藤吉家の「新・春の恒例行事」は、いちご狩り。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

藤吉家の「新・春の恒例行事」は、いちご狩り。

花祭窯の創業地である、佐賀県江北町花祭に行って参りました。目的は、草刈りと、苗木の植樹と、いちご狩り。いちご狩り@花祭は、昨年から始まった我が家の春行事です。

観光農園「花祭いちごの谷」
観光農園「花祭いちごの谷」

福岡・津屋崎から佐賀・花祭までの道中は、あちらこちらで満開に近い桜を愛でながらのドライブとなりました。いい季節です。花祭窯の創業地でも、移転前に植えた桜が見事に花を咲かせてくれていました。

花祭の桜

限界集落になりつつある花祭に光を当ててくださった観光農園「花祭いちごの谷」の活動は、そこに住んでいなくてもできる地域貢献を考えるきっかけを、わたしたちにあらためて提示してくれました。毎年この季節にここに来ることによって、初心に戻ることが出来るありがたさ。

自分達にできることの第一歩として、一昨年の台風で更地となった創業跡地に、柑橘樹を植えることに。今回はまず3本を植えましたが、これから少しづつ増やしてまいります。そのうち、柑橘類の果実で観光農園ができるようになるといいな、と企み中。

花祭に果樹園を作る。

お茶のお稽古、のお稽古@徳り庵。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

お茶のお稽古、のお稽古@徳り庵。

「お茶のお稽古再開。」と書いたのは約2週間前のこと。

コロナ禍で、集まってのお稽古が出来ず、お点前を忘れてしまわないよう自習すればよいと頭では分かっていても、まったく手につかなかったこの2年間…(せっかくお茶室があるというのに!)。ようやく南方流・円覚寺でのお稽古ができるようになった途端「よし、おさらいしよう」と意欲が湧いてくるのですから、ゲンキンなものです。「あまりにも出来無さ過ぎると恥ずかしい」という気持ちが自分のなかに残っていることを確認(笑)。

やはり久しぶりにお稽古に出る前に復習したいという息子とともに、徳り庵でおさらいすることになりました。徳り庵は、花祭窯の小さな茶室です。

炭をおこして湯を沸かして、となるとまた一仕事なので、今回まずは空点前で。空点前(からでまえ)とは、実際にお茶を点てることなく、お点前の手順をしてみることです。「エアーお点前」とでも言いましょうか。実物の道具をどこまで使うかはその時々・環境に寄ります。今回は、湯・水・炭・お抹茶無しで、お茶室には風炉に窯と水差しだけを配置し、手に持って扱う道具は実際のものを使いました。

基本のお薄点前をお稽古しました。袱紗捌き(ふくささばき)の練習をし、お茶碗に茶巾・茶杓・茶筅を仕込むところから。人に教えるのが一番自分の勉強になるというのはどんな分野にも言えることなのだと思いますが、お茶もその通りですね。少なくとも息子よりは先輩ということで、拙いながらも指導をすると、自分が何所を理解していて、何をわかっていないかがあからさまになります。

ひととおり片付けまで済ませると、教える方も教わる方もぐったり。息子が「今日はここまでで大丈夫」と言ってくれたので、内心助かりました(笑)。お茶の先生方は、一日に何人も、それも習熟度合がまちまちな入門者のお稽古をずっと続けておられます。そのすごさをあらためて思いました。

それにしても道具の前に座るだけで、気持ちが引き締まるから不思議です。こうしていざ自主稽古をしてみると「どうして今までやらなかったのかしら!?」とさえ思えてくるのですから、我ながら呆れます。ともあれ後悔先に立たず。少なくとも月に一度はお茶室に座りたいと思います。

読書『〔デザイン技法図鑑〕ひと目でわかるレイアウトの基本』大里浩二監修・MdN編集部編

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『〔デザイン技法図鑑〕ひと目でわかるレイアウトの基本』大里浩二監修・MdN編集部編

こちらもいつものカメリアステージ図書館。階段を上ったエントランスエリアに、特集コーナーがあり、現在展示されているのは「伝える」をテーマにした本の数々です。その内容は…


