ローマ教皇レオ14世のことばに頷く―ARTnews JAPANのシリーズ記事から

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

ローマ教皇レオ14世のことばに頷く―ARTnews JAPANのシリーズ記事から

この2026年10月からスタートした「気になったニュースから」についてのブログ、カテゴリー名を「芸術・文化のニュースから」に変更しました。内容にしっくりくるカテゴリー名を模索中でした。取り上げるニュースソースは、新聞・雑誌・ウェブコンテンツなどで、出典元を記載しますので、関心のある方はぜひ元ネタにあたってみてくださいね。

さて今回も、ARTnews JAPAN(アートニュースジャパン)から。『「AIの時代にこそ芸術家が必要」──ローマ教皇が人間によるアートの営みの重要性を強調』の記事です。ローマ教皇レオ14世といえば、つい先日肺腺がんの手術で入院なさったとい報道されていましたね。経過良好で退院なさっとのことで、なによりでした。

さてこのニュース記事、まず「バチカンで行われた芸術家たちとの会合で」の書き出しの、あまりにも自然な感じが印象的でした。そのような「芸術家たちとの会合」が、バチカンあるいはローマ教皇あるいは教会にとって、珍しいことではないのだろうな、と思わせられる文章です。宗教と美術の結びつきの強さ、それらが日々の生活のなかにある基盤の強さを、思わされました。

「人工知能(AI)の時代における芸術の重要性」についての発言で、ARTnews JAPANの文章をそのままお借りすると、“アーティストやキュレーターに対し、教会にはあなたたちが必要だと語りかけ、「それは、人間の芸術と機械が生み出すものとの区別が急務である人工知能の時代において特に重要です」と述べた”、とのこと。元の記事では、その前後の内容や背景についても書かれていますので、興味のある方はぜひそちらにあたってみてくださいね。

芸術・美術に真剣に取り組み生業としている人たちにとって、とても粋に感じる言葉だったろうなぁと思いました。わたしは、「芸術家」と称する人は、我が道を進んでいるようでいて実は誰かの(社会の)役に立ちたいという気持ちや承認欲求が強い人たちが多いと、常日頃から感じています。なので、自分の存在・やっていることの価値がこのような形で語られるというのは、きっと嬉しかっただろうなぁ、と。

同記事によると、ローマ教皇としては、1964年にも当時のパウロ6世が「我われはあなた方を必要としている」と芸術家に呼びかけた、とありました。そのときの背景がどのようなものであったのかまでは、わたしは調べていませんが、社会のなかで、歴史の中で、当たり前に芸術家の存在が認められていることを、意識させられます。と同時に、歴史のなかでは、芸術家やその作品が政治的に利用されてきたこともあったことを思い出させられました。

ローマ教皇とはスケールが違うとも思いますが、例えば日本で神社やお寺がアーティストやキュレーターを集めて「あなたたちの存在が重要です」と言ったら、それはどのように受け取られ、どのようなニュースとして取り上げられるだろう…と、ちょっと興味が沸きました。もちろん、その発言の背後に何があるかに寄って異なるでしょうけれど。

ともあれ、アート業界の端っこで仕事をしている者としては、世の中が良くなる方向へ、平和な世の中に向かうように、芸術の力が働き生かされることを、願ってやみません。

10月の恒例イベントもうひとつ―プリンセス駅伝。

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10月の恒例イベントもうひとつ―プリンセス駅伝。

津屋崎千軒の10月恒例イベントは、波折神社のおくんちと音楽散歩…と書いていたのは、つい先週のことでしたが、うっかり、もう一つありました。そう「プリンセス駅伝」です。お隣の宗像市と津屋崎のある福津市を結ぶコースで繰り広げられるレースは、花祭窯のすぐご近所をも通っていきますので、毎年ワクワク&ソワソワ。10月に入って、明らかに素人ではないシュッとした姿のランナーさんたちを近所で見かけるようになると、もうすぐプリンセス駅伝だ!とわかります。コースの試走をなさっているのだと思いますが、ジョギングペースでの走り姿がなんとも格好良いので、目立ちます。

