花祭窯のショップカードが新しくなりました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

花祭窯のショップカードが新しくなりました。

約二年ぶりの新調となりました。在庫が少なくなるタイミングとも重なりますが、新しいものを作りたくなるタイミングが、わたしの場合どうも二年スパンのようです。新調したいと思ったときに躊躇なく作れるよう、毎回カード制作は最小単位(50枚とか100枚とか)で発注します。足りないときは追加発注したらOK。おかげで印刷物を余らせることなく、毎回すべて使い切ることができます。最近のオンデマンド印刷は、画質が良いうえに小さい単位での注文もしやすいので、助かります。

花祭窯のショップカードというよりは、磁器作家・藤吉憲典の略歴カードあるいは名刺代わりと呼んだ方が、正しいかもしれません。このところハガキサイズでの制作が続いていましたが、今回は少し気分を変えて、二つ折りで名刺大のタイプにしてみました。これだと、蕎麦猪口や小皿といった小さいサイズのものを化粧箱包装するときにも、きれいに箱におさまります。

花祭窯ショップカード 兼 藤吉憲典アーティストステイトメント

↑写真面が表。写真は、abcフォト(abc pictures)の赤司さんに撮っていただいたもの。いい写真が手元に揃っていると、このような制作物を作ろうと思ったときにすぐに取り掛かれるので、とっても助かります。

花祭窯ショップカード 兼 藤吉憲典アーティストステイトメント

↑こちらがカードを開いた内側面。前回ショップカードを新作したときにも思ったのですが、つくるたびにテキスト(文章)が減っていく傾向にあります。必要最小限を目指した結果、今回はこのようになりました。シンプルイズベスト。英語版もそろそろ在庫が少なくなってきたので、同じパターンでつくろうと思っています。せっかくなので、写真は別のものに差し替えます。その写真選びも楽しみのひとつです。

今回も印刷は、「印刷通販ならWAVE」さんに発注。発色美しく印刷してくださること、オペレーションが常に改善されていてスムーズでわかりやすいこと、入稿データに少しでも「?」があるとすぐに電話でご連絡くださること、オンデマンドでは選べる紙の種類がたくさんあるのが嬉しいです。今回も満足の仕上がりです。

続・『美の壺「青と白の粋 染付の器」』個人的備忘録。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

続・『美の壺「青と白の粋 染付の器」』個人的備忘録。

先週末に、NHKBSプレミアム『美の壺』の再々放送が終わり、一段落です。7月2日の本放送から約半月、「見たよ!」とメッセージを寄せてくださった皆さま、ありがとうございました!

ここまでの反響について、以下備忘。


  • インスタフォロー数は放送前よりも約200件増。うち約150件は本放送の後3日間の動き。後日2回の再放送では、ともに放送中~放送終了のタイミングで10数件ぐっと伸び、あとはちょこちょこ。やはり瞬発力。
  • 藤吉憲典公式フェイスブックへのフォロー数は50件増。
  • フェイスブックからオンラインショップへの流入増、平均ページビュー8.4と多め。
  • 再放送、再々放送のあとは、問合せ電話件数は数件、アポなし訪問はゼロ。ネットからの問い合わせはすべて蕎麦猪口倶楽部のフォームから。Artworkからの問い合わせは無し。
  • ご近所では本放送の録画、再放送、再々放送で見てくれた人が多め。
  • オンラインショップ在庫無しも、予約注文を入れてくれるお客さま少なからず。欲しい人は手間と時間がかかっても注文してくださるのは変わらず。
  • マグカップ名指し(検索、問合せ)多し。やはり画面に映ったものが強い。
  • 「初めて知りました」の人、多々。それを欲しいと思っている人に知っていただくこと、お届けすることの大切さ、その方法の難しさをあらためて実感。『美の壺』は比較的ベクトルが合っていたことを再確認。
  • 「テレビ」「NHKBSプレミアム」「美の壺」という、メディア属性の「わかりやすさ」は、そのまま不特定多数に向けての説明のしやすさになる。
  • 「知ってもらう」の重要性。ただし、ブランディング的に正しい方法で、正しく知ってもらう。

