JETRO「中小企業海外ビジネス人材育成塾」折り返し地点。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

JETRO「中小企業海外ビジネス人材育成塾」折り返し地点。

JETROの「中小企業海外ビジネス人材育成塾」がはじまりました、と書いたのは11月下旬のことでした。

先日その第3日目が終わりました。全体のスケジュールから見て、おおよそ折り返し地点。

実は、本研修に申し込んだ後に、ジェトロの研修担当者さんから、参加の意思確認をする電話がありました。一日に詰め込まれる課題や宿題の分量がかなりあること、基礎研修は全日程必修で遅刻欠席途中退席が認められないこと、宿題を含めた課題をすべて提出しないと修了が認められないこと、きちんと修了しないと本研修と並行して行われる英文ビジネスメールなどのオンライン研修の費用が発生すること(修了者は無料)…。それでもちゃんとやり遂げれますか?というものでした。

頑張ります!と答えて参加したものの、一日7時間近くデスクに張り付いて講義を受講するのは学芸員資格課程のスクーリング以来ですから、ほぼ10年ぶり。講座時間内の15分ほどでワークシートを作り上げてグループワークで共有したり、パワーポイントでのプレゼンテーション構成をその場で30分ほどで作ったり、瞬発力が要求されています。復習予習を兼ねた宿題の提出期限も短く、企業で通常業務をこなしながら参加なさっている海外担当部署の方は、かなりたいへんだろうと思います。かく言うわたしは、一日終わると大きく伸びをして腕を振り回しています。

ですが、それだけ詰め込んでいると、思考と、思考を形にしていく方法が、筋肉のようについてきているような気がします。気のせいでないと良いな、と思いつつ(笑)。そしてなにより、グループワークでさまざまな商材を持った、さまざまな業種・規模の方々のお話を共有できるので、視野が広がるのを感じます。「海外を目指す」という共通の目的を持っているので、皆さんのお話から、たくさんのヒントをいただいています。来週が年内最後の講座。しっかり宿題を作り込んで、頑張ります!

読書『セカンドチャンス』(KODANSHA)篠田節子著

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読書『セカンドチャンス』(KODANSHA)篠田節子著

いつものカメリアステージ図書館、新刊棚。いわば図書館の入り口となる階段を上った正面にあるこの棚は、上の写真で見ていただけると一目瞭然、全体から見ればとても小さな棚です。が、常に新しいものが入り、入れ替わってるので、じっくり探す余裕が無いときには、この棚で探すだけで十分に新しいもの・興味をそそるものを見つけることが出来ます。ここ数カ月、日本人作家の小説をここで見つけて読むことが増えていました。本書もそのなかの一冊。

篠田節子さんの小説を読んだのは、いつのことだったかしら…と思いつつ手に取りました。ずいぶん前に読んだような気がするのですが覚えておらず、巻末の著作一覧を見て、ああそうか『女たちのジハード』だ、と思い出しました。

さて『セカンドチャンス』。なんてことのない物語です。けれど、主人公の年齢が今のわたしと近く、性格も環境もまったく異なるのに「なんとなくわかる」ことが多く、引き込まれました。読みながら、登場人物と自分自身との共通点、知人友人との共通点が重なっていきます。50年以上の人生経験を積んできた方なら、感情移入とは言わないまでも、タイトルの「セカンドチャンス」の言葉の意味に頷きながら読むことが出来る本だと思います。

日常のなかで小さくガッツポーズをする瞬間の愛しさを思う読書でした。

『セカンドチャンス』(KODANSHA)篠田節子著

読書『ちいさな手のひら事典 クリスマス』(グラフィック社)ドミニク・フゥフェル著

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読書『ちいさな手のひら事典 クリスマス』(グラフィック社)ドミニク・フゥフェル著

今日から12月。今朝は今シーズン一番の冷え込みで、まさに冬が来た!という感じです。いつものカメリアステージ図書館で見つけた本書は、季節的にもぴったり。赤と金の装丁のインパクトに惹かれて手に取りました。

