藤吉憲典、6月は桃居さんで個展です。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

藤吉憲典、6月は桃居さんで個展です。

藤吉憲典2023年度最初の個展は、6月の桃居さんです。現在、制作も追い込み段階。窯から上がってずらっと並んだぐい呑・盃をみていると、ワクワクします。今回のテーマは「酒器100」と「書画」です。上の写真は、桃居さんが作ってくださった、個展案内状の写真。ご希望の方へのハガキDMでのご案内は、6月に入ってからになります。


藤吉憲典 陶展

桃居
2023年6月21日(水)~6月26日(月)
11:00~18:00 (最終日は17:00まで)
東京都港区西麻布2-25-13
TEL03-3797-4494

「毎回個展では新しいものを表現したいと考えています。
今回は長年嗜んでいる絵や書を、作品としてご覧いただきたいと思いました。
同じく長年作り続けている酒の器は、個展のたびに発表していますが、
今回は酒器だけで100個以上を並べようと思いつきました。
酒器と書画、楽しんでいただけると幸いです。」藤吉憲典より


桃居さんでの個展は、今年も現地会場とオンラインショップ、両方での開催となりますが、今年は現地会場でのスタートが先になります。ぜひ会場で、実物を手に取ってご覧いただけると嬉しいです。皆さまのご来場をお待ちいたしております。

藍の家で開催中の「五月人形展」を覗いてきました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

藍の家で開催中の「五月人形展」を覗いてきました。

ご近所の登録有形文化財「藍の家」で毎年恒例の季節の行事を見るのは、ご近所散歩の楽しみのひとつです。四月末に前を通りかかったら、ちょうど鯉のぼりが入り口に飾られたところでした。少し前、三月のお雛様の展示も素晴らしかったです。

連休に入り、五月人形の展示がはじまりましたので、観に行って参りました。展示数こそ、それほど多くはありませんが、五月人形の展示を見る機会は、実はお雛様に比べるとずっと少ないので、貴重な機会です。

お雛様の時もそうなのですが、どうしても「道具類」に目が向きます。太鼓や弓、槍(やり)、幟(のぼり)、などの前に鎮座する粽(ちまき)と柏餅のお供えに思わずニヤリ。こういうミニチュアがたまりません。

藍の家 五月人形展

↓居並ぶ兜飾りに混じって、こんな面白いものも見つけました。これ着て、写真でも撮っていたのでしょうね。

藍の家 五月人形展

五月が来るたびに小さな鯉のぼりを嬉々として飾っていた頃を懐かしく思い出しつつ、楽しんでまいりました。

展示期間は5月1日(月)~5月10日(水)まで。津屋崎方面散策の際は、藍の家訪問おススメです。

藤吉憲典の墨絵の龍を額装してみました。

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藤吉憲典の墨絵の龍を額装してみました。

写真は、藤吉憲典画の昇龍。

数年前から、額装の面白さを楽しんでいます。きっかけは、藤吉憲典が陶板作品を制作しはじめたこと。陶板作品が増えるほどに、額装の可能性を考え始め、数点試みておりました。

今年度から藤吉憲典が本格的に「作品」として発表する書画。これまでのメインである三次元(立体)の磁器作品が、ある意味それ自体で完成しているのに対し、二次元(平面)である書画作品は、飾るにあたり表装や額装を施すことが大前提となります。

額縁屋さんであーだこーだと時間を費やした甲斐あって、イメージ通り、イメージ以上の仕上がりです。作品のサイズに対して、もう少し額縁が太い方が良いだろうか、というのは、発注する段階でかなり悩んだところでしたが、この作品ではこの細さでよかったと思いました。

額装の仕方で見え方が変わるマジックは、これまでにも体感してきましたが、何度やっても面白いですね。特に書画は、今まで長年あたりまえに目にしてきた藤吉憲典の字や画に、他所行きの服を着せるというか、ドレスアップさせる楽しさがあります。あなた、きちんとした格好をしたら、こんなに見映えるのね、というような。

面白すぎて、どんどん額装したくなりました。額装や表装を含めての書画オーダーも承りますので、ぜひご相談くださいませ。会社のオフィス装飾や、移転祝い、ご自宅の引越し記念などなどなど、飾る場所に合わせて、藤吉憲典の書画と組み合わせたご提案をいたします。もちろん、ご自身で額装したい、というのもおススメです。楽しいですよ~!

