読書『アフリカの瞳』(講談社)帚木蓬生著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『アフリカの瞳』(講談社)帚木蓬生著

帚木蓬生さんの追っかけ継続中です。長編が多く、一冊読み終わるのに時間を要するのではありますが、毎回テーマが興味深く、引き込まれています。本書のテーマは、アフリカのエイズ問題。小説とは言いながら、現実的な社会問題としてイメージできるものであり、少し前に読んだ、ルポライターの三浦英之さんによる『沸騰大陸』(集英社)を思い出しました。

個人が問題意識を持ったところで、相手が大企業だったり国だったりと大きな権力を持った存在の場合、無力感に苛まれ諦めてしまうことは責められないと、50年以上生きてきた今のわたしは考えています。声を上げなければ何も変わらないと言われたら、たしかにそうかもしれませんが、では声を上げればどうにかなるのか。せめて自分にできることをコツコツと、抵抗にもならないかもしれない抵抗をするしか、無いのではないかと。本書には、そんな無力感をものともしない正義感に突き動かされる登場人物たちが何人も出てきて、その姿にスカッとしたものを感じました。

本書は2004年が初出ですが、政治と製薬会社についての話は、つい先般のコロナ禍下でも同様のことが起こっていた(あるいは現在進行形かも)のだろうなぁと、思わせられるものがありました。わたしは昔、一年ほどの短期ですが製薬会社の仕事をしたことがあり、MR(医薬情報担当者)さんたちのお仕事ぶりを眺めていましたので、いろいろと想像できることも多々ありました。

ところで本書は、著者の過去作『アフリカの蹄』の続編的なものだそうで、本書の中でもそのエピソードが度々登場しました。『アフリカの蹄』を読んでいなくても、まったく問題なくストーリーに入り込むことができましたが、遡って読みたいと思います。

『アフリカの瞳』(講談社)帚木蓬生著

久しぶりに福岡市美術館をウロウロ―常設の「コレクション展」を楽しむ♪

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

久しぶりに福岡市美術館をウロウロ―常設の「コレクション展」を楽しむ♪

9月に開催する郷育カレッジの美術鑑賞講座の打ち合わせのため、福岡市美術館に行ってきました。打ち合わせは午後からでしたので、お昼前に美術館に入って、先にじっくり一周です。

現在、特別展示室では「Hello Kitty展」開催中の福岡市美術館。大濠公園に入ったとたんに、キティちゃんの紙袋を持った人がたくさんで、展覧会の盛況ぶりが伝わってきました。キティちゃんは好きですが、美術館でキティちゃんを見たいとは思わないので、今回は特別展はスルーして、常設展示のコレクション展示室へ。

2階にある近現代美術室のうち、毎年一回大幅な展示替えが行われるエリアがあり、前回訪問時から大きな変化が見られました。まずは展示室のつくり自体が変わっていたこと。これまでなかったところに壁が出現し、広い展示室のなかにいくつかのコーナーができていました。またキャプションボードだけでなく、作品を掲示している壁自体に文字や図を入れて、鑑賞方法をナビゲーションする仕組みも。学芸員さんたちが「鑑賞してもらうための工夫」をいろいろと検討しておられることが、伝わってきました。

その先に進むと、比較的短期でテーマ展示を入れ替えているコーナーです。「懐かしの風景~ニッポンの夏~」のタイトルで、絵画や版画作品が並んでいました。ここに並んでいた、伊藤深水の美人画シリーズの木版画が、見ごたえありました。

福岡市美術館 伊藤深水の美人画木版画
福岡市美術館 伊藤深水の美人画木版画

そして、ここで気が付いたのが、福岡市美術館の展示が、原則として写真OK(フラッシュNG)になっていたこと。監視員のお姉さんに「写真OKになったんですね!」と声をかけたら、ニッコリと「はい!ダメなところだけ、撮影禁止のピクトグラム表示が出ています」のお返事でした。ようやく福岡でもこの流れになってきたのですね、とっても嬉しいです。

