読書『世界の名建築歴史図鑑』(エクスナレッジ)五十嵐太郎編

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『世界の名建築歴史図鑑』(エクスナレッジ)五十嵐太郎編

『世界の名建築歴史図鑑』(エクスナレッジ)五十嵐太郎編

『いちばん親切な西洋美術史』(新星出版社)で、彫刻の歴史をざっと学び直し、としてまとめ直していたのは、ほんのひと月前のことでした。いつものご近所カメリア図書館で見つけた本書『世界の名建築歴史図鑑』をパラパラと開いて、まず思ったのは、彫刻の歴史と建築の歴史は、とくに近代以前はリンクしていたということ。建築家であり彫刻家という人物はたくさんいたわけで、そのうえ画家であるという人も少なくなかったのですから、そもそも分けて考えるものでは無かったのだろうなぁ、なんてことをあらためて思いました。

本書『世界の名建築歴史図鑑』では、西洋だけでなく日本の建築の歴史の流れも追っていること、建築は「社会的な存在である」ことを意識したまとめ方になっていることが、専門家でない者(=わたし)にとって親切でわかりやすく感じました。キーワードで読み解けるようになっていて、それぞれのキーワードが興味をそそります。上の写真の目次で、そのキーワードの一端を垣間見ることが出来ると思います。

個人的には、これまでほとんど学ぶことのなかった日本の建築の流れを読むことが出来たのがまず第一の大きな収穫でした。また近代以降の建築についてのまとめ方に、特に「社会的な存在である」という視点を強く感じました。建築家のお友だちとおしゃべりをしていると、彼ら彼女らの仕事と花祭窯の仕事(=芸術家の仕事)との大きな違いとして、「まず最初に誰からかのオーダーがないと作ることが出来ない」点と、ほとんどの場合「(外観を)公の目にさらされるのが大前提」を挙げる人が多いです。この二つの特徴が「社会的な存在」となる根本にあると思いました。

そんなことを考えながら、面白く簡潔に学ぶことのできる教科書でした。カラー写真が豊富で、見ていて楽しい!というのもおススメポイントです♪それにしても、写真掲載されている建築物の7割方には見覚えがあり、これは福岡ACAD.で開催した勉強会「世界史を建築家の視点で見る」シリーズの賜物です。あらためて株式会社藤井設計室藤井昌宏氏からの学びの大きさにあらためて感謝。コロナで休会状態になってしまっていましたが、そろそろ福岡ACAD.も再開を考えたいところです。

『世界の名建築歴史図鑑』(エクスナレッジ)五十嵐太郎編

読書『逃げ道』(新潮社)フランソワーズ・サガン著、河野万里子訳

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読書『逃げ道』(新潮社)フランソワーズ・サガン著、河野万里子訳

サガンといえば『悲しみよこんにちは』と連想はするものの、実はちゃんと読んだことはありませんでした。と書いたのは、つい10日ほど前のこと。読んでみようかな、と思ったらすぐに実行に移せるのは、いつものご近所カメリア図書館のおかげです。

さっそく『悲しみよこんにちは』と『逃げ道』を借りて参りました。まず手にしたのは『悲しみよこんにちは』。ところが期待が大きすぎたのかもしれません、ちょっぴり肩透かしを食らった感じがいたしました。が、これを18歳の少女が書き上げたということには、ただただ驚愕。物語のテーマにでは無く、あちらこちらに散見する文学的な空気感に、驚きました。読後に訳者である朝吹登水子さんの「あとがき」を拝見し、なるほど、その文学少女ぶりに納得させられました。

フランソワーズ・サガン『悲しみよこんにちは』

対して、続けて読んだ本書『逃げ道』は、期待を大きく超える「サガン節」でした。少々サディスティックな悲喜劇とでも言いましょうか、わたしの持っている「フランスっぽさ」のイメージそのもので、一人で大盛り上がりしました。喜劇と悲劇は紙一重と言われますが、まさにそんなことを考えさせられるドタバタ劇。頭のなかに映像が次々に浮かび上がってきます。この『逃げ道』こそ、誰か映画化してくれないかしら、と思いました。

フランソワーズ・サガン『逃げ道』

ところが、サガン作品のなかでは人気が無いのでしょうか。アマゾンで探してみたところ、新刊で出ているものがありませんでした。個人的には『悲しみよこんにちは』よりも、断然面白かったです。最後は思わず「えーーーーっ!」と声を出してしまいました。