『ちいさな手のひら事典 クリスマス』(グラフィック社)ドミニク・フゥフェル著

「事典」のタイトルの通り、クリスマスについての豆知識が78項目。それぞれページ見開きで左側に解説テキスト、右側に絵、の構成です。上の写真のような感じですね。本の半分は絵が占めているわけで、パラパラとめくって「可愛い!子ども向けに良さそう!」と思いながら借りてきました。ところがなんのなんの、左側のテキストページに書いてある解説は、しっかり大人向けと言いましょうか、シニカルと言いましょうか…な感じです。実は、そこがとても気に入りました。

のっけから「その長い歴史は4世紀にさかのぼり、ローマ教皇リベリウスが12月25日を公式にイエスが誕生した日と定めました。しかし、歴史的な根拠はありません。」と、キビシメです。その他にも「クリスマスの日、子どもにプレゼントするおもちゃは、19世紀以降、お金儲けの絶好の機会になりました。」「そりをサンタクロースの移動手段にしたのは、米国の牧師です。」(『ちいさな手のひら事典 クリスマス』より)など、美しいページをめくりながら、思わずニヤッとしてしまいました。

「ちいさな手のひら事典」は、シリーズでいろいろと本が出ているようです。巻末に既刊の一覧が載っていまして、それによると、現時点では本書を含めて14冊。飾っても可愛らしいので、興味のあるテーマから少しづつ買い集めてみようかな、と思います。

英語学習の近況など。

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英語学習の近況など。

つい先日、高校生の息子が実用英語検定の2級に合格し、そろそろ「お母さん、ちょっと教えて」と言われていた立場から逆転される日も近そうです。嬉しいですね。わたしも頑張ろう!と、英語学習へのスイッチが入り直した今日この頃です。

日常的に使う教材としては、「The Japan Times Alpha」から「ENGLISH JOURNAL」へと変更した後、この夏からENGLISH JOURNALも停止しています。1冊に含まれる学習材料がとてもたくさんで充実しているのに、すべてを使いこなすことが出来ていなかったのが不本意で、まずは今手元にある号をしっかり学習してから新しいものに進もう!との考えからでした。

教材を停止してわかったことは、「定期的に次がやってくる」プレッシャーは、英語学習に向かって確実に背中を押してくれていたのだな、ということ。「使わないともったいない!」の精神が、少しの時間でもテキストを開き英文を読むという行動に駆り立ててくれておりました。そのことに気づいてしまった今、やはり何らかのテキスト購読を再開すべきなのか…という葛藤の真っただ中(大げさですが)です。

そんななか、続いているのは「英語で3行日記」と、月1回英会話のマンツーマンレッスン、そしてBBC放送を聴くこと。こうして書き出してみると、いずれも「楽しいばかりでまったくストレスにならない」のが特徴です。

先日からスタートしたジェトロさんの「中小企業海外ビジネス人材育成塾」に含まれる英語研修「英文ビジネスe-メール編」も無事終了したところでしたので、そろそろまた新しい学習に取り組むことを考える時期に来ているようです。息子から「英検準1級一緒に受ける?」と誘われ、それも一つの方法かとも思いつつ、試験は嫌かなぁとも思いつつ。

新年を迎える前に、なにかもうひとつ「楽しいばかりでまったくストレスにならない」英語学習の習慣をプラスしたいと思案中です。

博物館リンクワーカー人材養成講座『第3回「地域の生活」を美術館で展示する』に参加いたしました。

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博物館リンクワーカー人材養成講座『第3回「地域の生活」を美術館で展示する』に参加いたしました。

11月上旬からスタートした学芸員研修の連続講座「博物館リンクワーカー人材養成講座」。

その第3回目は、熊本県は阿蘇小国町にある坂本善三美術館の取り組みを拝聴しました。町内の医療・福祉分野の皆さんとの連携による活動でしたが、その活動のベースにある確固たる信念に感嘆する発表内容でした。