昨年度リニューアル工事中で立ち入り禁止エリアになっていたところも、すべてオープンしていて、ホールにも新しい作品が設置されていました。ゆっくり横目に眺めつつ、続いては、1階の古美術のコレクション展示室へ。古美術のコレクション展示は、安定の素晴らしさで、ここに来ると気持ちが落ち着きます。企画展示室では、夏休みということもあり子ども向けに「音楽会」をテーマにした所蔵作品の展示でした。茶道具をメインとした松永記念館室も、夏の茶事をテーマにしており、学芸員さんたちの工夫の跡がうかがえます。このエリアは比較的展示替えが頻繁にあるので、次回訪問の9月には変わっているはずで、これまた楽しみです。

散々眺めた後に、福岡市美術館の教育普及担当学芸員さんと打ち合わせ。そのあとまた、一緒に常設展示室を2階から1階へと回りました。館の学芸員さんと一緒に回ると、展示の裏話などもお聞きできるのが楽しいです。役得で、ありがたいことです。福岡市美術館内をほぼ2周回って、歩数計は5000歩を超えていました。美術館博物館は、体を動かすのにも最適です^^

藤吉憲典の器に会えるギャラリー・お店情報など2025―その4。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

藤吉憲典の器に会えるギャラリー・お店情報など2025―その4。

藤吉憲典の作品を取り扱ってくださっているギャラリーさんを、藤吉憲典公式サイトに掲載しています。「どこに行ったら見れるの?買えるの?」の疑問をお持ちの皆さんに、ご参照いただけると嬉しいです。トップページの下方「GALLERY」でご覧いただけます。2025年8月現在の情報です。

藤吉憲典公式サイト 日本語版 https://fujiyoshikensuke.com/ja/

ブログでもあらためてご紹介をスタート、その4は、岡山のギャラリー栂さんです。


ギャラリー栂

岡山県といえば備前焼、の産地にほど近い、自然豊かな和気の里山に、2000年にオープンしたギャラリー栂さん。オーナー栂さんのお人柄と審美眼に、地元岡山を中心に根強いファンを持つギャラリーです。

岡山県和気郡和気町清水288−1
TEL 0869-92-9817
営業時間:11-17時
企画展・常設展 ※毎月変わって開催
定休日: 月曜日・第3日曜日

https://www.gallerytoga.com


栂さんでは、不定期に藤吉憲典の個展を開催してくださっています。器からアートまで、作家の作るあらゆるジャンルの作品を通して、紹介していきたいというのが、栂さんのスタイル。ですので、栂さんの個展では、実にバラエティ豊かな顔ぶれが並びます。初日には、参加人数限定にはなりますが、「アーティストトーク」を開催するのも定番。お客様からの質問にも答えられる形式で、作家・作品を知ってもらう機会となっています。熱心なお客様が多く、時間を延長することもしばしば。

オーナーの栂さんは、とてもパワフルで信念のある女性。お付き合いがスタートする前に、初めて津屋崎の花祭窯の工房までお越しになったときに、自らのギャラリーで何を発信したいのか、明確なビジョンを語ってくださった印象が鮮烈でした。ギャラリーに隣接して、栂さんのご子息が腕を振るうお蕎麦屋さんがあります。豊かな自然のなか、ギャラリーで眼福、お蕎麦で口福になれる場所。時間をかけて足を運ぶ価値のある場所、ゆっくり味わいたい空間です。


「藤吉憲典の器に会えるギャラリー・お店情報など2025」次回は、大阪阿倍野の「暮らし用品」さんをご紹介いたします^^

藤吉憲典の器に会えるギャラリー・お店情報など2025―その1。(桃居さん)

藤吉憲典の器に会えるギャラリー・お店情報など2025―その2。(百福さん)

藤吉憲典の器に会えるギャラリー・お店情報など2025―その3。(銀座黒田陶苑さん)

「1年を通して畑の作り方・野菜の作り方をまなぶ」畑レッスン進捗状況その5。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

「1年を通して畑の作り方・野菜の作り方をまなぶ」畑レッスン進捗状況その5。

造園家であり花や野菜を作りハーブの専門家であるガーデンアルテさんの畑で「1年を通して畑の作り方・野菜の作り方を、一緒にやりながら教わる講座」。今年2月に寒い寒いと騒ぎながらスタートしたレッスンも、いまや熱中症対策に神経を配りながらのレッスンです。年明けには「マイ畑」を作り始めたい。楽しみながらせっせと通っております。