丁寧に取材してくださった『美の壺 File543 「青と白の粋 染付の器」』制作チームの皆さんに、あらためて感謝しています。いわば公共の電波を使っていろいろな人に近況報告ができ、喜んでいただけたことが一番の収穫でした。なかでも、藤吉が有田工業高等学校デザイン科時代にお世話になった恩師の先生方が、手放しで喜んでくださったのが、本人はなにより嬉しかったようです。

ありがとうございました。

独自の世界観。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

独自の世界観。

先週参加した九州ECの勉強会で、講師の株式会社エーデルワイスファーム代表・野崎創氏がしきりにおっしゃっていた「自分自身の世界観」を構築することの大切さ。同様のことを再確認する機会が立て続けにありました。

個人の世界観は属人的なものなので、たとえその世界観が変化したとしても「変わった」のであって、「ブレる、ズレる」という言い方にはならないと思います。でも組織やブランドの世界観となると、関わる人すべてが世界観を共通言語で理解することは必須であり、どれだけ徹底できるかがキモでしょう。構成員それぞれの解釈が少しでも異なってくると「ブレ」たり「ズレ」たりしてしまいます。

最近では、インスタグラムの運用がわかりやすい例だと思います。企業や商品ブランドのインスタグラムでは、誰が担当してもその世界観がブレないように、テーマカラー、言葉遣い、写真構成などについて、細かいルールが決められていることが多いようです。インスタ運用のノウハウ本などでも、まずルールを決める大切さが書かれていますね。

その一方で、実際に運用を手掛ける「中の人」のキャラクターが出やすい一面もあり、「誰がやるか」が大切だという話も聞きます。わたしも「磁器作家藤吉憲典の、中の人」なので、勉強のためにときどきブランドのインスタをチェックしますが、少しのブレも感じさせず作りこまれたインスタは少なくありません。大きな組織で一貫した運用ができているのを拝見すると、すごいなぁとため息が出ます。

ダンナの「作家」という仕事は、世界観が最も重視される職種のひとつだと言えます。ただ少し他と異なるのは、作家自身・作家が創り出すものがそのまま世界観になるので、圧倒的に属人的であるということ。「理想とする世界観があって、そこに当てはめていく」のではないということです。なのでわたしの仕事は、すでにそこにある「世界観」を、必要に応じて文章や画像などに表現していく際に、「どう置き換えるか」だけになります。

事業スタートから約四半世紀を経てわかってきたことは、作家という仕事の場合、日常的に繰り返し発する「作品そのもの」「言葉」「写真」などを通して、世界観は自然と(勝手に)醸成されていくということです。わざわざつくりこむ必要がまったく無いのです。むしろ、恣意的なものは入り込む余地がありません。

それも、さまざまな変化をしながらも、一番大切なものは一貫して変わらずに仕事を続けてきた故だと思います。黙っていても滲み出てくるもの、これこそがきっと「独自の世界観」といえるでしょう。あとは、それを社会につなげる役割を担う者(=わたし)が、いかに限りなく忠実に、置き換えていくことができるか。責任の大きさをあらためて感じた今日この頃です。

『美の壺「青と白の粋 染付の器」』個人的備忘録。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

『美の壺「青と白の粋 染付の器」』個人的備忘録。

7月2日の本放送からの「気づき」を、忘れないうちにメモ。


  • 放送開始から1時間ほどでインスタグラムのフォロー数が50件以上増。
  • 放送開始から約3日間でインスタフォロー数が合計150件ほど増。
  • フェイスブックページへのフォローはそれほど伸びず。
  • サイトからの問い合わせは、ほとんどが7月2日放送中から3日朝までに入り、そのあとはわりと静か。
  • サイトからの問い合わせは、公式サイトからと、オンラインショップからの2方向から。
  • 公式サイト→オンラインショップに行く人と、公式サイト→Artworkに行く人。
  • フェイスブック経由でオンラインショップにたどり着いた人が約55%。
  • 放送開始から約3日間でメルマガ登録者約20名。アクセス数から考えると約1%。
  • モバイルから62%。デスクトップから20%。その他諸々18%。
  • 米国からのアクセスが67件。ワールドプレミアム放送からの流れ?
  • 中国より「見ましたよ」の報告数件。見れるらしい。
  • 番組に出た情報「福岡県福津市」「陶芸家藤吉憲典」「染付」=検索ワード。
  • サイトを見ても「完全予約制」の表示を見ていない人が多数=周知してもらえるようにするには?要検討。
  • 翌日以降3日間で電話での問合せ(アポ予約電話以外)は6件。
  • アポ無し直接訪問は6件。

