読書『やっかいな食卓』(小学館)御木本あかり著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『やっかいな食卓』(小学館)御木本あかり著

いつものカメリアステージ図書館新刊棚より、タイトルの斜に構えた感じにつられて中身はチェックせず借りて参りました。

なんてことの無い日常。その日常に、どんな家庭にも起こり得そうな「家族の問題」が次々に降りかかるお話。嫁姑問題、同居問題、介護問題、相続問題、子どもの引きこもり、家事と仕事の両立…。自分のこととして、あるいは身近な人のこととして考えさせられつつも、面白く読みました。次々と難題が起こるものの、なんとなく問題を抱えながらもハッピーエンドになるのだろうな、と予感できるストーリー展開は、読んでいて心落ち着くものでした。

ストーリーは嫁と姑の二つの視点から語られます。てっきり著者は「嫁」側=若い人なのかと思いきや、読み終わってから出版元の小学館のサイトを見たら「69歳大型新人」とあって、ビックリ。通算23年を外交官の妻として世界9カ国で生活してきたという著者の体験と知恵は、本書の「姑」に反映されていたのでした。今は「姑」である人も、かつて「嫁」であった時代を経てきているからこそ、どちらも当事者視点で描けるのだろうな、と感じました。

小説家としては本作がデビュー作であったという著者ですが、別の名前(本名)でエッセイは何冊か出ているそうです。道理で、いい感じに肩の力が抜けているのでした。このリラックス感が行間にあるからこそ、の心地よい読後感。映画にしても面白そうです。

『やっかいな食卓』(小学館)御木本あかり著

2022の目標「月に1本は(映画館で)映画を観る!」進捗状況。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

2022の目標「月に1本は(映画館で)映画を観る!」進捗状況。

今年も残すところあと10日。年内最後の映画は、今週末からはじまるホイットニーヒューストンを観に行こうと、最寄り映画館のスケジュールを確認したところでした。

年初に「月に1本は(映画館で)映画を観る!」を掲げました。これ、とても良かったです。おかげで毎月1本とはいかないまでも、これまでで一番多く映画館に足を運んだ1年となっています。

1月『HOUSE OF GUCCI』

2月『フレンチ・ディスパッチ』

3月『ナイル殺人事件』

4月『ベルファスト』

5月は観に行きそびれて、6月『エリザベス 女王陛下の微笑み』

7月また観に行きそびれて、8月『レインマン』

9月またまた観に行きそびれて、10月『ダウントン・アビー』

11月は『アムステルダム』

11月2本目は『恋におちたシェイクスピア』

ということで、あとは12月のホイットニーヒューストンを観たら、合計10本。12分の10ですから、なかなかの達成度合いです。

こうしてタイトルを振り返ると、どの映画も「観て良かった!」と思えるものばかりで、満足度100%。ひとつも外れが無かったのは、ラッキーでした。うち2本は「午前10時の映画祭」からのラインナップであり、これがとても良かったです。最寄りの映画館で「午前10時…」を上映してくれるありがたさ。

口に出して目標にしたことで、結果として豊かな時間を過ごすことが出来ました。来年も引き続き「月に1本は(映画館で)映画を観る!」を掲げて行こうと思います^^

読書『竜と流木』(講談社文庫)篠田節子 著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『竜と流木』(講談社)篠田節子 著

先日読んだ久しぶりの篠田節子さんがとても良かったので、図書館で「篠田節子」の棚からピックアップ。文庫で並んでいたのが本書だけでしたので、中身はチェックせずに借りて参りました。ここは、作家への信頼感とでも言いましょうか。

さて『竜と流木』、最初に注意すべき点として、少々グロテスクな描写がありますので、苦手な方は気をつけてくださいね。文芸評論家・牧眞司氏のあとがきの文章を借りれば、「サスペンス、SF、ミステリ、神話伝承の要素・趣向」などの要素が複層的に響き合い、重層的に立ち上がっているストーリー、ということになりますが、これにプラス「ホラー」的な要素もありました。

生態系保護、外来種、海洋ゴミ、異常気象、貧富格差、水問題…次々に社会課題的な要素が小説のお話に現れてきます。というよりも、それらの社会課題がストーリーを引っ張っている、という感じです。ホラー的なバイオミステリーの核となっているのは、今まさにわたしたちの住んでいる世界で起こっている問題の数々なので、否が応でも考えさせられます。