南坊忌献茶会でした。

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南坊忌献茶会でした。

今年も無事、「南方流遠祖南坊宗啓禅師献茶会」に参加することが出来ました。南方流の祖である南坊宗啓禅師にあらためて感謝する機会であり、献茶のお点前を拝見できる貴重な機会であり、和尚さんから直々に『南方録』の一節をご教授いただく嬉しい機会でもあります。

コロナ禍以降、広間での薄茶だけであったお茶席は、4年ぶりに四畳半のお茶室「無声庵」を開き、お濃茶もいただくという、嬉しい回帰となりました。お濃茶は、回し飲みはまだできず、一服づつ点てられました。久しぶりの四畳半は、まず躙(にじ)り口で帯があたり「こんなに狭かったかしら!?」からスタート。草履を整え、床の間を拝見し、お道具を拝見し、席につこうと毛氈(もうせん)にきっちり並びぶと「そうそう!そうだった!」と、懐かしい密着具合。今回は9名での席でしたが、そういえばコロナ前は11名とかで入っていたなぁ、と思い出しつつ。同じ席のお正客さまが和尚様でしたので、お点前の間やお茶を頂く間にも、道具のことなどを、直々に教えていただくことが出来ました。

露地にはツツジが満開でした。青い紅葉の葉っぱもすがすがしく。午後から雨の予報でしたが、お日さまが顔を出し、帰りまでお天気が持ちました。今年も南坊忌に参加できたことに感謝です。

あと0.5秒ゆっくり。

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あと0.5秒ゆっくり。

昨日はお茶のお稽古でした。月に2回のお稽古は、自分の心身の状態に向き合う時間でもあります。前回のお稽古から、一足早く風炉になりました。季節により設えが変わり、設えが変わることにより作法が少々変わります。稽古をする者としては、作法のひとつひとつを習得しきれないままに変わってしまうことが悩ましい半面、この変化があるからこそ楽しいのだとも思います。

現在わたしがお稽古しているのは、奥点前のひとつ「袋茶碗」。基本の作法は濃茶ですが、仕覆(しふく)からお茶碗を出したり、仕覆を拝見に出したりと、付随する所作が相応に増えます。この次はこれ、その次はこれ、と、忙しい気持ちが動きに現れていたのでしょう、ひと通りのお稽古を終えた後に、見てくださっていた先生から言われたのが「あと0.5秒ゆっくり」でした。

「全体にはとっても良くできていますから、あとは、一つ一つの所作に、あと0.5秒ゆっくりかける気持ちでやってごらんなさい。そうしたら、もっとお点前が落ち着いてきれいに見えますよ」と。

とてもありがたいご助言でした。せっかちで大雑把な性格が所作に出ますね…と反省の弁を申しますと、「お茶のお稽古の時だけでなく、ふだんの生活から、一つ一つの動きに0.5秒余分に時間をかけてごらんなさい。そうすると動きが優雅になりますよ」と。お茶室でだけ意識をしても、結局は常日頃の動き方(生き方)が所作に現れるということですね。お稽古をしていていつも思うことであり、先生方から助言をいただくたびに心あたることでもあり。

50年以上生きてきての、動きや思考の癖ですから、一朝一夕には変えることはできないでしょう。ここから50年かけて、「0.5秒ゆっくり」が習慣になり、自然と所作に現れるよう、まずは意識していきたいと思います。

上の写真は、昨年のお茶会のときのもの。床の間で季節を感じるのも、お茶の楽しみのひとつです。筍シーズンですね。

足したり、引いたり。

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足したり、引いたり。

花祭窯の建物は、昭和元年(1926年)に建てられた商家。もうすぐ築100年というところです。当時栄えていた津屋崎千軒のなかにあって、商いをしているお宅ゆえの粋がちりばめられた建物です。堅実なつくりで、建築士さんが「これだけ時間が経っているのに、歪みが少ないのがすごい」とおっしゃっていました。わたしたちがここに入った11年前には、途中で入った方々が住みやすいようにリフォームした跡があちらこちらに残っていましたので、できる限り古い状態に戻す方向で「引き算」の修繕を施したのでした。

入居の際の「やや大規模な修繕」から10年以上が経ちましたが、古民家にはその維持がテーマとしてついてくるもので、常に「ここはそろそろ直さねば」のメンテナンス箇所との追いかけっこです。むやみに近代化することなく、古い状態(材料)をできる限りそのまま生かすことを心がけて…というと格好いいですが、実際には、ぜんぶ完璧に修繕するのには莫大なお金がかかる…という側面があるのも確かです。花祭窯の佐賀時代も築80年を超える古民家でしたので、「古い木造日本家屋」の不便さには慣れていて、不便だからこその良さも楽しんでいます。

