花祭窯の露地に冬が来た!

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

花祭窯の露地に冬が来た!

ここ数日、鉛色のどんよりとした空の日が続いています。この空と、窓ガラスの音を立てる風が、冬の到来を感じさせます。少し前の晩には爆弾低気圧的な風が吹き荒れていましたので、眠りにつきながらも「冬が来た~!」と思っておりました。

花祭窯の小さな露地も、すっかり冬モードです。まずはサザンカ。お隣さんのサザンカは日当たりの良い向きにあるので、ずいぶん花が開いていますが、中庭にある我が家のサザンカは、これからが満開に向かう季節。キリッとした色使いが美しく、気持ちが華やぎます。

山茶花

これは、なんだろう?名前がわかりません(汗)が、花の少ない季節に、小さく可憐な白が目に留まります。近づいてみると、ほんのり甘い香り。

花祭窯の露地

ジンチョウゲには、これから大きくなるのであろう蕾(つぼみ)の赤ちゃん的なものが、たくさんついていました。早春に咲いてくれるかな、と。楽しみです。

ジンチョウゲ

南天もきれいな赤い実をつけてくれました。佐賀の花祭の山には、今頃たくさん南天がついているだろうな、と思いつつ。

ナンテン

今年は花を咲かせ、実をつけて、わたしたちを大騒ぎさせてくれたザクロの木は、いい感じに黄葉しています。

柘榴の木

露地の小さな空間で季節を満喫。ありがたいですね。

読書『ルビーが詰まった脚』(東京創元社)ジョーン・エイキン著/三辺律子訳

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『ルビーが詰まった脚』(東京創元社)ジョーン・エイキン著/三辺律子訳

これもいつものカメリアステージ図書館新刊棚から。シュールなタイトルと、表紙の絵の独特の雰囲気に惹かれて手に取りました。英国生まれの著者による短編集で、『ルビーが詰まった脚』はそのなかの一編のタイトルです。本書の原題は『The People in the Castle:Selected Strange Stories』で、読後感としては、この「Selected Strange Stories」のタイトルがぴったりです。

なんとも不思議なストーリーの数々です。巻末の著者紹介で、大人向けのホラーストーリーやファンタジーで有名であるというくだりを読んで納得。本書内の短編には、あからさまにホラーという感じのものはありませんが、全体に異世界の雰囲気が漂っています。すべてがやわらかくオブラートにくるまれている感じで、警戒することなく読み進めていたら、うっかりおどろおどろしい世界に連れて行かれそうになっていた…という感じ。

ちなみに短編のタイトルを並べてみると

  • 葉っぱでいっぱいの部屋
  • ハンブルパピー
  • フィリキンじいさん
  • ルビーが詰まった脚
  • ロープの手品を見た男
  • 希望
  • 聴くこと
  • 上の階が怖い女の子
  • 変身の夜
  • キンバルス・グリーン

あらためて並べてみると、表題となっているものだけでなく不穏な気配を感じるタイトルがいくつかありますね(笑)

お父さんがピューリッツァー賞受賞の詩人で、著者も詩や戯曲も手掛け、生涯に百冊以上の本を出版したといいます。独特の世界観にみちているであろう詩を、怖いもの見たさで読んでみたい気がしています。

『ルビーが詰まった脚』(東京創元社)ジョーン・エイキン著/三辺律子訳

現代根付彫刻展@横浜SOGOを見て参りました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

現代根付彫刻展@横浜SOGOを見て参りました。

先日の東京出張の際に見た根付の展覧会。出張二日目は所用で久しぶりの横浜へ。横浜そごうには、そごう美術館があります。そごうさんは百貨店内に博物館法に基づく美術館を設置した、初の百貨店だったのだということを初めて知りました。

ですが、ちょうど展覧会中だったものは、残念ながらあまり興味をそそりませんでしたので、そごう美術館の展示ではなく、美術館と同じフロア(6階)にある美術画廊で開催中の「現代根付彫刻展」を拝見してまいりました。

