読書『日日是好日』(新潮文庫)

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

読書『日日是好日』森下典子(新潮文庫)

サブタイトルに『「お茶」が教えてくれた15のしあわせ』とあります。写真はイメージ(^^)

樹木希林さん主演で映画になったのは昨年でしたが、あいにく見逃しておりました。先日、友人とおしゃべりをしていたところその話になり「映画ももちろん良かったけれど、本も良かったからおすすめ!」と。実は、この映画のもとになった本があったとは知りませんでした。

本があるなら本を読もう!と思いつつ手に入れぬまま過ごしていた数日後、思いがけずそのお友だちからこの本が到着。とっても嬉しいプレゼントをいただきました。ありがとう。

で、読後感。面白かったです!というか、安心した、というのが正直なところでした。著者に比べたら、まだまだ年数も浅いわたしですが、「何年やっても、何回やっても、なかなか覚えない、同じことを間違える」という同じ経験をもっている人が、こうしてお茶の話をしていることが、とても嬉しかったです。

表千家で習っておられるのかな、と思います。お茶も流派がいろいろあって、ことばの使い方や、お作法のことなど、細かいところは流派による違いもあります。けれど、その作法の違いというのはこだわる部分ではありません。「茶式不可論(チャシキロンズベカラズ)」ですね。

つい少し前にお茶の先生からいただいた言葉「なにごとも続けた先にしか見えない景色があるを、思い出しました。お茶を続けることによる「しあわせ」は、流派を問わず同じなのだな、ということを確認することのできる本でした。

わたしにとっては、この本の著者、森下典子さんという作家さんがいることを知ることができたのも、大きな収穫でした。わたしはエッセイはあまり読まないのですが、なんだか文章がとても魅力的で。さっそく彼女の別の著書を注文しちゃいました(^^)

肩の力の抜き方。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

肩の力の抜き方。

昨日は、2019年最初の私的一大イベント「初伝披露懐石」 以来のお茶のお稽古日でした。一大イベントが無事(!?)終了したので、約三カ月ぶりに「ちゃんと覚えなくちゃ!」という切迫感から解放された状態で、お茶室入り。

新たに「包み棗(なつめ)」というお点前のお稽古に入りました。新しいお点前に入るときはいつも多少緊張するのですが、今回はいくつも間違えつつも、今までになく落ち着いて楽にお稽古することができたのを感じました。

何が変わったのだろう?

変わったことといえば、懐石という一大イベントの後であるということ。自分にとって非常に肩に力が入る場面をなんとか潜り抜けたことで、開き直ったといいましょうか、いい具合に肩の力が抜けたようです。

で、思いました。肩の力を抜くには、その前にまずギューッと肩に力を入れたらいいのだと(笑)

続・単発講座「肥前磁器面白雑学」@朝日カルチャー福岡教室

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

単発講座「肥前磁器(ひぜんじき)面白雑学―窯元おかみが語るエピソードあれこれ」@朝日カルチャー福岡教室

朝日カルチャー福岡さんで、イベント告知のページができましたので、あらためて宣伝です(^^)

ご縁があって 、朝日カルチャーセンター福岡教室で 「肥前磁器面白雑学―窯元おかみが語るエピソードあれこれ」講座をすることになりました。入会不要の単発講座です。興味のある方はぜひお気軽にご参加くださいませ。

「肥前磁器」とは、北部九州でつくられる「有田焼」「伊万里焼」などと呼ばれるものの総称です。磁器の歴史・つくり方・特長などの基礎知識から、現代生活での選び方・使い方のヒントまで、窯元おかみの視点でご紹介します。

とはいえ、せっかく「窯元おかみ」の視点でお話しするのですから、学術的な歴史のお話などよりは、「窯元」や「陶芸作家」の実態(!?)についてのざっくばらんなお話をする方が、楽しんでいただけるかな、とも思いつつ。90分という限られた時間をどんな内容で構成するか、今まさに考え中です(^^)


「肥前磁器面白雑学―窯元おかみが語るエピソードあれこれ

日時:2019年4月10日(水)13時半~15時
場所:朝日カルチャーセンター福岡教室
受講料:朝日カルチャーセンター会員2,268円、非会員2,808円
講師:花祭窯・内儀(おかみ) 藤吉有里

お申込み・お問合せは
TEL 092-431-7751(朝日カルチャーセンター福岡教室)へ


ご参加をお待ちしております(^^)