藤吉憲典のLinkedInページが出来ました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

藤吉憲典のLinkedInページが出来ました。

Ceramic Artist Kensuke Fujiyoshi LinkedInページhttps://www.linkedin.com/company/ceramic-artist-kensuke-fujiyoshi/

そもそもLinkedIn(リンクトイン)に登録をしたのは、遡ること5年ほど前のこと。藤吉の個展でロンドン滞在中にご紹介いただいた、日本と英国を結ぶ仕事をなさっている方からのご招待でした。そのときは単純にクラウド名刺管理ツールのひとつで、海外ビジネスでの利用者が多い、くらいの認識。それから何年も経つうちに、次第にSNSとしての位置づけが強くなってきた感じで、最近は越境ECを手掛けるコンサルの方々も話題にすることが増えてきました。

そんなこんなで、せっかくアカウントは持っているのだから、そろそろ活用してみようかな、と思い始めたところです。SNSの活用も、アカウントを増やしたところで、生かせなければリスク要素を抱えることにもなるので、痛し痒しではあります。が、使ってみなければ自分たちの仕事に合うかどうかを推し量ることもできません。今年は3年ぶりにロンドン個展がありますので、11月の会期オープンに向かって試していくことに。

まだ日本語ページを作り始めたばかりで、事業の基本情報をやっと掲載したところです。多言語でのページ作成ができるようになっているので、これからまずは英語ページを作成して、その後コンテンツを増やしてまいります。今のところなんとなくですが、LinkedInとアーティストは相性が良さそうに感じています。

増やしたり減らしたりしながらのSNS運営。一人でできることは限られているので、反応を見ながら要らないものは思い切って止める意思決定も必要だなと思いつつ。そのうえで、並行して取り組むべき柱が何本もあるならば、そろそろサポーターの手を借りることも考えようと思いつつ。

とりあえずLinkedIn、お試し中。アカウントをお持ちの方は、ぜひフォローしていただけると嬉しいです^^

Ceramic Artist Kensuke Fujiyoshi LinkedInページ

卯月、花祭窯ご近所の花景色。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

卯月、花祭窯ご近所の花景色。

SNS上では桜景色が大賑わい。我が家の周りでも春の花が華やかです。まずはハナモモ。年々花が増えて、今年も立派に咲いてくれました。創業地から植え替えで連れてきたので、根付いてくれて嬉しさもひとしおです。

花祭窯のはなもも。

ご近所では季節ごとに目を楽しませていただいています。

桜も種類が多いのですね、色も形もさまざまです。

菜の花も今が満開。お日さまに映えて眩しい黄色は、見ているだけで元気が出てきます。それにくわえて、蜂を誘う蜜の甘い香り。

この週末はお花見の方も多いでしょう。今のところ天気予報では桜散しの雨はしばらくなさそうです。

新年度スタート。張り切って参りましょう♪

藤吉家の「新・春の恒例行事」は、いちご狩り。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

藤吉家の「新・春の恒例行事」は、いちご狩り。

花祭窯の創業地である、佐賀県江北町花祭に行って参りました。目的は、草刈りと、苗木の植樹と、いちご狩り。いちご狩り@花祭は、昨年から始まった我が家の春行事です。

観光農園「花祭いちごの谷」
観光農園「花祭いちごの谷」

福岡・津屋崎から佐賀・花祭までの道中は、あちらこちらで満開に近い桜を愛でながらのドライブとなりました。いい季節です。花祭窯の創業地でも、移転前に植えた桜が見事に花を咲かせてくれていました。

花祭の桜

限界集落になりつつある花祭に光を当ててくださった観光農園「花祭いちごの谷」の活動は、そこに住んでいなくてもできる地域貢献を考えるきっかけを、わたしたちにあらためて提示してくれました。毎年この季節にここに来ることによって、初心に戻ることが出来るありがたさ。

自分達にできることの第一歩として、一昨年の台風で更地となった創業跡地に、柑橘樹を植えることに。今回はまず3本を植えましたが、これから少しづつ増やしてまいります。そのうち、柑橘類の果実で観光農園ができるようになるといいな、と企み中。