ちょっとした不具合は、手先の器用なダンナが治せることもあります。なかでも一番多いのは、建具の不具合。その修正作業を見ていると、基本は表からは見えない部分での「足したり、引いたり」の微調整で解決しているようです。もちろん、根本的な解決にはならないことも多いのですが、上手に付き合っていくことが肝要かな、と。

そうはいいつつ、ご近所の古民家住まいのお友だちと会えば、日々どんな困りごとがあるか、どうやって維持する方向に考えるか、修理をどこの大工さんに頼んだか等々、おしゃべり&情報交換に花が咲く今日この頃。ご近所にそのように雑談できる人があるというのもまた、ありがたいことですね。

四月八日は花まつり。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

四月八日は花まつり。

お釈迦様の誕生日です。花祭窯の窯名は、創業地の通称である地名「花祭」からいただいたもので、お釈迦様の誕生日とは関係ありませんが、毎年なんとなくお祝い気分になります。創業時に窯の名前を考えていたときには、実は「花まつり」の意味を知りませんでしたが、つくづくと良い名前を頂いたと思います。

現在わたしは、禅寺で茶道に入門しておりますが、花祭窯の名前を付けたときには、将来そんなことになるとは思いもよらず。茶道を習い直そうと思ってさまざまな流派の情報を探した結果、自分に合いそうだと感じたところが、たまたま禅寺で受け継がれていた流派だったのです。

そういえば、わたしが博物館学芸員資格を修了したのは佛教大学で、それは単に通信教育をメインにした学習で学ぶことが出来るから、でしたが、修了に向けて書いた論文の中に、お釈迦様が誕生したとされる蓮の花についての考察があったのを思い出しました。知らず知らずのうちに、なんとなく関心が向いているのだなぁ、と我ながら面白く思います。

現在、株式会社Natu Rise(ナチュライズ)さんが発行するニュースレターに、コラム「日日是好日」の提供しており、そのなかで「日常の禅語なるコーナーを書いています。素人の禅語考ですが、この原稿を書くのに毎回かなり頭に汗をかいていますので、よかったら読んでみてくださいね。

お釈迦様は誕生の時に、「天上天下唯我独尊(てんじょうてんげゆいがどくそん)」とおっしゃった、と語り継がれています。その真偽はさておき、そんな偉大な存在が生まれた花まつり。毎年この日には、なんとなくありがたい気持ちになるのです。

藤吉憲典の書画、本格的にスタート。

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藤吉憲典の書画、本格的にスタート。

ブログ記事を検索してみたら、「書画陶芸」と言い出したのが、ちょうど約1年前だったことが判明。今年から本格的に、「書画家・藤吉憲典」がスタートします。先日アップした、額縁屋さんでのあれこれも、すべてここからつながる仕事。

そもそもはお父さんが書家でしたので、藤吉憲典は幼少期から書道のスパルタ教育を受けています。本来は左利きですが、ペンと箸を持つ手は右利きに訓練されているのは、こうした環境によるところが大きいようです。筆を持つこと、筆で書くこと・描くことがあたりまえに身に付いていたことは、磁器作家としての絵付のスキルにいかんなく発揮されてきました。

同じ空間内で藤吉憲典の書画作品と磁器作品を見ていると、書画のモノクローム(白と黒)の世界と、染付のブルー&ホワイト(青と白)の世界とは、表現における共通点がとても多いことに気がつきます。「余白」を生かすデザインセンスとバランス感覚は、書画と染付の両方において磨かれてきたものだとわかります。

そんなふうに見ていくと、藤吉憲典の作品世界における「書画陶芸」は、実はずっと前から想定されていて、ごく自然な流れであったのだという感じがします。あたりまえに生活のなかにあった書画が、作品として昇華される機が熟したということなのだと思います。書画家・藤吉憲典にも、ぜひご期待ください。

額縁屋さんで、あーだこーだと。

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額縁屋さんで、あーだこーだと。

昨日は博多の額縁屋さんへ。今年から藤吉憲典の書画作品を本格的に売り出すにあたり、自分自身が、飾ったときのイメージをいろいろと試しておかなければ、お客さまへのご提案もできないよね、というところで、花祭窯の展示スペースに飾る書画を額装する第一弾です。

