読書『大いなる遺産』(新潮文庫)

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『大いなる遺産』(新潮文庫)チャールズ・ディケンズ著

写真は昨冬訪問したロンドン。

どんどん続く「読んでいなかった名作を」シリーズ。読んでいなかった名作、というよりは、あまたある名作の数を考えれば「わたしはそのほとんど読んでいなかった」と言わざるを得ない(笑)と実感する今日この頃です。それはつまり、これからもいくらでも読むべきものがある!という嬉しい現実でもあり。

ディケンズの自叙伝的要素も含む物語と言われていますが、ストーリーのなかに現れる偶然の出来事(設定)の数々には、いかにも出来すぎている感もあります。だからこそ「お話」としての面白さが盛り上がるのはもちろんですが。「そことそこまで繋げちゃう!?」的な、ばらまかれた伏線を残らず拾っていく感じがありました。

ともあれ劇的で、最近読んだ他の名作同様、『大いなる遺産』もまた映画に舞台にと引っ張りだこなのが理解できます。物語の時代は英国産業革命初期。「資本家」と「労働者」が生まれ、「都会」と「田舎」の対比が大きくなっていく、まさにその時代の葛藤が描かれています。

最近『7つの階級 英国階級調査報告』(東洋経済新報社)、『<英国紳士>の生態学』(講談社学術文庫)で英国の階級社会についての分析を読んでいましたが、その時代に生まれた物語を読むことで、よりその事実が生々しく伝わってくる感じがしました。物語のなかに入って自分自身の感情の動きを通した方が、時代背景を理解しやすいこともありますね。

今回わたしが読んだのは新潮文庫版でしたが、とてもわかりやすく面白く読めました。これもまた各出版社から多様な訳者の方の翻訳で出ていますので、いろいろ読み比べてみるのもいいですね。

藤吉憲典公式サイトリニューアル中。

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藤吉憲典公式サイトリニューアル中。

英語版サイトをちゃんと作ったのが2016年。そう思うと、まだ4年しか経っていないのですが、現在リニューアルを進めています。ふと、ホームページの賞味期限はどれくらいなのだろう…と考えたりもしましたが、一概には言えませんね。

仕事(市場)環境が変わったり、新たに目指すところが明確になったりして、公式サイトで表現していることとズレがあることに気づいたら、変え時かなと。そういう意味では、内的にも外的にも変化の要因が重なってきた今は、リニューアルのタイミングとして良さそうです。

今回、リニューアルを担当してくださるWebデザイナーさんと共有しているキーワードは「シンプル」。見る人にとってシンプル=わかりやすいか、運用する側にとってシンプル=簡単か。どうするのが良いか迷ったときには「それはシンプルか?」を問い続ければ、おのずととるべき道が見えてきます。

サイトの構成は決まり、現在デザインが出てくるのを待っているところです。一方で、日英のテキストを準備するのはわたしの仕事。そう、日本語と英語両方で制作するのが、今回のリニューアルのポイントのひとつでもあります。ここ数週間、絶賛文章制作モード。上の写真はその原稿の一部です。

ともあれ、まずはデザインが上がってくるのが楽しみです。リニューアルの完成は9月頃を予定^^

暑中見舞いを。

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暑中見舞いを。

今年前半は個展でお客さまにお会いすることができなかった藤吉憲典。暑中見舞でご挨拶しようと準備しました。小暑が過ぎたら出そうと思っていたのですが、なかなか天気が良くならず、投函するのを少し待っているところです。大暑までには出せるといいな、と。

カワセミ陶箱 藤吉憲典

宛名は、いつものように手書きです。3日ほどかけて200枚ほどを書き上げ、毎度自己満足とわかりつつも、充実感。

郵便料金は別納印にすることもできますが、せっかくですから記念切手で。このところたくさん種類が出ているので、切手好きとしては、選ぶのも楽しみです。ご近所の郵便局で、ここぞとばかり物色。大相撲シリーズ、日本の伝統色シリーズ、国宝シリーズを大人買い(笑)