スタートとゴールは、宗像市の複合施設・宗像ユリックス。宗像大社のわきを通り、海岸線495号線を通り、津屋崎千軒のしおさい通りを抜け、宮地嶽神社の前の道路を通過し、福津市のカメリア文化センター前を通って、また495号線から宗像ユリックスへと戻っていくコースは、どの道を見ても「勝手知ったる道路」です。テレビで観戦しながら、ふだん見慣れた景色を「カメラを通して見る」のは、なかなか楽しく。特に上空から俯瞰して撮った映像などは、玄界灘を望む景色がとても美しくて、良い場所に住んでいるなぁ、とあらためて思います。

さてマラソンがスタートするのはお昼時。お昼ご飯を食べ終わると、ダンナはにわかに立ち上がります。第3走者と第4走者を間近に応援することができるスポットが近所にありますので、トップのランナーが走っている位置をテレビで確認して、ちょうど良いタイミングで出ていきます。わたしも、10年以上前の最初の頃は沿道に出て応援したりもしたのですが、最近はテレビでの応援ばかり。生で拝見した迫力はすごくて感動ものなのですが、なにしろランナーの皆さんが一瞬で通り過ぎてしまいますので、テレビの方がじっくり見れるのです。

最終走者にタスキが渡ったころに、ダンナが戻ってきます。文字通り全力で駆け抜けるランナーの姿に感銘を受けて、「おれも頑張ろう!」とモチベーションを上げまくって帰ってくるのは、毎年のこと。テレビでゴールの姿を拝見して、ウルウルしながら仕事に戻っていくのです。プリンセス駅伝、今年も大いに楽しみました。大会の運営を支えるボランティアスタッフには、知人友人が何人も参加しています。皆さんに感謝。

個展案内状が届きました―11月は南青山の百福さんで「藤吉憲典展」。

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個展案内状が届きました―11月は南青山の百福さんで「藤吉憲典展」。

藤吉憲典の個展を、隔年で開催してくださっている百福さん。2026年は来月11月、その案内状が届きました。百福オーナー・田辺さんの撮る写真がいつも格好良くて、今回も素敵な案内状に仕上がっています。ありがとうございます♪

百福 藤吉憲典展案内状2026

藤吉憲典展(磁器)

百福 https://www.momofuku.jp/

アクセス:東京都港区南青山2-11-6-1F (地下鉄「外苑前駅」4a出口徒歩5分/「青山一丁目駅」5番出口徒歩5分)

電話:03-6447-0952

会期:2026年11月7日(土)-11月13日(金)※会期中無休

時間:12時~18時※最終日は17時まで


百福さんでの個展では、飯碗、蕎麦猪口、小皿豆皿などふだん使いのものをご覧いただくことができます。もちろん、藤吉憲典の作る酒器や向付などもお持ちいたします。また来年の干支「未」のシルクスクリーンもお持ちできると思います。

どうぞお楽しみに^^

読書『自負と偏見』(新潮文庫)ジェイン・オースティン著/小山太一訳

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読書『自負と偏見』(新潮文庫)ジェイン・オースティン著/小山太一訳

いつものカメリアステージから借りて参りました。個人的「読んでいなかった古典名作」シリーズの一冊です。あれ?『高慢と偏見』じゃなかったっけ?と思ったら、原著は同じで、ちくま文庫から出ているのが『高慢と偏見』なのですね。新潮文庫版は『自負と偏見』。出版社により、訳者により、使う言葉や解釈が微妙に異なってきますね。同じ出版社でも、時間を経て別の訳者による「新訳」シリーズが出て、それまでのものと比較できるのも、古典の面白さなのかもしれません。