上の写真は育ちすぎて、文字通りとても歯が立たない状態のオクラ(笑)。このまま乾かして、来年用に種を採ります^^


(20)6/29(日)晴 15-17時 24/30℃

  • ビーツ、ニンジンは収穫完了。
  • 畝の崩れている部分は周りからきれいに整える。
  • 草を畝の周りに敷き詰めて、肥料にするとともに、保水をする。
  • トマトの伸びた部分を支柱に結ぶ。横に広がった茎も、支柱にまとめるように結ぶ。
  • キュウリがネットに上っていけるように、導いてあげる。

(21)7/6(日)晴 16-18時 27/34℃

  • 畝を整える。草を刈って周りに敷き詰める。畝の上も土が乾かないように草で覆う。
  • シシトウ、トマト、ニラ、モロヘイヤ収穫。
  • モロヘイヤの華は毒なので、花が咲いたら食べたらダメ。
  • ニラは全部まとめて収穫→次回収穫時に伸び方が揃うので収穫しやすい。
  • ニラは、ハカマ部分の上の方できるとバラバラにならない。ハカマは成長点になるので、切りすぎないように。
  • トマトは少し黄色くなったら収穫して、追熟で赤くなるのを待つ。
  • 大豆(えだまめ)の種、シシトウの苗、モロヘイヤの種を、空いた畝に追加で植える。
  • 水をたっぷりかけてから、草で覆う。
  • モグラの穴→掘ってから埋める。

(22)7/13(日)晴 16-18時 26/33℃

  • オクラ、ミニトマト、シシトウ収穫。
  • オクラは暑くなるとどんどん大きくなるので、バンバン採る。
  • 草刈り、畝整え、畝周りに草を敷く。
  • 畝周りの草刈りは、5センチほど残して刈ることで、水分の保持につながる。
  • トマトは気温が高くなりすぎると受粉しなくなるので実がつかないが、涼しくなるとまた実をつけるので、そのまま育てる。

(23)7/26(土)晴 16-18時 26/34℃

  • トマト、シシトウ、オクラ、ナス、キュウリ収穫。
  • オクラの育ちすぎたやつは種用に。そのまま乾かすと、自然と実が割れて種が取れる。
  • 虫食いのひどい葉や枯れた茎は落として、きれいな状態にしてあげる。葉の裏側もチェック→虫がついていたら、はらう。
  • 葉がしんなりしているところから、水を与える。シシトウ。
  • トマトは伸びている分を支柱に結ぶ。キュウリは網に這わせる。
  • シシトウの横にインゲン豆の種を植える。這うタイプ。
  • 畝周りの草刈りは5センチほど残して保水。

(24)8/4(月)曇 16-17時 29/32℃

  • シシトウ、オクラ、ナス、キュウリ、ニラ収穫。
  • 虫食い葉、枯れ葉を落として、きれいにしてあげる。
  • シシトウは1本枯れてしまった―水不足。

立秋の今日は、久しぶりにまとまった雨となりました。ずっと高温の晴が続いていたので、畑が喜ぶ雨です。畑をすると、これまで以上にお天気に注意が向きやすくなりますね。

読書『人生劇場』(徳間書店)桜木紫乃著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『人生劇場』(徳間書店)桜木紫乃著

いつものカメリアステージ図書館新刊棚より、久しぶりの桜木紫乃さん。前回桜木紫乃さんを読んだのは2022年のことでしたので、約3年ぶりです。今回もまた、行間からあふれてくる「凄み」に圧倒されながらの読書となりました。

徳間書店の公式サイトに、著者自身のコメントが載っていました。曰く「書きながら改めて、生きることは滑稽だと感じました。滑稽でいいと思うところまで、書けた気がします。」と。読後に公式サイトの解説を見て、本書は桜木紫乃さんが実の父親をモデルにしたものだということがわかり、思わずうなりました。「家族」の闇の壮絶さ。その壮絶さをもって「滑稽」と断じてしまう著者の目線は、いったいどこから注がれているのか、ある種自虐的なものを感じました。

実の父親がモデルであるという主人公の、コンプレックスと、自分はこんなものではないという焦り、必ず見返してやるという気持ちが痛々しい物語。自分で自分を追い込み、家族に当たり散らす姿は、人としての器の小ささゆえ、と言葉にするのは簡単ですが、読んでいて他人ごとにしきれない自分に気づかされました。どこかで少しは光が見えてくるのではないかと期待して読んでいても、見えそうだと思った光はあっという間に雲に隠れてしまう救いのなさは、著者の真骨頂なのかもしれません。

