福岡acad. はじめます。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

福岡acad. はじめます。

福岡acad.は、福岡を拠点にArts, Crafts, Architect and Design.に効く勉強会をシリーズ展開していくプロジェクトです。

記念すべき第1回目の勉強会は来たる6月30日(日)。

建築の勉強会シリーズ 第1回建築の歴史

建築の歴史を学びながら、知識・知見を広げ、仕事の基盤となる美意識を鍛えます。詳しくは、フェイスブックのイベントページで。参加者募集中です(^^)

さて、福岡acad. 名前の由来。

arts

crafts

architecture

design

の頭をとっていろいろと並べかえていたら、

acad

となったもので、面白いかな、と決定。

思わず「アカデミーかぁ…」と笑ってしまいました。というのも、立ち上げメンバーは、アートの世界で一般的に使われるところの「アカデミー」あるいは「アカデミック」的なものとは対極にある立ち位置で仕事をしてきている面々なので。

ただ、academyの意味や語源をいろいろと読んでみても、「学ぶ場である」という位置づけは揺らがないようなので、わたしたちが使っても良いでしょう(笑)

この会の一番の特長は、生業としている人たちが、現場で培ったもの、生業としているからこそ見える大切なことをともに学び伝えていくことにあります。いわば「学校では教えてくれない(教えることのできない)」内容。

継続的に勉強会を展開していきます。

 

読書『新・怖い絵』(KADOKAWA)

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

読書『新・怖い絵』(KADOKAWA)

つい先日、中野京子さんの本をやっと手にしたという話を書いたばかりでしたが‥。

読書『名画の謎』(文藝春秋)シリーズ。

面白いと、連続的に手に取ってしまう性質でして、『怖い絵』シリーズの最新ものを発見。中野京子さんの解説には知的な毒がちりばめられていて、それが麻薬的な面白さになっているように感じます。「名画」の解説として普通は「ちょっと書きにくい」ことを、ウィットに富んだ言い回しで、わたしたちにずばり届けてくださる。作品の背景にある歴史・西洋史の流れを熟知しておられるからこそ、ですね。

そんな『新・怖い絵』から、思わずうならされた文章5つ。


  • 結局、イデオロギーがあろうとなかろうと、いいものは残る。
  • 「時間」は過去から現在を通って未来へ一方通行に流れているとは限らない。
  • 現実が芸術に影響を及ぼすように、芸術もまた時に現実に影響を及ぼす。
  • 論理より美意識のほうがはるかに陶酔を誘う。陶酔は愚かさに似ているが、美意識に殉じる道はやはり煌めいている。
  • 仮装や仮面は何のためか。自己を開放するためのものだ。価値を転換するためのものだ。社会の序列も礼儀作法も性も個も捨てて、変容するためのものだ。

『新・怖い絵』(KADOKAWA)中野京子(著)より


この勢いで、『怖い絵』シリーズにさかのぼって読んでいくことになりそうです。

 

バウハウスってなに!?

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

バウハウスってなに!?

友人であり尊敬する師でもある藤井設計室・藤井ご夫妻と一緒に、モノを生み出すことを生業としている人たちが一緒に学べる場をつくろうとしています。そこで出てきたキーワードが「バウハウス」。もちろん聞いたことがありますが、「バウハウスってなに!?」と問われると、ほぼ説明できない状態であることが発覚。

というわけで、遅ればせながらまずは基本的なことを理解したいと、「バウハウス」に関する参考書類(洋書あり・写真もたっぷり!)を大量にお借りしてきました。

上の写真はその一部、『bauhaus 1919-1933』(tachen)、『Design for the Future』(Hatje Cautz Publishers)、『アール・デコの世界』シリーズ(学習研究社)。

たくさんの写真情報を眺めてまず思うことは、バウハウスが生み出したモノや、その影響を受けたモノ・現象が、現在進行形で生み出され続けているということ。そして、これはあくまでもわたしの個人的な思いですが、「消費され続けているもの」としてのインパクトを感じました。

ただ、わたしは「つくる人」ではないので、そこをきっかけに生まれてきたモノや現象もさることながら、むしろバウハウスが誕生するに至った経緯というか、立ち上げに奔走した人たちが、いったいなにを(どんな状態を)目指していたのかという理念に興味があります。

さて大量にお借りしてきた資料、まだ半分も読むことができておらず、わたしが知りたいことへの解答は得られていません(汗)が、ほふく前進よろしく少しづつ自分のなかに取り込んでいくことができればよいな、と。

ちなみに、次に読みたい本は、この本です(^^)

「目が良い」。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

「目が良い」。

先日は月に一度の 書道部@花祭窯 の日でした。

いろんな方と一緒に字を書いていると、「初心者です」とおっしゃっいながら、お帰りになるころにはとても良い雰囲気の字を書いて行かれる方がいらっしゃいます。

何年もかけても(毎週お稽古しているわけではありませんが^^;)なかなかきれいな字を書くことができないわたしとしては、1~2時間のうちにめきめき「お手本」に近い字を書けるようになる方を目の当たりにすると、すっかり感心してしまいます。