【カメリアステージ図書館】

『言いたいことが伝わる 伝える力』『伝える力』をテーマに、伝わりやすい話し方、資料の書き方、レイアウト、広告など、ビジネスだけでなく日常生活でも役立つ様々な本を集めました。①伝わる話し方(コミュニケーション)②資料を使って伝える(資料作り・プレゼンテーション)③まだ知らない人に伝える(広告・POP作り)人に伝える力(技術)を学んでみませんか

カメリアステージのフェイスブックページより


ということで、良さげな本が並んでおります。わたしはデザイン系の「伝える」に役立つものを物色して参りました。数回にわたり何冊も借りてきたなかで、「これは買い!」となったのが本書『〔デザイン技法図鑑〕ひと目でわかるレイアウトの基本』。

裏表紙に「ちゃんとデザインの基本原則が学べるデザイン教本。」と書いてある通り、わたしのような、デザインを体系立ててちゃんと学んだことが無いけれど、仕事で使う場面がたくさんある人間に最適です。全ページで実例を挙げて簡潔に示してあり、ビジュアル的・直感的にわかりやすいのが嬉しい。そのうえで解説文を読めば、理屈もしっかり胎落ちします。

「レイアウト」にはじまり、「文字」「写真」「図版」「配色」と網羅していますので、これ1冊あれば、わたしレベルの活用範囲でしたら、ほぼこと足ります。なによりそれぞれの単元で上がっているサンプルが、どれもセンス良く、そのまま技法を部分的に流用して雛型として使えること間違いなしです。素人(=わたし)的には、こういうのが一番助かります。紙媒体・ウェブ、どちらでも生かせそうです。

カメリアステージ図書館の特集コーナーでは、いつもいろいろな気づきがあります。そんな場所を作り上げてくださっている図書館スタッフの皆さんに心より感謝です。

[デザイン技法図鑑]ひと目でわかるレイアウトの基本。

名刺新作-今回は裏面全面にサイ写真。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

名刺新作-今回は裏面全面にサイ写真。

毎回楽しい名刺づくり。名刺をどうしたものか、検討中。と書いていたのは、もう二か月ほど前ですが、懸案としていた「より紙で作る意味のある名刺」=ビジュアルインパクト重視で作ることが出来ました。と、自分では思っています(笑)

サイのサイモン氏名刺

これまでは表裏で日本語版・英語版と分けていましたが、分けなくても両方表記できるよね、と思い直し。結果、片面は余分な文字を入れることなく全面写真で作成することが出来ました。今回の写真は、絶賛売り出し中(笑)の、藤吉憲典作・サイのサイモン氏。

サイのサイモン氏のインスタ、現在休止中です。

そもそも「日本語版・英語版と分けなくても、同じスペースに両方表記してもいいよね」は、前回2020年に藤吉憲典公式ウェブサイトをリニューアルしたときに、発想を切り替えてチャレンジしたもの。情報を分けて独立させる効用もあるけれど、一か所で完結できることによる利点もあることがわかってきた、ここ数年でした。

毎回写真を差し替えていくことで、キャラクターカードのように、名刺を集める楽しみが生まれると嬉しいかも…などと思いつつ。考えてみたら、花祭窯の事業を説明するのに、写真ほど雄弁に語ってくれるものは無いかもしれません。今回は写真映えを一番に考えて、用紙は名刺としてはやや厚めのコート紙225kgをチョイス。「紙製の名刺」の存在価値を最大限に生かせるよう、これからもいろいろ試していきたいと思います。

花祭窯の弥生の庭-露地の手入れをしていただきました♪

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

花祭窯の弥生の庭-露地の手入れをしていただきました♪

久しぶりにプロの手をお借りしました。手入れをしてくださったのは、花祭窯の露地を作ってくださった、ガーデナー・造園家のガーデンアルテさん。2015年に茶室に合わせた露地(和の庭)をつくっていただいて以来、年に1回ぐらいの頻度でメンテナンスをお願いしています。