そういえば前回追っかけたときは、数冊読んだものの、もろもろの受賞作はじめ「桜木紫乃といえば」な著書は、一冊も読んでいませんでした。凄みに中てられてしまうので、連続してたくさんは読めない感じです。だけれども、読みたくなる。明るい本の合間に、ときどき遡って少しづつ読んでいくのがよさそうです。

『人生劇場』(徳間書店)桜木紫乃著

8月に入りました―誕生月なので「一人戦略会議」からスタート。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

8月に入りました―誕生月なので「一人戦略会議」からスタート。

今月はワタシのお誕生月でもありますので、長期計画を含めて一人戦略会議からスタートです。というのも、昨年「おかげさまで、55=GOGO!な1年がスタートしました―まずは一人戦略会議から。」で、良い感じにスタートが切れたので。先日「サッシン・ベース」に参加しましたが、そのキックオフ=スタートが8月1日だったというのも、わたしにとっては良かったです。タイミングよく背中を押していただいています。

まずは年初に立てた経営指針書の進捗確認から。月々で随時チェック&書き込みはしていますが、このタイミングで精査します。変更事項がいくつもあるのはもちろん、この半年超で新たに増えているやるべきこと&やりたいことが目にとまり。そういうものを、機を逃さず入れていけるよう、意識してスケジュールに空白・余裕を作っておくことが大切ですね。今年は個展等の展覧会スケジュールを詰めすぎずに調整できましたので、作り手の負担も過剰ではないはず。作る人もまた、納期に追われすぎては良い仕事ができませんので、この辺りは意識してゆかねばなりません。

昨年は「GOGO!な今年からは、アートエデュケーターとしての仕事を、また少しづつ増やしていきたいと考えています」と書いていました。正直に言えば、この1年でそのための具体的積極的なアプローチはできなかったのですが(汗)、思いがけないところからの打診などもあり、これから機会を増やしていけそうです。花祭窯おかみの仕事とアートエデュケーターとしての仕事は、相互に良い影響・効果があります。常にさんざんインプットはしてきていますので、しっかりアウトプットにつなげたいところです。

一人戦略会議の時間を確保できたので、まずは満足。ここから秋冬の個展・展覧会・商談会・新規事業に向かって、しっかり仕事して参ります。

ご近所ワークスペース:あまりにも暑いので、あちこちに避難しながら仕事^^;

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

ご近所ワークスペース:あまりにも暑いので、あちこちに避難しながら仕事^^;

猛暑ですね。今朝は久しぶりに雨が降り、比較的涼しいですが…というか、35℃を下回っただけで涼しく感じる、というのもすごいことですね^^;

さて花祭窯は、古民家で広いもので、風を通すような作りにはなっているのですが、密閉して冷やす方法に対しては、なかなか非効率です。「夏は涼しく」の日本家屋の造りも、この猛暑には苦戦している、というところ。サンシェードをつけたり、エアコンと扇風機と卓上型クーラーを併用したり、四苦八苦しています。

そんなときは、がっつりエアコンが効いているところに避難!ということで、わたしの外部オフィス!?をふたつご紹介。まずひとつめは、これまでにもたびたびご紹介している「津屋崎千軒なごみの和室」。なごみは、和室使用料(1時間100円)+エアコン代(1時間100円)がかかりますが、その分、個室感覚で利用できるのがGOOD。公共施設ならではの価格設定で、リーズナブルだとわたしは思います。和室ですが「机と椅子」スタイルでも使用可能です。フリーWi-Fi完備。

続いては、カメリアステージ図書館。カメリアステージ図書館は、個室にはなりませんが、館内のあちらこちらに仕事や勉強ができるスペースがあります。館内をぶらぶらと歩きながら、席を探すのも楽しく。1階にはカフェエリアもあり、こちらの席も、飲食のオーダーを入れたら使えます。夏休みの今は、小中高生が勉強する姿も少なからず見かけますが、「席が空いていない!」というほどではありません。こちらもフリーWi-Fi完備。子どもがたくさんゲームをしているときは、つながりにくいこともありますが(笑)。