以下、備忘。


  • コレクション・リーディング:収蔵品を再解釈する展覧会。異分野の方をゲストに招き再解釈するシリーズ。
  • 「もの」を取り巻く、人・エピソードの面白さ。展示するのはそのすべて。
  • その人らしい生き方=暮らすことは表現すること。
  • ではあるが、そのままではアート足り得ず、見るべき価値のあるモノとして価値づけされることを通してアートとなる。
  • 足元にあるモノを拾い集める。→再編集。
  • 地域の歴史・文化から、何を発信できるか?
  • ありものの展示を持ってきて展示会にするのは安易だが、それよりも自分たちで(そこに居る自分たちにしか作れない)展覧会を作り上げることの価値。
  • 異業種の連携。(新たに仕事を増やすのではなく)日々の仕事でいっぱいいっぱいの現場が、それぞれ(美術館・医療福祉)の現場でやっていることを持ち寄ることによって実現する。

取組自体の面白さを感じるとともに、それを支える館のスタンスに感嘆しました。あるいは学芸員さん個人のスタンスでもあるかもしれませんが、ベースに「坂本善三」という揺るがない価値があればこそ挑戦できるという自覚、自館のもつ価値への再評価・再解釈を恐れない信頼が、素晴らしいと思いました。

また、そこにあるものを「見るべき価値あるもの」として価値づけること自体がアートであるという視点は、まさに現代アート的な視点だと思いました。そこにあるモノをいかに編集して観る人の前に差し出すか、これぞキュレーターたる学芸員の存在意義・腕の見せ所ですね。

というわけで、展示・取り組み内容そのものはもちろん、その背景にある取組姿勢に大きく感動した第3回講座でした。次回も楽しみです♪

映画『恋におちたシェイクスピア』-午前10時の映画祭を観て参りました。

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映画『恋におちたシェイクスピア』-午前10時の映画祭を観て参りました。

2022年の目標「月に1本は(映画館で)映画を観る!」。この11月は、月初に『アムステルダム』を観て参りましたので、二本目となりました。

『恋におちたシェイクスピア』良かったです!当初喜劇になる予定であった『ロミオとジュリエット』(最初はタイトルも違いましたが)の稽古がはじまり、ストーリーが当初予定から外れながら悲劇へと変わってゆき、演出が出来上がっていく過程の、出演者、劇場関係者の空気感の変化がたまらなく良かったです。そして、演劇を待ちわびる市井の人々の期待、熱狂。セリフのなかに名言もたくさん出て参りましたが、映画を観終わったら忘却の彼方です。

シェイクスピアの人となりについての本などはまったく読んだことが無く、果たして本当にこの映画のような感じの人だったのかはわかりません。真偽は別として、その魅力を(ダメダメぶりも)たっぷり堪能できる映画でした。久しぶりに本棚からシェイクスピアを引っ張り出して読もうかな、という気持ちになっています。

午前10時の映画祭は、8月に駆け込みで『レインマン』を観てきて、あれも見たいこれも見たい…となっていたところでしたが、ようやくの2本目鑑賞となりました。次は年明けに上映予定の『キャバレー』を観たいな、と企み中。

選書ツアーで選んだ本が到着しました!

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選書ツアーで選んだ本が到着しました!

カメリアステージ図書館の選書ツアーに参加したのは、9月のことでした。

12月頃にどの本を買い入れるか決定すると思います、という司書さんのお話でしたが、ずいぶん早くご連絡をいただくことが出来ました。今年度は1人当たり2冊しか入れることが出来ませんでした、と、電話口で申し訳なさそうにおっしゃいましたが、いえいえ、1冊でも自分が選んだ本が図書館に入るというのは、ありがたく嬉しいことです。

選書ツアーから3カ月近く経つと、自分がどのような本を選んだものか、すっかり忘れていました。今回わたしのセレクトから、図書館に入れていただけるのは上の写真の二冊。

イギリス王室1000年の歴史 新装版(株式会社カンゼン)指昭博著

『原郷の森』(文藝春秋)横尾忠則著

『イギリス王室1000年の歴史』は、写真や図(地図・年表・家系図など)が豊富で、読みやすくまとめられています。2021年発行なので、本書内ではまだエリザベス女王であり、チャールズ王太子ですが、英国を通して近現代を俯瞰するのにぴったりです。