さて「現代根付彫刻展」。このタイトルを見て、そういえば根付は古いものしか見たことが無かったと気がつきました。「小さいもの」であり「彫刻」であるという点、そして江戸時代に文化として大きく発展したこと、実用を持った工芸品であるという点が、藤吉憲典の肥前磁器作品に通じるものがあります。それなのに、現代も作り続けている作家さんがいるということを、これまであまり考えたことがありませんでした。

根付、小さいです。高さ3cmも無いものから、大きくても6cmぐらい。そこに細かい彫刻や絵付が施されています。作品の前には、ところどころに拡大鏡が置いてありました。気になる作品の前で立ち止まっては拡大鏡を手に取り、じっくり観察。素材の表示を見れば、象牙、黄楊(ツゲ)、マホガニー、鹿角、黒檀とさまざまでした。一人の作家さんがひとつの素材だけを扱うわけではなさそうで、題材に対して素材を選ぶところからはじまるのだろうな、と思いました。

細かい彫刻も気になりましたが、絵付も気になりました。一番の疑問は「どのように、何を使って彩色しているのか」。根付の素材が異なれば、彩色の材料も方法も異なるはずです。また、もともとは身に付けるものですから、彩色方法によっては、擦れて色が落ちたりすることも考えられます。やきものならば、絵付をしてから窯に入れて色を定着させますが…。

画廊スタッフの方が控えておられたのでお話を伺うと、どうやら作家さんによって、手法がいろいろということで、決まっていないようでした。ただ、よく聞く方法としては、彩色したうえに漆を塗ってコーティングする方法があるのだそうです。また現代では実際に身に付けるよりも、飾る目的でコレクションする方が多いということで、色落ちをあまり気にしなくなってきている風潮もあるとか。とはいえ、わたしが観ている最中に根付をご覧になっていたお客さまのなかには、着物姿の男性もいらっしゃり、そのような方は実際に身に付けるための根付をお探しなのだろうな、と思いました。

最後に気になったのが、お値段。現代ものとはいえ、価格には開きがありました。それも当然で、やはりきっちりと手の入った仕事が見て取れるものは、それなりのお値段がついていました。それでも、そこにかかる技術と時間を考えると、これを生業として生活していけるようになるには、かなり時間がかかるだろうと思えました。伝統工芸文化継承の難しさは、根付の世界にもありそうです。

ともあれ、久しぶりに新しい世界を垣間見たような嬉しい気持ちになった「現代根付彫刻展」でした。買わないと分かっているのに、作品の説明を惜しまずしてくださった画廊のスタッフさんに、心より感謝です。

博物館リンクワーカー人材養成講座『第5回高齢者が美術館を楽しむために~シニアプログラムの実践を通して~』に参加いたしました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

博物館リンクワーカー人材養成講座『第5回高齢者が美術館を楽しむために~シニアプログラムの実践を通して~』に参加いたしました。

11月上旬からスタートした学芸員研修の連続講座「博物館リンクワーカー人材養成講座」。今年度は日程の合わない日もあり、飛び飛びで参加しています。

第5回目は、福岡市美術館の教育普及担当学芸員さんによる実践報告。今年度、福津市の「郷育カレッジ」では、わたしが担当する美術鑑賞講座で、福岡市美術館の「どこでも美術館」というアウトリーチ(出前)にご協力いただきましたので、特に思い入れを持って拝聴いたしました。

以下、備忘。


  • 制作物を1年度に届ける→未来への目線。
  • どこでも美術館(アウトリーチ)=地域公民館、学校との連携。美術館に行けない人のところへ、こちらから届ける。
  • シニアプログラム「回想法」:施設職員の方(専門家)のフォローが必要。
  • 「美術」という共通言語。
  • アフターコロナのGOODな傾向:「男性お一人様」の参加が増えている。
  • 実物・実物大の美術作品=「空間を支配するもの」の存在の大きさ。
  • 美術館に行きたいけれども行けない←YouTube、Facebook等でのライブ配信。
  • 何が見えますか、何が描いてありますか?からはじまる回想法。
  • 学問・専門は、専門家だけのものではない。