さて、初オースティンです。なにかの本で『高慢と偏見』は読んだほうが良い、と書いてあるのを見た記憶があり、ただそれだけで借りてきました。何に書いてあったのかなぁ。そんなわけですので、ストーリーはまったく知りませんでした。ですから、読み始めてびっくり。『自負(高慢)と偏見』のタイトルから勝手にイメージしていたのは、哲学的なちょっと屁理屈ばったものかもしれない…だったのですが、実態は、昼ドラ顔負けのラブロマンス!?だったのですね。

登場人物のキャラクターそれぞれにあくが強すぎて、「過剰」な空気感がストーリー全体を覆っていました。感情移入できる相手がなかなかいないぞ、と最初は思いましたが、気が付けば、何人もの登場人物のなかに少しづつ自分に重なるものがあり。そして重なるのは自分の「嫌な部分」だったりするものですから、なんとも決まりの悪い思いをしながらの読書となりました。

文庫の巻末に、訳者による「ジェイン・オースティン略年譜」が付いていて、時代背景をイメージするのにとても参考になりました。桐野夏生さんの解説も面白かった。なるほど、どのような時代だったのか、を考えてストーリーを思い返すと、単なるラブロマンスのドタバタ劇とは異なったシビアな側面が見えてきました。桐野夏生さんが「極端なキャラクターの登場人物こそが小説を面白くする」というようなことを、巻末のあとがきに書いておられて、説得力がありました(笑)。

映画になっているのかしら、と調べてみたら、『プライドと偏見』のタイトルで2005年に映画化されていたようですね。さぞかし感情の起伏の激しい映画になったのではないでしょうか。観てみたいような、観たくないような、です^^

久しぶりに「駅にあるJRの窓口で、切符を手配する」をやってみた感想。

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久しぶりに「駅にあるJRの窓口で、切符を手配する」をやってみた感想。

本日のタイトル、第一のストレートな感想は、これからこういうアナログ対応の価値が、より大きくなっていくだろうなぁ、でした。飛行機も新幹線も、ほとんどウェブ上での手配で完結してしまう昨今。珍しく「窓口に出向かないとどうにもならない」自体が発生し、博多駅に足を運びました。目指すはJR西日本の有人窓口。ふだんは、いつも人がたくさんいるなぁ、と、横目に見ながら通り過ぎる場所です。

さて足を運んでみますと、銀行の窓口のように、順番待ちの番号札を機械で取得するようになっていました。わたしが札を取った時点で待ち人数は28名で、開いている窓口は4つ。待っている人数に対して椅子はじゅうぶんにありましたので、文字通り腰を据えて待つことができました。画面表示と音声で、順番がアナウンスされています。

良い機会でしたので、じっくり観察してみました。待合室の顔ぶれの多くは、海外からの旅行客と思しき方々。窓口の外、順番取りの機械の前あたりに一人スタッフさんがいて、お客さんからの個別の質問に対して、日本語と英語でご案内をなさっていました。そこで列や人だかりができるということは無く、皆さんスムーズに待合室の椅子へ。順番の呼び出しは、日本語がメインではありましたが、英語での呼び出しもあり、画面での表示もありましたので、そこで迷っているような方も見当たりませんでした。

正確には計っていませんでしたが、15分ほどの待ち時間で順番が来ました。その間に、呼ばれたけれど反応のないのが5~6あったようでした。番号札を取ってから、サービスを受けずにその場を離れた人がいらっしゃった、ということですね。待ちきれなかったのか、別の方法を見つけたのか、解決したのか。空いた窓口から順番に流れていて、つまりどの窓口に行っても、日本語対応も英語対応もOK!な布陣だったようです。心強いですね。わたしの待ち時間の約15分が長かったか短かったかは、その時の急ぎ度合いに寄りますのでなんとも言えませんが、少なくともその時点では、ストレスを感じるものではありませんでした。