気がつけばサザンカの木がずいぶん大きくなっていました。彼女の手を通すと、見違えるようにすっきりと美しく整います。たびたび手入れのアドバイスはいただくものの、やはり自分ではうまくできず、頼るべきは信頼できるプロですね。毎度のことながら、その仕事ぶりに感嘆。一夜明けた今朝は、雨に枯山水の石が映えてきれいです。

花祭窯の露地
お茶室に続く飛び石周りもすっきり。
花祭窯の露地
タマシダがいい感じです。
花祭窯の露地
ジンチョウゲが満開です。
花祭窯の露地
ハナモモのつぼみがたくさん。
足元もすっきりしました。
花祭窯の露地
空いているスペースはカノコユリの場所。

本格的に暖かくなる前に、手入れが出来て良かったです。これからの新緑、花の季節がますます楽しみです。

福岡商工会議所「女性起業塾」を終えて、備忘メモ。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

福岡商工会議所「女性起業塾」を終えて、備忘メモ。

2月から3月の二カ月計17時間のZoom講座からの、備忘。


  • プロに任せるところは、身銭を切る。
  • 「自分のため」以外の目的をもって事業をする人は、周りの協力を得やすい。
  • 人格と思考は別のもの。議論の論点と人格は別という認識。
  • 生活様式の変化キーワード:在宅、リモート、オンライン、お取り寄せ、健康意識、個室化。
  • 経営キーワード:ホンモノ、コラボレーション(同業・異業)、一点集中、複業化。
  • 事業ドメインはたくさん書き出す。
  • 大きくイメージを広げてから、考えを集約していく。
  • なぜわたしは起業するのか?
  • 日本で一番多いのは「単独世帯」。人口は減っているが、世帯数は増えている。福岡も同様。
  • to B。
  • LINE、YouTube、note、Instagram。
  • SNSをLPと意識して作る、増やす。
  • 自分の年齢プラスマイナス10歳が顧客になりやすい。

今回お世話になったのは、福岡商工会議所。わたしは通常、地元の福津市商工会にお世話になっていますが、福岡商工会議所が開催するセミナーや商談会などにお世話になることも年に数回あります。そのたびに、実務を担当するスタッフの方々の熱意やフォロー体制の厚さに感心すること多々。こういう場所が近くにあることは、とてもありがたいです。

お茶のお稽古再開。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

お茶のお稽古再開。

まるっと2年ぶりの初釜の喜びの後、福岡県内に「まん延防止措置…」のコロナ対策が発令されたため、またもやお茶室に通うことが出来ずにおりました。先日ようやく解除されて、お茶のお稽古も晴れて再開です。

この2年の間に「感染防止対策をとりながらお稽古をする方法」を模索してくださった先生方のおかげで、安心して参加できる環境となっていました。いつもの四畳半のお茶室ではなく広間でのお稽古になったり、すべてご自服でいただくことになったり、いくつかの変更はありましたが、とにかく円覚寺に足を運んでお稽古ができることの幸せ。

作法あれこれをすっかり失念しており、まずはウォーミングアップで薄茶のお点前から再開しました。ひとつひとつ、基本の所作を確認しながらゆっくりペース。作法を忘れてしまっているのは仕方がないとして、せめて立ち居振る舞いだけでも丁寧にと、ご挨拶、襖の開け閉め、歩き方、立ち方座り方、道具の扱い方に気持ちを向けました。

南方流の茶道訓には七つの教えがあり、そのなかに「茶式(ちゃしき)論ずべからず」「茶礼(されい)守るべし」というものがあります。お点前の決まり事通りにきちんとできなくても、礼を尽くしたふるまいを心がけることはできる。できることをきちんとしていくことの大切さです。

ほかの方のお稽古を拝見し、自分でもやってみて、手を動かすうちに、少しづつ少しづつ、感覚が戻っていくのを味わいました。それにしても、久しぶりのお茶室でもリラックスして稽古に臨むことが出来るのは、先生方の寛容で余裕のあるお姿があればこそ。幸せな環境だなぁ、とつくづく思います。