博物館リンクワーカー人材養成講座『第5回高齢者が美術館を楽しむために~シニアプログラムの実践を通して~』より


特に、実践報告のなかで演者の学芸員さんがおっしゃった「『空間を支配するもの』の存在の大きさ」というキーワードに、美術・美術館の役割をあらためて思いました。また、グループワークのなかで出てきた「学問・専門は、専門家のものだけではない」という言葉に、奢ることなく取り組む姿勢を貫く現場の方々の思いが見え、ハッとしました。

2022年度の博物館リンクワーカー人材養成講座も残すところあと1回となりました。肩の力を抜いて楽しみながら学べる貴重な機会、しっかり自分のものにしていきたいと思います。

読書『サバカン SABAKAN』(文藝春秋)金沢知樹著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『サバカン SABAKAN』(文藝春秋)金沢知樹著

映画館で『サバカン』の予告編を見たのは、わりと最近だったような…と思いながら手に取りました。映画は今年8月公開。本書はその映画監督による書下ろしの原作小説でした。舞台は長崎県の長与町、しかも1980年代とあって、1980年代の8年間を長崎県で育った者としては、見たさ半分、見たくなさ半分で、結局映画は観なかったのでした。

そんな本書をいつものカメリアステージ図書館で発見。本ならば読めるだろうと思い、借りて参りました。著者の金沢知樹監督は1974年生まれとなっていましたので、わたしより5年ほど後生まれ。ほぼ同世代(!?)なので、その時代の長崎あたりの田舎の雰囲気、学校や子どもたちがどんな風であったかというのは、良きにつけ悪しきにつけ容易にイメージが湧きました。

今の世の中ならすぐに問題とされるであろう、学校の先生の(暴)力による生徒支配、貧しい家の子をバカにし揶揄う子どもの残酷さ、生徒の家でその親と一緒に酒を呑む先生など、「ああ、そういえば」という当時の日常が、苦く思い出されました。そんな時代を「古き良き」と言えるかどうかは、人それぞれでしょうね。

とはいえ、本書のお終いには光が遺されていました。映画のレビューも比較的高評価が多く、そのうち見てみてもいいかも、という気持ちになりました。

『サバカン SABAKAN』(文藝春秋)金沢知樹著

JETRO「中小企業海外ビジネス人材育成塾」折り返し地点。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

JETRO「中小企業海外ビジネス人材育成塾」折り返し地点。

JETROの「中小企業海外ビジネス人材育成塾」がはじまりました、と書いたのは11月下旬のことでした。

先日その第3日目が終わりました。全体のスケジュールから見て、おおよそ折り返し地点。

実は、本研修に申し込んだ後に、ジェトロの研修担当者さんから、参加の意思確認をする電話がありました。一日に詰め込まれる課題や宿題の分量がかなりあること、基礎研修は全日程必修で遅刻欠席途中退席が認められないこと、宿題を含めた課題をすべて提出しないと修了が認められないこと、きちんと修了しないと本研修と並行して行われる英文ビジネスメールなどのオンライン研修の費用が発生すること(修了者は無料)…。それでもちゃんとやり遂げれますか?というものでした。

頑張ります!と答えて参加したものの、一日7時間近くデスクに張り付いて講義を受講するのは学芸員資格課程のスクーリング以来ですから、ほぼ10年ぶり。講座時間内の15分ほどでワークシートを作り上げてグループワークで共有したり、パワーポイントでのプレゼンテーション構成をその場で30分ほどで作ったり、瞬発力が要求されています。復習予習を兼ねた宿題の提出期限も短く、企業で通常業務をこなしながら参加なさっている海外担当部署の方は、かなりたいへんだろうと思います。かく言うわたしは、一日終わると大きく伸びをして腕を振り回しています。

ですが、それだけ詰め込んでいると、思考と、思考を形にしていく方法が、筋肉のようについてきているような気がします。気のせいでないと良いな、と思いつつ(笑)。そしてなにより、グループワークでさまざまな商材を持った、さまざまな業種・規模の方々のお話を共有できるので、視野が広がるのを感じます。「海外を目指す」という共通の目的を持っているので、皆さんのお話から、たくさんのヒントをいただいています。来週が年内最後の講座。しっかり宿題を作り込んで、頑張ります!