いったい何が違うのでしょうか。

お手本を書いてくれるダンナによると、その違いの第一は、「目が良い」ということ。

ここでいう「目が良い」は、「この形が美しい(きれいな字の)カタチなんですよ」というお手本を見て、その形の美しさのポイントを把握する力があるかどうか、とでもいうところでしょうか。そういえば、めきめき上手になる方は、デザインや造形の心得がある方に多い。形の捉え方に違いがあるのかもしれません。

次に、美術館での教育普及学芸員として第一人者である齋先生の説をお借りすれば、「運動神経が良い」

目で見た「このような形に文字を書くときれい」を、自分の手碗を伝って紙の上に実現(再現)する力、とでもいったところです。運動神経にもいろいろあって、足が早い、力が強いということだけが運動神経の良さなのでなく、思ったように繊細に手腕指を動かすことができるというのもまた、運動神経なのですね。

そして、なんといっても「集中力がある」

半紙に向かう1~2時間の集中力を感じます。そして、その集中力の背景には、その(筆で字を書くという)動作を楽しんでいる、という状態があります。楽しんでいるといっても、表情は真剣そのもの。真剣に向き合って楽しむことができている状態が、もっとも集中力が発揮される状態なのだと、見ていてつくづく思います。

月一度の書道部。個人的には目下、第二の要素である「運動神経」を鍛えるべく、くりかえし「書く」ことに勤しんでおります(^^)

 

 

 

 

続・「英語でアート! in 福岡」

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

続・「英語でアート! in 福岡」

どうも、セミナー・勉強会のあとや読書のあとレポートブログをあげても、しばらくたってからまた書き足したくなることがしばしば発生。すぐには消化できなかったものを、無意識に時間をかけて整理整頓・吸収しているのかもしれません(笑)今回もそのパターン。

ということで、先日参加してきた「英語でアート」

「英語でアート!in 福岡」に参加してきました。

本日は、内容について備忘メモ。


  • アート市場の世界シェアは、2016年の時点で大まかに米国60%、英国20%、中国20%。
  • 米国における「アートを買う習慣」の定着度合は
    ・ふつうの人→10万円くらいまでの作品
    ・裕福なアート好き→50万円くらいまでの作品
    ・コレクターと呼ばれる人たち→100万円単位の作品
  • 米国においてアートは重要かつ当然のエデュケーションツールであり、各大学が(美術館だけでなく)ギャラリーを持っている。
  • 所得格差が大きい国ほど富裕層も多く、アートコレクターも多い。
  • 米国においてもギャラリーの生き残りは厳しく、「超大手」と「新興」に二極化。
  • ニューヨークだけじゃない。コンセプトに合ったギャラリーがある国・地域を見極め、自作品との「共通点」から作品の観方を導くことも必要。
  • 自分の言葉で、自分のこと、自分の作品のこと(コンセプト・プロセス)を語ることができることは、現代アート市場においてアーティストに必須。一般の人たちに対して専門用語無しで(日本語・英語で)わかりやすくお話しできるか?
  • 米国においては、ギャラリストは「MBA(経営学修士)+MFA(美術学修士)」を持っている人が多い。

以上、「英語でアート! in 福岡」宮本由紀さんのお話より、まとめ。


しみじみ、いい時間でした(^^)

 

 

 

読書『名画の謎』(文藝春秋)シリーズ。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

読書『名画の謎』(文藝春秋)シリーズ。

花祭窯、大型連休もほぼ平常通りの営業で仕事をしております。そういえば、ここ数年は5月といえばロンドンでの展示が続き、ゴールデンウィークはその準備や出張でテンション高く過ごしていたのでした。

ひさしぶりにゆっくりの「黄金週間」なので、平常運転で仕事をする傍ら、まとめて本を読むことに。ずっと気になりながら読んでいなかった中野京子さんの本を手に取りました。中野京子さんといえば『怖い絵』シリーズが有名ですが、今回わたしが手に取ったのは『名画の謎』シリーズ「ギリシャ神話篇」「旧約・新約聖書篇」「陰謀の歴史篇」の3冊。

面白かったです!まったく予備知識無しで読みだしたのですが、ちょっとシニカルな目線に、独特のユーモアあふれた語り口がツボにはまり、一気に読みました。西洋文化史の専門家でいらっしゃるのですね、さりげなく文章に入っている背景の解説がとても分かりやすかったです。

絵画や美術を読み解く本はいろいろと出ていますが、個人的には、美術の専門家ではない方が書いたものの方が面白いことが多いと感じています。あくまでもこれまでの読書経験からの感想ですが、美術をアカデミックに学んできた方の解説は、その専門性ゆえにでしょうか、見る人の想像力の広がりを許容しないようなところがあるかな、と。

ともあれ、中野京子さんの『名画の謎』面白いです。『怖い絵』シリーズも読まねば(^^)

Meet Me at Art スタート。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

Meet Me at Art スタート。

Meet Me at Art。「アート(美術)を通じて自分と出会う」をテーマに、さまざまなサポートを展開します。


美術や美術的な空間を使って

  • 自分の内側(ルーツ)をのぞき込み、自分の価値観をつくっている人生観・世界観・美意識を点検し再構築していく個別ワーク。
  • 個人の価値観・世界観を確認することからはじめ、「一人一人が違うことを受け入れる土台をつくる」ためのグループワーク。
  • 不確定要素の多いなかで質の高い意思決定を後押しする価値観(美意識)を鍛えるための、観察と言語化のトレーニング。