「放送後」に備えての反省点は、これから要検討。

特に、番組の性格上「訪問前に要予約」を入れてもらうことができない場合の対処。サイト、SNS、紙媒体など、あちらこちらに「完全予約制」を明示しているつもりが、周知の難しさを痛感。今回も「1度に1組のお客さま」を順守するため、予約無し訪問はほとんどお断りせざるを得ず。玄関先まで来て中に入れなかった方のお気持ちは察して余りあるし、こちらとしてもせっかく足を運んでくださった方をお断りするのは、正直ストレスが大きい。まずはここをなんとかしたい。

英文書類作成に追われていました…。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

英文書類作成に追われていました…。

このようなタイトルでブログ記事が上がること自体、いかに英語力が足りていないかを表してしまっていますね(笑)。当たり前にできるようになったら、「それをブログのネタにする」こともなくなるはずです。そんな日が来ることを願いつつ。ともあれここ数日、提出締め切り間近の書類作成にかかりきりになっていました。ようやく目途がつきましたので、ちょっとだけブログ執筆に逃避。

上の写真は、今回の英文書類作成に際し、中心となって活躍してくれた参考書の皆さん。いつもおおよそ同じ顔ぶれではあります。ダンナ・藤吉憲典の仕事について書くこと=美術・芸術系のことを英語で書くときは、なんといっても宮本由紀さんの『英語でアート!』(マール者)が力強い味方です。それから英語の本ではないものの、今回は用語などの確認に『いちばん親切な西洋美術史』(新星出版社)を参照。言い回しについては、ずっと使っているマヤ・バーダマンさんの『英語のお手本』(朝日新聞出版社)と最近手に入れた『英語の品格』(インターナショナル新書)に倣います。

もちろん翻訳サイトにもガンガンお世話になりながらの英作文です。そのうえでも重宝するのが「紙の辞書」。アナログです。和英・英和ともに、紙の辞書の特徴である「前後左右の情報が無意識に目に入ってくる」のが、わたしにとっては使い勝手の良さにつながっています。ただ、今回使いながら和英の「例文」に古さを感じ、発行年を確認したら2013年でした。これは最新版に買い替えねば!新しい英英辞典も欲しくなってきました。

市販の参考書類のほか、最近一番良く使い参照・引用するのは、実はこれまでに自分が作った英文書類なのです。仕事を英語で説明する機会が増えてきたのは2013年から。以来8年あまりで、使いまわせる英文のストックが、ずいぶん増えてきました。間違っていたり、稚拙な文章で使えないものも多々ありますが(笑)。そのまま使えるものもありますし、ちょっと単語を入れ替えたり、言い回しをブラッシュアップしたりして使えるものも。自分が実際に使った英文=自分用にカスタマイズされていますから、とても便利。過去の自分が今の自分を助けてくれる感じです。

そうしてある程度文章が出来上がったら、最後は(わたしにとっては一番肝要な!)ネイティブチェックです。英会話レッスンでお世話になっているトラヴィスさんと一緒に、伝えたいニュアンスを確認しながら修正していきます。これももう長くお願いしているので、美術的なニュアンスや、うちならではの表現を汲み取っていただけるのが、なにより助かります。もちろん、文法ミスやスペルミスなど基本的なチェックも。このネイティブチェックがあるからこそ、素案としての文章を安心して作ることができます。ありがたいことですね。

新作ができるとやっぱりワクワク。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

新作ができるとやっぱりワクワク。

食器でもアートでも、藤吉憲典の新作ができるときは、毎回ワクワクします。先週末は、ロンドンSladmore Contemporaryでの次の展覧会に向けた作品が5つ、窯から上がりました。本窯焼成の後、赤絵窯に3回入って、やっと出来上がり。