正直なところ、わたしは「教訓めいた説教臭い小説」が好きではなく、物語のなかにあからさまな形で「問題提起」な気配が現れると、読むのが嫌になります。本書は、ストレートに言って説教臭い小説です。それでも最後まで、それも一気に読んでしまったのは、説教臭さ以上に目を離せない、物語としての興味深さ故でしょう。

先日読んだ『セカンドチャンス』とは、まったく異なるテイストで、おそらく本書の方が「篠田節子さんっぽい」のかもしれませんが、著者の守備範囲の広さに脱帽した週末読書でした。まだまだ読んだことのない著書がたくさんありますので、少しづつ図書館で借りてこようと思います^^

宿題に向けて要点整理:JETRO「中小企業海外ビジネス人材育成塾」

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

宿題に向けて要点整理:JETRO「中小企業海外ビジネス人材育成塾」

年内のカリキュラムが終了し、年明け以降のブラッシュアップに向かって、海外向けの戦略を整理整頓しています。先日も書きましたが、一緒に取り組む仲間の顔が見えるのが、なにより励みになります。

以下、これまでの学びのなかで特に残ったこと、備忘。


  • あなたにおススメする理由。あなたのギャラリーは○○だから、これをおススメしようと思いました。の、綿密な調査に基づく「あなただけ」への理由付け。
  • 先方のことをより知るための資料作り、質問作り。
  • こちらが伝えたいことを、先方に質問してもらえるような資料提供。いい意味での余白。
  • 曖昧さの排除。
  • なぜ?その背景は?を常に意識。
  • 「定番の言い回し」を持ち、身に付ける。メールも、会話も。
  • 事実→解釈→行動。解釈の方向が、お互いに同じ方を向いているか?(目的意識と固有事情により、解釈は変わる)

特に「曖昧さの排除」「定番の言い回し」は、商談を進めるうえで自分を楽にするためにも常に意識するべきポイントだと思いました。海外商談=英語での商談を前提としてのレクチャーではありましたが、日本国内でもまったく同じことですね。

今日はこれから英語でのプレゼンテーション資料作成。ブログ書いて要点整理もできましたので、頑張ります!

読書『ルビーが詰まった脚』(東京創元社)ジョーン・エイキン著/三辺律子訳

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『ルビーが詰まった脚』(東京創元社)ジョーン・エイキン著/三辺律子訳

これもいつものカメリアステージ図書館新刊棚から。シュールなタイトルと、表紙の絵の独特の雰囲気に惹かれて手に取りました。英国生まれの著者による短編集で、『ルビーが詰まった脚』はそのなかの一編のタイトルです。本書の原題は『The People in the Castle:Selected Strange Stories』で、読後感としては、この「Selected Strange Stories」のタイトルがぴったりです。

なんとも不思議なストーリーの数々です。巻末の著者紹介で、大人向けのホラーストーリーやファンタジーで有名であるというくだりを読んで納得。本書内の短編には、あからさまにホラーという感じのものはありませんが、全体に異世界の雰囲気が漂っています。すべてがやわらかくオブラートにくるまれている感じで、警戒することなく読み進めていたら、うっかりおどろおどろしい世界に連れて行かれそうになっていた…という感じ。

ちなみに短編のタイトルを並べてみると

  • 葉っぱでいっぱいの部屋
  • ハンブルパピー
  • フィリキンじいさん
  • ルビーが詰まった脚
  • ロープの手品を見た男
  • 希望
  • 聴くこと
  • 上の階が怖い女の子
  • 変身の夜
  • キンバルス・グリーン

あらためて並べてみると、表題となっているものだけでなく不穏な気配を感じるタイトルがいくつかありますね(笑)

お父さんがピューリッツァー賞受賞の詩人で、著者も詩や戯曲も手掛け、生涯に百冊以上の本を出版したといいます。独特の世界観にみちているであろう詩を、怖いもの見たさで読んでみたい気がしています。

『ルビーが詰まった脚』(東京創元社)ジョーン・エイキン著/三辺律子訳

博物館リンクワーカー人材養成講座『第5回高齢者が美術館を楽しむために~シニアプログラムの実践を通して~』に参加いたしました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