読書『セカンドチャンス』(KODANSHA)篠田節子著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『セカンドチャンス』(KODANSHA)篠田節子著

いつものカメリアステージ図書館、新刊棚。いわば図書館の入り口となる階段を上った正面にあるこの棚は、上の写真で見ていただけると一目瞭然、全体から見ればとても小さな棚です。が、常に新しいものが入り、入れ替わってるので、じっくり探す余裕が無いときには、この棚で探すだけで十分に新しいもの・興味をそそるものを見つけることが出来ます。ここ数カ月、日本人作家の小説をここで見つけて読むことが増えていました。本書もそのなかの一冊。

篠田節子さんの小説を読んだのは、いつのことだったかしら…と思いつつ手に取りました。ずいぶん前に読んだような気がするのですが覚えておらず、巻末の著作一覧を見て、ああそうか『女たちのジハード』だ、と思い出しました。

さて『セカンドチャンス』。なんてことのない物語です。けれど、主人公の年齢が今のわたしと近く、性格も環境もまったく異なるのに「なんとなくわかる」ことが多く、引き込まれました。読みながら、登場人物と自分自身との共通点、知人友人との共通点が重なっていきます。50年以上の人生経験を積んできた方なら、感情移入とは言わないまでも、タイトルの「セカンドチャンス」の言葉の意味に頷きながら読むことが出来る本だと思います。

日常のなかで小さくガッツポーズをする瞬間の愛しさを思う読書でした。

『セカンドチャンス』(KODANSHA)篠田節子著

サントリー美術館「京都・智積院の名宝」観て参りました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

サントリー美術館「京都・智積院の名宝」観て参りました。

12月最初の週末は、東京出張。南青山の百福さんで開催の「藤吉憲典展(磁)」の最終日に顔を出して参りました。

朝一番に福岡空港から羽田行きで、10時前には都心部に到着。ギャラリーオープンは12時なので、2時間を美術館で過ごすことに。六本木・東京ミッドタウン内にあるサントリー美術館に足を運んでまいりました。六本木ヒルズ内の森美術館でもちょうど展覧会がはじまったところでしたので、どちらにするか迷ったのですが、古いものを観る方に軍配が上がりました。

さて、京都・智積院の名宝。上の写真は上階のホールスペースに設けられた、展覧会のフォトスポット。本展覧会は、長谷川等伯一門による金碧障壁画群が目玉です。実際のところ、その大きさ、迫力はなかなかのものでした。が、個人的には「もともとあるべき場所」すなわち智積院のなかで観たいなぁ、という感想が先に立ちました。そこだけを取り出した状態ではなく、全体として空間的に見るのが一番だろうなぁ、と。あたりまえですが。

そんななか、個人的に一番気に入ったのは、梵字による曼荼羅図。曼荼羅図全体の迫力、面白さはもちろん、ひとつひとつの梵字の生き生きとした筆が、とても良かったです。今にも動きだしそうな文字でした。縮小版を部屋に飾りたいと思いました。それから、南宋時代に書かれたという金剛経も素晴らしかったです。まず第一に読みやすい、そして浮ついたところが無く、かといって固さも無く、力強いのに緊張を強いない字でした。また展示の最後に、智積院が秀吉天下の時代から近現代に至る京都画壇を支えるパトロン的役割を担った一面が垣間見え、素晴らしいなぁと、嬉しい気持ちになりました。

たくさん美術館博物館があるからこそ、出張のたびに、用事のある近くに興味のある展示・展覧会を見つけることが出来るのは、東京ならではの贅沢だと思います。サントリー美術館「京都・智積院の名宝」、良かったです♪

百福さんでの「藤吉憲典展(磁)」、ご来場ありがとうございました!