読書『藤森照信の茶室学』六耀社

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

読書『藤森照信の茶室学』六耀社

「日本の極小空間の謎」というサブタイトルのついた『藤森照信の茶室学』。久しぶりに取り出して読み直しています。以前、床の間について考えていた時に、この本が参考書のひとつとしてとても勉強になったのでした。

空中に浮いた茶室が有名な藤森照信さん。この本には茶室の歴史とそこに対する見解が述べられていて、勉強になるだけでなく、読み物としても面白いです。茶道の世界の方が書いたものではないところが、読みどころ。陥りがちな「こうあるべき」を取り払うのに最適です。

巻末の第七章の対談で藤森さんと茶室談義を展開しているのは、つい先日、建築界のノーベル賞といわれる「プリツカー賞」を受賞したとのニュースが流れた磯崎新さん。

アマゾンでチェックしたところ、既に中古しかありませんでしたので、今後価格の上がっていく本であろうと考えられますが、建築や茶室に関わる方には、とてもおススメの一冊です。

スタート地点に立ちましたね。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

スタート地点に立ちましたね。

たびたびこのブログにも書いていますが、博多の円覚寺で受け継がれている茶道南方流に入門しています。昨日はその懐石茶会の日でした。毎年春の恒例行事で、わたしも入門の翌年から参加しています。

今年はまったく景色が異なりました。というのも、今回はなんと亭主として参加したのです。入門から六年。こんな日が来るとは、一晩明けた今も、なんだか不思議な感じです。

この懐石茶会は正式には「初伝披露懐石」と呼ぶそうです。一定のお稽古を積んだ段階で先生から声がかかり、日頃の成果を披露する「稽古懐石」。お稽古の一環だから大丈夫ですよ、と先生方はおっしゃってくださったものの、特に年が明けてからの二か月間は、試験を控えた学生時分に戻ったような緊張感でした。

お炭手前からはじまり、お料理の給仕、濃茶手前、薄茶点前。利休さんのいう「二時(ふたとき)を過ぎず」すなわち「ふたとき=四時間を越えてはならない」のとおり、ちょうど四時間ほどでおさまる席になります。

お手伝いで参加していたときは、亭主を務める皆さんの集中力のすごさにただただ感嘆していました。いざ自分で務めてみると、やはり四時間集中し続けるのはたいへんなことでした。今振り返ってみると、お料理の給仕が済んだころ=時間にして二時間ほど経った頃には、緊張はしているのに集中が切れてしまっていたように感じます。

お客さまをもてなす大切な濃茶手前・薄茶手前はその後にあるのですから、まったくもって修業が足りていないことを痛感しました。後座(濃茶・薄茶)の手前をなんとかやり通したものの、席に入って見守ってくださった先生がどれほどハラハラなさったか、申し訳ないかぎりです。

片付けまですべて終わり、師匠である和尚様にお礼のご挨拶に伺ったときにかけていただいたのが、タイトルのことばです。そうです。やっと、スタート地点。亭主を務めることによって、自分に足りないものを強烈に自覚することもできました。ここからまた、お稽古を積んで参ります。

お稽古を付けてくださった先生方、茶会開催の段取りを進めてくださった本部の方々、前日から当日にかけての準備と運営をサポートしてくださったすべての皆さまに、心より感謝申し上げます。そして、わたしの遅々たる茶道精進を見守ってくれる家族にも。

2019年3月10日は、わたしにとって大切な節目のひとつとなりました。

単発講座「肥前磁器面白雑学」@朝日カルチャー福岡教室

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

単発講座「肥前磁器面白雑学」@朝日カルチャー福岡教室

肥前磁器面白雑学―窯元おかみが語るエピソードあれこれ―

ご縁があって「肥前磁器(ひぜんじき)」に関する講座を「窯元おかみ」の視点でお話しすることになりました。朝日カルチャーセンター福岡教室での、入会不要の単発講座です。興味のある方はぜひお気軽にご参加くださいませ。

肥前磁器の歴史や技術的なことについては、その道の専門家が多数いらっしゃいますので、「花祭窯のおかみ視点」というのが、わたしがお話しする意味になると思います。窯の創業以来今まで、お客さまから現場でたくさんのご質問をいただいてきました。そんなご質問=皆さんの興味にお応えするような内容をお話しできればと思っています。


肥前磁器面白雑学―窯元おかみが語るエピソードあれこれ―

日時:2019年4月10日(水)13時半~15時
場所:朝日カルチャーセンター福岡教室
受講料:朝日カルチャーセンター会員2,268円、非会員2,808円
講師:花祭窯(はなまつりがま)内儀(おかみ) 藤吉有里

