百福さんでの「藤吉憲典展(磁)」、ご来場ありがとうございました!

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

南青山百福さんでの「藤吉憲典展(磁)」、ご来場ありがとうございました!

百福さんが南青山に移転なさってから初めての個展。わたしも最終日におじゃまして参りました。上の写真は、百福さんのインスタグラムから拝借。オーナーの田辺さんはとても素敵な写真を撮ってくださいます。器の写真撮りはプロの写真家の方でも結構難しい題材のようなのですが、百福さんの写真はいつも、安定した美しさと独特の質感があります。

さて百福さん。東京メトロ青山一丁目駅からも外苑前駅からも歩いて5分と交通至便な場所でありながら、青山通りから一本内側に入っているために静かで落ち着いた空間です。オープンがお昼12時からなので、当日は六本木で一つ展覧会を観てから、お散歩がてら歩いて向かいました。

訪問したのが最終日とあって、お客さまのご来店はのんびりペース。おかげさまで、ご来店の方とはもちろん、オーナーの田辺さんともお久しぶりにゆっくりお話をすることが出来ました。早くに売り切れてしまっていたシリーズもありましたので、目当てにお越しのお客さまにはお詫びをしつつ。

町田でお店をなさっていた時との違い、東京近辺での「食」に対する料理人さんの視点、最近の陶芸作家さんたちの意識と制作の在り方、作家物の器のお店としての矜持とこれからの進むべき方向など、18年お店を続けていらっしゃるからこその視点を、いろいろとお聞かせいただくことが出来ました。そういえば、じっくりオーナーさんのお考えを伺う機会を作ることが、このところ出来ていませんでしたので、とてもありがたく貴重な時間となりました。

昔から何度も思っていることですが、お付き合いのあるギャラリーさんに恵まれている嬉しさを、あらためてかみしめる一日となりました。百福さんでの藤吉憲典展は、次回はまた再来年。楽しみにしていただけると嬉しいです。

干支の盃と、干支の置き物。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

干支の盃と、干支の置き物。

12月は目の前、という今の時期に「来年の干支はどうしようかなぁ」と頭をひねっている陶芸家はあまりいないと思いますが、藤吉憲典は今まさに考え中。ふつうに考えれば、時期的には、すでに来年の干支をモチーフにした作品をギャラリーさんにお届けするころ、というのが商業的には正解でしょう。

そもそも花祭窯で干支の記念になるものを作り始めたのは、ふだんお世話になっているご近所の方々にお年始としてお礼かたがたお届けするのが目的でした。つまり、売るものではありませんでした。それが、次第に「販売してほしい」という声が増えてきて、お分けするようになり、という次第。

スタートは「干支の盃」でした。干支を1周12年(12個)作り終えたところで、「干支の箸置き」になり、その「箸置き」も次第にオブジェ的要素の方が強くなりながらさらに1周12年。干支の盃の配りものをはじめたのは、独立から何年か経ってからだったかしら、とも思いましたが、今年が独立25周年でしたから、ちょうど計算が合いますね、すぐに始めていたようです。盃、置き物とまわって、来年の干支はどうしよう、というところです。

当初の制作の目的に立ち返ると、まず第一に考えるべきは、お世話になった方々への贈り物としての干支。どんなふうになるものかソワソワしつつも、ここは作り手に任せるしかありませんので、のんびり楽しみに待ちたいと思います。

ちなみに2022年の干支はこんなふうでした^^

アート三昧の後は、器三昧。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

アート三昧の後は、器三昧。

南青山の百福さんから個展案内状が届いた!と喜んでいたのは10月中旬のこと。気がつけば、もう今週末11月26日土曜日が個展初日です。あっという間ですね。

11月はロンドン個展(アート)と、百福さんでの個展(器)がひと月のなかに入りましたので、作家・藤吉憲典は、器をしっかり作り込んだうえで、まずは先にオープンするロンドンの個展へ。その間、わたくしは百福さんでの個展の準備です。個展に出す器のリストを作成し、梱包し、発送する、というところまで。展覧会のスケジュールが混んでいたからこそ、早め早めに器が出来上がっていたというのは、発送作業をする者にとっては助かりました。