さて順番が来て窓口へ。そこの窓口は、わたしの前の方は海外からのお客様だったらしく、英語で対応していらっしゃいました。わたしはもちろん日本語です。用件を伝えると、とてもにこやかで丁寧でスムーズな対応。「だいたいこんな希望なんですが」という言い方でお伝えしたところ、考えられる複数の選択肢を、それぞれの特徴とともにサッと用意してくださり、迷わず選んで決めることができました。窓口に立ち、用件を伝えて、完了するまで、おそらく3分もかからなかったと思いますが、大満足の対応でした。もちろん対応してくださったスタッフさんの属人的なものもあるのかもしれませんが。

久しぶりの対人での応対は、なかなか良いなぁ!でした。少々大げさな言い方ですが「自分で考えて調べて選択して決める」というアプローチがあたりまえになっている昨今で、誰かがその途中をサポートしてくれるというのは、心理的にこんなに楽なものかと思いました。この日はこのためだけに博多に出てきましたので、時間も電車代もかかっていて、出かける前は「あーもう(涙)」と思っていたのですが、帰るときには大満足。「人によるサービス」の価値がこれからどんどん高まっていくことを感じた出来事でした。…年齢のせいもあるかな!?(笑)

津屋崎千軒の10月は、波折神社のおくんちと音楽散歩。

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津屋崎千軒の10月は、波折神社のおくんちと音楽散歩。

津屋崎千軒の10月恒例イベントは、波折神社のおくんちと音楽散歩。昔から続いている神事のおくんちは言うまでもありませんが、後発の音楽散歩もすっかり定着して、当たり前の風景になっています。三連休の間に開催されたイベントは、お天気に恵まれて、たくさんの人が集まり、穏やかな日和になりました。

まずは音楽散歩。オープニングは、地元の中学校吹奏楽部によるパレードです。吹奏楽の楽し気な演奏が、最初は少し遠くから、次第にすぐ近くで聴こえてきて、そういえば今日は音楽散歩だ!と気づかされました。花祭窯は音楽散歩のメイン会場から近いので、居ながらにして楽しむことができます。中学生の吹奏楽、良かったです♪そのあとは、リコーダーの音が聞こえてきたり、アカペラの歌声が聞こえてきたり、パーカッションメインの民俗的な音楽が聞こえてきたりと、今年も様々なジャンルでした。

毎年ちょっぴり心配になることなのですが、音楽に対する好みは人それぞれなので、なかには騒音に聞こえるケースもあるかもしれません。長年続いているということは、このイベントに対してご近所の皆さんが理解を示してくださっているということで、これは津屋崎千軒というエリアの美点だなぁ、と感じます。

続いてはおくんち。ここ数週間、おくんちの太鼓の練習が夜な夜な聞こえていました。その集大成の日です。波折神社を出発した行列は、けっこうな距離を歩くので、近所に戻ってくる頃には皆疲労が見えます(笑)。にもかかわらず、細い路地まで入ってきて練り歩いてくれるのがありがたいですね。太鼓の音がだんだんと近づいてくるのがわかったので、お賽銭をもって外に出ます。行列を見送っていると、何人もの知人友人が歩いていて、知っている顔を見つけるたびに手を振って応援するのも楽しく。

わざわざ出かけなくても、秋のイベントを愉しむことができる、ありがたい環境です^^

「医療とアート」について思うこと―ARTnews JAPANのシリーズ記事から

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

「医療とアート」について思うこと―ARTnews JAPANのシリーズ記事から

この2026年10月から、このブログに「気になったニュースから」のカテゴリーを追加しました。スタートしたばかりで記事数が少ないので、頑張って連続で上げて行きたいな、と思っています。ニュースソースとしては、新聞・雑誌・ウェブコンテンツなど。記事について思ったことをつらつら書くスタイルです。出典元を記載しますので、関心のある方はぜひ元ネタにあたってみてくださいね。