もう一冊は、小説の形をとった、横尾忠則の芸術論。520ページの大作です。選書ツアーに参加した時期、わたしがちょうど横尾忠則の記事を執筆していたために目に留まったのですね。イラストレーター、画家、そして小説家として活躍する氏の、芸術観を垣間見ることが出来るはずです。

二冊とも、読みこむのはこれから。一人でも多くの方に図書館で手に取っていただけるよう、しっかり読んで、ポップを作ります^^

読書『「幸せの列車」に乗せられた少年』(河出書房新社)ヴィオラ・アルドーネ著/関口英子 訳

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読書『「幸せの列車」に乗せられた少年』(河出書房新社)ヴィオラ・アルドーネ著/関口英子 訳

読書記録が続きます。記録に付けていないものも含めて、このところ隙間時間にやたらと読書が進むのは、頭を使う仕事からの反動と言いましょうか、逃避と言いましょうか。読んでいるのがすべて小説の世界であることに気づけば、リラックスを求めて本を読んでいることがわかります。昨日はフランス、今日はイタリアの著者による物語です。

さて『「幸せの列車」に乗せられた少年』。第二次世界大戦後のイタリアで実際に行われていたという、南部の困窮家庭の子を北部の裕福な家庭へと一時的・避難的に連れていく活動。その子どもたちを乗せる列車が「幸せの列車」と呼ばれていたのだそうです。史実をもとに創作された物語であり、実在した人物や組織の名前が、敬意をこめてそのまま使われていたりします。

とても考えさせられるお話でした。社会における政治の役割とは何か、その担い手は誰か、誰のための政治か。ファシズムか共産党かという時代のイタリアの、現代史の一側面です。著者は1974年生まれ。イタリアナポリ生まれで、ナポリにそのような歴史があったことを知り、書かなければと思ったようです。

主人公の少年の想い、彼が成人してから向き合う母への思い。「幸せの列車」によって救われた子どもたちがいたことは、紛れもなく尊いことでありながら、すべてのケースにおいて良い事業であったとひとくくりにはできない現実の複雑さ。なにが正解かなんて誰にもわからず、そのなかでも自分の信じる活動に力を尽くすしかない、それぞれの善意。

「靴」についての記述がたびたび登場します。その靴はどんな靴なのか。足に合っているのか、自分のものではなく誰かのものなのか、履けば靴擦れができる靴なのか、ちょっと手を入れたら足にぴったり合う靴なのか。靴が暗喩するものを、考えれば考えるほどに、切なくなるストーリーです。

読書『赤いモレスキンの女』(新潮社)アントワーヌ・ローラン著/吉田洋之訳

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読書『赤いモレスキンの女』(新潮社)アントワーヌ・ローラン著/吉田洋之訳

とても不思議な読後感でした。道端で拾ったハンドバッグの中身を見て、その持ち主を探し出そうとする主人公のストーリー。ふつうに考えたら、いやいや、交番に届けようよ!と言いたくなるところです。実際ストーリーのなかで主人公は交番に届けるのですが、忙しくて手続きをする暇がないから、一度持ち帰ってあらためて持ってきてくれ、という事態になるところから、「?」ではあります。持ち帰った主人公はそれを再度届けることなく、ハンドバッグの中身を手掛かりに、持ち主を探していく…という物語。

一歩間違えば、というか、十分にストーカー的な要素からスタートするのに、それが「これほどにも持ち主(=自分)のことを一生懸命に探してくれた人がいた」という感動にも似た結果をもたらすのですから、わからないものです。「大人のお伽噺」の評がついています。登場人物の生活や仕事など、メインストーリーを取り巻く環境はとても現実味がありながら、話の展開はたしかにおとぎ話的です。