博物館リンクワーカー人材養成講座『第5回高齢者が美術館を楽しむために~シニアプログラムの実践を通して~』に参加いたしました。

11月上旬からスタートした学芸員研修の連続講座「博物館リンクワーカー人材養成講座」。今年度は日程の合わない日もあり、飛び飛びで参加しています。

第5回目は、福岡市美術館の教育普及担当学芸員さんによる実践報告。今年度、福津市の「郷育カレッジ」では、わたしが担当する美術鑑賞講座で、福岡市美術館の「どこでも美術館」というアウトリーチ(出前)にご協力いただきましたので、特に思い入れを持って拝聴いたしました。

以下、備忘。


  • 制作物を1年度に届ける→未来への目線。
  • どこでも美術館(アウトリーチ)=地域公民館、学校との連携。美術館に行けない人のところへ、こちらから届ける。
  • シニアプログラム「回想法」:施設職員の方(専門家)のフォローが必要。
  • 「美術」という共通言語。
  • アフターコロナのGOODな傾向:「男性お一人様」の参加が増えている。
  • 実物・実物大の美術作品=「空間を支配するもの」の存在の大きさ。
  • 美術館に行きたいけれども行けない←YouTube、Facebook等でのライブ配信。
  • 何が見えますか、何が描いてありますか?からはじまる回想法。
  • 学問・専門は、専門家だけのものではない。

博物館リンクワーカー人材養成講座『第5回高齢者が美術館を楽しむために~シニアプログラムの実践を通して~』より


特に、実践報告のなかで演者の学芸員さんがおっしゃった「『空間を支配するもの』の存在の大きさ」というキーワードに、美術・美術館の役割をあらためて思いました。また、グループワークのなかで出てきた「学問・専門は、専門家のものだけではない」という言葉に、奢ることなく取り組む姿勢を貫く現場の方々の思いが見え、ハッとしました。

2022年度の博物館リンクワーカー人材養成講座も残すところあと1回となりました。肩の力を抜いて楽しみながら学べる貴重な機会、しっかり自分のものにしていきたいと思います。

読書『サバカン SABAKAN』(文藝春秋)金沢知樹著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『サバカン SABAKAN』(文藝春秋)金沢知樹著

映画館で『サバカン』の予告編を見たのは、わりと最近だったような…と思いながら手に取りました。映画は今年8月公開。本書はその映画監督による書下ろしの原作小説でした。舞台は長崎県の長与町、しかも1980年代とあって、1980年代の8年間を長崎県で育った者としては、見たさ半分、見たくなさ半分で、結局映画は観なかったのでした。

そんな本書をいつものカメリアステージ図書館で発見。本ならば読めるだろうと思い、借りて参りました。著者の金沢知樹監督は1974年生まれとなっていましたので、わたしより5年ほど後生まれ。ほぼ同世代(!?)なので、その時代の長崎あたりの田舎の雰囲気、学校や子どもたちがどんな風であったかというのは、良きにつけ悪しきにつけ容易にイメージが湧きました。

今の世の中ならすぐに問題とされるであろう、学校の先生の(暴)力による生徒支配、貧しい家の子をバカにし揶揄う子どもの残酷さ、生徒の家でその親と一緒に酒を呑む先生など、「ああ、そういえば」という当時の日常が、苦く思い出されました。そんな時代を「古き良き」と言えるかどうかは、人それぞれでしょうね。

とはいえ、本書のお終いには光が遺されていました。映画のレビューも比較的高評価が多く、そのうち見てみてもいいかも、という気持ちになりました。

『サバカン SABAKAN』(文藝春秋)金沢知樹著

JETRO「中小企業海外ビジネス人材育成塾」折り返し地点。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

JETRO「中小企業海外ビジネス人材育成塾」折り返し地点。

JETROの「中小企業海外ビジネス人材育成塾」がはじまりました、と書いたのは11月下旬のことでした。

先日その第3日目が終わりました。全体のスケジュールから見て、おおよそ折り返し地点。

実は、本研修に申し込んだ後に、ジェトロの研修担当者さんから、参加の意思確認をする電話がありました。一日に詰め込まれる課題や宿題の分量がかなりあること、基礎研修は全日程必修で遅刻欠席途中退席が認められないこと、宿題を含めた課題をすべて提出しないと修了が認められないこと、きちんと修了しないと本研修と並行して行われる英文ビジネスメールなどのオンライン研修の費用が発生すること(修了者は無料)…。それでもちゃんとやり遂げれますか?というものでした。

