久しぶりに歌舞伎―『六月博多座大歌舞伎』を観に行ってきました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

久しぶりに歌舞伎―『六月博多座大歌舞伎』を観に行ってきました。

博多座での観劇自体かなり久しぶりで、歌舞伎というともう前に見たのがいつだったかしら(笑)…というほど。千穐楽の三日前、博多座内はたくさんのお客さんでにぎわっていました。開演前の売店周りの賑わいに巻き込まれると、博多座に来たわ~、と気分が盛り上がります。お弁当屋さんやらお土産屋さんやらフォトスポットやら。ウキウキとした気分になる上質な空間づくりは、やっぱりすごいなぁと思います。

わたしが観に行ったのは「昼の部」でした。テレビだったか新聞だったか、ローカルメディアで目にしたインタビューで、中村勘九郎さんが「今回特にお昼の部は、歌舞伎初心者の方でもわかりやすく楽しんでいただける演目だと思います」とおっしゃっていたので、鵜呑みにして伺いました。とはいえ、あまりにも「まっさらな状態」で臨むと「ストーリーについていけなかった!」という事態になりかねないことは経験上知っていましたので、あらすじと配役が記されたチラシだけいただき、開演までに目を通しました。

演目は『引窓(ひきまど)』、『お祭り』、『福叶神恋噺(ふくかなうかみのこいばな)』の三つ。勘九郎さんのお話のとおり、いずれも分かりやすく、事前にあらすじを読んだ効果もあって、ちゃんとストーリーのなかに入っていくことができました。ついつい、所作の美しさ、動きと音の不思議さ、舞台装置の面白さに見とれてしまうのですが、今回は「人情もの」のお話もしっかり味わうことができたのが良かったです。鑑賞者としてのわたし、ちょっぴりは成長したのかもしれません(笑)。前から10列目ほどの席で、舞台上の演者の表情の変化がちゃんと見えたのも嬉しかったです。

個人的に一番気に入ったのは、勘九郎さんの踊りがメインの『お祭り』。たまにテレビで見かけるイメージとはまったく違っていて、「この人こんなに色気があったのね」と驚愕。これは「一幕見券」でもう一度観たいかも!と思ったものの、千穐楽まで残り2日で断念しました。『引窓』では橋之助さん演じる与兵衛が素敵でしたし、七之助さんが可愛らしかった『福叶神恋噺』はローカルネタを入れ込むなどサービス満点で、時折笑いに包まれながらの観劇でした。

久しぶりの歌舞伎、とっても楽しくて大満足でした。それにしても、勘九郎さんに対して持っていたイメージがガラッと変わりました。次、機会があれば、ぜひ七之助さんの女形が際立つような演目を拝見したいと思います。

読書『ミス・サンシャイン』(文藝春秋)吉田修一著

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読書『ミス・サンシャイン』(文藝春秋)吉田修一著

映画『国宝』が大ヒット中ですね。「絶対映画館で観るべき!」というお友だちが続出するなか、いつものカメリアステージ図書館で目に留まったのが、吉田修一さんの既刊本である本書でした。『国宝』はさすがに誰か借りてるよな、と思っていたところに視界に飛び込んできたので、借りることに。2022年の発刊ですので、約3年前ですね。新聞かなにかの書評で目にして「これは読んでみたいかも」と思ったのを覚えていますが、そのままになっていました。

吉田修一さんの著書は、映画化されているものも多いですね。わたしはこれまで『悪人』を読んだだけだったと思います。妻夫木聡&深津絵里という、個人的にはかなり魅力的に感じる配役で映画化されていましたが、観ていません。長崎県出身の吉田修一さんが描く『悪人』の舞台は福岡・佐賀・長崎だったので、「ああ、あの辺のことだな」とわかる場所が何カ所も登場し、本を読みながらそれらの場所の現実的な景色が鮮やかに頭に浮かんでいたので、そのイメージを壊したくなかったのかもしれません。

さて『ミス・サンシャイン』。発刊当初に書評を読んで興味を持った理由の一つが、著者が「長崎=原爆」にどういうアプローチをするのか、というところでした。わたしは10代~高校卒業までを長崎県内で育ったのですが、本書にも何度も出てくるように、長崎県では8月9日を語り継ぐための「平和学習」にとても力を入れています。公立学校では8月9日は「登校日」になっていて、毎年平和学習が続けられます。今もそうなのかな?少なくともわたしが育った時代はそうでした。吉田修一さんは1968年生まれとなっていましたので、がっつり同世代。そんな方が、どんなふうに小説に載せるのか興味がありました。