とはいえ、初伝免状所持者としては、もう少し自覚を持たねばならないかもしれません。頑張ろう。

「女性起業塾」最終日は事業計画書の発表でした。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

「女性起業塾」最終日は事業計画書の発表でした。

初心に戻ってお勉強、「女性起業塾」に参加しています。…とアップしてから早一か月。昨日は最終日でした。

参加者21名の事業計画書発表は、一人当たりの持ち時間わずか5分。計17時間のZoom講座を担当してくださった中小企業診断士の先生が「プレゼン時間は短いほど難しい」とおっしゃっていた通り、肝心の要点を第三者にわかりやすく伝える難しさを痛感。前日までに練習はしたものの、フィードバックではダメな部分ばかりが目につき、反省だらけの最終日となりました。

事業形態を決め、自分の強みを棚卸し、創業の(わたしの場合は新規事業進出の)動機・目的を文字にし、事業環境を客観的に把握し、想定する事業ドメインを書き出し、資金計画・収支計画を立てる。これまでの事業運営のなかで、新しいことをするときはいつもある程度頭の中で考えていた(つもりでいた)ことも、こうして「第三者に伝えることを想定して文字にする」ことの意味・効果を、あらためて実感しました。

一方で、20名の皆さんのプレゼンテーションを拝見出来たことは、大きな収穫でした。さまざまな視点・方法があることを学びました。先生も講評でおっしゃっていたのですが、今回の参加者の方々は、起業の動機や目的に社会課題の解決を挙げている方がとても多かったのが印象的でした。それも、いかにも「社会課題解決に取り組みます!」というアプローチではなく、やりたいことが結果としてそこにつながるというパターンが多く、さりげない善意があふれていることを感じました。

起業塾は終わりましたが、新規事業計画書の実行はこれからがスタート。今回の起業塾でご一緒した皆さんに、胸を張ってご報告できるよう、頑張ります。

続・『いちばん親切な西洋美術史』(新星出版社)で、彫刻の歴史をざっと学び直し(その5)。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

続・『いちばん親切な西洋美術史』(新星出版社)で、彫刻の歴史をざっと学び直し(その5)。

「その1」では、エジプト・メソポタミア文明からエーゲ・ギリシャ文明まで、「その2」では、エトルリア・ローマから初期キリスト教・ビザンティン、続くロマネスク・ゴシックまで「その3」ではプロト・ルネサンスからルネサンス、マニエリスムまで、前回「その4」ではバロック(17世紀)、ロココ(18世紀)、新古典主義・ロマン主義(18世紀後半~19世紀前半)までを振り返りました。

最終回となる「その5」では、印象派、世紀末芸術、現代美術まで。


印象派(19世紀後半)

  • アカデミズムへの反旗。
  • ジャポニズム:日本美術への傾倒。浮世絵、工芸品の収集。日本美術の持つ造形感覚。
  • アール・ヌーヴォー。
  • オーギュスト・ロダン:アカデミズムの逆。絵画の印象派と象徴主義を彫刻に導入。部分から全体を構成する手法(キュビズム)。
  • エミール・アントワーヌ・ブルーデル:アルカイック彫刻への回帰。円と直線による幾何学的な構築性。
  • コンスタンティン・ブランクーシ:極限まで対象の形態を単純化し、素材そのものの質感を前面に打ち出す抽象主義的な表現。

世紀末芸術(19世紀末~20世紀初頭)

  • 背景:産業革命以降、機械による大量生産。
  • 工業社会への反動→アーツ・アンド・クラフツ運動(家内制手工業と中世的な装飾への回帰)。
  • アール・ヌーヴォー:特に工芸品や建築装飾で流行した様式。中世的な動植物文様や昆虫などの有機的素材を装飾に用いた装飾美術=機械社会に対する反発によるモチーフ選択。
  • 伝統図象と華やかな装飾を融合した新たな美の構築=工芸と絵画を融合する表現=総合芸術(ユーゲントシュティル)。
  • クリムト:装飾工房の設立。職人が主導する分野だった工芸の技術と絵画の融合。
  • アーツ・アンド・クラフツ運動:ウィリアム・モリス。職人の手で一つひとつ作られる工芸品の価値を見直す試み。=中世の手仕事を理想に掲げたデザイン革命。生活と芸術の一体化を目指す。
  • ガラス、鉄などの新しい素材による手工芸。ガラス:エミール・ガレ。
  • アール・デコ:1925年パリ万国装飾美術博覧会。装飾芸術=アール・デコラティブから、アール・デコと呼ばれる。
  • アール・ヌーヴォーが手作り製品を中心としたのに対し、アール・デコは大量生産の工業製品や近代建築にも用いられる。
  • ガウディ:アール・ヌーヴォー、アール・デコの特質を建築分野に適用。有機的で色鮮やかな細部装飾と、曲線を多用したデザイン。