頑張ります!と答えて参加したものの、一日7時間近くデスクに張り付いて講義を受講するのは学芸員資格課程のスクーリング以来ですから、ほぼ10年ぶり。講座時間内の15分ほどでワークシートを作り上げてグループワークで共有したり、パワーポイントでのプレゼンテーション構成をその場で30分ほどで作ったり、瞬発力が要求されています。復習予習を兼ねた宿題の提出期限も短く、企業で通常業務をこなしながら参加なさっている海外担当部署の方は、かなりたいへんだろうと思います。かく言うわたしは、一日終わると大きく伸びをして腕を振り回しています。

ですが、それだけ詰め込んでいると、思考と、思考を形にしていく方法が、筋肉のようについてきているような気がします。気のせいでないと良いな、と思いつつ(笑)。そしてなにより、グループワークでさまざまな商材を持った、さまざまな業種・規模の方々のお話を共有できるので、視野が広がるのを感じます。「海外を目指す」という共通の目的を持っているので、皆さんのお話から、たくさんのヒントをいただいています。来週が年内最後の講座。しっかり宿題を作り込んで、頑張ります!

読書『セカンドチャンス』(KODANSHA)篠田節子著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『セカンドチャンス』(KODANSHA)篠田節子著

いつものカメリアステージ図書館、新刊棚。いわば図書館の入り口となる階段を上った正面にあるこの棚は、上の写真で見ていただけると一目瞭然、全体から見ればとても小さな棚です。が、常に新しいものが入り、入れ替わってるので、じっくり探す余裕が無いときには、この棚で探すだけで十分に新しいもの・興味をそそるものを見つけることが出来ます。ここ数カ月、日本人作家の小説をここで見つけて読むことが増えていました。本書もそのなかの一冊。

篠田節子さんの小説を読んだのは、いつのことだったかしら…と思いつつ手に取りました。ずいぶん前に読んだような気がするのですが覚えておらず、巻末の著作一覧を見て、ああそうか『女たちのジハード』だ、と思い出しました。

さて『セカンドチャンス』。なんてことのない物語です。けれど、主人公の年齢が今のわたしと近く、性格も環境もまったく異なるのに「なんとなくわかる」ことが多く、引き込まれました。読みながら、登場人物と自分自身との共通点、知人友人との共通点が重なっていきます。50年以上の人生経験を積んできた方なら、感情移入とは言わないまでも、タイトルの「セカンドチャンス」の言葉の意味に頷きながら読むことが出来る本だと思います。

日常のなかで小さくガッツポーズをする瞬間の愛しさを思う読書でした。

『セカンドチャンス』(KODANSHA)篠田節子著

読書『ちいさな手のひら事典 クリスマス』(グラフィック社)ドミニク・フゥフェル著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『ちいさな手のひら事典 クリスマス』(グラフィック社)ドミニク・フゥフェル著

今日から12月。今朝は今シーズン一番の冷え込みで、まさに冬が来た!という感じです。いつものカメリアステージ図書館で見つけた本書は、季節的にもぴったり。赤と金の装丁のインパクトに惹かれて手に取りました。

『ちいさな手のひら事典 クリスマス』(グラフィック社)ドミニク・フゥフェル著

「事典」のタイトルの通り、クリスマスについての豆知識が78項目。それぞれページ見開きで左側に解説テキスト、右側に絵、の構成です。上の写真のような感じですね。本の半分は絵が占めているわけで、パラパラとめくって「可愛い!子ども向けに良さそう!」と思いながら借りてきました。ところがなんのなんの、左側のテキストページに書いてある解説は、しっかり大人向けと言いましょうか、シニカルと言いましょうか…な感じです。実は、そこがとても気に入りました。

のっけから「その長い歴史は4世紀にさかのぼり、ローマ教皇リベリウスが12月25日を公式にイエスが誕生した日と定めました。しかし、歴史的な根拠はありません。」と、キビシメです。その他にも「クリスマスの日、子どもにプレゼントするおもちゃは、19世紀以降、お金儲けの絶好の機会になりました。」「そりをサンタクロースの移動手段にしたのは、米国の牧師です。」(『ちいさな手のひら事典 クリスマス』より)など、美しいページをめくりながら、思わずニヤッとしてしまいました。

「ちいさな手のひら事典」は、シリーズでいろいろと本が出ているようです。巻末に既刊の一覧が載っていまして、それによると、現時点では本書を含めて14冊。飾っても可愛らしいので、興味のあるテーマから少しづつ買い集めてみようかな、と思います。