こんなふうに場所を変えると、単に「エアコン効いてて涼しい=クールシェアリング」というだけでなく、気分転換になるのが良いですね。昔サラリーマン時代に人材育成の仕事をしていたとき、社員研修の場所は普段の仕事場と別の場所のほうが効果が上がることを実感していましたが、同じ効果だと思います。物理的な移動には、何か脳や意識に働きかける効果があるのだろうな、と。どこか場所を変えて仕事をしたいというときは、ご活用を検討してみてはいかがでしょうか♪

津屋崎千軒なごみ

カメリアステージ図書館

福岡県中小企業ステップアップ支援事業「サッシン・ベース」がスタートしました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

福岡県中小企業ステップアップ支援事業「サッシン・ベース」がスタートしました。

福岡県の中小企業支援事業はいろいろとあって、例えば経営革新計画書の策定や、それが認められた後の融資や補助金審査における加点など、たびたびお世話になっています。昨年度、一昨年度とお世話になったデザインワークショップも、県の施策でした。そういえば、海外進出にあたって長年お世話になった福岡アジアビジネスセンター(2025年より組織変更)も、県の出先機関。と考えてみると、福岡県民としてのメリットをかなり享受していますね。ありがたいことです。

そんな福岡県の商工部スタートアップ推進課からご案内をいただいた支援事業「サッシン・ベース」への参加が無事採択されまして、昨日はそのキックオフイベントに参加してまいりました。キックオフイベントなんて、サラリーマン時代以来です(笑)。この事業は昨年度から始まったそうで、わたしたちは第二期。今回の参加企業は17社です。

県の委託でこの事業を運営するのは、デロイト・トーマツグループの方々。初日は参加者の顔合わせと、事業期間中の個別の担当者となるコンサルさんからマンツーマンでのヒアリング、その後はテイクオフパーティーでした。「キックオフ」だったり「テイクオフ」だったり(笑)。トーマツの担当コンサルさんからのヒアリングは、ヒアリングというよりもおしゃべりという感じで上手に引き出してくださり、さすがプロだなぁと思いました。花祭窯の創業年(1997年)を見て、「僕の生まれた年です!」と言われたときはガクッとなりましたが。

テイクオフパーティーでは、「ファクトリエ」を運営するライフスタイルアクセント株式会社の代表取締役 山田敏夫氏の講演と、大正13年創業の漆喰の会社である田川産業株式会社の代表取締役 行平史門氏の講演がありました。これがまた、それぞれにとても面白かったです。夢(実現を前提とした)を持つことの力と、人生何が起こるかわからないワクワク感を見せつけられました。そしてなにより「日本の製造業の力」を信じ守ってゆかねば、という誇りと使命感をひしひしと感じました。ファクトリエの山田さんがおっしゃった「日本から世界ブランドをつくる」が、響きました。花祭窯もまた、製造業(窯業)です。お二方の熱いお話を聴いて、すっかり気分が上がりました。

この日一番びっくりしたのは、20年以上前から勉強会でご一緒させていただいた経営者さんと会場でお会いしたこと。どうやら参加者のリストはウェブ上に上がっていたらしく、先方はご存じだったようなのですが、わたしはまったく見ていなかったので、嬉しくて思わず大騒ぎしてしまいました。また、別の勉強会で10年以上前にご一緒したことのある方が参加なさっていて、「お久しぶりです」と声をかけてくださいました。皆さんやっぱり頑張っておられるのだなぁと、しみじみ思いました。そんな方々とこれからまたご一緒に学べることが、とても心強く、ほんとうに嬉しいです。

プログラムは2026年3月まで、月1回の集合研修です。上の写真は、「支援メニュー」として掲載されているもの。これからのプログラムがとても楽しみです^^

藤吉憲典の器に会えるギャラリー・お店情報など2025―その3。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

藤吉憲典の器に会えるギャラリー・お店情報など2025―その3。

藤吉憲典の作品を取り扱ってくださっているギャラリーさんを、藤吉憲典公式サイトに掲載しています。「どこに行ったら見れるの?買えるの?」の疑問をお持ちの皆さんに、ご参照いただけると嬉しいです。トップページの下方「GALLERY」でご覧いただけます。2025年8月現在の情報です。

藤吉憲典公式サイト 日本語版 https://fujiyoshikensuke.com/ja/

ブログでもあらためてご紹介をスタート、その3は、銀座の黒田陶苑さんです。


銀座 黒田陶苑

1935年の創業以来、厳選された日本の近現代陶芸作品や古陶磁を取り扱う、日本を代表するギャラリーです。北大路魯山人の鑑定ギャラリーとしても知られています。

東京都中央区銀座7丁目8-17虎屋銀座ビル5階
Tel:03-3571-3223
営業時間:11:00~19:00
定休日:月曜日
https://kurodatouen.com

