポルカまで大満足の2時間でした。しっかり聞かせる前半の2曲に、休憩をはさんで、ワルツやポルカで楽しく盛り上がる8曲、そしてアンコール。やっぱり生演奏はいいですね。なんども目頭が熱くなりました。時代を超えて演奏され続ける曲を生み出した作曲家の凄さと、それを現代のわたしたちに届けてくれる演奏家の方々の凄さ。

音楽を聞くのは好きでも知識的にはまったくの素人のわたくしは、拍手のタイミングなどは周りの皆さんに倣いつつ楽しみました。あこがれだった三階のサイドバルコニー席からは、舞台の中央にまとまっている30名編成のオーケストラの皆さんの演奏の様子は、残念ながらほとんど見えませんでした。が、席が一列しかないこと、階下を広く見渡せることが、贅沢な気持ちにさせてくれました。そんな初体験も含めて、とても良い演奏会でした。

再読書ふたつ『暦と行事の民俗誌』(八坂書房)、『和のしきたり』(日本文芸社)

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再読書ふたつ『暦と行事の民俗誌』(八坂書房)、『和のしきたり』(日本文芸社)

仕事で必要のある本は、ことあるごとに何度も読み直すことが多いです。この2冊も繰り返し開き、使ってきた本。先日、藤吉憲典の器の常連さんから特注のご相談があり、久しぶりに本書を引っ張り出してきました。

江戸時代に広がった肥前磁器に描かれた文様は、朝鮮半島や中国大陸の文化の影響のうえに日本の季節の風物・風俗が反映されて、独自の魅力を創り出しました。それらの文様は肥前磁器のはじまりから400年以上を経た今もなお、描き継がれ高い人気を博しています。文様の背景や由来を知り、意味を考えてあらたに文様を紡ぎ出すことは、現代肥前磁器作家の使命であり、それをサポートするのがわたしの仕事でもあります。

『暦と行事の民俗誌』(八坂書房)佐藤健一郎・田村善次郎著/工藤員功写真

「暦と日本人」「行事十二カ月」「祭事の民俗」の三つの章立てです。最初に「暦とは」を知る手掛かりとなる解説があり、そのうえで十二カ月の行事・祭事を読むことが出来ます。モノクロながら資料写真も豊富で楽しい本です。

◆『和のしきたり 日本の暦と年中行事』(日本文芸社)国立歴史民俗博物館教授・新谷尚紀監修

監修者が「はじめに」で、「「しきたり」や「習わし」には、世代を超えた生活の知恵や技の結晶が詰まっています。」と書いておられます。そのような視点で読むと、尚深みを感じる本。「しきたりの背景」「年中行事のしきたり」「正月のしきたり」「人生儀礼のしきたり」の4章立て。こちらも理解を促すイラストや写真がちりばめられています。

日本文芸社のサイトを見てみたら、書籍検索で出てきませんでしたので、廃刊になっているのかもしれません。同監修者による別の本が電子書籍でありましたので、ご参考まで。

絵でつづるやさしい暮らし歳時記 (電子書籍)新谷尚紀監修

これら二冊に加えて、講談社の『日本歳時記』が手元にあれば、日本の季節の行事や祭事についてサッと知りたいおおよそのことは事足ります。好い本は長く使えますね♪

「デザイン開発ワークショップ」最終日。

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「デザイン開発ワークショップ」最終日。

福岡県商工部新事業支援課さんからのご案内で、年初1月からスタートした「デザイン開発ワークショップ」。四回の連続講座も無事最終日を迎えました。会場の西日本工業大学地域連携センターは、JR西小倉駅から歩いて3分ほど。開始時間より少し早く着きましたので、小倉城周りをちょっぴりお散歩することが出来ました。思えば第1回目のときは、まだ日が短くて辺りが暗く散歩しようという気になりませんでしたから、季節の流れを感じます。