美意識とか感性とかいうぼんやりしたものを自覚するところからスタートします。

関連したセミナー・勉強会・ワークショップも、その道の熟練したプロフェショナルに力をお借りして、「プロ・プロ候補向け」「一般向け」など計画していきます。

より詳しくは、Meet Me at Art 現在ページ制作中です。
花祭窯のフェイスブックページ(https://www.facebook.com/Hanamatsurigama/)から「メッセージを送信」でお気軽にお問い合わせください。

 

 

続・読書『イギリスと日本ーその教育と経済ー』(岩波新書)

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

続・読書『イギリスと日本ーその教育と経済ー』(岩波新書)

先日、読書録をアップしたばかりでしたが、

読書『イギリスと日本ーその教育と経済ー』(岩波新書)

いくつか残しておきたいものがあったので、以下備忘。


  • たとえば、イギリスの中産階級以上のほとんどすべての女の子は、おばあさんの使った人形を使って遊んでいます。人形というものは何代にもわたって使うんだというのが英国人の感覚であります。
  • 大帝国を断念して、ウェルフェア・ステートに切り替えるという転換はきわめて見事であったと思います。
  • これらの努力は一人当たり国民所得の大幅な増加をもたらしませんでしたが、それでも、その結果イギリスがいっそう住みやすい国になったことは事実です。
  • イギリス人は寛容であるということを、非常に大切な徳であると信じています。
  • 日本をここまで引き上げたのは、日本人の俗物根性であり、英国を没落させたのは英国人の教養であったと考えられます。イギリスの教育は成功したがゆえに没落をもたらしたのですが、このように教育が成功すると、人はお金よりも文化的たのしみを選ぶようになります。
  • 教育とは個人の持っているいろいろの資質を耕す(カルティベイト)ことであって、型にはめることではないと考えているようです。その結果、教育と文化(カルチュア)が直結する。

『イギリスと日本ーその教育と経済ー』(岩波新書)森嶋通夫 著 より

 

 

読書『なぜ、これがアートなの』(淡交社)

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

読書『なぜ、これがアートなの』(淡交社)

1998年初版です。美術館で鑑賞教育を語るときや、教育普及の学びの場面で、バイブル的に登場するというこの本。わたしがこの本の存在を知ったのは、つい数年前。美術館・博物館の学芸員技術研修会で教育普及の講座に参加したときでした。

著者のアメリア・アレナスさんは、1984年から1996年までニューヨーク近代美術館(MoMA)で美術館教育プログラムの専門家として活動なさった方で、対話型鑑賞法の第一人者とされています。

「はじめに」で「これはモダン・アートの概論でも、あるいは過去百年間にアートの世界でなにが起こったかという美術史の解説でもありません。」(『なぜ、これがアートなの』より)と書かれているとおり、美術に関する知識を扱った専門書ではありません。美術鑑賞の方法について書かれた本なのですが、かといって美術鑑賞の方法論を説いたものでもなく。おおよそ70点の作品について、「作品を鑑賞していくための、いくつかの例」が紹介されています。

美術の業界の人や専門家に向けて書いたのではないと言われるこの本ですが、少々難しく感じるところも。ただ、この本を読み終わった時に、モダン(近代)・アートもコンテンポラリー(現代)・アートも、近代以前のアートも、もっと自由に絵やアートを見て楽しんでいいのだと思える人が一人でも増えてくれたら嬉しいな、と。

お酒を呑みながら建築のお勉強・その8

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

お酒を呑みながら建築のお勉強・その8

毎回楽しみな隣町・宗像にお住まいの建築家、株式会社藤井設計室・藤井さんご夫妻のご好意で開催されるスライドショー&勉強会。今回も素晴らしい時間でした。

昨年来、西洋美術史関連の本を読み漁りつつ、わかってきたことがあります。それは「お酒を呑みながら建築のお勉強」で少しづつ素地を積み上げてきたおかげで、西洋美術史の本に書いてあることへの理解が格段に深く良くなっていること。あくまでも自分比ですが(笑)

すなわち西洋史のなかで、建築史=美術史をほぼ同義に読みとることができる時代が長いということなのですね。多くの芸術家が建築家であり彫刻家であり画家であり、というような時代はもちろん、その前後においても、建築と芸術は切り離せないものだとつくづく。

さて今回のスライドショーは、番外編。「住む」という「必要性」にスポットが当てられた内容でした。ヨーロッパ各地の、「ここに住むしかなかった人たち」が築いた、住み家・街の景色とその背景についての解説。状況が語る悲壮感に反して家や街に質素な美しさがみられることに、人間の強さと美意識を感じました。

それにしても、切り口(テーマ)によるさりげない問題提起も含め、藤井さんの実体験に基づいたスライドショーならではの奥深さ。このような機会に参加できることが、ほんとうにありがたいのです。