別館:銀座 黒田陶苑アネックス

中央区銀座6-12-14 銀緑館2F
営業時間:12~18時
定休日: 月・火曜日


日本の近代陶芸の担い手たちと、美術工芸たる陶芸文化を支えてきた銀座の黒田陶苑さんは、多くの陶芸家が目指す場所です。公式サイトの「銀座黒田陶苑 社史」で、日本陶芸史上で黒田陶苑さんが果たしてきた役割を垣間見ることができます。

そんな黒田陶苑さんと藤吉憲典とのご縁は、三代目店主・黒田佳雄さんにより始まりました。黒田さんと藤吉の初見のエピソードは、思い返すにつけニヤリとなります。物故者含めそうそうたる陶芸家の作品を扱う黒田陶苑さんに対して、芸術学歴も師匠筋も所属も持たない藤吉がアポを取ったときのこと。はじめは会う時間が取れないとおっしゃっていた黒田さんが、作品をご覧になった途端に出てこられ、その場で最初のお仕事の打診を受けたのでした。

当時は(今もそうかもしれませんが)、名の売れた老舗ギャラリーほど、後ろ盾のない作家を門前払いすることが少なからず。作品を見る前に「どこの先生におつきですか?」「どなたからのご紹介ですか?」とご質問なさるオーナーさんはけっこうありました。そんななか、超ご多忙の黒田さんが、藤吉の器を見ただけで、作家の経歴などほとんど聞くことなく、その場で会い、扱うことを決められたことに、勝手に運命的なものを感じました。

おかげさまで、一年おきに個展の機会をいただいています。次回は来年2026年。とても楽しみです。


「藤吉憲典の器に会えるギャラリー・お店情報など2025」次回は、岡山の「ギャラリー栂」さんをご紹介いたします^^

藤吉憲典の器に会えるギャラリー・お店情報など2025―その1。(桃居さん)

藤吉憲典の器に会えるギャラリー・お店情報など2025―その2。(百福さん)

読書『閉鎖病棟』(新潮社)帚木蓬生著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『閉鎖病棟』(新潮社)帚木蓬生著

いつものカメリアステージ図書館から。先日読んだ『聖灰の暗号』が衝撃的でしたので、さっそく帚木蓬生氏の追っかけです。わたしが知らなかっただけで、たくさんの著書がおありだとわかりましたので、今回は蔵書検索せずに直接図書館の棚へ。「日本の小説」の「は」行の棚を眺めたところ、ありましたありました!単行本のコーナーにも、文庫コーナーにも何冊も並んでいました^^

さて『閉鎖病棟』。著者の、登場人物へのあたたかい目線に救われる読書となりました。なにかのきっかけで自分をコントロールできない状態になってしまったこと、その延長線上で罪を犯してしまったこと。閉鎖病棟に住まうそれぞれの過去はあるにしても、そこで穏やかに暮らしている姿の描写を見れば、閉鎖病棟の中と外、その間にある心理的な壁の高さが、過剰にも思えてきます。かといって、では自分のすぐ身近にある現実のことだとなったときに、自分は受け入れることができるのだろうかと考えると、自信がないというのが正直なところで、自らの勝手さを突き付けられる読書ともなりました。

小説の終盤からラストにかけての展開に、心打たれます。

『閉鎖病棟』(新潮社)帚木蓬生著

山本周五郎賞受賞作という本作は、どうやら映画化もされていたようです。もしやと図書館検索したところ、DVD発見!ありがとう図書館。追ってこちらも観ようと思います。

『閉鎖病棟』のあと、同じく新潮社から出ている『沙林 偽りの王国』も読みました。小説=フィクションと断り書きをしながらも、事実に基づいた詳細な記述はルポルタージュのように読めました。地下鉄サリン事件当時、わたしは福岡に住んでいましたが、同僚が日比谷線に乗車していたこともあり(幸い軽症でした)、報道を見た時の記憶がよみがえってきます。そんなこともあって、本を読み終わってすぐの今は、平常心では語れない感じがありますので、こちらの読書記録はまた別の機会に。