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

南青山百福さんでの「藤吉憲典展(磁)」、ご来場ありがとうございました!

百福さんが南青山に移転なさってから初めての個展。わたしも最終日におじゃまして参りました。上の写真は、百福さんのインスタグラムから拝借。オーナーの田辺さんはとても素敵な写真を撮ってくださいます。器の写真撮りはプロの写真家の方でも結構難しい題材のようなのですが、百福さんの写真はいつも、安定した美しさと独特の質感があります。

さて百福さん。東京メトロ青山一丁目駅からも外苑前駅からも歩いて5分と交通至便な場所でありながら、青山通りから一本内側に入っているために静かで落ち着いた空間です。オープンがお昼12時からなので、当日は六本木で一つ展覧会を観てから、お散歩がてら歩いて向かいました。

訪問したのが最終日とあって、お客さまのご来店はのんびりペース。おかげさまで、ご来店の方とはもちろん、オーナーの田辺さんともお久しぶりにゆっくりお話をすることが出来ました。早くに売り切れてしまっていたシリーズもありましたので、目当てにお越しのお客さまにはお詫びをしつつ。

町田でお店をなさっていた時との違い、東京近辺での「食」に対する料理人さんの視点、最近の陶芸作家さんたちの意識と制作の在り方、作家物の器のお店としての矜持とこれからの進むべき方向など、18年お店を続けていらっしゃるからこその視点を、いろいろとお聞かせいただくことが出来ました。そういえば、じっくりオーナーさんのお考えを伺う機会を作ることが、このところ出来ていませんでしたので、とてもありがたく貴重な時間となりました。

昔から何度も思っていることですが、お付き合いのあるギャラリーさんに恵まれている嬉しさを、あらためてかみしめる一日となりました。百福さんでの藤吉憲典展は、次回はまた再来年。楽しみにしていただけると嬉しいです。

読書『ちいさな手のひら事典 クリスマス』(グラフィック社)ドミニク・フゥフェル著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『ちいさな手のひら事典 クリスマス』(グラフィック社)ドミニク・フゥフェル著

今日から12月。今朝は今シーズン一番の冷え込みで、まさに冬が来た!という感じです。いつものカメリアステージ図書館で見つけた本書は、季節的にもぴったり。赤と金の装丁のインパクトに惹かれて手に取りました。

『ちいさな手のひら事典 クリスマス』(グラフィック社)ドミニク・フゥフェル著

「事典」のタイトルの通り、クリスマスについての豆知識が78項目。それぞれページ見開きで左側に解説テキスト、右側に絵、の構成です。上の写真のような感じですね。本の半分は絵が占めているわけで、パラパラとめくって「可愛い!子ども向けに良さそう!」と思いながら借りてきました。ところがなんのなんの、左側のテキストページに書いてある解説は、しっかり大人向けと言いましょうか、シニカルと言いましょうか…な感じです。実は、そこがとても気に入りました。

のっけから「その長い歴史は4世紀にさかのぼり、ローマ教皇リベリウスが12月25日を公式にイエスが誕生した日と定めました。しかし、歴史的な根拠はありません。」と、キビシメです。その他にも「クリスマスの日、子どもにプレゼントするおもちゃは、19世紀以降、お金儲けの絶好の機会になりました。」「そりをサンタクロースの移動手段にしたのは、米国の牧師です。」(『ちいさな手のひら事典 クリスマス』より)など、美しいページをめくりながら、思わずニヤッとしてしまいました。

「ちいさな手のひら事典」は、シリーズでいろいろと本が出ているようです。巻末に既刊の一覧が載っていまして、それによると、現時点では本書を含めて14冊。飾っても可愛らしいので、興味のあるテーマから少しづつ買い集めてみようかな、と思います。