文藝春秋の公式サイトでは、「僕が恋したのは、美しい80代の女性でした」というフレーズで、本書が紹介されています。たしかにそのような物語なのですが、そのサイトに女優の吉永小百合さんによる推薦コメントが掲載されているところが、注目です。吉永小百合さんは、テレビドラマで体内被曝をした役を演じてから、ずっと反戦・反核の運動をなさっている人。推薦コメントには、そのような文言は一切含まれていませんが、「作家の故郷への思いを 私は今、しっかりと受け止めたいです」とおっしゃっていて、そのことが何を指しているのかは、著者と同じような平和教育を受けてきた者には、明らかでした。

長崎の原爆を現代から見る小説としては、カズオ・イシグロ著『遠い山なみの光』が、わたしのなかには印象的に残っています。こちらは今年、映画が公開されるということで話題にもなっていますね。広瀬すずさんが主演。今年初めに見た映画『ゆきてかへらぬ』の広瀬すずさんがとても良かったのと、もちろんカズオ・イシグロさんの原作も興味深く読みましたので、これは観に行かねばと思っています。

『ミス・サンシャイン』(文藝春秋)吉田修一著

カメリアステージ図書館イベント「発掘調査のあゆみ方」に参加してまいりました。

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カメリアステージ図書館イベント「発掘調査のあゆみ方」に参加してまいりました。

イベントの正式タイトルは

「発掘調査のあゆみ方~発掘調査最前線 整理作業編~」

講師は福津市教育委員会文化財課・史跡整備係の崎野祐太朗氏。会場となったカメリアステージ図書館の多目的室は、定員10名程度のこじんまりとした空間です。カメリアステージ図書館は2階にあるのですが、その1階が歴史資料館になっていて、この手の勉強会が企画されるのにはうってつけの環境です。まぁまぁマニアックなテーマだけに、参加者少ないかしら…と心配しながら出かけたところ、なんのなんの、募集人数越えの参加で知った顔もちらほら。ともあれ文化財発掘調査に関心を持つ同志!?が、地域に一定数居ることがわかって、嬉しいかぎりです。

今回は「整理作業編」ということで、現場での発掘作業が終わった後から調査報告書作成・発行に至るまでの流れのお話でした。「現場編」は昨年開催したとのことで、わたしとしたことが参加しておりませんでした…痛恨です。が、昨年の現場編の資料も「ご自由にお取りください」と用意してあり、その準備の良さに感嘆。ありがたくいただいてまいりました。

以下、備忘。



  • 遺跡の報告が一番重要=「文化財調査報告書」を作るために発掘調査をしているようなもの。
  • 遺跡は「国民共有の財産」である。
  • 「似たようなもの」はあっても、二つとして同じものは無い。
  • 現場での発掘作業(記録作業)→室内での整理作業(成果検討)→報告書刊行(文化財の公開)
  • 文化財調査報告書を刊行するまでが発掘調査!!
  • 位置と環境=遺跡の上に大地無し→大地があって、遺跡がある→だからこそ、位置・環境・背景を語ることが大切。
  • 「客観的事実に基づいて述べる」ことが大事!
  • 調査報告書の発行を経て、ようやく展示公開することができる。
  • 人類の代表として記録保存。
  • 発掘調査のあゆみ方とは、人類史を守り伝えるためのあゆみ方。

「発掘調査のあゆみ方~発掘調査最前線 整理作業編~」福津市教育委員会文化財課・史跡整備係の崎野祐太朗氏より


最近の発掘調査で、福津市内で縄文時代の遺跡が見つかっていたり、「奈良三彩」の破片が見つかっていたり、という成果があったと聞き、テンションが上がりました。今回の講座でお話しくださった文化財課の職員さんは、わたしは「初めまして」の若い職員さんでしたが、熱く語る姿に仕事への誇りと愛情が感じられ、福津市の文化財課の前途が明るいことを確信しました。「人類の代表として記録保存」「発掘調査のあゆみ方とは、人類史を守り伝えるためのあゆみ方」というフレーズに、グッときました。