ふたたび、ARTnews JAPAN(アートニュースジャパン)の記事から。【医療とアートの最前線】なる連載物を見つけました。最新記事のタイトルは、『認知症にアートは「効く」のか──イギリスの「Arts for Dementia」が示す創作の力』。「アートと健康」については、福岡では「博物館浴」を提唱する九州産業大学地域共創学部・特任教授の緒方泉先生のもと、比較的早い時期から学びの場がありました。毎年のシンポジウムでは、英国での最新の取り組みをお聞きすることができ、とても恵まれた環境だと思います。

さて『認知症にアートは「効く」のか──イギリスの「Arts for Dementia」が示す創作の力』の記事。ワークショップへの参加者が、手や身体を動かして参加する「創作活動」についての記述に興味が沸きました。ワークショップがどのように進められるのか、そこで助言をするアーティストたちがどのようにかかわっていくのか、そしてその結果として、どのような成果・効果が見込まれるのか。

わたしがこれまでに学んできたところでは、音楽療法では、実際に楽器を使ったりという身体的なアプローチでしたが、美術分野では、回想法などのアプローチ、すなわち体を動かすというよりは「観て、話す」が多かったです。なのでこの記事で、陶芸、彫金、モザイクなどの「モノをつくる」を取り入れる方法、その過程で出てくるさまざまな課題を垣間見ることができたのは、とても良かったです。

Arts for Dementiaのペニー・フォステン氏が、ワークショップの目的を「セラピーではない」とし、『その目的はあくまで「アイデンティティや好奇心、喜びを探求する楽しみ」であり、患者も介護を担う家族も、「病気に支配されがちな日常から離れ、認知症患者というレッテルから自由になること』(ARTnews JAPANの記事より)としていることに、目を開かされる思いでした。

緒方泉先生による「アートと健康」へのアプローチでは、2018年に「博物館と高齢者の健康・幸福感」のテーマがまず掲げられました。2020年のコロナ禍を経て、あらゆる世代に向けての、より緊急かつ重要な課題として「博物館と健康・幸福感」がテーマになってきています。一番上の写真は2025年度のシンポジウムのもので、この時の大テーマは、「博物館と医療・福祉のよりよい関係」でした。ARTnews JAPANの記事を読みながら、身近で同様のテーマを学ぶ機会をいただいていることのありがたさを、つくづくと感じました。

読書『燃えよ剣』(新潮社)司馬遼太郎著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『燃えよ剣』(新潮社)司馬遼太郎著

これまたいつものカメリアステージ図書館から、長期休館につき多めに借りてきたなかの一冊。ついに、司馬遼太郎さんに手を伸ばしてしまいました。わたしのなかで司馬遼太郎さんの棚と山崎豊子さんの棚が、図書館で手に取る際に「要注意!」な棚です。その理由は、ファンの方々なら察していただけると思いますが、冊数が多いこと。何年か前に、山崎豊子さんについては、3巻以内で完結するものを読む、ということをやりました。両氏とも、1~2冊で終わるものを探すのが難しい(笑)。

さて『燃えよ剣』は、上下巻二冊ですので比較的短めで、まずはここからです。司馬遼太郎作品はこれが初めてのはずなのに、読み始めて100ページほど進むうちに、既視感を感じました。そして200ページほど読み進めたころには、既視感の正体がわかりました。三谷幸喜脚本の『新選組!』はこれを底本としていたのですね。とっくにご存じの方々には「なにを今頃」かもしれませんが^^

そうと気が付いてからは(気付く前からかもしれませんが)、脳内イメージは、近藤勇は香取慎吾、土方歳三は山本耕史、沖田総司は藤原達也…と、すっかり三谷脚本の顔ぶれです。そういうこともいくらかは影響したのだと思いますが、まあ面白くて、ページの進むこと進むこと。先日京都御所を散策していたのも、思いがけずタイムリーでした。「蛤御門」って、この前通ってきたばっかりやん!的な。