今回の個展に向けては、久しぶりに蕎麦猪口を少し多めにご用意することが出来ました。ご飯茶碗もいろいろと作っていますので、新年に向けて新しいご飯茶碗を見繕うのも楽しいと思います。『美の壺』放映以来問合せの増えていたマグカップも少し多めにご用意しましたので、こちらはクリスマスプレゼントに良いかもしれません。そして、いつものことですが、ぐい呑、盃、片口…と酒の器がたくさん。

自分用に、贈りもの用に、ハレの日に、ふだん使いにと、選んでいただけると思います。ぜひ藤吉憲典の器を楽しみに、百福さんにいらしてくださいませ。


藤吉憲典展(磁)
百福 momofuku
2022年11月26日(土)-12月2日(金)※会期中無休
12時-18時※最終日17時まで
東京都港区南青山2-11-6-1F
TEL03-6447-0952

立花実山居士献茶式とお茶会でした。

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立花実山居士献茶式とお茶会でした。

10月に香椎宮での献茶式が久しぶりに行われたところでしたが、こちらも三年ぶりの献茶式でした。少しづつ「いつもの年中行事」が復活してくる喜びを感じています。相変わらずお茶会の朝は着物との格闘が続いており、着付けがうまくいくことはまず無くて、ソワソワします。それでもやっぱり着物を着てお茶会に参加するのは、とても嬉しいことなのですから、不思議なものですね。

わたしが入門している茶道は、円覚寺に伝承される『南方録』による茶道。『南方録』にはその根っことなる人物が三名います。千利休、南坊宗啓、立花実山。その一人、立花実山を祀る茶会が毎年秋十一月に行われます。円覚寺本堂での献茶式とご焼香に続いては、和尚さんによる『南方録』の読解。毎回少しづつ、読み解いてくださります。そういえばこのところ、南方録の解説書を自習で読むのをすっかりサボっておりました。

献茶式が終わると、残茶拝服です。広間に移り、二席に分かれていただきます。自分が席入りしないときは、水屋のお手伝い。コロナ感染対策をしながらとあって、濃茶は無くお薄のみ。お菓子もお干菓子が一人分づつ袋に入れられています。いろいろと気遣いながら、できる方法で少しづつですね。相手のことを考えて心を配る、という意味では、お茶の心も感染症対策もまたしかり、なんてことを思いつつ。

年内のお茶会はこれでお終いです。次は年明けの初釜を楽しみに、お稽古に勤しみます。

花祭窯の霜月の庭。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

花祭窯の霜月の庭。

枯れた草を取り払って、落ち葉を掃除したら、花祭窯の小さな露地が、すっきりしました。これまでにも書きましたが、今年は台風の潮風をたくさん浴びてしまって、葉っぱが枯れてしまうことが相次ぎました。そんななか、季節の到来に合わせて芽を出し、花を咲かせてくれる面々に、いつも以上に嬉しい気持ちがしています。

ツワブキ

ツワブキの黄色を見ると元気が出てきます。葉っぱの濃い緑とのコントラストがGOOD。

南天

台風で葉っぱが枯れてしまったナンテン。今年は無理かな、と思っていましたが、赤い実がつきました。

柘榴

今年はじめから一喜一憂していたザクロ。見事に実が成り、おいしくいただきました。

山茶花

サザンカもつぼみがつきはじめました。

マリーゴールド

そしてフレンチマリーゴールドは満開。庭師のお友だちによると、12月まで咲き続けるそうです。

十一月、風炉から炉へ。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

十一月、風炉から炉へ。

昨日は、3週間ぶりにお茶のお稽古でした。お茶室に入ろうとして、ご挨拶をしたところで、目の前の景色に一瞬動きがストップ。なにかが違う、という感覚からお茶室をぐるりと見まわして、腑に落ちました。風炉から炉へと変わったお茶室の設えです。この変化が、十一月がお茶の新年であることを、毎年思い出させてくれます。