白熊(シロクマ)、豹(ヒョウ)、ヒクイドリ、ケープペンギン(アフリカペンギン)、カバ。動物園のような顔ぶれは、テーマ「Endangered Animals(絶滅危惧種)」での制作です。コロナ禍で遠方への移動が難しいなか、近場の動物園に足を運び、写真データをたくさん集め、というところから制作スタートしたのでした。

今回はテーマをいただいてから、作品として出来上がるまで半年ほどでした。新しいものを生み出すのには時間がかかるので、半年での完成は早い方です。作家がもともと作りたいと考えていた顔ぶれだからこそ、テーマをいただいたときにすぐに反応できたのだと思います。写真は今回の新作のひとつ、豹。

豹陶箱 藤吉憲典
豹陶箱 藤吉憲典

ワクワクと嬉しく眺めるのも束の間、サイズを測り、撮影し、梱包して海外発送準備にとりかかります。作品が出来上がってから花祭窯に居るのはほんの数日。ロンドンで展示されている様子をこの目で見たいなぁ、と思いつつ。

海外発送準備は何回もしてきているものの、発送を完了してしまうまで、未だ緊張しっぱなしです。発送が済んだら、次は無事に届くことを祈るばかり。ギャラリーから到着報告があればひとまず安心するも、今度は「送り出した作品たちが素敵なコレクターさんと巡り会い、それぞれのお宅で愛されますように」と、子どもを送り出す親の心境です。

個展ご来場へのお礼状。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

個展ご来場へのお礼状。

ダンナ宛てに嬉しい絵手紙が届きました。5月にあった桃居さんでの個展ご来場へのお礼状に、お返事をいただいたのでした。ありがたいことに、時々こうして、お客さまからのお手紙が届きます。

ダンナ・藤吉憲典が陶芸作家として独立して、数年後にギャラリーさんで個展を開催していただけるようになって以来、「個展案内状の宛名手書き」「個展にご来場くださった方へのお礼状書き」を続けています。

「個展にご来場くださった方へのお礼状」は、基本的には「芳名帳」にご記名くださった方、会場で名刺交換をした方、在廊時にお会いしてご連絡先がわかっている方にお出ししています。芳名帳に記入されない方もいらっしゃるので、ご来場くださったすべての方にお届けできているわけではありませんが。

お出しする枚数が少ないときは、本文も宛名もすべて作家本人が書くのですが、すべて書く時間をつくるのが厳しいときには、藤吉憲典が本文を一枚書いて、それを印刷してお礼状を作成しています。本人の手で書くのが一番良いとは重々承知しつつも、お礼状が届くのがあまり遅くなっては、受け取られたときに「?」となってしまうだろうと思うので、そこは出すタイミングの方を優先しています。

今回のように「お礼状へのお返事」をいただいたりすると、とっても嬉しいやらありがたいやら。SNSやメールなどでお礼をお届けすることもできますし、そちらの方が良いという方もいらっしゃると思います。でも、お手紙もずっと続けていきたいと思っています。

あらためて文様について調べるきっかけ。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

あらためて文様について調べるきっかけ。

肥前磁器、なかでも特に蕎麦猪口の文様の多様さ面白さに惹かれて『蕎麦猪口の文様小話』なる小冊子をつくり自費発刊したのは、2004年のことでした。こんなマニアックな小冊子、欲しいと言ってくれる人がいるのだろうかと思いながら、当時発行していたメールマガジン「蕎麦猪口蒐集」の読者の方々に喜んでいただけたら、と作ったのでした。

そんな、わたしにとってのライフワークのひとつでもある「文様」について、久しぶりにたくさん質問を受ける機会がありました。理解していること、覚えていること、きちんと説明できることがある一方で、「あれってどうだったかしら?」ということも少なからずあり、あらためて調べ直すきっかけとなりました。「他者に伝える」のは、自分にとって最高の学びになりますね。専門家としていい加減なことは言えませんので、ひとつひとつ資料にあたることになります。