花祭に果樹園を作る。

お茶のお稽古、のお稽古@徳り庵。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

お茶のお稽古、のお稽古@徳り庵。

「お茶のお稽古再開。」と書いたのは約2週間前のこと。

コロナ禍で、集まってのお稽古が出来ず、お点前を忘れてしまわないよう自習すればよいと頭では分かっていても、まったく手につかなかったこの2年間…(せっかくお茶室があるというのに!)。ようやく南方流・円覚寺でのお稽古ができるようになった途端「よし、おさらいしよう」と意欲が湧いてくるのですから、ゲンキンなものです。「あまりにも出来無さ過ぎると恥ずかしい」という気持ちが自分のなかに残っていることを確認(笑)。

やはり久しぶりにお稽古に出る前に復習したいという息子とともに、徳り庵でおさらいすることになりました。徳り庵は、花祭窯の小さな茶室です。

炭をおこして湯を沸かして、となるとまた一仕事なので、今回まずは空点前で。空点前(からでまえ)とは、実際にお茶を点てることなく、お点前の手順をしてみることです。「エアーお点前」とでも言いましょうか。実物の道具をどこまで使うかはその時々・環境に寄ります。今回は、湯・水・炭・お抹茶無しで、お茶室には風炉に窯と水差しだけを配置し、手に持って扱う道具は実際のものを使いました。

基本のお薄点前をお稽古しました。袱紗捌き(ふくささばき)の練習をし、お茶碗に茶巾・茶杓・茶筅を仕込むところから。人に教えるのが一番自分の勉強になるというのはどんな分野にも言えることなのだと思いますが、お茶もその通りですね。少なくとも息子よりは先輩ということで、拙いながらも指導をすると、自分が何所を理解していて、何をわかっていないかがあからさまになります。

ひととおり片付けまで済ませると、教える方も教わる方もぐったり。息子が「今日はここまでで大丈夫」と言ってくれたので、内心助かりました(笑)。お茶の先生方は、一日に何人も、それも習熟度合がまちまちな入門者のお稽古をずっと続けておられます。そのすごさをあらためて思いました。

それにしても道具の前に座るだけで、気持ちが引き締まるから不思議です。こうしていざ自主稽古をしてみると「どうして今までやらなかったのかしら!?」とさえ思えてくるのですから、我ながら呆れます。ともあれ後悔先に立たず。少なくとも月に一度はお茶室に座りたいと思います。

「2022九州産業大学国際シンポジウム」遅ればせながら視聴参加いたしました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

「2022九州産業大学国際シンポジウム」遅ればせながら視聴参加いたしました。

毎年お世話になっている博物館学芸員技術研修会。その年度締めくくりとなる国際シンポジウムは、昨年に引き続き英国と米国をつなぎ、Zoomと同時通訳アプリを活用しての開催でした。わたしは開催日当日は急用が入ってしまい参加を断念しておりましたが、Zoom開催の録画を共有していただくことが出来ました。ありがたい限りです。

シンポジウムのテーマは、こちらも昨年に引き続き「博物館と医療・福祉のよりよい関係」で、「withコロナにおける高齢者プログラムの取り組みと課題」について、米国からの事例報告を聞きました。

以下、備忘。


  • コロナ禍以前から継続してきた、参加型ワークショップの電話・郵便を使ってのアプローチが、コロナ禍下でも生きた。
  • 特に電話=誰でも使える。
  • +ビデオチャット、メール、Zoom。
  • 図書館プログラムとの連携。
  • Google Arts and Cultureの活用。
  • バーチャルプログラムによるミュージアムツアー。
  • 他の博物館と提携してのミュージアムツアー(バーチャル訪問)。
  • 目が見えない人、見えにくい人に向けての、音声のみでも理解できるプログラムが、目の見える人にも有効であった。
  • オンラインに重点を置くことで、海外を含む「エリア外」からの参加が増えた。
  • バーチャル・対面、それぞれの強みと課題。→両方があって、選択できることの良さ。
  • Artful Conversations and Connections=鑑賞+(感想などの)語り合い。
  • Family Support(本人だけでなく、家族、介護者などを含めた)プログラム。
  • エンリッチプログラム=より、気持ちを豊かに。
  • New Collaborations with ○○
  • ○○=Independent artists、Small museums and Public gardens、Educator…
  • 自宅でできる「アートメイキング」プログラム。郵送での資料・材料送付。
  • 二人一組(例:認知症患者+介護者)での参加を想定したプログラム。
  • 1回参加すると、6割の参加者が2回以上参加する。
  • ミュージアムの教育担当者のコミュニティーでのつながり→サポートプログラム活用の広がり。
  • 「館の外側にある」連携組織。
  • 各種財団等からのサポート資金→プログラムの実施→有効性の認定→さらなる資金サポート→プログラムの充実→有効性の認定→…の循環。
  • プログラムの評価。評価方法とフィードバック。
  • バーチャル参加でも参加者同士がスクリーンで顔なじみになり、一緒に別のプログラムへの参加するようになる。
  • よりシンプルな質問の価値。例「何が見えますか?」
  • 支え手を支えるわたしたち自身が健康であることの大切さ。