と同時に頭をよぎったのは、設えに合わせてお点前が変わることへの不安感。またイチからだ…と心の声が顔に出てしまったのでしょう、すかさず先生に「今日は皆さんいらっしゃるなりそんな顔をなさるんですよ」と笑われました。そして無言ながら「大丈夫よ!」と笑顔で頷いてくださる先輩方。皆さんの笑顔に後押しされて、お茶室に入りました。

窯の位置が変わる。たったそれだけのことなのに、あたふたしてしまう我が身の頼りなさです。現在わたしがお稽古をしているのは、奥点前のひとつ「盆点て」。設えが変われば、道具を置く位置が変わり、それに伴ってお作法の流れが少しづつ変わります。ひとつのお点前を1年間通してお稽古することで身に着けていくのですが、なかなか一筋縄には参りません。

いつもよりもさらに時間をかけて、一つ一つ確認しながらのお稽古となりました。春から続けてきた盆点てのお点前も、今月からまた新しいお点前のような気持で学び直しとなりました。ゆっくり取り組むことを受け止めてくださる環境に、心より感謝です。

読書『教養としての着物』(自由国民社)上杉惠理子著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『教養としての着物』(自由国民社)上杉惠理子著

上の写真は「着物の夫人」藤吉憲典作の陶人形。

本書タイトル正式には『世界のビジネスエリートを魅了する 教養としての着物』です。「世界のビジネスエリート」とか「教養としての」とかを頭に付ける流行りは、まだまだ続いているのね…と少し斜めに見ていたら、本書の「おわりに」で、タイトルに「教養」がついていることに関して『そもそも「教養」とは何でしょう?』と問題提起されていて、一本取られました。その問に対する回答もおみごとです。

着物の基本的な知識から着こなしのための知恵まで、盛りだくさんです。とくに日本の伝統文化としての着物の歴史的背景などは、知らなかったことも多々ありました。また着物の文様と、肥前磁器の文様とは共通するものが多く、その点では理解しやすいことが多かったので、あらためて親しみがわきました。「着物は絵画を身にまとう衣装」というのは、なるほど納得です。

著者プロフィールにある肩書は「和装イメージコンサルタント」。今年前半に読んだ『人生を変えるクローゼットの作り方』を思い出しました。ニューヨークの高級デパートで、富裕な顧客へのファッションアドバイスを40年以上続けている、ベティ・ホールブライシュの自叙伝『A LIFE IN STYLE, WITH A TWIST』です。日本でもパーソナルスタイリストという仕事が認知されてきた現代、和装(着物)のスペシャリストの存在は、心強く頼もしいものでしょう。

わたしはが着物を着るのは、お茶のお稽古やお茶会のタイミング、あるいは仕事で海外に行くときなど、限られています。本書を読んで、少しづつ着る機会を増やして行こうと思えました。わたしの場合、ご近所に着物のプロ「時代屋」さんがあるので心強いです。

11月末は、南青山の百福(ももふく)さんで「藤吉憲典展(磁)」。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

11月末は、南青山の百福(ももふく)さんで「藤吉憲典展(磁)」。

写真は、先日百福さんから届いた、個展案内状。画像をクリックすると拡大でご覧いただくことが出来ます。

藤吉憲典展(磁)百福さん

百福さんとのお付き合いは、町田にももふくさんがオープンなさったときから。当時佐賀の山奥にあった花祭窯まで、オーナーの田辺さんがいらしてくださったのでした。一年おきに開催していた町田での個展。実はわたしは町田生まれです。10歳で引越しをしてからなかなか行く機会の無かった生誕地に、ももふくさんのおかげで足を運ぶ理由が出来たのは、個人的にとてもありがたいことでした。

昨年、百福さんが南青山にお店を移転なさったので、今年からは南青山へと場所が変わります。コロナ禍下で動きが縮こまりがちであったところに、百福さんから移転のお話を聞き、その攻めの経営姿勢に脱帽し、同世代としてとても勇気づけられました。