ともあれ著者の、土方歳三への愛情の強さがめちゃめちゃ伝わってきました。江戸末期からの流れを「新選組」から眺めることができたのは、わたしにとってこの時代を少しでも理解する手助けになりました。ところどころで、史料(資料)に遺っている注釈的な内容が、「○○にはこのように書いてある」というように本文に挟み込まれるのが、とても良かったです。物語の中に、著者自身の言葉が割り込んでくることになるので、書き方によっては、読み手がジャマに感じてしまうリスクもあると思うのですが、ジャマになるどころか臨場感を増す役割を担っていたと、わたしは思いました。これが作家の「腕」なのでしょうね。

司馬遼太郎初読み、大満足でした。次もできるだけ冊数の少ない本を探さなければ…。

京都弾丸出張その2-よく歩きました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

京都弾丸出張その2-よく歩きました。

京都弾丸出張その1はこちら。

さてJR山崎駅から京都へは各駅停車で向かいます。移動の間にアポを調整、京都御苑内の迎賓館ガイドツアーに時間を合わせて待ち合わせることとしました。近年の京都市内は、バス移動の時間見積りにリスクが伴うイメージがあるので、可能な限り私鉄や地下鉄を使うようにしています。京都駅からは地下鉄で丸太町駅へ。御苑に入った時点で、予約したガイドツアーのスタートまで1時間以上ありましたので、これは余裕♪のはずでした。

ちょうど京都御所の「秋の特別公開」がはじまっていましたので、アポの前にこちらをチェックすることに。ところがそこに向かう前に「閑院宮邸跡収納展示館」を見つけてしまい、吸い込まれるように中に入りました。

京都御苑 閑院宮邸跡収納展示館

1710年に創建された邸は1788年に大火で焼失したそうで、現在の建物は1883年に建てられたものを2003年度から全面改修・整備し、2006年から一般公開されているということでした。当時使われていたという、様々なパターンの菊の文様が入った器は、もちろん肥前磁器です。

菊文の入った食器は肥前磁器。

当日のお天気の良さも相まって、素晴らしい空間・居心地でした。

続いては、秋の特別公開中の京都御所。公開初日だったようで、ラッキーでした。入り口で荷物チェックを経て御所内へ。アポの時間までに30分ほどありましたので、ゆっくり見れるだろうと高をくくっておりましたが、間違っておりました。観て回れる範囲だけ(おそらく御所敷地全体の半分以下)でも、たいがいの広さです。そのうえ見どころも満載。途中から「これはまずいぞ…」と時計をにらみはじめ、ラスト10分はめちゃめちゃ速足で歩き、御所の出口が見えてきたときは、正直ホッとしました(笑)。あ、一番上の朱が美しい門構えの写真も、御所内で撮ったものです。

京都御所

息を整えながらも速足で京都迎賓館の受付へ。足元が玉砂利で、なかなか進まないんですよね(汗)。

さて京都迎賓館。無事Sさんと落ち合い、ツアーガイドで回りながら、近況報告です。京都迎賓館は2005年に開館したということで、まだ20年しか経っていないのですね。

京都迎賓館

「我が国屈指の伝統技能の粋が現代に結集した、他に類を見ない施設です」(京都迎賓館チラシより)とあるとおり、きっちりとしたみごとな仕事=「現代の伝統的技能」を拝見することができました。なるほど、このような場所で、海外からの重要なお客さまをもてなしているのですね。ここでの印象がそのまま日本のイメージになると思いますから、実際にその空間に入って知ることができたのは、とても勉強になりました。約90分というゆったりとしたガイドツアーで、解説も丁寧でした。

迎賓館ツアーが終了したら、今回の京都出張のメイン業務、お茶をしながらミーティングです。とはいえ、道中でほとんどのことは話をし終わっていましたが。おかげさまで、12月のロンドンもひとまず安心です。