以上、2022九州産業大学国際シンポジウム「博物館と医療・福祉のよりよい関係-withコロナにおける高齢者プログラムの取り組みと課題」より。


今回のシンポジウムでは、発表者の発表の後、グループに分かれてのディスカッションタイムが確保されていたのが目玉だったと思います。わたしはリアルタイムで参加できませんでしたので、ディスカッションに参加することはできませんでしたが、指定討論者の皆さんや各グループからの質問による質疑応答を拝聴することが出来ました。こういう時間があると、学びがより深まりますね。毎回さまざまな方法を工夫してくださる事務局の緒方先生に、心よりお礼申し上げます。

来年度もまた学芸員技術研修会に参加できること、とくに対面での講義が開催されることを楽しみにしています。

2022年藤吉憲典展覧会予定など。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

2022年藤吉憲典展覧会予定など。

少し遅くなりましたが、今年の藤吉憲典の展覧会日程がほぼ確定いたしましたので、ご紹介いたします。


2022年6月初旬 開窯25周年 花祭窯(福岡・津屋崎)

まるっと四半世紀です。これまで支えてきてくださった皆さまへの感謝を込めて、ささやかでもなにかできればと思っています。決まり次第、SNSなどでご案内いたします。

2022年7月16日(土)~7月21日(木)黒田陶苑(東京・銀座)藤吉憲典陶展

現在、黒田陶苑さんは店舗ビル建て替えのため銀座6丁目銀緑館2Fの仮店舗で営業中です。個展会場もこちらになります。今回の個展テーマは「書画陶芸」。藤吉憲典の新たな挑戦をぜひご覧ください。

2022年11月19日(土)~11月25日(金)百福(東京・南青山)藤吉憲典展

町田で長年営業してこられた百福さんが、昨年青山に移転なさってから藤吉憲典としては初めての個展となります。地下鉄で外苑前、青山1丁目両駅から徒歩5分とアクセス抜群です。どうぞお楽しみに。

2022年11月末~12月クリスマス Sladmore Gallery(UK・ロンドン)Animal Boxes of KENSUKE FUJIYOSHI 展

コロナ禍で延びたため3年ぶりとなります。Sladmoreでは、これまでのBruton PlaceのギャラリーからJermyn Streetのギャラリーへと場所を移しての開催となります。イメージ的には、隠れ家的エリアからちょっぴり大通りに出る感じです。


百福さん、Sladomore Gallery、銀座黒田陶苑さん、いずれも長年お付き合いのあるギャラリーさんでありながら、「新しい場所」での個展となります。ちょうどそれぞれのギャラリーさんの転換期に重なったということなのかもしれません。偶然の面白さにワクワクするとともに、そこに立ち会わせていただけることをとてもありがたく感じています。

そしてこれも三軒の共通点なのですが、いずれも展示スペースがこれまでよりもかなり広くなりそうです。それぞれの展覧会に何をどれだけ持っていくか、今まで以上に準備をしっかりしていきたいと思います。

詳細ご案内、DMなどはそれぞれ会期が近づきましたら、あらためてご案内いたします!今年はそれぞれの会場で皆さまにお会いできると嬉しいなぁ、と思いつつ。

読書『〔デザイン技法図鑑〕ひと目でわかるレイアウトの基本』大里浩二監修・MdN編集部編

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『〔デザイン技法図鑑〕ひと目でわかるレイアウトの基本』大里浩二監修・MdN編集部編

こちらもいつものカメリアステージ図書館。階段を上ったエントランスエリアに、特集コーナーがあり、現在展示されているのは「伝える」をテーマにした本の数々です。その内容は…