お申込み・お問合せは
TEL 092-431-7751(朝日カルチャーセンター福岡教室)へ


朝日カルチャーさんの申込ページが出来上がりましたら、あらためてご案内いたします(^^)

春はそわそわ。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

春はそわそわ。

3月に入り、なんとなく「変化」の兆しを見たり聞いたりする機会が増えてきました。梅が散り、早咲きの桜がちらほらとお目見え。お天気も晴れたり雨が降ったりくるくると変わります。春ですね。

年度末から年度初めに向かう季節なので、学校や会社など、4月からを新年度とする枠組みのなかで動いている人たちに変化が現れるのはあたりまえですね。そして、そういう人々の人口構成に占める割合が多いからこそ、そうでない人にとってもなんとなく「変化」や「進化」の時期になるんだろうな、という気がします。

このところ我が家に公私さまざま嬉しいお客さまが立て続けにいらっしゃるのも、春だからかしら、と思ったり。季節に後押しされて新しい一歩を踏み出すことができるなら、その波に乗るのもひとつの方法ですね♪

さて写真は、この季節人気の「桜」の蕎麦猪口。ご近所、宮地嶽神社では、寒緋桜が満開です(^^)

3月といえばお雛さま。

おはようございます。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

3月といえばお雛さま。

もう長年我が家の3月を彩り続けているお雛さま。檜扇を持たないお雛さまも、毎年恒例のご愛敬。今年も出て来てくれました。個人的な話ですが、実家にはお雛さまがありませんでした。お雛さまに限らず、季節の行事に関わる飾り物がまったく無かったような。

節句を楽しむようになったのは、ダンナと花祭窯を創業してこの仕事をスタートしてからです。やきものの文様には四季折々の自然や行事にまつわるものがたくさんあり、それらを扱うことによって、自然と意識が向くようになってきました。

創業当時読んでいた本の顔ぶれは、やきものの文様、やきものの歴史に関する本などと並んで、日本の年中行事に関するもの、お祝いの文化に関するものなどが多々。大人になってから(というか結婚してから)、季節行事の愉しみを知ることになった、というところです。

ともあれ、3月になった=お雛さまを飾ろう!と気軽にできるありがたさ。季節の行事にまつわるもの・ことが生活のなかにあるのは、単純に楽しく、気分も華やぎます。

ところで、お内裏さまとお雛さまの並び方。どちらが右か左かの決まりは、地方によって異なるようですね。我が家では、その時の気分で(^^)

執着ではなく執持心。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

「執着ではなく執持心」

今日はお茶のお稽古でした。写真は入門している南方流円覚寺である日撮った床の間。基本のお稽古を繰り返すなかで、ところどころ迷う作法について先生にお話を伺っていたところ、ご紹介くださったのがこのことばでした。

なるほどと思いつつ、もっと理解したいと思って調べたところ、東本願寺のサイトに、わたしの理解を後押ししてくれる一節がありました。

『「執心」は、普通には、「執着心」ということで、「こだわりの心」という意味に解されることがあると思います。しかし、ここでは、「執持心(しゅうじしん)」ということで、「執(と)り入れて持(たも)つ心」という意味に用いられています。つまり、失わずに持(たも)ち続ける心をいうのです。 (東本願寺ホームページより)』

南方流の茶道訓には「茶礼可守(サレイマモルベシ)」と並んで「茶式不可論(チャシキロンズベカラズ)」があります。つまりは、最も大切な「礼」を持ち続けることが本意であり、細かい作法について執着するものではない、というようなところと解釈しました。

そしてもうひとつ珠玉の教えをいただきました。それは「なぜお茶のお稽古を続けるのか」という根本的な問いに対して、「なにごとも続けた先にしか見えない景色があるから、あなたはお茶を続けなさい」とおっしゃった師匠の教えを信じて続けているという先生の言葉。

「続けた先にしか見えない景色」の存在を感じるのは、事業もまた同じです。花祭窯はとっても小さな個人事業ではありますが、20年以上を経て見えている景色は、創業時にはまったく考えてもいなかったものでした。今から5年先、10年先にどんな景色が見えているのかと考えると、いつもとてもワクワクします。

思いがけず「お茶のお稽古」「事業」「人生」に思いをはせた素晴らしい時間でした。禅寺で継承される茶道の真髄を感じた一日でした。感謝。