実は一時期、趣味が高じて福津市の「発掘作業員」に登録していたことがあるワタクシ。その時に携わった発掘調査は、江戸時代の塩田跡でした。時代的には新しくて、古墳時代を掘り慣れているベテランの皆様は「こんな最近のもの…」とおっしゃっていましたが(笑)、それでも十分にロマンを感じたものです。今回のお話を聞いて、また発掘に行きたいなぁという気持ちが沸きあがってきました。いえ、行きたい気持ちはずっとあったのです。そこに時間を割くことができるかどうか。真剣に考えている自分が可笑しいです。

素晴らしいイベントを企画してくださった図書館の皆様と、講座を担当してくださった文化財課職員さんに心より感謝です^^

「EC経営者・担当者向け1Dayセミナー」に参加してまいりました―その2。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

「EC経営者・担当者向け1Dayセミナー」に参加してまいりました―その2。

イベントのフルタイトルは

EC経営者・担当者向け1Dayセミナー makeshop day FUKUOKA 8th anniversary by GMO

ECビジネスのサービスを提供するGMOメイクショップ株式会社福岡支社さんのイベントでした。GMOメイクショップさんのユーザーでなくても参加OKということで、申し込みいたしました。登壇企業さんは、登場順に、長崎・波佐見の有限会社マルヒロさん、福岡・八女の株式会社うなぎの寝床さん、Jリーグのアビスパ福岡株式会社さん、福岡ローカルメディアの株式会社KBC UNIEさんの四社。前半2社についてのレポートは「その1」でご覧くださいね。上の写真は、会場となったアクロス福岡の「アクロス山登山」登り口。

以下、備忘。


↓アビスパ福岡株式会社「2,100回の地域イベントで実証!短期施策と長期施策で実現するLTV経営」より

  • LTV経営=Life Time Value経営。
  • 持続可能性。
  • 社会問題が集まるクラブを目指す。
  • ヨーロッパのチームでは、サステナブルな事業にスポンサーがつくのがスタンダード。
  • 日本初の「サステナビリティなパートナーシップ」を掲げるチームになろう!
  • 社会連携活動を仕組み化する。
  • サッカークラブが動くとメディアが動く、を利用する。
  • アビスパを知らない、サッカーに興味ない、人たちへのアプローチ。
  • 「アビスパは、地域(福岡)のために、何かしてくれているのか?」の声。
  • 入り口としての、チーム名を冠したボランティア活動。
  • 地域イベント・社会イベントで「タッチポイント」を増やす→仲間意識の醸成→長期的なファンの育成。
  • コミュニティを支える三要素「地域愛と強いリーダーシップ」「『参加者』から『当事者』へ」「社会性と経済性の両立」。

以上。

EC経営者・担当者向け1Dayセミナー makeshop day FUKUOKA by GMOより


このあとにもう一つ、株式会社KBC UNIE「テレビ・ラジオで取り上げられる裏技露出戦略」のお話がありました。こちらも興味深いものでしたが、なにしろタイトルが「裏技」で「ここだけの話」的な雰囲気がありますので、ブログにアップするのはやめておきます(オープンな講演でお話しなさったことですので、もちろん違法な話とかそういうものではありません(笑)。

アビスパ福岡さんのお話は、事業者としてのみならず、一市民としても、とても興味深いものでした。花祭窯はもともと佐賀でスタートしましたので、サッカーチームといえば「サガン鳥栖」なのですが、アビスパ福岡のホームゲームも、これまでに3回ほど足を運んで観たことがあります。サガン鳥栖もずっと経営難=資金繰りで苦しんできていて(おそらく現在進行形)、そういうものを打開する策の一つとして、市民向けに佐賀県内のあちらこちらで選手が活動しているのを見かけていました。アビスパもまた同じ課題を抱えていたのですね。

ところで、当日は100名を超える参加申し込みがあったということで、会場となったアクロス福岡円形ホールは、たくさんの人が出入りしていました。席が文字通り円形になっているので、どこからでも演者とスクリーンがよく見えて、ストレスなくお話を聞くことができました。アクロスにはよく足を運びながら、円形ホールでのセミナー参加は初めてだったのですが、いいホールですね。

GMOメイクショップ株式会社福岡支社さん、ありがとうございました!