雨があがったら暑中見舞い出します。早く梅雨明けしますように。これ以上雨の被害が広がりませんように。

Talking about Art 4回目。

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Talking about Art 4回目。

英語で対話型美術鑑賞のオンラインセッション第4回目。『英語でアート』の宮本由紀先生による「Talking about Art in English」。第1回目第2回目第3回目に続く今回も、発見がたくさんのエキサイティングな時間でした。一方で、個人的には反省点満載の1時間。

由紀先生が用意してくださった今回のテーマは、Still Life × Narrative Art。Still Lifeは静物画、Narrative ArtはStory Artとも言うようですが、物語画とでも訳したらよいでしょうか。

開催中のロンドン・ナショナル・ギャラリー展にちなんで、展示作品のひとつディエゴ・ベラスケスの「マルタとマリアの家のキリスト」をメインに。美術ファンにとっては、いわば「旬」の題材で、由紀先生の心遣いを感じます。

いつもの通り「Describe」すなわち「なにが見える?」からスタートです。思惟を交えずに、なにが見えるかを淡々と並べていきます。ある程度出揃ったら、次は「Analyze」=「どう見える?(どう描かれている?)」。何があって、どのように描かれているかを自分の目でしっかり確認することができれば、あとの「Interpret(なぜだと思う?)」、「Evaluate(どう思う?)」にスムーズにつながります。

今回わたしの大きな反省点は、なんといっても「準備不足」でした。日常会話でさえ語彙力が不足しているのに、アートの描写、それにまつわる自分の考えを伝えるとなればなおのことです。Talking about Artへの参加も4回目とあり、雰囲気にも慣れてきて、怠慢が出てしまったと反省しました。

まず最初のDescribeで、自分に見えたものと、他の方に見えたものの違いの大きさに気づいた途端、頭が真っ白になりました(笑)。「見る人によって、見えるものが違う」のは美術鑑賞の大前提であり、だからこそ対話型鑑賞は面白い!のですから、ほんとうは慌てる必要など無いのです。

これはエデュケーターの立場でも、参加者の立場でも、一番大切にすべき大原則であり、猛省しました。「自分にだけ違って見えている」というのはこれまでにもあったことで、それを楽しんでもいたのですが、今回は特に思い込みが強く働いていたのかもしれません。軽いパニック状態です(笑)

焦りに加えて、語彙が足りず、さらに焦る悪循環。そんな状態でも「何を言おうとしているのか」を受け取ろうと、先生だけでなく、一緒に参加していた受講者の方々もあたたかく見てくださっているのがわかり、とても助けられました。オンラインでも「受容する場の空気感」がひしひしと伝わりました。

さて自分の言葉は足りないのに、対話型鑑賞自体は楽しいものですから、意見交換では伝えたいことがどんどん出てきます。これはやっかいです(笑)。伝えたいのならば、ちゃんと準備をしなければ!を痛感。

ともあれ、皆さんのフォローに助けていただき、無事(!?)1時間が終了しました。参加者が、ほかの方々との「見えているもの」「捉え方」の違いに焦ってしまうこともあるのだと、身をもって実感しました。「受容的な場」あってこその対話型鑑賞ですね。

また今回は、題材の「マルタとマリアの家のキリスト」をもとに、西洋画における宗教的要素とシンボルについても言及され、知識という意味でも視野の広がったTalking about Artでした。

なんでもない日に、ちょっぴり贅沢。

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なんでもない日に、ちょっぴり贅沢。

写真はふだんのささやかな楽しみ、常備の和三盆糖のお干菓子に新茶。

晩ご飯の買いものに出たついでに、久しぶりにケーキ屋さんへ立ち寄ってみました。そういえば外出自粛ムードでケーキ屋さんにも足を運んでいなかったので、なんと今年に入って初めての訪問。季節の「桃」のケーキがそろそろ出ていないかなぁ、と期待しつつ。

ありました!白桃がたっぷりのった桃のタルト。和菓子屋さんもパン屋さんも大好きだけれど、ケーキ屋さんの華やかさには、また格別のワクワク感があります。どれにしようかと迷う時間がまた嬉しい。お店に出かけて、宝石箱のようなショーケースから選ぶのは、やっぱり実店舗ならではの楽しみです。