いつもの百福さんの、新しい場所での個展。藤吉憲典としても初心に返るような気持で臨んでいるようです。10月に入って、飯碗・湯呑など、ふだん使いの器がどんどん出来上がっているところ。会期スタートの11月下旬に向けて、あと3回ほど本窯を焚く予定ということなので、その意気込みの大きさが伝わってきます。


藤吉憲典展(磁)
百福 momofuku
2022年11月26日(土)-12月2日(金)※会期中無休
12時-18時※最終日17時まで
東京都港区南青山2-11-6-1F
TEL03-6447-0952


お一人でも多くのお客さまに、藤吉憲典の器の現在をご覧いただけると幸甚です。

花祭窯の神無月の庭。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

花祭窯の神無月の庭。

台風の影響で潮枯れした庭を心配していたのは、先月末のこと。

それからひと月と経たないうちに、復活の兆しを見せる植物の皆さんの強さに感動している今日この頃です。

マリーゴールド

↑まずはマリーゴールド。実は中心の茎が台風の強風でポッキリと折れてしまっていたのですが、折れて倒れた先から根付いて、あれよあれよという間に緑の葉っぱが伸び出し、つぼみがたくさんついた!と思ったら、ついに開花いたしました。すごいです。

キンモクセイ

↑こちらはキンモクセイ。これも台風のあとは葉っぱがほとんど落ちてしまい、今年はさすがに無理かな、と思っていたところでした。ところが先週末から香りがふんわりとしてきて、あれ?と思ったら、我が家のキンモクセイでした。現在満開です。

ハナモモ

↑こちらはハナモモ。春に咲くハナモモですが、潮風で葉っぱが枯れたあと、緑色の葉っぱが出てきたと思ったら、花が咲きました。植物に詳しい友人に聞いたところ、ダメージを受けた後に、季節外れの花や実をつけようとするのは、種の保存の本能だそうです。

柘榴

↑ザクロもだいぶ色づいてきました^^

植物の生命力に驚きつつ喜びつつ、です。

我が家の食器棚は、花祭窯資料の宝庫。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

我が家の食器棚は花祭窯資料の宝庫。

上の写真は、美しく整理整頓されているとはお世辞にも言えない我が家の食器棚。使っている器の八割から九割は藤吉憲典の器で、あとは土ものと漆器とガラスと…ということになります。磁器以外のものも、知り合いの作家さんのものであったり、お取引先のギャラリーさんが扱っていらっしゃるものであったりします。こんなふうに、あたりまえに「いい器」を使うことが出来るのは、この仕事が生業であるゆえの贅沢。この点だけは、子どもに好い環境を用意してあげることが出来たかな、と。

ただ、藤吉の器を使っているとはいっても、ばっちり数を揃えているようなものはほとんど無く、ご覧のようにバラバラです。創業時から現在まで、サンプル崩れや半端もの、ちょっとお客さまには出せないな、というようなものが一つ、また一つと増えて、我が家の食器棚の中身を構成しています。

これまでに作ったものがある、ということは、そのまま形や文様の資料がそこにあるということ。そのなかでも自然と「よく使う器」というのは決まってくるもので、棚の手前に並ぶのは使いやすい器ということになります。器の使い勝手が並びに現れるというのは、無意識の結果だからこそなお、説得力を持ちます。

ときどき棚の奥から「そういえばこんなの作ったな~」というものが出てきたり、「あの器があったはず!」と探せば見つかったり。作家に言わせれば「昔作った未熟な仕事を見るのは恥ずかしい」のだそうですが、当時は当時で、できる限りの全力を傾けて作っていますから、未熟ながらも一生懸命さが伝わってきて微笑ましいものです。

ここ数日、ダンナが我が家の食器棚を眺めているのは、11月下旬からスタートする、南青山の百福さんでの個展に向けて、今まさに食器をたくさん作っているから。以前つくったものも、今作ればはっきりと進化を感じるものが出来上がります。それでこそ「セルフ写し」をする価値があるというもの。藤吉の器の愛用者の一人としてのわたしは、「また作って欲しいもの」をさりげなく食器棚の前方に配置して、制作意欲につながるよう環境整備(!?)です。