【カメリアステージ図書館】

『言いたいことが伝わる 伝える力』『伝える力』をテーマに、伝わりやすい話し方、資料の書き方、レイアウト、広告など、ビジネスだけでなく日常生活でも役立つ様々な本を集めました。①伝わる話し方(コミュニケーション)②資料を使って伝える(資料作り・プレゼンテーション)③まだ知らない人に伝える(広告・POP作り)人に伝える力(技術)を学んでみませんか

カメリアステージのフェイスブックページより


ということで、良さげな本が並んでおります。わたしはデザイン系の「伝える」に役立つものを物色して参りました。数回にわたり何冊も借りてきたなかで、「これは買い!」となったのが本書『〔デザイン技法図鑑〕ひと目でわかるレイアウトの基本』。

裏表紙に「ちゃんとデザインの基本原則が学べるデザイン教本。」と書いてある通り、わたしのような、デザインを体系立ててちゃんと学んだことが無いけれど、仕事で使う場面がたくさんある人間に最適です。全ページで実例を挙げて簡潔に示してあり、ビジュアル的・直感的にわかりやすいのが嬉しい。そのうえで解説文を読めば、理屈もしっかり胎落ちします。

「レイアウト」にはじまり、「文字」「写真」「図版」「配色」と網羅していますので、これ1冊あれば、わたしレベルの活用範囲でしたら、ほぼこと足ります。なによりそれぞれの単元で上がっているサンプルが、どれもセンス良く、そのまま技法を部分的に流用して雛型として使えること間違いなしです。素人(=わたし)的には、こういうのが一番助かります。紙媒体・ウェブ、どちらでも生かせそうです。

カメリアステージ図書館の特集コーナーでは、いつもいろいろな気づきがあります。そんな場所を作り上げてくださっている図書館スタッフの皆さんに心より感謝です。

[デザイン技法図鑑]ひと目でわかるレイアウトの基本。

読書『打ちのめされた心は』フランソワーズ・サガン著、河野万里子訳

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『打ちのめされた心は』フランソワーズ・サガン著、河野万里子訳

いつものカメリアステージ図書館新刊棚で見つけました。サガンといえば『悲しみよこんにちは』と連想はするものの、実はちゃんと読んだことはありませんでした。もう亡くなっているはずなのに新著?と思い、前書きをめくってみたところ「未完の原稿を発見」なるものであることが判明。

手に取った理由は、この機会にサガンを読んでみようと思ったのともう一つ、訳者の河野万里子さんのお名前に惹かれて。以前『オズの魔法使い』を読んだときの訳者さんが河野万里子さんで、とても良い印象があったのです。オズの魔法使いはアメリカ文学で、サガンはフランス。あれ?と思ってググってみたところ、英→日と仏→日どちらの翻訳もなさっているのでした。

さて『打ちのめされた心は』読後の印象は、「フランスっぽい」でした。わたしにとっての「フランスっぽさ」のイメージは、たとえば少し前に見た映画『フレンチ・ディスパッチ』がまさにそうです。皮肉の効き方や不条理な感じ、おしゃれそうでいて俗っぽいところ、素直にはハッピーエンドにならないところなど。『打ちのめされた心は』は、フレンチ・ディスパッチより、ちょっと上流にある舞台での物語というところでしょうか。

「未完の書」です。原稿の推敲されていないところをご子息が「外科手術」して整えての発刊、との説明が載っていました。未完ですから、物語は途中で終わってしまいます。正直なところ「え!ここでお終い!?」という感じです。が、訳者あとがきに書いてあったように、自分だったらこの後をどう展開させ結末に持っていくか、妄想を膨らませる楽しみがあるという意味では、これはサガンからの贈り物といえるかもしれません。いかに「サガンっぽく」エス・プリの効いた結末にもっていけるかが、試されますね(笑)。

あとがきには「これぞサガン」と称える調子の書評がならんでいました。わたしのイメージするフランスっぽさと、フランソワーズ・サガンのサガンっぽさは近いのかもしれないなぁと思った読書でした。それにしても、訳書の印象は、元の言語が何であれ、翻訳家の方の使う日本語力によるものですね。とても気持ち良く読むことが出来ました。ググってわかったことがもうひとつ、河野万里子さんの訳といえば『星の王子様』(サンテグジュペリ)が有名なのだそうです。我が家にある『星の王子様』を確認してみようと思います。

フランソワーズ・サガン『打ちのめされた心は』