資料を開けば「ああ、そうだった!」ということや「あれ、今まで気が付かなかった!」というものがどんどん出てきます。そういえば17年前もさまざまな資料にあたりました。やきものや肥前磁器の古い文献資料・研究書・学術書はもちろん、着物など他の伝統工芸における文様の資料、はては歳時記や植物図鑑、江戸時代の風俗文化に関する本まで。

今は、手元に持っている資料も、どこに行けば関連資料を手にできるかという知識量も、当時より増えていますので、さらに調べ甲斐があります。文様について調べ直しまとめ直して形にすれば、単純に文様の知識として便利だというだけでなく、陶片ミュージアムを解説する資料としても価値が生まれそうです。

ということで、17年ぶりに「文様小話」を作り直すことに決定。タイトルは変わると思いますが。そして、単に知識を調べて集めるだけではなく、諸説に対するより深い考察をして、自分なりの解釈を展開することができるのではないかとも思います。年内に完成するといいな、と思いつつ。きっかけとなる「たくさんの質問」を投げかけてくださったKさんに、心より感謝です。

花祭窯25年目スタート!

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

花祭窯25年目スタート!

6月9日ロックの日は花祭窯の創業日。応援してくださる方々のおかげで、また年を重ねることができました。ありがとうございます!

「やめなかっただけ」ではあるものの、四半世紀に突入するとなると、自分たちのことながら「ほほぅ」という感じは致します。来年の25周年を笑顔で迎えることができるよう、この一年も全力で仕事を楽しんでまいります。

今朝はロンドンに住む友人からの嬉しいメッセージでスタートしました。Sladmore Contemporaryで開催中の展覧会Beyond Bronzeに足を運んでくだり、「新作見たよー」と写真入りで報告。ロンドンはロックダウンが徐々に解除され、ギャラリー街も活気を取り戻しつつあるようです。

日英の往来がこんなに難しくなるなんて、ほんの2年前は思ってもいなかったこと。でもそもそも創業時には、海外展開するとはまったく思ってもいなかったのです。花祭窯創業時のダンナの志とか、陶芸家としての理念・使命感といったものはまったく変わっていませんが、その一方でマーケティング的な方法論についてはずっと変化し続けています。

変わるものと変わらないもの。両方あってこそ、生業として続けることができているのだとつくづく思います。今日も面白い一日をご機嫌に。

花を生けるたびに、いつも思うこと。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

花を生けるたびに、いつも思うこと。

昨日の紫陽花に続いて、本日も花の話。わたしがお花を習っていたのは、ほんの三年間ほど、それも15年以上も前のことです。でも何年経っても、花を生けるたびに「先生だったらなんとおっしゃるかな」と思います。今日のこの百合を見たら「思い切りが悪い」「落とさない方がもったいないということもあるのよ」とおっしゃるに違いありません。

百合

30歳を過ぎたころ、窯元おかみの仕事柄必要を感じて、お茶とお花を習い始めました。当時、お花を教えてくれるところは近くになかったのですが、お茶室でご一緒していた華道お家元の先生が、お茶のお稽古の前後に指南してくださったのでした。先生のご厚意に甘え、流派に入門することなく、実地で勉強することができました。今考えても、ほんとうに贅沢でありがたいことです。

お茶の日は、お稽古がはじまる1~2時間前にお茶室に入り、床の間の花を用意する先生のお仕事を拝見しながら、いろいろと教えていただきました。毎回、すべての花は先生のお宅の庭で育てているものを使っていました。その日に咲いているもの、その日に一番美しいものを庭で切ってこられるのです。お花を習い始めてから何十年もかけて、茶花として生けたいものを少しづつ増やしていかれたそうです。

「花は野にあるように」という利休の教えがありますが、その言葉を知る前に、わたしは先生に教えていただいていたような気がします。基本の生け方と茶花の生け方、両方を目の前で拝見し、教えていただきながら学んだことは、わたしの財産になっています。花は買ってこなくても、文字通り「身近にある草花」を一輪挿すだけでいいのだということも、先生から教わりました。

「先生だったら、こうおっしゃるだろうな」がわかっていても、未だなかなか修正できない出来の悪い教え子です。でも、花を生けるたびにこのように自分のなかで先生と問答できること自体が、とても嬉しくありがたいのです。