「EC経営者・担当者向け1Dayセミナー」に参加してまいりました―その1。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

「EC経営者・担当者向け1Dayセミナー」に参加してまいりました―その1。

イベントのフルタイトルは

EC経営者・担当者向け1Dayセミナー makeshop day FUKUOKA 8th anniversary by GMO

ということで、ECビジネスのサービスを提供するGMOメイクショップ株式会社福岡支社さんのイベントでした。今回が8回目ということでしたが、わたしはこれまでこのようなイベントがあることを知らず、初参加。というのも、GMOメイクショップさんのサービスを利用していないもので…ですが、顧客でなくても一般参加できるということで、ありがたく参加を申し込みました。

登壇企業さんは、登場順に、長崎・波佐見の有限会社マルヒロさん、福岡・八女の株式会社うなぎの寝床さん、Jリーグのアビスパ福岡株式会社さん、福岡ローカルメディアの株式会社KBC UNIEさんの四社。いずれもテーマが興味深く、お話をお聞きするのを楽しみにしていましたが、期待以上に面白い内容でした。

以下、備忘。


↓有限会社マルヒロ「倒産危機からのV字回復ストーリー」より

  • 江戸時代~:伊万里港から出荷=伊万里焼。明治時代~:有田駅から出荷=有田焼。明治時代に鉄道が敷設されてから、そこから出荷されるものを「有田焼」と呼ぶようになった。
  • 吉兆の産地偽装問題(2007年)の余波→波佐見でつくったものは有田焼を名乗れなくなった→「波佐見焼とはなにか」を歴史から問い直す。
  • 江戸時代の「くらわんか茶碗」=安価な大量生産品・安心して使えるもの・武骨で加飾の少ないもの=「あくまでも雑器」。
  • 有田焼の「薄くて、伝統的な文様」に対して、「厚くて丈夫で、色々なもの」。
  • 有田焼の鍋島藩御用窯に対して、大村藩の藩財政収入、の位置付け→多売で稼ぐもの。
  • 「日常雑器」ではあるけれど、100均よりは高い(マグカップで1500円~)、の位置付け。
  • 買えるもの(価格)、納得して買ってもらえるもの(価格)。
  • コラボ戦略は、生き残り戦略。波佐見焼だからこそできることを考える。やきものに興味のない人たちへのアプローチ。
  • 波佐見に来てもらうための、施設公園オープン。

以上。

↓株式会社うなぎの寝床「年間2万本販売のヒット商品「MONPE」の秘密」より

  • 作っている場所に、売っている場所がない→うなぎの寝床オープン。
  • 久留米絣をいかに売り出すか→入り口としての「もんぺ」。
  • BtoB→仲間を広げる。
  • モンペの型紙を売る→箪笥の肥やしとなっている着物リメイク需要。
  • 機能的要素・文化的要素・視覚的要素。
  • 文化的要素=公共性の高い情報。
  • 商品を売ってもらうために、商品の背景にある文化への理解を促進してもらう取組。

以上。

EC経営者・担当者向け1Dayセミナー makeshop day FUKUOKA by GMOより


マルヒロさんのお話については、V字回復のきっかけとなった中川政七商店さんのお話を6月初めに聞いてきたばかりでしたので、図らずも、コンサルした側・コンサルを受けた側双方のお話を伺うことができたのは、ラッキーでした。また、わたしがこれまで語ってきた「肥前磁器」は、あくまでも有田から見たものであり、波佐見のことをある程度は知っていてもきちんと理解していなかったことに、今更ながら気づかされました。そういう意味でも、貴重でありがたい機会でした。このような機会をEC系の勉強会でいただくとは、思いがけませんでした。

「うなぎの寝床」さんは、たしか2013年ごろだったと思いますが、八女のお店に伺ってお話を聞いたことがありました。経営に携わる方々が強い個性を持ちながら、自分たちの個性を最前面に押し出すことなく、あくまでも地域への還元や伝統文化の公共性を第一に考えていらっしゃっていることが会話の端々から伝わってきて、すごいなぁと思ったことを覚えています。今考えると、訪問したのはうなぎの寝床さんが活動を始めてすぐの頃ですので、それから現在の展開にいたるスピード、すごいですね。これは体験せねばと、会場横にあるうなぎの寝床さんのショップで、MONPE買って帰りました。

思いのほか長文になりましたので、後半2社の続きは「その2」で^^

読書『ちょっとイイ家』(エクスナレッジ)増田奏 著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『ちょっとイイ家』(エクスナレッジ)増田奏 著

いつものカメリアステージ図書館新刊棚より。「建築家」とか「建築士」とか呼ばれる人、その仕事をしている方々への尊敬があります。自分には思いもよらない職業なので、単純に「すごいな」と思うのです。ありがたいことに、お友だちに建築を仕事とするすごい人たちがいるので、そういう人たちとおしゃべりをする機会があります。そしてそのたびにやっぱりすごいな、と思います。