すごくたくさん歩いた!と思いましたが、スマホの歩数カウンターによると、2万歩にも満たず。さてはちゃんとカウントできていないな、ということにして納得して、帰路につきました。実に盛りだくさんの京都でした^^

京都弾丸出張その1-よく歩きました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

京都弾丸出張その1-よく歩きました。

ロンドン出張時のアポやレセプションで毎回お世話になっている、アテンド通訳のSさんが一時的に日本に帰国しているとお聞きし、会いに行ってきました。今年の12月にもSLADMOREのクリスマス・ショウに参加するので、そのアテンドについてご相談するのが主な目的です。いつもお忙しくなさっているので、善は急げ。もちろん通常はメールで済むことではありますが、せっかくお会いできる距離にいらっしゃるのですから、足を運びました。

限られた日本滞在中、あちらこちらを飛び回っていらっしゃる時間をいただくので、午後に京都御所あたりでの待ち合わせ、というざっくりした事前予約のみで、その場その時のご都合に合わせることに。京都に行けば観たい場所だらけですから、願ってもない待ち合わせ場所です。というわけで、朝から新幹線に乗りました。

午前中は時間に余裕がありましたので、新大阪から京都へ向かう途中で下車して、大山崎山荘美術館へ。行ってみたいと思いながらようやく!の館のひとつです。建物を拝見して庭園を散策するだけでも素敵な場所だろうな、と思いながらの初訪問。タイミングよく、今年開館30周年を迎えたということで、ふたつの記念展を拝見することができました。ラッキー♪

まずはジョルジュ・ルオー展。大山崎山荘美術館所蔵の4点に、東京のパナソニック汐留美術館蔵から35点を招いての展示でした。この山荘を自ら設計したという実業家・加賀正太郎氏による建物は、イギリスのチューダー・ゴシック様式を基本としたということです。重厚な雰囲気の展示室は、ちょうどよい規模感でした。個人的には、ルオーの作品は道化師やピエロというイメージが強かったのですが、実は聖書に基づく主題を描いたものがとても多いのですね。展示されていた絵画も、キャプションを読めば、ほとんどがそういうものでした。でもわたしには、宗教画というよりは、市井の地べたの雰囲気が感じられました。黒い線の力強さと、全体として暗めの色調に「土」の匂いを感じました。

思いがけず良いものを見た~と思いながら次の展示室へ。廊下でつながる別館は、安藤忠雄氏による「地中の宝石箱」と名付けられた、地階の展示室です。こちらは「クロード・モネ展」でした。モネは没後100年だそうです。ワンルームの程好いサイズの展示室に、大きなモネ作品が6点。ぐるりとモネの世界に囲まれる、なかなかに贅沢な空間でした。モネが「睡蓮」を何枚も描いているのは有名ですが、今回初めて拝見した「睡蓮」のなかに、赤い花が咲いているのを見つけ、お気に入り認定^^ これは好きな人にはたまらないでしょうね。思わず結界ギリギリまで寄って絵を見ていましたら、監視員のお姉さんにニッコリと笑顔でけん制されました。

常設展では、美術館開館に際してコレクションを寄贈なさったという、アサヒビール初代社長・山本為三郎氏について、少し知ることができました。民藝運動の後援者でいらしたのですね。コレクションには、河井寛次郎、浜田庄司、バーナード・リーチらの作品をはじめ、国内外の工芸の名品が含まれているということです。「自然に囲まれた素敵な山荘で絵を観ることができる美術館」というイメージ以外に、まったく前情報を持たずに訪問しましたが、期待以上にお腹いっぱいになりました。

帰りは庭園をお散歩して、秋晴れの気持ち良い空気を存分に楽しみました。庭園のあちらこちらで絵筆をとっている人があり、これがまた嬉しい景色でした。館内の観覧料はかかりますが、庭園はフリーなのですね。素晴らしい。

と、気が付いたら結構な長文になってしまいましたので、続きはまた明日。