なんでもない日だけれど、そういえば子どもは中間テストが終わったところだし、ダンナはひとつ大きな納品を済ませたところだし…と考えはじめ、いや、別に理由なんてなくていいじゃない!と自分に突っこみ。

「記念日」や「ご褒美」にとらわれず、ただ思いついてちょっぴり贅沢。ささやかな意外性を日常にプラスできる心の余裕は大切よね、と思った一日でした。

初・手作り紅ショウガ。

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初・手作り紅ショウガ。

料理研究家の宮成なみさんが「とっても簡単!」と紹介なさっていたのを拝見し、確かにこれなら自分でも作れそう!と、唐突に作ってみました。写真は、出来上がった紅ショウガを、藤吉憲典の染付間取芙蓉手六角豆皿に盛り付けたところ。

紅ショウガは子どものころから大好きで、でも「自分で作る」という発想はまったくありませんでした。ふだんレシピを参照するのは「作りたいものがあって、つくり方が定かではないとき」なのですが、今回は紅しょうがの色のきれいな写真とレシピが先に目に入り「これ、つくりたい!」と思った、わたしには稀な例でした。

大雑把な性格のわたしでも簡単に作ることができました。思いのほか美味しく、色もきれいに仕上がって、ご飯のお伴に、お酒のあてにと大活躍。紅ショウガができたから焼きそばをつくろうか、お好み焼きをつくろうかと「紅ショウガありき」のメニューが頭に浮かびます。

作り方は「ショウガをスライスして、梅干しを作ったときの梅酢に漬け込むだけ」なので、失敗しようの無い安心感があります。とても嬉しいレシピをご紹介いただきました。これから毎年新生姜の季節には仕込みたいと思います^^

宮成なみさんの紅生姜レシピはこちら。美味しくって体に良いレシピ、ありがとうございます♪

読書『オズの魔法使い』(新潮文庫)

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読書『オズの魔法使い』(新潮文庫)ライマン・フランク・ボーム著、河野万里子訳

『オズの魔法使い』と言えば、ジュディ・ガーランドが主人公ドロシーを演じ「オーバー・ザ・レインボー」が大ヒットしたというミュージカル。我が家にも、子どもが何歳の時だったか忘れましたがプレゼントしたDVDがあります。わたしはずっと興味が向かず、観ていなかったのですが、ダンナのお気に入りで「子どもにも見て欲しい」ということで。

さて、文庫のおかげで手に取った『オズの魔法使い』。著者が「現代のおとぎ話になれると嬉しい」と「はじめに」で書いているのが1900年4月。それから100年以上経っている今もなお、ミュージカル映画として世界に知られているのですから、現代のおとぎ話として定着したといえるのではないでしょうか。

映画では設定やストーリーがずいぶん変わっているようですね。映画のストーリーに慣れていた息子は、文庫を少し読んで「だいぶ違う」と本を置きました。映画の方が設定が細かく、わかりやすくなっていたようです。幸いわたしはDVDをちゃんと見ていなかったので、純粋におとぎ話そのものを楽しむことができました。ざっくりした描写や設定も、想像力を自由に働かせるのにはむしろ好都合です。

古典的な「おとぎ話」同様、子ども向けといいながら大人にも刺さる物語でした。訳者の河野万里子さんが「あとがき」で、「アメリカの財産のひとつ」と書いておられましたが、100年以上が経って、本の先にミュージカル映画があって、ストーリーと映像と音楽が合わさって、ひとつの文化的財産になったのですね。

実はわたしが『オズの魔法使い』に興味が出てきたのは、ジュディ・ガーランドの映画「ジュディ 虹の彼方に」の予告編を見てからのこと。映画館に観に行きたいと思いつつ行けませんでしたので、観れる機会を楽しみにしておくことにいたします。今回も、本を読むタイミングの面白さを感じました。

歴史資料館の愉しみ。

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歴史資料館の愉しみ。

福津市には「新原・奴山古墳群」があります。ここ津屋崎から宗像に向かう495号線沿いは、あちらこちらに古墳の丸っこい小山が点在する景色が広がるのどかなスポット。5世紀から6世紀にかけて営まれた古墳群は、現存するだけでも41基あるといわれており、宗像大社とともに世界遺産認定されたのちも、コツコツと調査が続いています。