というわけで「一般向けの建築系の本」を見かけると、ついつい手に取ってしまいます。建築家である著者が紹介する、別の建築家の方々がつくった家。出版元のエクスナレッジさんのサイトには「令和に活躍する建築家が建てた家を覗き見しよう!」という紹介文が載っています。今まさに活躍している建築家の方々が建てた家が、20数軒掲載されています。

本書内のイラストも、著者自ら描かれたものだそうです。設計図面を描くのは仕事のうちだとは思いますが、絵心も必要な職業なのですね。イラストというよりは、図面っぽさを感じる挿絵の数々が、ワクワクを誘います。ビジュアルでイメージが沸くことは沸いたのですが、正直な感想を言えば、建築素人のわたしにはちょっと難しかったかな、というところ。エクスナレッジの公式サイトでの紹介に「堅苦しい実務書が苦手なあなたに。読み物としてもお薦めです。」とありますので、ある程度知識のある方だと、本書の魅力がより理解できるのだと思います。

本著の著者・増田奏氏は『住まいの解剖図鑑』なる本でベストセラーを出しておられるということで、このタイトルなら、もしかしたら分かりやすいかも、という気がします。『住まいの解剖図鑑』もさかのぼって拝見したいと思います。

『ちょっとイイ家』(エクスナレッジ)増田奏 著

北部九州は梅雨の中休み-花祭窯の六月・水無月(みなづき)の庭

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

北部九州は梅雨の中休み-花祭窯の六月・水無月(みなづき)の庭

とここまで書いて「皐月(さつき)の庭」書いたっけ?と気が付きました。…五月をアップしていませんでした。梅雨入りからこちら、ずっと雨がちの天気が続いていましたが、週間予報によると今週は晴れ間が少し続きそうです。気温も湿度もグッと高くなってきて、夏が近いのね、という感じ。花祭窯の小さな露地の景色も、陽射しと影のコントラストがくっきりしてきました。

この季節の花といえば、紫陽花とドクダミです。ご近所さんを通りかかったところ、ちょうど庭に出ていらして「アジサイ要る?」と。応えはもちろん「要ります!ありがとうございます!」です。いつもありがとうございます^^

紫陽花

そして今が満開の露地のドクダミ。白い花が可愛いくて大好きです。

ドクダミ

もう少ししたら収穫して「ドクダミチンキ」を作る予定です。

ドクダミ

ザクロの花もぼちぼち咲き出しました。今年はいくつ実ってくれるか楽しみです。

ザクロの花

百合の花もつぼみができてきています。

百合の花

オニユリ、タカサゴユリ、カノコユリと、三種ほどが庭にあります。

百合の花

梅雨の時期は、植物が生き生きしてきますね。生命力を感じます^^

久しぶりに補助金申請-申請書類を書き上げる過程は、事業を練るのに最適。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

久しぶりに補助金申請-申請書類を書き上げる過程は、事業を練るのに最適。

お世話になっていた商工会の職員さんが春に異動となり、異動のあいさつにお越しになったときに「わたしが異動した後も、商工会、どんどん使ってくださいね!」とあらためておっしゃったので、さっそくお世話になることに。ちょうど、この11月に新しい取り組みの発表機会として「合同商談会」への出展を決めましたので、その準備に補助金申請をかませることにしました。

補助金を申請すること=事業計画を立てることです。これまでにも何回か申請をしてきましたが、花祭窯の場合は毎回、すでに取り組むことを決めている事業に、補助金のタイミングが合えばラッキー♪という感じ。ですので、計画が採択されず補助金が出なくても、計画内容を実施することは変わりません。

さっそく商工会の専門家相談制度を活用しました。これまでにも経営革新計画や事業継続力強化計画の策定で何回もお世話になっている中小企業診断士の先生と、今回の補助金申請で新たに担当してくださる商工会の経営指導員さんのお二人に、事業計画案のダメ出しをお願いしました。

その結果…赤ペン箇所が出てくる出てくる。最初に提出したものは、振り返れば、我ながら突っ込みどころ満載の事業計画書でした。ごめんなさい、「計画を立てるのは、まぁまぁ得意」だと、思いあがっていました。計画を立てるのが好きだということと、得意か(ちゃんと伝わるようにできているか)ということは、全然別ですね。