現代美術(20世紀~)

  • ダダイズム:伝統的な芸術様式や既成の秩序に対する否定や破壊を目的とした芸術思潮。マルセル・デュシャン「泉」。レディ・メイド。
  • バウハウス:近代デザイン思想の基礎。新たな技術や機械を積極的に取り込み、新たな美的価値を創出して人間の側に近づけようとする動き。中世の工房がモデル。
  • 戦時のプロパガンダ:古典的な表現への逆戻り。
  • 第二次世界大戦後:科学技術の飛躍的な進歩・加速度的な変化→美術の広大化、細分化と混迷。

『いちばん親切な西洋美術史』(新星出版社)より


現代美術は今なお継続中ということになりますが、ずっと先の未来にどのように分類され説明されるのか、気になるところです。個人的には、サロン=アカデミズムの広がりと、その後のアーツ・アンド・クラフツ運動が、彫刻=立体にとっての大きな転換点に思えました。現代美術の説明で必ず登場するデュシャンの「泉」は、コメディとしては面白いと思いますが、これを崇める風潮は理解出来ないというのが正直なところ。ともあれ、5回にわたる「彫刻の歴史をざっと学び直し」は、思った以上に自分の考察を深める役に立ちました。

続・『いちばん親切な西洋美術史』(新星出版社)で、彫刻の歴史をざっと学び直し(その4)。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

続・『いちばん親切な西洋美術史』(新星出版社)で、彫刻の歴史をざっと学び直し(その4)。

「その1」では、エジプト・メソポタミア文明からエーゲ・ギリシャ文明まで、「その2」では、エトルリア・ローマから初期キリスト教・ビザンティン、続くロマネスク・ゴシックまで「その3」ではプロト・ルネサンスからルネサンス、マニエリスムまでをまとめました。

「その4」ではバロック(17世紀)、ロココ(18世紀)、新古典主義・ロマン主義(18世紀後半~19世紀前半)まで。


バロック(17世紀)

  • 宗教のメディアとしての美術。
  • ドラマチックな演出で感情移入を促す:劇的な動き・凝った装飾・過剰な壮大さ。
  • バロック建築:楕円・曲線・派手な内部装飾。
  • ベルニーニ(イタリア・バロックの体現者):彫刻と建築が一体化した空間をプロデュース。サン・ピエトロ広場(ヴァチカン)、「アポロンとダフネ」、「聖テレサの法悦」。
  • 神秘体験を可視化。劇場舞台のような作り。

ロココ(18世紀)

  • サロン(官展)の誕生。貴族趣味。
  • 建築・家具・食器・ファッションなどの工芸・服飾にもロココの影響(流行)。

新古典主義・ロマン主義(18世紀後半~19世紀前半)

  • ポンペイ遺跡の発掘。古代美術ブーム。
  • 古代遺跡・ルネサンス作品への文化的尊敬。
  • 政治のプロパガンダとしての芸術。
  • ギルド社会における徒弟制度による実践重視から、アカデミズムによる美術理論重視へ。

『いちばん親切な西洋美術史』(新星出版社)より


「彫刻」視点でまとめているため、上には入れていないものの、わたしの好きな画家カラヴァッジオはこの時代(バロック)の寵児。ヴィジョン(幻視)による感情移入はまさに「ドラマチックな演出」そのものです。こうして振り返ると、サロン(アカデミー)誕生による、実践重視から美術理論重視への変化こそが、美術における絵画(平面)偏重を招いたとあらためて感じます。

次回「その5」は、印象派から近現代まで。ついに完結できそうです。