お手伝いいただくのは、額装も表装も手掛ける老舗の額縁屋さん。前に藤吉憲典の陶板レリーフの額装もしていただきました。今回「書というか水墨画だけれども、あえて表装ではなく額装で」の意図を伝えたところ、いろいろなご提案で助けて頂きました。

毎回そうなのですが、額縁屋さんに行くと、まずその「縁=フレーム」のサンプルの多さに圧倒され、軽くパニック状態になります。今回は「どこに飾るか」を決めたうえでの相談でしたので、飾る場所がどんな場所であるか、から考えをまとめていきました。額縁屋さんからは「その場所にある『素材』」「その場所にある『色』」を細かく聞かれ、そのうえに、どんなイメージにしたいかという方向性を載せていく、という手順です。

フレームの候補を数点に絞り込んだうえで、作品周りのライナー(あるいはマット)と呼ばれる部分の候補を合わせていきました。紙にするか、布にするか、そのなかでどのような素材・色を選ぶか。まだまだ額縁初心者のわたしとしては、目の前で合わせて、自分の目で見てみないことには、どのように仕上がるかのイメージがわきません。そして実際のところ、そのように合わせてみて初めて、ガラッと雰囲気が変わることに驚かされます。一度却下したフレームをもう一度引っ張り出して合わせてみたりもしながら、いろいろと試しました。

下の3つはある程度方向性が決まったあとの組み合わせイメージのテスト。ここにたどり着くまでに1時間半かかりました。

藤吉憲典の書画

藤吉憲典の書画

藤吉憲典の書画

スタッフの方がいろいろと素材を出してきては、目の前で組み合わせて見せてくださるのですが、一緒に面白がってくださっているのが伝わってきたので、助かりました。結局この場では決定に至らず、いくつかの候補を頭と写真に残し、一度持ち帰ることに。スタッフさんが「たくさん見過ぎて、たぶん頭のなかがごちゃごちゃしていると思います。ここで決めてしまうより、一度額縁から離れたほうが決めやすいかもしれませんよ」と、アドバイスをくださいました。

その言葉通り、額縁屋さんを出てしばらく歩いていたら、どれにすべきかが自分のなかでスーッと降りてきました。帰宅して、実際に飾る場所を再度確認して、確信を持つことも出来ました。「一度離れた方が決めやすいかも」とは、さすがプロですね。長時間お付き合いいただいたうえに、心遣いのアドバイスまでいただき、感謝感謝です。仕上がりは、ゴールデンウィーク頃にはご紹介できるのではないかと思います。とても楽しみです。

電車でコトコト1時間の贅沢。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

電車でコトコト1時間の贅沢。

ここ数年の楽しみになっている、小倉鍛冶町・実南(みなみ)さんでのお食事。藤吉憲典の器を使ってくださっている料理人さんのところに食事をしに行くのは、この仕事をしている自分たちへのたまのご褒美であり、大きな楽しみです。

JR鹿児島本線で、最寄りの福間駅から門司港方面へ約1時間。まだ暗くなる前の小倉駅前はたくさんの人でにぎわっていて、昨年の静かさとは打って変わり、活気がありました。完全予約制の実南さんも、だんだんと予約が取りにくくなってきているようです。空きが数か月後になってしまいそうななか、なんとか3月中に伺うことが出来ました。

カウンター5席、狭いながらも徹底的に無駄がそぎ落とされた空間は、いつ行っても気持ちよいものです。今回は入ってすぐに掛花の木瓜が目に留まりました。立派な枝が、空間の邪魔にならないギリギリの広がりで力強く生けてありました。

カウンター越しに大将の仕事を拝見しながらのお食事は、毎度の楽しみ。どれだけ丁寧にお仕事をなさっているのか、目の前に見えるのですから、こんな贅沢はありません。旬の食材が次々に登場します。食材は、九州<福岡<北九州と、できるだけ近いもの、地のものをという気持ちが伝わってきます。派手さはありませんが、凛と美しく、しみじみと体に沁みる美味しさです。すべての御料理が、呼吸するようにお腹に入っていきます。

この春の初ものの筍に舌鼓。筍は個人的にも毎年たくさん採って食べますが、まったくの別物に感じられます。筍自体の違いや時期の違いもさることながら、下ごしらえの違いが大きいのだろうと思います。そういえば初めて伺ったときも、初ものの筍を、ここでいただいたのでした。

大将、おかみさんとのなにげない会話から学ぶことも多く、とても満たされた時間となりました。小倉鍛冶町・実南(みなみ)さん、親しい方との少人数でのお食事、静かに楽しむお食事に、おススメです。