約2週間の間に商工会に三回足を運び、さらにオンラインでのやり取りでアドバイスをいただいて、ブラッシュアップ。「自分ではわかっているつもり」のことを、他者にもわかるように言語化する過程は、そのまま自分の頭の中を整理整頓する過程となりました。おかげさまで「なぜこの事業をやるのか」をいくつもの視点から言語化することができ、それは「現在の花祭窯の事業の状況」を客観的に見つめ直すことにほかならず、とてもありがたい機会となりました。

そうして状況を整理整頓したうえでも、やはりこの事業は推進すべき、という確信が持てたことが大きかったです。補助金は、締め切りの一日前に無事申請書提出完了。「ここまで詰めた計画で不採択だったら、それは仕方ない」と思えるところまでできました。計画内容を詰めたおかげで、11月までにするべき「いつ、なにを」が具体的に明確になり、とても気持ちの良い状態です。粘り強く対応してくださった中小企業診断士の先生と、経営指導員さんに、心より感謝です。お二方の労力に応えるためにも、がんばります^^

セルフ問答―あらためて「日日是好日」の意味を考えてみました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

セルフ問答―あらためて「日日是好日」の意味を考えてみました。

日日是好日。2020年に某コラムの記事で「今この一瞬に向き合い、精いっぱい生きることの大切さを説く言葉です」と、わたしは書いていました。当時の自分なりに「振り返ったときに、かけがえのない一日であったと前向きに語ることができるよう、どんな一日も(嬉しいことがあった日も、悲しいことがあった日も)精いっぱい生きることが大切」ということを言っているのだろうと、理解していたのですね。もちろんそこにたどり着く前には、禅語について書いた本を何冊か読んだり話を聞いたりしていて、そのなかで見つけた「自分が腑に落ちる解釈」をつなぎ合わせている、というところです。

禅のことばに限らず、孔子の論語にしても、聖書の言葉にしても、「その意味・意図」の解釈は後から付けられているものであり、ほんとうのところは発した本人にしかわかりません。それをよいことに素人(=わたし)が勝手な解釈をするのはいかがなものかとも思いますが、世に出ているいろいろな人のいろいろな見解を参考にしつつ、個人的に問答する分には自由かな、と^^

そのときから5年ほどが経ち、今どう考えているのかを、セルフ問答。この手のことを考えるとき、わたしの頭のなかに浮かぶのは、過去に二度ほど講話を聴いたことがある、ダライ・ラマ14世の姿と言葉です。講話ではダライ・ラマはチベット語や英語をお話されますので、わたしに届く言葉は通訳さんによる日本語ですが、この通訳さんの言葉がまたわかりやすくて嬉しかったのを覚えています。きっと「誰にでもわかりやすい、やさしい言葉で通訳してくださいね」なんて事前打ち合わせがあったのだろうな、と思いました。最初に聞いた時(2005年)のお話のテーマは「自我と無我」について、その次(2018年)は「空(くう)」についてでした。いずれのお話も「平らかな心を保つこと」「利他の心を高めていくこと」にたどり着きます。

『ブッダに学ぶほんとうの禅語』(アルボムッレ・スマナサーラ著/アルタープレス合同会社発行)によると、「日日是好日」は仏陀自身の言葉であって、禅師の言葉(いわゆる「禅語」)とは異なるのだそうです。悟った聖者の心の状況を表した「Bhaddekaratta-gatha」なるものがあって、その本に全文が載っているのですが、どんなことが書いてあるかというと「過去には引っかからない、将来には期待しない、その瞬間に起きる出来事に対しても愛着を抱くこともその反対に拒絶しようとすることもない」という生き方だとのこと。あまりにも淡々としすぎているのでは…というのが、凡人であるわたしの率直な感想です。それほどに、俗世を生きる者と、悟った人との世界観は異なるということなのでしょうね。

で、現在のわたしの「日日是好日」の解釈は、中国語の「好(ハオ)」に近いのかな、と感じています。ここ数年テレビで中国ドラマを見ていて、そのなかでセリフとして発せられることがとても多いと気づいた「好(ハオ)」。時代もストーリーも異なるさまざまな場面にありながら、ドラマのなかの役者さんたちが発する「好(ハオ)」には、いずれも「受け入れる」ニュアンスが含まれているように感じていました。つまり「好日」は、良い日であるというよりは、その一日を受け入れること、というのが、今のわたしにはしっくりくる感じです。以前考えていたような「精一杯生きる」という解釈にくらべると、だいぶ肩の力が抜けてきた感覚。この発見は、自分ながらに面白いことでした。これからまた先、さらに変わっていくのだと思います。