そんな発掘調査の速報展が、ご近所のカメリアステージ歴史資料館で展示されています。カメリアステージは2階に図書館、1階に歴史資料館があるので、図書館にたびたび足を運ぶわたしとしては、そのついでに歴史資料館の展示を眺めることができるという、なんとも贅沢な場所です。

週末出かけたところ、「カメリアステージ歴史資料館 令和元年度発掘速報展」が開催中。「発掘速報展」ですよ!発掘現場との距離の近さを感じるタイトルにワクワク。新原・奴山30号墳の発掘調査の様子が展示されていました。車で津屋崎から宗像へ山越えする道路沿いにあり、通るたびに発掘調査の方々の姿が見えて気になっていたところでしたので、これは嬉しいです。

全長54mの前方後円墳ということで、そんなに大きかったのね!と感動しつつ、出土した遺物を拝見。部分のものが多く、今回出土したカケラと合わせて、全体の姿がわかるように参考品を並べて展示してあるのが親切でした。展示解説の配布資料にも図解で載っており、わかりやすいです。展示資料数は多くはありませんが、「発掘したて」の鮮度が感じられました。

個人的に一番のヒットは、黒曜石の矢じりでした。半透明っぽく見える美しい石で、黒曜石にもこんな色があるのね、と感心。この矢じりは古墳時代のものではなく、縄文から弥生時代のものが偶然混ざり込んだものと考えられるとのこと。また黒曜石の色の特長から、大分県姫島で産出されたものと似ており、古墳時代以前に人の交流があった可能性が示唆されていました(新原・奴山30号墳 配布資料より)。

それにしても、図書館のついでに古墳時代に思いをはせることのできる面白さ。今年度(令和2年度)も調査予定が組まれているということで、ワクワクが続きます。

読書『7つの階級 英国階級調査報告』(東洋経済新報社)後半。

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読書『7つの階級 英国階級調査報告』(東洋経済新報社)後半。

マイク・サヴィジ著、舩山むつみ訳。

前半(第1部、第2部)に続き、後半(第3部、第4部)もたくさんになりました。以下、『7つの階級 英国階級調査報告』(東洋経済新報社)より、備忘。


  • 競争によって平等であるはずの能力主義の教育制度は、かえって人生のチャンスを不公平なものにし、子どもたちに不平等な未来をもたらしている
  • イギリス社会では上向きだけではなく、下向きの社会流動性も大きくない
  • 伝統的な職業に就くためには、恵まれた環境に育った人たちが親から受け継ぐ傾向の強い、文化資本、社会関係資本という不明瞭で獲得しがたい資源が今でも重要
  • 社会のヒエラルキーの頂点で、その優位性が相互強化されている実態
  • 「文化的ホームレス」
  • 機会平等は、全体の平等があって初めて実現できる
  • 優位性の頂上がますます上昇している
  • 大学進学率の伸長は機会平等に寄与しない
  • 大学によってもたらす資源には大きな違いがある
  • 多くの学生にとって高等教育は階級移動を実現する手段となっている。
  • 能力主義による学生の選抜が広がり大学進学者の数は増えたが、それによって機会の平等が確保されたわけでも階級間の格差が解消されたわけでもない。
  • 階級と地理は無縁ではない。
  • ロンドンに人々の関心が集中しているのは、首都圏以外の地域の魅力が失われつつあることの表れでもある。
  • 社会的衰退の姿は、(中略)コミュニティ全体の弱体化の結果でもある。
  • 場所や所在地は、美的、社会的、文化的な洗練を表すものとなっている
  • 経済資本だけでなく、社会関係資本と文化資本も地理的な格差を暗示している
  • 新しいエリートには卓越した地理感覚があり、都市の価値を発見し特徴づけしている。
  • そのような資源(リソース)がロンドンとその周辺にどれほど集中しているのかという、際立った状況
  • 都市と農村の強力な分断は、(中略)都市の中心部が文化資本(特に新興文化資本)と社会関係資本を集める場として機能するという観点から説明できる
  • ロンドン出身者が、地方出身者よりも有利であることを示すデータはない。しかし、インタビュー回答者の証言からは、それが明らかだった。
  • 能力主義の階段を上がるには、「生まれつき」与えられた恵まれた場所からスタートする方が楽なのである。
  • 英国階級調査では、プレカリアートは「行方不明の人たち」である。
  • 英国階級調査自体が社会の最下層の人々を蔑む効果を持つ策略に加担してしまっていた。
  • ステレオタイプに分類されることの意味を理解している。そしてこれには差別と道徳上の問題があることを認識している。
  • しかし、これら(文化的活動)は大人になってからも続けている活動ではない。子ども時代の(中略)思い出なのだ。
  • 社会には分類と序列化の文化がはびこり、それによってエリート主義と負の烙印が作り出され、増殖するのに利用される
  • 階級が多くの人々を「締め出している」
  • 実際には、(中略)階級の存在をあまりにも強力に証明する新しいスノビズムが働いている
  • 階級の概念そのものが、自我、人格に対して根本的な脅威を引き起こすという感覚
  • 普通の人々とは
  • 階級構造がいかに人間関係と強く結びついているか
  • 人々の階級意識は、多くの場合、自分が誰であるかではなく、自分は誰ではないという理解によって認識されている
  • 人々が階級という概念を嫌うのは、まさに日常に階級格差が深く刻み込まれているからであり、身の回りに不平等が増殖しているのを知っているからだ。
  • 能力主義的な政治の限界
  • 資本主義的な、新自由主義の市場システムそのものに疑いの目を向けなければならない。