さて最終回。これまでの3回で積み上げてきたことを、いかに実現して商売として成果=売上に結びつけていくかという今後の計画の確認と、決意表明の時間となりました。花祭窯を含めた受講3社とも、第一回目のワークショップの時点でイメージしていた成果とは少々(あるいはかなり)異なる方向に目標が変化しましたが、そのこと自体がワークショップの一つの成果であったと言えそうです。

講座タイトルこそ「デザイン開発」となっておりましたが、一般的な意味での物理的デザインを本格的に検討する機会は、結局三社ともありませんでした。思考のデザインを学ぶこと、「何をどう売っていくか」「その方法をどうデザインするか」という部分に注力した4回8時間でした。

最後にアドバイザーのお一人が「三社ともぜんぜん違う業種で、ばらばらの方向性を持っていたので、最初はどうなるかと思っていましたが、それぞれに成果に結びつけることが出来そうで、良かったです」と安堵の表情をなさっていたのが印象的でした。なるほど、ワークショップの成果を求められるアドバイザーなる立場に置かれた方々にとっては、かなりプレッシャーがあったのだろうなぁと。そんなアドバイザーの方がたとの出会いも嬉しいワークショップでした。

デザイン開発ワークショップは、福岡県の事業として毎年開催されています。福岡県内の事業者さんで興味のある方は、来年度以降の機会に参加なさってみてはいかがでしょうか。

読書『そして誰もいなくなった』(早川書房)アガサ・クリスティー著/青木久惠訳

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『そして誰もいなくなった』(早川書房)アガサ・クリスティー著/青木久惠訳

このところ年度末のバタバタで(事業年度は1月-12月ですが)、図書館に行く暇がありませんでした。気がつけば「隙間時間で読む新刊本」が手元に無い事態。このような事態は久しぶりで、実際のところ読む暇もあまり無かったのではありますが、ふと手が空いたときに「読む本が無い!」と思わず叫んでしまいました。

そこに息子が差し出してくれたのが本書。2010年刊行の新訳版です。わたしが読んだのは、たしか小学校高学年の頃、アガサ・クリスティーの著書で最初に読んだのがこれだったと思います。時代が異なりますので、異なる訳者のものを読んでいるはずですし、なによりストーリーをすっかり忘れてしまっていますので、借りることに。

さて『そして誰もいなくなった』。こんなストーリーだったのね…と、ほぼ初めての感覚で読みました。個性の強い登場人物の描かれ方が面白く、このような「職業と性格」の結び付け方も、もしかしたら彼女が始めたことなのかもしれないな、などと思いました。最後の最後に謎解きを読みながら、ようやく「そういえばそうだった!」とようやく既視感を覚え、読了。

先に読んでいた息子の感想が「このストーリーのパターンって、いろんな本で繰り返し使われているよね。これが一番最初だったんだね」でした。「人里離れた場所」「集められた人が一人づつ亡くなっていく」のパターンは、つい最近映画が公開されていた『ある閉ざされた雪の山荘で』(東野圭吾原作)が、まさにそうだったようですね。わたしはこちらはまだ読んでいませんが、後世のミステリー作家諸氏にとって、アガサ・クリスティーはずっと偉大な存在なのだろうと思います。本書のあとがきに、赤川次郎氏が「永遠の目標」とタイトルする文章を寄せていて、そこからもリスペクトが伝わってきました。

ところでわたし自身は、このところアガサ・クリスティーといえば、『オリエント急行殺人事件』『ナイル殺人事件』『名探偵ポアロ ベネチアの亡霊』と、すっかり映画で観るばかりになっていました。試しにググってみたところ、『そして誰もいなくなった』は1945年に最初の映画化されていたようですね。今作ったらどうなるか、映画を観てみたいという気がします。ポアロが出てこないので、ケネス・ブラナーによる映画化は無理かもしれませんが。

『そして誰もいなくなった』(早川書房)アガサ・クリスティー著/青木久惠訳