大牟田~柳川-お墓参り、大牟田市動物園、ともだちや絵本美術館、御花、立花家資料館。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

大牟田~柳川-お墓参り、大牟田市動物園、ともだちや絵本美術館、御花、立花家資料館。

ここ数年足を運ぶことができていなかった、ダンナのお父さんのお墓参りに行ってまいりました。梅雨空が続くなか、奇跡的に終日雨が降らず、うっすらと陽射しさえ見えた一日でした。最近の活動を墓前にご報告。「あなたの息子は、かなり頑張っていますよ」と、「おかげさまで、あなたの遺してくれた『書道』が生きていますよ。ここからもっと生きてきますよ」と、「だから、楽しみに見守っててくださいね」を伝えました。ダンナのお父さんは早くに亡くなっているので、実はわたしはお会いしたことがありません。遺してくださったものを通して、存在を実感するばかりです。

墓前への報告が済んだら、恒例の「大牟田市動物園」です。12月のロンドンでのクリスマス・ショウに向けて新作の制作に入るダンナ。リスザル、ゴマフアザラシ、クジャク、カンガルー、キリンなどなど、恒例の楽しみにしていた面々に会えました。現在、大牟田市動物園では整備計画を実施中ということで、工事計画・実施中のエリアには動物がおらず、そこはちょっぴり寂しかったですが、新たに整備が完了するのを楽しみにしたいと思います。

大牟田市動物園のなかには「ともだちや絵本美術館」なる美術館が誕生していました。こちらは初訪問。令和3年10月に、動物園が開園80周年を迎え、そのタイミングでのオープンということです。美術館内の「えほんギャラリー」がちょうど展示入れ替えで見ることができなかったのはとっても残念でしたが、動物関連を中心とした絵本の数々が子どもの目の高さに展示されたホールは、親子連れがゆっくりできる配慮が行き届いていて、とても良かったです。親子連れがゆっくりできる空間は、広い世代に対して優しい空間になりますね。えほんギャラリーは次の機会を楽しみにすることに。

続いては「柳川藩主立花邸御花」へ。「文化財に泊まる」をテーマに2025年1月に新規オープンした宿です。立花家の邸宅としての御花の歴史は、江戸時代1738年にさかのぼり、料亭の御花のはじまりは1925年から。柳川の観光資源としても有名でしたので、佐賀に住んでいた時からずっと知ってはいましたが、柳川はいつも通り過ぎるばかりで、今回が初訪問となりました。素晴らしい宿泊体験となりました。まずはチェックイン後夕方から文化財ツアーがあり、館内を解説付きで案内していただくことができました。所要時間は30分ほどで、簡潔に、立花家と御花の歴史、経緯を知ることができ、わかりやすくてとても良かったです。滞在中の決まった時間内は、宿泊者は自由に文化財である館内を見て回ることができるので、ツアーのあとに、自分のペースであらためて観て回ることができたのが、とても贅沢でした。

今回のツアー、ラストの訪問先は「立花家資料館」。御花の敷地内にあります。実はここの展示内容が、素晴らしく見ごたえがあり、ちょっとびっくりしました。資料で「大名文化」という言い方をしていましたが、まさに、言いえて妙と感じました。今回拝見したなかでは特に、婚礼調度品の素晴らしさに感激し、人形の面白さに脱帽しました。雛人形のお道具の数々に唸り、御所人形、加茂人形の剽軽な佇まいに大騒ぎしてまいりました。小さいものに込められたセンスと技術、最高です。約5千点の収蔵品をお持ちとのことですので、あたりまえですが、展示してあったのはほんの一部であり、ほかにもこのようなお宝があると思うと、ワクワクします。これはときどき観に行かねばなりません。

実はダンナの藤吉家には、その昔「立花家の家臣だった」という言い伝えがあったらしく、嘘か本当かわからないといいつつ、柳川の城下にはたしかに「藤吉」という地名もありますので、なんらかの縁があるのは確かなのかもしれません。上の写真は、柳川城下の古地図に「藤吉」の名前を探すダンナ(笑)。ともあれお義父さんの墓前に近況報告ができてひと安心の、大牟田~柳川ツアーでした。