『7つの階級 英国階級調査報告』(東洋経済新報社)より


階級という言葉・概念を用いるか否かの違いだけであり、日本の現状にも当てはまる実態を垣間見る気がしました。読む前に予想していたよりも、ずっと重い問題提起の本でした。自分の住んでいる国、地域、そして自分自身を省みて、深く考えることを求められる本でした。読んでよかったです。

「工芸の英訳ガイドライン」見っけ!

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

「工芸の英訳ガイドライン」見っけ!

何の世界でも同じだと思うのですが、仕事上、英語で話したり書いたりする際に悩ましいのが、業界の専門用語や、日本語に特有のニュアンス。どんな言葉を使えば伝わるのやら頭を抱えることがしばしばあります。

そんな先日、まったく偶然に発見したのが、一般社団法人ザ・クリエイション・オブ・ジャパンなる団体さんが出しておられる「工芸の英訳ガイドライン」。まさに「こんなのが欲しかった!」を見つけました。

サイトで情報を確認したところ、このガイドラインは2018年にできたようです。手掛けられたのがどのような団体さんなのかはよく知らないままに、まずは中身チェック。国内外の美術館博物館関係者の方々が実際にどのような判断(理由)でどのような用語を用いているのかが載っていました。

現場の最前線に立つ学芸員さんはじめ、美術館顧問、美術出版関係者、学術的研究者の方など、日本語ネイティブ、英語ネイティブ両方の複数の意見、実際どうしているかが載っているのがすごいと思いました。とても参考になったので、即ダウンロード。

「これが正しい」というよりは「こう書くことで、より正確に伝わる」という視点で書かれた英訳ガイドライン。英訳する際に、なぜそのように表記すべきなのか理由がわかるというのは、とてもありがたいものです。

同じ日本語に対して数種類の「伝わる英訳」が上げられている場合、それを推薦している方の所属と、その方がおっしゃっている理由を見ることで、自分が使うべき訳を決めることができます。どこの国で、どういう機関・施設で、どのような仕事をなさっている方が使っているのか。自分が伝えたい相手に近いところで仕事をしている方の訳を優先的に選ぶことができるのは、画期的なことです。

これまでは、やきもの関連の英訳の際、陶磁器を扱う美術館博物館の図録や美術展の図録を引っ張り出して、そのなかにある英文から表現方法を探し出して参考にする方法を取っていました。分厚い図録を繰って必要な表現を探すのは一苦労でしたが、これからはこの「工芸英訳ガイドライン」にかなり助けてもらえそうです。

嬉しい^^