最初は「?」と思った展開も、読んでいるうちに違和感がどんどん薄れ、ジ・エンドの頃にはすっかりお話のなかに入り込んでいました。本や書店が大切な鍵を握るモノ、場所として登場します。小説を書く人は、本や本屋さんや図書館が好きな人が多いのだろうな、と、今更ながらに思います。だからこそ、お話のなかで大切なモノ、場所として登場させる人が多いのかもしれない、と。

主人公に残された手がかりは、パトリック・モディアノのサイン本と香水瓶、クリーニング屋の伝票と、文章が綴られた赤い手帳でした。それらのモノを観察し、モノが語ることに耳を傾ける作業をつなぎ合わせて、持ち主に辿り着きます。読みながら、それぞれのモノが持つ雄弁さを思いました。

そういえば、少し前に読んだ桜木紫乃さんの『氷の轍』のなかにも、似たような描写がありました。そちらは殺人事件の捜査に行き詰まったときのアドバイスとして、遺留品をよく見ろ、そこにあるモノに必ず手掛かりがあるというような内容で、設定はまったく異なるのですが。

著者はパリ生まれ。道理で随所におしゃれな雰囲気が漂っていました。そしてなぜかわたしは読み終わるまで、訳者は女性だと思い込んでいました。訳者あとがきを読み終わって署名を見てはじめて男性だったのだと気がつき、驚きました。とてもやさしさを感じる素敵な日本語だったのです。同じ著者・訳者コンビの本がほかにも出ていましたので、ぜひ読んでみたいと思いました。

読書『切手デザイナーの仕事』(グラフィック者)間部香代著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『切手デザイナーの仕事』(グラフィック者)間部香代著

子どもの頃の趣味に「切手集め」がありました。今もその名残の「切手帳」が3冊手元に残っています。小学校に上がる頃からだったと思います。自分宛てに届いた手紙の切手を切り抜くことからはじまり、家族宛てに来たものからも頂戴するようになり。わたしが子どもの頃はまだ手紙文化が残っていて、手紙のやり取りがなされていたからこそですね。

お小遣いをもらうようになると、使用済み切手ではなく、未使用の記念切手を求めて、切手を買うようになりました。少ないお小遣いのなかからの買い物ですから、1枚づつ。シートのものも、バラで少しづつ買っていました。たまにうちにいらっしゃるお客さまが「切手が好きって聞いたから」と、記念切手や珍しい海外の切手などをお土産に持ってきてくださることがあり、何よりうれしいプレゼントでした。いまだに手元に残っているものがあります。

というわけで、本書のタイトルを発見したら、手に取らないわけには参りません。「切手デザイナーっていう職業があるんだ!」という驚きとともに、ページを開きました。日本郵便の社員で、現在8名いらっしゃるということで、それぞれのデザイナーさんへのインタビューをもとに、本書は構成されています。

まず興味があったのは、どういう経緯でその職に就くことになったのか。8人8様で面白いです。切手デザイナーという仕事に対する想いやスタンスも、それぞれ。そしてそれぞれが手がけた切手の写真が載っています。見たことあるもの、使ったことのあるもの、今まさに手元に持っているものがたくさんあり、テンションが上がりました。

わたしは相変わらず切手が好きで、記念切手を買うのですが(収集用ではなく、実用に)、好きなデザインとそうでないものとがあり、当たり前かもしれませんが、好きなものしか買いません。でも「誰がデザインした切手か」という視点は、これまで全くありませんでしたから、不思議です。デザイナーがいるという観点が抜けていたのですね。本書を読んで、自分が好きな切手をデザインをした方がどんな方なのか、少し知ることが出来たのは、嬉しいことでした。

現在わたしにとっての一番のお宝切手は、1981年に発行された「英国王室チャールズ皇太子ご成婚記念」切手です。チャールズ国王と、今は亡きダイアナ元妃のツーショット。このときは、頑張って2シート購入したのでした。当時、日本での販売価格がいくらだったかは覚えていませんが、切手の額面は14ペンスと25ペンスが1組になっています。

なんてことを思い出しつつ、久しぶりに切手帳を開きつつ、楽しんだ一冊でした。